JP2006181638A - ラジアル玉軸受用軌道輪及びその製造方法 - Google Patents

ラジアル玉軸受用軌道輪及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ラジアル玉軸受を構成する外輪2aを、実用上十分な精度を確保しつつ低コストで得られる製造方法を実現する。
【解決手段】 (A)に示した高精度素材8を、(B)に示した予備中間素材9、(C)に示した第一中間素材10、(D)に示した第二中間素材11を経て、(E)に示した外輪2aとする。各工程を、鍛造加工、ローリング加工等、何れも材料の除去を伴わない冷間加工により行なう事により、上記課題を解決する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、例えば、電気掃除機、換気扇等、各種家庭用電気製品に組み込む電動モータ、或いは各種自動車用補機等の回転支持部に組み込むラジアル玉軸受の様に、あまり高度の回転精度を要求されないラジアル玉軸受を構成する軌道輪とその製造方法の改良に関する。
各種回転機器の回転支持部に、図25に示す様なラジアル玉軸受1が組み込まれている。このラジアル玉軸受1は、深溝型であって、互いに同心に配置された外輪2と内輪3との間に複数個の玉4、4を設置して成る。このうちの外輪2の内周面の軸方向中間部に深溝型の外輪軌道5を、内輪3の外周面の軸方向中間部に深溝型の内輪軌道6を、それぞれ全周に亙って形成している。上記各玉4、4は、保持器7により保持された状態で、上記外輪軌道5と上記内輪軌道6との間に転動自在に配置している。そして、この構成により、上記外輪2と上記内輪3との相対回転を自在としている。尚、図25に示した例では、上記保持器7として、金属製の波形保持器を使用しているが、合成樹脂製の冠型保持器を使用する場合も多い。又、上記外輪2の両端部内周面に形成した係止溝に、それぞれ密封板(接触型のシール板及び非接触型のシールド板を含む。本明細書全体で同じ。)の外周縁を係止する構造を採用する場合も多い。この場合に上記両密封板の内周縁は、上記内輪3の両端部外周面に、全周に亙って摺接若しくは近接対向させる。
上述の様なラジアル玉軸受1を構成する、上記外輪2や上記内輪3等の軌道輪を造るのに従来一般的には、先ず、鍛造加工と切削加工とにより完成品に近い形状及び寸法を有する中間素材を得ていた。そして、この中間素材に、表面を硬化させる為の熱処理を施してから、上記外輪軌道5や上記内輪軌道6等の軌道面を含む表面に、寸法及び表面粗さを所定のものにする為の研磨を施して、上記軌道輪としていた。この様な内輪の製造方法は、材料の歩留が悪くなる他、面倒で、コストが嵩む。
又、特許文献1、2には、ラジアル玉軸受の軌道輪を、鍛造加工を中心として造る方法が記載されている。
先ず、特許文献1に記載された発明の場合には、外輪を造る為の中間素材と内輪を造る為の中間素材とを一体とした複合中間素材を鍛造により造った後、この複合中間素材を外輪を造る為の外輪用中間素材と内輪を造る為の内輪用中間素材とに分割する発明が記載されている。又、この特許文献1に記載された発明の場合には、内輪を造る為の内輪用中間素材の一部の直径を押し拡げる事で、外周面に深溝型の内輪軌道を有する内輪を得る様にしている。
次に、特許文献2には、熱間押し出しにより造った鋼管を切断して成るリング状の素材を、縦型プレスにより冷間で軸方向に圧縮(据え込み加工)して、内周面に深溝型の外輪軌道を有する外輪用中間素材を造る方法に関する発明が記載されている。
上述の様な特許文献1、2に記載されている発明のうち、特許文献1に記載されている発明の場合には、加工の初期段階で容積の大きな複合中間素材を鍛造により造る。この為、この複合中間素材を造る際の加工荷重及び鍛造装置のパンチや受型等を含む金型に加わる応力が高くなり、この金型を含む鍛造装置各部の弾性変形量が大きくなる。この結果、得られた複合中間素材並びにこの複合中間素材から造られる外輪及び内輪を造る為の中間素材、更にはこれら外輪及び内輪の、寸法精度及び形状精度を十分に良好にする事が難しい。特に、容積の大きな上記複合中間素材を造る加工を冷間鍛造により行なうと、上記金型等に加わる負荷が過大になり、この金型等の耐久性を確保する事が難しくなる。従って、上記複合中間素材の加工は、熱間鍛造或は温間鍛造で造る事になるが、熱間鍛造或は温間鍛造の場合には、温度膨張量の差に拘らず金型同士の嵌合を確実に行なわせるべく、嵌合部の隙間を冷間鍛造の場合に比べて大きめに設定しなければならない。この為、得られた複合中間素材の内外径の寸法並びに内外両周面同士の、同心度を中心とする形状・寸法精度を十分に確保する事が難しくなる。この結果、得られた外輪及び内輪の内外径の寸法精度及び振れ精度を、前述した様な、あまり高度の回転精度を要求しない用途に使用するにしても、十分に確保する事が難しくなる。又、外輪の内周面両端部に密封板の外周縁を係止する為の係止溝を塑性加工により形成する事はできず、この係止溝の加工は切削加工による事になる為、十分な製造コストの低減を図れない。
又、特許文献2に記載された発明の場合には、リング状の素材を、熱間押し出しにより造った鋼管を切断する事により得ている為、この素材の内外径の寸法並びに内外両周面同士の同心度を中心とする形状・寸法精度を高度に確保する事が難しい。この結果、得られた外輪の内外径の寸法精度及び振れ精度を高度に確保する事が難しくなる。又、鋼管を切断して上記リング状の素材とする作業は面倒で、生産性が悪く、コスト上昇の原因となる。更には、外輪用中間素材に、脱炭による切削を施す必要もあり、この面からもコストが高くなる。
又、特許文献3、4には、造るべき軌道輪よりも小径のリング状素材の周面をマンドレルで押圧する事により、このマンドレルの外周面形状を上記リング状素材の周面に転写しつつ、このリング状素材の直径を広げて、所望の直径を有する軌道輪とする、ラジアル玉軸受用軌道輪の製造方法に関する発明が記載されている。但し、この様な特許文献3、4に記載された従来方法の場合には、マンドレルを押し付けた状態での、上記リング状素材の挙動が安定せず、このマンドレルの外周面の形状をこのリング状素材の周面に正確に転写できない。又、得られた軌道輪の真円度を十分に確保する事も難しい。この為、やはり、前述した様な、あまり高度の回転精度を要求しない用途に使用するにしても、得られた軌道輪の寸法精度等を十分に確保する事が難しくなる。又、特許文献4に記載された発明の場合には、塑性加工後に材料の除去が必要になり、コスト低減効果が限られる。
特開平5−277615号公報 特開2001−150082号公報 特開昭59−212142号公報 特開昭56−111533号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、例えば、前述した様な用途に使用される、あまり高度の回転精度を要求されないラジアル玉軸受を構成する軌道輪である内輪や外輪を、実用上十分な精度を確保しつつ低コストで得られる、ラジアル玉軸受用軌道輪及びその製造方法を実現すべく発明したものである。
本発明の対象となるラジアル玉軸受用軌道輪は、何れかの周面の軸方向中間部に断面円弧形の軌道面を全周に亙って形成している。
特に、請求項1に記載したラジアル玉軸受用軌道輪は、所定形状を有する中間素材に冷間で施されたローリング加工により加工されたものである。
上記中間素材は、完成品の容積と実質的に同じ容積を有する円筒状の素材を塑性変形させて成る。
そして、上記中間素材の外周面の形状は、例えば請求項2に記載した様に、最も外径が大きくなった部分から軸方向両端面に向け、この外径の変化方向が逆転せず、アンダカット部を持たない形状である。
更に、この様な請求項2に記載した発明の場合には、上記中間素材の内周面の形状は、最も内径が小さくなった部分から軸方向両端面に向け、この内径の変化方向が逆転せず、アンダカット部を持たない形状である。
又、請求項3に記載したラジアル玉軸受用軌道輪の製造方法は、上述の請求項2に記載したラジアル玉軸受用軌道輪を造る為の製造方法であって、第一工程と、第二工程と、第三工程とを有する。
このうちの第一工程では、完成品の容積と実質的に同じ容積を有する円筒状の素材を軸方向に相対変位する1対の金型同士の間で押圧する、第一の冷間鍛造加工を施す。そして、この素材の軸方向片半部の直径を変化させて、軸方向中間部外周面に上記軌道面の一部となるべき断面円弧形の軌道面用曲面を形成する。これと共に、この軌道面用曲面を挟んで軸方向片半部を小径部とし、軸方向他半部を大径部として第一中間素材を得る。
又、上記第二工程では、この第一中間素材を、軸方向に相対変位する上記第一工程とは別の1対の金型同士の間で押圧する、第二の冷間鍛造を施す。そして、上記第一中間素材のうちで少なくとも上記軌道面を形成すべき部分の径方向に関する厚さ寸法の、軸方向に関する分布が、完成後の軌道輪の軌道面を形成した部分の分布と一致する第二中間素材を得る。
更に、上記第三工程では、上記第二中間素材を回転させながらこの第二中間素材の内周面と外周面とを互いに近づく方向に押圧するローリング加工により、この第二中間素材の一部を径方向に塑性変形させて上記軌道面を形成する。
尚、完成品の容積と実質的に同じ容積を有するとは、熱処理後に研磨等、材料の除去を伴う仕上加工を施す場合には、完成品の容積にこの仕上加工による取り代を加えた容積を言う。これに対して、上記材料の除去を伴う仕上加工を施さない場合には、不可避な製造誤差を除き、完成品の容積と同じ容積である事を言う。
又、上記素材は、その容積が上記完成品の容積と実質的に同じであるだけでなく、断面形状の縦横比(軸方向に関する長さ寸法と径方向に関する厚さ寸法との比)も、上記完成品の断面形状を造り出す為に最適な値にする事が好ましい。
更に、請求項5に記載した、ラジアル玉軸受用軌道輪の製造方法の発明の場合も、円筒状で、被加工側周面となる何れかの周面の軸方向中間部に、断面円弧形の軌道面を全周に亙って形成する。
特に、請求項5に記載したラジアル玉軸受用軌道輪の製造方法に於いては、完成品の容積と実質的に同じ容積を有し、上記軌道面を形成した面と反対側の周面である非加工側周面の直径を完成品の直径と実質的に同じとした円筒状の素材を、この非加工側周面を受部材に設けた支承側周面に実質的に(寸法誤差を除いて可能な限り)隙間なく嵌合する事によりこの受部材に支持する。
そして、上記被加工側周面に、完成品状態でのこの被加工側周面の母線形状と一致する母線形状を有する加工側回転部材の加工側周面を、上記素材の径方向に押圧しつつ、この加工側回転部材と上記受部材とを相対回転させる。
そして、この相対回転により、上記被加工側周面を、少なくとも上記軌道面を有する完成品としての形状に加工(加工側周面の形状を被加工側周面に転写)する。
上述の様に構成する本発明のラジアル玉軸受用軌道輪及びその製造方法によれば、例えば、前述した様な用途に使用される。あまり高度の回転精度を要求されないラジアル玉軸受を構成する軌道輪を、実用上十分な精度を確保しつつ、低コストで得られる。
即ち、造るべき軌道輪の容積に(材料の除去を伴う仕上加工を施す場合にはその取り代を勘案した状態で)一致させた容積を有する円筒状の素材(高精度素材)を冷間加工により塑性変形させて上記軌道輪とする為、この軌道輪の形状精度並びに寸法精度を高度に確保できる。
尚、加工精度を向上させる事で、前述した様な用途に比べて高精度を要求される玉軸受用の軌道輪に対する本発明の適用が可能である事は当然である。
請求項3に記載した発明を実施する場合に好ましくは、請求項4に記載した様に、軌道輪が、軌道面を形成した周面の軸方向両端部に密封板の周縁部を係止する為の係止溝を設けたものとする。そして、第一工程の前に、素材の軸方向両端部に軸方向中間部よりも径方向に凹んだ段差部を形成して予備中間素材とする予備工程を備え、第三工程でこの段差部に上記係止溝を形成する。
この様に構成すれば、密封板の周縁部を形成する為の係止溝を備えた軌道輪に関しても、低コストで造る事ができる。
又、請求項5に記載した発明を実施する場合に好ましくは、請求項6に記載した様に、完成品である軌道輪の被加工側周面の軸方向両端部に、この被加工側周面の軸方向中央寄り部分よりも径方向に凹んだ段部を全周に亙って形成する為、素材の被加工側周面の軸方向両端部に段差部を形成しておく。そして、これら両段差部を上記両段部に、この被加工側周面への加工側回転部材の押し付けに伴って、軌道面と同時に加工する。
この様な構成を採用すれば、シールリングを設置する為に必要となる、上記両段部を、容易に、しかも精度良く加工できる。
又、上述の様な請求項6に記載した発明を実施する場合に好ましくは、請求項7に記載した様に、上記素材の被加工側周面の軸方向両端部に設けた両段差部と軸方向中央寄り部分との間に存在する段差面を、径方向に関して非加工側周面から離れるに従って互いに近付く方向に傾斜した傾斜面とする。そして、上記素材の中心軸に対し直交する方向に存在する仮想平面に対する、上記両段差面の傾斜角度を、完成後の軌道輪の対応する部分に存在する段差面の傾斜角度よりも、15度以下の範囲内で大きくしている。
これら両段差面をこの様に傾斜させれば、上記加工側回転部材に加わる力を低く抑えて、この加工側回転部材の耐久性並びに加工精度の向上を図れる。
更に、請求項5〜7に記載した発明を実施する場合に好ましくは、請求項8に記載した様に、軌道輪を造る為の素材の軸方向両端面を、非加工側周面から離れるに従って互いに近付く方向に傾斜した傾斜面とする。そして、上記素材の中心軸に対し直交する方向に存在する仮想平面に対する上記軸方向両端面の傾斜角度を、20度以下とする。
これら軸方向両端面をこの様に傾斜させる事によっても、上記加工側回転部材に加わる力を低く抑えて、この加工側回転部材の耐久性並びに加工精度の向上を図れる。
図1〜5は、請求項1〜4に対応する、本発明の実施例1として、本発明を外輪2a{図1の(E)参照}の製造に適用した場合に就いて示している。本実施例の特徴は、予め外輪2aの容積と実質的に同じ容積を有する円筒状の高精度素材8{図1の(A)参照}を造った後、冷間加工によりこの高精度素材8を塑性変形させて、上記外輪2aとする点にある。この高精度素材8を造る方法に就いては、特に限定しないが、材料の歩留を良好にしてコスト低減を図る面から、長尺な線材(コイル)を所定長さに切断してこれに冷間で塑性加工を施して造る事が好ましい。或は、板材を円輪状に打ち抜いてこの断面形状を90度捩る事により、上記高精度素材8とする事もできる。更には、金属板を円管状に巻いて突き合わせ部を溶接したものに旋削加工を施して容積を整えたものも、使用可能である。高精度素材8を何れの方法により造った場合でも、この高精度素材8を次の様な工程で冷間加工により塑性変形させ、上記外輪2aとする。
本実施例の場合には、図1の(A)に示した上記高精度素材8を、(B)に示した予備中間素材9、(C)に示した第一中間素材10、(D)に示した第二中間素材11を経て、(E)に示した外輪2aとする。これら予備中間素材9、第一中間素材10、第二中間素材11は何れも、外周面の形状は、最も外径が大きくなった部分から軸方向両端面に向け、この外径の変化方向が逆転せず、アンダカット部を持たない形状である。又、内周面の形状は、最も内径が小さくなった部分から軸方向両端面に向け、この内径の変化方向が逆転せず、アンダカット部を持たない形状である。従って、上記各中間素材9〜11は何れも、軸方向に相対変位する金型同士の間で強く押圧する事により、精度良く造れる。就いては、それぞれの工程に就いて、以下に順番に説明する。
上記高精度素材8を上記予備中間素材9とするには、この高精度素材8の外周面を図示しない抑え型の内周面に内嵌し、同じく内周面を中子に外嵌した状態で、この高精度素材8の軸方向(図1の上下方向)両端面の内径側半部に、やはり図示しないパンチの先端面を、全周に亙って押し付ける。この結果、上記高精度素材8の軸方向両端面の内径側半部が軸方向に凹んで、当該部分に、径方向外方に凹んだ段差部12、12を有する、上記予備中間素材9を得られる。この際、これら両段差部12、12を形成する事に伴って径方向(図1の左右方向)外方に流動した肉は、上記軸方向両端部の外径側半部が軸方向に突出する事で吸収される。尚、この様にして造られる、上記予備中間素材9の外径は、造るべき外輪2aの外径と一致している。
そこで、この予備中間素材9の一部{軸方向一端部(図1の上端部)を除く部分}の径を、一度上記外輪2aの外径よりも小さい外径にまで縮める、縮管加工を、上記予備中間素材9に施す。この縮管加工は、図2に示す様にして行なう。
先ず、(A)に示す様に、この予備中間素材9を、ダイ13に設けた加工孔14の大径部15に内嵌(セット)する。次いで、(B)に示す様に、パンチ16により上記予備中間素材9を、上記加工孔14の奥にまで押し込む。この加工孔14は、上記大径部15とこの大径部15よりも奥側に設けた小径部17とを滑らかな曲面部18により連続させて成る。又、この大径部15の内径は、上記外輪2aの外径と一致させている。従って、上記パンチ16により上記加工孔14の奥部に存在する上記小径部17に押し込まれた、上記予備中間素材9の一部の外径は、上記外輪2aの外径よりも小さくなるまで縮められて、前記第一中間素材10となる。
この様な第一中間素材10の内周面の直径は、外輪軌道5{図1の(E)参照}の底部となるべき部分から、この内周面を形成すべき上記パンチ16の挿入側軸方向端面に向け、拡大する方向にのみ変化する。上記内周面の直径は、軸方向に変化しない部分はあっても、小さくなる方向に変化する部分はない。言い換えれば、上記パンチ16の挿入方向に見て、アンダーカットとなる部分は存在しない。従って、このパンチ16と上記ダイ13とによる上記第一中間素材10の加工を、精度良く行なえる。
尚、図示の例では、上記パンチ16の先端面の一部に凸曲面部19を形成する事により、上記第一中間素材10の内周面の一部に断面円弧状の凹曲面部20を、全周に亙って形成する様にしている。上記パンチ16がこの凹曲面部20を形成するのは、上記予備中間素材9を上記第一中間素材10とする加工の初期段階で行なわれる。従って、上述の様に予備中間素材9の一部の外径を縮めて第一中間素材10とすべく、上記外径を縮める作業の進行の過程で、加工応力は、上記初期段階を除き、前記曲面部18と上記予備中間素材9の外周面との当接部にのみ加わる。従って、上記加工孔14の曲面部18による、上記第一中間素材10の外周面の塑性加工は、精度良く行なえる。この部分の加工を精度良く行なう事は、得られる外輪軌道5{図1の(E)或いは図25参照}の精度を確保する面から重要である。この様にして造られた、この第一中間素材10は、ノックアウトリング21により上記加工孔14から押し出して、次の工程に送る。
この次の工程では、上記第一中間素材10の内周面に、外輪軌道5の軸方向片半部(図1の下半部)の元となるべき部分を形成する為の、内径押出加工を施す。この内径押出加工は、図3に示す様にして行なう。
先ず、(A)に示す様に、上記第一中間素材10を、ダイ22に設けた加工孔23に内嵌すると共に、この第一中間素材10の軸方向一端面(図3の下端面)を、この加工孔23内に挿入したカウンターリング24の先端面(図3の上端面)に突き当てる(セットする)。この状態で、上記第一中間素材10の外周面は上記加工孔23の内周面に、同じく軸方向一端面は上記カウンターリング24の先端面に、それぞれ隙間なく当接する。又、このカウンターリング24と上記ダイ22との軸方向(図3の上下方向)に関する位置関係は、厳密に規制されている。
上記第一中間素材10を上述の様にセットしたならば、次いで、(B)に示す様に、パンチ25により上記第一中間素材10の内周面を扱く。このパンチ25の先端部は、上記カウンターリング24内に隙間なく挿入した状態で(同心度を厳密に規制した状態で)このカウンターリング24に対する軸方向の変位を可能となる、小径部26としている。そして、この小径部26と、基端寄り(図3の上寄り)部分に設けた、この小径部26と同心の大径部27とを、凸曲面部28により連続させている。この凸曲面部28の断面形状は、上記加工すべき上記外輪軌道5の軸方向片半部の断面形状とほぼ一致する(完全には一致しない)、円弧状である。上記内径押出加工では、上記パンチ25の凸曲面部28を上記第一中間素材10の内周面に存在する前記凹曲面部20に突き当て、この凹曲面部20の形状を矯正しつつ、この凹曲面部20を上記第一中間素材10の軸方向一端部に向けて、所定位置にまで移動させる(内径寄り部分を扱く)。
この結果、内周面の軸方向一端寄り部分に、上記外輪軌道5の軸方向片半部の元となる凹曲面部20aを備えた、前記第二中間素材11を得られる。この様にしてこの第二中間素材11を造る際、上述の様に凹曲面部20の形状を矯正しつつ所定位置にまで移動させて上記外輪軌道5の軸方向片半部となる凹曲面部20aとする、扱き作業の進行の過程で、加工応力は、上記凸曲面部28と上記凹曲面部20との当接部にのみ加わる。従って、この凸曲面部28による、上記外輪軌道5の軸方向片半部となる凹曲面部20aの塑性加工は、精度良く行なえる。この様にして造られた上記第二中間素材11のうち、この凹曲面部20aを設けた軸方向一端寄り部分{図3の(B)の下半部}の形状は、造るべき外輪2aの該当部分の形状にほぼ一致している(完全には一致していない)。又、前記図2に示した縮管加工の際、加工孔14の中間部に設けた曲面部18により段付形状に加工された部分に関しては、上記図3に示した内径押出加工を終了した時点で、径方向に関する肉厚の軸方向に関する分布が、造るべき外輪2aの該当部分の分布に(次述する外輪軌道形成加工時に直径が拡がる事に伴う肉厚の変化分を勘案した上で)一致している。この為に、上記図2に示した縮管加工の際、上記曲面部18の形状、並びに、前記ダイ13に対する前記パンチ16の挿入量を厳密に規制している。
上述の様にして上記第二中間素材11を加工する際にも、内周面の直径が、外輪軌道5の底部となるべき部分から、この内周面を形成すべき前記パンチ25の挿入側軸方向端面に向け、拡大する方向にのみ変化する。上記内周面の直径は、軸方向に変化しない部分はあっても、小さくなる方向に変化する部分はない。言い換えれば、上記パンチ25の挿入方向に見て、アンダーカットとなる部分は存在しない。従って、このパンチ25と前記ダイ22とによる上記第二中間素材11の加工を精度良く行なえる。
この様にして造られた、この第二中間素材11は、前記カウンターリング24により前記加工孔23から押し出して、次の工程に送る。
この次の工程では、上記第二中間素材11の軸方向他端寄り(図3、5の下端寄り)部分の外径を大きくして、外径を(両端縁部の面取り部を除いて)軸方向全長に亙って均一にすると共に、内周面に上記外輪軌道5を形成する、外輪軌道形成加工を行なう。この外輪軌道形成加工は、図4〜5に示す様な、ローリング加工により行なう。
このローリング加工は、互いに平行に、且つ、逆方向に相対回転自在に支持された外接ローラ29と内接ローラ30との間で上記第二中間素材11の円周方向の一部を径方向に押圧する事で行なう。このうちの外接ローラ29は、厚肉円盤状で、径方向の変位を抑えた状態で、回転のみ自在に支持しており、造るべき外輪2aの幅(軸方向長さ)よりも大きな幅と、(回転中心軸と平行な)円筒状の外周面とを有する。又、上記内接ローラ30は、円柱状で、外周面の一部に、造るべき外輪2aの内周面の断面形状(母線形状)に一致する断面形状(母線形状)を有する、加工曲面部31を設けている。又、上記内接ローラ30は、図示しない駆動機構及び押圧機構により、上記外接ローラ29の外周面に向け押圧しつつ回転駆動自在とされている。
上記第二中間素材11を上記外輪2aに加工するには、この第二中間素材11を上記内接ローラ30に緩く外嵌した状態で、この内接ローラ30を上記外接ローラ29の外周面に向け押圧しつつ回転駆動する。上記第二中間素材11は、上記内接ローラ30によりこの内接ローラ30と同方向に連れ回りしつつ上記外接ローラ29の外周面に押し付けられる。この為、この外接ローラ29が、上記第二中間素材11及び上記内接ローラ30と逆方向に連れ回り運動(回転)する。そして、この第二中間素材11は、その円周方向の一部が、これら両ローラ29、30の外周面同士の間で、径方向に押圧される。又、この様に径方向に押圧される部分は、円周方向に連続して変化する。この結果、上記第二中間素材11の軸方向他端寄り部分が、上記外接ローラ29の外周面に当接するまで、徐々に拡径される。
上記第二中間素材11の軸方向他端寄り部分が拡径し切り、この第二中間素材11の外径が(両端縁部の面取り部を除いて)軸方向全長に亙って均一になった後は、上記内接ローラ30の加工曲面部31の形状が上記第二中間素材11の内周面に転写される。この加工曲面部31は、その軸方向中央部に、前記外輪軌道5を形成すべき、断面円弧状の凸曲面部32を設けている。又、軸方向両端部には、前記各段差部12、12に密封板の外周縁を係止すべき係止溝を加工すべき突条33、33を形成している。従って、上記加工曲面部31の形状が上記第二中間素材11の内周面に転写された状態では、内周面の軸方向中央部に上記外輪軌道5を、同じく両端部に係止溝34、34を、それぞれ備えた、前記外輪2aを得られる。
この様にして得られた外輪2aには、転がり疲れ寿命を確保する為に上記外輪軌道5部分を硬化させるべく、熱処理(焼き入れ)を施す。熱処理を施した外輪2aは、そのまま内輪3及び玉4、4と組み合わせて図25に示す様なラジアル玉軸受1とする事もできる。更に、回転精度、或いは回転時に振動及び騒音を低く抑える必要がある場合には、上記熱処理後、上記外輪軌道5部分に、表面粗さを向上させる為の研磨を施す事もできる。
図6〜7は、やはり請求項1〜4に対応する、本発明の実施例2を示している。本実施例の場合には、前述の図1の(D)に示した第二中間素材11を同じく(E)に示した外輪2aに加工する為のローリング加工装置を構成する外接ローラ29aを、円環状に形成している。そして、この外接ローラ29aの内側に内接ローラ30を、回転中心軸を互いに平行に配置した状態で、且つ、回転中心軸を互いに偏心させた状態で挿入している。上記第二中間素材11を上記外輪2aに加工する為のローリング加工を行なう際には、上記内接ローラ30を上記外接ローラ29aの内周面に押圧しつつ回転させる。その他の部分の構成及び作用は、上述した実施例1と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略する。
図8〜9は、やはり請求項1〜4に対応する、本発明の実施例3を示している。本実施例の場合には、前述の図1の(D)に示した第二中間素材11を同じく(E)に示した外輪2aに加工する為のローリング加工装置を構成する外接ローラ29bを円環状とし、且つ、この外接ローラ29bの内径を、上記外輪2aの外径(=上記第二中間素材11の最大外径)に一致させている。そして、この外接ローラ29bの内側に内接ローラ30を、回転中心軸を互いに平行に配置した状態で、且つ、回転中心軸を互いに偏心させた状態で挿入している。上記第二中間素材11を上記外輪2aに加工する為のローリング加工を行なう際には、この第二中間素材11を上記外接ローラ29bにがたつきなく内嵌した状態で上記内接ローラ30を、この外接ローラ29bの内周面に押圧しつつ回転させる。その他の部分の構成及び作用は、前述した実施例1及び上述した実施例2と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略する。
図10〜14は、やはり請求項1〜4に対応する、本発明の実施例4として、本発明を内輪3aの製造に適用した場合に就いて示している。本実施例の特徴は、予め内輪3a{図10の(E)参照}の容積と実質的に同じ容積を有する円筒状の高精度素材8a{図1の(A)参照}を造った後、冷間加工によりこの高精度素材8aを塑性変形させて、上記内輪3aとする点にある。この高精度素材8aを造る方法に就いては、前述した実施例1の場合と同様であるが、高精度素材8aを何れの方法により造った場合でも、この高精度素材8aを次の様な工程で冷間加工により塑性変形させ、上記内輪3aとする。
本実施例の場合には、図10の(A)に示した上記高精度素材8aを、(B)に示した予備中間素材9a、(C)に示した第一中間素材10a、(D)に示した第二中間素材11aを経て、(E)に示した内輪3aとする。これら予備中間素材9a、第二中間素材11aは何れも、上述した各実施例と同様に、外周面及び内周面の形状は、それぞれアンダカット部を持たない形状である。従って、上記各中間素材9a〜11aは何れも、軸方向に相対変位する金型同士の間で強く押圧する事により、精度良く造れる。就いては、それぞれの工程に就いて、順番に説明する。
上記高精度素材8aを上記予備中間素材9aとするには、この高精度素材8aの外周面を図示しない抑え型の内周面に内嵌し、同じく内周面を中子に外嵌した状態で、この高精度素材8aの軸方向両端面の外径側半部に、やはり図示しないパンチの先端面を、全周に亙って押し付ける。この結果、上記高精度素材8aの軸方向両端面の外径側半部が軸方向に凹んで、当該部分に段差部12a、12aを有する、上記予備中間素材9aを得られる。この際、これら両段差部12a、12aを形成する事に伴って径方向内方に流動した肉は、上記軸方向両端部の内径側半部が軸方向に突出する事で吸収される。尚、この様にして造られる、上記予備中間素材9aの内径は、造るべき内輪3aの内径とほぼ同じである(厳密に同じである必要はない)。
この様な予備中間素材9aには、その一部{軸方向一端部(図10の上端部)を除く部分}の外径を、上記内輪3aの中間部外周面に形成した内輪軌道6{図10の(E)及び図14参照}の溝底径(深溝型の内輪軌道6の幅方向中央部で最も外径が小さくなった部分の外径)にまで縮める縮管加工を施す。この縮管加工は、図11に示す様にして行なう。
先ず、(A)に示す様に、上記予備中間素材9aを、ダイ13aに設けた加工孔14aの大径部15aに内嵌(セット)する。次いで、(B)に示す様に、パンチ16aにより上記予備中間素材9aを、上記加工孔14aの奥にまで押し込む。この加工孔14aは、上記大径部15aとこの大径部15aよりも奥側に設けた小径部17aとを滑らかな曲面部18aにより連続させて成る。この曲面部18aの断面形状は、造るべき上記内輪3aの外周面に形成する、上記内輪軌道6の片半部(図10の上半部)の断面形状と一致しており、上記小径部17aの内径は、上記溝底径と一致させている。従って、上記パンチ16aにより上記加工孔14aの奥部に存在する上記小径部17aに押し込まれた、上記予備中間素材9aの一部の外径は、上記溝底径と一致する状態に縮められて、前記第一中間素材10aとなる。
尚、図示の例では、上記パンチ16aの軸方向中間部の一部に凸曲面部19aを形成する事により、上記第一中間素材10aの内周面の一端寄り部分に断面円弧状の凹曲面部20bを、全周に亙って形成する様にしている。上記パンチ16aがこの凹曲面部20bを形成するのは、上記予備中間素材9aを上記第一中間素材10aとする加工の初期段階で行なわれる。従って、上述の様に予備中間素材9aの一部の外径を縮めて第一中間素材10aとすべく、上記外径を縮める作業の進行の過程で、加工応力は、上記初期段階を除き、上記曲面部18aと上記予備中間素材9aの外周面との当接部にのみ加わる。従って、上記加工孔14aの曲面部18aによる、上記第一中間素材10aの外周面の塑性加工は、精度良く行なえる。この部分の加工を精度良く行なう事は、得られる内輪軌道6{図10の(E)或いは図25参照}の精度を確保する面から重要である。この様にして造られた、上記第一中間素材10aは、ノックアウトリング21aにより上記加工孔14aから押し出して、次の工程に送る。
上述の様にして加工される、上記第一中間素材10aは、外周面の直径が、内輪軌道5{図10の(E)参照}の底部となるべき部分から、この外周面を形成すべき前記ダイ13aの挿入側軸方向端面に向け、拡大する方向にのみ変化する。上記外周面の直径は、軸方向に変化しない部分はあっても、大きくなる方向に変化する部分はない。言い換えれば、上記ダイ13aに対するの挿入方向に見て、アンダーカットとなる部分は存在しない。従って、このダイ13aと上記パンチ16aとによる上記第一中間素材10aの加工を精度良く行なえる。
上記次の工程では、上記第一中間素材10aのうちで上記内輪軌道6の軸方向他半部(図10の下半部)に対応する部分の径方向に関する肉厚の軸方向に関する分布を、造るべき上記内輪3aの該当部分の分布に一致させる為の内径押出加工を施す。この内径押出加工は、図12に示す様にして行なう。
先ず、(A)に示す様に、上記第一中間素材10aを、ダイ22aに設けた加工孔23aに内嵌すると共に、この第一中間素材10aの軸方向一端面(図12の下端面)を、この加工孔23a内に挿入したカウンターリング24aの先端面(図12の上端面)に突き当てる(セットする)。この状態で、上記第一中間素材10aの外周面は上記加工孔23aの内周面に、同じく軸方向一端面は上記カウンターリング24aの先端面に、それぞれ隙間なく当接する。又、このカウンターリング24aと上記ダイ22aとの軸方向(図12の上下方向)に関する位置関係は、厳密に規制されている。
上記第一中間素材10aを上述の様にセットしたならば、次いで、(B)に示す様に、パンチ25aによりこの第一中間素材10aの内周面を扱く。このパンチ25aの先端部は、上記カウンターリング24a内に隙間なく挿入した状態で(同心度を厳密に規制した状態で)このカウンターリング24aに対する軸方向の変位を可能となる、小径部26aとしている。そして、この小径部26aと、基端寄り(図12の上寄り)部分に設けた、この小径部26aと同心の大径部27aとを、凸曲面部28aにより連続させている。この凸曲面部28aの断面形状は、前記内輪軌道6の軸方向他半部に対応する部分の径方向に関する肉厚の軸方向に関する分布を、造るべき上記内輪3aの該当部分の分布に一致させるべく、厳密に規制している。上記内径押出加工では、上記パンチ25aの凸曲面部28aを上記第一中間素材10aの内周面に存在する前記凹曲面部20bに突き当て、この凹曲面部20bの形状を矯正しつつ、この凹曲面部20bを上記第一中間素材10aの軸方向一端部に向けて、所定位置にまで移動させる(内径寄り部分を扱く)。
この結果、内周面の軸方向一端寄り(図12の下寄り)部分に、上記内輪軌道6の軸方向他半部となるべき部分の肉厚分布を整える為の凹曲面部20cを備えた、前記第二中間素材11aを得られる。この様にしてこの第二中間素材11aを造る際、上述の様に凹曲面部20bの形状を矯正しつつ所定位置にまで移動させて、上記内輪軌道6の軸方向他半部となるべき部分の肉厚分布を整える為の凹曲面部20cとする扱き作業の進行の過程で、加工応力は、上記凸曲面部28aと上記凹曲面部20bとの当接部にのみ加わる。従って、この凸曲面部28aによる、上記肉厚分布を整える為の凹曲面部20cの塑性加工は、精度良く行なえる。この様にして造られた上記第二中間素材11aのうち、軸方向に関して上記凹曲面部20cを設けた部分と反対側の部分{図10の(D)及び図12の(B)の上半部分}の形状は、造るべき内輪3aの該当部分の形状に、ほぼ一致している。又、上記凹曲面部20cを形成した部分に関しては、径方向に関する肉厚の軸方向に関する分布が、造るべき内輪3aの該当部分の分布に一致している。この為に、上記内径押出加工の際、上記凸曲面部28aの形状、並びに、前記ダイ22aに対する上記パンチ25aの挿入量を厳密に規制している。この様にして造られた、上記第二中間素材11aは、前記カウンターリング24aにより前記加工孔23aから押し出して、次の工程に送る。
この次の工程では、上記第二中間素材11aの軸方向他端寄り(図12、14の下端寄り)部分の内径を大きくして、内径を(両端縁部の面取り部を除いて)軸方向全長に亙って均一にすると共に、外周面に上記内輪軌道6を形成する、内輪軌道形成加工を行なう。この内輪軌道形成加工は、図13〜14に示す様な、ローリング加工により行なう。
このローリング加工は、互いに平行に、且つ、逆方向に相対回転自在に支持された外接ローラ29cと内接ローラ30aとの間で上記第二中間素材11aの円周方向の一部を径方向に押圧する事で行なう。このうちの外接ローラ29cは、厚肉円盤状で、径方向の変位を抑えた状態で、回転のみ自在に支持しており、造るべき内輪3aの幅(軸方向長さ)よりも大きな幅を有する。又、上記外接ローラ29cの外周面の軸方向中間部に、造るべき内輪3aの外周面の断面形状(母線形状)に一致する断面形状(母線形状)を有する、加工曲面部31aを設けている。一方、上記内接ローラ30aは、円柱状で、外周面は単なる(回転中心と平行な)円筒面としている。又、上記内接ローラ30aは、図示しない駆動機構及び押圧機構により、上記外接ローラ29cの内周面に向け押圧しつつ回転駆動自在とされている。
上記第二中間素材11aを上記内輪3aに加工するには、この第二中間素材11aを上記内接ローラ30aに緩く外嵌した状態で、この内接ローラ30aを上記外接ローラ29cの外周面に向け押圧しつつ回転駆動する。上記第二中間素材11aは、上記内接ローラ30aによりこの内接ローラ30aと同方向に連れ回りしつつ上記外接ローラ29cの外周面に押し付けられる。この為、この外接ローラ29cが、上記第二中間素材11a及び上記内接ローラ30aと逆方向に連れ回り運動(回転)する。そして、この第二中間素材11aは、その円周方向の一部が、これら両ローラ29c、30aの外周面同士の間で、径方向に押圧される。又、この様に径方向に押圧される部分は、円周方向に連続して変化する。この結果、上記第二中間素材11aの軸方向他端寄り部分が、上記外接ローラ29cの外周面に当接するまで、徐々に拡径される。
上記第二中間素材11aの軸方向他端寄り部分が拡径し切り、この第二中間素材11aの内径が(両端縁部の面取り部を除いて)軸方向全長に亙って均一になった後は、上記外接ローラ29cの加工曲面部31aの形状が上記第二中間素材11aの外周面に転写される。この加工曲面部31aは、その軸方向中央部に、前記内輪軌道6を形成すべき、断面円弧状の凸曲面部32aを設けている。又、軸方向両端部には、前記各段部12a、12aを、密封板の内周縁を摺接若しくは近接対向させる為のシール面に加工する為の加工面を形成している。従って、上記加工曲面部31aの形状が上記第二中間素材11aの内周面に転写された状態では、内周面の軸方向中央部に上記内輪軌道6を、同じく両端部に上記シール面を、それぞれ備えた、前記内輪3aを得られる。
この様にして得られた内輪3aには、転がり疲れ寿命を確保する為に上記内輪軌道6部分を硬化させるべく、熱処理(焼き入れ)を施す。熱処理を施した内輪3aは、そのまま外輪2及び玉4、4と組み合わせて図25に示す様なラジアル玉軸受1とする事もできる。更に、回転精度、或いは回転時に振動及び騒音を低く抑える必要がある場合には、上記熱処理後、上記内輪軌道6部分に、表面粗さを向上させる為の研磨を施す事もできる。
図15〜16は、やはり請求項1〜4に対応する、本発明の実施例5を示している。本実施例の場合には、前述の図10の(D)に示した第二中間素材11aを同じく(E)に示した内輪3aに加工する為のローリング加工装置を構成する外接ローラ29dを、円環状に形成している。そして、この外接ローラ29dの内側に内接ローラ30aを、回転中心軸を互いに平行に配置した状態で、且つ、回転中心軸を互いに偏心させた状態で挿入している。上記第二中間素材11aを上記内輪3aに加工する為のローリング加工を行なう際には、上記内接ローラ30aを上記外接ローラ29dの内周面に押圧しつつ回転させる。その他の部分の構成及び作用は、上述した実施例4と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略する。
図17〜18は、やはり請求項1〜4に対応する、本発明の実施例6を示している。本実施例の場合には、前述の図10の(D)に示した第二中間素材11aを同じく(E)に示した内輪3aに加工する為のローリング加工装置を構成する為に、それぞれが厚肉円盤状である外接ローラ29e、29eを1対設けている。又、内接ローラの代わりに、上記第二中間素材11aを回転自在に支持する為の、円柱状のマンドレル35を設けている。このマンドレル35の中心軸と上記両外接ローラ29e、29eの回転中心軸とは、単一の仮想平面上に存在し、互いに平行である。又、上記マンドレル35の外径は、加工すべき上記内輪3aの内径と一致している。尚、本実施例の場合、第二中間素材11aの軸方向一端寄り(図18の下寄り)部分の内径が、内輪3aの内径と一致する様に、この第二中間素材11aを形成している。
上記第二中間素材11aを上記外輪3aに加工する為のローリング加工を行なう際には、上記マンドレル35に上記第二中間素材11aを外嵌した状態で、上記両外接ローラ29e、29eを互いに近づく方向に押圧しつつ同じ方向に回転させる。この結果、上記第二中間素材11aの一部の外径が縮まりつつ、外周面に内輪軌道6及びシール面が形成される。その他の部分の構成及び作用は、前述した実施例4及び上述した実施例5と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略する。
図19〜21は、請求項1、5〜8に対応する、本発明の実施例7を示している。本実施例の場合には、前述の図1の(B)に示した予備中間素材9から同(E)に示した外輪2aへの加工を、同(C)に示す様な縮径作業や同(D)に示す様な内径押出加工を行なわずに、ローリング加工のみで行なう様にしている。即ち、本実施例の場合には、図21の(A)に示す様な予備中間素材9を、受部材である、図19〜20に示す様なダイ22bに隙間なく内嵌する。即ち、非加工側周面である上記予備中間素材9の外周面を、支承側周面である上記ダイ22bの内周面に、全周に亙って当接若しくは近接対向させる。この状態で、被加工側周面である上記予備中間素材9の内周面に、加工側周面であるマンドレル35aの外周面を押し付けて、上記外輪2aを得る。このマンドレル35aが、特許請求の範囲に記載した加工側回転部材である。上記予備中間素材9の容積と、完成品であるこの外輪2aの容積とは互いに等しい。又、この予備中間素材9の外径D9 とこの外輪2aの外径D2aとは、ほぼ等しい(D9 ≒D2a)。又、この予備中間素材9の幅W9 とこの外輪2aの幅W2aとも、ほぼ等しい(W9 ≒W2a)。
上記ダイ22bは、円環状で、上記予備中間素材9を実質的に隙間なく内嵌できる内径を有し、図示しない支持部に、径方向への変位を阻止された状態で、回転自在に支持されている。又、上記マンドレル35aは、この予備中間素材9及び上記外輪2aの内径側に抜き差し自在な外径を有する。又、上記マンドレル35aの中間部外周面で上記ダイ22bの内周面と対向する部分に、完成品状態での被加工側周面、即ち、上記外輪2aの内周面の母線形状と一致する母線形状を有する、加工側周面36を設けている。この様なマンドレル35aは、図示しない駆動装置により回転駆動されつつ、やはり図示しない押圧装置により、上記ダイ22bの内周面に向けて強く押し付けられる。
上記予備中間素材9を上記外輪2aに加工するには、先ず、図21の(A)に示す様な予備中間素材9を、図19の(A)に示す様に、上記ダイ22bに隙間なく内嵌する。尚、この予備中間素材9の内周面の軸方向両端部には、それぞれ段差部37、37を形成している。これら各段差部37、37は、上記マンドレル35aと上記ダイ22bとによる加工に伴って、上記外輪2aの両端部内周面に、シールリングの外周縁部を係止する為の係止溝付の段部となる。この様な両段差部37、37と、上記予備中間素材9の内周面の軸方向中央寄り部分との間にはそれぞれ段差面38、38が存在する。これら両段差面38、38は、径方向内方に向かうに従って互いに近付く方向に傾斜した傾斜面である。
そして、上記予備中間素材9の中心軸に対し直交する方向に存在する仮想平面に対する、上記両段差面38、38の傾斜角度αを、図21の(B)に示した、完成後の外輪2aの対応する部分に存在する段差面38a、38aの傾斜角度βとの関係で規制している。即ち、完成後の外輪2aの段差面38a、38aの傾斜角度βを15度以下に抑え、上記中間素材9の段差面38、38の傾斜角度は、この完成後の外輪2aの段差面38a、38aの傾斜角度βよりも、15度以下の範囲内で大きくしている(α>β、β≦15度、α−β≦15度)。又、上記予備中間素材9の軸方向両端面39、39に就いても、径方向内方に向かうに従って互いに近付く方向に傾斜した傾斜面としている。そして、上記予備中間素材9の中心軸に対し直交する方向に存在する仮想平面に対する上記軸方向両端面39、39の傾斜角度γを、20度以下(γ≦20度)に規制している。
上述の様な予備中間素材9を上記ダイ22bにがたつきなく内嵌したならば、次いで、図19の(B)に示す様に、上記予備中間素材9内に前記マンドレル35aを挿入し、これら予備中間素材9とマンドレル35aとの軸方向位置を規制する。尚、本実施例の場合、この予備中間部材9の外径は、始めから完成後の外輪2aの外径とほぼ同じである。従って、前述の特許文献3に記載された発明の様に、素材を拡径しつつ外輪を加工する場合に比べて、上記マンドレル35aとして、直径が大きなものを使用できて、このマンドレル35aの押し付け力を大きくし、しかもこのマンドレル35aの耐久性確保を図れる。
上記予備中間素材9内に前記マンドレル35aを挿入したならば、次いで、前記駆動装置及び押圧装置により、このマンドレル35aを回転駆動しつつ上記予備中間素材9の内周面に向けて押し付ける。この結果、図19の(C)→(D)に示す過程で、このマンドレル35aの中間部外周面に設けた前記加工側周面36の形状を、上記予備中間素材9の内周面に転写する、ローリング加工が行なわれる。即ち、上記マンドレル35aの加工側周面36を、回転させつつ上記予備中間素材9の内周面に押し付ける事で、この予備中間素材9を構成する金属材料が、図20に矢印方向にフローする。そして、この予備中間素材9の内周面の形状が、次第に、上記加工側周面に倣った形状になって、上記外輪2aを得られる。
この様なローリング加工の過程で、上記予備中間素材9の外周面は、全周に亙って前記ダイ22bにより拘束されており、直径が広がる事はない。従って、内周面形状を上記外輪2aのものとする為に要する塑性変形量を少なく抑えられる。この為、上記マンドレル35aの加工側周面36を上記予備中間素材9の内周面に押し付ける力を低く抑える事ができて、この予備中間素材9に生じる応力を低く抑えられる。そして、上記外輪2aの軸方向両端部内周面に存在する、シールリングの外周縁を係止する為の係止溝を含め、上記内輪2aの各部を精度良く加工できる。又、加工時間を短くできて、コスト低減を図れる。更に、得られた上記外輪2aの真円度も良好になる。尚、前述の図25に示した様な、上記係止溝を持たない外輪2を造るのであれば、予備中間素材及びマンドレルの加工側周面の形状は、図示の場合よりも単純で良い。
又、上記予備中間素材9のうち、角度α分傾斜した上記両段差面38、38の傾斜角度が小さくなり、角度β分傾斜した、上記両段差面38a、38aになる。又、上記予備中間素材9のうち、角度γ分傾斜した上記軸方向両端面39、39の傾斜角度が小さくなり、軸方向に対しほぼ直角方向に存在する軸方向両端面39a、39aになる。本実施例の場合、上記予備中間素材9の各部の傾斜角度α、γを、前述の様に、完成後の外輪2aの各部の傾斜角度との関係で適切に規制しているので、上記ローリング加工時に上記マンドレル35aに加わる力を低く抑えて、このマンドレル35aの耐久性並びに得られる外輪2aの加工精度の向上を図れる。即ち、上記予備中間素材9に、上記傾斜角度α、γを付与している為、ローリング加工時に径方向内方への金属材料のフローが円滑に行なわれる様になって、上記マンドレル35aに加わる力を低く抑えられる。
図22〜24は、やはり請求項1、5〜8に対応する、本発明の実施例8を示している。本実施例の場合には、前述の図10の(B)に示した予備中間素材9aから同(E)に示した内輪3aへの加工を、同(C)に示す様な縮径作業や同(D)に示す様な内径押出加工を行なわずに、ローリング加工のみで行なう様にしている。即ち、本実施例は、上述の実施例7の技術を、径方向に関する内外を逆にして、上記内輪3aの製造に適用したものである。
この為に本実施例の場合には、図24の(A)に示す様な予備中間素材9aを、受部材である、図22〜23に示す様なアーバ40に、実質的に隙間なく外嵌する。即ち、非加工側周面である上記予備中間素材9aの内周面を、支承側周面であるこのアーバ40の外周面に、全周に亙って当接若しくは近接対向させる。この状態で、被加工側周面である上記予備中間素材9aの外周面に、それぞれが加工側周面である1対のローラ41、41の外周面を押し付けて、上記内輪3aを得る。上記予備中間素材9aの容積と、完成品であるこの内輪3aの容積とが互いに等しい事、各部の寸法及び傾斜角度等の関係は、径方向に関する内外が逆になる以外、前述した実施例7の場合と同様であるから、重複する説明は省略する。
本発明の実施例1の外輪加工工程を示す断面図。 外輪加工工程のうちの縮管加工工程を示す断面図。 同じく内径押出加工工程を示す断面図。 同じく外輪軌道形成加工工程を示す側面図。 (A)は外輪軌道形成加工工程の開始直後の状態を、(B)は同じく終了直前の状態を、それぞれ示す、図4のイ−イ断面図。 本発明の実施例2を示す、図4と同様の図。 (A)は外輪軌道形成加工工程の開始直後の状態を、(B)は同じく終了直前の状態を、それぞれ示す、図6のロ−ロ断面図。 本発明の実施例3を示す、図4と同様の図。 (A)は外輪軌道形成加工工程の開始直後の状態を、(B)は同じく終了直前の状態を、それぞれ示す、図8のハ−ハ断面図。 本発明の実施例4の内輪加工工程を示す断面図。 内輪加工工程のうちの縮管加工工程を示す断面図。 同じく内径押出加工工程を示す断面図。 同じく内輪軌道形成加工工程を示す側面図。 (A)は内輪軌道形成加工工程の開始直後の状態を、(B)は同じく終了直前の状態を、それぞれ示す、図13のニ−ニ断面図。 本発明の実施例5を示す、図13と同様の図。 (A)は内輪軌道形成加工工程の開始直後の状態を、(B)は同じく終了直前の状態を、それぞれ示す、図15のホ−ホ断面図。 本発明の実施例6を示す、図13と同様の図。 (A)は内輪軌道形成加工工程の開始直後の状態を、(B)は同じく終了直前の状態を、それぞれ示す、図17のヘ−ヘ断面図。 本発明の実施例7を示す、ローリング加工により円筒状の中間素材を外輪に加工する状態を工程順に示す断面図。 図19の(B)のト部拡大図。 中間素材とこの中間素材から得られる外輪との断面図。 本発明の実施例8を示す側面図。 (A)は加工開始直前の状態を、(B)は同じく終了直前の状態を、それぞれ示す、図22のチ−チ断面図。 中間素材とこの中間素材から得られる内輪との断面図。 本発明の対象となる軌道輪を組み込んだラジアル玉軸受の1例を示す部分切断斜視図。
符号の説明
1 ラジアル玉軸受
2、2a 外輪
3、3a 内輪
4 玉
5 外輪軌道
6 内輪軌道
7 保持器
8、8a 高精度素材
9、9a 予備中間素材
10、10a 第一中間素材
11、11a 第二中間素材
12、12a 段差部
13、13a ダイ
14、14a 加工孔
15、15a 大径部
16、16a パンチ
17、17a 小径部
18、18a 曲面部
19、19a 凸曲面部
20、20a、20b、20c 凹曲面部
21、21a ノックアウトリング
22、22a、22b ダイ
23、23a 加工孔
24、24a カウンターリング
25、25a パンチ
26、26a 小径部
27、27a 大径部
28、28a 凸曲面部
29、29a、29b、29c、29d、29e 外接ローラ
30、30a 内接ローラ
31、31a 加工曲面部
32、32a 凸曲面部
33 突条
34 係止溝
35、35a マンドレル
36 加工側周面
37 段差部
38、38a 段差面
39、39a 端面
40 アーバ
41 ローラ

Claims (8)

  1. 円筒状で、何れかの周面の軸方向中間部に断面円弧形の軌道面を全周に亙って形成したラジアル玉軸受用軌道輪に於いて、完成品の容積と実質的に同じ容積を有する円筒状の素材を塑性変形させて成る中間素材に冷間で施されたローリング加工により、この中間素材の少なくとも一部を径方向に塑性変形させて、上記軌道面を含む表面形状を、完成品と同じ形状に加工されたものである事を特徴とするラジアル玉軸受用軌道輪。
  2. 中間素材の外周面の形状は、最も外径が大きくなった部分から軸方向両端面に向け、この外径の変化方向が逆転せず、アンダカット部を持たない形状であり、上記中間素材の内周面の形状は、最も内径が小さくなった部分から軸方向両端面に向け、この内径の変化方向が逆転せず、アンダカット部を持たない形状である、請求項1に記載したラジアル玉軸受用軌道輪。
  3. 円筒状で、何れかの周面の軸方向中間部に断面円弧形の軌道面を全周に亙って形成したラジアル玉軸受用軌道輪の製造方法に於いて、完成品の容積と実質的に同じ容積を有する円筒状の素材を軸方向に相対変位する1対の金型同士の間で押圧し、この素材の軸方向片半部の直径を変化させて、この軸方向片半部を小径部とし、軸方向他半部を大径部とする第一の冷間鍛造加工を施す事により第一中間素材を得る第一工程と、軸方向に相対変位する、上記第一工程とは別の1対の金型同士の間で上記第一中間素材を押圧し、この第一中間素材のうちで少なくとも上記軌道面を形成すべき部分の径方向に関する厚さ寸法の、軸方向に関する分布が、完成後の軌道輪の軌道面を形成した部分の分布と一致する第二中間素材とする第二の冷間鍛造加工を施す第二工程と、この第二中間素材を回転させながらこの第二中間素材の内周面と外周面とを互いに近づく方向に押圧するローリング加工により、この第二中間素材の一部を径方向に塑性変形させて上記軌道面を形成する第三工程とを備えた事を特徴とするラジアル玉軸受用軌道輪の製造方法。
  4. 軌道輪が、軌道面を形成した周面の軸方向両端部に密封板の周縁部を係止する為の係止溝を設けたものであり、第一工程の前に、素材の軸方向両端部に軸方向中間部よりも径方向に凹んだ段差部を形成して予備中間素材とする予備工程を備え、第三工程でこの段差部に上記係止溝を形成する、請求項3に記載したラジアル玉軸受用軌道輪の製造方法。
  5. 円筒状で、被加工側周面となる何れかの周面の軸方向中間部に断面円弧形の軌道面を全周に亙って形成するラジアル玉軸受用軌道輪の製造方法に於いて、完成品の容積と実質的に同じ容積を有し、上記軌道面を形成した面と反対側の周面である非加工側周面の直径を完成品の直径と実質的に同じとした円筒状の素材を、この非加工側周面を受部材に設けた支承側周面に実質的に隙間なく嵌合する事によりこの受部材に支持し、上記被加工側周面に、完成品状態でのこの被加工側周面の母線形状と一致する母線形状を有する加工側回転部材の加工側周面を、上記素材の径方向に押圧しつつ、この加工側回転部材と上記受部材とを相対回転させる事により、上記被加工側周面を、少なくとも上記軌道面を有する完成品としての形状に加工する事を特徴とするラジアル玉軸受用軌道輪の製造方法。
  6. 完成品の被加工側周面の軸方向両端部に、この被加工側周面の軸方向中央寄り部分よりも径方向に凹んだ段部を全周に亙って形成する為、素材の被加工側周面の軸方向両端部に段差部を形成しており、これら両段差部を上記両段部に、この被加工側周面への加工側回転部材の押し付けに伴って、軌道面と同時に加工する、請求項5に記載したラジアル玉軸受用軌道輪の製造方法。
  7. 素材の被加工側周面の軸方向両端部に設けた両段差部と軸方向中央寄り部分との間に存在する段差面が、径方向に関して非加工側周面から離れるに従って互いに近付く方向に傾斜した傾斜面であり、上記素材の中心軸に対し直交する方向に存在する仮想平面に対する上記両段差面の傾斜角度を、完成後の軌道輪の対応する部分に存在する段差面の傾斜角度よりも、15度以下の範囲内で大きくしている、請求項6に記載したラジアル玉軸受用軌道輪の製造方法。
  8. 軌道輪を造る為の素材の軸方向両端面が、非加工側周面から離れるに従って互いに近付く方向に傾斜した傾斜面であり、上記素材の中心軸に対し直交する方向に存在する仮想平面に対する上記軸方向両端面の傾斜角度が20度以下である、請求項5〜7のうちの何れか1項に記載したラジアル玉軸受用軌道輪の製造方法。
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