JP2011094836A - 木材乾燥方法および木材乾燥機 - Google Patents

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Abstract

【課題】 低いコストで十分に乾燥させた良質な木材を提供することができる優れた木材乾燥技術を提供する。
【解決手段】 乾燥室1内に木材Wを配置し、乾燥室1内をヒータ2で加熱しながら噴射口6から高温の水蒸気を噴射して木材を蒸煮した後、最初に120〜130℃程度の高温で乾燥させる前処理を行い、その後、100〜120℃程度の高温で本乾燥を行う。その後、乾燥室1内に水散布ノズル7から水を散布して木材Wを冷却する。蒸煮、高温前処理、本乾燥の各工程において、給気ダンパ4が閉じられたままであって外気は取り入れられず、乾燥室1内の圧力が大気圧より高い限度圧力に達したら排気ダンパ5を開いて内部の雰囲気を放出する。
【選択図】 図1

Description

本願の発明は、木材乾燥の技術に関するものである。
伐採された原木を木材にする製材産業においては、単に材木を裁断して木材にするだけではなく、木材を乾燥させて製品とすることが行われている。これは、生木のままで家の建築等に使うと、建築等が完了した後に経時的に木が乾燥していき、その過程で木に歪みや割れ等の変形が生じ易いからである。
例えば、日本建築では、芯のある木材(杉、檜など)を柱として用いることが多いが(以下、このような木材を芯持ち柱材と呼ぶ)、芯持ち柱材は、ある程度乾燥させた後、柱や梁として用いるようにしている。
このような木材乾燥の技術においては、以前は、原木や製材された木材をそのまま放置して乾燥させる天日乾燥が多く用いられてきたが、最近では、乾燥機を用いて短期間に乾燥させることが多くなってきている。
木材は、高温で短期間に乾燥させようとすると、一般的に木材の表面に割れが生じ易い。このため、ある程度低い温度で乾燥させるようにしてきた。天日乾燥も含め、この手法は中温乾燥と呼ばれる。一方、乾燥機を使用した乾燥法のうち、最近では、かなり高い温度で短期間に乾燥させつつも、表面割れが生じない乾燥機が開発されている。このような乾燥法は、従来の中温乾燥法と対比して高温乾燥法と呼ばれており、短期間に乾燥が終了することから、主要な技術となりつつある。一般的には100〜120℃程度の高温に晒して乾燥させる技術を高温乾燥法と呼んでいる。
特開2007−263409号公報
しかしながら、高温乾燥を行う従来の木材乾燥機は、木材に変色が生じる欠点や、少ないとはいってもある程度の頻度で表面割れが生じてしまう欠点がある。また、木材の表面には割れは無くても、内部に割れが生じる場合があった(以下、このような割れを内部割れと呼ぶ)。このような問題を解決するため、いくつかの提案がされているが、未だ満足できる木材乾燥機は提供されていないのが実情である。
また、上記のような木材乾燥は、通常、製材会社において行われており、製品としての木材の付加価値を高めることの一環として行われている。十分に乾燥させた木材は、建築等の完了後も経時的な変形が少ないので、良質な木材として評価される。その一方で、そのような付加価値にもかかわらず、乾燥の部分を価格に転嫁することはあまり期待できず、十分に乾燥させた良質な木材であっても、それほど高価格にできる訳ではない。
このようなことから、製材会社においては、木材乾燥の部分でのコストを低く抑えることが必要になっている。つまり、低いコストで十分に乾燥させた良質な木材を提供することが必要になっている。
本願の発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、低いコストで十分に乾燥させた良質な木材を提供することができる優れた木材乾燥技術を提供する意義を有するものである。
上記課題を解決するため、本願の請求項1記載の発明は、乾燥室内に木材を配置し、乾燥室に設けられた排気口から内部の雰囲気を放出させながらヒータで加熱して木材を乾燥させる木材乾燥方法であって、
外気を取り入れることなく乾燥室が大気圧よりも高い限度圧力になった際に前記排気口から内部の雰囲気を放出する圧力制御を行うという構成を有する。
上記課題を解決するため、請求項2記載の発明は、前記請求項1の構成において、前記乾燥室内に循環ファンを設けて雰囲気を循環させるとともに、この循環ファンのモータは100℃を超える耐熱性を有しており、このモータを前記乾燥室内に配置して行うという構成を有する。
上記課題を解決するため、請求項3記載の発明は、前記請求項1又は2の構成において、木材を乾燥させるに先立って、乾燥室に配置された木材を加熱しながら木材に水蒸気を供給する蒸煮工程を有しており、
蒸煮工程でも、外気を取り入れることなく前記乾燥室が大気圧よりも高い限度圧力になった際に前記排気口から内部の雰囲気を放出する圧力制御を行うという構成を有する。
上記課題を解決するため、請求項4記載の発明は、前記請求項1乃至3いずれかの構成において、前記乾燥室内の湿球温度をほぼ100℃に維持するとともに乾球温度が湿球温度よりも所定温度高くなるよう前記ヒータを制御することで湿球温度と乾球温度との差が所定温度となるよう制御するという構成を有する。
上記課題を解決するため、請求項5記載の発明は、前記請求項1乃至4いずれかの構成において、前記排気口を開閉する排気ダンパが設けられており、
排気ダンパは、前記排気口の開き度合いを複数の段階で又は連続的に調節することが可能であり、
前記乾燥室内には、圧力センサが設けられており、
圧力センサからの信号に従い、前記乾燥室内の圧力が大気圧に比べてどの程度高いかに応じて排気ダンパの開き度合いを調節する制御を行うという構成を有する。
上記課題を解決するため、請求項6記載の発明は、前記請求項1乃至5いずれかの構成において、木材を乾燥させた後に、木材の冷却のために前記乾燥室内に水を散布することで前記乾燥室内の温度を下げる冷却工程を有しており、
冷却工程では、前記乾燥室内の湿度又は雰囲気の平衡含水率が所定の値よりも高くなったら、前記水の散布を停止するとともに外気を取り入れて湿度又は雰囲気の平衡含水率を下げ、前記乾燥室内の湿度又は雰囲気の平衡含水率が所定の値よりも低くなったら、外気を取り入れることなく前記水の散布を再開するという構成を有する。
上記課題を解決するため、請求項7記載の発明は、乾燥室と、乾燥室内を加熱するヒータとを備え、乾燥室内に木材を配置して乾燥させる木材乾燥機であって、
乾燥室は、内部の雰囲気を放出する排気口と、排気口に設けられた排気ダンパを有しており、
排気ダンパは、外気を取り入れることなく乾燥室が限度圧力になったら開放されて乾燥室内の雰囲気を放出するものであり、
限度圧力とは大気圧より高い圧力であるという構成を有する。
上記課題を解決するため、請求項8記載の発明は、前記請求項7の構成において、前記乾燥室内には、雰囲気を循環させる循環ファンが設けられており、この循環ファンを回転させるモータは、100℃を超える耐熱性を有し、前記乾燥室内に配置されているという構成を有する。
上記課題を解決するため、請求項9記載の発明は、前記請求項7又は8の構成において、前記乾燥室内には、乾燥に先立って水蒸気を噴射口から噴射して木材に供給する配管が設けられており、
前記排気ダンパは、前記乾燥室内を加熱した状態で木材に水蒸気を供給して蒸煮する際にも、外気を取り入れることなく前記乾燥室が前記限度圧力になったら開放されて前記乾燥室内の雰囲気を放出するものであるという構成を有する。
上記課題を解決するため、請求項10記載の発明は、前記請求項7乃至9いずれかの構成において、前記乾燥室内には湿球温度センサと乾球温度センサとが設けられているとともに、前記ヒータを制御するヒータ制御部が設けられており、ヒータ制御部は、前記乾燥室内の湿球温度がほぼ100℃であって乾球温度が湿球温度よりも所定温度高くなるよう前記ヒータを制御することで湿球温度と乾球温度との差が所定温度となるよう前記ヒータを制御するものであるという構成を有する。
上記課題を解決するため、請求項11記載の発明は、前記請求項7乃至10いずれかの構成において、前記排気ダンパは、排気口の開き度合いを複数の段階で又は連続的に調節することが可能であり、
前記排気ダンパを制御する排気ダンパ制御部が設けられており、
前記乾燥室内には、圧力センサが設けられており、
排気ダンパ制御部は、圧力センサからの信号に従い、前記乾燥室内の圧力が大気圧に比べてどの程度高いかに応じて前記排気ダンパの開き度合いを調節する制御を行うものであるという構成を有する。
上記課題を解決するため、請求項12記載の発明は、前記請求項7乃至11いずれかの構成において、前記乾燥室は給気口を有するとともにに、給気口を開閉する給気ダンパが設けられており、
前記乾燥室には、冷却のために水を散布する水散布ノズルが設けられており、
給気ダンパ及び水散布ノズルの動作を制御する冷却制御部が設けられており、
冷却制御部は、前記乾燥室内の湿度又は雰囲気の平衡含水率が所定の値よりも高くなったら、水散布ノズルからの水の散布を停止するとともに給気ダンパを開いて外気を取り入れ、前記乾燥室内の湿度又は雰囲気の平衡含水率が所定の値よりも低くなったら、給気ダンパを閉じるとともに水散布ノズルからの水の散布を再開する制御を行うものであるという構成を有する。
以下に説明する通り、本願の請求項1又は7記載の発明によれば、低いコストで十分に乾燥させた良質な木材を提供することができる。
また、請求項2又は8記載の発明によれば、上記効果に加え、循環ファンのモータの廃熱も利用して木材の乾燥ができるので、さらにエネルギー効率が良くなる。このため、さらに低コストで木材を乾燥させることができる。
また、請求項3又は9記載の発明によれば、上記効果に加え、蒸煮工程をより短期間に完了させることができるという効果が得られる。
また、請求項4又は10記載の発明によれば、上記効果に加え、乾燥に要する期間をさらに短くすることができる。
また、請求項5又は11記載の発明によれば、上記効果に加え、乾燥室内の圧力に応じて排気口の開き度合いが制御されるので、乾燥室内の圧力を一定にしたり、排気ダンパによって乾燥室内の圧力を制御したりすることができるようになる。
また、請求項6又は12記載の発明によれば、上記効果に加え、水散布により冷却を行うので、冷却に要する時間を短縮することができ、また、冷却完了時の木材の含水率を仕上がり含水率に一致させることができる。
本願発明の実施形態に係る木材乾燥機の斜視概略図である。 本願発明の実施形態に係る木材乾燥機の正面断面概略図である。 本願発明の実施形態に係る木材乾燥機の側面断面概略図である。 実施形態の木材乾燥機が備える制御ユニット9の概略図である。 ヒータ2のより好ましい制御例を示したフローチャートである。 実施形態の木材乾燥方法の概略を示した工程図である。 実施形態の方法と従来の方法の蒸煮工程における雰囲気の温度と圧力の変化について示した概略図であり、(1)が実施形態の方法におけるもの、(2)が従来の方法におけるものを示す。
次に、本願発明を実施するための形態(以下、実施形態)について説明する。
図1〜図3は、本願発明の実施形態に係る木材乾燥機の概略図であり、図1は斜視概略図、図2は正面断面概略図、図3は側面断面概略図である。
図1〜図3に示す木材乾燥機は、乾燥室1とヒータ2とを備えており、乾燥室1内に木材Wを配置して乾燥させるものである。尚、以下の説明において、「木材」とは、若干広い意味であり、いわゆる製材された木材のみならず原木の状態のもの(製材されていないもの)も含む。通常は、原木の皮を剥がし、切断する前に乾燥が行われるが、切断して所定の寸法形状の木材とした後に乾燥を行ったり、原木のまま乾燥を行ったりすることもある。また、何らかの乾燥を行ったものを再度乾燥機で乾燥する場合もあり、厳密な意味で生木でない場合もある。
乾燥室1は、図1に示すように、細長い直方体状の構造物である。以下、説明の都合上、乾燥室1が長く伸びる方向を単に長さ方向と呼び、これに垂直な水平方向を単に幅方向と呼ぶ。乾燥室1の幅方向に沿った側面には、開閉扉11が設けられている。木材Wの出し入れは、開閉扉11を開閉して行うようになっている。
木材Wは、移動台100に載せられて乾燥室1に運び込まれるようになっている。木材Wは、互いに接触しないよう並べられており、また互いに接触しないようスペーサ101を介して重ねられている。木材Wは、移動台100に載せられたまま乾燥室1内で乾燥され、乾燥後、移動台100ごと運び出されるようになっている。
ヒータ2としては、本実施形態では、ボイラ式のエロフィンヒータが使用されている。エロフィンヒータは、熱交換器の一種であり、配管内に高温の蒸気を流し、配管の表面の空気との熱交換によって周囲雰囲気の温度を上昇させるものである。本実施形態では、ボイラ21が設けられており、ボイラ21によってヒータ2内に高温の水蒸気を流すよう構成されている。ヒータ2とボイラ21をつなぐ水蒸気供給管22には、ヒータ2による加熱のオンオフのため、電磁弁のような開閉弁(以下、ヒータ用開閉弁)23が設けられている。
また、乾燥室1の天井部には、循環ファン3が設けられている。循環ファン3は、乾燥室1内の雰囲気を循環させて木材Wの乾燥を促進するためのものである。循環ファン3は、乾燥室1の長手方向に沿って複数設けられている。図3に示すように、循環ファン3は、乾燥室1の天井に固定されていて天井から吊り下げられている。
循環ファンは3は、乾燥室1内において幅方向に送風して雰囲気を循環させるようになっている。より具体的に説明すると、図2に示すように、乾燥室1内には、水平な姿勢の隔壁板12が設けられており、上下に区画されている。隔壁板12は、幅方向の端部が乾燥室1の壁面から離間して設けられている。循環ファン3は、隔壁板12よりも上側の空間に位置している。循環ファン3が動作すると、図3に実線で示すように、気流が隔壁板12の端部と乾燥室1の間を通って下方に流れる。そして、気流は、下方の空間を通って隔壁板12の反対側の端部と乾燥室1の壁との間を回り込み、上方の空間に戻って再び循環ファン3により送られる。
尚、循環ファン3としては、乾燥室1内の温度や圧力の分布をより均一にするため、逆回転可能なものが採用されており、後述する制御ユニット9により回転の向きが制御されるようになっている。即ち、所定期間毎に交互に回転の向きが逆転されるようになっている。回転の向きが逆になると、図3中に破線で示すように逆向きの流れとなる。このため、時間平均した温度や圧力がより均一となる。
また、上記循環ファン3の構成で特徴的なのは、回転羽根のみならず回転羽根を回転させるモータも乾燥室1内に配置されている点である。通常は、回転羽根のみを乾燥室1内に配置し、モータを乾燥室1外に配置して外部から駆動力を導入する構成が採用される。これは、乾燥室1内の高温からモータを保護するためである。本実施形態では、乾燥室1内の高温に耐えるモータを備えた循環ファン3を採用し、モータも含めて乾燥室1内に配置している。モータは、周知のように動作させると熱を発するが、この廃熱は乾燥室1内に供給されるようになっている。
必要なモータの耐熱性としては、乾燥の際の乾燥室1内の最高温度によるが、後述するように最も高い温度の高温前処理における温度が120〜130℃程度である場合、モータの耐熱性は130℃程度とされる。また、モータの耐湿性も重要であり、後述する蒸煮工程での高湿度に耐え得るものであることが必要である。このようなモータとしては、必要な耐熱性、耐湿性を備えたモータを採用した市販の循環ファンを購入するか、市販のもを改造して必要な耐熱性、耐湿性を得るようにする。改造について説明すると、耐熱性向上のためにはモータのフレームを大きいものに交換して内部スペースを大きくし、フレームの内面や外面に耐熱、耐湿用の塗料を塗布すると良い。また、コイルからの発熱を抑えるため、コイルの巻き経を大きくして巻き厚を薄くする。軸受等の潤滑剤が必要な場所には、耐熱性の特殊潤滑グリスを使用し、軸回りに耐熱、耐湿性の封止部材を設けることもある。この他、端子や配線部にも必要な耐熱、耐湿性のあるものを使用し、フレーム内への水蒸気の進入を防止するため、フレームの開口を塞ぐ。このようなモータの改造を行うことで、循環ファン3を乾燥室1内に配置して運転することが可能となる。
上述したヒータ2は隔壁板12の上側の空間に設けられており、図3に示すように循環ファン3の両側にそれぞれ設けられている。循環ファン3によって送られる気流がヒータ2を通過するため、下側の空間がより効率よく加熱される。移動台100に載せられた木材Wは、隔壁板12の下側の空間に配置されるようになっており、気流によってもたらされる熱により効率良く乾燥される。
また、乾燥室1には、給気口13と排気口14が設けられている。給気口13には給気ダンパ4を介して給気管41が接続され、給気管41には給気ファン42が設けられている。排気口14には排気ダンパ5を介して排気管51が接続され、排気管51には排気ファン52が設けられている。各ダンパ4,5は、図示は省略されているが、ダンパ板と、ダンパ板を駆動する駆動機構等からそれぞれ構成されている。尚、図1及び図2から解るように、給気口13及び排気口14は、隔壁板12よりも上側の空間を臨む位置に設けられている。
排気ダンパ5としては、排気口14の開き度合いが段階的又は連続的に調節可能なものが使用されている。「開き度合い」とは、厳密には排気口14を通して流れるガスのコンダクタンスの度合いという意味である。最もシンプルなものとしては、排気ダンパ5は、完全に閉じた状態、完全に開いた状態、及びそヒータの中間の状態の三つの状態を取り得るものである。この他、完全に閉じた状態と完全に開いた状態との間で2段階以上開き度合いを調節できるものが採用でき、開き度合いが連続的に調節できるものであるとより好適である。排気ダンパ5は、排気口14を塞ぐことができる形状寸法のダンパ板と、ダンパ板を駆動して排気口14を開閉する駆動機構とから構成されるが、上記調節のためには、駆動機構がサーボモータを含んでおり、サーボモータでダンパ板の姿勢を制御する機構が採用され得る。
また、乾燥室1には、水蒸気を噴射する噴射口6を有する配管(以下、水蒸気用配管)61が設けられている。水蒸気用配管61は、図2に示すように、隔壁板12の上側の空間に設けられており、ヒータ2よりも少し下側に設けられている。噴射口6は、水蒸気用配管61が伸びる方向に沿って均等間隔で複数設けられている。水蒸気用配管61には高温の水蒸気が供給されており、各噴射口6から水蒸気が噴射されるようになっている。水蒸気用配管61は、水を加熱して水蒸気を作る不図示の水蒸気生成部が接続されており、水蒸気用配管61には電磁弁のような開閉弁(水蒸気用開閉弁)62が設けられている。尚、水蒸気用配管62は、図3では図示が省略されているが、幅方向の両側に1本ずつ合計2本設けられている。
さらに、乾燥室1には、水散布ノズル7が設けられている。水散布ノズル7は、冷却工程の際、冷却用の水を霧状又は細かい水滴状にして散布するものである。水散布ノズル7には、通常の水道水をそのままの温度で散布するものである。水散布ノズル7に接続された水散布用配管71には、電磁弁のような開閉弁(以下、水散布用開閉弁)72と、水を圧縮して霧状又は細かい水滴状にして散布するための不図示のポンプ等が設けられている。尚、水散布用配管71は、乾燥室1内では、隔壁12よりも上側の空間に配置されており、同様に幅方向の両側に1本ずつ合計2本設けられている。
また、乾燥室1には、乾燥工程を監視し、また適切な制御を行うために、いくつかのセンサが設けられている。センサとしては、温度センサ、圧力センサ、含水率センサ等が設けられている。
まず、乾燥室1内の雰囲気温度を測定するための温度センサとして、乾球温度センサ82と湿球温度センサ81が設けられている。これらの温度センサ81,82は、乾燥室1内の所定の場所に設けられるが、場所によるバラツキ等の影響を無くすため、必要に応じて複数異なる箇所に設けられる。
さらに、乾燥室1内には、雰囲気の圧力を測定する圧力センサ83が設けられている。圧力センサ83も、必要に応じて複数の異なる箇所に設けられる。
また、乾燥される木材Wの状態を知るためのセンサが設けられており、その一つは木材Wの温度を測定するセンサ(以下、材温センサ)84である。材温センサ84としては、例えば熱伝対センサが使用される。また、木材Wの含水率を知るためのセンサ(含水率センサ)85も設けられている。これらのセンサ84,85は、壁面から延びるケーブルの先端にセンサヘッドを有しており、乾燥室1内に運び込まれた木材Wにセンサヘッドを埋め込むことで測定が行われる。
実施形態の木材乾燥機は、乾燥工程を制御する制御ユニット(図1〜図3中不図示)を備えている。制御ユニットの構成について、図4を使用して説明する。図4は、実施形態の木材乾燥機が備える制御ユニット9の概略図である。
図4に示すように、制御ユニット9には、上述した各センサからの信号(測定結果の信号)が入力されるようになっており、各センサからの信号に従ってヒータ2による加熱温度や排気ダンパ5の開閉等が制御されるようになっている。
制御ユニット9は、主としてヒータ2を制御するヒータ制御部91、排気ダンパ5を制御する排気ダンパ制御部92、冷却動作を制御する冷却制御部93等を有している。制御ユニット9は、各種データの入力部と、入力されたデータやプログラムを記憶した記憶部と、制御のためにプログラムを実行するプロセッサ等を備えた制御用コンピュータである。ヒータ制御部91,排気ダンパ制御部92、冷却制御部93は、それぞれの制御用のプログラムをデータに従って実行するものであり、制御用コンピュータとプログラムによって実現されるものである。
ヒータ制御部91は、ヒータ用開閉弁23を制御してヒータ2の動作のオンオフを制御するとともに、各温度センサ81,82,84等からの信号に従ってヒータ2を負帰還制御し、乾燥室1内の温度や木材Wの温度が目標の温度となるようにする。さらに、ヒータ制御部91は、乾燥室1内の温度が定められたスケジュールで変化するようシーケンス制御を行うようになっている。
ヒータ2の負帰還制御やシーケンス制御としては、色々なものが考えられるが、これらを組み合わせた一例としては、乾燥室内1の温度が目標の温度に達するまでは、温度センサ81,82からのフィードバックによる負帰還制御を行い、目標温度に達した後は、材温センサ84からのフィードバックによる負帰還制御を行う例が考えられる。材温センサ84からの信号によって木材Wの温度が目標の温度で維持されるようにヒータ2を制御し、これを所定期間行うシーケンスとする。尚、所定期間行うシーケンスの代わりに、含水率センサ85からのフィードバックを利用し、含水率が所定の値に下がった時点でヒータ2の動作を止める構成とされる場合もある。
ヒータ2のより好ましい制御例として、湿球温度をほぼ100℃に維持しつつ湿球温度と乾球温度との差を所定の値に保つ制御が挙げられる。以下、この点について、図5を使用して説明する。図5は、ヒータ2のより好ましい制御例を示したフローチャートである。
周知のように、湿球温度は乾球温度より少し低く、その低い度合いは湿度によって異なる。乾燥の初期段階では木材Wからの放出水蒸気が多いのので乾燥室1の湿度は高く、従って、湿球温度と乾球温度の差は小さい。乾燥が進むにつれて乾燥室1の湿度が低くなるので、湿球温度と乾球温度の差が大きくなる。
ヒータ2を動作させて乾燥室1内の加熱を開始すると、湿球温度、乾球温度が上がる。図5に示す制御例では、まず、湿球温度センサ81からの信号によりヒータ2を負帰還制御し、湿球温度が100℃になるようにする。湿球温度が100℃になると、ヒータ制御部2は、制御を湿球温度センサ81と乾球温度センサ82からのフィードバックに切り替え、湿球温度と乾球温度との差(Δt)が所定温度になるようにする。即ち、湿球温度センサ81からの信号と乾球温度センサ82からの信号によりΔtを算出し、Δtが目標値よりも低ければヒータ2を動作させ、Δtが目標値よりも低ければヒータ2を停止させるようにする。この場合、湿球温度を100℃に保つ制御の方が優先であり、湿球温度が100℃から外れた場合(より具体的には、100℃の前後の所定範囲を外れた場合)、ヒータ2の動作のオン又はオフが行われる。尚、ヒータ2のオンオフの制御ではなく、ヒータ2に供給する水蒸気の量を多くしたり少なくしたりする場合や、水蒸気の温度を制御する場合もあり得る。
また、Δtの目標値としては、一定の値(変化しない値)として設定される場合もあるが、木材Wの含水率に従って自動的に変更される場合もあり得る。Δtは、乾燥室1内の湿度といっても良いデータであり、乾燥室1内の湿度を、乾燥中の木材Wの含水率に応じて調節することがあり得る。即ち、木材W中の含水率が多い状態において乾燥室1内の湿度があまりにも低くなると、両者の含水率の差が大きな状態となるので、木材W中から急激に水分が抜け出る結果となり、割れ等が生じ易くなることがある。割れ等が生じないようにして乾燥を行うには、乾燥室1内の含水率(湿度)と木材W内の含水率との差があまり大きくならないようにした方が良い場合があり、このような場合には、Δtの目標値が含水率センサ85からの信号により自動的に更新される構成が採用される。
排気ダンパ制御部92は、圧力センサ83からの信号に従って排気ダンパ5を制御するものであるが、基準値としての限度圧力が入力されて記憶部に記憶されている。この限度圧力としては、大気圧よりも少し高い圧力が予め入力されて設定される。例えば、大気圧より5〜15%程度高い圧力が限度圧力として設定される。乾燥室1は、この限度圧力よりも十分に高い耐圧となるよう設計され、組み立てられる。
排気ダンパ制御部92のシンプルな構成例は、圧力センサ83からの信号に従い、圧力が限度圧力に達した時点で排気ダンパ5を開け、その後、圧力が大気圧に落ち着いたのを圧力センサ83で検出して閉じる例である。もしくは、大気圧より僅かに高い圧力に低下したのを検出して閉じるようにしてもよい。また、乾燥室1内が大気圧になることで排気ダンパ5が自然に閉じるような構成であってもよい。
本実施形態では、より好ましい構成として、排気ダンパ5の開き度合いが圧力によって比例制御される構成も採用し得るようになっている。具体的に説明すると、前述したように、本実施形態における排気ダンパ5は、排気口14の開き度合いが段階的又は連続的に調節できるものとなっている。排気ダンパ制御部92は、圧力センサ83からの信号に従い、乾燥室1内の圧力が大気圧に比してどの程度高いかを算出し、その結果に従って排気ダンパ5を制御できるようになっている。即ち、限度圧力をP、大気圧をP、圧力センサからの信号(その時点での乾燥室内の圧力)を(P−P)/(P−P)×100(%)を算出し、その結果に従って排気ダンパ5を制御する。(P−P)/(P−P)×100が50%であれが、排気ダンパ5が半分だけ開いた状態とし、30%であれば30%だけ開いた状態とする。排気ダンパ5の開き度合いが段階的にのみ調節できるものである場合、算出結果に近似する開き度合いが選択されて調節される。例えば、0%,25%,50%,75%,100%の5段階で調節が可能な場合で、算出結果が30%だった場合、25%の開き度合いが選択される。
冷却制御部93は、冷却工程の際に水蒸気用開閉弁62と、給気ダンパ4及び給気ファン42とを制御するものである。前述したように水蒸気用配管61には水蒸気用開閉弁62が設けられており、冷却制御部93からの信号によって開閉されるようになっている。給気ダンパ4も、冷却制御部93からの信号により開閉動作がされるようになっており、給気ファン42も冷却制御部93からの信号により動作するようになっている。
冷却制御部93は、水散布ノズル7と給気ダンパ4及び給気ファン42の制御のため、雰囲気の平衡含水率を算出する手段(プログラム又は回路)を有している。冷却制御部93には、湿球温度センサ81及び乾球温度センサ82の測定信号がそれぞれ入力されるようになっている。周知のように湿球温度と乾球温度とから湿度を算出することが可能であり、雰囲気の温度と湿度とから雰囲気の平衡含水率(以下、雰囲気含水率)を算出することが可能である。雰囲気含水率とは、ある雰囲気に木材を晒して時間をおいて乾燥・吸湿が平衡状態になった場合、その木材の含水率に等しい値をその雰囲気の平衡含水率と呼ぶ。例えば、ある雰囲気の温度25℃で湿度が75%であった場合、その雰囲気に木材を晒して乾燥・吸湿が平衡状態になり、その際の含水率(平衡含水率)が15%だったとすると、その雰囲気の雰囲気含水率も15%ということになる。
当然ながら、雰囲気含水率は、対象となる材料により異なる。木材について予め平衡含水率曲線が調べられて定められており、このデータが記憶部に記憶されている。冷却制御部93は、算出された相対湿度と、記憶された平衡含水率曲線に従って雰囲気含水率を算出するよう構成されている。
さらに、全工程が終了して乾燥室1から出た際の目標となる仕上がり状態の木材Wの平衡含水率(以下、仕上がり含水率)に適合した雰囲気含水率である目標雰囲気含水率が入力されており、不図示の記憶部に記憶されている。仕上がり含水率は、全工程が終了して乾燥室1を出た際に木材Wが持つべき含水率である。目標雰囲気含水率は、仕上がり含水率に応じて予め定められる値である。目標雰囲気含水率は、仕上がり含水率よりも少し低い値が設定される。例えば、仕上がり含水率が15〜20%程度であると、目標雰囲気含水率は12〜16%程度に設定される。冷却終了後も長期間木材Wを乾燥室1内に配置して平衡に到達させる場合には、目標雰囲気含水率は仕上がり含水率と同じ値で良いのであるが、それよりも前に乾燥室1から取り出してしまうので、目標雰囲気含水率を仕上がり含水率よりも少し低い値(より乾燥した雰囲気の状態)にしている。目標雰囲気含水率もら、入力部から予め入力されて記憶部に記憶される。
冷却制御部93は、上記のように湿球温度センサ81及び乾球温度センサ82からの信号から雰囲気含水率を算出する。そして、雰囲気含水率を目標雰囲気含水率と比較し、目標雰囲気含水率よりも低い場合には、給気ダンパ4が閉じて給気ファン42が止められた状態で水蒸気用開閉弁62を開く。この結果、乾燥室1内の湿度が増加し、雰囲気含水率も増加する。雰囲気含水率が目標雰囲気含水率よりも高い場合には、水散布ノズル7を動作させず、給気ダンパ4を開いて給気ファン42を動作させる。この結果、外気が乾燥室1内に流入し、乾燥室1内の湿度が低下し、雰囲気含水率も低下する。このような負帰還制御を行うことで、乾燥室1内の雰囲気含水率が目標雰囲気含水率に一致させる制御が冷却制御部93によって行われるようになっている。
また、冷却制御部93は、冷却動作の終了の判断も行うようになっている。冷却を終了して良い木材Wの温度(以下、冷却終了温度)が入力部から入力されて記憶部に記憶されている。一方、材温センサ84からの信号は冷却制御部93に送られるようになっており、冷却制御部93は、この信号により木材Wの温度が冷却終了温度まで低下したかどうかを判断するようになっている。
次に、上記木材乾燥機の動作について説明する。以下の説明は、木材乾燥方法の発明の実施形態の説明でもある。
図6は、実施形態の木材乾燥方法の概略を示した工程図である。図6に示すように、実施形態の木材乾燥方法は、大きく分けると、蒸煮工程と、高温前処理工程と、高温乾燥工程(本乾燥工程)と、冷却工程の順に進められる。尚、実施形態の方法は、大まかには、前述した高温乾燥法の部類に属する。
蒸煮工程は、乾燥に先立ち、木材W中の水分の蒸発を阻害する有機物を軟化させて水分の蒸発を阻害しないようにする工程である。周知のように、木材W中にはリグニンやタンニン等の有機物が含まれている。これらの有機物は、生木の状態では木材W中に固化した状態で存在したり、粘度が高い状態で存在していたりする。このような状態で木材Wを高温の雰囲気に晒して乾燥を行っても、有機物の層が水蒸気を閉じ込めるような状態となるため、効率よく乾燥が行えない(以下、このような有機物を阻害有機物と呼ぶ)。蒸煮工程は、ある程度湿潤な雰囲気において木材Wを高温に晒し、阻害有機物が軟化した状態として水蒸気の抜けを良くするための工程である。
蒸煮工程では、水蒸気用開閉弁62を開いて高温の水蒸気を乾燥室1内に導入し、この状態でヒータ2を動作させて乾燥室1内を高温にする。この状態を所定期間保持し、阻害有機物を軟化させる。即ち、噴射口6から噴射された水蒸気は、高温に加熱されている木材Wの内部に浸透し、木材W中の阻害有機物を軟化させる。阻害有機物の軟化は、浸透した水分に阻害有機物に溶かし出されることによるものと考えられるが、主として熱の作用による場合もあり、水分が阻害有機物の流動性を促進することに使われる場合もあり得る。
蒸煮工程における乾燥室1内の設定温度(以下、蒸煮温度)は、阻害有機物が軟化する温度であれば足りる。この温度は、一般的には80℃以上であり、例えば100℃程度に設定される。噴射口6から噴射される水蒸気の温度も、大気圧下での水蒸気温度であり、通常は100℃に設定される。
蒸煮工程では、排気ダンパ制御部92は、乾燥室1内の圧力が限度圧力に達したら排気ダンパ5を開ける制御を行う。より好ましくは、前述したように圧力センサ83からの信号に従い、大気圧よりもどの程度圧力が高いかに応じて比例制御が行われる。給気ダンパ4は閉じられた状態とされ、外気は実質的に取り入れられない。
本実施形態の方法における蒸煮工程は、従来の方法に比べると、2〜3割程度、要する時間を短くできる。実施形態の方法では、乾燥室1の圧力をより高くし、この際に外気を取り入れることなく乾燥室1内を高圧化しており、この点に理由があるものと推測される。以下、この点について、図7を使用してより具体的に説明する。図7は、実施形態の方法の蒸煮工程における雰囲気の温度と圧力の変化について示した概略図である。
図7には、参考のため、従来の蒸煮工程における温度と圧力の変化についても示してある。図7(1)が実施形態の方法における雰囲気の温度と圧力、(2)が従来の方法における雰囲気の温度と圧力を示している。図中の実線が乾燥室1内の雰囲気温度、一点鎖線が乾燥室1内の圧力、点線が噴射口6からの水蒸気の温度をそれぞれ示す。尚、雰囲気温度は、湿球温度と乾球温度との平均値とすることができる。
実施形態の方法では、木材Wが移動台100に載せられて乾燥室1内に配置され、開閉扉11が閉じられた後、上記の通り噴射口6からの水蒸気の噴射とヒータ2による加熱が開始される。この際、排気ダンパ5は閉じられた状態であり、開閉扉11も気密性良く閉じられており、実質的に外気の取り入れは無い。ヒータ2が加熱することで、乾燥室1内は短時間のうちに蒸煮温度に達する。
室内温度の上昇と、噴射口6からの水蒸気の噴射により、乾燥室1内の圧力は徐々に高くなる。そして、設定された限度圧力に達したのを圧力センサ83が検出すると、制御ユニット9の排気ダンパ制御部92が制御信号を発し、排気ダンパ5を開き、排気ファン52を動作させる。この結果、乾燥室1内の雰囲気が排気口14から排出され、乾燥室1内の圧力が低下する。そして、乾燥室1内の圧力が大気圧になると、再び排気ダンパ5が閉じられ、排気ファン52が停止される。
上記説明から解るように、実施形態の方法における蒸煮工程では、乾燥室1内の温度は蒸煮温度に維持され、圧力は大気圧と限度圧力との間で遷移する(図7(1))。このため、噴射口6から噴射される水蒸気は、ほぼ100℃のまま木材Wに達していると推測される。
尚、図7(1)の例は、限界圧力に達した時点で排気ダンパ5を開き、大気圧に戻ったら閉じるという単純な制御の場合であるが、前述した比例制御を行う場合、圧力の変動は非常に小さくなり、大気圧と限界圧力との間のある値の付近でほぼ一定に保たれることになる。
一方、従来の方法に使用される木材乾燥機は、乾燥室が大気圧を超える圧力に耐える構造になってはおらず、大気圧を超えた時点ですぐに排気ダンパと給気ダンパが開き、雰囲気を排出しながら外気を取り入れる構造となっている。したがって、図7(2)に示すように、圧力は大気圧付近で僅かに変動するのみである。また、乾燥室内の温度は、蒸煮温度(この例では100℃)に維持されるものの、排気ダンパが開いた時点で外気を取り入れるので、少し下がる。その後、ヒータの制御により蒸煮温度に回復し、このような変動を繰り返す(つまり、時間平均した温度は蒸煮温度より少し低い)。このような圧力と温度の状態であるため、水蒸気の温度は、100℃より少し低い温度(例えば、95℃程度)になっていると推測される。100℃の水蒸気を供給しても、噴射口6から噴射された際に少し温度が低下してしまうと推測される。
実施形態の方法における蒸煮工程の短時間化は、このような要因によると思われる。即ち、外気を取り入れることなく乾燥室1内を大気圧又はそれより少し高い圧力にしているので、水蒸気が高い温度のまま木材Wに達する。このため、阻害有機物の軟化が短期間に行えるようになったと思われる。
尚、上記実施形態の蒸煮工程では、100℃の水蒸気を噴射口6から噴射したが、大気圧より高い状態で水蒸気を作ることで100℃を超える温度の水蒸気を噴射するようにしてもよい。このようにすると、さらに蒸煮工程を短期間に完了することができるようになる。
また、蒸煮工程では、上記の通り乾燥室1内の雰囲気は圧力が限度圧力に達するたびに排気ダンパ5が開いて放出されるが、乾燥室1内に供給される気体は、噴射口6からの水蒸気(以下、ノズル水蒸気)と、加熱によって木材Wから放出される木材W自身の含有水蒸気(以下、木材水蒸気)のみである。外気は、実質的に供給されない。尚、乾燥室1には、給気ダンパ4や給気ファン42が設けられているが、給気ダンパ4は閉じられたままであり、給気ファン42は動作されない。したがって、蒸煮工程が進むうちに乾燥室1内に存在していた外気(空気)は徐々に置換され、蒸煮工程が終了した時点では、ノズル水蒸気と木材水蒸気にがほとんどの成分となり、外気は非常に少ない量だけ残留する。もしくは、実質的にノズル水蒸気と木材水蒸気だけが残留した状態となる。
次に、実施形態の方法における高温前処理工程及び本乾燥工程について説明する。
高温前処理工程は、ドライングセット又はテンションセットとも呼ばれる工程であり、木材Wの表面割れを防ぐため、本乾燥工程に先立って本乾燥工程よりさらに高い温度で乾燥を行う工程である。
木材乾燥において、90℃程度以下の中温で乾燥を行うと、表面割れが発生し易くなる。これは、乾燥の際にあまり温度が高くないために木材W表面の細胞に十分な柔軟性が無いことが原因で、乾燥に従って表面の細胞が収縮することで表面が割れ易くなる。
これに対し、120〜130℃程度の高温で最初に乾燥を行うと、木材Wの表面が急速に乾燥し、この際、温度が高いために表面の細胞が柔軟性を持つようになる。このため、乾燥に従って引っ張り応力が発生しても割れが少なくなる。このような現象は、ドライングセットないしテンションセットと呼ばれている。この点を考慮し、乾燥の最初の工程では、乾燥室1内を120〜130℃程度のより高い温度にする高温前処理工程を行う。
一方、120〜130℃程度の高温の状態を継続して終始乾燥を行ってしまうと、内部割れという別の問題が生じる。木材W内部の細胞は、構造上、柔軟性を持ちにくく、120〜130℃程度の高温の状態が長くと収縮して内部割れを生じてしまう。内部割れを防止するには、ドライングセット(又はテンションセット)の際よりも少し低い温度で木材W内部の乾燥を行うと良い。このようなことから、本実施形態では、高温前処理後の本乾燥工程では少し乾燥室1内の温度を下げている。具体的には、100〜120℃程度である。
上記高温前処理工程及び本乾燥工程で特徴的なことは、蒸煮工程と同様に、外気を乾燥室1内に取り入れることなく乾燥室1内の圧力制御を行っている点である。
具体的に説明すると、高温前処理工程では、ヒータ2を動作させて乾燥室1内を加熱する。この際、前述したように、乾燥室1内にはノズル水蒸気及び木材水蒸気が残留している(以下、これらを単に残留水蒸気と呼ぶ)。残留水蒸気は、蒸煮工程と高温前処理工程とのインターバルの間の温度低下によって乾燥室1内の壁面等に水滴となっている場合があるが、これらは加熱によって再度水蒸気となる。加熱によって乾燥室1内の圧力が上昇し、限界圧力に達すると、蒸煮工程と同様に圧力センサ83がこれを検知して排気ダンパ制御部92に信号を送る。この結果、同様に排気ダンパ制御部92が排気ダンパ5を開き、乾燥室1内の残留水蒸気を含む雰囲気が外部に放出される。その後、同様に圧力低下に従って排気ダンパ5が閉じられる。圧力が上昇して再び限界圧力に達すると、同じ動作を繰り返す。尚、同様に、給気ダンパ4は閉じられたままであり、給気ファン42は動作されない。
排気ダンパ5が開いた際に乾燥室1内の雰囲気は外部に放出されるので、残留水蒸気は徐々に減少していく。そして、加熱された木材Wから含有水蒸気が放出され(即ち、乾燥され)、この含有水蒸気も徐々に外部に放出される。この状態を所定期間継続することで、高温前処理工程が終了する。尚、高温処理工程や本乾燥工程においても、排気ダンパ5の開き度合いを圧力に比例して制御すると、乾燥室1内の温度を一定にできるので好適である。排気ダンパ5が開いたり閉じたりして乾燥室1内に圧力変動があると、木材Wからの水蒸気の放出も時間的に均一でなくなるが、圧力が安定していると、水蒸気の放出もより安定したものとなる。
本乾燥工程も、乾燥室1内の設定温度が少し低いだけで、基本的に同様の動作である。圧力が限界圧力になった時点で排気ダンパ5を開いて内部の水蒸気を放出し、外気を取り入れることなく乾燥室1内を大気圧と限界圧力との間の圧力に保つ。この状態を所定期間維持することで、本乾燥工程が終了する。
上述したように、蒸煮工程、高温前処理工程及び本乾燥工程において、外気を取り入れることなく乾燥室1内を大気圧と大気圧より高い限界圧力との間の圧力に維持している。このため、以下のような大きな二つの効果がある。
一つは、木材Wの変色防止である。木材乾燥においては、木材Wが変色してしまうことがあるが、発明者の研究によると、上記のように外気を取り入れることなく乾燥を行うと、変色が防止できる。この理由については、完全に明らかになった訳ではないが、発明者は、高温乾燥中に木材Wが外気に触れることが変色の原因であると推測した。そこで、発明者は、上記のように高温乾燥中の木材Wの外気への接触を極力少なくしたところ、変色が無くなるか、ほぼゼロになることが確認された。蒸煮工程を行っても変色はしないことから、水蒸気は変色の原因ではなく、外気中の酸素が変色の原因ではないかと推測される。
いずれにしても、本実施形態の方法では、外気を取り入れていないので、変色が少ない良質な木材乾燥が行える。尚、「外気を取り入れない」とは、外気の導入口から積極的に取り入れるようなことはしないという意味であり、乾燥室1の隙間等から微量の外気が流れ込んでしまうことは許容される。乾燥室1をほぼ完全な気密構造とすれば、外気の流入をほぼ完全に防止することもできようが、そのようにすることはあまりにも高コストとなるし、そのような微量な外気の流入は問題とはならないので、無視できる。
外気を取り入れないことの二つめの効果は、エネルギー効率の点である。乾燥室1の耐圧が大気圧程度しかないために外気を取り入れながら圧力上昇を防止する構造であると、外気の取り入れのたびに乾燥室1の温度が低下してしまう。ヒータ2はこの温度低下を保障しつつ、乾燥室1内を一定の高温に保とうとするので、多くのエネルギーを消費することになってしまう。
一方、本実施形態のように、外気を取り入れずに圧力が上昇した分だけ雰囲気を外に出すようにすると、外気の取り入れによる温度低下は無い。したがって、エネルギー効率が高くなり、ランニングコストが安くなる。
次に、本乾燥工程におけるヒータ2の制御について、より詳しく説明する。前述したように、本乾燥工程における温度(以下、本乾燥温度)は100〜120℃程度である。この温度は、シンプルには、温度センサ81,82からのフィードバック信号によりヒータ制御部91がヒータ2を負帰還制御することにより行われる。
この際、前述したように二つの温度センサ81,82の検出値の平均値を乾燥室1の雰囲気温度であるとして制御に利用しても良いのであるが、高温状態は木材Wを加熱させるものであるため、湿球温度と乾球温度の差が重要である。そして、より高温状態を維持して短期間に乾燥を終えるという観点から、湿球温度が100℃に保たれていることが望ましい。湿球温度が100℃を超えた方がより短期間に乾燥を終えることができるとも言えるが、大気圧ないし上記限界圧力程度の圧力下では、湿球温度はほぼ100℃にとどまる。そして、高温前処理温度や本乾燥温度を乾球温度の設定値であるとして、前述したようにΔtを制御することが好ましい。本乾燥温度を例えば120℃としてΔt=20℃が維持されるように制御する。この制御例では、本乾燥工程の前述したように、これらの値は固定的ではなく、その時々の木材Wの含水率(含水率センサ85からのデータ)により変更されても良い。
次に、高温前処理工程や本乾燥工程の期間管理について説明する。高温前処理工程や本乾燥工程は、予め期間を設定してその期間だけ行われるよう制御される場合(即ち、シーケンス制御の場合)もあるが、含水率センサ85からの信号によって終了を判断する方が好ましい。即ち、高温前処理工程終了時に木材Wが持つべき含水率を予め定めて記憶部に記憶しておき、含水率センサ85からの信号と比較するようにする。そして、それら一致した時点で高温前処理を終了するようにする。本乾燥工程についても同様であり、含水率センサ85からの信号が予め記憶された設定値に一致した時点で本乾燥を終了させる。尚、木材Wには、複数の(例えば4〜8個程度)の含水率センサ85を埋め込み、異なる箇所の含水率を検出できるようにしておくことが好ましい。この場合、各含水率センサ85からの信号の平均値を算出し、高温前処理や本乾燥の終了の判断に用いるようにする。
次に、冷却工程について説明する。
冷却工程は、乾燥室1からの木材Wの取り出しのため、木材Wの温度を下げる工程である。通常、冷却は、乾燥室1内に外気を取り入れて乾燥室1内の温度を下げることで行うが、本実施形態では、幾つかの観点から、水散布をしながら冷却をするようになっている。
水散布は、水散布ノズル7から霧状又は細かい水滴状の水(以下、水ミストと呼ぶ)を噴射することで行われる。水の温度は、水散布ノズル7のオンオフ(噴射の有無)は、前述した通り冷却制御部93により負帰還制御される。
冷却に水散布を利用する一つの理由は、冷却効率の観点からである。従来の方法では、外気を乾燥室1内に導入することで乾燥室1内の温度を下げているが、この方法だと、短期間に乾燥室1内の温度を下げることができない。水散布により冷却する場合、高温雰囲気中に水ミストが供給されることになるが、水ミストは、乾燥室1内に残留する熱により急速に気化し、気化熱を奪う。このため、乾燥室1内の温度を迅速に低下させることができる。
冷却に水散布を利用する二つめの理由は、同様に木材Wの変色を防止する観点からである。本乾燥工程が終了した段階では木材Wの温度は100〜120℃程度の高温であり、この状態で外気に触れると、やはり変色し易い。冷却に水散布を使用するようにすると、冷却自体のために外気を乾燥室1内に導入する必要がない。このため、冷却工程でも変色の発生を防止することができる。後述するように、乾燥室1内の湿度調節のため外気が取り入れられるが、終始外気の取り入れを行っている訳ではなく、取り入れ量は少ないので、問題とはならない。
冷却に水散布を利用する三つめの観点は、すべての工程が終了して乾燥室1から取り出した際の木材Wの含水率が所望のものとなるように調湿をするため(過乾燥の防止のため)である。前述したように、本乾燥工程では、木材Wの含水率が所定の値になるのに必要な期間だけ乾燥を行う。この値は、仕上がり状態の木材Wの含水率という訳ではない。冷却工程でもさらに木材Wは乾燥するので、この分を見込んだ値である。冷却工程では、木材Wの含水率が仕上がり含水率になるように調整していく。この際、雰囲気の湿度が重要であり、雰囲気の湿度を最適に制御しながら冷却することで、木材Wの含水率を仕上がり含水率に一致させていく。雰囲気の湿度を制御するには、雰囲気に加湿することも必要であり、水散布はこの加湿にも利用できる。このため、冷却に水散布を利用している。
冷却に水散布を利用する四つめの観点は、上記観点と関連するが、冷却の過程での木材Wの割れや変形を防止するためである。本乾燥工程が終了した時点では、乾燥室1内は100〜120℃程度の高温である。湿度は例えば50%程度以下で、換算される雰囲気含水率は、2〜5%程度の低さである。このように低い雰囲気含水率の状態で雰囲気の温度を下げて冷却すると、やはり木材Wの割れや変形が生じやすくなる。特に、木材Wの表面では温度低下によって表面の細胞の柔軟性が低下していくため、割れ(表面割れ)が生じ易い。このため、水散布によって表面から少し加湿するようにしている。表面を少し加湿することで、表面割れが防止でき、また高温前処理や本乾燥の際に生じた内部応力も緩和できる。
尚、表面を少し加湿する点は、木材W内の含水率分布を均一にする目的もある。本乾燥工程終了時の木材Wは、表面部が含水率が低く、中心部の含水率が高い状態となっている。この含水率のバラツキが大きくなると、経時的な割れや変形(建物等に施工した後の割れや変形)が生じる可能性が出てくる。即ち、木材Wは、その使用箇所(屋外か屋内か)に合わせた平衡含水率となるよう乾燥されるが、これは木材W内部の平均的な値である。実際には、多くの場合、木材Wの表面部が非常に乾燥している一方、中心部に多くの水分がある。このため、中心部の水分が表面部を通して抜け易くなり、この過程で割れや変形が生じる可能性が出てくる。これを防止するには、木材W内の含水率分布をなるべく均一にすることが必要で、水散布はこの目的でも行われる。
上記各観点で行われる水散布を含む冷却工程について、より具体的に説明する。
本乾燥が終了してヒータ2の動作が停止されると、冷却制御部93は、水散布用開閉弁72に制御信号を送り、水散布ノズル7から水ミストを噴射させる。噴射された水ミストは、乾燥室1内に残留している熱により急速に蒸発して水蒸気となる。この際、雰囲気から気化熱を奪って雰囲気を冷却する。そして、水蒸気の発生により、乾燥室1内の湿度が徐々に上がっていく。
一方、乾燥室1内の湿球温度センサ81及び乾球温度センサ82からの信号が冷却制御部93に送られ、冷却制御部93は、相対湿度を算出してその結果から雰囲気含水率を算出する。そして、雰囲気含水率が目標雰囲気含水率と比較され、雰囲気含水率が目標雰囲気含水率よりも低い場合には、そのまま水散布ノズル7の動作を続ける。雰囲気含水率が目標雰囲気含水率より高くなったら、湿度が高すぎる状態であるので、水散布ノズル7の動作を止め、給気ダンパ4を開けるとともに給気ファン42を動作させる。これにより、外気が乾燥室1内に取り入れられる。外気の湿度は乾燥室1内の湿度より低いので、外気導入により乾燥室1内の湿度が下がる。そして、雰囲気含水率が目標含水率よりも低くなったら、給気ファン42を停止させるとともに給気ダンパ4を閉じ、水散布ノズル7を再び動作させる。このような動作を繰り返し、雰囲気含水率が目標含水率に一致するよう負帰還制御が行われる。尚、このような水散布ノズル7、給気ダンパ4及び給気ファン42の制御は、雰囲気含水率ではなく雰囲気の相対湿度の目標値を設定して行うようにしてもよい。
水散布により乾燥室1内の温度が低下し、これに伴い木材Wの温度も低下していく。材温センサ84からの信号が冷却制御部93に送られており、木材Wの温度が冷却終了温度まで低下したと冷却制御部93が判断すると、冷却制御部93は、水散布ノズル7が動作していればその動作を止める。給気ダンパ4が開いて給気ファン42が動作していれば、給気ファン42を停止し、給気ダンパ4を閉じる。
以上で全工程は終了であり、その後、開閉扉11が開かれ、移動台100ごと木材Wが取り出される。尚、各工程は、連続して行われる場合もあるし、ある程度のインターバルをおいて行われる場合もある。
上述したように、本実施形態の木材乾燥方法によれば、蒸煮工程、高温前処理工程及び本乾燥工程において外気を取り入れることなく乾燥室1内の圧力が限度圧力になったら内部の雰囲気を放出させる制御を行っているので、木材Wの変色が防止される上、エネルギー効率が高いのでランニングコストが安くなる。このため、低いコストで十分に乾燥させた良質な木材Wを提供することができる優れた技術となっている。
外気を取り入れずに行う圧力制御は、蒸煮工程、高温前処理工程、本乾燥工程のすべての工程で行われることがより好ましいが、いずれか一つの工程で行うだけでも、変色防止やコスト低減の効果がある。
また、循環ファン3のモータが乾燥室1内に配置されているので、モータの廃熱までもが木材Wの乾燥に利用される。このため、エネルギー効率がさらに高くなっている。
そして、乾燥室1内の圧力に応じて排気ダンパ5の開き度合いを比例制御することで、乾燥室1内の圧力を一定にすることができる。これにより、木材Wからの水蒸気の放出が安定する。
尚、排気口14の開き度合いが段階的又は連続的に調節が可能な排気ダンパ5を、乾燥室1の圧力制御に利用する制御例もあり得る。即ち、蒸煮工程、高温前処理工程、本乾燥工程、冷却工程のそれぞれにおいて乾燥室1内の目標圧力値を設定し、圧力センサ83からの信号によりこの目標圧力値になるよう排気ダンパ5を制御するのである。木材Wの割れ等が無く且つより短期間に終了する圧力値を予め調べて目標圧力値として設定することで、割れ等を防止したさらに高速の乾燥を実現することができる。この際、目標圧力値は、その時々の木材Wの含水率によって変わる場合があるから、含水率センサ85からの信号により目標圧力値を自動的に更新するようにしても良い。
また、蒸煮工程において、外気を取り入れることなく圧力制御を行うことは、前述したように乾燥室1内の圧力をより高くすることができ、このため、水蒸気を高い温度のまま木材Wに到達させることができ、より短期間に蒸煮工程を行うことができる。このため、乾燥全体にかかる時間の短縮に貢献できる。
そして、高温前処理工程や本乾燥工程において、湿球温度を100℃に維持した状態で湿球温度と乾球温度との差Δtが目標値になるよう制御することで、乾燥がより短期間に終了するようにしつつ木材Wの含水率に応じた最適な雰囲気湿度を維持することができ、割れ等をさらに防止することができる。
尚、上記実施形態の方法では、高温前処理工程や本乾燥工程でも大気圧より高い圧力となる。この点は、従来の方法が基本的に大気圧下で乾燥を行っていたのと比較すると、リグニンやタンニンのような油分が再凝固して木材Wに付着するのを防ぐ効果も持っている。
上述した実施形態の蒸煮工程、高温前処理工程、本乾燥工程において、上記各制御例の他、乾燥室1内の温度、圧力、木材Wの温度、木材Wの含水率の各パラメータを適宜組み合わせて制御を行うことで木材Wの割れや変形等をさらに防止しながらより短期間に乾燥を終了させることが可能である。
また、冷却工程において乾燥室1内の雰囲気を冷却するのに外気を導入せず、水ミストを供給してその気化熱により冷却を行う構成も、冷却を短期間に完了したり、木材Wの変色を防止したりする効果の他、過乾燥を防止して木材Wの含水率を仕上がり含水率に一致させたり、木材W表面の含水率を高めて表面割れを防止したり、木材W内の含水率分布をより均一にして経時的な割れや変形を防止する効果がある。
尚、冷却工程で乾燥室1内の雰囲気含水率を目標含水率に一致させる負帰還制御を行う構成は、上記木材Wの含水率を精度よく仕上がり含水率に一致させるのに役立っている。
また、「外気を取り入れない」という構成を乾燥機の構成として捉えてみると、乾燥室1が外気の取り入れのための開口(給気口13)を有しない構成や、上記の通り、給気口13があってもダンパで閉じた状態を維持する制御を行う制御部を有するという構成として把握することができる。
尚、上述した実施形態の木材乾燥機の構成において、水蒸気用配管61と水散布用配管72とを兼用することも可能である。即ち、配管に設けた弁の切り替えによって、一つのノズルから水蒸気を噴射させたり水ミストを噴射させたりすることが可能である。
上述したように、本願発明の木材乾燥機及び木材乾燥方法によれば、低コストで十分に乾燥させた良質な木材を提供することができるので、木材乾燥の分野において好適に利用することができる。
1 乾燥室
100 移動台
11 開閉扉
12 隔壁板
13 給気口
14 排気口
2 ヒータ
3 循環ファン
4 給気ダンパ
41 給気管
42 給気ファン
5 排気ダンパ
51 排気管
52 排気ファン
6 噴射口
7 水散布ノズル
81 湿球温度センサ
82 乾球温度センサ
83 圧力センサ
84 材温センサ
85 含水率センサ
9 制御ユニット
91 ヒータ制御部
92 排気ダンパ制御部
93 冷却制御部

Claims (12)

  1. 乾燥室内に木材を配置し、乾燥室に設けられた排気口から内部の雰囲気を放出させながらヒータで加熱して木材を乾燥させる木材乾燥方法であって、
    外気を取り入れることなく乾燥室が大気圧よりも高い限度圧力になった際に前記排気口から内部の雰囲気を放出する圧力制御を行うことを特徴とする木材乾燥方法。
  2. 前記乾燥室内に循環ファンを設けて雰囲気を循環させるとともに、この循環ファンのモータは100℃を超える耐熱性を有しており、このモータを前記乾燥室内に配置して行うことを特徴とする請求項1記載の木材乾燥方法。
  3. 木材を乾燥させるに先立って、乾燥室に配置された木材を加熱しながら木材に水蒸気を供給する蒸煮工程を有しており、
    蒸煮工程でも、外気を取り入れることなく前記乾燥室が大気圧よりも高い限度圧力になった際に前記排気口から内部の雰囲気を放出する圧力制御を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の木材乾燥方法。
  4. 前記乾燥室内の湿球温度をほぼ100℃に維持するとともに乾球温度が湿球温度よりも所定温度高くなるよう前記ヒータを制御することで湿球温度と乾球温度との差が所定温度となるよう制御することを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の木材乾燥方法。
  5. 前記排気口を開閉する排気ダンパが設けられており、
    排気ダンパは、前記排気口の開き度合いを複数の段階で又は連続的に調節することが可能であり、
    前記乾燥室内には、圧力センサが設けられており、
    圧力センサからの信号に従い、前記乾燥室内の圧力が大気圧に比べてどの程度高いかに応じて排気ダンパの開き度合いを調節する制御を行うことを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の木材乾燥方法。
  6. 木材を乾燥させた後に、木材の冷却のために前記乾燥室内に水を散布することで前記乾燥室内の温度を下げる冷却工程を有しており、
    冷却工程では、前記乾燥室内の湿度又は雰囲気の平衡含水率が所定の値よりも高くなったら、前記水の散布を停止するとともに外気を取り入れて湿度又は雰囲気の平衡含水率を下げ、前記乾燥室内の湿度又は雰囲気の平衡含水率が所定の値よりも低くなったら、外気を取り入れることなく前記水の散布を再開することを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の木材乾燥方法。
  7. 乾燥室と、乾燥室内を加熱するヒータとを備え、乾燥室内に木材を配置して乾燥させる木材乾燥機であって、
    乾燥室は、内部の雰囲気を放出する排気口と、排気口に設けられた排気ダンパを有しており、
    排気ダンパは、外気を取り入れることなく乾燥室が限度圧力になったら開放されて乾燥室内の雰囲気を放出するものであり、
    限度圧力とは大気圧より高い圧力であることを特徴とする木材乾燥機。
  8. 前記乾燥室内には、雰囲気を循環させる循環ファンが設けられており、この循環ファンを回転させるモータは、100℃を超える耐熱性を有し、前記乾燥室内に配置されていることを特徴とする請求項7記載の木材乾燥機。
  9. 前記乾燥室内には、乾燥に先立って水蒸気を噴射口から噴射して木材に供給する配管が設けられており、
    前記排気ダンパは、前記乾燥室内を加熱した状態で木材に水蒸気を供給して蒸煮する際にも、外気を取り入れることなく前記乾燥室が前記限度圧力になったら開放されて前記乾燥室内の雰囲気を放出するものであることを特徴とする請求項7又は8記載の木材乾燥機。
  10. 前記乾燥室内には湿球温度センサと乾球温度センサとが設けられているとともに、前記ヒータを制御するヒータ制御部が設けられており、ヒータ制御部は、前記乾燥室内の湿球温度がほぼ100℃であって乾球温度が湿球温度よりも所定温度高くなるよう前記ヒータを制御することで湿球温度と乾球温度との差が所定温度となるよう前記ヒータを制御するものであることを特徴とする請求項7乃至9いずれかに記載の木材乾燥機。
  11. 前記排気ダンパは、排気口の開き度合いを複数の段階で又は連続的に調節することが可能であり、
    前記排気ダンパを制御する排気ダンパ制御部が設けられており、
    前記乾燥室内には、圧力センサが設けられており、
    排気ダンパ制御部は、圧力センサからの信号に従い、前記乾燥室内の圧力が大気圧に比べてどの程度高いかに応じて前記排気ダンパの開き度合いを調節する制御を行うものであることを特徴とする請求項7乃至10いずれかに記載の木材乾燥機。
  12. 前記乾燥室は給気口を有するとともにに、給気口を開閉する給気ダンパが設けられており、
    前記乾燥室には、冷却のために水を散布する水散布ノズルが設けられており、
    給気ダンパ及び水散布ノズルの動作を制御する冷却制御部が設けられており、
    冷却制御部は、前記乾燥室内の湿度又は雰囲気の平衡含水率が所定の値よりも高くなったら、水散布ノズルからの水の散布を停止するとともに給気ダンパを開いて外気を取り入れ、前記乾燥室内の湿度又は雰囲気の平衡含水率が所定の値よりも低くなったら、給気ダンパを閉じるとともに水散布ノズルからの水の散布を再開する制御を行うものであることを特徴とする請求項7乃至11いずれかに記載の木材乾燥機。
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