JP2011110913A - バリアフィルム積層体及び該バリアフィルム積層体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】酸素ガス及び水蒸気に対して優れたバリア性を有し、且つ加熱処理により発泡し難いバリアフィルム積層体及び該バリアフィルム積層体の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明のバリアフィルム積層体は、バリアフィルム同士が粘着剤層を介して貼り合わされたバリアフィルム積層体であって、上記粘着剤層が、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルを主成分とし、該(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルと共重合可能なカルボキシル基含有モノマーとの共重合により得られるアクリル系ポリマー、及びシクロ環を有するエポキシ系架橋剤を含有するアクリル系粘着剤組成物から形成され、120〜150℃の温度範囲内における上記粘着剤層の貯蔵弾性率(E’)が1×10〜1×10Paであり、且つ損失正接(tanδ)が0.01〜0.09であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、酸素ガス及び水蒸気に対して優れたバリア性を有し、且つ加熱処理により発泡し難いバリアフィルム積層体に関する。
食品、医薬品等の包装分野では、酸素ガスや水蒸気の浸入による内容物の変質を防止するため、バリアフィルムが用いられている。また、近年では、電子部材、光学部材等の性能を保持するための包装材料として、より高品質のバリアフィルムが求められている。
バリアフィルムとしては、基材フィルムの表面に無機化合物の蒸着膜を形成したものや、基材フィルム上にバリア性を有する樹脂をコーティングしたもの等がある。また、バリア性をより高めるために、上記無機化合物の蒸着膜と上記バリア性を有する樹脂とを組み合わせたり、バリアフィルム同士を粘着剤で貼り合わせたりする試みもなされている。中でも、バリアフィルム同士の貼り合わせは、バリア性を向上させるために、簡便且つ有効な方法である。
しかしながら、ガスに対して優れたバリア性を有するバリアフィルム同士を貼り合わせた積層体では、積層体内で気泡が発生した場合、気泡は逃げることができず、積層体内に残留するため、透明性の低下、外観不良等の問題が生じる。そのため、最近では、気泡の発生を抑制するために粘着剤の組成を工夫する試みがなされている。
例えば、特許文献1には、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体を主成分とするベースポリマーと、アクリル系架橋モノマーと、架橋開始剤とを含有する粘着剤組成物を架橋してなる粘着剤層を介して、バリアフィルム同士を貼り合わせたものが開示されている。これによれば、バリアフィルム同士の貼り合わせに柔軟な粘着剤を用いることにより、フィルム間に存在し得る異物に起因する気泡の発生を抑制している。
特開2007−169519号公報
ところで、一般に、樹脂フィルムは水分を付着する性質を有するため、フィルムの貼り合わせに際し、加熱処理を施すと、フィルムに付着している水分の影響で気泡が発生することがある。そのため、バリアフィルム同士を貼り合わせた場合には、上述のように、バリア性は向上するものの、発生した気泡が積層体内に残留するため、透明性の低下や外観不良を生じるため、好ましくない。
しかしながら、このようなフィルムに付着した水分が原因で発生する気泡の発生は、バリアフィルム同士の貼り合わせに柔軟な粘着剤を用いる特許文献1に開示された方法では、抑制することができなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、酸素ガス及び水蒸気に対して優れたバリア性を有し、且つ加熱処理により発泡し難いバリアフィルム積層体を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねたところ、バリアフィルム同士の貼り合わせに、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルを主成分とし、該(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルと共重合可能なカルボキシル基含有モノマーとの共重合により得られるアクリル系ポリマー、及びシクロ環を有するエポキシ系架橋剤を含有するアクリル系粘着剤組成物を用い、該粘着剤組成物から形成される粘着剤層を特定の弾性及び粘性とすることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、以下のようなものを提供する。
(1)バリアフィルム同士が粘着剤層を介して貼り合わされたバリアフィルム積層体であって、上記粘着剤層が、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルを主成分とし、該(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルと共重合可能なカルボキシル基含有モノマーとの共重合により得られるアクリル系ポリマー、及びシクロ環を有するエポキシ系架橋剤を含有するアクリル系粘着剤組成物から形成され、120〜150℃の温度範囲内における上記粘着剤層の貯蔵弾性率(E’)が1×10〜1×10Paであり、且つ損失正接(tanδ)が0.01〜0.09であることを特徴とするバリアフィルム積層体。
(2)上記バリアフィルムは、少なくとも一方の最外層が透明導電性膜層であり、該透明導電性膜層が上記バリアフィルム積層体の両方の最外層となるように、上記バリアフィルム同士が上記粘着剤層を介して貼り合わされた(1)に記載のバリアフィルム積層体。
(3)バリアフィルム同士を、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルを主成分とし、該(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルと共重合可能なカルボキシル基含有モノマーとを共重合して得られるアクリル系ポリマー、及びシクロ環を有するエポキシ系架橋剤を含有するアクリル系粘着剤組成物から形成される粘着剤層を介して貼り合わせた後、80〜250℃の範囲内の温度にて加熱処理を施し、120〜150℃の温度範囲内における上記粘着剤層の貯蔵弾性率(E’)が1×10〜1×10Paであり、且つ損失正接(tanδ)が0.01〜0.09であるバリア性を有するフィルム積層体を製造することを特徴とするバリアフィルム積層体の製造方法。
(4)上記バリアフィルムは、少なくとも一方の最外層が透明導電性膜層であり、上記バリアフィルム同士を、上記透明導電性膜層が上記バリアフィルム積層体の両方の最外層となるように、上記粘着剤層を介して貼り合わせた後、80〜250℃の範囲内の温度にて加熱処理を施す(3)に記載のバリアフィルム積層体の製造方法。
(5)(2)に記載のバリアフィルム積層体をフラットパネルディスプレイ用電極として使用したフラットパネルディスプレイ。
本発明によれば、バリアフィルム同士を、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルを主成分とし、該(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルと共重合可能なカルボキシル基含有モノマーとの共重合により得られるアクリル系ポリマー、及びシクロ環を有するエポキシ系架橋剤を含有するアクリル系粘着剤組成物から形成された特定の弾性及び粘性を有する粘着剤層を介して貼り合わせることにより、加熱処理しても発泡し難く、外観不良の問題が生じないバリアフィルム積層体を提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係るバリアフィルム積層体を模式的に示した断面図である。 本発明の第2の実施形態に係るバリアフィルム積層体を模式的に示した断面図である。 粘弾性測定結果を示す図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について、詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
本発明のバリアフィルム積層体は、バリアフィルム同士が粘着剤層を介して貼り合わされたバリアフィルム積層体である。上記粘着剤層は、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルを主成分とし、該(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルと共重合可能なカルボキシル基含有モノマーとの共重合により得られるアクリル系ポリマー、及びシクロ環を有するエポキシ系架橋剤を含有するアクリル系粘着剤組成物から形成され、120〜150℃の温度範囲内における上記粘着剤層の貯蔵弾性率(E’)が1×10〜1×10Paであり、且つ損失正接(tanδ)が0.01〜0.09であることを特徴とする。
本発明のバリアフィルム積層体では、酸素等のガスや水蒸気に対するバリア性を高めるために、バリアフィルム同士を、粘着剤層を介して貼り合わせた。一般に、フィルム等の樹脂素材は吸湿する。そのため、例えば、フィルム同士のラミネートに、ラミネートロールに熱を加える加熱ラミネーションのような方法を用いると、フィルムに付着した水分が加熱により水蒸気となり、気泡が発生する場合がある。特に、水蒸気に対してバリア性のあるフィルム同士を貼り合わせた場合には、水蒸気が抜けないため、気泡が発生しやすい。ガスに対してバリア性のあるフィルム同士の貼り合わせた積層体では、発生した気泡が積層体内に残留し、外観不良の問題が生じる。また、透明性も低下する。このような現象は、液晶パネルや有機EL等のFPD(フラットパネルディスプレイ)の電極として用いられる透明導電性膜フィルムの形成においても生じ得る。透明導電性膜フィルムでは、導電性を向上させるためにアニール処理により結晶化の促進を行う。アニール処理では、透明導電性膜フィルムに熱を加えるため、気泡が発生し得る。透明導電性膜フィルムにおいて発生した気泡は、透明導電性膜がバリアとなるため、抜けない。また、樹脂素材の中には、ポリカーボネートのように、熱を加えることで材料自体から化学的にガスが発生するものがある。このような樹脂素材をバリアフィルムの基材として用いた場合にも気泡が発生し得る。
そこで、本発明では、酸素等のガスや水蒸気に対して高いバリア性を有し、貼り合わせ時又は貼り合わせ後に、加熱処理を施しても発泡し難いバリアフィルム積層体を得るために、バリアフィルム同士を、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルを主成分とし、該(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルと共重合可能なカルボキシル基含有モノマーとの共重合により得られるアクリル系ポリマー、及びシクロ環を有するエポキシ系架橋剤を含有するアクリル系粘着剤組成物から形成された特定の貯蔵弾性率(E’)及び損失正接(tanδ)を示す粘着剤層を介して貼り合わせた。すなわち、本発明では、ある特定の粘着剤材料を用い、粘着剤層の弾性及び粘性を最適化することにより、積層体内における発泡を抑制した。
本発明のバリアフィルム積層体は、バリアフィルムが粘着剤層を介して貼り合わされた構成を有している。このような構成を有していれば、バリアフィルムの貼合数は、特に限定されず、所望のバリア性、透明性、柔軟性等を勘案し、適宜選択することができる。
まず、本発明のバリアフィルム積層体の構成について、図面を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係るバリアフィルム積層体1を模式的に示した断面図である。図1において、バリアフィルム積層体1は、基材2の一方の面にバリア層3が形成されたバリアフィルム11同士が、粘着剤層4を介して貼り合わされている。図1では、基材2とバリア層3とが粘着剤層4を介して対向するように、2枚のバリアフィルム11が貼り合わされているが、これに限定されるものではない。図示してはいないが、粘着剤層4を介してバリア層3同士が対向していてもよく、基材2同士が対向していてもよい。なお、最外層がバリア層3であると、人の手や物が接触するため、傷付きやすく、バリア性の低下が生じやすいため、少なくとも一方の最外層は、バリア層3以外の層であることが好ましい。
また、図2は、本発明の第2の実施形態に係るバリアフィルム積層体1を模式的に示した断面図である。図2において、バリアフィルム積層体1は、一方の最外層にバリア性を有する透明導電性膜層5を備え、且つ他方の最外層に基材2を備えるバリアフィルム11同士が、透明導電性膜層5がバリアフィルム積層体1の両方の最外層となるように、粘着剤層4を介して貼り合わされている。図2では、バリアフィルム11は、基材2と透明導電性膜層5とから形成されているが、基材2と透明導電性膜層5との間に、バリア層3等の他の層を更に備えていてもよい。
以下に、本発明の実施形態に係るバリアフィルム積層体1の各構成について、詳細に説明する。
[バリアフィルム]
本発明において、バリアフィルム11とは、酸素等のガスや水蒸気に対してバリア性を有するフィルム、シート等をいう。本発明では、バリアフィルム11は、特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。また、層構成も限定されず、バリアフィルム11全体としてバリア性を有していれば、バリア性を有さない層を備えていてもよい。バリアフィルム11としては、例えば、基材2の表面に無機酸化物からなる蒸着膜を形成したもの、基材2上にバリア性を有する樹脂をコーティングしたもの、エチレン・ビニルアルコール共重合体等バリア性を有する樹脂からなる基材2等が挙げられる。
[基材]
基材2は、必要な強度や柔軟性を有していれば、特に限定されず、用途に応じて、適宜選択することができる。一般的には、合成樹脂フィルムが用いられる。合成樹脂フィルムの材料としては、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリイミド系樹脂、フェノール系樹脂、ポリウレタン系樹脂等の公知の樹脂が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、単層であってもよいし、2層以上の積層体であってもよい。機械的強度の観点から、1軸延伸や2軸延伸した延伸フィルムが好ましい。なお、本発明では、上記合成樹脂の中でも、透明性、耐熱性、寸法安定性、剛性、柔軟性、積層適性、価格等の観点から、ポリエステル系樹脂を用いることが特に好ましい。
ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリテトラメチレンテレフタレート等が挙げられるが、この中でも、取り扱い易さ、低価格等の観点から、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
基材2の厚みは、特に限定されず、用途に応じて、適宜選択することができる。通常9〜200μm程度であるが、好ましくは12〜175μmであり、より好ましくは12〜150μmである。上記範囲であれば、機械的強度が十分であり、反り、弛み、破断等を生じ難く、作業性が良好であり、また、連続帯状で供給して加工することも可能である。なお、上記の厚さを超えると、過剰性能でコスト高になる場合がある。
基材2の形成方法は、特に限定されず、例えば、溶液流延法、溶融押出法、カレンダー法等の従来公知の製膜方法を用いることができる。また、上記方法によりあらかじめフィルム状に製膜された市販の基材2を使用してもよい。
なお、基材2には、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の公知の易接着処理を行ってもよい。これにより、無機酸化物の蒸着膜からなる層等のバリア層3や透明導電性膜層5との密着性を向上させることができる。
[バリア層]
本発明の第1の実施形態に係るバリアフィルム積層体1を構成するバリアフィルム11では、図1に示すように、基材2の一方の面にバリア層3が形成されている。バリア層3を備えるバリアフィルム11同士を貼り合わせることで、バリア層3を備えるバリアフィルム11単独の場合に比して、バリア性が向上する。
本発明において、バリア層3とは、酸素等のガスや水蒸気に対してバリア性を有する層をいう。バリア性を有する層としては、例えば、無機酸化物の蒸着膜からなる層、エチレン・ビニルアルコール共重合体等のバリア性を有する樹脂からなる層等が挙げられる。以下、バリア層3が無機酸化物の蒸着膜からなる層である場合について説明するが、これに限定されるものではない。
蒸着膜を形成する無機化合物は、酸素等のガスや水蒸気に対してバリア性を有するものであれば、特に限定されず、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化スズ、酸化インジウム、酸化カルシウム、酸化カリウム、酸化ナトリウム、酸化鉛、酸化ホウ素、酸化ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でも、酸化アルミニウム及び酸化ケイ素が、透明性を有し、耐水性に優れ、安価である点において好ましい。
本発明の実施形態に係るバリアフィルム積層体1を構成するバリアフィルム11(図1)では、バリア層3は、上記基材2上に形成されている。なお、本発明では、基材2との間に、別の層を介してバリア層3が形成されていてもよい。上記基材2上に、バリア層3を形成する方法としては、例えば、蒸着、コーティング等が挙げられる。これらの中でも、量産適性を有し、バリア安定性に優れ、且つ高いバリア性能を付与できるという点において、蒸着が好ましい。なお、蒸着方法としては、化学気相成長法(CVD法)及び物理気相成長法(PVD法)が挙げられ、いずれも好適に用いることができる。化学気相成長法としては、例えば、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等が挙げられる。また、物理気相成長法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等が挙げられる。これらの中でも、真空蒸着法やスパッタリング法が、膜厚調整がしやすく、薄膜成型が容易である点において好ましい。真空蒸着法であれば、例えば、基材2を巻き取り式の真空蒸着装置の送り出しロールに装着し、次いで、繰り出した基材2の一方の面に、アルミニウムを蒸着源に用い、酸素ガスを供給しながら、エレクトロンビーム加熱方式(EB)によりバリア層3となる蒸着膜を形成する。
蒸着は、通常、酸素雰囲気下にて行う。製膜室内の圧力は、通常1.33×10−1〜1.33×10−4mbar、好ましくは1.33×10−1〜1.33×10−2mbarに調整する。蒸着温度は、特に限定されず、基材2の耐熱性を考慮し、適宜設定することができる。通常80℃以下であり、好ましくは60℃以下である。膜の蒸着速度も、特に限定されず、用途に応じて適宜設定することができる。通常10〜800m/分程度、好ましくは50〜600m/分程度である。蒸着速度が上記範囲であれば、透明且つ低抵抗の膜を形成することができる。
無機酸化物の蒸着膜からなるバリア層3の厚みは、50〜4000Åであることが好ましく、100〜1000Åであることがより好ましい。上記範囲であれば、酸素等のガスや水蒸気に対して十分なバリア性を発揮し、クラックも発生し難い。
[透明導電性膜層]
本発明の第2の実施形態に係るバリアフィルム積層体1を構成するバリアフィルム11は、図2に示すように、一方の最外層が透明導電性膜層5である。そして、バリアフィルム11は、透明導電性膜層5がバリアフィルム積層体1の両方の最外層となるように、粘着剤層4を介して貼り合わされている。このような構成を有する本発明の第2の実施形態に係るバリアフィルム積層体1は、液晶パネルや有機EL等のFPDの電極として用いることができる。
透明導電性膜層5を形成する化合物としては、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛等が挙げられ、目的・用途に応じて、適宜選択することができる。これらは、単独又は2種以上の混合酸化物として用いることができる。これらの中でも、作業性、価格等の観点から、酸化インジウムスズ(ITO)が好ましい。
透明導電性膜にドープされる酸化スズの含有量は、特に限定されず、デバイスに求められる仕様に応じて適宜、選択することができる。例えば、FPDの電極として用いる場合には、通常5〜25質量%、好ましくは5〜15質量%である。
本発明の実施形態に係るバリアフィルム積層体1を構成するバリアフィルム11(図2)では、透明導電性膜層5は、上記基材2上に形成されている。なお、本発明では、基材2との間に、別の層を介して透明導電性膜層5が形成されていてもよく、例えば、上記バリア層3を介して形成されていてもよい。本発明のバリアフィルム積層体1が、上記バリア層3と上記透明導電性膜層5とを備えている場合には、バリア性の高い透明導電性膜フィルムとなる。上記基材2上に、透明導電性膜層5を形成する方法としては、蒸着がある。蒸着方法としては、化学気相成長法(CVD法)及び物理気相成長法(PVD法)が挙げられ、いずれも好適に用いることができる。化学気相成長法としては、例えば、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等が挙げられる。また、物理気相成長法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等が挙げられる。これらの中でも、スパッタリング法が、安価に製造できる点において好ましい。スパッタリング法では、例えば、基材2の一方の面に、インジウム:錫=90:10(金属、モル比)をターゲットに用い、真空装置内でArとOの混合ガスを導入しながら、スパッタリングにより透明導電性膜層5となるITO膜を形成する。
なお、透明導電性膜層5の厚みは、10〜200nmであることが好ましく、10〜100nmであることがより好ましい。上記範囲であれば、クラックが入り難く、カールが発生し難く、また、透明性に優れるからである。
[粘着剤層]
本発明のバリアフィルム積層体1は、図1,2に示すように、バリアフィルム11同士を、粘着剤層4を介して貼り合わせたものである。このように、バリアフィルム11同士を貼り合わせて積層体1とすることは、バリア性を向上させる方法として、簡便且つ有効なものである。しかしながら、ガスに対してバリア性を有するフィルム同士を貼り合わせたバリアフィルム積層体1では、積層体内において気泡が発生する現象が生じると、発生した気泡がフィルムの外に抜けないため、透明性の低下、外観不良等の問題が生じる。積層体内において発生する気泡は、フィルム等の樹脂素材に付着した水分に由来するもののほか、ポリカーボネートのように材料自体から化学的に発生するものがある。いずれも、フィルムへの加熱により発生する。したがって、フィルムの貼り合わせの際に熱を加えたり、透明導電性膜フィルムに対してアニール処理したりすると、気泡が発生する場合がある。本発明では、貼り合わせ時又は貼り合わせ後に、加熱処理を施しても発泡し難いバリアフィルム積層体1を得るために、バリアフィルム11同士を、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルを主成分とし、該(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルと、共重合可能なカルボキシル基含有モノマーとの共重合により得られるアクリル系ポリマー、及びシクロ環を有するエポキシ系架橋剤を含有するアクリル系粘着剤組成物から形成され、120〜150℃の温度範囲内における上記粘着剤層4の貯蔵弾性率(E’)が1×10〜1×10Paであり、且つ損失正接(tanδ)が0.01〜0.09である粘着剤層4を介して貼り合わせた。すなわち、本発明では、ある特定の粘着剤材料を用い、高弾性・低粘性の粘着剤層4を形成することにより、発泡を抑制した。
本発明の粘着剤層4を形成するアクリル系粘着剤組成物は、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルを主成分とし、該(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルと共重合可能なカルボキシル基含有モノマーとの共重合により得られるアクリル系ポリマー、及びエポキシ系架橋剤を含有する。ここで、主成分とは、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルを51重量%以上含有することを意味する。(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸4−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸3−エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−エトキシブチル等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて主成分としてもよい。
上記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルと共重合可能なカルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸β−カルボキシエチル、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルと、上記カルボキシル基含有モノマーとの混合比は、粘着剤層4が所望の弾性及び粘性を示すものであれば、特に限定されず、適宜、設定することができる。好ましくは、上記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル65〜99.9質量%に対して、上記カルボキシル基含有モノマーが0.1〜10質量%、その他共重合可能なモノマーが0〜34.9質量%である。
上記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルと、上記カルボキシル基含有モノマーとの共重合により得られるアクリル系ポリマーの質量平均分子量は、粘着剤層4が所望の弾性及び粘性を示すものであれば、特に限定されないが、600,000以上であることが好ましく、600,000〜1,500,000の範囲内であることがより好ましく、800,000〜1,500,000の範囲内であることが更により好ましい。上記範囲であれば、高温時にした際に発生する水蒸気、ガスを抑制できるからである。なお、上記質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した値である。
上記アクリル系粘着剤の市販品としては、例えば、SKダイン2950(綜研化学株式会社製)を好適に用いることができる。
エポキシ系架橋剤としては、シクロ環を有するものであれば、特に限定されないが、カルボキシル基との反応性に優れるという観点から、多官能エポキシ系化合物が好ましい。シクロ環を有するエポキシ系架橋剤とすれば、架橋速度が速く、凝集力が強いため、発泡抑制にとって好ましい高弾性及び低粘性の粘着剤層4を形成することができる。
上記エポキシ系架橋剤の市販品としては、例えば、E−5C(シクロ環にエポキシ基が4つ結合した多官能エポキシ系化合物,綜研化学株式会社製)を好適に用いることができる。
上記エポキシ系架橋剤の含有量は、粘着剤層4が所望の弾性及び粘性を示す量であれば、特に限定されず、適宜、設定することができる。通常、粘着剤固形分100質量部に対して0.01〜10質量部であり、好ましくは0.01〜5質量部である。上記範囲であれば、粘着剤層4に良好な接着性、密着性、耐熱性、耐久性、作業性を付与することができる。
その他、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて、粘着付与剤、金属キレート剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、着色剤、耐電防止剤、防腐剤、消泡剤、ぬれ性調整剤等の各種添加剤を配合することができる。
粘着剤層4の形成方法としては、特に限定されず、例えば、印刷、コーティング等による方法が挙げられる。粘着剤層4の厚みは、粘着剤層4と接する層の状態、形状等を勘案し、接着性と密着性とを損なわない範囲で、適宜選択することができる。通常、5〜100μm、好ましくは10〜50μmである。上記範囲であれば、粘着物性が安定する。なお、厚みが5μm未満であると、十分な接着強度が得られない場合があり、100μmを超えると、光線透過率等の光学特性に悪影響を及ぼす場合がある。
本発明のバリアフィルム積層体1では、粘着剤層4は、120〜150℃の温度範囲内における貯蔵弾性率(E’)が1×10〜1×10Paの範囲にあり、1×10〜1×10Paの範囲にあることが好ましい。貯蔵弾性率(E’)は、粘着剤層4の硬度を反映する物性の1つであり、例えば、測定装置として、ティー・エイ・インスツルメント社製の固体粘弾性アナライザーRSA−IIIを用い、JIS K7244−1に準拠した動的粘弾性測定法(アタッチメントモード:圧縮モード,周波数:1Hz,温度:−50〜150℃)にて測定することができる。本発明では、フィルムへの加熱による発泡の抑制を目的とするため、120〜150℃の温度範囲内における貯蔵弾性率(E’)の値を指標とした。120〜150℃の温度範囲内における貯蔵弾性率(E’)が1×10Pa以上であれば、粘着剤層4と被貼合層との間に空間が生じ難いので、発泡し難く、また、1×10Pa以下であれば、粘着剤層4が硬すぎることがなく適度に伸びるため、フィルムの凹凸に十分追従できるからである。
また、同測定において、120〜150℃の温度範囲内における損失正接(tanδ)が0.01〜0.09の範囲にあり、0.02〜0.09の範囲にあることが好ましい。損失正接(tanδ)は、応力緩和挙動(力が加わった場合の変形の遅れ)を示すパラメーターの1つである。損失正接(tanδ)の値が小さいとフィルムの緩和挙動が速く、値が大きいと応力緩和が遅いことを示す。120〜150℃の温度範囲内における損失正接(tanδ)の値が0.01〜0.09であれば、粘着剤層4の変形に対する復元挙動が瞬間的に起こることがない。そのため、加熱によりガスや水蒸気が発生した場合であっても、これらを粘着剤層4で押さえることにより、気泡の発生を防ぐことができる。
[バリアフィルム積層体]
本発明のバリアフィルム積層体1は、酸素等のガスや水蒸気に対してバリア性を有するバリアフィルム11を貼り合わせ、更に、高いバリア性を付与したものである。また、積層体内において、加熱処理による発泡が生じ難いので、透明性の低下や外観不良の問題が生じない。したがって、本発明のバリアフィルム積層体1によれば、ガスや水蒸気に対して優れた遮断性を示し、内容物のガスや水蒸気による劣化、変質を防止することができるだけでなく、内容物を良好に視認することができるので、飲食品、医薬品、電子部材、化学品、日用品等の種々の物品の包装材料として好適に使用することができる。また、本発明のバリアフィルム積層体1は、ガスや水蒸気の影響により性能の劣化が生じやすく、高い透明性が求められる電子ペーパーの電気泳動式インクの保護材、太陽電池用バックシート、及び液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等のディスプレイ用基板としても好適に使用することができる。なお、本発明のバリアフィルム積層体1をディスプレイ用基板として使用する方法としては、例えば、ディスプレイの2枚のガラス基板の代わりに、又はガラス基板の外側に適用する方法が挙げられる。これにより、ディスプレイ素子を水蒸気等から保護することができる。更に、本発明のバリアフィルム積層体1は、少なくとも一方の最外層が透明導電性膜層5であるバリアフィルム11同士を、透明導電性膜層5がバリアフィルム積層体1の両方の最外層となるように貼り合わせることで、液晶パネルや有機EL等のFPD(フラットパネルディスプレイ)の電極として使用することができる。
本発明のバリアフィルム積層体1は、高い透明性を有することが好ましい。例えば、可視域(380〜780nm)における光透過率が85%以上であることが好ましい。なお、必ずしも無色透明である必要はなく、着色された透明であってもよい。なお、光透過率は、市販の分光光度計、例えば、島津製作所社製のUV−3100PCを用いて測定(JIS−Z8701準拠)することができる。
次に、本発明のバリアフィルム積層体1の製造方法について説明する。なお、上述した本発明のバリアフィルム積層体1と共通する部分についての説明は、省略する。
バリアフィルム積層体1の製造方法は、バリアフィルム同士を、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルを主成分とし、該(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルと共重合可能なカルボキシル基含有モノマーとを共重合して得られるアクリル系ポリマー、及びシクロ環を有するエポキシ系架橋剤を含有するアクリル系粘着剤組成物から形成される粘着剤層4を介して貼り合わせた後、80〜250℃の範囲内の温度にて加熱処理を施し、120〜150℃の温度範囲内における上記粘着剤層4の貯蔵弾性率(E’)が1×10〜1×10Paであり、且つ損失正接(tanδ)が0.01〜0.09であるバリア性を有するバリアフィルム積層体1を製造することを特徴とする。
本発明のバリアフィルム積層体1の製造方法では、バリアフィルム11同士の貼り合わせに、上記粘着剤層4を使用することにより、フィルムへの加熱による発泡が生じ難くなる。したがって、バリアフィルム11同士を貼り合わせて、ガスや水蒸気が積層体内から抜けない状態になった後に加熱処理を施す場合であっても、透明性の低下や外観不良の問題が生じるおそれがない。なお、本発明における加熱処理としては、例えば、加熱を伴うラミネート加工、アニール処理、エージング処理、熱シール加工等が挙げられる。
本発明のバリアフィルム積層体1を、透明導電性膜フィルムとして使用する場合には、少なくとも一方の最外層が透明導電性膜層5であるバリアフィルム11同士を、透明導電性膜層5がバリアフィルム積層体1の両方の最外層となるように、上記粘着剤層4を介して貼り合わせた後、80〜250℃の範囲内の温度にて加熱処理を施すことにより製造するとよい。透明導電性膜フィルムでは、導電性を向上させるためにアニール処理により結晶化の促進を行うが、アニール処理では、透明導電性膜フィルムに熱を加えるため、フィルムに付着した水分由来の気泡が発生し得る。かかる気泡は、透明導電性膜層5により遮断されて抜けないため、透明性の低下の原因となる。しかしながら、上記粘着剤層4を使用することにより、発泡が生じ難くなれば、このような問題は生じない。
貼り合わせたバリアフィルム11に施される加熱処理の温度は、80〜250℃である。かかる温度範囲は、バリアフィルム11同士を貼り合わせに必要であり、且つ発泡し得る温度を指標に規定したものである。加熱を伴うラミネート加工によりバリアフィルム11同士を貼り合わせる場合には、通常80〜170℃、好ましくは120〜150℃にて加熱処理を行う。なお、樹脂に付着した水分由来の気泡が発生するのは、100℃以上の場合であり、また、ポリカーボネートのような樹脂自体から化学的に気泡が発生するのは、80℃以上の場合である。本発明のバリアフィルム積層体1を、透明導電性膜フィルムとして使用する場合には、加熱処理の温度は、通常80〜250℃である。これは、アニール処理可能な温度範囲である。80℃未満の温度にてアニール処理を行うと、結晶化に長い時間を要し、250℃を超える温度にてアニール処理を行うと、基材2がダメージを受け、品質が悪くなる場合がある。なお、アニール処理は、製造時間、品質等を考慮し、通常120〜200℃にて0.5〜5時間行い、好ましくは120〜150℃にて1〜5時間行う。
以下、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に何ら制限を受けるものではない。
[実施例1]
アクリル系粘着剤(商品名:SKダイン2950,固形分:36%,綜研化学社製)100質量部に対して、エポキシ系架橋剤(商品名:E−5C,固形分:5%,綜研化学社製)を1.94質量部配合し、トルエン20質量部で希釈し、十分分散させて粘着剤層形成用塗工液を調製した。そして、バリアフィルム(商品名:KH300N03−50U3L,透明導電性膜層の厚さ:50nm,尾池工業株式会社製)の透明導電性膜を形成していない方の面に、乾燥後の膜厚が25μmとなるように、アプリケータを用いて、上記方法により形成した粘着剤層形成用塗工液を全面塗工し、粘着剤層を形成した。次いで、該粘着剤層の塗工面に、別のバリアフィルムの基材の透明導電性膜を形成していない方の面を重ね合わせ、2kg荷重のローラーにて貼着した後、アニール処理(150℃,1.5時間)し、実施例1のバリアフィルム積層体を得た。
[比較例1]
アクリル系粘着剤(商品名:SKダイン2950,固形分:36%,綜研化学社製)100質量部に対して、エポキシ系架橋剤(商品名:E−5XM,固形分:5%,綜研化学社製)を1.94質量部配合し、トルエン20質量部で希釈し、十分分散させて粘着剤層形成用塗工液を調製した。そして、バリアフィルム(商品名:KH300N03−50U3L,透明導電性膜層の厚さ:50nm,尾池工業株式会社製)の透明導電性膜を形成していない方の面に、乾燥後の膜厚が25μmとなるように、アプリケータを用いて、上記方法により形成した粘着剤層形成用塗工液を全面塗工し、粘着剤層を形成した。次いで、該粘着剤層の塗工面に、別のバリアフィルムの基材の透明導電性膜を形成していない方の面を重ね合わせ、2kg荷重のローラーにて貼着した後、アニール処理(150℃,1.5時間)し、比較例2のバリアフィルム積層体を得た。
[比較例2]
アクリル系粘着剤(商品名:SKダイン2094,固形分:25%,綜研化学社製)100質量部に対して、エポキシ系架橋剤(商品名:E−5XM,固形分:5%,綜研化学社製)を1.94質量部配合し、トルエン20質量部で希釈し、十分分散させて粘着剤層形成用塗工液を調製した。そして、バリアフィルム(商品名:KH300N03−50U3L,透明導電性膜層の厚さ:50nm,尾池工業株式会社製)の透明導電性膜を形成していない方の面に、乾燥後の膜厚が25μmとなるように、アプリケータを用いて、上記方法により形成した粘着剤層形成用塗工液を全面塗工し、粘着剤層を形成した。次いで、該粘着剤層の塗工面に、別のバリアフィルムの基材の透明導電性膜を形成していない方の面を重ね合わせ、2kg荷重のローラーにて貼着した後、アニール処理(150℃,1.5時間)し、比較例1のバリアフィルム積層体を得た。
[発泡の確認]
まず、上記実施例1及び比較例1,2のバリアフィルム積層体における発泡の有無を確認した。確認は目視にて行った。結果を表1に示す。
Figure 2011110913
粘着剤層の材料として、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルを主成分とする粘着剤であるSKダイン2950と、シクロ環を有するエポキシ系架橋剤であるE−5Cとを用いたバリアフィルム積層体では、発泡が認められなかった(実施例1)。これに対して、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルを主成分とする粘着剤であるSKダイン2950と、シクロ環を有さず、ベンゼン環を有するエポキシ系架橋剤であるE−5XMとを用いたバリアフィルム積層体では、発泡が認められた(比較例1)。また、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする粘着剤であるSKダイン2094と、シクロ環を有さず、ベンゼン環を有するエポキシ系架橋剤であるE−5XMとを用いたバリアフィルム積層体でも、発泡が認められた(比較例2)。
[貯蔵弾性率(E’)及び損失正接(tanδ)の測定]
次に、粘着剤層の貯蔵弾性率(E’)及び損失正接(tanδ)を測定した。まず、試験サンプルの作成方法について説明する。二次剥離シート(PETフィルム,商品名:セラピールBX−9,膜厚:38μm,東レフィルム加工社製)上に、乾燥後の膜厚が25μmとなるように、アプリケータを用いて、上記方法により形成した粘着剤層形成用塗工液(実施例1,比較例1,2)を全面塗工し、粘着剤層を形成した。そして、乾燥後の上記粘着剤層の塗工面に、一次剥離シート(PETフィルム,商品名:セラピールMFA,膜厚:38μm,東レフィルム加工社製)をラミネートした後、エージング処理(40℃,3日)し、保護フィルムを得た。その後、一次剥離シートを剥がした後、上記粘着剤層を、気泡が混入しないように、二次剥離シートから剥離しながらロール状に巻き取り、試験サンプルである粘着剤層(直径6.5mm程度,高さ5.0mm程度の円柱状)を得た。
試験サンプルを固体粘弾性アナライザー(製品名:RSA−III,ティー・エイ・インスツルメント社製)にセットし、JIS K7244−1に準拠した動的粘弾性測定法(アタッチメントモード:圧縮モード,周波数:1Hz,測定温度範囲:−50〜150℃)により、貯蔵弾性率(E’)及び損失正接(tanδ)を測定した。結果を図3に示す。
発泡が認められなかった実施例1のバリアフィルム積層体の粘着剤層の120〜150℃の温度範囲における貯蔵弾性率(E’)は1×10〜2×10Paであり、損失正接(tanδ)は0.04〜0.09であった。これに対して、発泡が認められた比較例1のバリアフィルム積層体の粘着剤層の貯蔵弾性率(E’)は1×10〜2×10Paであり、損失正接(tanδ)は、0.10〜0.15であった。また、比較例1と同様に発泡が認められた比較例2のバリアフィルム積層体の粘着剤層の貯蔵弾性率(E’)は6×10〜8×10Paであり、損失正接(tanδ)は、0.26〜0.27であった。
以上のことから、バリアフィルム同士の貼り合わせに使用する粘着剤層の材料として、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルを主成分とし、該(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルと共重合可能なカルボキシル基含有モノマーとの共重合により得られるアクリル系ポリマーである粘着剤と、シクロ環を有するエポキシ系架橋剤とを選択し、高弾性且つ低粘性の粘着剤層とすることにより、加熱処理による発泡が生じないことが明らかとなった。
1 バリアフィルム積層体
2 基材
3 バリア層
4 粘着剤層
5 透明導電性膜層
11 バリアフィルム

Claims (5)

  1. バリアフィルム同士が粘着剤層を介して貼り合わされたバリアフィルム積層体であって、
    前記粘着剤層が、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルを主成分とし、前記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルと共重合可能なカルボキシル基含有モノマーとの共重合により得られるアクリル系ポリマー、及びシクロ環を有するエポキシ系架橋剤を含有するアクリル系粘着剤組成物から形成され、
    120〜150℃の温度範囲内における前記粘着剤層の貯蔵弾性率(E’)が1×10〜1×10Paであり、且つ損失正接(tanδ)が0.01〜0.09であることを特徴とするバリアフィルム積層体。
  2. 前記バリアフィルムは、少なくとも一方の最外層が透明導電性膜層であり、
    前記透明導電性膜層が前記バリアフィルム積層体の両方の最外層となるように、前記バリアフィルム同士が前記粘着剤層を介して貼り合わされた請求項1に記載のバリアフィルム積層体。
  3. バリアフィルム同士を、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルを主成分とし、前記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルと共重合可能なカルボキシル基含有モノマーとを共重合して得られるアクリル系ポリマー、及びシクロ環を有するエポキシ系架橋剤を含有するアクリル系粘着剤組成物から形成される粘着剤層を介して貼り合わせた後、80〜250℃の範囲内の温度にて加熱処理を施し、
    120〜150℃の温度範囲内における前記粘着剤層の貯蔵弾性率(E’)が1×10〜1×10Paであり、且つ損失正接(tanδ)が0.01〜0.09であるバリア性を有するバリアフィルム積層体を製造することを特徴とするバリアフィルム積層体の製造方法。
  4. 前記バリアフィルムは、少なくとも一方の最外層が透明導電性膜層であり、
    前記バリアフィルム同士を、前記透明導電性膜層が前記バリアフィルム積層体の両方の最外層となるように、前記粘着剤層を介して貼り合わせた後、80〜250℃の範囲内の温度にて加熱処理を施す請求項3に記載のバリアフィルム積層体の製造方法。
  5. 請求項2に記載のバリアフィルム積層体をフラットパネルディスプレイ用電極として使用したフラットパネルディスプレイ。
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