JP2009123619A - 燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】出力維持性能が改善された燃料電池を提供する。
【解決手段】カソード6と、アノード5と、前記カソード6及び前記アノード5の間に介在された電解質膜7とを具備する燃料電池であって、前記アノード5は、前記電解質膜7に積層されたアノード触媒層8と、前記アノード触媒層8に積層されたアノード多孔質層9と、前記アノード多孔質層9に積層されたアノード拡散層10とを備え、前記アノード多孔質層9は、前記アノード触媒層8と対向する面の液滴接触角が100〜140度であると共に、前記アノード拡散層10と対向する面の液滴接触角が100度以下で、かつ前記アノード触媒層8と対向する面の液滴接触角よりも小さいことを特徴とする燃料電池。
【選択図】 図5

Description

本発明は、燃料電池に関するものである。
近年、電子技術の進歩により、電子機器の小型化、高性能化、ポータブル化が進んでおり、携帯用電子機器においては、使用される電池の高エネルギー密度化の要求が高まっている。このため、軽量、小型でありながら大容量な電池が要求されており、リチウムイオン電池などが開発されてきた。
しかし、携帯用電子機器のオペレーション時間がさらに増加する傾向にあり、リチウムイオン電池では、材料および構造の観点からエネルギー密度の向上は限界にきており、さらなる要求に対応できなくなりつつある。
上記のような状況から、リチウムイオン電池に代わって、小型燃料電池が注目を集めている。特に、メタノールを燃料として使用するダイレクトメタノール型燃料電池(Direct Methanol Fuel Cell:DMFC)は、水素ガスの取り扱いの困難さ、または有機燃料から水素ガスに改質する装置等が不要であることから、水素ガスを使用する燃料電池に比べて小型化に優れている。
DMFCは、アノード(燃料極)でメタノールが酸化分解されて二酸化炭素、プロトン、および電子が生成される一方で、カソード(空気極)で空気から得られる酸素、アノードから電解質膜を得て供給されるプロトン、およびアノードから外部回路を通じて供給される電子によって水が生成され、この外部回路を通る電子によって電力を供給する。
DMFCは上記のような構成で発電するため、メタノールを供給するポンプや空気を送り込むブロワが補器として備えられ、システムとして複雑な形態を成したDMFCが開発されてきた。よって、燃料電池の小型化を図ることは難しかった。
メタノールをポンプで供給する代わりに、メタノール収容室を発電素子の近傍に設け、メタノール収容室と発電素子との間に設けた気液分離膜を透過してメタノールを供給することで、小型化が進められた。また、空気の取り入れについては、ブロワの代わりに、発電素子に吸気口を直接設置することで、小型DMFCが提案されている(特許文献1参照)。
特開2004−164903号公報
本発明は、出力維持性能が改善された燃料電池を提供しようとするものである。
本発明に係る燃料電池は、カソードと、アノードと、前記カソード及び前記アノードの間に介在された電解質膜とを具備する燃料電池であって、
前記アノードは、前記電解質膜に積層されたアノード触媒層と、前記アノード触媒層に積層されたアノード多孔質層と、前記アノード多孔質層に積層されたアノード拡散層とを備え、
前記アノード多孔質層は、前記アノード触媒層と対向する面の液滴接触角が100〜140度であると共に、前記アノード拡散層と対向する面の液滴接触角が100度以下で、かつ前記アノード触媒層と対向する面の液滴接触角よりも小さいことを特徴とする。
本発明によれば、出力維持性能が改善された燃料電池を提供することができる。
本発明に係る燃料電池のアノードは、電解質膜に積層されたアノード触媒層と、アノード触媒層に積層されたアノード多孔質層と、アノード多孔質層に積層されたアノード拡散層とを備える。アノード多孔質層において、アノード触媒層と対向する面(以下、第1の面と称す)の液滴接触角が100〜140度であると共に、アノード拡散層と対向する面(以下、第2の面と称す)の液滴接触角が100度以下で、かつ第1の面の液滴接触角よりも小さい。
このような構成によると、発電反応によりカソードで発生した生成水が電解質膜を通してアノード触媒層に拡散した際、この生成水がアノード拡散層まで浸透するのを、多孔質層の第1の面で阻止することができる。その結果、(i)アノード触媒層の水保持量を増加させることができ、(ii)水保持量の変動を少なくすることができ、(iii)アノード拡散層を通過した生成水による燃料の希釈を抑えることができるため、長期間に亘って高い出力を維持することができる。
この燃料電池のカソードは、電解質膜に積層されたカソード触媒層と、カソード触媒層に積層されたカソード多孔質層と、カソード多孔質層に積層されたカソード拡散層とを備えることが好ましい。また、カソード多孔質層は、カソード触媒層と対向する面(以下、第3の面と称す)の液滴接触角が100〜140度であると共に、カソード拡散層と対向する面(以下、第4の面と称す)の液滴接触角が100度以下で、かつ第3の面の液滴接触角よりも小さいことが望ましい。
このようなカソードを用いることによって、カソードで発生した水を効率よく電解質膜を通してアノード触媒層に搬送することができるため、出力効率を上げることができる。また、生成水がカソード拡散層に滞留するのを防ぐことができるため、出力効率の向上だけでなく、出力維持率も向上することができる。従って、上記カソードを用いることによって、生成水の流れをコントロールすることができ、出力と維持率に優れた燃料電池を得ることが出来る。
ここで、液滴接触角θは、図1に示すように、液滴DRと測定対象物X(多孔質層)とが接触する点Pにおける液滴DRの表面カーブに対する接線Lと測定対象物Xの表面とが成す角である。
この接触角θは以下のように測定する。最初に、図2に示すように、マイクロシリンジMで、純水の液滴DRを形成する。本実施形態の場合、液滴(水滴)DRは約0.5マイクロリットルである。
次に、図3に示すように、液滴DRの底を測定対象物Xに付ける。そして、マイクロシリンジMを測定対象物Xから離すと、測定対象物Xの表面に図4に示すように液滴DRが付着する。この状態で、3000ms後に、液滴DRの高さhと、液滴DRの半径rを測定する。ここで、液滴DRの高さhとは、測定対象物Xの界面と液滴DRの頂点との距離である。
接触角θは、図1に示すθ1(=arctan(r/h))の2倍に等しいことから、測定された水滴DRの高さhおよび半径rから、下記の式(A)を用いて接触角θの値が算出される。
θ=2×{arctan(r/h)} 式(A)
上記のように算出された接触角θは、その値が大きいほど、測定対象物の撥水性が高いことを示し、その値が小さいほど測定対象物の撥水性が低いことを示している。
以下、本発明の実施形態を図5〜図7を参照して説明する。
図5に示す燃料電池は、起電部を構成する燃料電池セル1と、この燃料電池セル1に燃料を供給する燃料分配機構2と、液体燃料を収容する燃料収容部3と、これら燃料分配機構2と燃料収容部3とを接続する流路4とから主として構成されている。
燃料電池セル1は、アノード(燃料極)5と、カソード(空気極/酸化剤極)6と、アノード5とカソード6とで挟持されたプロトン伝導性の電解質膜7とから構成される膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)を有している。
電解質膜7には、プロトン伝導性の電解質膜を使用することができる。電解質膜を構成するプロトン伝導性材料としては、例えば、スルホン酸基を有するフッ素系樹脂(例えば、パーフルオロスルホン酸重合体)、スルホン酸基を有するハイドロカーボン系樹脂、タングステン酸やリンタングステン酸などの無機物等が挙げられるが、これらに限定される物ではない。
アノード5は、図5及び図7に示すように、電解質膜7に積層されたアノード触媒層8と、アノード触媒層8に積層されたアノード多孔質層9と、アノード多孔質層9に積層されたアノードガス拡散層10とを有する。アノード多孔質層9は、例えばカーボンペーパーからなる導電性の多孔質基材9aと、基材9aの両面に形成された導電性多孔質層9b,9cとを備える。導電性多孔質層9bにおけるアノード触媒層8と対向する面(以下、第1の面と称す)の液滴接触角は、100〜140度である。また、導電性多孔質層9cにおけるアノード拡散層10と対向する面(以下、第2の面と称す)の液滴接触角は、100度以下で、かつ第1の面の液滴接触角よりも小さい。
アノード触媒層8は、アノード触媒と、バインダーとを含む。アノード触媒としては、例えば、白金族元素の単体金属(Pt、Ru、Rh、Ir、Os、Pd等)、白金族元素を含有する合金などを挙げることができる。アノード触媒には、メタノールや一酸化炭素に対する耐性の強いPt−Ruを用いることが望ましいが、これに限定されるものでは無い。また、炭素材料のような導電性担持体を使用する担持触媒を使用しても、あるいは無担持触媒を使用しても良い。バインダーには、例えば、パーフルオロスルホン酸系アイオノマーを使用することができる。
一方、カソード6は、図5及び図7に示すように、電解質膜7に積層されたカソード触媒層11と、カソード触媒層11に積層されたカソード多孔質層12と、カソード多孔質層12に積層されたカソードガス拡散層13とを有する。カソード多孔質層12は、例えばカーボンペーパーからなる導電性の多孔質基材12aと、基材12aの両面に形成された導電性多孔質層12b,12cとを備える。導電性多孔質層12bにおけるカソード触媒層11と対向する面の液滴接触角(以下、第3の面と称す)は、100〜140度であることが望ましい。また、導電性多孔質層12cにおけるカソード拡散層13と対向する面(以下、第4の面と称す)の液滴接触角は、100度以下で、かつ第3の面の液滴接触角よりも小さいことが好ましい。
カソード触媒層11は、カソード触媒と、バインダーとを含む。カソード触媒としては、例えば、白金族元素の単体金属(Pt、Ru、Rh、Ir、Os、Pd等)、白金族元素を含有する合金などを挙げることができる。カソード触媒には、白金を用いることが望ましいが、これに限定されるものでは無い。また、炭素材料のような導電性担持体を使用する担持触媒を使用しても、あるいは無担持触媒を使用しても良い。バインダーには、例えば、パーフルオロスルホン酸系アイオノマーを使用することができる。
アノードガス拡散層10は、アノード触媒層8に燃料を均一に供給する役割を果たすと同時に、アノード触媒層8の集電体も兼ねている。一方、カソードガス拡散層13は、カソード触媒層11に酸化剤を均一に供給する役割を果たすと同時に、カソード触媒層11の集電体も兼ねている。アノードガス拡散層10およびカソードガス拡散層13は、カーボンペーパーなどの導電性多孔質基材で構成されている。
アノードガス拡散層10及びカソードガス拡散層13には、必要に応じて導電層14が積層される。これら導電層14としては、例えば、金、ニッケルなどの金属材料からなる多孔質層(例えばメッシュ)または箔体、あるいはステンレス鋼(SUS)などの導電性金属材料に金などの良導電性金属を被覆した複合材などが用いられる。電解質膜7と燃料分配機構2およびカバープレート15との間には、それぞれゴム製のOリング16が介在されており、これらによって燃料電池セル(MEA)1からの燃料漏れや酸化剤漏れを防止している。
図示を省略したが、カバープレート15は酸化剤である空気を取入れるための開口を有している。カバープレート15とカソード6との間には、必要に応じて保湿層や表面層が配置される。保湿層はカソード触媒層11で生成された水の一部が含浸されて、水の蒸散を抑制すると共に、カソード触媒層11への空気の均一拡散を促進するものである。表面層は空気の取入れ量を調整するものであり、空気の取入れ量に応じて個数や大きさ等が調整された複数の空気導入口を有している。
燃料収容部3には、燃料電池セル1に対応した液体燃料が収容されている。液体燃料としては、各種濃度のメタノール水溶液や純メタノール等のメタノール燃料が挙げられる。液体燃料は必ずしもメタノール燃料に限られるものではない。液体燃料は、例えばエタノール水溶液や純エタノール等のエタノール燃料、プロパノール水溶液や純プロパノール等のプロパノール燃料、グリコール水溶液や純グリコール等のグリコール燃料、ジメチルエーテル、ギ酸、その他の液体燃料であってもよい。いずれにしても、燃料収容部3には燃料電池セル1に応じた液体燃料が収容される。
液体燃料の種類や濃度は限定されるものではない。ただし、複数の燃料排出口22を有する燃料分配機構2の特徴がより顕在化するのは燃料濃度が濃い場合である。このため、燃料電池は、濃度が80%以上のメタノール水溶液もしくは純メタノールを液体燃料として用いた場合に、その性能や効果を特に発揮することができる。
燃料電池セル1のアノード(燃料極)5側には、燃料分配機構2が配置されている。燃料分配機構2は配管のような液体燃料の流路4を介して燃料収容部3と接続されている。燃料分配機構2には燃料収容部3から流路4を介して液体燃料が導入される。流路4は燃料分配機構2や燃料収容部3と独立した配管に限られるものではない。例えば、燃料分配機構2と燃料収容部3とを積層して一体化する場合、これらを繋ぐ液体燃料の流路であってもよい。燃料分配機構2は流路4を介して燃料収容部3と接続されていればよい。
液体燃料を燃料収容部3から燃料分配機構2まで送る機構は特に限定されるものではない。例えば、使用時の設置場所が固定される場合には、重力を利用して液体燃料を燃料収容部3から燃料分配機構2まで落下させて送液することができる。また、多孔体等を充填した流路4を用いることによって、毛細管現象で燃料収容部3から燃料分配機構2まで送液することができる。さらに、燃料収容部3から燃料分配機構2への送液は、図5に示すように、ポンプ17で実施してもよい。あるいは、燃料分配機構2から燃料電池セル1への燃料供給が行われる構成であればポンプ17に代えて燃料遮断バルブを配置する構成とすることも可能である。この場合には、燃料遮断バルブは、流路による液体燃料の供給を制御するために設けられるものである。
燃料分配機構2は、図6に示すように、液体燃料が流路4を介して流入する少なくとも1個の燃料注入口21と、液体燃料やその気化成分を排出する複数個の燃料排出口22とを有する燃料分配板23を備えている。燃料分配板23の内部には図5に示すように、燃料注入口21から導かれた液体燃料の通路となる空隙部24が設けられている。複数の燃料排出口22は燃料通路として機能する空隙部24にそれぞれ直接接続されている。
燃料注入口21から燃料分配機構2に導入された液体燃料は空隙部24に入り、この燃料通路として機能する空隙部24を介して複数の燃料排出口22にそれぞれ導かれる。複数の燃料排出口22には、例えば液体燃料の気化成分のみを透過し、液体成分は透過させない気液分離体(図示せず)を配置してもよい。これによって、燃料電池セル1のアノード5には液体燃料の気化成分が供給される。なお、気液分離体は燃料分配機構2とアノード5との間に気液分離膜等として設置してもよい。液体燃料の気化成分は複数の燃料排出口22からアノード5の複数個所に向けて排出される。
燃料排出口22は燃料電池セル1の全体に燃料を供給することが可能なように、燃料分配板23のアノード5と対向する面に複数設けられている。燃料排出口22の個数は2個以上であればよいが、燃料電池セル1の面内における燃料供給量を均一化する上で、0.1〜10個/cm2の燃料排出口22が存在するように形成することが好ましい。燃料排出口22の個数が0.1個/cm2未満であると、燃料電池セル1に対する燃料供給量を十分に均一化することができない。燃料排出口22の個数を10個/cm2を超えて形成しても、それ以上の効果が得られない。
燃料分配機構2から放出された燃料は、上述したように燃料電池セル1のアノード5に供給される。燃料電池セル1内において、燃料はアノードガス拡散層10及びアノード多孔質層9を拡散してアノード触媒層8に供給される。液体燃料としてメタノール燃料を用いた場合、アノード触媒層8で下記の(1)式に示すメタノールの内部改質反応が生じる。なお、メタノール燃料として純メタノールを使用した場合には、カソード触媒層11で生成した水や電解質膜7中の水をメタノールと反応させて(1)式の内部改質反応を生起させる。
CH3OH+H2O → CO2+6H++6e- (1)
この反応で生成した電子(e-)は集電体を経由して外部に導かれ、いわゆる電気として携帯用電子機器等を動作させた後、カソード(空気極)6に導かれる。また、(1)式の内部改質反応で生成したプロトン(H+)は電解質膜7を経てカソード6に導かれる。カソード6には酸化剤として空気が供給される。カソード6に到達した電子(e-)とプロトン(H+)は、カソード触媒層11で空気中の酸素と下記の(2)式にしたがって反応し、この反応に伴って水が生成する。
6e-+6H++(3/2)O2 → 3H2O (2)
本実施形態の燃料電池においては、上述したように複数の燃料排出口22を有する燃料分配機構2を適用している。燃料分配機構2に導入された液体燃料は空隙部24を介して複数の燃料排出口22に導かれる。燃料分配機構2の空隙部24はバッファとして機能するため、複数の燃料排出口22からそれぞれ規定濃度の燃料が排出される。そして、複数の燃料排出口22は燃料電池セル1の全面に燃料が供給されるように配置されているため、燃料電池セル1に対する燃料供給量を均一化することができる。
また、本実施形態に係る燃料電池では、アノード多孔質層9の第1の面の液滴接触角が100〜140度であると共に、アノード多孔質層9の第2の面の液滴接触角が100度以下で、第1の面の液滴接触角よりも小さいため、発電によりカソード触媒層11で発生した水が電解質膜7を通してアノード触媒層8に拡散した際、この生成水がアノード拡散層8まで浸透するのを、アノード多孔質層9の第1の面で阻止することができる。その結果、(i)アノード触媒層8の水保持量を増加させることができ、(ii)水保持量の変動を少なくすることができ、(iii)アノード拡散層10を通過した水によって燃料分配機構2や燃料収容部3内の液体燃料が希釈されるのを抑えることができるため、長期間に亘って高い出力を維持することができる。
液滴接触角を上記範囲に限定する理由を説明する。第1の面の液滴接触角を100度未満にすると、アノード触媒層8に保持された生成水がアノード多孔質層9を伝ってアノード拡散層10に浸透し、さらにアノード拡散層10を透過して燃料分配機構2や燃料収容部3内の液体燃料と混入して液体燃料が希釈され、出力が低下する。一方、第1の面の液滴接触角が140度を超えると、アノード多孔質層9に水が浸透しにくくなり、アノード触媒層8に過剰に水が保持され触媒反応が阻害されるため、出力低下が起きる。第1の面の液滴接触角のさらに好ましい範囲は、110〜130度である。
また、第2の面の液滴接触角が100度を超えるか、あるいは第1の面よりも大きくなると、アノード多孔質層9に水が浸透しにくくなり、アノード触媒層8に過剰に水が保持され触媒反応が阻害されるため、出力低下が起きる。第2の面の液滴接触角のさらに好ましい範囲は、70〜90度である。
上記燃料電池のカソード多孔質層12において、第3の面の液滴接触角を100〜140度にし、かつ第4の面の液滴接触角を100度以下で、第3の面の液滴接触角よりも小さくすることが好ましい。このようなカソード6を用いることによって、カソード触媒層11で発生した水を効率よくアノード触媒層8に搬送することができる。また、生成水がカソード拡散層13に滞留するのを防ぐことができる。これらの結果、出力効率と出力維持率の双方を向上することができる。
液滴接触角を上記範囲に限定する理由を説明する。第3の面の液滴接触角を100度未満にすると、カソード触媒層11に保持された水がカソード多孔質層12を伝ってカソード拡散層13に浸透するため、カソード拡散層13における酸化剤ガスの拡散が阻害され、出力が低下する。一方、第3の面の液滴接触角が140度を超えると、カソード多孔質層12を通過して外部に排出される水が減り、逆にカソード触媒層13の表面に水が溜まり、酸素の供給が阻害されるため、出力が低下する。第3の面の液滴接触角のさらに好ましい範囲は、110〜130度である。
また、第4の面の液滴接触角が100度を超えるか、あるいは第3の面よりも大きくなると、カソード多孔質層12に水が保持されやすくなり、酸素の供給が阻害されるため、出力が低下する。第4の面の液滴接触角のさらに好ましい範囲は、70〜90度である。
アノード多孔質層9及びカソード多孔質層12は、例えば、以下に説明する方法で作製される。基材としてのカーボンペーパーに、炭素材料粒子とポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とを含むスラリーをスプレーコート法にて塗布し、乾燥することにより、多孔質層9,12が得られる。多孔質層9,12の表面の接触角は、PTFEの配合量によって調整することが可能である。
本発明に適用可能な燃料電池は、その形態から、液体燃料と酸化剤の供給をポンプなどの補器を用いて行うアクティブ型燃料電池、液体燃料の気化成分をアノードに供給するパッシブ型(内部気化型)燃料電池、前述した図5〜図7に示すセミパッシブ型の燃料電池などが挙げられる。アクティブ型燃料電池では、メタノール水溶液からなる燃料について、その量が一定になるようにポンプで調整しながらMEAのアノードへ供給する一方、カソードに対しても空気をポンプで供給する方式が採られる。パッシブ型燃料電池では、MEAのアノードに気化したメタノールを自然供給で送り、一方カソードに対しても外部の空気を自然供給することで、ポンプなどの余計な機器を装備しない方式が採られる。セミパッシブ型の燃料電池は、燃料収容部から膜電極接合体に供給された燃料は発電反応に使用され、その後に循環して燃料収容部に戻されることはない。セミパッシブ型の燃料電池は、燃料を循環しないことから、アクティブ方式とは異なるものであり、装置の小型化等を損なうものではない。また、セミパッシブ型の燃料電池は、燃料の供給にポンプを使用しており、内部気化型のような純パッシブ方式とも異なる。なお、このセミパッシブ型の燃料電池では、燃料収容部から膜電極接合体への燃料供給が行われる構成であればポンプに代えて燃料遮断バルブを配置する構成とすることも可能である。この場合には、燃料遮断バルブは、流路による液体燃料の供給を制御するために設けられる。
液体燃料としては、メタノール水溶液、または純メタノールを使用した直接メタノール型が用いられるが、これらに限られるものではない。例えば、例えばエタノール水溶液や純エタノールなどのエタノール燃料、ジメチルエーテル、ギ酸、もしくはその他の液体燃料であってもよい。いずれにしても、燃料電池に応じた液体燃料が収容される。
[実施例]
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
(実施例1)
まず、カーボンペーパー(東レ(株)製TGP−H−030〜120)を平板プレスにて厚さ方向に厚さが1/2になるまで圧縮した。なお、このカーボンペーパーの圧縮前の気孔率は、アルキメデス法を用いて測定したところ75%であった。また、このカーボンペーパーの圧縮後の気孔率は、外形寸法と重量測定により計算した結果、40.5%であった。このカーボンペーパーをアノードガス拡散層とした。
次に、カーボン粒子(vulcan製)を8.0重量%と、下記表1に示す配合量のPTFEとを混合することにより、固形分比率が約13%のスラリーを調製した。得られたスラリーをカーボンペーパー(東レ(株)製TGP-H-030〜120)の両面にスプレーコート法にて塗布することにより、アノード多孔質層を形成した。なお、カーボンペーパーの一方の面に塗布するスラリー中のPTFE量と、他方の面に塗布するスラリー中のPTFE量とを下記表1に示すように変更することによって、触媒層と対向する面(第1の面)の液滴接触角と、拡散層と対向する面(第2の面)の液滴接触角を下記表1に示すように設定した。
さらに、カーボン(ケッチェンブラック)と、nafion(登録商標)溶液(デュポン製の商品名がDE2020で、固形分比率約15%)とを混合することによりスラリーを調製した。得られたスラリーを基材上にバーコート法により塗布することにより、カーボン電解質膜を形成した。
白金ルテニウム合金微粒子を担持したカーボン粒子10重量部に対し、ナフィオン(登録商標)溶液(デュポン製の商品名がDE2020)の固形分が1重量部、さらに溶媒を加えてホモジナイザで混合して固形分として約15%のスラリーを作製し、これをカーボン電解質膜上にダイコータースプレーコート法にて塗布、乾燥し、アノード触媒層を形成した。
一方、カーボンペーパー(東レ(株)製TGP−H−030〜120)を平板プレスにて厚さ方向に厚さが1/2になるまで圧縮した。なお、このカーボンペーパーの圧縮前の気孔率は、アルキメデス法を用いて測定したところ75%であった。また、このカーボンペーパーの圧縮後の気孔率は、外形寸法と重量測定により計算した結果、40.5%であった。このカーボンペーパーをカソードガス拡散層とした。
次に、カーボン粒子(vulcan製)7.0重量%と、下記表1に示す配合量のPTFEとを混合することにより、固形分比率が約13%のスラリーを調製した。得られたスラリーをカーボンペーパー(東レ(株)製TGP-H-030〜120)の両面にスプレーコート法にて塗布することにより、カソード多孔質層を形成した。なお、カーボンペーパーの一方の面に塗布するスラリー中のPTFE量と、他方の面に塗布するスラリー中のPTFE量とを下記表1に示すように変更することによって、触媒層と対向する面(第3の面)の液滴接触角と、拡散層と対向する面(第4の面)の液滴接触角を下記表1に示すように設定した。
白金微粒子を担持したカーボン粒子とナフィオン溶液(デュポン製の商品名がDE2020)と溶媒をホモジナイザで混合して約15%固形分のスラリーを作製し、これをカーボン電解質膜上にダイコータースプレーコート法にて塗布、乾燥し、カソード触媒層を形成した。
電解質膜上に積層されたアノード触媒層に、アノード多孔質層及びアノード拡散層を積層すると共に、電解質膜上に積層されたカソード触媒層に、カソード多孔質層及びカソード拡散層を積層した。これらを温度が150℃、圧力が30kgf/cm2の条件でプレスし、膜電極接合体(MEA)を作製した。なお、電極面積は、カソード、アノードともに12cm2とした。
続いて、この膜電極接合体を、空気および気化したメタノールを取り入れるための複数の開孔を有する金箔で挟み、アノード導電層およびカソード導電層を形成した。
上記の膜電極接合体(MEA)、アノード導電層、カソード導電層が積層された積層体を樹脂製の2つのフレームで挟み込んだ。なお、膜電極接合体のカソード側と一方のフレームとの間、膜電極接合体のアノード側と他方のフレームとの間には、それぞれゴム製のOリングを挟んでシールを施した。
また、アノード側のフレームは、気液分離膜を介して、液体燃料収容室にネジ止めによって固定した。気液分離膜には、厚さ0.1mmのシリコーンシートを使用した。一方、空気極側のフレーム上には、気孔率が30%の多孔質板を配置し、保湿層を形成した。この保湿層上には、空気取り入れのための空気導入口(口径4mm、口数64個)が形成された厚さが2mmのステンレス板(SUS304)を配置して表面カバー層を形成し、ネジ止めによって固定した。
上記のように形成された燃料電池の液体燃料収容室に、純メタノールを5ml注入し、温度25℃、相対湿度50%の環境で、初期出力と2000時間後の出力を測定した。その結果を下記表1に示す。
(実施例2〜4及び比較例1〜2)
スラリー中に配合するPTFE量を下記表1に示すように変更することによって、アノード多孔質層の第1の面及び第2の面の液滴接触角と、カソード多孔質層の第3の面及び第4の面の液滴接触角とを下記表1に示す値に設定したこと以外は、前述した実施例1で説明したのと同様な構成の燃料電池を製造し、出力性能を測定した。
Figure 2009123619
表1から明らかなように、第1の面の液滴接触角が100〜140度で、第2の面の液滴接触角が100度以下で、かつ第1の面の液滴接触角よりも小さいアノード多孔質層を備えた実施例1〜4の燃料電池は、2000時間後の出力が、液滴接触角が第1の面と第2の面で等しい比較例1の燃料電池、第2の面の液滴接触角が第1の面よりも大きい比較例2の燃料電池に比して高くなっている。特に、アノード多孔質層の第1の面及びカソード多孔質層の第3の面の液滴接触角が110〜130度である実施例1の燃料電池は、実施例2〜4に比して2000時間後の出力が高くなっている。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。また、アクティブ型燃料電池及びセミパッシブ型の燃料電池においても、上記した説明と同様の作用効果が得られる。MEAへ供給される液体燃料の蒸気においても、全て液体燃料の蒸気を供給してもよいが、一部が液体状態で供給される場合であっても本発明を適用することができる。
本実施形態に係る燃料電池に用いる多孔質層の表面の接触角を測定する方法を説明するための模式図。 本実施形態に係る燃料電池に用いる多孔質層の表面の接触角を測定する方法を説明するための模式図。 本実施形態に係る燃料電池に用いる多孔質層の表面の接触角を測定する方法を説明するための模式図。 本実施形態に係る燃料電池に用いる多孔質層の表面の接触角を測定する方法を説明するための模式図。 本発明の実施形態に係る燃料電池を示す内部透視断面図。 図5の燃料電池の燃料分配機構を示す斜視図。 図5の燃料電池の膜電極接合体の拡大断面図。
符号の説明
1…燃料電池セル(MEA)、2…燃料分配機構、3…燃料収容部、4…流路、5…アノード、6…カソード、7…電解質膜、8…アノード触媒層、9…アノード多孔質層、9a…多孔質基材、9b,9c…導電性多孔質層、10…アノードガス拡散層、11…カソード触媒層、12…カソード多孔質層、12a…多孔質基材、12b,12c…導電性多孔質層、13…カソードガス拡散層、14…導電層、15…カバープレート、16…Oリング、17…ポンプ、21…燃料注入口、22…燃料排出口、23…燃料分配板、24…空隙部。

Claims (2)

  1. カソードと、アノードと、前記カソード及び前記アノードの間に介在された電解質膜とを具備する燃料電池であって、
    前記アノードは、前記電解質膜に積層されたアノード触媒層と、前記アノード触媒層に積層されたアノード多孔質層と、前記アノード多孔質層に積層されたアノード拡散層とを備え、
    前記アノード多孔質層は、前記アノード触媒層と対向する面の液滴接触角が100〜140度であると共に、前記アノード拡散層と対向する面の液滴接触角が100度以下で、かつ前記アノード触媒層と対向する面の液滴接触角よりも小さいことを特徴とする燃料電池。
  2. 前記カソードは、前記電解質膜に積層されたカソード触媒層と、前記カソード触媒層に積層されたカソード多孔質層と、前記カソード多孔質層に積層されたカソード拡散層とを備え、
    前記カソード多孔質層は、前記カソード触媒層と対向する面の液滴接触角が100〜140度であると共に、前記カソード拡散層と対向する面の液滴接触角が100度以下で、かつ前記カソード触媒層と対向する面の液滴接触角よりも小さいことを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
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