JP2011096460A - 燃料電池用カソード電極および燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】起動時での動作の安定性の向上を図った燃料電池を提供する。
【解決手段】燃料電池用カソード電極が,拡散層と,細孔分布のピーク高さPと半値幅Wの比P/Wが0.4以上,1.8以下のカソード触媒層を具備する。
【選択図】図1

Description

本発明は,燃料電池用カソード電極および燃料電池に関する。
携帯電話機,携帯情報端末等の電子機器の小型化が進められている。電子機器の小型化と共に,その電源などへの燃料電池の利用が試みられている。燃料電池は,燃料と空気を供給するのみで,発電することができ,燃料のみを交換,補充すれば連続して発電できるという利点を有する。このため,燃料電池が小型化できれば,小型の電子機器の電源として有効である。
燃料電池として,直接メタノール型燃料電池(以下,DMFC(Direct Methanol Fuel Cell)と称する。)が注目されている。かかるDMFCは,液体燃料の供給方式によって分類され,気体供給型や液体供給型等のアクティブ方式のものと,燃料収容部内の液体燃料を電池内部で気化させて燃料極に供給する内部気化型等のパッシブ方式のものがある。これらのうち,パッシブ方式のものはDMFCの小型化に対して有利である。
DMFCでの発電には,水および空気中の酸素が必要である。即ち,DMFCでの安定的な発電には,アノード触媒層,カソード触媒層それぞれに,水および酸素を安定して供給することが重要である。
ここで,長期運転,特に発電と休止を繰り返す間欠運転において,周囲の環境雰囲気等に起因して,水および酸素の安定供給が崩れ,DMFCの発電能力を充分に引き出すことが困難となる場合がある。
なお,燃料電池の発電性能を発揮させるための電極構造に関する技術が開示されている(特許文献1,2参照)。
特開2006−134630号公報 特開2006−253030号公報
本発明は,出力密度および耐久性の双方を確保できる燃料電池用カソード電極および燃料電池を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る燃料電池用カソード電極は,拡散層と,細孔分布のピーク高さPと半値幅Wの比P/Wが0.4以上,1.8以下のカソード触媒層と,を具備する。
本発明によれば,出力密度および耐久性の双方を確保できる燃料電池用カソード電極および燃料電池を提供できる。
本発明の一実施の形態に係る燃料電池システムの概略構成を示すブロック図である。 燃料電池本体1の断面図である。 燃料分配機構105の斜視図である。 細孔径分布のピーク高さおよび半値幅の決定手法の一例を表すグラフである。 細孔径分布のピーク高さおよび半値幅の決定手法の一例を表すグラフである。
以下,本発明の実施の形態を図面に従い説明する。図1に示す燃料電池は,燃料電池本体(DMFC)1,ポンプ駆動部2,DC−DCコンバータ3,制御部4,温度センサーSSを備える。
燃料電池本体1は,発電部101,燃料収容部102,流路103,ポンプ104,温度センサーSSを有する。発電部(セル)101は,燃料の燃焼により発電し,燃料電池システムの起電部を構成する。燃料収容部102は,発電部101で用いられる液体燃料を収容する。流路103は,燃料収容部102と発電部(セル)101を接続する。ポンプ104は,燃料収容部102から発電部(セル)101に液体燃料を移送する燃料供給手段である。
図2に示すように,発電部101は,アノード触媒層11とアノードガス拡散層12とを有するアノード(燃料極)13と,カソード触媒層14とカソードガス拡散層15とを有するカソード(空気極/酸化剤極)16と,アノード触媒層11とカソード触媒層14とで挟持されたプロトン(水素イオン)伝導性の電解質膜17とから構成される膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)を有する。
アノード触媒層11は,触媒粒子とプロトン伝導性ポリマーを含む。触媒粒子が,プロトン伝導性ポリマーにより結着される。この触媒として,Pt,Ru,Rh,Ir,Os,Pd等の白金族元素の単体,白金族元素を含有する合金等が挙げられる。特に,メタノールや一酸化炭素等に対して強い耐性を有するPt−Ru等(Pt(白金),Ru(ルテニウム)を担持した触媒)を用いることが好ましい。
カソード触媒層14は,触媒粒子,繊維状カーボン,プロトン伝導性ポリマーを含む。触媒粒子と繊維状カーボンが混合され,プロトン伝導性ポリマーにより結着される。この触媒として,Pt,Ru,Rh,Ir,Os,Pd等の白金族元素の単体,白金族元素を含有する合金等が挙げられる。特に,PtやPt−Co等を担持した触媒を用いることが好ましい。後述のように,カソード触媒層14が繊維状カーボンを含むことで,細孔の分布が適正な状態に保たれ,カソード16の性能が向上する。
既述のように,アノード触媒層11,カソード触媒層14はそれぞれ,プロトン伝導性ポリマーを含む。プロトン伝導性ポリマーは,電気化学反応によって発生するプロトンを伝導させる。また,プロトン伝導性ポリマーは,触媒粒子同士,あるいは触媒粒子と繊維状カーボンを結着させる。さらに,プロトン伝導性ポリマーは,アノード触媒層11とアノードガス拡散層12(およびカソード触媒層14とカソードガス拡散層15)を結着させる。
プロトン伝導性ポリマーは,例えばスルホン酸基を有するパープルオロスルホン酸重合体のようなフッ素系樹脂(ナフィオン(商品名,デュポン社製)やフレミオン(商品名,旭硝子社製)等),スルホン酸基を有する炭化水素系樹脂等の有機系材料,あるいはタングステン酸やリンタングステン酸等の無機系材料が挙げられる。ただし,プロトン伝導性ポリマーはこれらに限られるものではない。
アノード触媒層11に積層されるアノードガス拡散層12は,アノード触媒層11に燃料を均一に供給する役割を果たすと同時に,アノード触媒層11の集電体も兼ねている。カソード触媒層14に積層されるカソードガス拡散層15は,カソード触媒層14に酸化剤(酸素)を均一に供給する役割を果たすと同時に,カソード触媒層14の集電体も兼ねている。
アノードガス拡散層12およびカソードガス拡散層15は,多孔質基材で構成される。アノードガス拡散層12およびカソードガス拡散層15として,カーボンや導電性高分子などの繊維からなるペーパー,不織布,織布,編物や,導電性の多孔質膜などが挙げられる。この内,カーボンペーパーが好ましい。
アノードガス拡散層12やカソードガス拡散層15には,必要に応じて導電層が積層される。これら導電層としては,例えばAu,Niのような導電性金属材料からなる多孔質層(例えば,メッシュ),多孔質膜,箔体あるいはステンレス鋼(SUS)やCuなどの導電性金属材料に金やカーボンなどの良導電性材料を被覆した複合材等が用いられる。
電解質膜17を構成するプロトン伝導性イオン交換電解質材料として,既述のプロトン伝導性ポリマーと同様の材料,例えば,ナフィオン(商品名,デュポン社製)を用いることができる。ただし,電解質膜17を構成する材料はこれらに限られるものではない。
電解質膜17と後述する燃料分配機構105およびカバープレート18との間には,それぞれゴム製の0リング19が介在されており,これらによって発電部101からの燃料漏れや酸化剤漏れを防止している。
カバープレート18は酸化剤である空気を取入れるための不図示の開口を有している。カバープレート18とカソード16との間には,必要に応じて保湿層や表面層が配置される。保湿層はカソード触媒層14で生成された水の一部が含浸されて,水の蒸散を抑制すると共に,カソード触媒層14への空気の均一拡散を促進するものである。表面層は空気の取入れ量を調整するものであり,空気の取入れ量に応じて個数や大きさ等が調整された複数の空気導入口を有している。
発電部101のアノード(燃料極)13側には,燃料分配機構105が配置されている。燃料分配機構105には配管のような液体燃料の流路103を介して燃料収容部(燃料タンク)102が接続されている。
燃料収容部102には,発電部101に対応した液体燃料が収容されている。液体燃料としては,各種濃度のメタノール水溶液や純メタノール等のメタノール燃料が挙げられる。液体燃料は必ずしもメタノール燃料に限られるものではない。液体燃料は,例えばエタノール水溶液や純エタノール等のエタノール燃料,プロパノール水溶液や純プロパノール等のプロパノール燃料,グリコール水溶液や純グリコール等のグリコール燃料,ジメチルエーテル,ギ酸,その他の液体燃料であってもよい。いずれにしても,燃料収容部102には発電部101に応じた液体燃料が収容される。
燃料分配機構105には燃料収容部102から流路103を介して燃料が導入される。流路103は燃料分配機構105や燃料収容部102と独立した配管に限られるものではない。例えば,燃料分配機構105と燃料収容部102とを積層して一体化する場合,これらを繋ぐ燃料の流路であってもよい。燃料分配機構105は流路103を介して燃料収容部102と接続されていればよい。
図3に示すように,燃料分配機構105は,燃料が流路103を介して流入する少なくとも1個の燃料注入口21と,燃料やその気化成分を排出する複数個の燃料排出口22とを有する燃料分配板23を備えている。燃料分配板23の内部には図2に示すように,燃料注入口21から導かれた燃料の通路となる空隙部24が設けられている。複数の燃料排出口22は燃料通路として機能する空隙部24にそれぞれ直接接続されている。
燃料注入口21から燃料分配機構105に導入された燃料は空隙部24に入り,この燃料通路として機能する空隙部24を介して複数の燃料排出口22にそれぞれ導かれる。複数の燃料排出口22には,例えば燃料の気化成分のみを透過し,液体成分は透過させない気液分離体(図示せず)を配置してもよい。これによって,発電部101のアノード(燃料極)13には燃料の気化成分が供給される。なお,気液分離体は燃料分配機構105とアノード13との間に気液分離膜等として設置してもよい。燃料の気化成分は複数の燃料排出口22からアノード13の複数個所に向けて排出される。
燃料排出口22は発電部101の全体に燃料を供給することが可能なように,燃料分配板23のアノード13と接する面に複数設けられている。燃料排出口22の個数は2個以上であればよいが,発電部101の面内における燃料供給量を均一化する上で,0.1〜10個/cmの燃料排出口22が存在するように形成することが好ましい。
燃料分配機構105と燃料収容部102の間を接続する流路103には,燃料移送制御手段としてのポンプ104が挿入されている。このポンプ104は燃料を循環する循環ポンプではなく,あくまでも燃料収容部102から燃料分配機構105に燃料を移送する燃料供給ポンプである。このようなポンプ104で必要時に燃料を送液することによって,燃料供給量の制御性を高めるものである。この場合,ポンプ104としては,少量の燃料を制御性よく送液することができ,さらに小型軽量化が可能という観点から,ロータリーベーンポンプ,電気浸透流ポンプ,ダイアフラムポンプ,しごきポンプ等を使用することが好ましい。ロータリーベーンポンプはモータで羽を回転させて送液するものである。電気浸透流ポンプは電気浸透流現象を起こすシリカ等の焼結多孔体を用いたものである。ダイアプラムポンプは電磁石や圧電セラミックスによりダイアフラムを駆動して送液するものである。しごきポンプは柔軟性を有する燃料流路の一部を圧迫し,燃料をしごき送るものである。これらのうち,駆動電力や大きさ等の観点から,電気浸透流ポンプや圧電セラミックスを有するダイアプラムポンプを使用することがより好ましい。
燃料収容部102に収容された燃料は,ポンプ104により流路103を移送され,燃料分配機構105に供給される。そして,燃料分配機構105から放出された燃料は,発電部101のアノード(燃料極)13に供給される。
なお,燃料収容部102を,ポンプ104と燃料分配機構105の間に配置し,燃料収容部102をポンプ104で加圧して,液体燃料を移送しても良い。
燃料収容室102から燃料分配機構105への燃料供給が行われる構成であれば,ポンプ104に代えて燃料遮断バルブを配置する構成とすることも可能である。この場合,燃料遮断バルブは,流路による液体燃料の供給を制御するために設けられる。
発電部101内において,燃料はアノードガス拡散層12を拡散してアノード触媒層11に供給される。燃料としてメタノール燃料を用いた場合,アノード触媒層11で下記の(1)式に示すメタノールの内部改質反応が生じる。なお,メタノール燃料として純メタノールを使用した場合には,カソード触媒層14で生成した水や電解質膜17中の水をメタノールと反応させて(1)式の内部改質反応を生起させる。あるいは,水を必要としない他の反応機構により内部改質反応を生じさせる。
CHOH+HO → 6H+CO十6e …(1)
この反応で生成した電子(e)は集電体を経由して外部に導かれ,いわゆる出力として負荷側に供給された後,カソード(空気極)16に導かれる。また,(1)式の内部改質反応で生成したプロトン(H)は電解質膜17を経てカソード16に導かれる。カソード16には酸化剤として空気が供給される。カソード16に到達した電子(e)とプロトン(H)は,カソード触媒層14で空気中の酸素と下記の(2)式にしたがって反応し,この反応に伴って水が生成される。
6H+(3/2)O+6e → 3H0 …(2)
ポンプ駆動部2は,ポンプ104の駆動を制御する。ポンプ駆動部2は,制御部4の指示に基づいてポンプ104のオン/オフ等を制御する。
DC−DCコンバータ3は,不図示のスイッチング要素とエネルギー蓄積要素を有し,これらスイッチング要素とエネルギー蓄積要素により燃料電池本体1で発電された電気エネルギーを蓄積/放出させ,燃料電池本体1からの比較的低い出力電圧を十分な電圧まで昇圧して出力する。
温度センサーSSは,カソード16の近傍に配置され,カソード16の温度Tmp(カソード温度,あるいはDMFCの温度)を測定するセンサー,例えば,サーミスタ,熱電対である。温度センサーSSからの温度Tmpの測定結果を表す信号(温度信号)が制御部4に送られ,燃料供給の制御に用いられる。
制御部4は,温度センサーSSの測定結果に基づき,ポンプ駆動部2を制御する。
(カソード触媒層14の詳細)
既述のように,本実施形態では,触媒と繊維状カーボンを混合し,カソード触媒層14とする。ここで,カソード触媒層14での細孔分布,特に,細孔分布のピーク高さPと半値幅Wの比(P/W)が重要である。細孔分布のピーク高さPは,細孔径の最大出現頻度に対応する。また,半値幅Wは,ある程度出現頻度の高い細孔径の範囲に対応する。実験の結果,燃料電池の出力および長期的安定性を確保する上で,「細孔径の最大出現頻度」と「細孔径の範囲」の対応関係,即ち,比P/Wが重要なことが判明した。
具体的には,比P/Wを0.4以上,1.8以下にすることにより,発電と休止を繰り返す間欠運転においても,長期にわたり安定した性能を維持することが可能となる。
カソード触媒層14に繊維状カーボンを混合することで,カソード触媒層14にある径の細孔(空孔)を持たせることができる(細孔径の範囲の適正化)。細孔径の最大出現頻度に対して,細孔径の範囲を適正な範囲とすることで,カソード触媒層14内を水や空気が効率的に通過することができ,かつ長期的な信頼性を確保できる。
比P/Wが1.8より大きいと,細孔径の最大出現頻度に対して,細孔径の範囲が狭すぎ,多様な状態の気体等(水や空気)の効率的な通過に適しない。
一方,比P/Wが0.4より小さくなると,細孔径の最大出現頻度に対して,細孔径の範囲が広すぎ(細孔分布が過剰にブロード),多様な状態の気体等(水や空気)の効率的な通過に適しない。即ち,触媒層14内にむらができ,生成水や空気の円滑な通過が困難となり,後述の初期出力及び出力維持率が低下すると考えられる。
カソード触媒層14の細孔分布は,水銀圧入法による測定が可能である。細孔分布測定装置として,オートポア9520形(島津製作所製)を用いることができる。カソード触媒層14の試料片を細孔分布測定装置の試料ホルダー(例えば,直径13mm高さ25mmの円筒形試料ホルダー)に入れ,減圧脱気後,試料片の周りから水銀を満たす。初期圧力を例えば,約7kPa(約1psia,約180μmの細孔直径に相当)とし,測定を開始する。これにより,細孔直径が約180μmから約0.003μmの範囲で,カソード触媒層14の細孔分布が得られる。
ここで,燃料電池では,カソード触媒層14とカソードガス拡散層15(例えば,カーボンペーパ)が固着している。この場合でも,カソード触媒層14の細孔分布を測定できる。例えば,燃料電池から膜電極接合体を取り出す。膜電極接合体の電解質膜17からカソードガス拡散層15(カーボンペーパー等)を剥す。このとき,カソードガス拡散層15とカソード触媒層14を分離するのが困難であるため,カソード触媒層14が一部に付着したカソードガス拡散層15が得られる。カソード触媒層14が付着したカソードガス拡散層15を切り取って,試料片とする。なお,膜電極接合体が複数のセルで構成されている場合,各セルの平面方向での中央部に最も近い部分から前記構成を満足する箇所を選択するものとする。
カソード触媒層14自体を試料片とする場合と同様に,細孔分布測定装置を用いて,細孔分布を測定する。即ち,初期圧力を例えば,約7kPaとし,測定を開始することで,細孔直径が約180μmから約0.003μmの範囲で,カソード触媒層14およびカソードガス拡散層15の細孔分布が得られる。
この測定では,カソード触媒層14およびカソードガス拡散層15全体としての細孔分布が得られる。このように得られた細孔分布からカソード触媒層14の細孔分布を抽出することができる。この詳細は後述する。
(カソード触媒層14の製造方法)
次のようにして,比P/Wが適正範囲のカソード触媒層14を製造できる。
(1)スラリーの作成
触媒,繊維状カーボン,プロトン伝導性ポリマーを混合して,スラリーを作成する。このとき,繊維状カーボンの混合比率,スラリーの分散強度を適宜に調節することが好ましい。
(2)カソードガス拡散層15へのスラリーの塗布,乾燥
カソードガス拡散層15(例えば,カーボンペーパ)にスラリーを塗布し,乾燥する。この結果,カソード触媒層14とカソードガス拡散層15とが積層されたカソード(空気極/酸化剤極)16が得られる。このとき,乾燥条件を適宜に調節することが好ましい。
繊維状カーボンがカソード触媒層14を構成する骨格的役割を果たし,カソード触媒層14が空気を取り込み易い構造となる。カソード触媒層14での電気導電性及びガス拡散性の双方が確保される。この結果,効率的な発電がなされ,水の生成も活発になるため,アノード触媒層11に戻る水も潤沢になる。
なお,繊維状カーボンは触媒(例えば,白金)が担持していても,していなくとも良い。所定の量の触媒がカソード触媒層14中にあれば良い。
比P/Wを0.4以上,1.8以下に制御する要因の1つとして,カソード触媒に混合する繊維状カーボンの比率が挙げられる。好ましい範囲として,触媒40〜99wt%に対して繊維状カーボンは60〜1wt%であり,より好ましくは触媒70〜90wt%に対して繊維状カーボンは30〜10wt%である。
但し,繊維状カーボンの比率のみで比P/Wを制御できる訳では無い。スラリーの分散強度,乾燥条件も比P/Wを制御する要因として挙げられる。
以下,本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。
(1)実施例1
カソード触媒として,田中貴金属株式会社製触媒TEC10E70TPM(ケッチェン担持体に70wt%白金担持させたもの)を80wt%,繊維状カーボンとして昭和電工株式会社製VGCF−Hを20wt%混合させ,スラリーを作製する。
ガス拡散用に撥水処理を施したGDL基材(カソードガス拡散層15)上に,貴金属量(触媒の量)が2.5mg/cmになるようスラリーを塗工し,乾燥させる。この結果,カソード触媒層14とカソードガス拡散層15とが積層されたカソード16が得られる。
一方,アノードは田中貴金属株式会社製触媒TEC61E54DM(ケッチェン担持体に54wt%白金ルテニウムを担持させたもの)を用いて,スラリーを作製する。ガス拡散用GDL基材上に,貴金属量(触媒の量)が4.5mg/cmになるようスラリーを塗工し,乾燥させる。この結果,アノード触媒層11とアノードガス拡散層12とが積層されたアノード13が得られる。
このようにして得られたカソード16とアノード13の間に電解質膜17としてナフィオン膜(デュポン社製ナフィオンNRE212)を配置し,温度150℃のホットプレスにて5分間加熱加圧する。この結果,アノード13−電解質膜17−カソード16の接合体(膜電極接合体)が得られる。この膜電極接合体を用いて試験用の燃料電池セルを組み立てる。
(2)実施例2
混合比率を触媒70wt%,繊維状カーボン30wt%になるよう作製したこと以外は,実施例1と同様にしてカソード16を作製し,燃料電池セルを組み立てた。
(3)実施例3
混合比率を触媒50wt%,繊維状カーボン50wt%になるよう作製したこと以外は,実施例1と同様にしてカソード16を作製し,燃料電池セルを組み立てた。
(4)実施例4
混合比率を触媒90wt%,繊維状カーボン10wt%になるよう作製したこと以外は,実施例1と同様にしてカソード16を作製し,燃料電池セルを組み立てた。
(5)実施例5
混合比率を触媒95wt%,繊維状カーボン5wt%になるよう作製したこと以外は,実施例1と同様にしてカソード16を作製し,燃料電池セルを組み立てた。
(6)比較例1
繊維状カーボンを混合せず触媒だけで作製したこと以外は,実施例1と同様にしてカソード16を作製し,燃料電池セルを組み立てた。
実施例1から5,及び比較例1で作製した燃料電池セルを燃料電池評価装置に組込む。そして,アノード13側へは直接メタノールを供給し,カソード16側は25℃50%の空気雰囲気にさらしながらカソード温度55℃,電圧0.35Vで初期出力を測定する。その後,2時間運転,2時間休止の間欠運転を3000回繰り返した後,同一条件にて出力を再度測定する。この間欠運転前後での出力の比(出力維持率)を算出する。
また,カソード触媒層14の細孔分布を測定し,得られた結果よりピーク高さP,半値幅Wの比(P/W)を算出する。なお,これらの細孔分布は,3回測定した結果の平均値である。
以上の結果を表1に示す。
Figure 2011096460
ここで,相対初期出力は,比較例1の初期出力値を100とした時の相対値で示している。
(カソード触媒層14の細孔分布の抽出)
実施例1の細孔分布の測定結果を用いて以下に説明する。図4は,実施例1での細孔分布の測定結果(グラフG)を表す。図4の横軸,縦軸が,細孔径(Pore size Diameter)[μm]と微分細孔容積(Log Differential Intrusion)[mL/g]を表す。
図4に示されるように,細孔径(Pore size Diameter)が0.01〜2μmの範囲のピークと細孔径10μm以上のピークが存在することが判る。細孔径10μm以上のピークは,カソードガス拡散層15での細孔分布に起因するピークである。本実施形態では,カソード触媒層14とカソードガス拡散層15の細孔分布を分離するため,次のような手法を用いる。
図4に示すように,0.01〜2μmの範囲を基準にベースラインBLを設定する。即ち,グラフGと細孔径0.01μm,2μmの交点A,Bを結ぶ直線がベースラインBLである。グラフGの縦軸,横軸双方が対数で表されることから,このベースラインBLは,単純な比例関係を表すものでなく,細孔径と微分細孔容積それぞれの対数が比例関係にあることを意味する。
図5に示すように,グラフGからベースラインBLの勾配部分を除去して,0.01μm,2μmでの微分細孔容積が等しくなるグラフG1を算出する。このときのグラフG1と細孔径0.01μm,2μmの交点A1,B1を結ぶ直線が新たなベースラインBL1である。グラフG1の頂点とベースラインBL1間の距離がピーク高さPである。そして,このピーク高さPの中点MでのグラフG1の幅が半値幅Wである。
以上は,グラフG,ベースラインBLを表すグラフが両対数であることを前提としている。即ち,ピーク高さPの中点Mは,単純な中点でなく,対数で表した中点であり,ピーク高さPの平方根(1/2乗)の点を意味する。
表1から判るように,繊維状カーボンを添加し,且つある条件で分散・塗工・乾燥して得たカソード触媒層の細孔分布のピーク高さPとその半値幅Wとの比P/Wは0.4以上,1.8以下であることが好ましい。この範囲において,良好な相対初期出力および出力維持率が得られる。
比P/Wをこの範囲に制御することにより,繊維状カーボンがカソード触媒層14を構成する骨格的役割を果たし,カソード触媒層14が空気および水を効率的に通過するようになる。即ち,効率的な発電が可能となり,カソード触媒層14で生成された水がアノード触媒層11へ効率的に移動する。この結果,発電と休止を繰り返す間欠運転において安定した性能を保持することが可能となる。
ここで,カソード触媒層14への繊維状カーボンの混合と比P/Wは密接な関係を有する。即ち,繊維状カーボンの混合によりピーク高さPは変わらず半値幅Wだけが大きくなり,比P/Wは2.0よりも小さくなる。繊維状カーボンを20〜30wt%混合した場合に,比P/Wが0.6前後と最も小さくなる。その後,繊維状カーボンの混合量を更に増やすと,繊維状カーボン由来のピーク値が高くなり,再び比P/Wが大きくなる。
但し,これはある決まった分散条件,塗工乾燥条件で作製した結果であり,繊維状カーボンの混合比率だけで,比P/Wが一義的に決まるものでは無い。
(その他の実施形態)
本発明の実施形態は上記の実施形態に限られず拡張,変更可能であり,拡張,変更した実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば,膜電極接合体への燃料の供給は種々の状態とすることができる。膜電極接合体に供給する燃料の全てを蒸気の状態とすることができる(気体状態での供給)。また,膜電極接合体に供給する燃料の一部を液体状態としても良い(気体,液体の混合状態での供給)。
1…燃料電池本体,2…ポンプ駆動部,3…コンバータ,4…制御部,11…アノード触媒層,12…アノードガス拡散層,13…アノード,14…カソード触媒層,15…カソードガス拡散層,16…カソード,17…電解質膜,18…カバープレート,19…リング,21…燃料注入口,22…燃料排出口,23…燃料分配板,24…空隙部,101…発電部,102…燃料収容部,103…流路,104…ポンプ,105…燃料分配機構,SS…温度センサー

Claims (6)

  1. 拡散層と,
    細孔分布のピーク高さPと半値幅Wの比P/Wが0.4以上,1.8以下のカソード触媒層と,
    を具備することを特徴とする燃料電池用カソード電極。
  2. 前記細孔分布が水銀圧入法により求められ,細孔径,微分細孔容積をそれぞれ対数で表すグラフに基づいて,細孔径0.01〜2μmの範囲を基準として,ピーク高さPと半値幅Wが算出される
    ことを特徴とする請求項1記載の燃料電池用カソード電極。
  3. 前記カソード触媒層が,触媒と繊維状カーボンを含み,この触媒と繊維状カーボンの合計質量に対する繊維状カーボンの質量が1質量%以上,60質量%以下である
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池用カソード電極。
  4. 前記カソード触媒層が,プロトン伝導性ポリマをさらに含む
    ことを特徴とする請求項3記載の燃料電池用カソード電極。
  5. 前記触媒がPtを含む
    ことを特徴とする請求項3または4に記載の燃料電池用カソード電極。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の燃料電池用カソード電極を有する燃料電池。
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