JP2011119474A - 放熱部付き二色成形品及び発熱体付き機器 - Google Patents

放熱部付き二色成形品及び発熱体付き機器 Download PDF

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Abstract

【課題】発熱部を有する電子機器等の放熱部材として好適に用いることができる合成樹脂製の放熱部付き二色成形品と、この放熱部付き二色成形品を備える発熱体付き機器を提供する。
【解決手段】合成樹脂製の本体部41と、本体部41の外面の少なくとも一部に設けられた、本体部41よりも高熱伝導性の合成樹脂よりなる放熱部42とを備え、本体部41と放熱部42とが二色成形により一体成形されている放熱部付き二色成形品40。ケース50と、ケース50内に設置された発熱体57と、発熱体57に対峙する対峙体とを備えた発熱体付き機器において、対峙体がこの放熱部付き二色成形体40よりなり、放熱部付き二色成形体40の放熱部42が発熱体57と直接に又は伝熱材を介して当接している発熱体付き機器。
【選択図】図4

Description

本発明は放熱部付き二色成形品及び発熱体付き機器に係り、特に、電子機器のCPU等の発熱を効率的に放熱させて局部過熱を防止するための放熱部材として好適に用いられる放熱部付き二色成形品と、この放熱部付き二色成形品を備える発熱体付き機器に関する。
近年、OA機器、電子機器の小型軽量化や高精度化といったハードの進歩や、インターネットの普及、IT革命の進行が急速であり、これに伴い、これらのOA機器、電子機器を持ち歩く、いわゆる携帯端末(モバイル)の普及がめざましい。該携帯端末の代表例としては、ノート型パソコン、電子手帳、携帯電話、PDA等が挙げられるが、今後ますます多様化、多機能化、高性能化が予想される。
これら携帯端末に限らず、電気・電子・OA機器部品、機械部品、車輛用部品の分野においては、殆どの機器がCPU等の発熱する部品を搭載しているが、近年、装置・部品の高性能化に伴い消費電力量が増え、部品からの発熱量が増大する傾向にあるため、局部的な高温が誤動作等のトラブルを引き起こす原因となることが懸念されている。
従来、これらの機器の局部的な過熱を防止するために、アルミニウム、銅等の熱伝導性に優れた金属よりなる放熱板が用いられている。即ち、放熱板の一端を発熱部に直接又は伝熱材を介して当接し、発熱部からこの当接部に伝わった熱を放熱板の他端側へ放熱させることで、全体的な温度を平準化させ、これにより、発熱部の局部過熱を防止する(例えば特許文献1,2)。
一般に、電気・電子・OA機器部品、機械部品、車輌用部品等の筺体は、熱可塑性樹脂で構成されており、従って、従来においては、筺体の製造工程とは別工程で製造された金属製の放熱板を、部品の組み立て時に熱可塑性樹脂製の筺体内に取り付けることにより、或いは、金属製の放熱板を予め熱可塑性樹脂製の基板等に取り付けて組み立てに用いることにより、放熱板の配材が行われている。
特開2002−184920号公報 特開2001−166851号公報
しかしながら、金属材料よりなる放熱板では、次のような問題がある。
(1) 樹脂に比べて重量が重いため、機器の重量を増加させる要因となる。
(2) 筺体製造工程とは別工程で別途放熱板を製造し、製造された放熱板を機器の組み立て時に或いは更に別工程で基板等に取り付ける必要があり、機器の製造工程、組立作業工程を増加させる要因となる。
予め製造された金属製の放熱板を、成形型内に配置して、筺体又は基板の成形時に筺体又は基板と共に放熱板を一体成形にて取り付けることも考えられるが、この場合であっても、別途、放熱板を製造することが必要であり、また、金属と樹脂との一体成形では、材質や熱膨張係数の差異などにより、両者の密着性に問題が生じることもある。
本発明は上記従来の問題点を解決し、発熱部を有する電子機器等の放熱部材として好適に用いることができる合成樹脂製の放熱部付き二色成形品と、この放熱部付き二色成形品を備える発熱体付き機器を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、高熱伝導性の合成樹脂よりなる放熱部を、合成樹脂製の本体部と二色成形により一体成形した放熱部付き二色成形品であれば、上記課題を解決することができることを見出した。
本発明はこのような知見に基いて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1] 合成樹脂製の本体部と、該本体部の外面の少なくとも一部に設けられた、該本体部よりも高熱伝導性の合成樹脂よりなる放熱部とを備え、該本体部と放熱部とが二色成形により一体成形されていることを特徴とする放熱部付き二色成形品。
[2] [1]において、前記本体部及び放熱部は板状であり、該板状放熱部は板状本体部の一方の板面に設けられていることを特徴とする放熱部付き二色成形品。
[3] [2]において、前記板状放熱部は前記板状本体部の板面から突出していることを特徴とする放熱部付き二色成形品。
[4] [2]において、前記板状放熱部は前記板状本体部の板面から非突出となっていることを特徴とする放熱部付き二色成形品。
[5] [1]ないし[4]のいずれかにおいて、前記本体部は、ポリカーボネート樹脂又はポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂との複合樹脂組成物よりなるポリカーボネート系樹脂組成物よりなり、前記放熱部は、高熱伝導性充填材を配合したポリカーボネート系樹脂組成物よりなることを特徴とする放熱部付き二色成形品。
[6] [1]ないし[5]のいずれかにおいて、ケースと、該ケース内に設置された発熱体とを備えた発熱体付き機器の該発熱体に、前記放熱部が直接に又は伝熱材を介して当接するように用いられることを特徴とする放熱部付き二色成形品。
[7] [6]において、前記ケース又は該ケースの蓋の少なくとも一部を構成するように用いられることを特徴とする放熱部付き二色成形品。
[8] [6]又は[7]において、前記ケース内には、発熱体が配置された第1の領域と、発熱体が配置されていないか又は該発熱体よりも発熱量が少ない低発熱体が設置された第2の領域とが存在しており、該放熱部付き二色成形品は、前記放熱部は、該第1の領域から第2の領域まで連続して延在するように用いられることを特徴とする放熱部付き二色成形品。
[9] [6]ないし[8]のいずれかにおいて、前記発熱体付き機器は電子機器であり、前記発熱体はCPUであることを特徴とする放熱部付き二色成形品。
[10] ケースと、該ケース内に設置された発熱体と、該発熱体に対峙する対峙体と
を備えた発熱体付き機器において、該対峙体が[1]ないし[9]のいずれかの放熱部付き二色成形品よりなり、該放熱部付き二色成形品の前記放熱部が該発熱体と直接に又は伝熱材を介して当接していることを特徴とする発熱体付き機器。
[11] [10]において、前記放熱部付き二色成形品は前記ケース又は該ケースの蓋の少なくとも一部を構成していることを特徴とする発熱体付き機器。
[12] [10]又は[11]において、前記ケース内に、発熱体が配置された第1の領域と、発熱体が配置されていないか又は該発熱体よりも発熱量が少ない低発熱体が設置された第2の領域とが存在しており、前記放熱部は、該第1の領域から第2の領域まで連続して延在していることを特徴とする発熱体付き機器。
[13] [10]ないし[12]のいずれかにおいて、前記発熱体付き機器は電子機器であり、前記発熱体はCPUであることを特徴とする発熱体付き機器。
本発明の放熱部付き二色成形品は、合成樹脂製の本体部と、該本体部の外面の少なくとも一部に設けられた、該本体部よりも高熱伝導性の合成樹脂よりなる放熱部とを二色成形により一体成形してなるものであるため、高熱伝導性の合成樹脂よりなる放熱部を電子機器等の発熱部に直接又は伝熱材を介して当接させて用いることにより、発熱部からの発熱を効率的に放熱させて局部過熱を防止することができる(請求項1)。
一般に、熱伝導性を高めた樹脂成形品は、樹脂への高熱伝導性充填材の配合により、これらの充填材を含まない樹脂成形品よりも、機械的強度等の物性が低下する傾向にあるが、本発明の放熱部付き二色成形品では、この放熱部の支持部材として合成樹脂製の本体部を有するため、放熱部をこの本体部で効果的に補強することができる。
本発明の放熱部付き二色成形品は、その全体が合成樹脂製であるため軽量であり、電子機器等の重量増加を抑制することができ、また二色成形により一体成形されているため、一回の成形工程で製造することが可能で生産性に優れる。また、本体部と放熱部の材質や熱膨張係数の調整も容易であることから、本体部と放熱部との密着性に優れた成形品とすることができる。
本発明の放熱部付き二色成形品は、特に本体部及び放熱部が板状であり、板状放熱部が板状本体部の一方の板面に設けられていることが好ましく(請求項2)、この場合において、板状放熱部は板状本体部の板面から突出していてもよく(請求項3)、非突出となっていてもよい(請求項4)。
また、本発明に係る本体部は、ポリカーボネート樹脂組成物又はポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂とのポリカーボネート系複合樹脂組成物よりなり、放熱部は、高熱伝導性充填材を配合したポリカーボネート樹脂組成物よりなることが好ましく、この場合には、本体部と放熱部を共にポリカーボネート樹脂系材料で構成することにより、両者の密着性を高めることができ、また、ポリカーボネート樹脂或いはポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂との複合樹脂は、耐衝撃性、耐熱性、耐候性、電気的特性等の諸特性に優れていることから、筺体の構成部材として用いる場合にも好適である(請求項5)。
本発明の放熱部付き二色成形品は、例えば、ケースと、ケース内に設置された発熱体とを備えた発熱体付き機器において、放熱部が発熱体と直接に又は伝熱材を介して当接するように用いられる(請求項6)。
また、本発明の発熱体付き機器は、ケースと、ケース内に設置された発熱体と、発熱体に対峙する対峙体とを備えた発熱体付き機器において、この対峙体として本発明の放熱部付き二色成形品を、その放熱部が発熱体と直接に又は伝熱材を介して当接しているように設けたものであって、発熱部からの発熱を、本発明の放熱部付き二色成形品の放熱部を経て放熱させることにより、局部過熱を有効に防止する(請求項10)。
この場合において、本発明の放熱部付き二色成形品はケース又は該ケースの蓋の少なくとも一部を構成していることが好ましい(請求項7,11)。
また、ケース内に、発熱体が配置された第1の領域と、発熱体が配置されていないか又は前記発熱体よりも発熱量が少ない低発熱体が設置された第2の領域とが存在している場合において、本発明の放熱部付き二色成形品の放熱部は、発熱部を備える高温の第1の領域から低温の第2の領域まで連続して延在するように設けられることが好ましい(請求項8,12)。
この発熱体付き機器としては、代表的には電子機器が挙げられ、本発明によれば、発熱体としてのCPUからの発熱を効果的に放熱させることができる(請求項9,13)。
本発明の放熱部付き二色成形品の実施の形態を示す図であって、(a)図は斜視図、(b)図は(a)図のB−B線に沿う断面図である。 本発明の放熱部付き二色成形品の他の実施の形態を示す図であって、(a)図は斜視図、(b)図は(a)図のB−B線に沿う断面図である。 本発明の放熱部付き二色成形品の放熱板の形状の具体例を示す平面図である。 本発明の放熱部付き二色成形品を備える本発明の発熱体付き機器の実施の形態を示す斜視図である。 実験例1〜3における放熱性の評価に用いた放熱板の形状及び寸法を示す平面図である。 実験例1〜3の結果を示すグラフである。 実施例1及び比較例1,2における放熱性の評価に用いた放熱板及び支持板の形状及び寸法を示す平面図である。 実施例1及び比較例1,2の結果を示すグラフである。
以下に本発明の放熱部付き二色成形品及び発熱体付き機器の実施の形態を詳細に説明する。
本発明に係る二色成形とは、色あるいは種類や材質の異なる2種類の成形材料をそれぞれの異なる射出機構から順次又は同時に金型内に充填し、複数の成形材料が組み合わされた成形品を製造する成形方法である。
以下においては、本発明の放熱部付き二色成形品として、平板状の放熱部(以下「放熱板」と称す場合がある。)と平板状の本体部(以下「支持板」と称す場合がある。)とを二色成形により一体成形してなるもの(以下、このような本発明の放熱部付き二色成形品を「放熱板付き二色成形品」と称す場合がある。)を例示して説明するが、本発明に係る放熱部及び本体部は平板状に限らず、一部又は全体に曲面が形成された曲板状であっても良く、また、板状に限らず一部又は全体が塊状であってもよい。
本発明の放熱部付き二色成形品にあっては、放熱部の少なくとも一部で発熱体からの発熱を受熱して、これを放熱部の他の部分へ伝熱させて放熱させることができ、かつ、この放熱部を本体部で支持することができるような構造であればよい。
[放熱部付き二色成形品]
まず、図1〜3を参照して本発明の放熱板付き二色成形品の実施の形態を詳細に説明する。
図1,2は、本発明の放熱板付き二色成形品の実施の形態を示す図であって、それぞれ(a)図は斜視図、(b)図は(a)図のB−B線に沿う断面図である。(b)図は、(a)図における支持板を下にして示してある。
図3は、本発明の放熱板付き二色成形品の放熱板の形状の具体例を示す平面図である。
図1,2に示す放熱板付き二色成形品1,4は、それぞれ支持板2,5と放熱板3,6とが二色成形により一体成形されてなるものである。図1に示す放熱板付き二色成形品1では、平板状の放熱板3が平板状の支持板2上に積層された形で一体成形されている。また、図2に示す放熱板付き二色成形品4では、平板状の放熱板6が、板面に放熱板6と同形状の凹部を有する平板状の支持板5に埋め込まれ、放熱板6と支持板5が面一となり、放熱板6と支持板5とで平板状となるように一体成形されている。なお、放熱板は、その一部のみが支持板に埋め込まれた形で一体成形されていてもよい。
放熱板3,6はいずれも幅狭部(小面積部)3a,6aと、幅広部(大面積部)3b,6bとを有し、幅狭部(以下「受熱部」と称す場合がある。)3a,6aで発熱体からの発熱を受熱し、この熱を幅広部(以下「放熱部」と称す場合がある。)3b,6bに伝熱することにより放熱する構造となっている。
本発明において、放熱板の形状には特に制限はなく、比較的小面積の受熱部で発熱体からの熱を受熱し、この熱を比較的大面積の放熱部へ伝熱して放熱することができる構成であればよく、この放熱板付き二色成形品を適用する発熱体付き機器の発熱体設置領域(後述の第1の領域)と放熱可能領域(後述の第2の領域)の構成に応じて適宜設計される。
例えば、放熱板の形状としては、図3(a)〜(f)に示すようものが挙げられる。図3(a)の放熱板7は、受熱部である幅狭部(小面積部)7aが放熱部である幅広部(大面積部)7bの長手方向の一端であって短手方向の端部に設けられたものである。
図3(b)の放熱板8は、受熱部である幅狭部(小面積部)8aが放熱部である幅広部8bの長手方向の一端であって短手方向の中央部分に設けられたものである。
図3(c),(d)の放熱板9,10は、受熱部である幅狭部(小面積部)9a,10aに対して、放熱部である幅広部(大面積部)9b,10bがそれぞれ2つ設けられたものである。
図3(e)の放熱板11は、受熱部である幅狭部(小面積部)11aと放熱部である幅広部(大面積部)11bとを更に伝熱部11cで連結したものであり、図3(f)の放熱板12は、1つの受熱部12aに対して2つの放熱部12bを2つの伝熱部12cで連結したものである。
いずれの放熱板であっても、受熱部において、発熱体(図3(a)〜(f)において、Xは発熱体当接部を示す。)から受熱した熱を、図3(a)〜(f)の矢印で示すように、放熱部へ伝熱して効率的に放熱することができる。
一方、本発明において、支持板の形状についても特に制限はなく、図1,2に示すような長方形の平面視形状のものの他、放熱板付き二色成形品を適用する発熱体付き機器に応じて、切欠部を有する異形形状等、様々な形状をとり得る。
また、放熱板は、必ずしもその全面が支持板に裏打ちされている構造である必要はなく、取り扱い上、機械的強度を確保することができるのであれば、その一部が支持板から突出した構造であってもよい。
また、1枚の支持板に対して、放熱板が1ヶ所に設けられているものに限らず、2ヶ所以上に放熱板が設けられていてもよい。
また、本発明の放熱板付き二色成形品の支持板及び放熱板の大きさについても特に制限はなく、これを適用する発熱体付き機器に応じて適宜決定される。厚さについても、適用対象機器に応じて適宜決定される。
放熱板の寸法、厚さが大きい程、放熱性能は向上するが、反面、適用対象機器の小型化、軽量化を阻む原因となる。
支持板についても同様に寸法、厚さが大きい程、機械的強度が増すが、反面、適用対象機器の小型化、軽量化を阻む原因となる。
ノートパソコン等の電子機器を例示した場合、放熱板付き二色成形品の放熱板の厚さについては0.2〜2mm程度、支持板の厚さについては0.5〜2mm程度とすることが好ましい。
本発明において、支持板(本体部)及び放熱板(放熱部)を構成する合成樹脂には特に制限はないが、支持板はポリカーボネート樹脂組成物又はポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂との複合樹脂組成物よりなり、放熱板は、高熱伝導性充填材を配合したポリカーボネート樹脂組成物よりなることが好ましく、この場合には、支持板と放熱板を共にポリカーボネート樹脂系材料で構成することにより、両者の密着性を高めることができ、また、ポリカーボネート樹脂或いはポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂との複合樹脂は、耐衝撃性、耐熱性、耐候性、電気的特性等の諸特性に優れていることから、各種の発熱体付き機器の構成部材として用いる場合にも好適である。
支持板及び放熱板に用いられるポリカーボネート樹脂としては、芳香族ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリカーボネート樹脂、芳香族−脂肪族ポリカーボネート樹脂を用いることができるが、中でも芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。該芳香族ポリカーボネート樹脂は、芳香族ジヒドロキシ化合物をホスゲン又は炭酸のジエステルと反応させることによって得られる熱可塑性芳香族ポリカーボネート重合体又は共重合体である。
該芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−P−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4−ジヒドロキシビフェニルなどが挙げられ、好ましくはビスフェノールAが挙げられる。さらに、難燃性をさらに高める目的で上記の芳香族ジヒドロキシ化合物にスルホン酸テトラアルキルホスホニウムが1個以上結合した化合物や、シロキサン構造を有する両末端フェノール性OH基含有のポリマーあるいはオリゴマーを使用することができる。
本発明で用いる芳香族ポリカーボネート樹脂としては、好ましくは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されるポリカーボネート樹脂、又は2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とから誘導されるポリカーボネート共重合体が挙げられる。さらに2種以上のポリカーボネート樹脂を併用してもよい。
該ポリカーボネート樹脂の分子量は、溶媒としてメチレンクロライドを用い、温度25℃で測定された溶液粘度より換算した粘度平均分子量で、14,000〜30,000の範囲であり、好ましくは15,000〜28,000、より好ましくは16,000〜26,000である。粘度平均分子量が14,000未満では機械的強度が不足し、30,000を越えると成形性に難を生じやすく好ましくない。
このような芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法については、限定されるものでは無く、ホスゲン法(界面重合法)あるいは、溶融法(エステル交換法)等で製造することができる。さらに、溶融法で製造された、末端基のOH基量を調整した芳香族ポリカーボネート樹脂を使用することができる。
芳香族ポリカーボネート樹脂としては、バージン原料だけでなく、使用済みの製品から再生された芳香族ポリカーボネート樹脂、いわゆるマテリアルリサイクルされた芳香族ポリカーボネート樹脂の使用も可能である。使用済みの製品としては、光学ディスクなどの光記録媒体、導光板、自動車窓ガラスや自動車ヘッドランプレンズ、風防などの車両透明部材、水ボトルなどの容器、メガネレンズ、防音壁やガラス窓、波板などの建築部材などが好ましく挙げられる。また、再生芳香族ポリカーボネート樹脂としては、製品の不適合品、スプルー、又はランナーなどから得られた粉砕品又はそれらを溶融して得たペレットなども使用可能である。
支持板を構成するポリカーボネート樹脂/スチレン系樹脂複合樹脂組成物に用いられるスチレン系樹脂としては、アクリロニトリルースチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体等が例示できる。これらスチレン系樹脂の重合方法として塊状重合法や乳化重合法が例示できるが、塊状重合法により重合された樹脂が望ましい。
スチレン系樹脂としては、バージン原料だけでなく、使用済みの製品から再生されたスチレン系樹脂、いわゆるマテリアルリサイクルされたスチレン系樹脂の使用も可能である。使用済みの製品としては、ハウジング等が主として挙げられる。また再生スチレン系樹脂としては、製品の不適合品、スプルー、ランナー等から得られた粉砕品又はそれらを溶融して得たペレット等も使用可能である。
支持板を構成するポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂と複合樹脂組成物は、スチレン系樹脂の割合は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対し、100質量部以下、例えば3〜50質量部、さらには10〜30質量部のポリカーボネート系複合樹脂組成物であることが好ましい。ポリカーボネート樹脂にスチレン系樹脂を配合することにより、機械的強度や流動性の向上を図ることができるが、その配合量が過度に多いと荷重撓み温度の低下が大きくなる。
一方、高熱伝導性充填材としては、具体的には炭素繊維、黒鉛や窒化ホウ素などの熱伝導性粉体、板状黒鉛等が挙げられる。
放熱板を形成する高熱伝導性充填材を配合したポリカーボネート樹脂組成物としては、放熱板として十分な熱伝導性を示すものであればよく、特に制限はないが、例えば、本出願人より先に特許出願された以下のようなものが挙げられる。
<高熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物1>
(A)ポリカーボネート系樹脂100質量部に対し、(B)黒鉛化されてなる炭素繊維であって、長さ方向の熱伝導率が100W/m・K以上、かつ繊維平均径5〜20μmの炭素繊維5質量部以上40質量部未満、及び(C)平均粒子径が1〜500μmの黒鉛粉体5質量部以上100質量部以下を含有する樹脂組成物(特開2007−91985号公報)。
ここで(B)黒鉛化されてなる炭素繊維としては、好ましくは長さ方向の熱伝導率が400W/m・K以上のものである。
(B)黒鉛化されてなる炭素繊維の熱伝導率が上記範囲を外れた場合は、低充填率において十分な熱伝導性を得ることが出来ない。該炭素繊維は、例えば、特開2000−143826号公報に記載されている、通常2〜20mmにカットされた炭素短繊維(チョップドストランド)を嵩密度450〜800g/lで収束してなり、次いで黒鉛化されてなる炭素短繊維収束体が好ましいものとして挙げられる。該炭素短繊維収束体は、炭素繊維をサイジング剤で収束させた後、所定の長さに切断して、黒鉛化処理することにより、サイジング剤の含有量を0.1重量%以下にしたものである。該黒鉛化処理の条件としては、例えば、不活性ガス雰囲気中、2800℃〜3300℃で加熱する方法が挙げられる。また、他の方法としては、連続した繊維(ロービング)を黒鉛化処理した後、所定の長さにカットして用いることも可能である。炭素繊維の平均繊維径は画像解析装置(例えば(株)東芝製、画像処理R&Dシステム TOSPIX−i)等で測定でき、5〜20μmである。5μm未満ではポリカーボネート樹脂へ混合充填した時の熱伝導性が低下したり、成形品のそりが大きくなったりするなどの問題を生じやすく、20μmを越えると寸法安定性が低下し、良外観が出にくい。また、サイジング剤の含有量は0.1重量%より多いと、熱伝導率の低下を招きやすい。炭素繊維の配合量は40質量部未満であり、これより多いと成形加工性や寸法安定性が低下し、そりが大きくなる。更に、該配合量が5質量部未満であると、十分な熱伝導率が得られない。該配合量としては、好ましくは10質量部以上40質量部未満であり、より好ましくは15質量部以上35質量部以下である。
更に(B)炭素繊維としては、好ましくは長繊維状のものを使用するのがよい。例えば、繊維長1〜30mm、好ましくは2〜20mmのものを用いる。長繊維状のものを使用することは、熱伝導性の改善、及び成形品のそりの低減の点等で効果的である。
この高熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物1では、熱伝導性、成形加工性を高め、成形品のそりを少なくするために、(C)平均粒子径が1〜500μmの黒鉛粉体を5質量部以上100質量部以下を併用する。(C)黒鉛粉体の平均粒子径は、JIS Z8825−1に準拠してレーザー回折法により測定し、JIS Z8819−2に準拠して平均粒子径を求めた値を指す。この値が500μmを超えた場合や、含有量として100質量部を超えた場合は、成形加工性が低下する。(C)黒鉛粉体の平均粒子径が1μm未満でも、配合時に飛散するなど、取り扱いが困難であり、樹脂組成物中に均一に分散させるのも困難である。さらに、含有量として5質量部未満であると、十分な熱伝導性が得られない。(C)黒鉛粉体の平均粒子径は、5〜100μmであるのが好ましい。また、該(B)の炭素繊維の量が少ない場合は、(C)黒鉛粉体の量を比較的多めにして、所定の熱伝導率が得られるように、適宜調整する。例えば、(B)炭素繊維の量が5質量部以上25質量部以下の場合は、(C)黒鉛粉体の量は20質量部以上100質量部以下が好ましく、より好ましくは20質量部以上80質量部以下である。(B)炭素繊維の量が25質量部以上40質量部未満の場合は、(C)黒鉛粉体の量を5質量部以上40質量部以下とすることが好ましく、より好ましくは5質量部以上20質量部以下とするのが好ましい。
<高熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物2>
(A)ポリカーボネート系樹脂100質量部に対し、(B)芳香族ポリカーボネートオリゴマー1質量部以上40質量部以下、(C)黒鉛化されてなる炭素繊維であって、長さ方向の熱伝導率が100W/m・K以上、かつ繊維平均径5〜20μmの炭素繊維5質量部以上40質量部未満、及び(D)熱伝導率が10W/m・K以上で平均粒子径が1〜500μmの熱伝導性粉体(但し、窒化ホウ素を除く)5質量部以上100質量部以下を含有する樹脂組成物(特開2007−99798号公報)。
ここで、(C)黒鉛化されてなる炭素繊維は、前述の高熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物1における(B)黒鉛化されてなる炭素繊維と同様であり、その好ましい配合量も同等である。
(B)芳香族ポリカーボネートオリゴマーとしては、ビスフェノールA(BPA)をホスゲンまたは炭酸ジエステルとを適当な分子量調節剤を用いて反応させることによって得られるものである。また、ビスフェノールAの一部を他の二価のフェノールで置き換えた共重合型のものであってもよく、他の二価フェノールとしては上記芳香族ポリカーボネート樹脂で説明した二価フェノールが用いられる。
末端停止剤または分子量調節剤としては、一価のフェノール性水酸基を有する化合物や芳香族カルボン酸基を有する化合物等が挙げられ、通常のフェノール、p−t−ブチルフェノール、2,3,6−トリブロモフェノール等の他に、長鎖アルキルフェノール、脂肪族カルボン酸クロライド、脂肪族カルボン酸、ヒドロキシ安息香酸等が挙げられる。芳香族ポリカーボネートオリゴマーは、一種でも、または二種類を混合して使用してもよい。かかる芳香族ポリカーボネートオリゴマーは、重合度1では成形時に成形品からブリードアウトしやすく、他方重合度が大きくなると満足する流動性、表面平滑性が得られ難くなるため、好ましくは重合度2〜15である。芳香族ポリカーボネートオリゴマーの配合量は、高熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物2中の(A)ポリカーボネート系樹脂100質量部に対して1質量部以上40質量部以下である。1質量部未満では、充分な流動性と表面平滑性は得られにくく、40質量部を超えると、機械的特性を低下させる。より好ましい配合量は(A)ポリカーボネート系樹脂100質量部に対して2質量部以上30質量部以下である。
高熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物2では、熱伝導性、成形加工性を高め、成形品のそりを少なくするために、(D)熱伝導率が10W/m・K以上で平均粒子径が1〜500μmの熱伝導性粉体(但し、窒化ホウ素を除く)5質量部以上100質量部以下を併用する。(D)成分の例には、炭素系粉体、ケイ素系粉体、ホウ素系粉体(但し、窒化ホウ素を除く)、金属元素の少なくとも一種の炭化物、酸化物、及び窒化物、並びに金属単体の粉末及び繊維が含まれる。(D)成分としてより好ましくは、炭素繊維(上記(C)成分の範疇に含まれないもの)、黒鉛、金属被覆炭素繊維、金属被覆黒鉛、金属被覆ガラス、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、炭化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、金属繊維及び金属粉末からなる群の1つ又は2つ以上からなる熱伝導性粉末が挙げられる。中でも、黒鉛粉体が好ましい。その他、好ましい粉体としては、ケイ素、マグネシウム及びアルミニウム、ホウ素から選ばれる少なくとも一種の炭化物、酸化物、及び窒化物である。前記(D)成分の平均粒子径は、JIS Z8825−1に準拠し、レーザー回折法により測定し、JIS Z8819−2に準拠して求めた値である。この値が500μmを超えた場合や、含有量として100質量部を超えた場合は、成形加工性が低下する。該(D)成分の平均粒子径が1μm未満でも、配合時に飛散するなど、取り扱いが困難であり、樹脂組成物中に均一に分散させるのも困難である。該(D)成分の平均粒子径は、5〜100μmであるのが好ましい。さらに、含有量として5質量部未満であると、十分な熱伝導性が得られない。該(C)の炭素繊維の量が少ない場合は、(D)の熱伝導性粉体の量を比較的多めにして、所定の熱伝導率が得られるように、適宜調整する。例えば、(C)の炭素繊維の量が5質量部以上25質量部以下の場合は、(D)の熱伝導性粉体の量は20質量部以上100質量部以下が好ましく、より好ましくは20質量部以上80質量部以下である。(C)の炭素繊維の量が25質量部以上40質量部未満の場合は、(D)の熱伝導性粉体の量を5質量部以上40質量部以下とすることが好ましく、より好ましくは5質量部以上20質量部以下とするのが好ましい。
<高熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物3>
(A)ポリカーボネート系樹脂100質量部に対し、(B)芳香族ポリカーボネートオリゴマー1質量部以上40質量部以下、(C)黒鉛化されてなる炭素繊維であって、長さ方向の熱伝導率が100W/m・K以上、かつ繊維平均径5〜20μmの炭素繊維5質量部以上40質量部未満、及び(D)平均粒子径が1〜500μmの窒化ホウ素5質量部以上100質量部以下含有する樹脂組成物(特開2007−99799号公報)。
ここで、(B)芳香族ポリカーボネートオリゴマーとしては、高熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物2における(B)芳香族ポリカーボネートオリゴマーと同様のものを用いることができ、その好適な配合量も同等である。
また、(C)黒鉛化されてなる炭素繊維は、前述の高熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物1における(B)黒鉛化されてなる炭素繊維と同様であり、その好ましい配合量も同等である。
高熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物3では、絶縁性を付与すると共に、熱伝導性、成形加工性を高め、成形品のそりを少なくするために、(A)ポリカーボネート系樹脂100質量部に対して、(D)平均粒子径が1〜500μmの窒化ホウ素を5質量部以上100質量部以下用いる。前記(D)成分の平均粒子径は、JIS Z8825−1に準拠し、レーザー回折法により測定し、JIS Z8819−2に準拠して求めた値である。この値が500μmを超えた場合や、含有量として100質量部を超えると成型加工性が低下する。該(D)成分の平均粒子径が1μm未満でも、配合時に飛散するなど、取り扱いが困難であり、樹脂中に均一に分散させるのも困難である。さらに、含有量として5質量部未満であると、十分な熱伝導性と絶縁性が得られない。また、(D)成分の含有量の好ましい範囲は、併用する(C)成分の含有量によって変動し、(C)成分と等質量部以上とするのが好ましい。(C)成分の含有量未満であると、十分な熱伝導性と絶縁性が得られない場合がある。また、(C)成分である炭素繊維の含有量が少ない場合は、(D)成分である窒化ホウ素の含有量を比較的多めにして、所定の熱伝導率が得られるように、適宜調整するのも好ましい。例えば、(C)の炭素繊維の量が5質量部以上25質量部以下の場合は、(D)の窒化ホウ素の量は20質量部以上100質量部以下が好ましく、より好ましくは20質量部以上80質量部以下である。(C)の炭素繊維の量が25質量部以上40質量部未満の場合は、(D)の窒化ホウ素の量を5質量部以上40質量部以下とすることが好ましく、より好ましくは5質量部以上20質量部以下とするのが好ましい。
なお、窒化ホウ素には、c−BN(閃亜鉛鉱構造)、w−BN(ウルツ鉱構造)、h−BN(六方晶構造)、r−BN(菱面体晶構造)など、複数の安定構造が知られている。本発明では、いずれの窒化ホウ素を用いてもよいが、中でも、六方晶構造の窒化ホウ素を用いるのが好ましい。また、窒化ホウ素には、球状のものと鱗片状のものがあり、いずれも用いることができるが、鱗片状のものを用いると、より絶縁性に優れた成形品が得られるとともに、機械的特性が良好となるので好ましい。また、鱗片状の窒化ホウ素粉体の平均粒子径は、一般的には1〜50μmであり、かかる範囲の平均粒子径の粉体を用いるのも好ましい。但し、窒化ホウ素の比重及び平均粒子径はこの範囲に限定されるものではない。
また、該窒化ホウ素の熱伝導率が、10W/m・K以上であるのが好ましい。
<高熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物4>
(A)熱可塑性樹脂、好ましくはポリカーボネート樹脂と(B)黒鉛とを含む熱可塑性樹脂組成物であって、該(B)黒鉛のアスペクト比が20〜50で、平均粒子径が10〜200μmであり、かつ固定炭素量が98質量%以上である樹脂組成物(特願2009−162853)。
ここで言う平均粒子径とは、SEM(走査電子顕微鏡)観察において、100個のサンプルについて粒子径(ここで粒子径とは、黒鉛を2枚の平行な板で挟んだ場合、この平行な板の間隔が最も大きくなる部位の径(板の間隔の長さ)をさす)を測定して得られた値の平均値である。この平均粒子径が小さすぎると、溶融混練時に空気中に舞うなど大気汚染の問題が生じたり、樹脂組成物の溶融粘度が著しく増加して流動性が低下する事がある。ただし、平均粒子径が大き過ぎると、溶融混練時時に黒鉛を含む粉体がホッパー内でブリッジするなどの供給不良が生じたり、成形品の外観不良が生じる場合があり、また、平均粒子径が過度に大きい黒鉛を製造ないし入手することは困難である。より好ましい(B)黒鉛の平均粒子径は20〜200μmである。
また、黒鉛の粒子径と厚みとの比で求められるアスペクト比が20より小さいと、黒鉛が、射出成形工程にて、成形品内で、成形品厚み方向と黒鉛厚み方向とが一致するように配向するが、その場合、成形品厚み方向と垂直な面方向への黒鉛の熱伝導率への寄与が少なくなり、より高い熱伝導性を得ることができない。このため、このアスペクト比は20より大きく、特に25以上、とりわけ30以上であることが好ましい。ただし、アスペクト比が大きすぎると、黒鉛同士の絡み合いにより、分散不良が生じる場合があるため、アスペクト比は50以下、好ましくは45以下である。
ここで、黒鉛のアスペクト比は、SEM(走査電子顕微鏡)観察において、100個のサンプルについて厚み(ここで厚みとは、黒鉛を2枚の平行な板で挟んだ場合、この平行な板の間隔が最も小さくなる部位の径(板の間隔の長さ)をさす)を測定して得られた値の平均値を平均厚みとし、上述の平均粒子径に対して、平均粒子径/平均厚みの比を算出することにより求められる。
また、高熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物4で用いる(B)黒鉛は、JIS M8511に準じて測定される固定炭素量が98質量%以上、好ましくは98.5質量%以上、より好ましくは99質量%以上であることにより、優れた熱伝導性を得ることができる。
高熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物4においては、上述のような物性を有する黒鉛の中でも、粉末コークスを1000℃以上で熱処理した熱分解黒鉛を用いることが好ましい。ここで熱処理が不十分ある場合、高い熱伝導性を得ることができない場合がある。この熱処理条件としては、好ましくは、温度1000〜3500℃で、不活性ガス中にて処理して得たものが好ましい。
このような熱処理を施した熱分解黒鉛は、不純物が少なく、黒鉛自体の熱伝導率も高い上に、樹脂の分解を抑制するため好適である。
高熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物4中の(B)黒鉛の含有量は、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは1〜40質量%、さらに好ましくは5〜40質量%、特に好ましくは10〜40質量%である。
(B)黒鉛の含有量が少な過ぎると必要とされる熱伝導性を得ることができない場合があり、多過ぎると樹脂組成物の混練が困難となり組成物を調製し得ない場合がある。
なお、(B)黒鉛は、材質、形状、物性等の異なるものを2種以上併用してもよい。
<高熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物5>
(A)熱可塑性樹脂、好ましくはポリカーボネート樹脂20質量%以上85質量%以下と、(B)見掛け密度0.16g/cm以上の板状黒鉛5質量%以上30質量%以下と、(C)電気絶縁性を有する充填材(以下「絶縁性充填材」と称す。)10質量%以上60質量%以下を含む樹脂組成物(特願2009−162852)。
ここで使用する(B)黒鉛は、見掛け密度が0.16g/cm以上の板状黒鉛であり、好ましくは、天然鱗状黒鉛、天然鱗片状黒鉛、熱分解黒鉛、キッシュ黒鉛から選ばれるものが挙げられる。
(B)黒鉛の見掛け密度が0.16g/cm未満では、(A)熱可塑性樹脂や(C)絶縁性充填材との見掛け密度の差が大き過ぎて、樹脂組成物製造時に分離し易く、生産性が低下し、得られた樹脂組成物の品質のバラツキが大きくなるので好ましくない。(B)黒鉛の見掛け密度は、好ましくは0.18g/cm以上であり、さらに好ましくは0.20g/cm以上である。なお、この見掛け密度の上限は通常0.5g/cm程度である。なお、見掛け密度はメスシリンダーに30mlの黒鉛を自然落下状態で充填し、その重量を測定する事で求めることができる。
高熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物5で使用する(B)黒鉛の固定炭素含有率は、好ましくは97質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上である。(B)黒鉛の灰分含有率は、好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。また、(B)黒鉛の揮発分含有率は、好ましくは1.5質量%以下であり、さらに好ましくは1.0質量%以下である。黒鉛の固定炭素、灰分及び揮発分含有率が上記範囲から外れた場合、樹脂組成物の熱伝導率や溶融熱安定性が低下することがある。
高熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物5で使用する(B)黒鉛の平均粒径は、重量平均で3〜100μmであることが好ましく、5〜80μmであることがより好ましく、5〜60μmであることがさらに好ましい。平均粒径3μm未満の黒鉛は、押出機などを用いて溶融混練する場合、スクリューへの喰い込みが悪く、計量不安定となり、生産性が低下する。黒鉛の平均粒径が100μmを超えると、成形品の表面平滑性や分散性が劣るので好ましくない。
また、高熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物5で用いる(B)黒鉛は、板状形状を有する黒鉛であるが、ここで板状とは、板面の面積に対して厚みの薄い薄片状ないし鱗片状のものをさし、好ましくは、平均厚み/平均粒径が2〜20であるようなものである。
この(B)黒鉛の平均粒径及び平均厚みは、溶融混練前の平均粒径及び平均厚みであり、通常はカタログ値を用いるが、開示されていない場合は、ISO13320のレーザー法で測定したメジアン粒径(D50値と表示することもある)によって求めた値を平均粒径とし、黒鉛をエポキシ樹脂で固め、研磨した後、研磨面をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察し、100個の厚みの平均値を平均厚みとする。
高熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物5で使用する(B)黒鉛は、その特性を損なわない限りにおいて、(A)熱可塑性樹脂との親和性を増すために、表面処理、例えばエポキシ処理、ウレタン処理、酸化処理等が施されていてもよい。
高熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物5は、(B)黒鉛と共に、(C)絶縁性充填材を含み、これにより、優れた熱伝導性と絶縁性を兼ね備えることができる。
即ち、高熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物5においては、(B)黒鉛を含むことにより熱伝導性が得られるが、この(B)黒鉛が板状黒鉛であり、かつ、(C)絶縁性充填材と共存することにより、成形時に板状の(B)黒鉛の配向が(C)絶縁性充填材により促進され、この結果、板状黒鉛による熱伝導性が高められる。また、絶縁性の(C)絶縁性充填材を含むことで、絶縁性も付与される。更には、(C)絶縁性充填材を含むことで、表面平滑性、寸法安定性が良好となり、得られる成形品の硬度が高くなることにより、耐チョーク性が改善されるという効果も奏される。
高熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物5で用いる(C)絶縁性充填材は、粒子状、板状、繊維状のいずれであってもよいが、好ましくは、板状又は繊維状であり、特に好ましくは板状である。
板状の(C)絶縁性充填材としては、薄片状、鱗片状のタルク、マイカ、クレー、カオリン、ガラスフレーク等が例示され、特に好ましくはガラスフレークである。
繊維状の(C)絶縁性充填材としてはガラス繊維、ウァラスト繊維等が例示され、好ましくはガラス繊維である。
これらの絶縁性充填材は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用してもよい。
ガラスフレークは、厚さ3〜7μm、粒子径10〜4000μmの板状無定形ガラスであり、無機質としてのガラスの特性と、その形状から得られる特性により、独特の効果が奏される。使用されるガラスは、Cガラスと、Eガラスがあり、EガラスはNaO或いはKO等がCガラスに比べて少ないので、Eガラスを使用したガラスフレークが好ましく使用される。ガラスフレークとしては、例えば、市販品である日本電気硝子(株)のREFG−101等が使用されるが、その平均粒子径は600μm、平均厚み3〜7μmである。平均粒子径が他の添加剤と比べて大きいガラスフレークは、その添加量が増えると外観不良の原因となることから、配合量を調整する必要がある。
ガラス繊維としては、成形品中にて平均繊維径5〜20μm、平均繊維長さ30〜200μm程度のものが好ましい。
高熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物5で使用する(C)絶縁性充填材は、その特性を損なわない限りにおいて(A)熱可塑性樹脂との親和性を増すために、表面処理、例えばエポキシ処理、ウレタン処理、酸化処理等が施されていてもよい。
高熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物5の上記(A)〜(C)成分の配合割合は、(A)熱可塑性樹脂が20質量%以上85質量%以下、(B)黒鉛が5質量%以上30質量%以下、(C)絶縁性充填材が10質量%以上60質量%以下である。
(A)成分が20質量%未満では表面平滑性や成形加工性が低下し、85質量%を超えると熱伝導性や寸法安定性が低下する。(B)成分が5質量%未満では熱伝導性が低下し、40質量%を超えると成形加工性や絶縁性が低下する。(C)成分が10質量%未満では寸法安定性や熱伝導性が低下し、60質量%を超えると成形加工性や表面平滑性が低下する。
より好ましい配合割合は、
(A)熱可塑性樹脂 55〜85質量%
(B)黒鉛 10〜30質量%
(C)絶縁性充填材 5〜15質量%
である。
(B)成分と(C)成分の配合割合は、組成物中の(C)成分の含有量Cと(B)成分の含有量Bとの関係が、C=aBで表されるとき、aの値が1以上2以下であることが好ましい。aの値が1未満となるような配合量比では絶縁性が低下し、2を超えると熱伝導性が低下する。aはより好ましくは1.2〜1.8である。
なお、高熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物5において、上述の(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含むことによる効果を確実に得る上で、樹脂組成物中の(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計の合計量は80質量%以上であることが好ましい。
また、高熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物5において、(B)黒鉛の平均粒径R1と、(C)絶縁性充填材の平均粒径R2の関係が、R2=bR1で表されるとき、bの値が0.1以上15未満であることが好ましい。bの値が0.1未満となるような粒径比では、(C)成分による(B)成分の配向促進作用が弱く、熱伝導性が低下する。bが15を超えても(C)成分が障壁となって熱伝導性が低下する。bはより好ましくは0.5〜15である。
ここで、(C)絶縁性充填材の平均粒径は、(C)絶縁性充填材が繊維状充填材の場合は、樹脂組成物又はその成形品を高温下で燃焼させた残渣(例えばポリカーボネート樹脂であれば600℃下で4時間)や、有機溶媒(例えばポリカーボネートであればクロロホルム)等で樹脂を溶解、除去した残渣を、比重差などを利用して分離するなどして得られた(C)絶縁性充填材を、プレパラート上に分散配置させた後に光学顕微鏡にて観察し、無作為に100個程度の該充填材について、その充填材の長さを測定し、平均した値である。
また、(C)絶縁性充填材が粒状又は板状充填材の場合、樹脂組成物又はその成形品を高温下で燃焼させた残渣(例えばポリカーボネート樹脂であれば600℃下で4時間)や、有機溶媒(例えばポリカーボネートであればクロロホルム)等で樹脂を溶解、除去した残渣を、比重差などを利用して分離するなどして得られた(C)絶縁性充填材を、プレパラート上に分散配置させた後に光学顕微鏡にて観察し、無作為に100個程度の該充填材について、その充填材の最小外接円の直径を測定し、平均した値である。
<その他の成分>
支持板及び放熱板を構成する樹脂組成物(以下「本発明に係る樹脂組成物」と称す場合がある。)は、本発明の目的を損なわない範囲で、以下のようなその他の成分を含有していてもよい。
(1) 難燃剤
本発明に係る樹脂組成物には、難燃性を付与するために難燃剤を配合することができる。
電気・電子機器の筐体等としての用途においては、多くの場合、難燃性も要求されることから、難燃剤を配合することは好ましい。
難燃剤としては、樹脂組成物の難燃性を向上させるものであれば特に限定されないが、例えば、ハロゲン化ビスフェノールAのポリカーボネート、ブロム化ビスフェノール系エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、ブロム化ポリスチレンなどのハロゲン系難燃剤、リン酸エステル系難燃剤、有機スルホン酸金属塩系難燃剤、シリコーン系難燃剤等が挙げられる。
これらは単独で、又は2種以上を任意の割合で併用してもよい。
難燃剤としては、中でも難燃化効果が高く、流動性向上効果があり、金型腐食が生じにくいことから、リン酸エステル系難燃剤が好ましい。
特に、このリン酸エステル系難燃剤としては、下記の一般式(1)で表されるリン酸エステル系化合物が好ましい。
Figure 2011119474
(式中、R、R、R及びRは、各々独立に、炭素数1〜6のアルキル基又はアルキル基で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基を示し、p、q、r及びsは、各々独立に0又は1であり、tは、1〜5の整数であり、Xは、アリーレン基を示す。)
上記一般式(1)において、R〜R12のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。また、Xのアリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基が挙げられる。
tが0の場合、一般式(1)で表される化合物はリン酸エステルであり、tが0より大きい場合は縮合リン酸エステル(混合物を含む)である。本目的には縮合リン酸エステルが好適に用いられる。
上記一般式(1)で表されるリン酸エステル系難燃剤としては、具体的には、トリメチルフォスフェート、トリエチルフォスフェート、トリブチルフォスフェート、トリオクチルフォスフェート、トリブトキシエチルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、トリクレジルフェニルフォスフェート、オクチルジフェニルフォスフェート、ジイソプロピルフェニルフォスフェート、トリス(クロルエチル)フォスフェート、トリス(ジクロルプロピル)フォスフェート、トリス(クロルプロピル)フォスフェート、ビス(2,3−ジブロモプロピル)フォスフェート、ビス(2,3−ジブロモプロピル)−2,3−ジクロルフォスフェート、ビス(クロルプロピル)モノオクチルフォスフェート、ビスフェノールAテトラフェニルフォスフェート、ビスフェノールAテトラクレジルジフォスフェート、ビスフェノールAテトラキシリルジフォスフェート、ヒドロキノンテトラフェニルジフォスフェート、ヒドロキノンテトラクレジルフォスフェート、ヒドロキノンテトラキシリルジフォスフェート等の種々のものが例示される。これらのうち好ましくは、トリフェニルフォスフェート、ビスフェノールAテトラフェニルフォスフェート、レゾルシノールテトラフェニルフォスフェート、レゾルシノールテトラ−2,6−キシレノールフォスフェート等が挙げられる。
これらのリン酸エステル系難燃剤は、これを配合することにより、組成物の難燃性を向上させると共に、粘度を低減し、たとえば前述の高熱伝導ポリカーボネート樹脂組成物4調整時の混練工程で(B)黒鉛が破砕されてそのアスペクト比や粒径が変化することによる(B)黒鉛本来の熱伝導性付与効果が損なわれることを防止することができ、好ましい。
難燃剤の配合量は、適宜選択して決定すればよいが、少なすぎると難燃効果が不十分となり、逆に多すぎても耐熱性や機械物性が低下する場合があるので、通常、本発明に係る樹脂組成物中の難燃剤の含有量は、例えば、リン酸エステル系難燃剤であれば5〜20質量%、有機スルホン酸金属塩系難燃剤であれば0.02〜0.2質量%、シリコーン化合物系難燃剤であれば0.3〜3質量%である。
また、これらの難燃剤に、無機化合物系難燃助剤を併用しても良く、無機化合物系難燃助剤としては、タルク、マイカ、カオリン、クレー、シリカ粉末、ヒュームドシリカ、ガラスフレーク等の1種又は2種以上が挙げられる。
これらの難燃剤に無機化合物系難燃助剤を併用する場合、無機化合物系難燃助剤の配合量が少な過ぎると十分な配合効果が得られず、多過ぎると耐熱性や機械物性が低下することから、本発明に係る樹脂組成物中の無機化合物系難燃助剤の含有量は1〜20質量%とすることが好ましく、更に好ましくは3〜10質量%である。
(2) 滴下防止剤
本発明に係る樹脂組成物には、燃焼時の滴下防止を目的として、滴下防止剤を配合することができる。滴下防止剤としては好ましくはフッ素樹脂を用いることができる。
ここでフッ素樹脂とは、フルオロエチレン構造を含む重合体ないしは共重合体であり、例えば、ジフルオロエチレン重合体、テトラフルオロエチレン重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ素を含まないエチレン系モノマーとの共重合体が挙げられ、好ましくは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であり、その平均分子量は、500,000以上であることが好ましく、特に好ましくは500,000〜10,000,000である。
本発明で用いることができるポリテトラフルオロエチレンとしては、現在知られているすべての種類のものを用いることができるが、ポリテトラフルオロエチレンのうち、フィブリル形成能を有するものを用いると、さらに高い溶融滴下防止性を付与することができる。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)には特に制限はないが、例えば、ASTM規格において、タイプ3に分類されるものが挙げられる。その具体例としては、例えばテフロン(登録商標)6−J(三井・デュポンフロロケミカル(株)製)、ポリフロンD−1、ポリフロンF−103、ポリフロンF201(ダイキン工業(株)製)、CD076(旭アイシーアイフロロポリマーズ(株)製)等が挙げられる。また、上記タイプ3に分類されるもの以外では、例えばアルゴフロンF5(モンテフルオス(株)製)、ポリフロンMPA、ポリフロンFA−100(ダイキン工業(株)製)等が挙げられる。これらのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。上記のようなフィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、例えばテトラフルオロエチレンを水性溶媒中で、ナトリウム、カリウム、アンモニウムパーオキシジスルフィドの存在下で、1〜100psiの圧力下、温度0〜200℃、好ましくは20〜100℃で重合させることによって得られる。また、溶媒にて分散されたテフロン(登録商標)30−J(三井・デュポンフロロケミカル(株)製)であっても構わない。
また、滴下防止剤は、ポリテトラフルオロエチレン粒子と有機系重合体粒子とからなるポリテトラフルオロエチレン含有混合粉体であってもよい。有機系重合体粒子を生成するための単量体の具体例としては、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−クロルスチレン、o−クロルスチレン、p−メトキシスチレン、o−メトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸トリドデシル、メタクリル酸トリドデシル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル系単量体、酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル単量体、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン系単量体、ブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジエン等のジエン系単量体等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、これらの単量体の重合体又は共重合体を2種以上用い、有機系重合体粒子を得ることができる。
滴下防止剤の配合量としては、好ましくは本発明に係る樹脂組成物中の含有量として0.01〜1質量%であり、より好ましくは0.1〜0.5質量%である。
(3) 耐衝撃性改良剤
本発明に係る樹脂組成物には、衝撃強度向上のために、耐衝撃性改良剤としてエラストマーを配合することができる。
該エラストマーとしては、特に限定されるものではないが、多層構造重合体が好ましい。多層構造重合体としては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート系重合体を含むものが挙げられる。これらの多層構造重合体としては、例えば、先の段階の重合体を後の段階の重合体が順次被覆するような連続した多段階シード重合によって製造される重合体であり、基本的な重合体構造としては、ガラス転移温度の低い架橋成分である内核層と組成物のマトリックスとの接着性を改善する高分子化合物から成る最外核層を有する重合体である。これら多層構造重合体の最内核層を形成する成分としては、ガラス転移温度が0℃以下のゴム成分が選択される。これらゴム成分としては、ブタジエン等のゴム成分、スチレン/ブタジエン等のゴム成分、アルキル(メタ)アクリレート系重合体のゴム成分、ポリオルガノシロキサン系重合体とアルキル(メタ)アクリレート系重合体が絡み合って成るゴム成分、あるいはこれらの併用されたゴム成分が挙げられる。さらに、最外核層を形成する成分としては、芳香族ビニル単量体又は非芳香族系単量体あるいはそれらの2種類以上の共重合体が挙げられる。芳香族ビニル単量体としては、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロモスチレン等を挙げることができる。これらの中では、特にスチレンが好ましく用いられる。非芳香族系単量体としては、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニルやシアン化ビニリデン等を挙げることができる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用してもよい。
耐衝撃性改良剤の配合量としては、好ましくは本発明に係る樹脂組成物中の含有量として1〜10質量%であり、より好ましくは2〜5質量%である。
(4) 補強材
本発明に係る樹脂組成物には、弾性率、強度、荷重たわみ温度の向上のために、補強材を添加することができる。
ここで、補強材としては、シリカ、珪藻土、軽石粉、軽石バルーン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、珪酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、硫化モリブデン、ボロン繊維、炭化珪素繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ホウ酸アルミニウム等を例示できる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用してもよい。特に限定されるものではないが、補強材としてはガラス繊維、ガラスフレーク、タルク、マイカが好ましい。
補強材の配合量としては、好ましくは本発明に係る樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対し1〜100質量部であり、より好ましくは10〜80質量部である。
(5) 離型剤
本発明に係る樹脂組成物には、射出成形時の金型離型性を良好なものとするために離型剤を配合することができる。
離型剤としては例えば、脂肪族カルボン酸やそのアルコールエステル、数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイル等が挙げられる。
脂肪族カルボン酸としては、飽和又は不飽和の、鎖式又は環式の、脂肪族1〜3価のカルボン酸が挙げられる。これらの中でも炭素数6〜36の、1価又は2価カルボン酸が好ましく、特に炭素数6〜36の脂肪族飽和1価カルボン酸が好ましい。この様な脂肪族カルボン酸としては、具体的には例えばパルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸等が挙げられる。
脂肪族カルボン酸エステルにおける脂肪族カルボン酸成分は、上述の脂肪族カルボン酸と同義である。一方、脂肪族カルボン酸エステルのアルコール成分としては、飽和又は不飽和の、鎖式又は環式の、1価又は多価アルコールが挙げられる。これらはフッ素原子、アリール基等の換基を有していてもよく、中でも炭素数30以下の、1価又は多価飽和アルコールが好ましく、特に炭素数30以下、飽和脂肪族の、1価又は多価アルコールが好ましい。
このようなアルコール成分としては、具体的には例えばオクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。尚、この脂肪族カルボン酸エステルは、不純物として脂肪族カルボン酸及び/又はアルコールを含有していてもよく、更には複数の脂肪族カルボン酸エステルの混合物でもよい。
脂肪族カルボン酸エステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素としては、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャ−トロプシュワックス、炭素数3〜12のα−オレフィンオリゴマー等が挙げられる。ここで脂肪族炭化水素とは、脂環式炭化水素も含まれる。またこれらの炭化水素化合物は、部分酸化されていてもよい。
これら脂肪族炭化水素の中でも、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス又はポリエチレンワックスの部分酸化物が好ましく、特にパラフィンワックスやポリエチレンワックスが好ましい。数平均分子量は中でも200〜5000であることが好ましい。これらの脂肪族炭化水素は単独で、又は2種以上を任意の割合で併用しても、主成分が上記の範囲内であればよい。
ポリシロキサン系シリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、ジフェニルシリコーンオイル、フッ素化アルキルシリコーン等が挙げられ、これらは一種又は任意の割合で二種以上を併用してもよい。
本発明に係る樹脂組成物の離型剤の含有量は適宜選択して決定すればよいが、少なすぎると離型効果が十分に発揮されず、逆に多すぎても樹脂の耐加水分解性の低下や、射出成形時の金型汚染等が生ずる場合がある。よって離型剤の配合量は、本発明に係る樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対して0.001〜2質量部であり、中でも0.01〜1質量部であることが好ましい。
(6) その他
本発明に係る樹脂組成物には、上記の成分以外に、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の安定剤、顔料、染料、滑剤等の添加剤をそれぞれ必要量配合してもよい。
本発明の放熱板付き二色成形品を製造するには、支持板成形用樹脂組成物と放熱板成形用樹脂組成物とをそれぞれ調製し、これらを用いて常法に従って二色成形を行えばよい。
なお、本発明の放熱板付き二色成形品の放熱性能を十分に確保する上で、本発明の放熱板付き二色成形品の放熱板は、以下の評価方法で測定した熱伝導率が0.6W/(m・K)以上、特に1W/(m・K)以上であることが好ましい。また、本発明の放熱板付き二色成形品の放熱板と支持板の密着性を十分に確保する上で、放熱板と支持板とについて、熱膨張係数差が小さいほうが好ましい。
<熱伝導率測定方法>
射出成形機(住友重機械工業製、SH100、型締め力100T)を用いて、シリンダー温度:300℃、金型温度:80℃にて、金型:縦100mm、横100mm、厚み3mmの成形品を、射出圧力:147MPaの条件で射出成形し、得られた射出成形品を3枚重ねて、迅速熱伝導率測定装置(京都電子工業製、Kemtherm QTM−D3)を用いて射出成形品の熱伝導率を測定する。
[発熱体付き機器]
次に、図4を参照して本発明の発熱体付き機器の実施の形態を詳細に説明する。
図4は、本発明の発熱体付き機器の実施の形態に係るノート型パソコンのキーボード部分を開放した状態を示す斜視図であり、キーボード基板(筺体(ケース)に対峙する蓋に相当する。)が本発明の放熱板付き二色成形品40で構成されている。この放熱板付き二色成形品40の支持板41と放熱板42とは二色成形により一体成形されている。
50は、ノート型パソコンの本体部を構成する筺体(ケース)であり、内部の一半側には回路基板51が設けられ、この回路基板51上に各種部品の取付板52,53,54,55,56が設けられ、取付板52の上には発熱体としてのCPU57が設けられている。CPU57等が設けられた筺体50内の一半側の高温領域(第1の領域)に対して、筺体50内の他半側は、発熱体の存在しない(或いは、発熱量の低い発熱体が存在する)低温領域(第2の領域)とされている。
放熱板42は、その受熱部である幅狭部(小面積部)42aが、CPU57に当接し、放熱部である幅広部(大面積部)42bが筺体50の他半側の低温領域に連続して延在するように設けられている。
このため、キーボード基板(放熱板付き二色成形品40)を筺体50に被せると、CPU57と放熱板42の受熱部42aが当接し、CPU57からの発熱が放熱板42の受熱部42aから放熱部42bへ伝熱する。
この放熱部42bは、筺体50内の低温領域に対峙する箇所にまで延在するため、この領域でCPU57からの熱を効率的に放熱させて、CPU57の局部過熱を防止する。
なお、放熱板付き二色成形品の放熱板は、CPU等の発熱体に対して、直接当接されてもよく、高熱伝導性の成分を含む、接着剤、グリース、ゴム、熱可塑性フィルム等の伝熱材を介して当接されていてもよい。
なお、以上は、ノート型パソコンを例示して本発明の発熱体付き機器を説明したが、本発明の発熱体付き機器はノート型パソコンに限らず、各種電気・電子・OA機器、機械部品、車輌用部品等、様々な発熱体付き機器に適用することができる。
以下に実験例、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
なお、以下において、放熱板又は支持板を成形するためのポリカーボネート樹脂組成物としては、以下に示す配合組成及び物性のものを用いた。
<ポリカーボネート樹脂組成物I(実施例放熱板用高熱伝導配合)>
ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ユーピロン(登録商標)S−3000」、粘度平均分子量21,000):65質量%
黒鉛化された炭素繊維(ピッチ系)(三菱樹脂製「ダイヤリードK223HG」):15質量%
燐片状黒鉛(西村黒鉛工業社製「PB90」):20質量%
樹脂組成物の熱伝導率:9W/(m・K)
<ポリカーボネート樹脂組成物II(比較例放熱板用低熱伝導配合)>
ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ユーピロン(登録商標)S−3000」、粘度平均分子量21,000)
樹脂組成物の熱伝導率:0.2W/(m・K)
<ポリカーボネート樹脂組成物III(支持板用高強度配合)>
ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ユーピロン(登録商標)S−3000」、粘度平均分子量21,000):70質量%
アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体(ABS)(テクノポリマー社製「AT−08):30質量%
縮合リン酸エステル(アデカ社製FP700):樹脂成分100質量部に対し15質量部
樹脂組成物の熱伝導率:0.2W/(m・K)
また、放熱試験に用いた発熱体は、Si製CPU(PentiumM,1.1GHz、10mm角、肉厚1mm)であり、最大電力5Wのところ、約1/3の1.5Wで発熱させた。
[実験例1〜3]
図5に示す形状及び寸法の放熱板(厚さ2mm)21をそれぞれ表1に示す材料で成形し、放熱板の幅狭の受熱部21aの中央部をCPUに当接した状態でCPUに通電し、CPUと、CPU当接部の裏面側(図5のA部)、放熱板21の幅狭の受熱部21aと幅広の放熱部21bの境界部の中心部(図5のB部)、放熱板21の幅広の放熱部21bの終端部(図5のD部)、及び上記B部とD部との中央部(図5のC部)にそれぞれ温度センサを取り付けて温度を測定することにより、放熱性能の評価を行った。
CPU(初期温度25℃)の発熱を受熱部21aから効率的に放熱部21bに伝熱することができる放熱板であれば、A部〜D部の温度差が小さく、また、放熱が円滑に行われることにより、CPUの測定温度もA〜D部の測定温度も低いものとなる。
CPU及び放熱板の各温度測定部の測定温度の経時変化を図6(a)〜(c)に示す。
また、60秒後のCPUの最高温度を表1に示す。
Figure 2011119474
図6及び表1より明らかなように、高熱伝導性のポリカーボネート樹脂組成物Iを成形した放熱板を用いた実験例1では、アルミニウム製の放熱板を用いた実験例2よりも放熱性は劣るものの、通常の低熱伝導性のポリカーボネート樹脂組成物IIを成形した放熱板を用いた実験例3に比べて良好な放熱性能を示し、CPUによる局部過熱を防止することができる。
[実施例1]
図7に示す形状及び寸法の放熱板(厚さ2mm)31と支持板32(厚さ2mm)とを二色成形により一体成形することにより、本発明の放熱板付き二色成形品30を製造した。なお、放熱板31部分の成形にはポリカーボネート樹脂組成物Iを用い、支持板32部分の成形にはポリカーボネート樹脂組成物IIIを用いた。
この放熱板付き二色成形品30の放熱板31の幅狭の受熱部31aの中央部分をCPUに当接した状態でCPUに通電し、CPUと、CPU当接部の裏面側(図7のA部)、放熱板31の幅狭の受熱部31aと幅広の放熱部31bの境界部の中心部(図7のB部)、放熱板31の幅広の放熱部31bの終端部(図7のD部)、及び上記B部とD部との中央部(図7のC部)にそれぞれ温度センサを取り付けて温度を測定することにより放熱性能の評価を行った。
前述の如く、CPU(初期温度25℃)の発熱を受熱部31aから効率的に放熱部31bに伝熱することができる放熱板であれば、A部〜D部の温度差が小さく、また、放熱が円滑に行われることにより、CPUの測定温度もA〜D部の測定温度も低いものとなる。
CPU及び放熱板の各温度測定部の測定温度の経時変化を図8(a)に示す。
また、60秒後のCPUの最高温度を表2に示す。
[比較例1]
実施例1における支持板32と同寸法、同形状のものをポリカーボネート樹脂組成物IIIを用いて成形し、この支持板に対して、実施例1における放熱板と同寸法、同形状のアルミニウム板を接着剤により取り付けて、図7に示す放熱板付き二色成形品30と同様のアルミニウム製放熱板/ポリカーボネート樹脂製支持板一体品を製造した。
この一体品について、実施例1と同様に放熱性能の評価を行って、結果を図8(b)及び表2に示した。
[比較例2]
放熱板31部分の成形にポリカーボネート樹脂組成物IIを用いたこと以外は実施例1と同様にして放熱板付き二色成形品30を一体成形し、同様に放熱性能の評価を行って、結果を図8(c)及び表2に示した。
Figure 2011119474
図8及び表2より明らかなように、高熱伝導性のポリカーボネート樹脂組成物Iで放熱板部分を成形した二色成形品である実施例1では、アルミニウム製の放熱板を用いた比較例1よりも放熱性は劣るものの、低熱伝導性のポリカーボネート樹脂組成物IIを用いた比較例2に比べて良好な放熱性能を示し、CPUによる局部過熱を防止することができる。
この実施例1の放熱板付き二色成形品は、放熱板31が機械的特性に優れた支持板32に支持され、一体成形品とされているため、これをこのまま電子機器等の構成部材として電子機器等の組み立てに用いることができる。この二色成形品は、1回の二色成形により一体成形されたものであり、生産性に優れる。
1,4,40 放熱板付き二色成形品
2,5,41 支持板
3,6,7,8,9,10,11,12,21,31,42 放熱板
30 放熱板付き二色成形品
32 支持板
50 筺体(ケース)
51 回路基板
57 CPU

Claims (13)

  1. 合成樹脂製の本体部と、
    該本体部の外面の少なくとも一部に設けられた、該本体部よりも高熱伝導性の合成樹脂よりなる放熱部と
    を備え、該本体部と放熱部とが二色成形により一体成形されていることを特徴とする放熱部付き二色成形品。
  2. 請求項1において、前記本体部及び放熱部は板状であり、該板状放熱部は板状本体部の一方の板面に設けられていることを特徴とする放熱部付き二色成形品。
  3. 請求項2において、前記板状放熱部は前記板状本体部の板面から突出していることを特徴とする放熱部付き二色成形品。
  4. 請求項2において、前記板状放熱部は前記板状本体部の板面から非突出となっていることを特徴とする放熱部付き二色成形品。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、前記本体部は、ポリカーボネート樹脂又はポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂との複合樹脂組成物よりなるポリカーボネート系樹脂組成物よりなり、前記放熱部は、高熱伝導性充填材を配合したポリカーボネート系樹脂組成物よりなることを特徴とする放熱部付き二色成形品。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項において、ケースと、該ケース内に設置された発熱体とを備えた発熱体付き機器の該発熱体に、前記放熱部が直接に又は伝熱材を介して当接するように用いられることを特徴とする放熱部付き二色成形品。
  7. 請求項6において、前記ケース又は該ケースの蓋の少なくとも一部を構成するように用いられることを特徴とする放熱部付き二色成形品。
  8. 請求項6又は7において、前記ケース内には、発熱体が配置された第1の領域と、
    発熱体が配置されていないか又は該発熱体よりも発熱量が少ない低発熱体が設置された第2の領域とが存在しており、
    該放熱部付き二色成形品は、前記放熱部が、該第1の領域から第2の領域まで連続して延在するように用いられることを特徴とする放熱部付き二色成形品。
  9. 請求項6ないし8のいずれか1項において、前記発熱体付き機器は電子機器であり、前記発熱体はCPUであることを特徴とする放熱部付き二色成形品。
  10. ケースと、
    該ケース内に設置された発熱体と、
    該発熱体に対峙する対峙体と
    を備えた発熱体付き機器において、
    該対峙体が請求項1ないし9のいずれか1項の放熱部付き二色成形品よりなり、
    該放熱部付き二色成形品の前記放熱部が該発熱体と直接に又は伝熱材を介して当接していることを特徴とする発熱体付き機器。
  11. 請求項10において、前記放熱部付き二色成形品は前記ケース又は該ケースの蓋の少なくとも一部を構成していることを特徴とする発熱体付き機器。
  12. 請求項10又は11において、前記ケース内に、発熱体が配置された第1の領域と、
    発熱体が配置されていないか又は該発熱体よりも発熱量が少ない低発熱体が設置された第2の領域とが存在しており、
    前記放熱部は、該第1の領域から第2の領域まで連続して延在していることを特徴とする発熱体付き機器。
  13. 請求項10ないし12のいずれか1項において、前記発熱体付き機器は電子機器であり、前記発熱体はCPUであることを特徴とする発熱体付き機器。
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