以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るプロジェクターの光学系を示す図である。図2は、光源装置の断面図である。
図1、図2を参照して、プロジェクター1の光学系の構成および動作を説明する。
なお、本実施形態を説明する図面(図1、図2、および以降で説明する図3〜図5)において、光源装置110から被照明領域側に向けて射出される光束の照明光軸Lの方向をX軸方向、X軸方向に直交して図1における紙面に平行な方向をY軸方向、X軸方向に直交して図1における紙面に垂直な方向をZ軸方向、としたXYZ直交座標系で示す。また、光束の進む方向を+X方向、+X方向からみて左方向を+Y方向、+X方向からみて上方向を+Z方向とする。
本実施形態に係るプロジェクター1は、光学系を有して構成されている。光学系は、光源装置110から射出された光束を画像信号に基づき変調して光学像を形成し、投写光学系600を介してスクリーンSなどの投写対象面に投写画像を形成するものである。
プロジェクター1の光学系は、図1に示すように、インテグレーター照明光学系100と、色分離導光光学系200と、光学変調装置と、色合成光学系と、投写光学系600と、を有して構成されている。インテグレーター照明光学系100は、光源装置110から射出された光束を照明光軸Lに直交する面内における照度を均一にするための光学系である。色分離導光光学系200は、インテグレーター照明光学系100からの照明光束を赤色(R)、緑色(G)、および青色(B)の3つの色光に分離して被照明領域に導光する光学系である。
光学変調装置は、色分離導光光学系200で分離された3つの色光のそれぞれを、画像信号に基づき変調する光学系であり、赤色(R)、緑色(G)、および青色(B)の3つの色光に対応させて3つの液晶装置400R,400G,400Bを用いている。色合成光学系は、光学変調装置(3つの液晶装置400R,400G,400B)によって変調された光学像を合成する光学系であり、クロスダイクロイックプリズム500を用いている。投写光学系600は、色合成光学系(クロスダイクロイックプリズム500)によって合成された光学像をスクリーンSなどの投写対象面に投写する光学系である。
インテグレーター照明光学系100は、被照明領域側に照明光束を射出する光源装置110と、光源装置110からの集束光を略平行光として射出する凹レンズ119と、凹レンズ119から射出される照明光束を複数の部分光束に分割するための複数の第1小レンズ122を有する第1レンズアレイ120と、を有する。また、インテグレーター照明光学系100は、第1レンズアレイ120の複数の第1小レンズ122に対応する複数の第2小レンズ132を有する第2レンズアレイ130と、第2レンズアレイ130からの各部分光束を偏光方向の揃った略1種類の直線偏光に変換して射出する偏光変換素子140と、偏光変換素子140から射出される各部分光束を被照明領域で重畳させるための重畳レンズ150と、を有する。
光源装置110は、図1、図2に示すように、リフレクター10と、リフレクター10の第1焦点近傍に発光中心を有する発光管20と、管球部30で射出した光束を反射する複数の反射部材(本実施形態では、第1反射部材70、第2反射部材80)で構成される副鏡60とを有する。そして、光源装置110は、照明光軸Lを中心軸とする光束を射出する。
なお、光源装置110の構成および動作の詳細な説明は、プロジェクター1の光学系を説明した後に行う。
凹レンズ119は、図1に示すように、リフレクター10の被照明領域に配置されている。そして、リフレクター10からの光を第1レンズアレイ120に向けて射出するように構成されている。
第1レンズアレイ120は、凹レンズ119からの光を複数の部分光束に分割する光束分割光学素子としての機能を有し、複数の第1小レンズ122が照明光軸Lと直交する面内に複数行、複数列のマトリクス状に配列された構成を有する。第1小レンズ122の外形形状は、液晶装置400R,400G,400Bの画像形成領域の外形形状に対して相似形となる。
第2レンズアレイ130は、重畳レンズ150と共に、第1レンズアレイ120の各第1小レンズ122の像を液晶装置400R,400G,400Bの画像形成領域近傍に結像させる機能を有する。第2レンズアレイ130は、第1レンズアレイ120と略同様の構成を有し、複数の第2小レンズ132が照明光軸Lと直交する面内に複数行、複数列のマトリクス状に配列された構成を有する。
偏光変換素子140は、第1レンズアレイ120により分割された各部分光束の偏光方向を、偏光方向の揃った略1種類の直線偏光として射出する偏光素子である。偏光変換素子140は、光源装置110から射出された光束に含まれる偏光成分のうち一方の直線偏光成分を透過し、他方の直線偏光成分を照明光軸Lに垂直な方向に反射する偏光分離層と、偏光分離層で反射された他方の直線偏光成分を照明光軸Lに平行な方向に反射する反射層と、偏光分離層を透過した一方の直線偏光成分を他方の直線偏光成分に変換する位相差板とを有する。
重畳レンズ150は、第1レンズアレイ120、第2レンズアレイ130、および偏光変換素子140を通過した複数の部分光束を集光して液晶装置400R,400G,400Bの画像形成領域近傍に重畳させるための光学素子である。重畳レンズ150は、重畳レンズ150の光軸とインテグレーター照明光学系100の照明光軸Lとが略一致するように配置されている。なお、重畳レンズ150は、複数のレンズを組み合わせた複合レンズで構成されていてもよい。
色分離導光光学系200は、ダイクロイックミラー210,220と、反射ミラー230,240,250と、入射側レンズ260と、リレーレンズ270とを有する。色分離導光光学系200は、重畳レンズ150から射出される照明光束を、赤色光、緑色光、青色光の3つの色光に分離して、それぞれの色光を照明対象となる3つの液晶装置400R,400G,400Bに導く機能を有する。
液晶装置400R,400G,400Bは、画像信号に基づき照明光束を変調するものであり、インテグレーター照明光学系100の照明対象となる。液晶装置400R,400G,400Bは、一対の透明なガラス基材に電気光学物質である液晶を密閉封入したものであり、例えば、ポリシリコンTFTをスイッチング素子として、入力された画像信号に従い、後述する入射側偏光板から射出された1種類の直線偏光の偏光方向を変調する。
液晶装置400R,400G,400Bの光路前段には、集光レンズ300R,300G,300Bが配置されている。なお、図示省略しているが、集光レンズ300R,300G,300Bと、各液晶装置400R,400G,400Bとの間には、それぞれ入射側偏光板が介在配置され、各液晶装置400R,400G,400Bと、クロスダイクロイックプリズム500との間には、それぞれ射出側偏光板が介在配置されている。これらの入射側偏光板、液晶装置400R,400G,400B、および射出側偏光板によって入射する各色光の光変調が行われる。
クロスダイクロイックプリズム500は、射出側偏光板から射出された色光毎に変調された光学像を合成してカラー画像を形成する光学装置である。このクロスダイクロイックプリズム500は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた略X字状の界面には、誘電体多層膜が形成されている。略X字状の一方の界面に形成された誘電体多層膜は、赤色光を反射するものであり、他方の界面に形成された誘電体多層膜は、青色光を反射するものである。これらの誘電体多層膜によって赤色光、青色光は曲折され、緑色光の進行方向と揃えられることにより、3つの色光が合成される。
クロスダイクロイックプリズム500から射出されたカラー画像は、投写光学系600によって拡大投写され、投写対象面としてのスクリーンSに投写画像を形成する。
なお、プロジェクター1には、冷却機構(図示省略)が配設されている。冷却機構は、少なくとも光源装置110を冷却する冷却ファン(図示省略)と、冷却ファンからの冷却風を流動する冷却用流路(図示省略)とを有する。なお、冷却機構は、光源装置110のみならず、他の光学系構成要素(例えば、液晶装置400R,400G,400Bなど)を冷却する構成としてもよい。
図3は、副鏡を構成する反射部材を示す斜視図であり、図3(a)は、副鏡を構成する第1反射部材を示す斜視図であり、図3(b)は、副鏡を構成する第2反射部材を示す斜視図である。図4は、反射部材を合わせて副鏡を構成した斜視図である。また、図4は、図3に示す反射部材を副鏡として発光管に組み立てる組立図としても示している。図5は、管球部の中心から照明光軸に垂直な平面で切断した状態の管球部と副鏡との概略断面図である。
図3〜図5を参照(適宜、図1、図2を参照)して、光源装置110の構成および動作を説明する。
光源装置110は、図1、図2に示すように、リフレクター10と、リフレクター10の第1焦点近傍に発光中心を有する発光管20と、管球部30で射出した光束を反射する複数の反射部材(本実施形態では、第1反射部材70、第2反射部材80)で構成される副鏡60とを有する。そして、光源装置110は、照明光軸Lを中心軸とする光束を射出する。
リフレクター10は、図2に示すように、楕円面状の凹面111を有するリフレクター本体11と、後述する発光管20の封止部(一方の封止部)40の端部を挿入して固着するための筒部12とを備えて一体に形成されている。また、リフレクター本体11の凹面111上には、高反射率の反射層13が形成されている。
また、筒部12は、反射層13およびリフレクター本体11の中心部から反射層13の反対側の面に延設された筒状体である。その筒部12の内側には、後述する発光管20の封止部40の端部を挿通して固着するための開口部121が形成されている。なお、後述する発光管20は、封止部40の端部を開口部121に挿通し、開口部121と封止部40との隙間にセメントなどの無機系接着剤Cを充填することにより、リフレクター10の筒部12に固着されている。
リフレクター10(リフレクター本体11、筒部12)を構成する基材の材料としては、例えば結晶化ガラスやアルミナ(Al2O3)などを好適に用いることができる。反射層13は、例えば酸化チタン(TiO2)と酸化シリコン(SiO2)との誘電体多層膜で形成されている。
発光管20は、図2に示すように、照明光軸Lに沿って、球状の管球部30と、管球部30の両側に延びる一対の円柱状の封止部40,50と、を有する。また、発光管20は、管球部30に内蔵して照明光軸Lに沿って近接対向して配置された一対の電極42,52と、一対の封止部40,50内にそれぞれ封止された一対の金属箔44,54と、一対の金属箔44,54にそれぞれ電気的に接続された一対のリード線46,56と、を有する。
なお、発光管20の構成要素の条件などを例示的に示すと、管球部30および封止部40,50は、例えば石英ガラス製であり、管球部30内には、水銀、希ガス、および少量の金属ハロゲン化物が封入されている。電極42,52は、例えばタングステン電極であり、金属箔44,54は、例えばモリブデン箔である。リード線46,56は、例えばモリブデンまたはタングステンから構成されている。また、発光管20としては、高輝度発光する種々の発光管を採用でき、例えば高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプなどを採用できる。
副鏡60は、図2、図4、図5に示すように、管球部30の略半分を覆い、リフレクター10の凹面111と対向して配置され、管球部30で射出した光束を管球部30に反射する部材である。副鏡60は、反射面の形状が異なる複数の反射部材で構成されている。本実施形態では、副鏡60は、図3に示すように、反射層73,83の形状が異なる第1反射部材70と第2反射部材80との2種類の反射部材で構成されている。また、副鏡60は、図4に示すように、3つの第1反射部材70と3つの第2反射部材80とを有し、第1反射部材70と第2反射部材80との後述する筒部72,82の側面を交互に接触させて配置することで、1つの副鏡60が構成されている。
図3(a)に示すように、第1反射部材70は、凹面711を有する反射部材本体71と、副鏡60として発光管20の封止部(他方の封止部)50を挿通して固定するための固定用開口部721を有して形成される筒部72とを備えて形成されている。また、反射部材本体71の凹面711上には、高反射率の反射面としての反射層73が形成されている。
図3(b)に示すように、第2反射部材80も、第1反射部材70と同様に、凹面811を有する反射部材本体81と、副鏡60として発光管20の封止部(他方の封止部)50を挿通して固定するための固定用開口部821を有して形成される筒部82とを備えて形成されている。また、反射部材本体81の凹面811上には、第1反射部材70と同様に、高反射率の反射面としての反射層83が形成されている。
なお、第1反射部材70と第2反射部材80は、図4、図5に示すように、副鏡60として完成させた場合、照明光軸Lを中心として約60度に等分割した円弧形状および側面形状として形成されている。
副鏡60(第1反射部材70、第2反射部材80)において、反射部材本体71,81、および筒部72,82を構成する材料としては、例えば石英ガラスを用いている。反射層73,83は、例えば酸化タンタル(Ta2O3)と酸化シリコン(SiO2)との誘電体多層膜で形成されている。
なお、第1反射部材70(反射部材本体71および筒部72)は、本実施形態では、管状の石英ガラスを用いて、ブロー成形により形成し、その後、切削などを含む二次加工を行うことで形成している。この成形方法以外に、板状ガラスに熱を加えてプレスして成形することも可能である。この場合、凹面711の形状が高精度に形成される。なお、第2反射部材80も第1反射部材70と同様に形成される。
副鏡60の組み立ては、第1反射部材70および第2反射部材80の筒部72,82の側面を交互に接触させて接続することにより、図4に示すような副鏡60が完成する。なお、このとき、筒部72,82の外周を案内するリング状の案内部材(図示省略)を用いて、この案内部材を基準にして、筒部72,82が交互に接続するように挿入する。そして、この状態の副鏡60に対して、筒部72,82の固定用開口部721,821に発光管20の封止部50を挿通し、固定用開口部721,821と封止部50との隙間にセメントなどの無機系接着剤Cを充填して硬化させることで、副鏡60(筒部72,82)は、発光管20(封止部50)に固着(図2参照)される。その後、案内部材を取り去る。
第1反射部材70と第2反射部材80との異なる部分は、反射面としての反射層73,83の形状が異なる(反射層73,83を形成するベースとなる凹面711,811の形状が異なる)ことである。詳細には、凹面711,811の曲率などが異なっている。そして、本実施形態では、図2、図5に示すように、第1反射部材70と第2反射部材80とを組み立てて副鏡60とした場合、第1反射部材70の照明光軸Lから反射層73までの距離A1が、第2反射部材80の照明光軸Lから反射層83までの距離A2に比べて大きくなるように構成されている。なお、第1反射部材70と第2反射部材80の反射部材本体71,81の厚さ、筒部72,82の厚さ、および反射層73,83の厚さはそれぞれ略同様の厚さとしている。
また、図2、図4、図5に示すように、管球部30の上部に対向して第1反射部材70が位置するように配置し、管球部30の下部に対向して第2反射部材80が位置するように配置している。これにより、照明光軸Lから第1反射部材70の反射層73までの距離A1は、照明光軸Lから第2反射部材80の反射層83までの距離A2に比べて大きくなっている。従って、管球部30の上部と第1反射部材70の反射層73までの距離B1は、管球部30の下部と第2反射部材80の反射層83までの距離B2に比べて大きくなっている。言い換えると、管球部30の上部から第1反射部材70の反射層73にかけての空間領域が、管球部30の下部から第2反射部材80の反射層83にかけての空間領域に比べて広くなっている。
また、図4、図5に示すように、隣り合う第1反射部材70と第2反射部材80との間には、照明光軸Lから第1反射部材70の外形(反射部材本体71の外形)、および照明光軸Lから第2反射部材80の外形(反射部材本体81の外形)までの距離を異ならせることにより隙間Dを有している。
プロジェクター1には、光源装置110を冷却する前述した冷却ファン(図示省略)が備えられており、冷却ファンからの冷却風は、図5に、矢印Eで示すように、副鏡60の−Y方向(略水平方向)から+Y方向に向かって吐出(送風)されている。詳細には、冷却風(矢印E)は副鏡60の照明光軸Lに略垂直で、略水平な方向から吐出されている。
次に、図5を参照して、上述したように構成される副鏡60に対して、矢印Eで示す冷却風が照明光軸Lに略垂直で、副鏡60の−Y方向(略水平方向)から+Y方向に向かって吐出(送風)された場合の、冷却風(矢印E)の流動の仕方と、冷却風(矢印E)による発光管20(管球部30)に対する冷却動作を説明する。
冷却風(矢印E)は、副鏡60の隙間Dから副鏡60内部に流入して管球部30を冷却する。詳細には、冷却風(矢印E)は、管球部30の上部に位置する第1反射部材70の側面部の隙間D1から副鏡60内部に、冷却風(矢印E1)として分岐されて流入する。流入した冷却風(矢印E1)は、距離B1を有する管球部30の上部を流動することで、管球部30の上部の熱を冷却する。そして冷却風(矢印E1)は+Y方向の隙間D3またはD4などから流出する。
一方、冷却風(矢印E)は、副鏡60の−Z側に位置する第1反射部材70の側面部の隙間D2から副鏡60内部に、冷却風(矢印E2)として分岐されて流入する。流入した冷却風(矢印E2)は、距離B2を有する管球部30の下部を流動することで、管球部30の下部の熱を冷却する。そして冷却風(矢印E2)は+Y方向の隙間D4などから流出する。なお、分岐された冷却風(矢印E2)は、距離B2を有する管球部30の下部に至る前に隙間D5から流出する場合もある。
このように、冷却風(矢印E1)は、距離B1を有する管球部30の上部を流動する場合、距離B2を有する管球部30の下部を流動する冷却風(矢印E2)に比べて、距離B1(距離A1)が距離B2(距離A2)より大きい(空間領域が広い)ことにより、流動し易くなっている。従って、管球部30の上部の温度が、下部の温度に比べて、冷却され易くなる。これにより、管球部30の上部の温度と、下部の温度との温度差を小さくすることができる。
また、冷却風(矢印E)は、副鏡60の先端側(−X側(リフレクター10側))を流動して、管球部30を冷却する。詳細には、冷却風(矢印E)は、矢印E3で示すように分岐され、分岐された冷却風(矢印E3)は、副鏡60の先端側(−X側(リフレクター10側))を流動し、距離B1を有する管球部30の上部を流動することで、管球部30の上部の熱を冷却する。一方、冷却風(矢印E)は、矢印E4で示すように分岐され、分岐された冷却風(矢印E4)は、副鏡60の先端側(−X側(リフレクター10側))を流動し、距離B2を有する管球部30の下部を流動することで、管球部30の下部の熱を冷却する。
このように、冷却風(矢印E3)は、距離B1を有する管球部30の上部を流動する場合、距離B2を有する管球部30の下部を流動する冷却風(矢印E4)に比べて、距離B1が距離B2より大きいことにより、流動し易くなっている。従って、管球部30の上部の温度が、下部の温度に比べて、冷却され易くなる。これにより、管球部30の上部の温度と、下部の温度との温度差を小さくすることができる。
上述した実施形態によれば以下の効果が得られる。
(1)本実施形態の光源装置110によれば、副鏡60は、反射面形状(反射層73,83の形状)の異なる第1反射部材70と第2反射部材80とから構成され、隣り合う第1反射部材70と第2反射部材80との間に、照明光軸Lから反射部材(第1反射部材70、第2反射部材80)の外形(反射部材本体71,81の外形)までの距離を異ならせることにより隙間Dを有している。このため、副鏡60の通気性を向上させることができる。そして、この隙間Dから冷却用の冷却風(矢印E)を流入させることで、効率的に発光管20(管球部30)を冷却することができる。
(2)本実施形態の光源装置110によれば、管球部30の上部に対向して配置される第1反射部材70の照明光軸Lからの距離(照明光軸Lから反射層73までの距離A1)の方が、管球部30の下部に対向して配置される第2反射部材80の照明光軸Lからの距離(照明光軸Lから反射層83までの距離A2)より大きく配置される。このため、冷却風(矢印E1,E3)は管球部30の上部に流入し易く、管球部30の下部に流入し難くさせることができる。従って、管球部30の上部の温度と下部の温度との温度差を小さくするように冷却することが可能となる。
(3)本実施形態の光源装置110によれば、発光管20の管球部30の上部の温度と下部の温度との温度差を小さくするように冷却することが可能となる。そのため、管球部30の上部の温度を所定温度まで冷却した場合でも、管球部30の下部の温度が必要以上に冷却されてしまうことを抑制することが可能となる。その結果、黒化による発光管20の光量低下や、黒化の進行による発光管20の破損の発生を抑制することが可能となる。また、管球部30の上部の温度を適正に抑制できるため、白化による発光管20の光量低下や、白化の進行や局所的な膨れによる発光管20の破損の発生を抑制することが可能となる。これにより、光源装置110の長寿命化を図ることができる。
(4)本実施形態のプロジェクター1によれば、上述した副鏡60を有する光源装置110と、光源装置110から射出された光束を画像信号に基づき変調して光学像を形成する光学変調装置(液晶装置400R,400G,400B)と、を備えている。これにより、発光管20の管球部30の上部の温度と下部の温度との温度差を小さくすることができることにより、光源装置110の長寿命化を図れるプロジェクター1を実現できる。
(5)本実施形態のプロジェクター1によれば、光源装置110を冷却する冷却ファンを有し、冷却ファンからの冷却風(矢印E)は、副鏡60の照明光軸Lに略垂直で、略水平な方向から吐出されている。このように、冷却ファンからの冷却風(矢印E)を副鏡60の略水平方向から送風することで、隙間D(D1,D2)から冷却風(矢印E1,E2)が副鏡60内部に流入し易くなり、発光管20の管球部30の上部の温度と下部の温度との温度差を更に効率的に小さくするように冷却することが可能となり、光源装置110の長寿命化を更に図れるプロジェクター1を実現できる。
(6)本実施形態の光源装置110は、第1反射部材70と第2反射部材80との隙間D(D1,D2)に効率的に冷却風(矢印E1,E2)を流入できることや、管球部30の上部の空間が下部の空間より広くする(距離B1が距離B2より大きい)ことにより、管球部30の上部の温度を効率的に冷却できる。その結果、管球部30の上部の温度と下部の温度との温度差を更に効率的に小さくするように冷却することが可能となる。これにより、従来の冷却ファンに比べて、冷却ファンの回転数を低くすることもできるため、プロジェクター1の低騒音化を図ることができる。また、駆動における冷却ファンの低消費電力化も図ることができる。
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態に係る光源装置の管球部の中心から照明光軸に垂直な平面で切断した状態の管球部と副鏡との概略断面図である。なお、第1実施形態と同様の構成部には、同様の符号を付記し、その詳細な説明は省略する。なお、図6に付記しているXYZ直交座標系は、第1実施形態で使用した図1〜図5におけるXYZ直交座標系と同様としている。
図6を参照して、本実施形態の光源装置115の構成および動作を説明する。
本実施形態の光源装置115は、第1実施形態と同様に構成されるリフレクター10(図6では省略)と発光管20とを備えている。本実施形態では、副鏡65を構成する反射部材の構成が、第1実施形態に係る副鏡60と異なっている。
本実施形態では、副鏡65は、第1実施形態での副鏡60を構成する第1反射部材70、第2反射部材80を各1つ用いており、その他に、第3反射部材90を2つ用いて構成されている。なお、本実施形態で用いる第1反射部材70、第2反射部材80は、第1実施形態で用いたものに比べて、円弧形状を延長した形状としている。詳細には、図6に示すように、本実施形態の第1反射部材70、第2反射部材80、および第3反射部材90は、副鏡65に完成させた場合、照明光軸Lを中心として約90度に等分割した円弧形状および側面形状として形成されている。
従って、本実施形態の第1反射部材70、第2反射部材80は、上記形状が異なるのみであり、構成は第1実施形態と同様である。また、第3反射部材90も、詳細形状は図示を省略しているが、第1反射部材70、第2反射部材80の形状と略同様に構成されている。第3反射部材90は、凹面911を有する反射部材本体91、固定用開口部(図示省略)を有する筒部(図示省略)、凹面911上に形成される反射面としての反射層93を有して構成される。
なお、第3反射部材90は、凹面911の曲率などが、第1反射部材70、第2反射部材80の凹面711,811と異なっている。その他、第3反射部材90の反射部材本体91および筒部の構成材料や、反射層93の構成材料は、第1反射部材70、第2反射部材80と同様の構成材料を用いている。
副鏡65は、第1実施形態とほぼ同様に組み立てられる。本実施形態では、副鏡65は、第1反射部材70の筒部72の両側面に、2つの第3反射部材90の筒部の側面を接触させて接続する。その後、2つの第3反射部材90の筒部の側面に1つの第2反射部材80の筒部82の両側面を接触させて固定することで完成する。なお、この副鏡65に発光管20の封止部50を挿通させ、隙間に無機系接着剤Cを充填して硬化させることで、副鏡65が封止部50に固着されることは、第1実施形態と同様である。
副鏡65は、図6に示すように、照明光軸Lから反射部材の反射面までの距離が最大となる反射部材としての第1反射部材70が発光管20(管球部30)の上部に対向して配置される。そして、発光管20の下部に向かって、順に距離が小さくなる反射部材としての第3反射部材90が配置され、距離が最小となる反射部材としての第2反射部材80が発光管20(管球部30)の下部に対向して配置されている。
詳細には、管球部30の上部に対向して第1反射部材70が位置するように配置している。その下側に、管球部30の側部(上部と下部の間)に対向して第3反射部材90が位置するように配置している。そして、管球部30の下部に対向して第2反射部材80が位置するように配置している。なお、照明光軸Lから第1反射部材70の反射層73までの距離を距離A1とし、照明光軸Lから第3反射部材90の反射層93までの距離を距離A3とし、照明光軸Lから第2反射部材80の反射層83までの距離を距離A2とした場合、距離の大きさは、距離A1>距離A3>距離A2となる。
従って、管球部30の上部と第1反射部材70の反射層73までの距離を距離B1とし、管球部30の側部と第3反射部材90の反射層93までの距離を距離B3とし、管球部30の下部と第2反射部材80の反射層83までの距離を距離B2とした場合、距離の大きさは、距離B1>距離B3>距離B2となる。言い換えると、管球部30の上部から第1反射部材70の反射層73にかけての空間領域が一番広く、管球部30の上部と下部との間と第3反射部材90の反射層93にかけての空間領域が次に広く、管球部30の下部から第2反射部材80の反射層83にかけての空間領域が一番狭くなっている。
また、図6に示すように、隣り合う第1反射部材70と第3反射部材90、および第3反射部材90と第2反射部材80との間には、照明光軸Lから第1反射部材70の外形(反射部材本体71の外形)、照明光軸Lから第2反射部材80の外形(反射部材本体81の外形)、および照明光軸Lから第3反射部材90の外形(反射部材本体91の外形)までの距離を異ならせることにより隙間Fを有している。
次に、図6を参照して、上述したように構成される副鏡65に対して、矢印Gで示す冷却風が照明光軸Lに略垂直で、副鏡65の−Y方向(略水平方向)から+Y方向に向かって吐出(送風)された場合の、冷却風(矢印G)の流動の仕方と、冷却風(矢印G)による発光管20(管球部30)に対する冷却動作を説明する。
冷却風(矢印G)は、副鏡65の隙間Fから副鏡65内部に流入して管球部30を冷却する。詳細には、冷却風(矢印G)は、管球部30の上部に位置する第1反射部材70の側面部の隙間F1から副鏡65内部に、冷却風(矢印G1)として分岐されて流入する。流入した冷却風(矢印G1)は、距離B1を有する管球部30の上部を流動することで、管球部30の上部の熱を冷却する。そして冷却風(矢印G1)は+Y方向の隙間F2などから流出する。なお、冷却風(矢印G)は、隙間Fから副鏡65内部に流入して、管球部30の下部の熱を冷却することは、積極的には行わない。
このように、冷却風(矢印G1)は、距離B1を有する管球部30の上部を流動する場合、距離B2を有する管球部30の下部を流動する冷却風に比べ、距離B1(距離A1)が距離B2(距離A2)より大きい(空間領域が広い)ことにより、流動し易くなっている。従って、管球部30の上部の温度が、下部の温度に比べて冷却され易くなる。これにより、管球部30の上部の温度と、下部の温度との温度差を小さくすることができる。
また、冷却風(矢印G)は、副鏡65の先端側(−X側(リフレクター10側))を流動して、管球部30を冷却する。詳細には、冷却風(矢印G)は、矢印G2で示すように分岐され、分岐された冷却風(矢印G2)は、副鏡65の先端側(−X側(リフレクター10側))を流動して、距離B1を有する管球部30の上部を流動することで、管球部30の上部の熱を冷却する。一方、冷却風(矢印G)は、矢印G3で示すように分岐され、分岐された冷却風(矢印G3)は、副鏡65の先端側(−X側(リフレクター10側))を流動して、距離B2を有する管球部30の下部を流動することで、管球部30の下部の熱を冷却する。
また、冷却風(矢印G)は、矢印G4で示すように分岐され、分岐された冷却風(矢印G4)は、副鏡65の先端側(−X側(リフレクター10側))を流動して、一方は距離B3(−Y側に位置する第3反射部材90の反射層93と管球部30との距離)を有する管球部30の側部を流動して、距離B1を有する管球部30の上部を流動する。また、他方は距離B3(−Y側に位置する第3反射部材90の反射層93と管球部30との距離)を有する管球部30の側部を流動して、距離B2を有する管球部30の下部を流動する。この場合、距離B3より大きい距離B1となる、管球部30の上部を流動する冷却風(矢印G4)の量が、距離B3より小さい距離B2となる、管球部30の下部を流動する冷却風(矢印G4)の量よりも多く流動し易くなる。
このように、冷却風(矢印G2)は、距離B1を有する管球部30の上部を流動する場合、距離B2を有する管球部30の下部を流動する冷却風(矢印G3)に比べて、距離B1が距離B2より大きいことにより、流動し易くなっている。また、冷却風(矢印G4)は、距離B1を有する管球部30の上部を流動する方が、距離B2を有する管球部30の下部を流動するよりも流動し易くなっている。従って、管球部30の上部の温度が、下部の温度に比べて冷却され易くなる。これにより、管球部30の上部の温度と、下部の温度との温度差を小さくすることができる。
第2実施形態に係る光源装置115は、副鏡65の構成が異なる点以外の点では、第1実施形態に係る光源装置110と同様の構成を有するため、第1実施形態に係る光源装置110が有する効果のうち該当する効果をそのまま有する他、以下の効果が得られる。
(1)本実施形態の光源装置115によれば、副鏡65は、発光管20(管球部30)の上部に配置される第1反射部材70の照明光軸Lから反射層73までの距離が最大(距離A1)となり、管球部30の下部に行くに従って、距離A3、距離A2と徐々に距離が小さくなり、管球部30の下部において、距離が最小(距離A2)となる配置となる。これにより、発光管20の管球部30の上部の温度と下部の温度との温度差を更に小さくするように冷却することが可能となり、加えて、管球部30の上部から下部にかけての温度変化も適正に抑制することができる。そのため、管球部30の、特に側部において、急激な温度変化または局部的な温度上昇などを抑制することができる。
なお、上述した第1、第2実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更や改良などを加えて実施することが可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)前記第1実施形態では、副鏡60を構成する複数の反射部材として、2つの反射部材である第1反射部材70と第2反射部材80とを用いている。しかし、これに限られず、異なる形状の反射部材を更に用いてもよい。但し、照明光軸Lから各反射層までの距離により、管球部30の上部に対向して配置される反射部材は、その距離が、管球部30の下部に対向して配置される反射部材の距離より大きくなるような反射部材を配置することになる。
(変形例2)前記第2実施形態では、副鏡65を構成する複数の反射部材として、3つの反射部材である第1反射部材70と第2反射部材80と第3反射部材90とを用いている。しかし、これに限られず、異なる形状の反射部材を更に用いてもよい。但し、照明光軸Lから各反射層までの距離により、管球部30の上部には距離が最大となる反射部材を配置させ、管球部30の下部に向かって距離が順次小さくなる反射部材を順次配置させ、距離が最小となる反射部材を管球部30の下部に対向して配置させることになる。
(変形例3)前記第1実施形態の副鏡60を構成する反射部材(第1反射部材70、第2反射部材80)や、第2実施形態の副鏡65を構成する反射部材(第1反射部材70、第2反射部材80、第3反射部材90)の形状や数量などに関しては、限定されるものではなく、適宜、変更が可能である。
(変形例4)前記第1、第2実施形態のプロジェクター1は、フロントタイプのプロジェクターとして適用しているが、投写対象面としてのスクリーンを一体で有するリアタイプのプロジェクターにも適用できる。
(変形例5)前記第1、第2実施形態のプロジェクター1の光学系において、光学変調装置としての液晶装置400R,400G,400Bは、透過型の液晶装置を用いているが、反射型の液晶装置など、反射型の光学変調装置を用いることも可能である。
(変形例6)前記第1、第2実施形態のプロジェクター1の光学系において、光学変調装置としての液晶装置400R,400G,400Bを用いている。しかし、これに限られず、一般に、入射光束を画像信号に基づいて変調するものであればよく、マイクロミラー型光学変調装置などを用いてもよい。なお、マイクロミラー型光学変調装置としては、例えば、DMD(Digital Micromirror Device)を用いることができる。
(変形例7)前記第1、第2実施形態のプロジェクター1の光学系において、光学変調装置は、赤色光、緑色光、および青色光に対応して3つの液晶装置400R,400G,400Bを用いる、いわゆる3板方式を採用している。しかし、これに限られず、単板方式を採用してもよい。また、コントラストを向上させるための液晶装置を追加して採用してもよい。