JP2011074951A - 流体動圧軸受装置 - Google Patents

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栗村  哲弥
Hiromichi Kunigome
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Abstract

【課題】軸固定タイプの流体動圧軸受装置のハウジングに固定される回転体の振れ精度を簡易且つ低コストに高める。
【解決手段】ハウジング7の外周面7b(固定面7b1)を、軸受スリーブ8の内周面8aを基準とした切削加工面とした。これにより、軸受スリーブ8及びハウジング7の寸法誤差(偏肉)、及び軸受スリーブ8とハウジング7との組付誤差を、ハウジング7の切削加工で相殺することができる。従って、軸受スリーブ8及びハウジング7の加工精度や両者の固定精度を必要以上に高めることなく、軸受スリーブ8の内周面8aに対するハウジング7の外周面7bの振れ精度を高めることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、軸部材の外周面と軸受スリーブの内周面との間のラジアル軸受隙間に生じる流体膜の動圧作用で、回転側の部材をラジアル方向に支持する流体動圧軸受装置に関し、特に、軸部材を固定側とし、軸受スリーブ及びハウジングを回転側とした軸固定タイプの流体動圧軸受装置に関する。
流体動圧軸受装置は、その高回転精度および静粛性から、情報機器(例えばHDD)の磁気ディスク駆動装置、CD・DVD・ブルーレイディスク等の光ディスク駆動装置、あるいはMD・MO等の光磁気ディスク駆動装置等のスピンドルモータ用として好適に使用されている。
例えばHDDのディスク駆動装置は、HDDの大容量化に伴って搭載されるディスクの枚数が増加する傾向にある。ディスクの搭載枚数が増えると重量が増大するため、ディスクが搭載されるディスクハブの振れが大きくなり、ディスクの回転精度、ひいてはディスクの読み取り精度が低下する恐れがある。かかる事情から、ディスクの搭載枚数の増加により重量が増大した場合であっても安定して支持することができる流体動圧軸受装置が求められている。
図10に、軸部材102を回転側とした軸回転タイプの流体動圧軸受装置100(例えば特許文献1参照)を、HDD用ディスク駆動装置のスピンドルモータに適用した場合を示す。この流体動圧軸受装置100は、軸部材102と、内周に軸部材102が挿入された軸受スリーブ108と、内周面に軸受スリーブ108が固定されたハウジング107とを備える。軸部材102が回転すると、軸部材102と軸受スリーブ108との間のラジアル軸受隙間の流体膜に動圧作用が生じ、これにより軸部材102を回転自在に支持するラジアル軸受部Rが構成される。ハウジング107は固定側となるベース106に固定され、軸部材102の上端部にはディスクハブ103が固定される。このような軸回転タイプの流体動圧軸受装置100では、軸部材102のうち、ディスクハブ103との固定部(上端部)よりも下方領域をラジアル軸受部Rで支持するため、ラジアル軸受部Rで軸部材102を片持ち支持するような状態となる。このため、ラジアル軸受部Rによる軸部材2の支持が不安定となり、ディスクの搭載枚数が増えて重量が増大すると、ディスクハブ103の振れが大きくなる恐れがある。
これに対し、図1に、軸部材2を固定側とした軸固定タイプの流体動圧軸受装置1(例えば特許文献2参照)を、HDD用ディスク駆動装置のスピンドルモータに適用した場合を示す。この流体動圧軸受装置1は、軸部材2と、内周に軸部材2が挿入された軸受スリーブ8と、内周面に軸受スリーブ8が固定されたハウジング7とを備える。軸受スリーブ8及びハウジング7が回転すると、軸部材2と軸受スリーブ8との間のラジアル軸受隙間の流体膜に動圧作用が生じ、これにより軸受スリーブ8及びハウジング7を回転自在に支持するラジアル軸受部Rが構成される。軸部材2の両端部は固定側となるベース6a及びカバー6bに固定され、ハウジング7の外周面にディスクハブ3が固定される。このように、軸固定タイプの流体動圧軸受装置1では、ハウジング7とディスクハブ3との固定部がラジアル軸受部Rの外周に配されるため、当該固定部をラジアル軸受部Rの軸方向領域内に配する設計が可能となる。このため、ディスクの搭載枚数が増えた場合でも、ラジアル軸受部Rによる軸受スリーブ8及びハウジング7の支持を安定させ、ディスクハブ3の振れを抑えることができる。
特開2006−112614号公報 特開2006−220307号公報
また、回転体の振れ精度を高める(振れを小さくする)ためには、流体動圧軸受装置のうち、回転体の取り付け面の振れ精度を高めることが重要となる。
例えば図10に示すような軸回転タイプの流体動圧軸受装置100の場合、ディスクハブ103は軸部材102の外周面に取り付けられ、この軸部材102の軸心が回転中心となる。このため、軸部材102を高精度に加工することで、ディスクハブ103の取り付け面(軸部材102の外周面)の振れ精度を高めることができる。
これに対し、図1に示すような軸固定タイプの流体動圧軸受装置1の場合、ハウジング7の外周面にディスクハブ3の取り付け面が設けられ、軸受スリーブ8の内周面の軸心が回転中心となる。このため、ディスクハブ3の取り付け面(ハウジング7の外周面)の振れ精度は、ハウジング7の寸法精度、ハウジング7と軸受スリーブ8との固定精度、及び、軸受スリーブ8の寸法精度の影響を受ける。このように、軸固定タイプの流体動圧軸受装置では、軸回転タイプと比べて、回転体の取り付け面の振れ精度を高めるために加工精度や固定精度を高める必要のある箇所が多く、コストアップや生産性の低下を招く。
本発明が解決しようとする課題は、軸固定タイプの流体動圧軸受装置において、ハウジングの外周面の振れ精度を簡易且つ低コストに高めることにある。
前記課題を解決するために、本発明は、軸部材と、内周に軸部材が挿入された軸受スリーブと、内周面に軸受スリーブが固定された筒状のハウジングと、軸部材の外周面と軸受スリーブの内周面との間のラジアル軸受隙間に生じる流体膜の動圧作用により、固定側となる軸部材に対して軸受スリーブ及びハウジングを回転自在に支持するラジアル軸受部とを備えた軸固定タイプの流体動圧軸受装置において、ハウジングの外周面が、その内周面に固定された軸受スリーブの内周面を基準として切削加工された面であることを特徴とする。
このように、軸受スリーブの内周面を基準としてハウジングの外周面を切削加工することにより、軸受スリーブ及びハウジングの寸法誤差や両者の組付誤差を、ハウジングの切削加工で相殺することができる。これにより、軸受スリーブ及びハウジングの加工精度や両者の固定精度を必要以上に高めることなく、軸受スリーブの内周面に対するハウジングの外周面(回転体の取り付け面)の振れ精度を高めることができる。
特に、各種ディスク駆動装置のスピンドルモータ用として使用される流体動圧軸受装置では、ディスクの回転精度の向上に対する要求が益々高まっており、軸受スリーブの内周面に対するハウジングの外周面の振れ精度は、例えば5μm以下に抑えることが要求される。本発明によれば、軸受スリーブの内周面を基準としてハウジングの外周面を切削加工することにより、簡易且つ低コストに上記要求を満たすことができる。
本発明の流体動圧軸受装置では、軸受スリーブ及びハウジングの寸法誤差及び軸受スリーブとハウジングとの組付誤差をハウジングの切削加工により相殺するため、切削加工後のハウジング単体の寸法公差は大きくなる場合がある。このようなハウジング単体の寸法公差が大きくなると、回転側の部材の重量バランスが崩れて回転精度が低下する恐れがある。従って、ハウジングの寸法公差、特に径方向の肉厚の寸法公差はなるべく小さい方が好ましく、具体的には40μm以下に抑えることが好ましい。
ハウジングの外周面は回転体の取り付け面となるため、その表面粗さをなるべく小さくすることが好ましく、具体的には表面粗さをRa0.8μm以下とすることが好ましい。
ハウジングの内周面と軸受スリーブの外周面とを、両者を隙間嵌めした状態でその隙間に接着剤を介在させる、いわゆる隙間接着により行う場合、両者の固定精度を高めることは難しく、組付誤差が生じやすいため、本発明が特に好適に適用される。
ハウジングの外周面に取付けられた回転体の抜去力は1500N以上確保することが望ましい。また、回転体とハウジングとの固定は、例えば圧入により行うことができる。
上記の流体動圧軸受装置では、ハウジングの外周面に、回転体の内周面に圧入される固定面と、ラジアル軸受部の軸方向領域に設けられ、固定面よりも小径な逃げ面とを形成することができる。これにより、ラジアル軸受部の軸方向領域ではハウジングと回転体とが圧入されない(あるいは圧入力が小さくなる)ため、この領域においてハウジング及び軸受スリーブの変形、特にラジアル軸受面(ラジアル軸受部で支持される面、以下同様)の変形が抑えられ、ラジアル方向の支持力の低下を防止することができる。
以上のように、本発明によれば、軸固定タイプの流体動圧軸受装置において、ハウジングの外周面の振れ精度を簡易且つ低コストに高めることができる。
軸固定タイプの流体動圧軸受装置を組み込んだスピンドルモータの断面図である。 軸固定タイプの流体動圧軸受装置の軸方向断面図である。 軸受スリーブの軸方向断面図である。 軸受スリーブの上面図である。 軸受スリーブの下面図である。 ハウジング及び軸受スリーブの径方向断面図である。 (a)〜(c)は、ハウジングの外周面を切削加工する機械を示す断面図である。 軸受スリーブの内周面に対するハウジングの外周面の振れ精度を測定するための装置であり、(a)は(b)図のY−Y断面図、(b)は(a)図をX方向から見た側面図である。 軸固定タイプの流体動圧軸受装置の他の例を示す軸方向断面図である。 軸回転タイプの流体動圧軸受装置を組み込んだスピンドルモータの断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る流体動圧軸受装置1を組み込んだ情報機器用スピンドルモータの断面図を示す。このスピンドルモータは、例えばHDD等のディスク駆動装置に用いられるもので、固定側(ベース6a)に設けられたステータコイル4と、回転側(ディスクハブ3)に設けられたロータマグネット5とを備える。流体動圧軸受装置1は、軸部材2を固定側とし、ハウジング7及び軸受スリーブ8を回転側とした、いわゆる軸固定タイプである。本実施形態では、軸部材2の下端部がベース6aに、上端部がカバー6bにそれぞれ固定され、ハウジング7の外周面には回転体としてのディスクハブ3が固定される。ディスクハブ3には所定枚数(図1では2枚)のディスクDが保持される。このように構成されたスピンドルモータにおいて、ステータコイル4に通電するとロータマグネット5が回転し、これに伴ってディスクハブ3、ディスクD、ハウジング7、及び軸受スリーブ8が一体に回転する。
流体動圧軸受装置1は、図2に示すように、軸部材2と、内周に軸部材2を挿入した軸受スリーブ8と、内周面7aに軸受スリーブ8を固定した筒状のハウジング7と、軸部材2に固定され、潤滑油の外部への漏れ出しを防止するシール部材10とを備える。本実施形態では、ハウジング7が軸方向両端を開口した円筒状に形成され、ハウジング7の両端開口部にそれぞれシール部材10が1個ずつ設けられる。尚、以下では、説明の便宜上、軸方向において、ハウジング7から軸部材2が大きく突出している側を下側、その反対側を上側とする。
軸部材2は、例えばステンレス鋼で略円柱状に形成される。軸部材2の外周面2aには、軸受スリーブ8の内周面8aのラジアル軸受面(図2に点線で示す)と径方向に対向した円筒面状の支持面2a1と、軸部材2の軸方向略中央部に形成され、支持面2a1よりも若干小径に形成された逃げ部2a2とが形成される。本実施形態のようにHDDのディスク駆動装置のスピンドルモータに適用される場合は、軸部材2の直径(特に支持面2a1の直径)が2〜4mmの範囲とされる。軸部材2の上下両端部が固定側の部材(ベース6a及びカバー6b)に固定される。本実施形態では、軸部材2の下端部に、ハウジング7の下側開口部から下方に突出し、支持面2a1よりも若干小径な圧入部2a3が設けられ、この圧入部2a3がベース6aの固定穴6a1に圧入固定される。軸部材2の上端部には軸方向のねじ穴2bが形成され、このねじ穴2bに、カバー6bに設けられた固定穴6b1を介してボルト等(図示省略)を固定することにより、軸部材2の上端部がカバー6bに固定される。
軸受スリーブ8は、金属材料や樹脂材料で略円筒状に形成され、本実施形態では焼結金属、特に銅、鉄、あるいは銅及び鉄系の金属粉末を用いた焼結金属で形成される。軸受スリーブ8の内周面8aには、ラジアル軸受隙間の流体膜(例えば油膜)に動圧作用を発生させるラジアル動圧発生部が形成され、このラジアル動圧発生部の形成領域がラジアル軸受面となる。本実施形態では、図3に示すように、ラジアル動圧発生部としてヘリングボーン形状の動圧溝8a1・8a2が軸方向に離隔した2箇所の領域に形成される。具体的には、軸受スリーブ8の内周面8aの軸方向に離隔した2箇所の領域に、内径に僅かに突出したヘリングボーン形状の丘部8a10・8a20(図4にクロスハッチングで示す)が形成される。丘部8a10・8a20は、各々の軸方向略中央部に形成された環状部8a11・8a21と、環状部8a11・8a21から軸方向両側に延びた傾斜部8a12・8a22とからなり、傾斜部8a12・8a22の径方向間に動圧溝8a1・8a2が形成される。丘部8a10・8a20の頂面は、平滑な円筒面状となっている。動圧溝8a1・8a2の溝深さ(すなわち丘部8a10・8a20の径方向高さ)は、例えば2.5〜5μmの範囲に設定される。尚、本実施形態では、上側の動圧溝8a1は、軸受内部における潤滑油の循環を意図的に作り出す目的で、軸方向非対称に形成される。具体的には、動圧溝8a1のうち、丘部8a10の環状部8a11より上側領域の軸方向寸法X1が、下側領域の軸方向寸法X2よりも大きくなるように形成されている。一方、下側の動圧溝8a2は、軸方向対称な形状に形成されている。
軸受スリーブ8の上側端面8b及び下側端面8cには、それぞれスラスト軸受隙間の流体膜に動圧作用を発生させるスラスト動圧発生部が形成され、スラスト動圧発生部の形成領域がスラスト軸受面となる。本実施形態では、軸受スリーブ8の上側端面8bにスラスト動圧発生部としてスパイラル形状の動圧溝8b1が形成され(図4参照)、下側端面8cには同じくスパイラル形状の動圧溝8c1が形成される(図5参照)。これらの動圧溝8b1・8c1は、スパイラル形状の丘部8b10・8c10の間に形成され、軸部材2の回転に伴って潤滑油を内径側に押し込む、いわゆるポンプインタイプの動圧溝である。
軸受スリーブ8の外周面8dには、軸方向に延びる所定本数の軸方向溝8d1が形成され、本実施形態では、例えば3本の軸方向溝8d1が円周方向等間隔位置に形成される。流体動圧軸受装置1を組み立てた状態では、図2に示すように、軸受スリーブ8の軸方向溝8d1とハウジング7の内周面7aとで潤滑油を軸受内部で循環させるための循環経路の一部が構成される。
ハウジング7は、金属材料や樹脂材料で筒状に形成され、本実施形態では、真ちゅうにより軸方向両端を開口した円筒状に形成される(図2参照)。ハウジング7の内周面7aには、軸受スリーブ8の外周面8dが、例えば隙間接着により固定される。ハウジング7と軸受スリーブ8との固定方法はこれに限らず、例えば圧入や、接着剤介在下での圧入、あるいは溶着(超音波溶着やレーザ溶着を含む)などの手段も採用可能である。
ハウジング7の外周面7bは、軸受スリーブ8の内周面8a(詳しくは、内周面8aに形成された丘部8a10及び8a20の頂面)を基準として切削加工された面となっている。具体的には、ハウジング7の外周面7bのうち、少なくともディスクハブ3が圧入固定される円筒面状の固定面7b1(上端部のテーパ面7b2を除く領域)が、上記切削加工面となっている。この切削加工により、ハウジング7の外周面7bの固定面7b1は、軸受スリーブ8の内周面8aに対する振れ精度が5μm以下とされ、表面粗さがRa0.8μm以下とされる。切削加工後のハウジング7は、固定面7b1における径方向の肉厚の寸法公差が40μm以下となっている。また、ハウジング7の固定面7b1に対するディスクハブ3(図1参照)の抜去力は1500N以上に設定される。本実施形態のように両者が圧入固定される場合は、ディスクハブ3の抜去力が1500N以上となるように、ハウジング7の固定面7b1の外径寸法が設定される。
シール部材10は、金属材料や樹脂材料で環状に形成され、軸部材2の外周面2aに圧入、接着、溶着、溶接、加締めなど任意の手段で固定される。本実施形態では、軸受スリーブ8の軸方向両側にシール部材10が1個ずつ配され、各シール部材10の軸受内部側の端面10bは、軸受スリーブ8の端面8b・8cのスラスト軸受面(図2に点線で示す)と軸方向に対向する。シール部材10の外周面10aは軸方向中心側に向けて徐々に拡径したテーパ面状をなし、このテーパ面状外周面10aとハウジング7の円筒面状内周面7aとの間に、軸方向中心側に向けて径方向幅を徐々に小さくした楔形のシール空間Sが形成される。潤滑油を流体動圧軸受装置1の内部に充填した状態では、シール空間Sでシールされた軸受の内部空間が軸受スリーブ8の内部気孔を含めて潤滑油で満たされ、潤滑油の油面は常にシール空間Sの内部に維持される。
以上の構成からなる流体動圧軸受装置1において、ディスクハブ3、ハウジング7、及び軸受スリーブ8が一体に回転すると、軸受スリーブ8の内周面8aと軸部材2の外周面2aとの間にラジアル軸受隙間が形成される。そして、軸部材2の回転に伴って発生する動圧溝8a1・8a2の動圧作用によってラジアル軸受隙間の油膜の圧力が高められ、この動圧作用により軸受スリーブ8を含む回転側の部材をラジアル方向に非接触支持するラジアル軸受部R1・R2が軸方向に離隔した2箇所に形成される。
これと同時に、軸受スリーブ8の両端面8b・8cと各シール部材10の端面10bとの間に、それぞれスラスト軸受隙間が形成される。そして、軸部材2の回転に伴って発生する動圧溝8b1・8c1の動圧作用によって両スラスト軸受隙間の油膜の圧力が高められ、この動圧作用により軸受スリーブ8を含む回転側の部材を両スラスト方向に非接触支持するスラスト軸受部T1・T2が形成される。
以下、ハウジング7の外周面7bの仕上げ切削工程を説明する。この仕上げ切削工程は、軸受スリーブ8とハウジング7とを固定した後、軸受スリーブ8の内周面8aを基準としてハウジング7の外周面7bを切削加工(旋削加工)することにより行われる。
まず、ハウジング7の内周面7aに軸受スリーブ8の外周面8dを固定し、図6に示すようなサブアッシ品Aを構成する。本実施形態では、両者が隙間接着により固定される。ハウジング7及び軸受スリーブ8は、完全な円筒形状とすることは現実的に不可能であるため、円周方向に偏肉した形状となっている。具体的には、ハウジング7には厚肉部Cmax及び薄肉部Cminが形成され、軸受スリーブ8には厚肉部Dmax及び薄肉部Dminが形成される。また、ハウジング7と軸受スリーブ8との間の隙間を均一にすることも現実的に不可能であり、大隙間部Bmax及び小隙間部Bminが形成される。従って、仕上げ切削加工前の状態において、軸受スリーブ8の内周面8aに対するハウジング7の外周面7b’の振れ精度は、ハウジング7及び軸受スリーブ8の寸法精度や固定精度の影響を受けている。
上記のよう固定されたハウジング7及び軸受スリーブ8のサブアッシ品Aに、切削加工(旋削加工)を施す。具体的には、まず、図7(a)に示すように、切削機械(図示省略)の回転装置21に円柱状の軸素材22’を固定し、回転装置21及び軸素材22’を一体に回転させる。この状態で、軸素材22’の外周面に切削加工を施すことにより(図7(a)の点線参照)、回転軸22が形成される。回転軸22は、図7(b)に示すように、軸受スリーブ8の内周面8aを支持する小径外周面22aと、小径外周面22aの基端側に設けられた大径外周面22bと、小径外周面22aと大径外周面22bとの間に形成された径方向の肩面22cとを有する。このように、回転装置21と共に軸素材22’を回転させた状態で回転軸22の外周面を加工することで、回転装置21の回転中心と回転軸22の外周面(特に小径外周面22a)の軸心とを高精度に一致させ、回転軸22の外周面を非常に優れた振れ精度で回転させることができる。
次に、回転軸22に軸受スリーブ8及びハウジング7のサブアッシ品Aを装着する。このとき、上記のように軸素材22’の外周面を切削加工して回転軸22を形成した後、回転軸22を回転装置21から取り外すことなく、サブアッシ品Aを回転軸22に装着することで、回転軸22の小径外周面22aの優れた振れ精度を維持した状態でサブアッシ品Aを装着することができる。具体的には、回転軸22の小径外周面22aを軸受スリーブ8の内周面8a(詳しくは、内周面8aに形成された丘部8a10・8a20の頂面、図3参照)に嵌合させ、これにより軸受スリーブ8の内周面8aがハウジング7の外周面7bの仕上げ切削加工の基準面となる。
この状態で、図7(c)に示すように、回転軸22の先端部に固定部材23を固定することにより、サブアッシ品Aが回転軸22に位置決め固定される。固定部材23は、軸心に配された雄ねじ部23aと、雄ねじ部23aの周りに設けられた当接部23bとを有する。固定部材23の雄ねじ部23aを回転軸22のねじ穴22dに固定すると共に、当接部23bを軸受スリーブ8の端面に当接させることにより、固定部材23の当接部23bと回転軸22の肩面22cとで軸受スリーブ8を軸方向両側から挟持固定している。
その後、回転軸22及びサブアッシ品Aを一体に回転させ、この状態でハウジング7の外周面7bの固定面7b1を切削加工する(図6に、切削加工後のハウジング7の外周面7bを点線で示す)。このように、軸受スリーブ8の内周面8aを基準としてハウジング7の外周面7bを加工することで、各部材の寸法精度や各部材間の固定精度がそれ程高くない場合でも、軸受スリーブ8の内周面8aに対するハウジング7の外周面7bの振れ精度を高めることができ、具体的には振れ精度を5μm以下に抑えることができる。言い換えると、軸受スリーブ8やハウジング7の寸法精度や固定精度が高精度に設定されていない場合(例えば、ハウジング7の径方向の肉厚の公差が5μm以上、軸受スリーブ8の径方向の肉厚の公差が5μm以上、ハウジング7と軸受スリーブ8との間の径方向隙間の公差が5μm以上である場合)、軸受スリーブ8の内周面8aに対するハウジング7の外周面7bの振れ精度が5μm以下であれば、軸受スリーブ8の内周面8aを基準としてハウジング7の外周面7bを切削加工したと推定することができる。
軸受スリーブ8とハウジング7とのサブアッシ品Aの外周面(ハウジング7の外周面7b)の振れ精度は、例えば図8に示す装置で測定することができる。ここで使用される測定装置30は、ピンゲージ31と、ピンゲージ31を固定するベースブロック32と、サブアッシ品Aの外周面の振れを測定する測定器33(例えばダイアルゲージ)とを備える。ピンゲージ31は、ベースブロック32の上面に形成されたV字溝32aに接着等により固定される。ピンゲージ31の外径寸法は、サブアッシ品Aの内周面(軸受スリーブ8の内周面8a)に挿入可能であり、且つ、可能な限り嵌合隙間が小さくなるように設定される。例えば、軸受スリーブ8の内径寸法が4mm程度である場合、軸受スリーブ8とピンゲージ31の嵌合隙間は2μm以下に設定される。サブアッシ品Aをピンゲージ31に外挿した状態で、サブアッシ品Aをピンゲージ31周りで1回転させ、このときのサブアッシ品Aの外周面の振れ幅を測定器33で測定する。尚、測定箇所は、ハウジング7の外周面7bの固定面7b1であれば場所は特に限定されない。また、測定箇所は1点でも良いし、複数点を測定してもよい。
本発明は上記の実施形態に限られない。以下、本発明の他の実施形態を説明するが、上記実施形態と同一の構成及び機能を有する箇所には同一の符号を付して重複説明を省略する。
例えば図9に示すように、ハウジング7の外周面7bのうち、ラジアル軸受部R1・R2の軸方向領域に、固定面7b1よりも小径な逃げ面7b3を形成してもよい。これにより、ラジアル軸受部R1・R2の外径側ではハウジング7とディスクハブ3とが圧入されない(あるいは圧入力が小さい)ため、この領域ではハウジング7及び軸受スリーブ8が内径向きに受ける圧迫力が小さくなり、軸受スリーブ8の内周面8aに形成されたラジアル軸受面の変形を確実に防止できる。
また、上記実施形態では、筒状のハウジング7の軸方向両側から軸部材2が突出する構成としているが、これに限らず、ハウジング7の軸方向一方の開口部を閉塞する蓋部(図示省略)を設けても良い。この蓋部は、ハウジングと別体に設けても良いし、ハウジングと一体形成してもよい。この場合、軸部材2の一方の端部のみが固定側(ベース6a)に固定された構造となる。
また、軸受スリーブ8に形成された動圧発生部も上記に限らず、他の形状の動圧溝を形成したり、内周面8aを複数の円弧を組み合わせた多円弧形状とすることにより、動圧発生部を構成してもよい。あるいは、軸受スリーブ8には動圧発生部を形成する替わりに、軸受隙間を介して対向する部材(軸部材2及びシール部材10)に動圧発生部を形成してもよい。さらには、軸受スリーブ8の内周面8a及び軸部材2の外周面2aの双方を円筒面状とした、いわゆる真円軸受を構成してもよい。この場合、動圧作用を積極的に発生させる動圧発生部は形成されないが、軸受スリーブ8の僅かな振れ回りにより動圧作用が発生する。
また、上記の実施形態では、本発明に係る流体動圧軸受装置をHDDのディスク駆動装置のスピンドルモータに組み込んだ例を示しているが、これに限らず、他のディスク駆動装置のスピンドルモータや、レーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、あるいはプロジェクタのカラーホイールモータ等に適用することもできる。
1 流体動圧軸受装置
2 軸部材
3 ディスクハブ
4 ステータコイル
5 ロータマグネット
6a ベース
6b カバー
7 ハウジング
8 軸受スリーブ
10 シール部材
R1・R2 ラジアル軸受部
T1・T2 スラスト軸受部
S シール空間
D ディスク
21 回転装置
22’ 軸素材
22 回転軸
23 固定部材
30 測定装置
31 ピンゲージ
32 ベースブロック
33 測定器

Claims (8)

  1. 軸部材と、内周に軸部材が挿入された軸受スリーブと、内周面に軸受スリーブが固定された筒状のハウジングと、軸部材の外周面と軸受スリーブの内周面との間のラジアル軸受隙間に生じる流体膜の動圧作用により、固定側となる軸部材に対して軸受スリーブ及びハウジングを回転自在に支持するラジアル軸受部とを備えた軸固定タイプの流体動圧軸受装置において、
    ハウジングの外周面が、その内周面に固定された軸受スリーブの内周面を基準として切削加工された面であることを特徴とする流体動圧軸受装置。
  2. 軸受スリーブの内周面に対するハウジングの外周面の振れ精度が5μm以下である請求項1記載の流体動圧軸受装置。
  3. ハウジングの径方向の肉厚の寸法公差が40μm以下である請求項1又は2記載の流体動圧軸受装置。
  4. ハウジングの外周面の表面粗さがRa0.8μm以下である請求項1〜3の何れかに記載の流体動圧軸受装置。
  5. ハウジングの内周面と軸受スリーブの外周面とを隙間接着により固定した請求項1〜4の何れかに記載の流体動圧軸受装置。
  6. ハウジングの外周面に固定された回転体の抜去力が1500N以上である請求項1〜5の何れかに記載の流体動圧軸受装置。
  7. ハウジングの外周面に回転体が圧入固定された請求項1〜6の何れかに記載の流体動圧軸受装置。
  8. ハウジングの外周面に、回転体の内周面に圧入される固定面と、前記ラジアル軸受部の軸方向領域に設けられ、前記固定面よりも小径な逃げ面とを形成した請求項1〜7の何れかに記載の流体動圧軸受装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2012172956A1 (ja) * 2011-06-15 2012-12-20 Ntn株式会社 流体動圧軸受装置
JP2013002524A (ja) * 2011-06-15 2013-01-07 Ntn Corp 流体動圧軸受装置
JP2013044395A (ja) * 2011-08-24 2013-03-04 Ntn Corp 流体動圧軸受装置

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