JP2011093851A - S−(アミノアルキル)チオ硫酸塩の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、S−(アミノアルキル)チオ硫酸塩の製造方法に関する。
S−(アミノアルキル)チオ硫酸塩は、例えばゴムの接着促進剤として有用である(例えば特許文献1参照。)。
S−(アミノアルキル)チオ硫酸塩の製造方法として、特許文献1の実施例24には、6−ブロモヘキシルアミン臭化水素酸塩をチオ硫酸ナトリウムと反応させて、6−アミノヘキシルチオ硫酸の分子内チオ硫酸アンモニウム塩を製造する方法が開示されている。
しかしながら、炭素数2〜5のS−(アミノアルキル)チオ硫酸塩の製造方法は知られていなかった。かかる状況下、炭素数2〜5のS−(アミノアルキル)チオ硫酸塩を製造する方法が求められていた。
本発明者は、上記課題を解決し得る製造方法について検討した結果、本発明に至った。
すなわち本発明は〔1〕〜〔10〕に記載される製造方法を提供する。
〔1〕式(1)
〔1〕式(1)
で示されるS−(アミノアルキル)チオ硫酸塩の製造方法。
〔2〕溶媒の存在下で接触させる〔1〕に記載される製造方法。
〔3〕溶媒が炭素数1〜4のアルコールおよび水からなる群から選ばれる少なくとも1種である〔2〕に記載される製造方法。
〔4〕反応工程で得られた反応混合物から溶媒を留去させる濃縮工程と、
濃縮工程で得られた濃縮混合物から式(2)で示されるS−(アミノアルキル)チオ硫酸塩を取り出す精製工程と
を含む〔2〕または〔3〕に記載される製造方法。
〔5〕精製工程が、濃縮混合物とメタノールまたはエタノールとを混合し、濃縮混合物に含まれる式(2)で示されるS−(アミノアルキル)チオ硫酸塩を溶解させる工程と、
メタノールまたはエタノールに溶解した式(2)で示されるS−(アミノアルキル)チオ硫酸塩を、メタノールまたはエタノールに不溶であった不溶物から分離する工程と
を含む〔4〕に記載される製造方法。
〔6〕精製工程が、下記の工程(a)〜(f)を含む〔4〕に記載される製造方法。
(a)濃縮工程で得られた濃縮混合物とメタノールとを混合し、濃縮混合物に含まれる式(2)で示されるS−(アミノアルキル)チオ硫酸塩をメタノールに溶解させる工程。
(b)工程(a)においてメタノールに溶解した式(2)で示されるS−(アミノアルキル)チオ硫酸塩を、メタノールに不溶であったメタノール不溶物から分離する工程。
(c)工程(b)においてメタノール不溶物から分離した溶液からメタノールを留去させる工程。
(d)工程(c)においてメタノールを留去させて得た残留物とエタノールとを混合し、当該残留物に含まれる式(2)で示されるS−(アミノアルキル)チオ硫酸塩をエタノールに溶解させる工程。
(e)工程(d)においてエタノールに溶解した式(2)で示されるS−(アミノアルキル)チオ硫酸塩を、エタノールに不溶であったエタノール不溶物から分離する工程。
(f)工程(e)においてエタノール不溶物から分離した溶液から式(2)で示されるS−(アミノアルキル)チオ硫酸塩を析出させ、析出物を取り出す工程。
〔7〕取り出したS−(アミノアルキル)チオ硫酸塩中に含まれる式(4)
Mn+(Cl−)n (4)
(式中、Mn+およびnは、それぞれ上記で定義した通り。)
で示される無機塩が5重量%以下である〔5〕または〔6〕に記載される製造方法。
〔8〕式(1)で示されるクロロ化合物またはその塩が、式(3)
本発明によれば、炭素数2〜5のS−(アミノアルキル)チオ硫酸塩を製造することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
式(1)で示されるクロロ化合物(以下、化合物(1)と略記する。)としては、2−クロロエチルアミン、3−クロロプロピルアミン、4−クロロブチルアミン、5−クロロペンチルアミンが挙げられる。化合物(1)は塩を形成していてもよい。化合物(1)と塩を形成する酸は、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸等の無機酸、酢酸、プロパン酸、ブタン酸等の脂肪族カルボン酸、安息香酸等の芳香族カルボン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸が挙げられる。酸は好ましくは無機酸であり、より好ましくは塩酸である。
化合物(1)またはその塩は、市販のものを用いることもできるし、例えば、式(3)で示されるアルコール化合物(以下、化合物(3)と略記する。)と塩化チオニル(SOCl2)とを接触させる方法、ジクロロアルカンとフタルイミドカリウム塩とを反応させ、次いで得られた化合物をヒドラジンまたは1級アミンと接触させる方法等の方法により製造して用いることもできる。化合物(3)と塩化チオニルとを接触させる方法が、簡便な操作で高い純度の化合物(1)が得られる点で好ましい。かかる方法において、塩化チオニルの替わりに、オキシ塩化リン(POCl3)、三塩化リン(PCl3)、五塩化リン(PCl5)、ホスゲン(COCl2)、二塩化オキサリル(ClCOCOCl)、塩化スルフリル(SO2Cl2)等の公知のクロル化剤を用いることもできる。
化合物(3)と塩化チオニルとを接触させる方法において、化合物(3)と塩化チオニルとを接触させることにより、化合物(3)と塩化チオニルとが反応し、化合物(3)が化合物(1)またはその塩に導かれる。塩化チオニルの使用量は、化合物(3)に対して、好ましくは0.8モル倍〜5モル倍の範囲内であり、より好ましくは0.9モル倍〜2モル倍の範囲内であり、さらに好ましくは0.95モル倍〜1.3モル倍の範囲内である。
化合物(3)と塩化チオニルとの反応は、溶媒の非存在下で行うこともできるし、塩化チオニルに対して不活性な溶媒の存在下で行うこともできる。塩化チオニルに対して不活性な溶媒としては、例えばトルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,4−ジオキサン等のエーテル溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素溶媒、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶媒、酢酸エチル、酢酸イソプロピル等のエステル溶媒が挙げられ、好ましくは芳香族炭化水素溶媒またはエーテル溶媒であり、より好ましくはエーテル溶媒である。溶媒は単独であってもよいし、混合物であってもよい。溶媒の使用量は、化合物(3)1gに対して、好ましくは1mL〜120mLの範囲内であり、より好ましくは2mL〜100mLの範囲内である。かかる反応を、N,N−ジメチルホルムアミドの存在下で行うことにより反応を促進させることもできる。N,N−ジメチルホルムアミドの使用量は、化合物(3)に対して、例えば0.0001モル倍〜0.5モル倍の範囲内である。
化合物(3)と塩化チオニルとの混合順序は限定されず、例えば塩化チオニルに対して不活性な溶媒と塩化チオニルとを混合し、そこへ化合物(3)を添加することにより行うことができる。添加温度は、好ましくは0℃〜100℃の範囲内であり、より好ましくは10℃〜60℃の範囲内である。化合物(3)と塩化チオニルとの反応温度は、好ましくは0℃〜100℃の範囲内であり、より好ましくは10℃〜60℃の範囲内である。反応の進行度合いは、薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー等の分析手段により確認することができる。反応終了後の混合物には、化合物(1)の塩酸塩が含まれている。かかる混合物を、常圧下または減圧下で濃縮処理に付し、必要に応じて冷却処理に付すことで化合物(1)の塩酸塩を析出させることができる。濃縮処理は、室温から塩化チオニルの沸点までの範囲内で行うことが好ましく、冷却処理は、0℃〜40℃の範囲内まで冷却することが好ましい。
析出した化合物(1)の塩酸塩を濾過処理に付し、必要に応じて洗浄処理に付した後、乾燥処理を行うことにより化合物(1)の塩酸塩を取り出すことができる。洗浄処理には、例えば上述した塩化チオニルに対して不活性な溶媒を用いることができる。乾燥温度は、例えば室温〜100℃の範囲内である。取り出した化合物(1)の塩酸塩に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩等により中和処理を施すことにより、塩酸を有さない遊離の化合物(1)とすることもできる。取り出した化合物(1)またはその塩に精製処理を施してもよい。
化合物(1)またはその塩とチオ硫酸の金属塩とを接触させることにより、化合物(1)またはその塩とチオ硫酸の金属塩とが反応し、化合物(1)またはその塩が式(2)で示されるS−(アミノアルキル)チオ硫酸塩(以下、化合物(2)と略記する。)に導かれる。チオ硫酸の金属塩としては、例えばチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸カルシウムが挙げられ、好ましくはチオ硫酸ナトリウムである。かかるチオ硫酸の金属塩は、水和物であってもよい。チオ硫酸の金属塩の使用量は、化合物(1)に対して、好ましくは0.5モル倍〜5モル倍の範囲内であり、より好ましくは0.8モル倍〜2モル倍の範囲内である。
化合物(1)またはその塩とチオ硫酸の金属塩との反応は、溶媒の存在下で行われることが好ましい。溶媒は、チオ硫酸の金属塩を溶解し得る溶媒が好ましく、かかる溶媒として、炭素数1から4のアルコールおよび水からなる群から選ばれる少なくとも1種の溶媒が挙げられる。より好ましくは、炭素数1〜4のアルコールと水との混合溶媒であり、さらに好ましくはメタノールと水との混合溶媒である。溶媒の使用量は、化合物(1)またはその塩1gに対して、好ましくは1mL〜40mLの範囲内であり、より好ましくは2mL〜20mLの範囲内であり、さらに好ましくは3mL〜10mLの範囲内である。
反応は、例えば溶媒の存在下または非存在下、化合物(1)またはその塩にチオ硫酸の金属塩を添加し、混合する方法、溶媒の存在下または非存在下、チオ硫酸の金属塩に化合物(1)またはその塩を添加し、混合する方法により行うことができる。溶媒の存在下、化合物(1)またはその塩にチオ硫酸の金属塩を添加し、混合する方法が好ましい。反応温度は、好ましくは20℃〜100℃の範囲内であり、より好ましくは40℃〜80℃の範囲内である。化合物(1)の塩を用いた場合には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩等を添加することが好ましい。かかる添加は、反応前から化合物(2)を取り出すまでの間に行うことができる。添加量は、化合物(1)に対して、好ましくは0.8モル倍〜5モル倍の範囲内であり、より好ましくは0.9モル倍〜2モル倍の範囲内である。反応の進行度合いは、薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフイー等の分析手段により確認することができる。
反応終了後の混合物には、化合物(2)が生成物として含まれており、また式(4)
Mn+(Cl−)n (4)
(式中、Mn+およびnは、それぞれ上記で定義した通り。)
で示される無機塩(以下、塩(4)と略記する。)が副生物として含まれている。反応に溶媒を用いた場合には、得られた反応混合物を該反応混合物から溶媒を留去させる濃縮工程に付すことが、後述する精製工程において取り出される化合物(2)中の塩(4)の含量を低減させる点で好ましい。濃縮工程で得られた濃縮混合物を精製工程に付すことで、化合物(2)を取り出すことができる。溶媒を留去させる温度は、常圧下または減圧下、このましくは室温から溶媒の沸点までの範囲内である。
Mn+(Cl−)n (4)
(式中、Mn+およびnは、それぞれ上記で定義した通り。)
で示される無機塩(以下、塩(4)と略記する。)が副生物として含まれている。反応に溶媒を用いた場合には、得られた反応混合物を該反応混合物から溶媒を留去させる濃縮工程に付すことが、後述する精製工程において取り出される化合物(2)中の塩(4)の含量を低減させる点で好ましい。濃縮工程で得られた濃縮混合物を精製工程に付すことで、化合物(2)を取り出すことができる。溶媒を留去させる温度は、常圧下または減圧下、このましくは室温から溶媒の沸点までの範囲内である。
精製工程において、濃縮工程で得られた濃縮混合物とメタノールまたはエタノールとを混合し、濃縮混合物に含まれる化合物(2)を溶解させる工程と、メタノールまたはエタノールに溶解した化合物(2)を、メタノールまたはエタノールに不溶であった不溶物から分離する工程とを行うことが、取り出される化合物(2)中の塩(4)の含量を低減させる点で好ましく、下記の工程(a)〜(f)を行うことが特に好ましい。
(a)濃縮工程で得られた濃縮混合物とメタノールとを混合し、濃縮混合物に含まれる化合物(2)をメタノールに溶解させる工程。
(b)工程(a)においてメタノールに溶解した化合物(2)を、メタノールに不溶であったメタノール不溶物から分離する工程。
(c)工程(b)においてメタノール不溶物から分離した溶液からメタノールを留去させる工程。
(d)工程(c)においてメタノールを留去させて得た残留物とエタノールとを混合し、当該残留物に含まれる化合物(2)をエタノールに溶解させる工程。
(e)工程(d)においてエタノールに溶解した化合物(2)を、エタノールに不溶であったエタノール不溶物から分離する工程。
(f)工程(e)においてエタノール不溶物から分離した溶液から化合物(2)を析出させ、析出した化合物(2)を取り出す工程。
(b)工程(a)においてメタノールに溶解した化合物(2)を、メタノールに不溶であったメタノール不溶物から分離する工程。
(c)工程(b)においてメタノール不溶物から分離した溶液からメタノールを留去させる工程。
(d)工程(c)においてメタノールを留去させて得た残留物とエタノールとを混合し、当該残留物に含まれる化合物(2)をエタノールに溶解させる工程。
(e)工程(d)においてエタノールに溶解した化合物(2)を、エタノールに不溶であったエタノール不溶物から分離する工程。
(f)工程(e)においてエタノール不溶物から分離した溶液から化合物(2)を析出させ、析出した化合物(2)を取り出す工程。
精製工程におけるメタノールまたはエタノールの使用量は、化合物(1)またはその塩1gに対して、好ましくは2mL〜40mLでの範囲内であり、より好ましくは3mL〜30mLの範囲内である。メタノールまたはエタノールとの混合温度は、好ましくは室温からメタノールまたはエタノールの沸点までの範囲内である。混合時間は制限されず、例えば1分〜24時間の範囲内である。なお、精製工程に用いられるエタノールは、含水エタノールであってもよいし、変性エタノールであってもよい。含水エタノールとしては、例えば含水エタノール100mL当たり20mL以下の水を含むエタノールが挙げられ、変性エタノールとしては、例えばエタノール含量70%以上のエタノールが挙げられ、好ましくは水、メタノール、イソプロピルアルコールおよびn−プロピルアルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種を、変性エタノール100mL当たり20mL以下含むエタノールが挙げられる。
化合物(2)をメタノールまたはエタノールに溶解させる際、塩(4)はメタノール又はエタノールへの溶解度が低いために、不溶物が生じる。メタノールまたはエタノールに溶解した化合物(2)を、メタノールまたはエタノールに不溶であった不溶物から分離する工程は、デカンテーションや濾過等の固液分離処理により行うことができ、好ましくは濾過が挙げられる。固液分離処理の温度は、室温からメタノールまたはエタノールの沸点までの範囲内が好ましく、取り出される化合物(2)の収率を向上させる点で、40℃からメタノールまたはエタノールの沸点までの範囲内がより好ましい。固液分離処理により分離された固形物に化合物(2)が含まれている場合には、当該固形物とメタノールまたはエタノールとを混合して化合物(2)をメタノールまたはエタノールに溶解させた後、再度固液分離処理を施すことで、固形物から化合物(2)を回収することもできる。
不溶物から分離した溶液からメタノールまたはエタノールを留去させることもできる。留去させることにより、化合物(2)を溶解させる工程と、メタノールまたはエタノールに溶解した化合物(2)を、メタノールまたはエタノールに不溶であった不溶物から分離する工程とを複数回行うことができる。メタノールまたはエタノールを留去させる場合、その温度は室温からメタノールまたはエタノールの沸点までの範囲内である。
不溶物から分離した溶液から、化合物(2)を析出させることにより、化合物(2)を取り出すことができる。析出は、例えば溶液を冷却する方法、溶液からメタノールまたはエタノールを留去させる方法により行うことができる。化合物(2)の取り出しは、デカンテーションや濾過等の固液分離処理により行うことができ、濾過により行うことが好ましい。分離した液相部に化合物(2)が含まれる場合には、該液相を濃縮することにより化合物(2)を析出させ、析出した化合物(2)を回収することもできる。
取り出した化合物(2)を、必要に応じて洗浄処理に付した後、乾燥処理を行うこともできる。洗浄処理には、例えばメタノールまたはエタノールを用いることができる。乾燥温度は、例えば室温〜100℃の範囲内である。取り出した化合物(2)を、再結晶等の精製手段により精製することもできる。再結晶に用いられる溶媒は、好ましくは水、メタノール、エタノールであり、より好ましくは水である。また、取り出した化合物(2)を、必要に応じてメタノールまたはエタノールを用いて洗浄処理に付した後、水に溶解し、得られた溶液を濃縮、乾燥することもできる。取り出した化合物(2)を水に溶解し、得られた溶液を濃縮、乾燥することが、化合物(2)中に含まれるメタノールまたはエタノールの量を低減させることができる点で好ましい。
かくして得られる化合物(2)は、化合物(2)中の塩(4)の含量が例えば5重量%以下、または1重量%以下であり、例えばゴムの接着促進剤として好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
<3−クロロプロピルアミン塩酸塩の製造>
4つ口フラスコ内を窒素置換し、そこに塩化チオニル10.5g(0.088mol)と1,2−ジメトキシエタン70mLとを仕込み、得られた混合物を水浴で冷却した。そこへ、3−アミノ−1−プロパノール5.0g(0.067mol)を1,2−ジメトキシエタン330mLに溶解した溶液(濃度0.2M)を1.5時間かけて滴下した後、室温で7時間攪拌した。得られた反応混合物を一晩静置した後、約90gになるまで濃縮し、混合物を濾過して結晶を得た。得られた結晶を乾燥し、3−クロロプロピルアミン塩酸塩7.04gをほぼ無色の結晶として得た(収率は81.3%)。さらに、濾過により得られた濾液を濃縮乾固し、3−クロロプロピルアミン塩酸塩1.38gをやや褐色を帯びた固体として得た(収率15.9%)。
4つ口フラスコ内を窒素置換し、そこに塩化チオニル10.5g(0.088mol)と1,2−ジメトキシエタン70mLとを仕込み、得られた混合物を水浴で冷却した。そこへ、3−アミノ−1−プロパノール5.0g(0.067mol)を1,2−ジメトキシエタン330mLに溶解した溶液(濃度0.2M)を1.5時間かけて滴下した後、室温で7時間攪拌した。得られた反応混合物を一晩静置した後、約90gになるまで濃縮し、混合物を濾過して結晶を得た。得られた結晶を乾燥し、3−クロロプロピルアミン塩酸塩7.04gをほぼ無色の結晶として得た(収率は81.3%)。さらに、濾過により得られた濾液を濃縮乾固し、3−クロロプロピルアミン塩酸塩1.38gをやや褐色を帯びた固体として得た(収率15.9%)。
1H−NMR(D2O)δ ppm:3.61(2H,t,J=6.15Hz),3.08(2H,t,J=7.5Hz),2.02−2.11(2H,m)
<3−アミノプロピルチオ硫酸ナトリウム塩の製造>
3000mL容量の4つ口フラスコ内を窒素置換し、そこへ3−クロロプロピルアミン塩酸塩300g(2.31mol)、メタノール900mLおよびイオン交換水900mLを仕込み、得られた混合物を65℃付近まで加熱した。そこへ、チオ硫酸ナトリウム・五水和物572.6g(2.31mol)を添加し、還流温度下で8時間攪拌し、反応させた。得られた反応混合物を放冷し、室温まで冷却された混合物に水酸化ナトリウム92.2g(2.31mol)を添加し、室温で30分間攪拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮し、淡黄色の濃縮残留物を得た。上記と同様の操作を合計6バッチ行い、濃縮混合物4310.3gを得た。濃縮混合物に含まれる塩化物イオンをイオンクロマトグラフ法で定量した結果、濃縮残留物には8重量%の塩化ナトリウムが含まれていると推定された。
3000mL容量の4つ口フラスコ内を窒素置換し、そこへ3−クロロプロピルアミン塩酸塩300g(2.31mol)、メタノール900mLおよびイオン交換水900mLを仕込み、得られた混合物を65℃付近まで加熱した。そこへ、チオ硫酸ナトリウム・五水和物572.6g(2.31mol)を添加し、還流温度下で8時間攪拌し、反応させた。得られた反応混合物を放冷し、室温まで冷却された混合物に水酸化ナトリウム92.2g(2.31mol)を添加し、室温で30分間攪拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮し、淡黄色の濃縮残留物を得た。上記と同様の操作を合計6バッチ行い、濃縮混合物4310.3gを得た。濃縮混合物に含まれる塩化物イオンをイオンクロマトグラフ法で定量した結果、濃縮残留物には8重量%の塩化ナトリウムが含まれていると推定された。
<3−アミノプロピルチオ硫酸ナトリウム塩の精製>
濃縮混合物320gを分取し、そこへメタノール3000mLを添加して、還流温度下で1時間攪拌し、得られた混合物を濾過した。得られた濾液を減圧下で濃縮し、淡黄色固形物を得た。上記と同様の操作を繰り返し行い、4310.3gの濃縮残留物の全量を処理し、淡黄色固形物2880.7gを得た。
この淡黄色固形物160gを分取し、そこへエタノール3000mLを添加して、還流温度下で1時間攪拌した。得られた混合物を熱時濾過し、濾液を減圧下で濃縮してスラリーを得た。得られたスラリーを濾過し、淡黄色固形物を得た。上記と同様の操作を繰り返し行い、2880.7gの淡黄色固形物の全量を処理し、淡黄色固形物2047.5gを得た。
濃縮混合物320gを分取し、そこへメタノール3000mLを添加して、還流温度下で1時間攪拌し、得られた混合物を濾過した。得られた濾液を減圧下で濃縮し、淡黄色固形物を得た。上記と同様の操作を繰り返し行い、4310.3gの濃縮残留物の全量を処理し、淡黄色固形物2880.7gを得た。
この淡黄色固形物160gを分取し、そこへエタノール3000mLを添加して、還流温度下で1時間攪拌した。得られた混合物を熱時濾過し、濾液を減圧下で濃縮してスラリーを得た。得られたスラリーを濾過し、淡黄色固形物を得た。上記と同様の操作を繰り返し行い、2880.7gの淡黄色固形物の全量を処理し、淡黄色固形物2047.5gを得た。
<濾液からの3−アミノプロピルチオ硫酸ナトリウム塩の回収>
スラリーの濾過の際に得られた濾液を減圧下で濃縮してさらにスラリーを得、得られたスラリーを濾過し、淡黄色固形物194.5gを得た。
スラリーの濾過の際に得られた濾液を減圧下で濃縮してさらにスラリーを得、得られたスラリーを濾過し、淡黄色固形物194.5gを得た。
<固形物からの3−アミノプロピルチオ硫酸ナトリウム塩の回収>
濃縮混合物を精製する際に得た固形物をエタノール3000mLと混合し、還流温度下で1時間攪拌した後に熱時濾過し、得られた濾液を減圧下で濃縮してスラリーを得、得られたスラリーを濾過することで淡黄色固形物174.1gを得た。
濃縮混合物を精製する際に得た固形物をエタノール3000mLと混合し、還流温度下で1時間攪拌した後に熱時濾過し、得られた濾液を減圧下で濃縮してスラリーを得、得られたスラリーを濾過することで淡黄色固形物174.1gを得た。
<3−アミノプロピルチオ硫酸ナトリウム塩の得量>
精製、濾液からの回収および固形物からの回収により得られたエタノール処理済の淡黄色固形物は、合計2416.1gであった。
精製、濾液からの回収および固形物からの回収により得られたエタノール処理済の淡黄色固形物は、合計2416.1gであった。
<3−アミノプロピルチオ硫酸ナトリウム塩からのエタノールの除去>
得られた淡黄色固形物2416.1gに、イオン交換水を添加して溶解させ、得られた水溶液を減圧下で濃縮、乾燥し、得られた固形物を、内部を窒素置換したグローブボックス内で乳鉢にて粉砕し、3−アミノプロピルチオ硫酸のナトリウム塩2004.9gを得た。収率は、3−クロロプロピルアミン塩酸塩基準で75%であった。
得られた淡黄色固形物2416.1gに、イオン交換水を添加して溶解させ、得られた水溶液を減圧下で濃縮、乾燥し、得られた固形物を、内部を窒素置換したグローブボックス内で乳鉢にて粉砕し、3−アミノプロピルチオ硫酸のナトリウム塩2004.9gを得た。収率は、3−クロロプロピルアミン塩酸塩基準で75%であった。
<3−アミノプロピルチオ硫酸ナトリウム塩の分析>
エタノール含量:得られた3−アミノプロピルチオ硫酸のナトリウム塩の1H−NMRスペクトルを測定した結果、エタノールのシグナルは検出されなかった。
エタノール含量:得られた3−アミノプロピルチオ硫酸のナトリウム塩の1H−NMRスペクトルを測定した結果、エタノールのシグナルは検出されなかった。
1H−NMR(CDCl3)δ ppm:3.1(2H,t,J=6.3Hz),2.8(2H,t,J=6.2Hz),1.9−2.0(2H,m)
塩化物イオン含量:得られた3−アミノプロピルチオ硫酸のナトリウム塩を水に溶解し、イオンクロマトグラフ法で定量した結果、3−アミノプロピルチオ硫酸のナトリウム塩中の塩化物イオン含量は0.22%であった。この結果から、塩化ナトリウム含量を推算すると0.36重量%であった。
水分量:3−アミノプロピルチオ硫酸のナトリウム塩を水分試験法(カールフィッシャー法、電量法)で測定した結果、0.29重量%であった。
上記の分析結果から、3−アミノプロピルチオ硫酸のナトリウム塩の純度を算出したところ、純度(重量%)=100(重量%)−塩化ナトリウム含量(重量%)−水分量(重量%)−エタノール含量(重量%)は99.3重量%であった。
<参考例1>
4つ口フラスコ内を窒素置換し、そこに3−ブロモプロピルアミン臭素酸塩150.0g(0.685mol)、メタノール750mLおよびイオン交換水750mLを仕込み、得られた混合物を65℃付近まで加熱した。そこへ、チオ硫酸ナトリウム・五水和物572.6g(2.31mol)を添加し、同温度で4.5時間攪拌し、反応させた。得られた反応混合物を放冷し、室温まで冷却された混合物に水酸化ナトリウム27.4g(0.685mol)を添加し、室温で30分間攪拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮した。
4つ口フラスコ内を窒素置換し、そこに3−ブロモプロピルアミン臭素酸塩150.0g(0.685mol)、メタノール750mLおよびイオン交換水750mLを仕込み、得られた混合物を65℃付近まで加熱した。そこへ、チオ硫酸ナトリウム・五水和物572.6g(2.31mol)を添加し、同温度で4.5時間攪拌し、反応させた。得られた反応混合物を放冷し、室温まで冷却された混合物に水酸化ナトリウム27.4g(0.685mol)を添加し、室温で30分間攪拌した。得られた混合物を減圧下で濃縮した。
濃縮混合物にエタノール1500mLを添加して、還流温度下で1時間攪拌し、得られた混合物を熱時濾過した。得られた固形物に対してエタノール1200mLによる抽出操作を再度実施し、熱時濾過を行った。得られた濾液を減圧下で濃縮してスラリーを得た。得られたスラリーを静置した後、そこへエタノール1500mLを添加し、還流温度下で1時間攪拌した後に熱時濾過した。
上記で3回行った熱時濾過により得た濾液を減圧下で濃縮してスラリーを得、その後静置した。混合物を濾過し、得られた固体をエタノール、ヘキサンで洗浄した。減圧下で乾燥した結果、3−アミノプロピルチオ硫酸のナトリウム塩114.71gを得た。収率は、3−ブロモプロピルアミン臭素酸塩基準で87%であった。
上記で3回行った熱時濾過により得た濾液を減圧下で濃縮してスラリーを得、その後静置した。混合物を濾過し、得られた固体をエタノール、ヘキサンで洗浄した。減圧下で乾燥した結果、3−アミノプロピルチオ硫酸のナトリウム塩114.71gを得た。収率は、3−ブロモプロピルアミン臭素酸塩基準で87%であった。
得られた3−アミノプロピルチオ硫酸ナトリウム塩中に含まれるナトリウムイオンと臭化物イオンとを下記の測定法により測定した結果、臭化ナトリウム27.5重量%が含まれていることが確認された。
ナトリウムイオンの測定法:マイクロウェーブ分解−フレーム原子吸光法
臭化物イオンの測定法:3−アミノプロピルチオ硫酸のナトリウム塩を水に溶解して、イオンクロマトグラフ法で測定した。
ナトリウムイオンの測定法:マイクロウェーブ分解−フレーム原子吸光法
臭化物イオンの測定法:3−アミノプロピルチオ硫酸のナトリウム塩を水に溶解して、イオンクロマトグラフ法で測定した。
S−(アミノアルキル)チオ硫酸塩は、ゴムの接着促進剤として有用である(例えば特許文献1参照。)。本発明は、かかる化合物を製造する方法として利用することができる。
Claims (10)
- 溶媒の存在下で接触させる請求項1に記載される製造方法。
- 溶媒が炭素数1〜4のアルコールおよび水からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載される製造方法。
- 反応工程で得られた反応混合物から溶媒を留去させる濃縮工程と、
濃縮工程で得られた濃縮混合物から式(2)で示されるS−(アミノアルキル)チオ硫酸塩を取り出す精製工程と
を含む請求項2または3に記載される製造方法。 - 精製工程が、濃縮混合物とメタノールまたはエタノールとを混合し、濃縮混合物に含まれる式(2)で示されるS−(アミノアルキル)チオ硫酸塩を溶解させる工程と、
メタノールまたはエタノールに溶解した式(2)で示されるS−(アミノアルキル)チオ硫酸塩を、メタノールまたはエタノールに不溶であった不溶物から分離する工程と
を含む請求項4に記載される製造方法。 - 精製工程が、下記の工程(a)〜(f)を含む請求項4に記載される製造方法。
(a)濃縮工程で得られた濃縮混合物とメタノールとを混合し、濃縮混合物に含まれる式(2)で示されるS−(アミノアルキル)チオ硫酸塩をメタノールに溶解させる工程。
(b)工程(a)においてメタノールに溶解した式(2)で示されるS−(アミノアルキル)チオ硫酸塩を、メタノールに不溶であったメタノール不溶物から分離する工程。
(c)工程(b)においてメタノール不溶物から分離した溶液からメタノールを留去させる工程。
(d)工程(c)においてメタノールを留去させて得た残留物とエタノールとを混合し、当該残留物に含まれる式(2)で示されるS−(アミノアルキル)チオ硫酸塩をエタノールに溶解させる工程。
(e)工程(d)においてエタノールに溶解した式(2)で示されるS−(アミノアルキル)チオ硫酸塩を、エタノールに不溶であったエタノール不溶物から分離する工程。
(f)工程(e)においてエタノール不溶物から分離した溶液から式(2)で示されるS−(アミノアルキル)チオ硫酸塩を析出させ、析出物を取り出す工程。 - 取り出したS−(アミノアルキル)チオ硫酸塩中に含まれる式(4)
Mn+(Cl−)n (4)
(式中、Mn+およびnは、それぞれ上記で定義した通り。)
で示される無機塩が5重量%以下である請求項5または6に記載される製造方法。 - Mn+がナトリウムイオンである請求項1〜8のいずれかに記載される製造方法。
- mが3である請求項1〜9のいずれかに記載される製造方法。
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-
2009
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