JP2011099954A - 静電潜像現像用トナーと画像形成方法 - Google Patents

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達矢 藤▲崎▼
Shiro Hirano
史朗 平野
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隼也 大西
Koji Sugama
宏二 須釜
Masahiko Nakamura
正彦 中村
Yasuhiko Muramatsu
靖彦 村松
Masahiro Yasuno
政裕 安野
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Abstract

【課題】現在の水準を大きく超える低温定着性と耐熱保管性の両立を達成出来る静電潜像現像用トナーと該トナーを用いた画像形成方法を提供する。
【解決手段】コアシェル構造を有する静電潜像現像用トナーにおいて、コア部分は少なくともガラス転移温度(Tg)が10〜30℃の疎水性樹脂と、ガラス転移温度(Tg)が40〜50℃の親水性樹脂と着色剤を含有し、該コア部分の中心部に低Tgの疎水性樹脂が多く存在し、中心から外側にいくほど高Tgの親水性樹脂の比率が高くなり、シェル部分はTgが50〜70℃の親水性樹脂からなることを特徴とする静電潜像現像用トナー。
【選択図】図1

Description

本発明は、静電潜像現像用トナーと該トナーを用いた画像形成方法に係わるものである。
工業界全般において省エネルギー化が進む中、電子写真業界では、消費電力を低減するため低温定着化の技術が開発されている。
しかしながら、低温定着可能な静電潜像現像用トナー(以下、単にトナーともいう)は、画像形成時にトナーオフセットを発生したり、トナーボトル或いはカートリッジ中に保存している間に、トナーが凝集してしまうという保管安定性に問題がでることが多く、その両立を図ることは困難であった。
オフセット発生防止と保管安定性を両立させるためには、トナー粒子の構造をコアシェル構造とする手段が有効であり、近年盛んに検討されてきている。
コアシェル構造のトナー粒子を作製する方法としては、重合性単量体を分散液中で重合した樹脂粒子を凝集、融着させてコア部を形成し、更に液中にシェル層形成用の樹脂粒子を添加し、コア部の表面上にシェル層を形成する方法が知られている(特許文献1、2参照)。
しかし、従来のコア部粒子形成後に、シェル用の樹脂粒子を添加しコアシェル構造のトナー粒子を作製する手法では、コア部樹脂の物理化学的性質とシェル部を形成する樹脂の物理化学的性質があまりに異なると、コアとシェルの親和性が低下し、シェル形成膜が均一にコア面上に形成出来なかったり、一旦は形成されても膜剥がれ等が起こりがちとなる。これにより、低温でも変形や溶融しやすいコア部とそれをしっかり包み込むシェル部を形成することが出来ず、超低温定着性と耐熱保管性の両立を図ることは出来なかった(特許文献3)。
特開2002−116574号公報 特開2005−234542号公報 特開2007−4127号公報
現在よりさらなる低温定着化と耐熱保管性の両立を実現するために、コア部の低ガラス転移温度(Tg)化を行っていくと、シェル部とのガラス転移温度(Tg)差が非常に大きくなり、界面の接着性が落ちる。一方、画像形成装置の高速化にともないトナーにかかるストレスはますます増大し、シェル部の界面剥離が顕著になる。
本発明の目的は、現在の水準を大きく超える低温定着性と耐熱保管性の両立を達成出来る静電潜像現像用トナーと該トナーを用いた画像形成方法を提供することである。
本発明の発明者が、詳細な検討を行ったところ、本発明の目的を達成するためには、コアシェル型トナー粒子のコア中心部に低ガラス転移温度(Tg)の樹脂、シェル最表面部に高ガラス転移温度(Tg)の樹脂を分布させ、その中間領域の樹脂、特にコア部樹脂のガラス転移温度(Tg)を中心部側より徐々に高くし、コア部の表面ではシェル部樹脂のガラス転移温度(Tg)に近づけることが出来るかが、ポイントであることを突き止め、本発明に至った。
(1)
コアシェル構造を有する静電潜像現像用トナーにおいて、コア部分は少なくともガラス転移温度(Tg)が10〜30℃の疎水性樹脂と、ガラス転移温度(Tg)が40〜50℃の親水性樹脂と着色剤を含有し、該コア部分の中心部に低Tgの疎水性樹脂が多く存在し、中心から外側にいくほど高Tgの親水性樹脂の比率が高くなり、シェル部分はTgが50〜70℃の親水性樹脂からなることを特徴とする静電潜像現像用トナー。
(2)
前記コア部分の疎水性樹脂のガラス転移温度(Tg)が15〜25℃であり、親水性樹脂のガラス転移温度(Tg)が42〜47℃、前記シェル部分の疎水性樹脂のガラス転移温度(Tg)が55〜65℃であることを特徴とする(1)に記載の静電潜像現像用トナー。
(3)
前記コア部分の疎水性樹脂の含有率がコア部樹脂の80〜90質量%、親水性樹脂の含有率が10〜20質量%であり、前記シェル部分の親水性樹脂の含有率はトナー全体の樹脂の5〜10質量%であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の静電潜像現像用トナー。
(4)
(1)〜(3)のいずれか1項記載の静電潜像現像用トナーを用い、少なくとも電子写真感光体上に潜像形成、現像、記録紙への転写、熱定着の各工程を経ることを特徴とする画像形成方法。
本発明により、現在の水準を大きく超える低温定着性と耐熱保管性の両立を達成出来る静電潜像現像用トナーと該トナーを用いた画像形成方法を提供することが出来る。
コアシェル構造のトナー母体が形成される過程の一例を示す模式図。 本発明に用いられる画像形成装置の一例を示す断面図。
上記の如く、本発明の目的である低温定着化を実現するにはコアの低Tg化が有効である。同時に、トナーの耐熱保管性を確保するのにコアシェル技術が確立している。しかし、画像形成装置の高速化に伴い、現像器内の撹拌によりトナーにかかるストレスは非常に大きく、これまでのコアシェル技術によりさらなる低温定着化と耐熱保管性を両立させようとしたトナーでは、コア部とシェル部のTg差が大きくなってしまい、界面剥離現象が発生してしまう。そこで、コア部にTgの傾斜を持たせ、中央部は低Tg、外側にいくにつれてTgが徐々に高くなり、シェル部とのTg差を小さくすることにより、界面剥離現象が解決できることがわかった。
本発明のトナー作製方法、使用される素材や、作製されたトナーの特性、該トナーを用いた画像形成方法につき、以下さらに説明する。
〔疎水性樹脂〕
本発明に用いられる疎水性樹脂とは、樹脂を構成する組成成分中に酸モノマー(重合性単量体)を含まない樹脂である。具体的には、構成成分中にいわゆる親水性基を含まない重合性単量体で形成される樹脂全てが該当する。
即ち、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの様なスチレン或いはスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル誘導体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等の、アクリル酸エステル誘導体、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン系ビニル類、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン類、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物、ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸或いはメタクリル酸誘導体等より形成される樹脂である。
〔親水性樹脂〕
一方、本発明における親水性樹脂とは、樹脂を構成する組成成分中に酸モノマー(重合性単量体)を含む樹脂である。
酸モノマーとは、例えば、カルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基等の置換基を単量体の構成基として有するもので、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマール酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−アクリルアシッドホスホオキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
酸モノマー以外の親水性樹脂を構成する成分としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの様なスチレン或いはスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル誘導体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等の、アクリル酸エステル誘導体、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン系ビニル類、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン類、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物、ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸或いはメタクリル酸誘導体が挙げられる。
親水性樹脂中の酸モノマーの添加量(組成比)としては、5.0〜20.0質量%が好ましく、より好ましくは5.0〜10.0質量%である。また、親水性樹脂としては、酸モノマーの組成比率の異なる2種以上の樹脂を組み合わせて用いることが好ましい。酸モノマー比率が異なる親水性樹脂によって、低ガラス転移温度の疎水性樹脂を2種以上の親水性樹脂で被覆する形となるため、耐熱性の低い疎水性樹脂を有効に被覆することができるためである。
又、コア部の中心部分に存在する低ガラス転移温度(Tg)の樹脂においては、Tgが10〜30℃、より好ましくは15〜25℃であり、該樹脂の含有量はコア部樹脂の80〜90質量%が好ましい。低Tg樹脂のTgを上記範囲とすることで、低温定着を確保することができる。一方、コア部樹脂の高ガラス転移温度(Tg)側の樹脂のTgは40〜50℃、より好ましくは42〜47℃であり、該樹脂の含有量は10〜20質量%が好ましい。高Tg樹脂のTgを上記範囲とすることで、シェル部との親和性が高くなり、ストレスに対して強くなるとともに、低温定着性を阻害しない。さらに、コア部全体のTgは15〜30℃であるのが好ましい。
一方、トナー粒子のシェル部の樹脂のTgは50〜70℃、より好ましくは55〜65℃であり、その含有量はトナー樹脂全体の5〜10質量%であるのが好ましい。前記含有量以下だとコア粒子全体を適正に覆えない可能性があり、それ以上だと定着性を阻害する可能性がある。
樹脂のガラス転移温度は、共重合体を形成する重合性単量体の種類、量及び分子量を適宜選択することにより、コントロールすることが可能である。
ガラス転移温度の算出方法として、本発明では以下のような理論ガラス転移温度を算出してもよい。ここで理論ガラス転移温度とは、共重合体樹脂を構成するそれぞれの成分が、ホモポリマーを形成した場合のガラス転移温度にそれぞれの組成質量分率を乗じ、即ち加重平均して算出したものである。即ち、理論ガラス転移温度Tg(絶対温度Tg’とする)は共重合体樹脂を構成する成分のホモポリマーのガラス転移温度を用いて下記式(1)から算出される。
式(1) 1/Tg’=W1/T1+W2/T2+・・・+Wn/Tn
(式中、W1、W2、・・・Wnは共重合体樹脂を構成する全重合性単量体に対する各重合性単量体の質量分率、T1、T2、・・・Tnは各重合性単量体を用いて形成されるホモポリマーのガラス転移温度(絶対温度)を示す。)
ガラス転移温度は、示差走査カロリーメーター「DSC−7」(パーキンエルマー社製)、熱分析装置コントローラー「TAC7/DX」(パーキンエルマー社製)を用いて測定することが出来る。
測定手順として、トナー4.5〜5.0mgを小数点以下2桁まで精秤し、アルミニウム製パンに封入し、DSC−7サンプルホルダーにセットする。
リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用した。測定条件としては、測定温度0〜200℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で、Heat−Cool−Heatの温度制御で行い、その2nd.Heatにおけるデータをもとに解析を行った。
ガラス転移温度は、第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1のピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間で最大傾斜を示す接線を引き、その交点をガラス転移温度として示す。
〔トナーの作製〕
親水性樹脂と疎水性樹脂の組み合わせとしては、各樹脂を構成する重合性単量体として特に限定されるものではではい。
具体的には、高ガラス転移温度(高Tg)の親水性樹脂と低ガラス転移温度(低Tg)の疎水性樹脂とを有する樹脂粒子を凝集させて得られた凝集粒子を、熱エネルギー(加熱)により融着と同時に熟成することにより、親水性樹脂がトナーコア部の外側に配向され、疎水性樹脂が内部(コア部の中心部)に配向された構造のコア粒子が形成される。
このように親水性樹脂と疎水性樹脂とが凝集粒子中で配向する理由は、親水性樹脂が水系媒体に引かれて外側に配向し、疎水性樹脂が水系媒体に反発し、且つ親水性樹脂よりも低ガラス転移温度を有しているので内部に配向するものと考えられる。
凝集粒子(コア部粒子)の外側に高Tgの親水性樹脂が存在し、コアの中心部に低Tgの樹脂が存在することにより、低温定着性能を確保し、且つトナーオフセットが発生せず保管安定性に優れたトナーを製造することができる。
本発明では、コア粒子の内部で水に対する配向性を利用して疎水性樹脂と親水性樹脂による分離構造を形成しているため、コア粒子内部で中心から表面に向けて樹脂組成の配向が生じ、されにこの上に高ガラス転移温度(Tg)の親水性樹脂層(シェル層)を形成させて疎水性樹脂の持つ熱特性がそのままトナー粒子表面に出てしまうことがない様にすることが出来る。
(トナーの製造方法)
本発明のトナーの製造方法を図1に基づいて説明するが、本発明のトナーの製造方法はこれに限定されるものではない。
図1は、コアシェル構造のトナー母体が形成される過程の一例を示す模式図である。
図1の(a)は、2段重合で親水性樹脂と疎水性樹脂とを有する樹脂粒子が形成される過程を示す模式図である。
図1の(b)は、樹脂粒子と着色剤粒子を凝集させて凝集粒子が形成される過程(凝集工程)を示す模式図である。
図1の(c)は、凝集粒子を融着と同時に熟成させて、中心部に疎水性樹脂で表面部に親水性樹脂構造のコア粒子が形成される過程(融着・熟成工程)を示す模式図である。
図1の(d)は、さらにコア粒子上に親水性樹脂によるシェルを形成する工程の模式図である。
図1において、a1は樹脂粒子a3の疎水性樹脂部、a2は親水性樹脂部b1は着色剤粒子、b2は凝集粒子、c1、c2は融着・熟成過程の粒子、c3は融着・熟成完了後の親水性樹脂からなるコア粒子表面部、c4は疎水性樹脂からなるコア粒子中心部、c5は粒子コア部、d1はシェル部、d2はトナー粒子(トナー母体)を示す。
図1に示すように、先ず、親水性樹脂と疎水性樹脂を含む樹脂粒子a3を作製し、この樹脂粒子a3と着色剤を凝集して凝集粒子b2を形成し、この凝集粒子b2を融着してトナー粒子のコア部c5を製造する。
次に図1(d)のシェル部の形成工程において、トナー粒子のコア部c5表面に親水性樹脂を用いてシェルd1を形成し、これをトナー粒子(トナー母体)d2とする。
尚、トナー母体とは、外添剤を処理してトナーとする前のものである。
外添処理工程とは、乾燥されたトナー母体に必要に応じ外添剤を混合し、トナーを作製する工程である。外添剤の混合装置としては、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル等の機械式の混合装置を使用することができる。
次に、本発明のトナーの製造方法について説明する。
トナーの製造方法としては、少なくとも親水性樹脂と疎水性樹脂とを有する樹脂粒子を、凝集させて凝集粒子を作製し、該凝集粒子を融着する工程を含む製法でコア粒子(コア部)を作製し、この表面にシェル部を形成するものであれば、特に限定されるものではなく、具体的には、乳化重合・凝集法、ミニエマルション重合・凝集法等を挙げることができる。
次に、ミニエマルション重合・凝集法によるトナーの製造方法の一例について説明する。
(1)離型剤をラジカル重合性単量体に溶解或いは分散する溶解/分散工程
(2)疎水性樹脂と親水性樹脂とを有するコア用樹脂粒子の分散液を調製するための重合工程
(3)水系媒体中でコア用樹脂粒子と着色剤粒子を凝集させて凝集粒子を得る凝集工程
(4)凝集したコア粒子を熱エネルギーにより、疎水性樹脂をコア粒子内部に親水性樹脂をコア粒子の表面に配向させる熟成工程
(5)コア粒子の分散液中に、シェル用樹脂粒子を添加してコア粒子表面にシェル用樹脂粒子を融着させてコアシェル構造のトナー母体粒子を形成する工程
(6)トナー母体の分散液を冷却する冷却工程
(7)冷却されたトナー母体の分散液から当該トナー母体を固液分離し、当該トナー母体から界面活性剤などを除去する洗浄工程
(8)洗浄処理されたトナー母体を乾燥する乾燥工程
(9)乾燥処理されたトナー母体に外添剤を添加する工程
次に、本発明に係るトナーの粒径について説明する。
〔トナーの粒径〕
本発明においてトナーの粒径は体積基準におけるメディアン径(D50)において、好ましくは3.0〜8.0μmであり、4.0〜7.0μmがより好ましい。
体積基準におけるメディアン径(D50)の測定は、以下のようにして行う。
「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用のコンピュータシステム(ベックマン・コールター社製)を接続した装置を用いて測定、算出する。測定手段としては、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20g(トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)で馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を作製する。このトナー分散液をサンプルスタンド内のISOTONII(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定濃度5〜10質量%になるまでピペットにて注入する。この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値が得られる。測定機において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャー径を50μmにし、測定範囲である1〜30μmの範囲を256分割して各頻度値を算出する、体積積算分率が大きい方から50%の粒子径を体積基準におけるメディアン径とする。
〔コアシェル構造の確認〕
本発明に係るトナー粒子のコアシェル構造の確認は、例えば透過型電子顕微鏡を用いコア粒子とシェルとの界面となる境界線を目視にて確認する方法や樹脂の硬度差で検知する方法により確認されるものである。
透過型電子顕微鏡による確認方法としては、例えば、LEM−2000型(トプコン社製)、JEM−2000FX(日本電子製)等が用いられる。具体的には、まずトナー粒子を常温硬化性のエポキシ樹脂中に十分分散させた後、包埋し、粒径100nm程度のスチレン微粉末に分散させた後加圧成形する。必要により得られたブロックを四三酸化ルテニウム、または、四三酸化オスミウムを併用し染色を施した後、ダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用い薄片状のサンプルを切り出し透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、トナー粒子1個の断面が視野に入る倍率(約10000倍)にて写真撮影する。次に、前記写真において、着色剤やワックス等の存在領域を目視観察により確認しつつコア粒子とシェルとの界面となる境界線を目視にて確認する。
樹脂の硬度差で検知する方法としては、走査型プローブ顕微鏡SPI3800N、多機能型ユニットSPA400(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)製)を用いて行った。測定試料には、トナー粒子をエポキシ樹脂に包埋し、60℃で24時間硬化後、ダイヤモンド歯を供えたミクロトームを用い平面を切り出すことにより、断面を平滑化し、トナー粒子断面の観察できるブロックを用いた。スキャナーはFS−100N(内面100μm、垂直15μm)、マイクロカンチレバーは窒化ケイ素製SN−AF01(バネ定数0.08N/m)を用いて、測定モードはマイクロ粘弾性モード(VE−AFM)で行った。加振周波数3〜5kHz、加振振幅4〜6nmに設定し、形状像、振幅A、Asinδ、Acosδの4画面を各10μm×10μmの測定エリアで同時に測定し、振幅像にてシェル層を目視観察により確認した。
測定を行うトナー粒子の数は、いずれの手法においても50個とし、そのうちの95個数%以上の粒子にコアシェル構造が確認された場合に、コアシェル構造を有するトナーとするものである。
コアシェル構造とは、シェルが樹脂層として樹脂粒子同士が融着し形成された状態を示すものであり、外添剤粒子などの粒子が付着もしくは固着されている状態とは異なるものである。
また、コア粒子内の中心部から表面部にかけてガラス転移温度(Tg)の変化を調べる分析装置としては、Nano−TA2(Anasys Instruments製)がある。測定方法を以下に述べる。まず、トナーをエポキシ樹脂に包埋し、ミクロトームにより断面を切削し、これを試料台に取り付けて試料とした。走査型プローブ顕微鏡SPI3800N(エスアイアイ・ナノテクノロジー製)にNano−TA2(Anasys Instruments製)を接続した。まず走査型プローブ顕微鏡にシリコン製サーマルプローブをとりつけ、コンタクトAFMモードで形状を観察した。形状像中で転移温度を測定したい場所を選択し、サーマルプローブを移動した。Nano−TA2についてはあらかじめポリカプロラクトン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートの基準フィルムの融点を測定することにより、サーマルプローブの温度較正を行った。サーマルプローブは測定位置に固定し、試料表面にアプローチした。昇温する温度範囲を設定し、5℃/secで昇温した。時間とDiflection(V)のチャートにおいて、急激な熱収縮をおこす温度をガラス転移温度とした。
〔トナー作製に用いられる化合物等〕
(重合開始剤)
前述した疎水性樹脂と親水性樹脂作製時に用いられる。
乳化重合・凝集法を用いる場合には水溶性ラジカル重合開始剤を使用することができる。水溶性重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸及びその塩、過酸化水素等を使用することができる。
(連鎖移動剤)
樹脂の分子量を調整する為には、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることが可能である。用いられる連鎖移動剤としては、特に限定されるものではなく例えばn−オクチルメルカプタン、n−デシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル等のメルカプトプロピオン酸エステル、ターピノーレン、四臭化炭素及びα−メチルスチレンダイマー等が使用される。
(着色剤)
本発明に用いられる着色剤は、公知の無機または有機着色剤を使用することができる。具体的な着色剤を以下に示す。
黒色の着色剤としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、更にマグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
また、マゼンタもしくはレッド用の着色剤としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48;1、C.I.ピグメントレッド53;1、C.I.ピグメントレッド57;1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
また、オレンジもしくはイエロー用の着色剤としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
また、グリーンもしくはシアン用の着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15;2、C.I.ピグメントブルー15;3、C.I.ピグメントブルー15;4、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
尚、これらの着色剤は必要に応じて単独もしくは2つ以上を選択併用してもよい。また、着色剤の添加量はトナー全体に対して1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%の範囲に設定するのがよい。
(離型剤)
本発明に用いられる離型剤は、公知の化合物を用いることができる。
このようなものとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素系ワックス、ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、エチレンジアミンベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが挙げられる。
トナーに含有される離型剤の量は、トナー全体に対し1〜20質量%が好ましく、3〜15質量%がより好ましい。
(荷電制御剤)
本発明に係るトナーには、必要に応じて荷電制御剤を添加することができる。荷電制御剤としては、公知の化合物を用いることができる。
(外添剤)
外添剤として使用できる無機粒子としては、従来公知のものを挙げることができる。具体的には、シリカ微粒子、チタニア微粒子、アルミナ微粒子及びこれらの複合酸化物等を好ましく用いることができる。これら無機粒子は疎水性であることが好ましい。
外添剤として使用できる有機微粒子としては、個数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形の微粒子を挙げることができる。かかる有機微粒子の構成材料としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、スチレン−メチルメタクリレート共重合体などを挙げることができる。
〔現像剤〕
本発明に係るトナーは、一成分現像剤、二成分現像剤として用いることができる。
一成分現像剤として用いる場合は、非磁性一成分現像剤、或いはトナー中に0.1μm〜0.5μm程度の磁性粒子を含有させ磁性一成分現像剤としたものが挙げられ、いずれも使用することができる。
また、キャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の磁性粒子を用いることができる。特にフェライト粒子が好ましい。上記キャリアの粒子径は、20〜100μmが好ましく、25〜80μmがより好ましい。
キャリアの粒子径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
キャリアは、磁性粒子が更に樹脂によりコートされているもの、或いは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コート用の樹脂としては、特に限定は無いが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、エステル系樹脂或いはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。これらの中では、スチレン−アクリル樹脂でコートしたコートキャリアが外部添加剤の離脱防止や耐久性を確保できより好ましい。
〔画像形成方法及び画像形成装置〕
本発明に係るトナーは、感光体上に形成された静電潜像をトナー現像して得られた画像を転写し、トナー像が形成された転写材を、定着装置を構成する加熱部材間を通過させて定着する接触型定着方式の画像形成装置に好適に使用される。
以下、画像形成装置について説明する。
図2は、本発明の現像剤が好ましく用いられる画像形成装置の一例を示す概略図である。
図2において、1Y、1M、1C、1Kは感光体、4Y、4M、4C、4Kは現像手段、5Y、5M、5C、5Kは一次転写手段としての一次転写ローラ、5Aは二次転写手段としての二次転写ローラ、6Y、6M、6C、6Kはクリーニング手段、7は中間転写体ユニット、24は熱ロール式定着装置、70は中間転写体を示す。
この画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、複数組の画像形成部10Y、10M、10C、10Kと、転写部としての無端ベルト状中間転写体ユニット7と、記録部材Pを搬送する無端ベルト状の給紙搬送手段21及び定着手段としての熱ロール式定着装置24とを有する。画像形成装置の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
各感光体に形成される異なる色のトナー像の1つとして、イエロー色の画像を形成する画像形成部10Yは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Y、該感光体1Yの周囲に配置された帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、一次転写手段としての一次転写ローラ5Y、クリーニング手段6Yを有する。又、別の異なる色のトナー像の1つとして、マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1M、該感光体1Mの周囲に配置された帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、一次転写手段としての一次転写ローラ5M、クリーニング手段6Mを有する。又、更に別の異なる色のトナー像の1つとして、シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1C、該感光体1Cの周囲に配置された帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、一次転写手段としての一次転写ローラ5C、クリーニング手段6Cを有する。又、更に他の異なる色のトナー像の1つとして、黒色画像を形成する画像形成部10Kは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1K、該感光体1Kの周囲に配置された帯電手段2K、露光手段3K、現像手段4K、一次転写手段としての一次転写ローラ5K、クリーニング手段6Kを有する。
無端ベルト状中間転写体ユニット7は、複数のローラにより巻回され、回動可能に支持された中間転写エンドレスベルト状の第2の像担持体としての無端ベルト状中間転写体70を有する。
画像形成部10Y、10M、10C、10Kより形成された各色の画像は、一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kにより、回動する無端ベルト状中間転写体70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された転写材として用紙等の記録部材Pは、給紙搬送手段21により給紙され、複数の中間ローラ22A、22B、22C、22D、レジストローラ23を経て、二次転写手段としての二次転写ローラ5Aに搬送され、記録部材P上にカラー画像が一括転写される。カラー画像が転写された記録部材Pは、熱ローラ式定着装置24により定着処理され、排紙ローラ25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。
一方、二次転写ローラ5Aにより記録部材Pにカラー画像を転写した後、記録部材Pを曲率分離した無端ベルト状中間転写体70は、クリーニング手段6Aにより残留トナーが除去される。
画像形成処理中、一次転写ローラ5Kは常時、感光体1Kに圧接している。他の一次転写ローラ5Y、5M、5Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M、1Cに圧接する。
二次転写ローラ5Aは、ここを記録部材Pが通過して二次転写が行われるときにのみ、無端ベルト状中間転写体70に圧接する。
このように感光体1Y、1M、1C、1K上に帯電、露光、現像によりトナー像を形成し、無端ベルト状中間転写体70上で各色のトナー像を重ね合わせ、一括して記録部材Pに転写し、熱ロール式定着装置24で加圧及び加熱により固定して定着する。トナー像を記録部材Pに転移させた後の感光体1Y、1M、1C、1Kは、クリーニング装置6Y、6M、6C、6Kで転写時に感光体に残されたトナーを清掃した後に、上記の帯電、露光、現像のサイクルに入り、次の像形成が行われる。
〔転写材〕
本発明に用いる転写材は、トナー画像を保持する支持体で、通常画像支持体、記録材或いは転写紙と通常よばれるものである。具体的には薄紙から厚紙までの普通紙や上質紙、アート紙やコート紙等の塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布等の各種転写材を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
以下、本発明の具体的な実施態様を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
《トナーの作製》
本発明のトナーは、以下のようにして作製した。
先ず、下記のコア用樹脂粒子とシェル用樹脂粒子を作製、次いで着色剤粒子の分散液を調製した。
《樹脂粒子の作製》
下記のように、「コア用樹脂粒子」を作製した。
〈コア用樹脂粒子Aの作製〉
(1)コアの低Tg(疎水性)樹脂粒子の重合
下記単量体を含む混合液を攪拌しながら90℃に加熱し、この混合溶液にペンタエリスリトールテトラベヘン酸エステル160質量部を溶解させ、ワックス含有単量体混合液を調整した。
スチレン 436.8質量部
n−ブチルアクリレート 277.2質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 2.7質量部
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム2質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた溶液を仕込み、82℃に加熱後、上記ワックス含有単量体混合液を添加し、循環経路を有する機械式分散機「CLEARMIX(エム・テクニック社製)」により1時間混合分散させ、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水384質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を82℃にて1時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行い、コアの低Tg(疎水性)樹脂粒子A1を調製した。
(2)コアの高Tg(親水性)樹脂粒子の重合
次に、上記コアの低Tg(疎水性)樹脂A1を含む溶液に、過硫酸カリウム1.76質量部をイオン交換水33.4質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、液温を80℃とし、下記単量体を含む混合液を1時間かけて滴下後、80℃で2時間加熱後、撹拌することにより重合を行い、「コア用樹脂粒子A(コアA)」を得た。
スチレン 86.2質量部
n−ブチルアクリレート 33.5質量部
メタクリル酸 6.3質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 0.5質量部
〈コア用樹脂粒子B〜Iの作製〉
「コアA」の作製において用いた重合性単量体を、表1のように変更した以外は同様にして、「コア用樹脂粒子B〜I(コアB〜I)」を作製した。
〈コア用樹脂粒子Jの作製〉
下記単量体を含む混合液を攪拌しながら90℃に加熱し、この混合溶液にペンタエリスリトールテトラベヘン酸エステル160質量部を溶解させ、ワックス含有単量体混合液を調製した。
スチレン 456.5質量部
n−ブチルアクリレート 341.5質量部
メタクリル酸 42.0質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 3.0質量部
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム2質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた溶液を仕込み、82℃に加熱後、上記ワックス含有単量体混合液を添加し、循環経路を有する機械式分散機「CLEARMIX(エム・テクニック社製)」により1時間混合分散させ、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水384質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を82℃にて1時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行い、「コア用樹脂粒子J(コアJ)」を作製した。
Figure 2011099954
St:スチレン BA:n−ブチルアクリレート MAA:メタクリル酸
〈シェル用樹脂粒子Aの作製〉
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム2.3質量部をイオン交換水2800質量部に溶解させた溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら内温を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた溶液を添加し、再度液温を80℃とし、下記単量体混合液を1時間かけて滴下後、80℃で2時間加熱後、撹拌することにより重合を行い、「シェル用樹脂粒子A(シェルA)」を調製した。
スチレン 602.6質量部
n−ブチルアクリレート 153.4質量部
メタクリル酸 44.0質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 21.7質量部
〈シェル用樹脂粒子B〜Eの作製〉
「シェルA」の作製において用いた重合性単量体を、表2のように変更した以外は同様にして、「シェル用樹脂粒子B〜E(シェルB〜E)」を作製した。
Figure 2011099954
《着色剤分散液の作製》
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック「リーガル330R」(キャボット社製)420質量部を徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子の分散液を調製した。この分散液の粒子径を、UPA(マイクロトラック社製)を用いて測定したところ、117nmであった。
《トナー1の作製》
(凝集・融着工程)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、コアAを固形分換算で300質量部と、イオン交換水1400質量部と、着色剤分散液〔1〕120質量部と、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム3質量部をイオン交換水120質量部に溶解させた溶液を仕込み、液温を30℃に調整した後、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10に調整した。次いで、塩化マグネシウム35質量部をイオン交換水35質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間保持した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて90℃まで昇温し、90℃を保持したまま粒子成長反応を継続した。この状態で、「コールターマルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)」にて会合粒子の粒径を測定し、所望の粒子径になった時点で、塩化ナトリウム50質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた水溶液を添加して粒子成長を停止させた。次に、90℃にて30分間加熱攪拌し、コア粒子の中心部に疎水性樹脂、表面部に親水性樹脂を多く配向させた。次に、シェルAを固形分換算で21.9質量部、10分かけて滴下し、1時間後にシェル粒子がコア粒子の表面に融着していることを確認した。その後、塩化ナトリウム100質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた水溶液を添加してから、液温90℃にて加熱撹拌し、「FPIA−2100(Sysmex社製)」による測定で円形度0.965になるまで球形化を行った。その後、液温30℃まで冷却し撹拌を停止した。
(洗浄・乾燥工程)
凝集・融着工程にて生成した粒子を、バスケット型遠心分離機を用いて、固液分離し、トナー母体粒子のウェットケーキを形成した。このウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで35℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー(セイシン企業社製)」に移し、水分量が0.5質量%となるまで乾燥して「トナー母体粒子1」を作製した。
(外添剤処理工程)
上記の「トナー母体粒子1」に、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm)1質量%および疎水性チタニア(数平均一次粒子径=20nm)0.3質量%を添加し、ヘンシェルミキサーにより混合して、「トナー1」を作製した。
透過型電子顕微鏡LEM−2000を用い、前述の測定方法にて、トナーのコアシェル構造を確認した。また、Nano−TA2を用い、前述の測定方法にて、コア粒子内の中心部から表面部にかけてガラス転移温度(Tg)が高くなっていることを確認した。
《トナー2〜15の作製》
トナー1の作製において凝集・融着工程で用いた「コアA」と「シェルA」を、表3のように変更した以外は同様にして「トナー2〜15」を作製した。
《現像剤の作製》
フェライトコア100質量部とシクロヘキシルメタクリレート/メチルメタクリレート(共重合比5/5)の共重合体樹脂粒子を5質量部とを、撹拌羽根付き高速混合機に投入し、120℃で30分間撹拌混合して機械的衝撃力の作用でフェライトコアの表面に樹脂コート層を形成し、体積基準メディアン径40μmのキャリアを得た。
キャリアの体積基準メディアン径は、湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック社製)により測定した。
上記キャリアにトナーをそれぞれトナー濃度が7質量%になるように添加し、ミクロ型V型混合機(筒井理化学器株式会社)に投入し、回転速度45rpmで30分間混合し現像剤を作製した。
《評価》
(トナー破砕性評価)
作製した現像剤を市販のカラー複合機「bizhub PRO C6500(コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製)」で用いられている現像器に充填し、単体駆動機にて400rpmの速度で1時間撹拌を行った。その後、現像剤を少量採取し、ビーカーに入れ、0.1gの市販の界面活性剤と純水20gを添加し、ビーカーの下側から磁石を当てながらビーカーをゆすり、トナーをキャリアから遊離させた。上澄みを採取し、粒度分布をコールターマルチサイザー3で測定した。撹拌前後の粒度分布におけるXμm以下(体積基準)のトナーの割合の増加量Nにより、破砕性を評価した。
X=撹拌前のD50(体積基準)−撹拌前の粒度分布の標準偏差σ(体積基準)
=撹拌前のトナーのXμm以下(体積基準)の割合(%)
=撹拌後のトナーのXμm以下(体積基準)の割合(%)
N=N−N(%)
撹拌前後の粒度分布におけるXμm以下(体積基準)のトナーの割合の増加量Nが少ない程、トナー破砕性が良好であり、5%未満であれば合格とする。
◎:0〜1%未満
○:1〜5%未満
×:5%以上
(定着性(アンダーオフセット性))
画像評価は、市販のカラー複合機「bizhub PRO C6500(コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製)」の現像装置に、上記で作製したトナーと現像剤を順次装填して評価を行った。なお、定着温度、トナー付着量、システム速度を自由に設定できるように改造した。評価紙としてNPI128g/m(日本製紙製)を用い、トナー付着量11.3g/mのベタ画像を定着速度300mm/secで定着上ベルト110〜200℃、定着下ローラは上ベルトより20℃低く設定し5℃毎の水準で定着させた時に、コールドオフセットが発生しない定着下限温度を評価した。この定着下限温度が低ければ低い程、定着性が優れており、150℃以下を合格とする。
(耐熱保管性)
トナー0.5gを内径21mmの10mlガラス瓶に取り蓋を閉めて、タップデンサーKYT−2000(セイシン企業製)で室温にて600回振とうした後、蓋を取った状態で55℃、35%RHの環境下に2時間放置した。次いで、トナーを48メッシュ(目開き350μm)の篩上に、トナーの凝集物を解砕しないように注意しながらのせて、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)にセットし、押さえバー、ノブナットで固定し、送り幅1mmの振動強度に調整し、10秒間振動を加えた後、篩上の残存したトナー量の比率(質量%)を測定した。
トナー凝集率は下記式により算出される値である。
トナー凝集率(%)=篩上の残存トナー質量(g)/0.5(g)×100
下記に記載の基準によりトナーの耐熱保管性の評価を行った。
◎:トナー凝集率が15質量%未満(トナーの耐熱保管性が極めて良好)
○:トナー凝集率が20質量%以下(トナーの耐熱保管性が良好)
×:トナー凝集率が20質量%を超える(トナーの耐熱保管性が悪く、使用不可)
評価結果は、下記表3に示す。
Figure 2011099954
本発明内の実施例1〜7は、いずれの特性も実用化可能なレベルにあり良好であるが、本発明外の比較例1〜8は、少なくともいずれかの特性に問題があり、実用化可能なレベルにないことがわかる。
a1 疎水性樹脂部
a2 親水性樹脂部
a3 親水性樹脂と疎水性樹脂を含む樹脂粒子
b1 着色剤粒子
b2 凝集粒子
c1 融着・熟成過程の粒子
c2 融着・熟成過程の粒子
c3 コア粒子表面部
c4 コア粒子中心部
c5 トナー粒子のコア部
d1 シェル
d2 トナー粒子(トナー母体)

Claims (4)

  1. コアシェル構造を有する静電潜像現像用トナーにおいて、コア部分は少なくともガラス転移温度(Tg)が10〜30℃の疎水性樹脂と、ガラス転移温度(Tg)が40〜50℃の親水性樹脂と着色剤を含有し、該コア部分の中心部に低Tgの疎水性樹脂が多く存在し、中心から外側にいくほど高Tgの親水性樹脂の比率が高くなり、シェル部分はTgが50〜70℃の親水性樹脂からなることを特徴とする静電潜像現像用トナー。
  2. 前記コア部分の疎水性樹脂のガラス転移温度(Tg)が15〜25℃であり、親水性樹脂のガラス転移温度(Tg)が42〜47℃、前記シェル部分の疎水性樹脂のガラス転移温度(Tg)が55〜65℃であることを特徴とする請求項1に記載の静電潜像現像用トナー。
  3. 前記コア部分の疎水性樹脂の含有率がコア部樹脂の80〜90質量%、親水性樹脂の含有率が10〜20質量%であり、前記シェル部分の親水性樹脂の含有率はトナー全体の樹脂の5〜10質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電潜像現像用トナー。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載の静電潜像現像用トナーを用い、少なくとも電子写真感光体上に潜像形成、現像、記録紙への転写、熱定着の各工程を経ることを特徴とする画像形成方法。
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