JP2011120983A - 液体の処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】粒子の粒径や成分の分子量を従来よりも微細化・均一化することができる液体の処理方法を提供しようとするもの。
【解決手段】粒径の異なる粒子が混在する液体を電気分解する電解工程を有し、前記粒子が分解していき所望の略均一化した粒径に収束するように電解条件を制御するようにした。また、分子量の異なる成分が混在する液体を電気分解する電解工程を有し、前記成分が分解していき所望の略均一化した分子量に収束するように電解条件を制御するようにした。
【選択図】なし
Description
すなわち、近年、地球環境の汚染問題が深刻化し、国際的に有機溶剤の排出規制が強化されつつあり、そのような背景の中で、水を媒体にした水性塗料が脚光を浴びており、なかでも工業塗装、とりわけ自動車塗装におけるメタリックベースコートの水性化は、有機溶剤の削減効果が高いだけでなく、仕上がり外観およびコストパフォーマンスの上でも有利とみなされ、これまでいくつかの水性ベースコートが開発されているところ、こうしたベースコートの水性化の技術動向を追跡してみると、基体樹脂として水分散型の樹脂が採用される傾向にあり、これは、水分散型の水性塗料が水性ベースコートに要求されるレオロジー特性を付与しやすいという利点を有しているからであり、水分散型の水性塗料は、基体樹脂が水中で粒子として存在していることに特徴がある、ということなどが記載されている。
ところで、より微細で均一な粒子を得ることができるとこれまでよりもきめが細かく膜厚が薄いペンキを得ることなどが期待できるので、粒子の粒径や成分の分子量をより微細化・均一化したい。
(1)この発明の液体の処理方法は、粒径の異なる粒子が混在する液体を電気分解する電解工程を有し、前記粒子が分解していき所望の略均一化した粒径に収束するように電解条件を制御するようにしたことを特徴とする。
ここで、前記液体として排水や、ペンキの水性原料、セラミックの水性原料、インスタント・コーヒーその他食品材料の水性原料(例えば焙煎したコーヒー豆の粉砕物からの抽出成分)などを例示することができる。前記粒子として排水の汚れ成分、ペンキの原料成分、セラミックの原料成分、インスタント・コーヒーその他食品材料の原料成分、その他液中に混在乃至溶解しているが乾燥すると粉体粒子の状態となるような粒子を例示することができる。液体に混在するものとして、有機物の場合と無機物の場合とを例示することができる。
前記液体を電気分解するために必要であれば電解質を含有させて導電性を付与する。前記電解質として食塩や次亜塩素酸ナトリウムなどを例示することができる。過酸化水素水を含有させて電気分解するようにしてもよい。
前記電解条件として、電気分解の時間的長さ(電解工程の終点)、流す電流値(電解強度)、液体の電気伝導度(電解効率)、印加する電圧値などを例示することができ、これらを制御することにより粒径を小径に制御する。これら電解条件は、事前の予備テストによって把握しておくことができる。
ところで、ペンキの樹脂の粒子の粒径は現在最小で30μm〜60μm程度と言われているが、この発明によって粒径を1μm程度まで微少化すると、塗装後の塗膜を薄くすることができ、乾燥が速いものとなり、薄膜に起因して被塗装物の収縮に追従し易くなり、ピンホールが発生し難くなって1回塗りでも充分となることが可能となる。
ここで、前記液体として土壌の汚染重油などの有機成分が混在する水や、有機溶剤に汚染された液晶製造工場、化学品製造工場、薬品製造工場などの排水を例示することができる。
前記液体が排水の場合、有機溶剤などの成分が二酸化炭素や窒素ガスの状態まで至るように電解条件を制御することができる。
このように構成すると、乾燥後の粒子又は成分が固体の状態になる性状の場合、粒径又は分子量が略一定に制御された粉体粒子を水分から分離された状態で得ることができる。また、乾燥後に粒子又は成分が液体の状態になる性状の場合、粒径又は分子量が略一定に制御された液状成分を水分から分離された状態で得ることができる。
電解工程が進行するにつれて粒径や成分が揃って小さめに略均一化してくるので、粒子の粒径や成分の分子量を従来よりも微細化・均一化することができる液体の処理方法を提供することができる。
(実施形態1)
この実施形態の液体の処理方法は、粒径の異なる「粒子」が混在(分散)する液体を電気分解する電解工程(電解機構)を有し、前記粒子が分解していき所望の略均一化した粒径に収束するように電解条件を制御するようにしている。
また、前記電解工程の終了後の液体を噴霧して粒子を水分から分離する分離工程(分離機構)を有するようにしている。ここで、前記分離工程では噴霧した液体にエアを吹き付けて液滴の粒径を微細化するようにしている。
前記液体として梅調味廃液、排水、ペンキの水性原料、セラミックの水性原料、インスタント・コーヒーその他食品材料の水性原料(例えば焙煎したコーヒー豆の粉砕物からの抽出成分)などを例示することができる。前記粒子として梅調味廃液中の食塩や醤油・蜂蜜・カツオ節などの旨み成分、排水の汚れ成分、ペンキの原料成分、セラミックの原料成分、インスタント・コーヒーその他食品材料の原料成分、コロイド、液中に溶解しているが乾燥すると粉体粒子の状態となるような粒子を例示することができる。液体に混在(分散)するものとして、有機物の場合と無機物の場合とを例示することができる。
前記電解条件として、電気分解の時間的長さ(電解工程の終点)、流す電流値A(電解強度)、液体の電気伝導度(電解効率)、印加する電圧値Vなどを例示することができ、これらを制御することにより粒径を小径に制御する。電解条件は、事前の予備テストによって把握しておくことができる。
ここで、水に対して難溶解性の有機化合物(例えばベンゼンやトルエン等)の成分が含有される場合、液体と前記成分相互間の相溶性を向上させるために両親媒性溶媒であるDMSO、DMAc、エタノール、IPAなどを液体に溶解させるとよい。
この液体の処理方法は上記構成を有するものであり、液中に当初は粒径の異なる粒子が混在しているが、電解工程において、粒径が大きめの粒子は電気分解によって生成する次亜塩素酸や・OHラジカルなどが攻撃・浸透するエリアが広いことに起因して選択的に攻撃され、粒径が小さめの粒子よりも分解が先行することとなる。すると、電解工程が進行するにつれて粒径は揃って小さめに略均一化してくることとなり、粒子の粒径を従来よりも微細化・均一化することができると共に、前記電解条件を制御することによって所望の粒径に調整することができる。
ここで、ペンキの樹脂の粒子の粒径は現在最小で30μm〜60μm程度と言われているが、粒径を1μm程度まで微少化すると、塗装後の塗膜を薄くすることができ乾燥が速いものとなり、薄膜に起因して被塗装物の収縮に追従し易くなり、ピンホールが発生し難くなって1回塗りでも充分となることが可能となる。
ここで、処理する液体が梅調味廃液の場合、CODが20万ppm以上存することがあり排水としては処理が非常に困難な部類に入るものであるが(生物処理では事実上処理不能である)、この廃液を既述のようにして処理することにより、醤油・蜂蜜・カツオ節のエキス分を粉体粒子として回収して再利用することができる。
次に、実施形態2を前記実施形態1との相違点を中心として説明する。
この実施形態の液体の処理方法は、分子量の異なる「成分」が混在する液体を電気分解する電解工程を有し、前記成分が分解していき所望の略均一化した分子量に収束するように電解条件を制御するようにしている。
前記液体として土壌の汚染重油などの有機成分が混在する水や、有機溶剤に汚染された液晶製造工場・化学品製造工場・薬品製造工場などの排水を例示することができる。
この液体の処理方法は上記構成を有するものであり、液中には当初は分子量の異なる成分が混在しているが、電解工程において、分子量が大きめの成分は次亜塩素酸や・OHラジカルなどが攻撃・浸透するエリアが広いことに起因して分子量が小さめの成分よりも分解が先行することとなる。すると、電解工程が進行するにつれて分子量は揃って小さめに略均一化してくることとなり、成分の分子量を従来よりも微細化・均一化することができると共に、前記電解条件を制御することによって所望の小さな分子量に調整することができる。電解条件は、事前の予備テストによって把握しておくことができる。
次いで、前記電解工程の終了後の液体を噴霧して成分を水分から分離する分離工程を有するようにしており、乾燥後に成分が固体の状態になる性状の場合、分子量が略一定に制御された固体成分を水分から分離された状態で得ることができる。さらに、乾燥後に成分が液体の状態になる性状の場合、分子量が略一定に制御された液状成分を水分から分離された状態で得ることができる。
前記分離工程では噴霧した液体にエアを吹き付けて液滴の粒径を微細化するようにしており、微細化した液滴からより微細で分子量が小さい成分を得ることができる。
ところで、この分離工程において得られた成分を加熱して炭化することもできる。また、分離工程自体で加熱するようにすることもできる。これにより成分が炭化してなる炭素の微細なパウダーなどを得ることができる。この炭素パウダーは燃料としてリサイクルすることができる。排水・廃水からこのようにして炭素パウダーを得ることにより、産廃とすることなく有用物として再利用することができる。
粒子の粒径や成分の分子量を従来よりも微細化・均一化することができるので、種々の液体の処理方法に適用することができる。
Claims (4)
- 粒径の異なる粒子が混在する液体を電気分解する電解工程を有し、前記粒子が分解していき所望の略均一化した粒径に収束するように電解条件を制御するようにしたことを特徴とする液体の処理方法。
- 分子量の異なる成分が混在する液体を電気分解する電解工程を有し、前記成分が分解していき所望の略均一化した分子量に収束するように電解条件を制御するようにしたことを特徴とする液体の処理方法。
- 前記電解工程の終了後の液体を噴霧して粒子又は成分を水分から分離する分離工程を有するようにした請求項1又は2記載の液体の処理方法。
- 前記分離工程では噴霧した液体にエアを吹き付けて液滴の粒径を微細化するようにした請求項3記載の液体の処理方法。
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