JP2011094790A - ボールねじ及びその製造方法並びに金型 - Google Patents

ボールねじ及びその製造方法並びに金型 Download PDF

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山下  智史
Koji Hashimoto
橋本  浩司
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伸吾 齋藤
Toru Harada
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Abstract

【課題】ボール循環路が高精度で、形成後に修正加工作業の必要がないボールねじ及びその製造方法、並びに、そのようなボールねじの製造に使用される金型を提供する。
【解決手段】S字状循環路6の形成時に生じるナット5の余肉を、循環路加工治具4に設けた逃げ溝3に集めて、ボール11の案内部となるフランジF1を形成したことにより、ナット5やS字状循環路6の変形を抑制するとともに、円滑なボール11の転動を行うことができる。また、S字状循環路6の形成後に修正加工作業が不要であるため、高精度なボールねじを製造できるとともに、製造コストの低減及び耐久性の向上が図られる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ボールねじ及びその製造方法、並びに、ボールねじの製造に使用される金型に関する。
近年、車両等の省力化が進み、例えば自動車分野においては、トランスミッションやパーキングブレーキなどをギヤやワイヤーなどを介した手動力の直接伝達ではなく、電動モータの力により作動させるシステムが開発されている。そのような用途に用いる電動アクチュエータには、電動モータから伝達される回転運動を高効率で軸線方向運動に変換し自動車の各機構を駆動するために、ボールねじ機構が用いられる場合がある。
通常、ボールねじ機構は、ねじ軸と、ナットと、該両者間に形成された転動路内を転動するボールとからなるが、ボールねじ機構の外径寸法の省スペース化の要求に貢献する、いわゆるコマ式のボールねじ機構においては、転動路の一端から他端へとボールを戻し循環させるためのS字状のボール循環路が設けられたコマを、ナットの所定の箇所に挿入し取り付けている。
しかるに、従来技術のコマ式ボールねじ機構においては、コマがナットとは別部材であるため、ボールが転動するナットの雌ねじ溝と、コマに形成されたボール循環路とは別部材となる。そのため、その境目において段差が生じることが避けられず、結果として無視できない異音や作動トルク変動が生じ、ひいては寿命低下によるメンテナンスコスト高騰という問題があった。
これらの問題を解決する先行技術として、例えば特許文献1がある。特許文献1においては、ボール循環コマを用いることなくナットの内周面にボール循環路を直接成型するので、ボール循環路と雌ねじ溝との間に段差が形成されることがなく、滑らかに接続できる。これによりボール循環路と雌ねじ溝との間をボールが通過しても、異音や作動トルク変動を生じることがなく、また寿命低下等を抑制することができる。
特開2008−281063号公報
しかしながら、特許文献1では、ボール循環路の形状に対応する形状の凸型の治具(金型)をナットの内周面に押し当て押圧(塑性)変形させてボール循環路を形成させているため、加工時にボール循環路部分の余肉が移動する場所(逃げ)がなく、ナット素材や金型に予想外の変形や割れが起こったり、或いはボール循環路や転動路に変形が起こったりする場合があった。その結果、精度が低下し、その修正加工作業が必要であるなど、生産性が悪化するおそれがあった。
例えば、ボール循環路は、その中心部分が最も深く、他の部分に移動すべき余肉が多いため、塑性加工時には、ボール循環路の中心部分にねじ軸と干渉する程度の大きな突起が生じる場合があった。突起が生じた場合には、その突起を機械加工により取り除く作業が必要であった。特に、複数のボール循環路のうちナットの中心部に設けられたボール循環路は、この傾向が大きい。
また、図9の(a)〜(c)のような、複数のボール循環路26,27を備えたナット25にあっても、特許文献1と同様の問題を有していた。
さらには、図10の(a),(b)に示すような、ボール循環路が同位相に配置される従来のナット25においては、まず溝加工治具による第一のボール循環路26の形成過程で、ナット端面25aに変形が生じる。ナット端面25aは、その後の第二のボール循環路27の形成時における基準面Lとなっているので、ねじ軸のねじ溝とナット25のねじ溝とのピッチが狂って、ボールねじ機構の作動不良を招きかねない。さらには、第二のボール循環路27の形成過程にて第一のボール循環路26に余肉が流れ込み、第一のボール循環路26を変形させてしまうため、修正加工作業を要していた。
そこで、本発明は、上記のような従来技術が有する問題点を解決し、ボール循環路が高精度で長寿命なボールねじ及びその製造方法、並びに、そのようなボールねじの製造に使用される金型を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明のボールねじは、外周面に雄ねじ溝を形成したねじ軸と、前記ねじ軸を包囲するように配置され内周面に雌ねじ溝を形成したナットと、対向する前記両ねじ溝間に形成された転走路に沿って転動自在に配置された複数のボールと、前記ボールを前記転走路の終点から始点へ戻し循環させるボール循環路と、を備えるボールねじにおいて、前記ボール循環路は、前記ナットの内周面の一部を凹化させて形成した凹溝で構成されているとともに、前記転走路と前記ボール循環路との接続部分には、前記ボール循環路の周縁部から径方向内方に突出するフランジが設けられていることを特徴とする。
このような本発明のボールねじにおいては、前記転走路との接続部分である前記ボール循環路の両端部は、前記ボールの直線状導入部となっているとともに、前記フランジは少なくとも前記直線状導入部の周縁部に設けられていることが好ましい。
また、前記フランジの先端と前記ナットの径方向中心との間の距離Hは、前記ボールの中心軌跡円径(BCD)の1/2以下であり、前記フランジは、前記ねじ軸の外周面に接触しないように設けられていることが好ましい。
さらに、前記ボール循環路を構成する凹溝は、金型の表面から突出する凸部を前記ナットの内周面に押圧し塑性加工して前記内周面の一部を凹化させることにより形成されたものであり、前記フランジは、前記凸部の周囲に設けられ前記金型の表面から凹んだ逃げ溝により形成されたものであることが好ましい。
さらに、前記逃げ溝の深さは、前記凸部に近い側が深く、遠い側が浅いことが好ましい。
さらに、前記金型のうち、前記逃げ溝の周囲を囲むように設けられ前記金型の表面から突出する土手部と前記凸部のみが前記ナットの内周面に当接するようになっていることが好ましい。
また、本発明の金型は、外周面に雄ねじ溝を形成したねじ軸と、前記ねじ軸を包囲するように配置され内周面に雌ねじ溝を形成したナットと、対向する前記両ねじ溝間に形成された転走路に沿って転動自在に配置された複数のボールと、前記ボールを前記転走路の終点から始点へ戻し循環させるボール循環路と、を備えるボールねじの製造に使用される金型において、前記ナットの内周面に押圧して塑性加工することにより前記ナットの内周面の一部を凹化させて、前記ボール循環路を構成する凹溝を形成するための凸部と、前記凸部の周囲に設けられ、且つ、前記ボール循環路の周縁部から径方向内方に突出するフランジを形成するための逃げ溝とを、表面に備えることを特徴とする。
このような本発明の金型においては、前記逃げ溝の深さは、前記凸部に近い側が深く、遠い側が浅いことが好ましい。
また、表面には、前記凸部と、前記逃げ溝と、前記逃げ溝の周囲を囲むように設けられ表面から突出する土手部と、が形成されており、前記凸部と前記土手部のみが前記ナットの内周面に当接するようになっていることが好ましい。
さらに、本発明のボールねじの製造方法は、外周面に雄ねじ溝を形成したねじ軸と、前記ねじ軸を包囲するように配置され内周面に雌ねじ溝を形成したナットと、対向する前記両ねじ溝間に形成された転走路に沿って転動自在に配置された複数のボールと、前記ボールを前記転走路の終点から始点へ戻し循環させるボール循環路と、を備えるボールねじを製造する方法において、前記金型に設けられた凸部を前記ナットの内周面に押圧して塑性加工することにより、前記内周面の一部を凹化させて、凹溝からなる前記ボール循環路を形成するとともに、前記逃げ溝により、前記ボール循環路の周縁部から径方向内方に突出するフランジを形成することを特徴とする。
本発明のボールねじは、ボール循環路が高精度であるため長寿命である。
また、本発明のボールねじの製造方法は、ボール循環路の形成時に生じた余肉によりフランジを形成するので、余肉によるボール循環路の変形が抑制される。よって、ボール循環路の形成後に修正加工作業をすることなく、ボール循環路が高精度なボールねじを製造することができる。
さらに、本発明の金型は、ボール循環路の形成時に生じた余肉によりフランジを形成する逃げ溝を備えているので、本発明の金型を使用すれば、ボール循環路が高精度なボールねじを製造することができる。
(a)は、本発明に係る第一の実施形態のボールねじの断面図であり、(b)は、ナットの内周面のS字状循環路を示す断面図である。 (a)は、S字状循環路を形成する治具の斜視図であり、(b)は治具の上面図であり、(c)は治具の側面図である。 (a)は、ナットと治具の相関を示す側面図であり、(b)は、ナットと治具の相関を示す正面視である。 本発明に係る第二の実施形態のボールねじにおけるナットの内周面のS字状循環路を示す断面図である。 本発明に係る第二の実施形態のボールねじにおけるS字状循環路を形成する治具の斜視図である。 本発明に係る第三の実施形態のボールねじにおけるナットのフランジ高さとBCDとの関係を示す図である。 (a)は、本発明に係る第四の実施形態のボールねじにおいて、S字状循環路を形成する治具の上面図であり、(b)は(a)のE−E断面図であり、(c)は(b)の要部拡大断面図である。 (a)は、本発明に係る第五の実施形態のボールねじにおいて、S字状循環路を形成する治具の上面図であり、(b)は(a)のF−F断面図であり、(c)は(b)のG−G断面図であり、(d)は(b)の要部拡大断面図である。 (a)は、従来のボールねじにおける、複数のS字状循環路を備えたナットの正面図であり、(b)は(a)のC−C断面図であり、(c)は(a)のB−B断面図である。 (a)は、従来のボールねじにおける、同位相のS字状循環路を備えたナットの正面図であり、(b)は(a)のD−D断面図である。
本発明に係るボールねじ及びその製造方法、並びに、ボールねじの製造に使用される金型の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
〔第一の実施形態〕
図1は、本発明に係る第一の実施形態のボールねじの構造を説明する図であり、(a)は断面図(軸方向に沿う平面で切断した断面図)、(b)は、ナットの内周面のS字状循環路を示す断面図である。
図1に示すように、第一の実施形態のボールねじは、螺旋状の雄ねじ溝10aを外周面に有するねじ軸10と、ねじ軸10の雄ねじ溝10aに対向する螺旋状の雌ねじ溝5aを内周面に有し、ねじ軸10を包囲するように配置されたナット5と、両ねじ溝10a,5aの間に形成された螺旋状のボール転走路8内に転動自在に装填された複数のボール11と、ボール11をボール転走路8の終点から始点へ戻し循環させるS字状のボール循環路6,7(以降はS字状循環路と記すこともある)と、を備えている。
すなわち、ボール11は、ボール転走路8内を移動しつつねじ軸10の回りを回ってボール転走路8の終点に至り、そこでS字状循環路6(7)の一方の端部から掬い上げられてS字状循環路6(7)内を通り、S字状循環路6(7)の他方の端部からボール転走路8の始点に戻されるようになっている。
なお、ねじ軸10,ナット5,及びボール11の材質は特に限定されるものではなく、一般的な材料を使用可能であり、例えば金属(鋼等),焼結合金,セラミック,樹脂があげられる。また、ねじ溝10a,5aの断面形状は、円弧状でもよいしゴシックアーク状でもよい。
このようなボールねじは、ボール11を介してねじ軸10に螺合されているナット5とねじ軸10とを相対回転運動させると、ボール11の転動を介してねじ軸10とナット5とが軸方向に相対移動するようになっている。そして、ボール転走路8とS字状循環路6(7)により無端状のボール通路が形成されており、ボール転走路8内を転動するボール11が無端状のボール通路内を無限に循環するようになっているため、ねじ軸10とナット5とは継続的に相対移動することができる。
ここで、S字状循環路6,7について、図1の(b)の断面図(軸方向に直交する平面で切断した断面図)を参照しながら詳細に説明する。S字状循環路6,7は、ナット5の内周面に一体的に形成されている。詳述すると、ナット5の円柱面状の内周面の一部を塑性加工により凹化させて形成した凹溝を、S字状循環路6,7としている。
よって、図1の(b)には図示されていないボール転走路8の終点に転動してきたボール11は、S字状循環路6(7)の一方の端部から掬い上げられてナット5の内部(径方向外方側)に沈み込む。そして、S字状循環路6(7)内を通ってねじ軸10のランド部(雄ねじ溝10aのねじ山)を乗り越えて、S字状循環路6(7)の他方の端部からボール転走路8の始点に戻される。なお、S字状循環路6,7の断面形状は、円弧状でもよいしゴシックアーク状でもよい。
また、凹溝からなるS字状循環路6,7の場合は、チューブ式,コマ式等のボール循環形式の場合とは異なり、S字状循環路6,7を構成する別部材は取り付けられていない。そのため、S字状循環路6(7)と雌ねじ溝5aとの間に段差が形成されることがなく、滑らかに接続されている。その結果、S字状循環路6(7)と雌ねじ溝5aとの間をボール11が通過しても、異音や作動トルク変動を生じることがなく、また寿命低下も生じにくい。
次に、S字状循環路6,7の形成に使用する循環路加工治具(金型)4について説明する。循環路加工治具(金型)4は、図2の(a)〜(c)に図示のように、断面半円形状の基部1の表面(円弧面)に凹溝を形成するための凸型2が設けられており、凸型2の周囲には、基部1の表面から凹んだ逃げ溝3が形成されている。なお、基部1の表面(円弧面)の曲率半径は、ナット5の内周面の曲率半径と同一とされている。
図3の(a)及び(b)に示すように、循環路加工治具4を、中空状の素材であるナット5に挿入した後、図3の(b)の矢印の様にナット5の内周面に押し当て、第一のS字状循環路6を形成する。次いで、ナット5の端面を基準面として循環路加工治具4をナット5の軸方向又は回転方向に移動させ、先の第一のS字状循環路6と同様に押し当て、第二のS字状循環路7を形成する。これにより、循環路加工治具4の凸型2に押し付けられたナット5の内周面は塑性変形を起こし、S字状循環路6,7が形成される。
その際に凸型2の押圧によって押しやられたナット素材の余肉は、循環路加工治具4の凸型2の周囲に設けられた逃げ溝3に流れ込み、第一のS字状循環路6の周囲及び第二のS字状循環路7の周囲に、S字状循環路6,7の周縁部から径方向内方に突出するフランジF1をそれぞれ形成するので、余肉圧力によるナット5の割れが防止される。
そして、ナット5と一体的に形成されたフランジF1により、ボール転走路8よりS字状循環路6(7)に転動してくるボール11、及び、S字状循環路6(7)からボール転走路8へ転動していくボール11を円滑に案内するボール案内部が形成される。
また、ボール転走路8(雌ねじ溝5a)との接続部分であるS字状循環路6(7)の両端部は、直線状に溝が形成されており、これにより直線状導入部9が構成されている。ナット5にS字状循環路6(7)を形成した後に、雌ねじ溝5aが切削により形成されてS字状循環路6(7)と接続されるが、この際に直線状導入部9が雌ねじ溝5aの形成誤差等を吸収できるようになっているため、ボール11の円滑な転動に寄与する。
この後、ナット5の内周面に高周波焼入れ等の熱処理を施して、S字状循環路6(7)の耐久性を高める。
本実施形態の循環路一体式ナットによると、S字状循環路6(7)の形成により生成された余肉を、ボール案内部であるフランジF1の形成に利用できる。また、従来のコマ式循環路を備えるナットでは、コマ穴付きのナットの焼入れ等においてコマ挿入用の貫通穴で局所的な温度上昇が起こり、ナットの割れ変形等が生じることが問題になっていたが、本実施形態の循環路一体式ナットによれば、上記のような局所的な温度上昇によるナットの割れ変形等も回避できる。
また、本実施形態によれば、図9の(a)〜(c)に示す従来技術と同様の、同位相のS字状循環路を備えたナットであっても、余肉は循環路加工治具4の逃げ溝3に流れ込むため、ナット5の端面の突出変形、及び、既に形成されている別のS字状循環路の変形を抑制できる。その結果、S字状循環路6,7が高精度となるため、高精度なボールねじが製作でき耐久性の向上が実現できるとともに、S字状循環路6,7を形成した後に形状の修正加工が不要となるため、製造作業の煩雑化が回避され製造コストの低減が図られる。さらに、逃げ溝3によって形成されたフランジF1をナット5のボール案内部として利用できるので、円滑なボール11の転動を行うことができる。
このような本実施形態のボールねじの用途は特に限定されるものではないが、一般産業用機械や各種車両やアクチュエータに組み込まれるボールねじとして好適である。
〔第二の実施形態〕
図4,5は、本発明に係る第二の実施形態のボールねじの構造を説明する図である。図4は、ナットの内周面のS字状循環路を示す断面図であり、図5は、S字状循環路を形成する治具の斜視図である。なお、第二の実施形態のボールねじの構成及び作用効果は、第一の実施形態とほぼ同様であるので、異なる部分のみ説明し、同様の部分の説明は省略する。なお、これ以降の各図においては、図1,2と同一又は相当する部分には、図1,2と同一の符号を付してある。
第二の実施形態のボールねじにおいては、ナット5のS字状循環路6(7)の形成に際して余肉により形成されるフランジF2を、直線状導入部9の周縁部に設けたものである。S字状循環路6(7)を形成した後に、ナット5にねじ溝5aが切削形成されるが、直線状導入部9がねじ溝5aの接続しろとなり、ねじ溝5aの切削誤差等を吸収するため、ボール11の円滑な転動に寄与している。
そして、余肉を受け入れる逃げ溝3を部分的に設けた循環路加工治具4をナット5の内周面に押圧して塑性加工することによって、両直線状導入部9の周縁部にはフランジF2が形成される。このため、不図示のねじ軸と組み合わせてボールねじとした場合には、ボール11がボール転走路8を転動しS字状循環路6(7)で方向転換する際に、フランジF2によりボール11がS字状循環路6(7)へ円滑に案内される。
〔第三の実施形態〕
図6は、本発明に係る第三の実施形態のボールねじの構造を説明する図であり、ナットのフランジ高さとBCDとの関係を示す図である。なお、第三の実施形態のボールねじの構成及び作用効果は、第一,第二の実施形態とほぼ同様であるので、異なる部分のみ説明し、同様の部分の説明は省略する。
第一,第二の実施形態と同様に、S字状循環路6(7)の形成による余肉によりフランジF1(F2)がナット5の内周面に形成され、このフランジF1(F2)がボール案内機能を有しているが、第三の実施形態の場合は、循環路加工治具4の逃げ溝3によるフランジF1(F2)の形成箇所を局部的に集約している。これにより、余肉として押出され形成されるフランジF1(F2)の高さ(径方向長さ)を充分に確保できるので、確実なボール案内が可能である。
具体的には、ナット5の径方向中心からフランジF1(F2)の先端までの径方向距離Hが、少なくともボールねじ組み込み時のボール11のボール中心軌跡円径(BCD:ボールセンターダイアメータ)の1/2程度以下であり、且つ、フランジF1(F2)の先端がねじ軸10の外周面に接触しないように設けられている。そうすれば、フランジF1(F2)がボール11の中心に接触することによりボール11を効果的に案内することができるので、より滑らかな循環が可能となる。
また、ボール11の直径が小さいボールねじの場合は、S字状循環路6(7)の深さも浅いため、ナット5のS字状循環路6(7)に相当する部分の余肉だけでは、フランジF1(F2)の高さが充分に得られない場合もある。その場合は、ナット素材の内径をBCDと同等にし、S字状循環路6(7)を形成する際の塑性加工により、S字状循環路6(7)の周縁部に余肉が流れるようにすれば、フランジF1(F2)はボール11の中心の軌跡よりもナット5の径方向中心側に突出することができるので、滑らかなボール案内が可能となる。
〔第四の実施形態〕
図7は、本発明に係る第四の実施形態のボールねじを説明する図であり、塑性加工によりS字状循環路及びフランジを形成するための金型の構造を示す図である。なお、第四の実施形態のボールねじの構成及び作用効果は、第一〜第三の実施形態とほぼ同様であるので、異なる部分のみ説明し、同様の部分の説明は省略する。
図7の(a)〜(c)に示すように、金型4に形成された逃げ溝3の形状を、凸型2に近い側が深く、遠い側が浅い形状とした。これにより、S字状循環路6(7)を形成した際に生じる余肉が逃げ溝3に流れ込みやすくなるため、フランジ形状が出やすく、より効果的にフランジF1(F2)を形成することができる。
〔第五の実施形態〕
図8は、本発明に係る第五の実施形態のボールねじを説明する図であり、塑性加工によりS字状循環路及びフランジを形成するための金型の構造を示す図である。なお、第五の実施形態のボールねじの構成及び作用効果は、第一〜第四の実施形態とほぼ同様であるので、異なる部分のみ説明し、同様の部分の説明は省略する。
図8の(a)〜(d)に示すように、金型4の表面には、S字状循環路6(7)を形成するための凸型2と、フランジF1(F2)を形成するための逃げ溝3と、が形成されているとともに、逃げ溝3の周囲を囲むように形成された土手部12が表面から突出している。そのため、金型4をナット5の内周面に押し当てた際には、凸型2と土手部12のみがナット5の内周面に当接する。
金型4の表面の全域がナット5の内周面に当接するのではなく、凸型2及びその近傍の土手部12のみがナット5の内周面に当接するような形状となっているので、接触面圧が高くなり余肉の移動が容易となる。
なお、逃げ溝3の形状は、第四の実施形態と同様に、凸型2に近い側が深く、遠い側が浅い形状となっている。これにより、S字状循環路6(7)を形成した際に生じる余肉が逃げ溝3に流れ込みやすくなるため、フランジ形状が出やすく、より効果的にフランジF1(F2)を形成することができる。
以上のように、本発明のボールねじの実施形態を説明したが、本発明のボールねじは、上述した第一〜第五の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、上記の各実施形態においては、ボール11をボール転走路8の終点から始点へ戻し循環させるボール循環路6,7をナット5に形成したナット循環方式のボールねじを例示したが、本発明は、ボール循環路6,7に相当するものをねじ軸に形成したねじ軸循環方式のボールねじにも適用可能である。
1 基部
2 凸型
3 逃げ溝
4 循環路加工治具
5 ナット
5a 雌ねじ溝
6,7 ボール循環路(S字状循環路)
8 ボール転走路
9 直線状導入部
10 ねじ軸
10a 雄ねじ溝
11 ボール
12 土手部
F1,F2 フランジ

Claims (10)

  1. 外周面に雄ねじ溝を形成したねじ軸と、前記ねじ軸を包囲するように配置され内周面に雌ねじ溝を形成したナットと、対向する前記両ねじ溝間に形成された転走路に沿って転動自在に配置された複数のボールと、前記ボールを前記転走路の終点から始点へ戻し循環させるボール循環路と、を備えるボールねじにおいて、
    前記ボール循環路は、前記ナットの内周面の一部を凹化させて形成した凹溝で構成されているとともに、前記転走路と前記ボール循環路との接続部分には、前記ボール循環路の周縁部から径方向内方に突出するフランジが設けられていることを特徴とするボールねじ。
  2. 前記転走路との接続部分である前記ボール循環路の両端部は、前記ボールの直線状導入部となっているとともに、前記フランジは少なくとも前記直線状導入部の周縁部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のボールねじ。
  3. 前記フランジの先端と前記ナットの径方向中心との間の距離Hは、前記ボールの中心軌跡円径(BCD)の1/2以下であり、前記フランジは、前記ねじ軸の外周面に接触しないように設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のボールねじ。
  4. 前記ボール循環路を構成する凹溝は、金型の表面から突出する凸部を前記ナットの内周面に押圧し塑性加工して前記内周面の一部を凹化させることにより形成されたものであり、前記フランジは、前記凸部の周囲に設けられ前記金型の表面から凹んだ逃げ溝により形成されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のボールねじ。
  5. 前記逃げ溝の深さは、前記凸部に近い側が深く、遠い側が浅いことを特徴とする請求項4に記載のボールねじ。
  6. 前記金型のうち、前記逃げ溝の周囲を囲むように設けられ前記金型の表面から突出する土手部と前記凸部のみが前記ナットの内周面に当接するようになっていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のボールねじ。
  7. 外周面に雄ねじ溝を形成したねじ軸と、前記ねじ軸を包囲するように配置され内周面に雌ねじ溝を形成したナットと、対向する前記両ねじ溝間に形成された転走路に沿って転動自在に配置された複数のボールと、前記ボールを前記転走路の終点から始点へ戻し循環させるボール循環路と、を備えるボールねじの製造に使用される金型において、
    前記ナットの内周面に押圧して塑性加工することにより前記ナットの内周面の一部を凹化させて、前記ボール循環路を構成する凹溝を形成するための凸部と、前記凸部の周囲に設けられ、且つ、前記ボール循環路の周縁部から径方向内方に突出するフランジを形成するための逃げ溝とを、表面に備えることを特徴とする金型。
  8. 前記逃げ溝の深さは、前記凸部に近い側が深く、遠い側が浅いことを特徴とする請求項7に記載の金型。
  9. 表面には、前記凸部と、前記逃げ溝と、前記逃げ溝の周囲を囲むように設けられ表面から突出する土手部と、が形成されており、前記凸部と前記土手部のみが前記ナットの内周面に当接するようになっていることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の金型。
  10. 外周面に雄ねじ溝を形成したねじ軸と、前記ねじ軸を包囲するように配置され内周面に雌ねじ溝を形成したナットと、対向する前記両ねじ溝間に形成された転走路に沿って転動自在に配置された複数のボールと、前記ボールを前記転走路の終点から始点へ戻し循環させるボール循環路と、を備えるボールねじを製造する方法において、
    請求項7〜9のいずれか一項に記載の金型に設けられた凸部を前記ナットの内周面に押圧して塑性加工することにより、前記内周面の一部を凹化させて、凹溝からなる前記ボール循環路を形成するとともに、前記逃げ溝により、前記ボール循環路の周縁部から径方向内方に突出するフランジを形成することを特徴とするボールねじの製造方法。
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JP2013076464A (ja) * 2011-09-16 2013-04-25 Nsk Ltd ボールねじ用ナットの製造方法

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