JP2008297514A - 熱伝導性接着剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱伝導性に優れる熱伝導性接着剤のを提供すること。
【解決手段】結晶子サイズ、平均繊維長、平均繊維径、繊維径の分散を制御したピッチ系炭素繊維フィラーとアスペクト比が3以下の無機化合物を混合し、その混合物のかさ密度が、ピッチ系炭素繊維フィラーと無機化合物の平均かさ密度より高くなる状態で、マトリクスと複合し、熱伝導性接着剤を作成する。
【選択図】なし
【解決手段】結晶子サイズ、平均繊維長、平均繊維径、繊維径の分散を制御したピッチ系炭素繊維フィラーとアスペクト比が3以下の無機化合物を混合し、その混合物のかさ密度が、ピッチ系炭素繊維フィラーと無機化合物の平均かさ密度より高くなる状態で、マトリクスと複合し、熱伝導性接着剤を作成する。
【選択図】なし
Description
本発明は、ピッチ系炭素繊維フィラー及び球状もしくはアスペクト比が小さい無機化合物を含む熱伝導性接着剤に関わるものである。さらに詳しくは、メルトブロー法によって作製したピッチ系炭素繊維フィラーの結晶子サイズや繊維径、無機化合物と混合した時のかさ密度を制御し、さらに樹脂に含浸させて形成した熱伝導性接着剤であり、発熱性電子部品の放熱材料に適している。
高性能の炭素繊維はポリアクリロニトリル(PAN)を原料とするPAN系炭素繊維と、一連のピッチ類を原料とするピッチ系炭素繊維に分類できる。そして炭素繊維は強度・弾性率が通常の合成高分子に比較して著しく高いという特徴を利用し、航空・宇宙用途、建築・土木用途、スポーツ・レジャー用途などに広く用いられている。
近年、省エネルギーに代表されるエネルギーの効率的使用方法が注目されている一方で、高速化されたCPUや電子回路のジュール熱による発熱が問題になっている。これらを解決するためには、熱を効率的に処理するという、いわゆるサーマルマネジメントを達成する必要がある。
炭素繊維は、通常の合成高分子に比較して熱伝導率が高く、放熱性に優れていると言われている。炭素繊維など炭素材料は、フォノンの移動により高い熱伝導率を達成すると言われている。このフォノンは、結晶格子が発達している材料において良く伝達する。実際は、市販のPAN系炭素繊維の熱伝導率は通常200W/(m・K)よりも小さく、サーマルマネジメントの観点からは必ずしも好適であるとは言い難い。これに対して、ピッチ系炭素繊維は黒鉛化性が高いために結晶格子が良く発達し、PAN系炭素繊維に比べて高熱伝導率を達成しやすいと認識されている。
近年、発熱性電子部品の高密度化や、携帯用パソコンをはじめとする電子機器の小型、薄型、軽量化に伴い、それらに用いられる放熱部材の低熱抵抗化の要求が益々高まっており、放熱部材の薄化が要求されている。放熱部材としては、熱伝導性無機粉末が充填された硬化物からなる熱伝導性シート、ゲル状物質に熱伝導性無機粉末が充填され、柔軟性を有する硬化物からなる熱伝導性スペーサー、液状シリコーンに熱伝導性無機粉末が充填された流動性のある熱伝導性ペースト、硬化性物質に熱伝導性無機粉末が充填された熱伝導性接着剤、樹脂の相変化を利用したフェーズチェンジ型放熱部材等が例示される。これらのうち、薄葉化が容易なものは、熱伝導性ペースト、熱伝導性接着剤及びフェーズチェンジ型放熱部材であるが、汎用品においては、価格メリットと実績から熱伝導性ペーストや熱伝導性接着剤が好んで使用されている。なかでも熱伝導性接着剤は固定が容易というメリットがあり、様々な形で使用されている。
熱伝導性接着剤の熱伝導率を向上させるには、硬化性樹脂に熱伝導材を高充填させると共に、薄葉化すればよく、その薄葉化のためには接着剤の粘度と充填材のサイズを調整すればよい。熱伝導性が優れた物質として、酸化アルミニウムや窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭化ケイ素、石英、水酸化アルミニウムなどの金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属水酸化物などが知られている。しかし、金属材料系の充填材は比重が高く熱伝導性接着剤の重量が大きくなってしまう。
そこで、比重が低く熱伝導率の高い炭素材料、中でも炭素繊維を用いた熱伝導性接着剤が研究された(特許文献1参照)。しかし、炭素繊維はアスペクト比を有するため、硬化性物質と混合した場合、増粘効果が大きいため多量に混合することが難しい。そのため、炭素繊維を含む熱伝導性接着剤は、十分な熱伝導率を持たせることが困難であった。
そこで、複合材の熱伝導性を向上させるため、炭素繊維と低アスペクト比を有する化合物を混合させた複合材が検討されてきた(特許文献2、3、4)。しかし、炭素繊維と低アスペクト比を有する化合物を混ぜるだけでは、熱伝導性は向上するが、接着剤の増粘効果を抑制できず、成形性が低下する問題があった。
そこで、複合材の熱伝導性を向上させるため、炭素繊維と低アスペクト比を有する化合物を混合させた複合材が検討されてきた(特許文献2、3、4)。しかし、炭素繊維と低アスペクト比を有する化合物を混ぜるだけでは、熱伝導性は向上するが、接着剤の増粘効果を抑制できず、成形性が低下する問題があった。
上記のように、炭素繊維、特にピッチ系炭素繊維の高熱伝導率という観点からサーマルマネジメント用途の開発が進みつつある。しかし、サーマルマネジメントの観点からは熱伝導性接着剤としての熱伝導性が高くなっていることが必要とされている。更に、熱伝導性接着剤の粘度が低く、ハンドリング性に優れることが求められている。
本発明者らは、熱伝導性接着剤の熱伝導度を向上させること及び熱伝導性接着剤のハンドリング性の向上すなわち粘度上昇の抑制を鑑み、一つに炭素繊維の集合状態に着目し、その集合状態が3次元的にランダムな場合に、熱伝導性シートの熱伝導率が著しく改善されることを見出し、さらに低アスペクト比を有する無機化合物を炭素繊維の交絡によって発生する空隙に充填効率よく埋め込むことで、優れた熱伝導性及びハンドリング性を併せ持った熱伝導性シートを得ることに到達した。
即ち、本発明の目的は、
ピッチ系炭素繊維フィラーと球状もしくはアスペクト比が3以下の無機化合物を含む熱伝導性接着剤であって、該ピッチ系炭素繊維フィラーと該無機化合物を混合した状態のかさ密度が、該ピッチ系炭素繊維フィラーのかさ密度及び含有率、該無機化合物のかさ密度及び含有率から算出される平均かさ密度よりも大きいことを特徴とする熱伝導性接着剤によって達成することができる。
ピッチ系炭素繊維フィラーと球状もしくはアスペクト比が3以下の無機化合物を含む熱伝導性接着剤であって、該ピッチ系炭素繊維フィラーと該無機化合物を混合した状態のかさ密度が、該ピッチ系炭素繊維フィラーのかさ密度及び含有率、該無機化合物のかさ密度及び含有率から算出される平均かさ密度よりも大きいことを特徴とする熱伝導性接着剤によって達成することができる。
更に本発明には、ピッチ系炭素繊維フィラーがメソフェーズピッチを原料とし、ピッチ系炭素繊維フィラーの六角網面の成長方向に由来する結晶子サイズが5nm以上であり、炭素繊維の平均繊維径が5〜20μmであり、炭素繊維の平均繊維長が5〜6000μmであり、平均繊維径に対する繊維径分散の百分率(CV値)が5〜20であることを特徴とする熱伝導性接着剤、球状もしくは板状無機化合物が、シリカ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、炭化ケイ素、およびダイヤモンドからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする熱伝導性接着剤、フィラーとアスペクト比が3以下の無機化合物の含有量が、ピッチ系炭素繊維フィラー100重量部の含有量に対し、1重量部〜200重量部であることを特徴とする熱伝導性接着剤が包含される。
本発明の熱伝導性接着剤は、黒鉛結晶の広がり(六角網面の成長方向に由来する結晶子サイズ)を一定サイズ以上に制御したピッチ系炭素繊維フィラーの三次元的交絡、更に球状もしくは板状無機化合物を、ピッチ系炭素繊維フィラーの三次元的交絡に埋め込むことで、高い熱伝導性を発現させることを可能にせしめている。また、成形時の粘度が大幅に向上せず、ハンドリング性の低下を抑制している。
以下に、本発明の実施の形態について順次説明する。
本発明で用いられるピッチ系炭素繊維の原料としては、例えば、ナフタレンやフェナントレンといった縮合多環炭化水素化合物、石油系ピッチや石炭系ピッチといった縮合複素環化合物等が挙げられる。その中でもナフタレンやフェナントレンといった縮合多環炭化水素化合物が好ましく、特に光学的異方性ピッチ、すなわちメソフェーズピッチが好ましい。メソフェーズピッチは、黒鉛化処理を行った際に黒鉛化度が向上しやすため、炭素繊維の熱伝導性を向上させる上で特に好ましいためである。
本発明で用いられるピッチ系炭素繊維の原料としては、例えば、ナフタレンやフェナントレンといった縮合多環炭化水素化合物、石油系ピッチや石炭系ピッチといった縮合複素環化合物等が挙げられる。その中でもナフタレンやフェナントレンといった縮合多環炭化水素化合物が好ましく、特に光学的異方性ピッチ、すなわちメソフェーズピッチが好ましい。メソフェーズピッチは、黒鉛化処理を行った際に黒鉛化度が向上しやすため、炭素繊維の熱伝導性を向上させる上で特に好ましいためである。
原料ピッチとなる光学異方性ピッチの軟化点はメトラー法により求めることができ、250℃以上350℃以下が好ましい。軟化点が250℃より低いと、不融化の際に繊維同士の融着や大きな熱収縮が発生する。また、350℃より高いとピッチの熱分解が生じ糸状になりにくくなる。
光学異方性ピッチは溶融後、ノズルより吐出しこれを冷却することによる溶融紡糸によって繊維化できる。紡糸方法としては、具体的には口金から吐出したピッチをワインダーで引き取る通常の紡糸法、熱風をアトマイジング源として用いるメルトブロー法、遠心力を利用してピッチを引き取る遠心紡糸法などが挙げられる。中でも、曲率半径の制御、生産性の高さなどの理由からメルトブロー法を用いるのが好ましい。
光学異方性ピッチは溶融紡糸された後、不融化、焼成、必要に応じて粉砕を経て最後に黒鉛化することによってピッチ系炭素繊維フィラーとする。以下、メルトブロー法を例にとって、各工程について説明する。
本発明においては、紡糸時の温度は、光学異方性ピッチの粘度が30〜250ポイズの範囲にある温度であることが望ましい。更に好ましくは50〜200ポイズの範囲にある温度である。紡糸ノズルは、導入角αが10〜55°であり、吐出口長さLと吐出口の径Dの比L/Dが6〜20の範囲にあるノズルが好ましく用いられる。紡糸条件がこの範囲にある時、光学異方性ピッチにかかるせん断力が、芳香環をある程度配列させることできる。紡糸条件がこの条件から外れる時、例えば、粘度がより大きい、もしくは導入角がより小さい、もしくはL/Dがより大きい時などせん断力がより強くかかる条件では、配列が進みすぎて黒鉛化した際に、炭素繊維が割れやすくなる。逆に粘度がより小さい、もしくは導入角がより大きい、もしくはL/Dがより小さいなどせん断力がより小さいなどせん断力が小さくかかる条件では、芳香環があまり配列しないため、黒鉛化処理しても黒鉛化度がそれほど向上せず、高い熱伝導性が得られない。
ノズル孔から出糸されたピッチ繊維は、100〜350℃に加温された毎分100〜10000mの線速度のガスを細化点近傍に吹き付けることによって短繊維化される。吹き付けるガスは空気、窒素、アルゴンを用いることができるが、コストパフォーマンスの点から空気が好ましい。
ピッチ繊維は、金網ベルト上に捕集され連続的なマット状になり、さらにクロスラップされることで3次元ランダムマットとなる。
3次元ランダムマットとは、クロスラップされていることに加え、ピッチ繊維が三次元的に交絡しているマットをいう。この交絡は、ノズルから、金網ベルトに到達する間にチムニと呼ばれる筒において達成される。線状の繊維が立体的に交絡するために、通常一次元的な挙動しか示さない繊維の特性が立体においても反映されるようになる。
3次元ランダムマットとは、クロスラップされていることに加え、ピッチ繊維が三次元的に交絡しているマットをいう。この交絡は、ノズルから、金網ベルトに到達する間にチムニと呼ばれる筒において達成される。線状の繊維が立体的に交絡するために、通常一次元的な挙動しか示さない繊維の特性が立体においても反映されるようになる。
このようにして得られたピッチ繊維よりなる3次元ランダムマットは、公知の方法で不融化する。不融化は、空気、或いはオゾン、二酸化窒素、窒素、酸素、ヨウ素、臭素を空気に添加したガスを用いて200〜350℃で達成される。安全性、利便性を考慮すると空気中で実施することが好ましい。また、不融化したピッチ繊維は、真空中、或いは窒素、アルゴン、クリプトン等の不活性ガス中で600〜1500℃で焼成され、次いで2000〜3500℃で黒鉛化されるが、焼成は常圧で、且つコストの安い窒素中で実施される場合が多く、黒鉛化は使用する炉の形式に応じて、不活性ガスの種類を変更する事が一般的である。不融化後或いは焼成後、必要に応じ得られた繊維を粉砕する。粉砕は公知の方法によって行うことができる。具体的には、カッター、ボールミル、ジェットミル、クラッシャーなどを用いることができる。粉砕された炭素繊維を必要に応じて焼成し、次いで黒鉛化する。黒鉛化温度は、炭素繊維としての熱伝導率を高くするためには、2000〜3500℃にすることが好ましい。より好ましくは2300〜3500℃である。黒鉛化の際に黒鉛性のルツボに入れ処理すると、外部からの物理的、化学的作用を遮断でき好ましい。黒鉛製のルツボは上記の炭素繊維を、所望の量入れることが出来るものであるならば大きさ、形状に制約はないが、黒鉛化処理中または冷却中に炉内の酸化性のガス、または水蒸気との反応による当該炭素繊維の損傷を防ぐために、フタ付きの気密性の高いものが好適に利用できる。
ピッチ系炭素繊維フィラーの平均繊維径は5〜20μmであることが必要である。5μm以下の場合には、原料となるマットの形状が保持できなくなることがあり生産性が悪い。繊維径が20μmを超えると、不融化工程でのムラが大きくなり部分的に融着が起こったりするところが発生する。より好ましくは5〜15μmであり、さらに好ましくは8〜12μmである。
これに対してピッチ系炭素繊維フィラーの平均繊維長は5〜6000μmであることが好ましい。5μmを下回ると繊維としての特徴が失われ、十分な熱伝導度を発揮できない。一方6000mmを超えると繊維の交絡が著しく増大し、樹脂と混合した際に粘度が非常に大きくなりハンドリングが困難になる。より好ましくは10〜3000μm、さらに好ましくは20〜1000mmである。
なお、平均繊維径に対する繊維径分散の百分率として求められるCV値は、5〜20であることが好ましい。CV値が5を下回ることは工程上あり得ない。また、CV値が20を超えると不融化でトラブルを起こす、直径が20μm以上の繊維が増える可能性が高くなり、生産性の観点から好ましくない。
本発明で用いるピッチ系炭素繊維フィラーは、六角網面の成長方向に由来する結晶子サイズが5nm以上であることが必要である。六角網面の成長方向に由来する結晶子サイズは公知の方法によって求めることができ、X線回折法にて得られる炭素結晶の(110)面からの回折線によって求めることができる。結晶子サイズが重要になるのは、熱伝導が主としてフォノンによって担われており、フォノンを発生するのが結晶であることに由来している。より好ましくは、20nm以上であり、さらに好ましくは30nm以上である。
本発明で用いる無機化合物は、球状もしくはアスペクト比が3以下であることが好適である。形状は光学顕微鏡等で測定することができる。繊維状などアスペクト比が3より大きい形状をしていると、ピッチ系炭素繊維フィラーが交絡して形成される空隙に、無機化合物を埋め込むことができず、熱伝導性接着剤の熱伝導性の向上、及び成形性の低下が期待できない。
無機化合物に特に限定はないが、具体的にはシリカ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、炭化ケイ素、ダイヤモンドを使用することができる。
無機化合物の含有量はピッチ系炭素繊維フィラー100重量部の含有量に対し、1〜200重量部であることが好ましい。無機化合物の含有量が1重量部より少ないと、熱伝導性接着剤の熱伝導性が向上しない。逆に、無機化合物の含有量が200重量部より多いと、炭素繊維フィラー同士の交絡によってできる空隙に入る無機化合物の量より、含有量が多くなるため、熱伝導性接着剤の粘度が大幅に向上し、ハンドリング性が低下してしまう。
本発明の熱伝導性接着剤に用いるピッチ系炭素繊維フィラーとアスペクト比が3以下の無機化合物は、ピッチ系炭素繊維フィラーと無機化合物を混合した状態のかさ密度が、ピッチ系炭素繊維フィラーのかさ密度及び含有率、無機化合物のかさ密度及び含有率から算出される平均かさ密度よりも大きいことが必要である。混合した時のかさ密度が算出したかさ密度よりも小さい場合、ピッチ系炭素繊維フィラーの空隙に無機化合物が効率よく埋め込まれていないことを意味し、熱伝導率の向上は期待できない。また、熱伝導性接着剤の粘度が大幅に向上し、成形性が低下する。ここで示すかさ密度は、公知の方法によって測定することができ、ピッチ系炭素繊維フィラーと無機化合物を混合したのかさ密度は、両者を混合して、マトリックスに導入する前の段階で、公知の方法で測定する。
多くの場合、ピッチ系炭素繊維フィラーの繊維長が無機化合物の粒子径より短かく、無機化合物の充填状態から計算できる空隙の大きさよりピッチ系炭素繊維フィラーの繊維長が短い場合、混合した状態のかさ密度が算出したかさ密度より大きくなる。また、無機化合物間の空隙の大きさからピッチ系炭素繊維フィラーの繊維長が離れるほど充填の効果が高くなる。
逆に、ピッチ系炭素繊維フィラーの繊維長が無機化合物の粒子径より長く、ピッチ系炭素繊維フィラーの充填状態から計算できる空隙の大きさより無機化合物の粒子径が小さい場合、混合した状態のかさ密度が算出したかさ密度より大きくなる。また、ピッチ系炭素繊維フィラー間の空隙の大きさから無機化合物の粒子径が離れるほど充填の効果が高くなる。
本発明の熱伝導性接着剤の熱伝導率は公知の方法によって測定することができるが、その中でも、プローブ法、ホットディスク法、レーザーフラッシュ法が好ましく、特にプローブ法が簡易的で好ましい。
一般に炭素繊維そのものの熱伝導度は数百W/(m・K)であるが、成形体にすると、欠陥の発生・空気の混入・予期せぬ空隙の発生により、熱伝導率は急激に低減する。よって、熱伝導性接着剤としての熱伝導率は実質的に3W/(m・K)を超えることが困難であるとされてきた。しかし、本願発明ではピッチ系炭素繊維フィラー及び無機化合物を用いることでこれを解決し、接着剤として3W/(m・K)以上を実現した。より望ましくは、10W/(m・K)以上であり、さらに望ましくは15W/(m・K)以上である。
本発明の熱伝導性接着剤に用いる硬化性樹脂に特に限定は無いが、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂が好適に用いられる。これらは気密性、絶縁性等の特性が備わったものである。これらをマトリクスとすることによって信頼性の高い熱伝導性接着剤が得られる。これらマトリクスは、空気中の水分、熱、紫外線、硬化剤等で硬化させることで接着力を得ることができる。
本発明の熱伝導性接着剤は、上記諸材料を万能混合攪拌機、ニーダー等で混練することによって製造することができる。さらに、各樹脂を溶解できる溶剤で粘度を調整することができる。
混練する前にピッチ系炭素繊維フィラーは、電解酸化などによる酸化処理やカップリング剤やサイジング剤で処理することで、表面を改質させたものを用いることもできる。また、無電解メッキ法、電解メッキ法、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどの物理的蒸着法、化学的蒸着法、塗装、浸漬、微細粒子を機械的に固着させるメカノケミカル法などの方法によって金属やセラミックスを表面に被覆させたものでもよい。
ピッチ系炭素繊維フィラーの含有率は、熱伝導性接着剤100重量部に対し、5〜80重量部である。5重量部未満であると、熱伝導率が低く、いくら薄化しても低熱抵抗化は困難となる。80重量部をこえると、接着剤の流動性が低くなり、薄葉化が困難となる。さらに望ましくは10〜70重量部である。
接着剤の粘度はシェアレート1.7(1/s)の時、5〜150Pa・S(50〜1500poise)であることが望ましい。さらに好ましくは10〜100Pa・S(100〜1000poise)である。5Pa・S(50poise)未満の時は接着剤の流動性が高すぎて、直ぐに流れ出てしまい接着剤として不向きである。150Pa・S(1500poise)を超えると、流動性が低すぎて薄葉化が困難になる。しかし、薄葉化が必要でない場合には、最大で500Pa・Sまで粘度を上げても構わない。ただより好ましくは300Pa・S程度までの増粘に抑制することが望ましい。なお、粘度は公知の方法を用いて測定できるが、具体的にはB型粘度計を用いて測定することができる。
本発明の熱伝導性接着剤の用途は、電子部品の放熱部材、熱伝導性充填剤、温度測定用等の絶縁性充填剤等がある。たとえば、本発明の熱伝導性接着剤は、MPUやパワートランジスタ、トランス等の発熱性電子部品からの熱を放熱フィンや放熱ファン等の放熱部品に伝熱させるために使用され、発熱性電子部品と放熱部品の間に挟み込まれて使用される。これによって、発熱性電子部品と放熱部品間の伝熱が良好となり、長期的に発熱性電子部品の誤作動を軽減させることができる。或いは、ヒートパイプとヒートシンクの接続や、種々の発熱体の入ったモジュールとヒートシンクとの接続に好適に用いることができる。
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。
なお、本実施例における各値は、以下の方法に従って求めた。
(1)ピッチ系炭素繊維フィラーの平均繊維径は、黒鉛化を経たピッチ系炭素繊維フィラーをJIS R7607に準じ、光学顕微鏡下でスケールを用いて60本測定し、その平均値から求めた。
(2)ピッチ系炭素繊維フィラーの平均繊維長は、黒鉛化を経たピッチ系炭素繊維フィラーを抜き取り、光学顕微鏡下で測長器で2000本測定し、その平均値から求めた。
(3)ピッチ系炭素繊維フィラーの結晶子サイズは、X線回折に現れる(110)面からの反射を測定し、学振法にて求めた。
(4)熱伝導性接着剤の熱伝導率は、接着剤をリファレンスプレート上に1mm厚に塗布し、京都電子製QTM−500を用いプローブ法で求めた。
(5)ピッチ系炭素繊維フィラー、無機化合物及びピッチ系炭素繊維フィラーと無機化合物の混合物のかさ密度は、JIS1201−1に従って測定した。
(6)成形前の粘度は、B型粘度計で測定した。
なお、本実施例における各値は、以下の方法に従って求めた。
(1)ピッチ系炭素繊維フィラーの平均繊維径は、黒鉛化を経たピッチ系炭素繊維フィラーをJIS R7607に準じ、光学顕微鏡下でスケールを用いて60本測定し、その平均値から求めた。
(2)ピッチ系炭素繊維フィラーの平均繊維長は、黒鉛化を経たピッチ系炭素繊維フィラーを抜き取り、光学顕微鏡下で測長器で2000本測定し、その平均値から求めた。
(3)ピッチ系炭素繊維フィラーの結晶子サイズは、X線回折に現れる(110)面からの反射を測定し、学振法にて求めた。
(4)熱伝導性接着剤の熱伝導率は、接着剤をリファレンスプレート上に1mm厚に塗布し、京都電子製QTM−500を用いプローブ法で求めた。
(5)ピッチ系炭素繊維フィラー、無機化合物及びピッチ系炭素繊維フィラーと無機化合物の混合物のかさ密度は、JIS1201−1に従って測定した。
(6)成形前の粘度は、B型粘度計で測定した。
[実施例1]
縮合多環炭化水素化合物よりなるピッチを主原料とした。光学的異方性割合は100%、軟化点が283℃であった。直径0.2mmφの孔のキャップを使用し、スリットから加熱空気を毎分5500mの線速度で噴出させて、溶融ピッチを牽引して平均直径14.5μmのピッチ系短繊維を作製した。紡出された繊維をベルト上に捕集してマットとし、さらにクロスラッピングで目付320g/m2のピッチ系短繊維からなる3次元ランダムマットとした。
この3次元ランダムマットを空気中で170℃から285℃まで平均昇温速度2℃/分で昇温して不融化、更に800℃で焼成を行った。この3次元ランダムマットをカッター(ターボ工業製)で800rpmで粉砕し、3000℃で黒鉛化した。
黒鉛化後のピッチ系炭素繊維フィラーの平均繊維径は9.8μm、平均繊維径に対する繊維直径分散の比は12%であった。平均繊維長は300μmであった。六角網面の成長方向に由来する結晶サイズは70nmであった。かさ密度は0.40g/ccであった。
縮合多環炭化水素化合物よりなるピッチを主原料とした。光学的異方性割合は100%、軟化点が283℃であった。直径0.2mmφの孔のキャップを使用し、スリットから加熱空気を毎分5500mの線速度で噴出させて、溶融ピッチを牽引して平均直径14.5μmのピッチ系短繊維を作製した。紡出された繊維をベルト上に捕集してマットとし、さらにクロスラッピングで目付320g/m2のピッチ系短繊維からなる3次元ランダムマットとした。
この3次元ランダムマットを空気中で170℃から285℃まで平均昇温速度2℃/分で昇温して不融化、更に800℃で焼成を行った。この3次元ランダムマットをカッター(ターボ工業製)で800rpmで粉砕し、3000℃で黒鉛化した。
黒鉛化後のピッチ系炭素繊維フィラーの平均繊維径は9.8μm、平均繊維径に対する繊維直径分散の比は12%であった。平均繊維長は300μmであった。六角網面の成長方向に由来する結晶サイズは70nmであった。かさ密度は0.40g/ccであった。
ピッチ系炭素繊維フィラーを30重量部、水酸化アルミニウム(平均粒子径10μm、かさ密度2.35g/cc、マイクロン社製)を10重量部をビニール袋の中で混合した。フィラーの混合物のかさ密度は0.99g/cc(平均値:0.89g/cc)であった。フィラー混合物と二液硬化性アクリル系樹脂(日本触媒社製商品名「アクリセット8087」)60重量部とをプラネタリーミキサーを用いて30分間混合しながら真空脱泡して接着剤を製造した。このときの粘度は、シェアレート1.8(1/s)の時、10.6Pa・sであった。作製した熱伝導性接着剤の熱伝導率を測定したところ、7.1W/(m・K)であった。
[実施例2]
実施例1と同様の手法でピッチ系炭素繊維フィラーを作製した。
ピッチ系炭素繊維フィラーを30重量部、窒化ホウ素(平均粒子径10μm、かさ密度2.03g/cc、GEケミカル社製)を10重量部をビニール袋の中で混合した。フィラーの混合物のかさ密度は0.94g/cc(平均値:0.81g/cc)であった。フィラー混合物と二液硬化性アクリル系樹脂(日本触媒社製商品名「アクリセット8087」)60重量部とをプラネタリーミキサーを用いて30分間混合しながら真空脱泡して接着剤を製造した。このときの粘度は、シェアレート1.8(1/s)の時、11.2Pa・sであった。作成した熱伝導性シートの熱伝導率を測定したところ、8.2W/(m・K)であった。
実施例1と同様の手法でピッチ系炭素繊維フィラーを作製した。
ピッチ系炭素繊維フィラーを30重量部、窒化ホウ素(平均粒子径10μm、かさ密度2.03g/cc、GEケミカル社製)を10重量部をビニール袋の中で混合した。フィラーの混合物のかさ密度は0.94g/cc(平均値:0.81g/cc)であった。フィラー混合物と二液硬化性アクリル系樹脂(日本触媒社製商品名「アクリセット8087」)60重量部とをプラネタリーミキサーを用いて30分間混合しながら真空脱泡して接着剤を製造した。このときの粘度は、シェアレート1.8(1/s)の時、11.2Pa・sであった。作成した熱伝導性シートの熱伝導率を測定したところ、8.2W/(m・K)であった。
[実施例3]
実施例1と同様の手法でピッチ系炭素繊維フィラーを作製した。
ピッチ系炭素繊維フィラーを30重量部、水酸化アルミニウム(粒子径10μm、かさ密度2.35g/cc、マイクロン社製)を10重量部をビニール袋の中で混合した。フィラーの混合物のかさ密度は0.99g/cc(平均値:0.89g/cc)であった。フィラー混合物と、二液硬化性エポキシ系樹脂(ジャパンエポキシレジン社製商品名「エピコート871」)60重量部とをプラネタリーミキサーを用いて30分間混合しながら真空脱泡して接着剤を製造した。なお、硬化の際には硬化剤「エピキュア113」を用いた。このときの粘度は、シェアレート1.8(1/s)の時、12.1Pa・sであった。作製した熱伝導性接着剤の熱伝導率を測定したところ、7.2W/(m・K)であった。
実施例1と同様の手法でピッチ系炭素繊維フィラーを作製した。
ピッチ系炭素繊維フィラーを30重量部、水酸化アルミニウム(粒子径10μm、かさ密度2.35g/cc、マイクロン社製)を10重量部をビニール袋の中で混合した。フィラーの混合物のかさ密度は0.99g/cc(平均値:0.89g/cc)であった。フィラー混合物と、二液硬化性エポキシ系樹脂(ジャパンエポキシレジン社製商品名「エピコート871」)60重量部とをプラネタリーミキサーを用いて30分間混合しながら真空脱泡して接着剤を製造した。なお、硬化の際には硬化剤「エピキュア113」を用いた。このときの粘度は、シェアレート1.8(1/s)の時、12.1Pa・sであった。作製した熱伝導性接着剤の熱伝導率を測定したところ、7.2W/(m・K)であった。
[実施例4]
実施例1と同様の手法でピッチ系炭素繊維フィラーを作製した。
ピッチ系炭素繊維フィラーを30重量部、水酸化アルミニウム(粒子径10μm、かさ密度2.35g/cc、マイクロン社製)を10重量部とをビニール袋の中で混合した。フィラーの混合物のかさ密度は0.99g/cc(平均値:0.89g/cc)であった。フィラー混合物と、二液硬化性シリコーン系樹脂(東レダウシリコーン社製商品名「SD4570」)60重量部とをプラネタリーミキサーを用いて30分間混合しながら真空脱泡して接着剤を製造した。このときの粘度は、シェアレート1.8(1/s)の時、12.9Pa・sであった。作製した熱伝導性接着剤の熱伝導率を測定したところ、7.0W/(m・K)であった。
実施例1と同様の手法でピッチ系炭素繊維フィラーを作製した。
ピッチ系炭素繊維フィラーを30重量部、水酸化アルミニウム(粒子径10μm、かさ密度2.35g/cc、マイクロン社製)を10重量部とをビニール袋の中で混合した。フィラーの混合物のかさ密度は0.99g/cc(平均値:0.89g/cc)であった。フィラー混合物と、二液硬化性シリコーン系樹脂(東レダウシリコーン社製商品名「SD4570」)60重量部とをプラネタリーミキサーを用いて30分間混合しながら真空脱泡して接着剤を製造した。このときの粘度は、シェアレート1.8(1/s)の時、12.9Pa・sであった。作製した熱伝導性接着剤の熱伝導率を測定したところ、7.0W/(m・K)であった。
[実施例5]
縮合多環炭化水素化合物よりなるピッチを主原料とした。光学的異方性割合は100%、軟化点が283℃であった。直径0.2mmφの孔のキャップを使用し、スリットから加熱空気を毎分5500mの線速度で噴出させて、溶融ピッチを牽引して平均直径14.5μmのピッチ系短繊維を作製した。紡出された繊維をベルト上に捕集してマットとし、さらにクロスラッピングで目付320g/m2のピッチ系短繊維からなる3次元ランダムマットとした。
この3次元ランダムマットを空気中で170℃から285℃まで平均昇温速度2℃/分で昇温して不融化、更に800℃で焼成を行った。この3次元ランダムマットをカッター(ターボ工業製)で800rpmで粉砕し、その後ボールミル(レッチェ製)で粉砕し、で3000℃で黒鉛化した。
黒鉛化後のピッチ系炭素繊維フィラーの平均繊維径は9.8μm、平均繊維径に対する繊維直径分散の比は12%であった。平均繊維長は50μmであった。六角網面の成長方向に由来する結晶サイズは65nmであった。かさ密度は1.15g/ccであった。
縮合多環炭化水素化合物よりなるピッチを主原料とした。光学的異方性割合は100%、軟化点が283℃であった。直径0.2mmφの孔のキャップを使用し、スリットから加熱空気を毎分5500mの線速度で噴出させて、溶融ピッチを牽引して平均直径14.5μmのピッチ系短繊維を作製した。紡出された繊維をベルト上に捕集してマットとし、さらにクロスラッピングで目付320g/m2のピッチ系短繊維からなる3次元ランダムマットとした。
この3次元ランダムマットを空気中で170℃から285℃まで平均昇温速度2℃/分で昇温して不融化、更に800℃で焼成を行った。この3次元ランダムマットをカッター(ターボ工業製)で800rpmで粉砕し、その後ボールミル(レッチェ製)で粉砕し、で3000℃で黒鉛化した。
黒鉛化後のピッチ系炭素繊維フィラーの平均繊維径は9.8μm、平均繊維径に対する繊維直径分散の比は12%であった。平均繊維長は50μmであった。六角網面の成長方向に由来する結晶サイズは65nmであった。かさ密度は1.15g/ccであった。
ピッチ系炭素繊維フィラーを30重量部、水酸化アルミニウム(粒子径10μm、かさ密度2.35g/cc、マイクロン社製)を10重量部とをビニール袋の中で混合した。フィラーの混合物のかさ密度は1.61g/cc(平均値:1.45g/cc)であった。フィラー混合物と、二液硬化性アクリル系樹脂(日本触媒社製商品名「アクリセット8087」)60重量部とをプラネタリーミキサーを用いて30分間混合しながら真空脱泡して接着剤を製造した。このときの粘度は、シェアレート1.8(1/s)の時、3.6Pa・sであった。作製した熱伝導性接着剤の熱伝導率を測定したところ、4.1W/(m・K)であった。
[実施例6]
実施例5と同様の手法でピッチ系炭素繊維フィラーを作製した。
ピッチ系炭素繊維フィラーを30重量部、水酸化アルミニウム(粒子径50μm、かさ密度2.15g/cc、マイクロン社製)を10重量部とをビニール袋の中で混合した。フィラーの混合物のかさ密度は1.49g/cc(平均値:1.40g/cc)であった。フィラー混合物と、二液硬化性アクリル系樹脂(日本触媒社製商品名「アクリセット8087」)60重量部とをプラネタリーミキサーを用いて30分間混合しながら真空脱泡して接着剤を製造した。このときの粘度は、シェアレート1.8(1/s)の時、3.8Pa・sであった。作成した熱伝導性接着剤の熱伝導率を測定したところ、4.3W/(m・K)であった。
実施例5と同様の手法でピッチ系炭素繊維フィラーを作製した。
ピッチ系炭素繊維フィラーを30重量部、水酸化アルミニウム(粒子径50μm、かさ密度2.15g/cc、マイクロン社製)を10重量部とをビニール袋の中で混合した。フィラーの混合物のかさ密度は1.49g/cc(平均値:1.40g/cc)であった。フィラー混合物と、二液硬化性アクリル系樹脂(日本触媒社製商品名「アクリセット8087」)60重量部とをプラネタリーミキサーを用いて30分間混合しながら真空脱泡して接着剤を製造した。このときの粘度は、シェアレート1.8(1/s)の時、3.8Pa・sであった。作成した熱伝導性接着剤の熱伝導率を測定したところ、4.3W/(m・K)であった。
[比較例1]
実施例1と同様の手法でピッチ系炭素繊維フィラーを作製した。
ピッチ系炭素繊維フィラーを30重量部、二液硬化性エポキシ系樹脂(ジャパンエポキシレジン社製商品名「エピコート871」)を70重量部とをプラネタリーミキサーを用いて30分間混合しながら真空脱泡して接着剤を製造した。なお、硬化の際には硬化剤「エピキュア113」を用いた。このときの粘度は、シェアレート1.8(1/s)の時、9.9Pa・sであった。作成した熱伝導性接着剤の熱伝導率を測定したところ、3.8W/(m・K)であった。
実施例1と同様の手法でピッチ系炭素繊維フィラーを作製した。
ピッチ系炭素繊維フィラーを30重量部、二液硬化性エポキシ系樹脂(ジャパンエポキシレジン社製商品名「エピコート871」)を70重量部とをプラネタリーミキサーを用いて30分間混合しながら真空脱泡して接着剤を製造した。なお、硬化の際には硬化剤「エピキュア113」を用いた。このときの粘度は、シェアレート1.8(1/s)の時、9.9Pa・sであった。作成した熱伝導性接着剤の熱伝導率を測定したところ、3.8W/(m・K)であった。
[比較例2]
実施例1と同様の手法でピッチ系炭素繊維フィラーを作製した。
ピッチ系炭素繊維フィラーを30重量部、水酸化アルミニウム(粒子径50μm、かさ密度2.15g/cc、マイクロン社製)を10重量部とをビニール袋の中で混合した。フィラーの混合物のかさ密度は0.71g/cc(平均値:0.84g/cc)であった。フィラー混合物と二液硬化性エポキシ系樹脂(ジャパンエポキシレジン社製商品名「エピコート871」)を60重量部とをプラネタリーミキサーを用いて30分間混合しながら真空脱泡して接着剤を製造した。なお、硬化の際には硬化剤「エピキュア113」を用いた。このときの粘度は、シェアレート1.8(1/s)の時、18.4Pa・sであり、粘度が非常に高くなった。作成した熱伝導性接着剤の熱伝導率を測定したところ、4.9W/(m・K)であった。
実施例1と同様の手法でピッチ系炭素繊維フィラーを作製した。
ピッチ系炭素繊維フィラーを30重量部、水酸化アルミニウム(粒子径50μm、かさ密度2.15g/cc、マイクロン社製)を10重量部とをビニール袋の中で混合した。フィラーの混合物のかさ密度は0.71g/cc(平均値:0.84g/cc)であった。フィラー混合物と二液硬化性エポキシ系樹脂(ジャパンエポキシレジン社製商品名「エピコート871」)を60重量部とをプラネタリーミキサーを用いて30分間混合しながら真空脱泡して接着剤を製造した。なお、硬化の際には硬化剤「エピキュア113」を用いた。このときの粘度は、シェアレート1.8(1/s)の時、18.4Pa・sであり、粘度が非常に高くなった。作成した熱伝導性接着剤の熱伝導率を測定したところ、4.9W/(m・K)であった。
本発明の熱伝導性接着剤は、ピッチ系炭素繊維フィラーとアスペクト比が低い無機化合物を混合し、ピッチ系炭素繊維フィラーが交絡してできた空隙に無機化合物を埋め込むことで、高い熱伝導性を発現することを可能にせしめている。また、粘度を向上させることも無く、ハンドリング性を維持できる。これにより、高い放熱特性が要求される場所に用いることが可能になり、サーマルマネージメントを確実なものとする。
Claims (4)
- ピッチ系炭素繊維フィラーと球状もしくはアスペクト比が3以下の無機化合物とを含む熱伝導性接着剤であって、該ピッチ系炭素繊維フィラーと該無機化合物を混合した状態のかさ密度が、該ピッチ系炭素繊維フィラーのかさ密度及び含有率、該無機化合物のかさ密度及び含有率から算出される平均かさ密度よりも大きいことを特徴とする熱伝導性接着剤。
- ピッチ系炭素繊維フィラーがメソフェーズピッチを原料とし、ピッチ系炭素繊維フィラーの六角網面の成長方向に由来する結晶子サイズが5nm以上であり、炭素繊維の平均繊維径が5〜20μmであり、炭素繊維の平均繊維長が5〜6000μmであり、平均繊維径に対する繊維径分散の百分率(CV値)が5〜20であることを特徴とする請求項1記載の熱伝導性接着剤。
- 球状もしくはアスペクト比が3以下の無機化合物が、シリカ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、炭化ケイ素、およびダイヤモンドからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜2に記載の熱伝導性接着剤。
- ピッチ系炭素繊維フィラーの含有量100重量部に対し、球状もしくはアスペクト比が3以下の無機化合物の含有量が1重量部〜200重量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱伝導性接着剤。
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JP2007147881A JP2008297514A (ja) | 2007-06-04 | 2007-06-04 | 熱伝導性接着剤 |
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JP2007147881A JP2008297514A (ja) | 2007-06-04 | 2007-06-04 | 熱伝導性接着剤 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009084510A (ja) * | 2007-10-02 | 2009-04-23 | Sekisui Chem Co Ltd | 接着剤 |
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-
2007
- 2007-06-04 JP JP2007147881A patent/JP2008297514A/ja not_active Withdrawn
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