JP2011071228A - 電解コンデンサ用電解液 - Google Patents

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Abstract

【課題】火花電圧が高く且つ比抵抗値が低い電解コンデンサ用電解液であって、高温での長期使用後においても特性劣化が少なく、液漏れなどの問題もない電解コンデンサへと導く電解コンデンサ用電解液を提供する。
【解決手段】γ−ブチロラクトンとスルホランとの混合溶媒に、フタル酸三級アミン塩、ホウ酸、及び糖アルコールを必須成分として溶解させた電解コンデンサ用電解液において、γ−ブチロラクトンとスルホランとを質量比で80:20〜95:5の範囲とし、ホウ酸と糖アルコールとを質量比で1:1.1〜1:1.3とし、且つ、ホウ酸と糖アルコールとの合計量を電解液全体の8〜15質量%とすると、火花電圧が高く、低温での比抵抗値が低い電解液が得られる。この電解液を用いた電解コンデンサは、125℃100V負荷試験2000時間経過後であっても、静電容量及びインピーダンスの変化が小さく、漏れ電流も極めて小さい。
【選択図】なし

Description

本発明は、火花電圧が高く、高温使用条件下でも特性劣化の少ない電解コンデンサを与える電解コンデンサ用電解液に関する。
電解コンデンサは、陽・陰極とこれらの間に配置された電解液を保持したセパレータとが密封ケース内に収容された構造を有しており、巻回型、積層型等の形状のものが広く使用されている。そして、上記電解コンデンサの電解液として、エチレングリコールを主溶媒とし、アジピン酸、安息香酸などのカルボン酸のアンモニウム塩などを電解質とした電解液が従来から用いられてきた。
ところで、近年の電子機器の小型化、高温化に伴い、電解コンデンサには低インピーダンス特性と高温使用条件下での特性安定性が要求されている。しかしながら、上述したエチレングリコールを主溶媒とした電解液には、低温での比抵抗値が高く、高温領域での安定性に欠けるという問題があった。そこで、エチレングリコールよりも沸点が高い上に粘性の低いγ−ブチロラクトンを主溶媒とし、これにマレイン酸塩やフタル酸塩を溶解させた電解液が検討されてきた。
このような電解液として、特許文献1(特開昭61−70711号公報)は、溶媒としてのγ−ブチロラクトンにフタル酸とトリエチルアミンとの塩を添加した電解コンデンサ用電解液を開示している。この電解液によると、低温領域での比抵抗値と高温領域での安定性が改善されるものの、火花電圧が低くなるため、この電解液の用途は50WV級以下の低圧用コンデンサに限定されていた。
これに対し、電解液の溶質としてホウ酸又はホウ酸と糖アルコールとの組み合わせを使用することにより、或いは、γ−ブチロラクトンより高沸点を有するスルホランを溶媒の一部として使用することにより、電解液の低温領域での低い比抵抗値と高温領域での高い安定性を維持したままで火花電圧を改善する方法が提案されている。
特許文献2(特開昭63−261823号公報)は、γ−ブチロラクトン或いはγ−ブチロラクトンとエチレングリコールとの混合物に、マレイン酸テトラメチルアンモニウム塩或いはテトラエチルアンモニウム塩と、ホウ酸と、ヘキシットとを添加した電解コンデンサ用電解液を開示している。ホウ酸及びヘキシットは、それぞれ単独ではγ−ブチロラクトンに溶解しにくいものの、併用により溶解性に優れたヘキシットのホウ素錯体が生成し、電解液の比抵抗値をあまり上昇させずに火花電圧を上昇させることができる
特許文献3(特開平2−156620号公報)は、γ−ブチロラクトンとエチレングリコールとの混合溶媒に有機酸のアミン塩を溶解させた液に、火花電圧を向上させる目的でリン酸或いは亜リン酸とリンタングステン酸或いはケイタングステン酸とを添加し、さらにホウ酸とマンニット等の糖アルコールとを添加した電解コンデンサ用電解液を開示している。ホウ酸と糖アルコールとは、火花電圧を高く維持したまま高温安定性を向上させるために添加されている。
特許文献4(特開平3−181114号公報)は、γ−ブチロラクトンとエチレングリコールとからなる溶媒に、フタル酸のテトラメチルアンモニウム塩と、ホウ酸と、長寿命化のためのp−ニトロフェノール或いはP−ニトロ安息香酸とを添加した電解コンデンサ用電解液を開示している。ホウ酸はγ−ブチロラクトンには溶解しにくいため、ホウ酸を予めエチレングリコールに溶解させることによりホウ酸とエチレングリコールとのエステル化物を形成させ、この液をフタル酸のテトラメチルアンモニウム塩を含むγ−ブチロラクトン液と混合している。
特許文献5(特開2002−217068号公報)は、スルホランとγ−ブチロラクトン等の非プロトン性有極性溶媒との混合溶媒に、フタル酸三級アミン塩等のフタル酸塩と、電極材料の水和劣化とを抑制するためのジ亜リン酸アンモニウムとを溶解させた電解コンデンサ用電解液を開示している。非プロトン性有極性溶媒として、γ−ブチロラクトンが高温寿命及び高電導度の点で優れていることが記載されている。高沸点を有するスルホランと非プロトン性有極性溶媒との混合溶媒にすることにより、高温条件下において安定でフタル酸塩との化学反応が抑制される。
特開昭61−70711号公報 特開昭63−261823号公報 特開平2−156620号公報 特開平3−181114号公報 特開2002−217068号公報
しかしながら、電解コンデンサに対し、低インピーダンス特性と高温使用条件下での特性安定性に対するさらなる改善が要求されている。特に、自動車産業分野における自動車性能の高性能化に伴い、エンジンの燃料噴出装置の制御回路用の電解コンデンサなどには、125℃使用下における100WV級の動作保証と−40℃における低いインピーダンス特性が求められ、その上、125℃での長期使用後においても静電容量やインピーダンス特性などの劣化が少なく、液漏れなどの問題もないコンデンサが求められている。
しかしながら、特許文献2の電解液のようにマレイン酸テトラメチルアンモニウム塩或いはテトラエチルアンモニウム塩のようなカルボン酸の四級アンモニウム塩を使用すると、電解コンデンサの液漏れが生じるという問題点があった。また、火花電圧の向上効果も、125℃使用下における100WV級の動作保証のためには満足のいくものではなかった。
また、特許文献2〜4に記載されているように、エチレングリコールを溶媒の一部として使用すると、ホウ酸及び糖アルコールの混合溶媒に対する溶解性は向上するものの、火花電圧の向上効果は、125℃使用下における100WV級の動作保証のためには満足のいくものではなく、また、フタル酸等のカルボン酸とエチレングリコールとのエステル化反応が生じるため、この電解液を用いた電解コンデンサを長期間使用すると、電解液の比抵抗値が徐々に上昇するという問題があった。したがって、電解コンデンサの特性の長期安定化のためには、溶媒にエチレングリコールを含まないようにするのが好ましい。
さらに、特許文献5のγ−ブチロラクトンとスルホランとの混合溶媒にフタル酸三級アミン塩を溶解させた電解液は、低温領域での比抵抗値と高温領域での安定性には問題がないが、この電解液の火花電圧は特許文献1の電解液と同様に低かった。
したがって、従来の電解液では、上述のエンジンの燃料噴出装置の制御回路用の電解コンデンサなどに求められる要求を満足させることができない。
そこで、本発明の目的は、上述の要求に答えることができる電解コンデンサへと導くことが可能な電解コンデンサ用電解液を提供することである。
γ−ブチロラクトンとスルホランとの混合溶媒にフタル酸三級アミン塩を溶解させた電解液に、ホウ酸及び糖アルコールを添加すると、電解液の低温領域での低い比抵抗値と高温領域での高い安定性を維持した上で電解液の火花電圧を改善することができるように考えられる。しかしながら、ホウ酸及び糖アルコールはγ−ブチロラクトン及びスルホランに難溶性であるため、このような電解液は実現し難いように思われていた。特許文献5にも、γ−ブチロラクトンとスルホランとの混合溶媒を使用した電解液に対するホウ酸と糖アルコールとの溶解条件はなんら示唆されていない。
発明者らは、鋭意検討した結果、γ−ブチロラクトンとスルホランとの混合溶媒にフタル酸三級アミン塩を溶解させた電解液において、ホウ酸と糖アルコールとを特定の質量比で併用すると、意外にも、エチレングリコールを溶媒の一部として使用しなくても、ホウ酸と糖アルコールとが良好に溶解し、そしてγ−ブチロラクトンとスルホランとの質量比を特定の範囲にし、さらにホウ酸と糖アルコールとの電解液における溶解量を特定の範囲にすることにより、上述の目的が達成されることを発見した。
したがって、本発明の電解コンデンサ用電解液は、γ−ブチロラクトンとスルホランとの混合溶媒に、フタル酸三級アミン塩、ホウ酸、及び糖アルコールを必須成分として溶解させた電解コンデンサ用電解液であって、γ−ブチロラクトンとスルホランとの質量比が80:20〜95:5の範囲であり、ホウ酸と糖アルコールとの質量比が1:1.1〜1:1.3の範囲であり、且つ、ホウ酸と糖アルコールとの合計量が電解液全体の8〜15質量%であることを特徴とする。
フタル酸三級アミン塩をγ−ブチロラクトンとスルホランとの混合溶媒に溶解させた液に、ホウ酸と糖アルコールとを質量比で1:1.1〜1:1.3の範囲で溶解させると、意外にも、ホウ酸と糖アルコールとを合計量で電解液全体の15質量%まで溶解させることができ、そして、γ−ブチロラクトンとスルホランとを質量比で80:20〜95:5の範囲にすることにより、火花電圧が高く、高温放置試験においても比抵抗値が変化しにくい電解液が得られる。さらに、ホウ酸と糖アルコールとの合計量を電解液全体の8〜15質量%にすることにより、液漏れなどの問題もない電解コンデンサを与える電解液が得られる。
本発明の電解コンデンサ用電解液におけるフタル酸の三級アミン塩の含有量は、−40℃程度の低温での比抵抗値が十分に低ければ問題がないが、電解液全体の10〜20質量%が好ましく、14〜16質量%であるのが特に好ましい。
本発明の電解液の使用により、125℃の使用条件下において100WV級の動作を保証することができ、−40℃でもインピーダンス特性が良好で、さらに125℃での長期使用後においても静電容量やインピーダンス特性などの劣化が少なく、液漏れなどの問題もない電解コンデンサを提供することができる。
本発明の電解コンデンサ用電解液は、γ−ブチロラクトンとスルホランとの混合溶媒に、フタル酸三級アミン塩、ホウ酸、及び糖アルコールを必須成分として溶解させた電解コンデンサ用電解液である。
本発明の電解液は、カルボン酸電解質としてフタル酸三級アミン塩を含む。フタル酸は、熱安定性に優れる上に電解液の比抵抗値の上昇を抑制するのに好適である。フタル酸より分子量の大きいカルボン酸を使用すると電解液の比抵抗値が上昇し、フタル酸より分子量の小さいカルボン酸を使用すると耐圧が悪化する。また、マレイン酸は電解液中で使用中にフマル酸に変化し、その結果電解液の比抵抗が上昇するため好ましくない。そして、フタル酸の三級アミン塩は、二級アミン塩或いはアンモニウム塩と比較すると、熱安定性に優れているため好適である。
本発明の電解液において使用するフタル酸との塩を構成する三級アミンの例としては、トリアルキルアミン、例えば、トリメチルアミン、ジメチルエチルアミン、メチルジエチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルn−プロピルアミン、ジメチルイソプロピルアミン、メチルエチルn−プロピルアミン、メチルエチルイソプロピルアミン、ジエチルn−プロピルアミン、ジエチルイソプロピルアミン、トリn−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリn−ブチルアミン、トリt−ブチルアミン;フェニル基含有アミン、例えば、ジメチルフェニルアミン、メチルエチルフェニルアミン、ジエチルフェニルアミン、トリフェニルアミン;1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7等を挙げることができる。これらの化合物は、それぞれ単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。トリアルキルアミンを使用するのが好ましく、特に、トリメチルアミン、ジメチルエチルアミン、メチルジエチルアミン、トリエチルアミンを使用すると、電解液の低温における比抵抗値が低くなるため好ましい。
本発明の電解コンデンサ用電解液におけるフタル酸三級アミン塩の含有量は、電解液の比抵抗値が許容範囲であれば特に限定がないが、電解液全体の10〜20質量%が好ましく、14〜16質量%であるのが特に好ましい。
本発明の電解液において使用する糖アルコールの例としては、テトリット(エリトリット、トレイット)、ペンチット(アラビット、アドニット、キシリット)、ヘキシット(ソルビット、マンニット、イジット、ズルシット、アリット、タリット)等を挙げることができる。これらの化合物は、それぞれ単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。ヘキシットを使用するのが好ましい。
本発明の電解コンデンサ用電解液における溶媒は、γ−ブチロラクトンとスルホランとの混合溶媒である。
以下に示す表1は、γ−ブチロラクトンとスルホランとフタル酸トリエチルアミン塩とを質量比で90:10:20の割合で混合した混合液に、ホウ酸とマンニットとの質量比を変化させて溶解させた電解液における、ホウ酸とマンニットとの最大溶解率(ホウ酸とマンニットとの合計量の電解液全体に対する質量%)を示している。
Figure 2011071228
表1より明らかなように、ホウ酸とマンニットとを質量比で1:1.1〜1:1.3の範囲で併用すると、上記電解液に最大15質量%まで溶解する。ホウ酸とマンニットとが質量比で1:1.4〜1:1.8の範囲でも、上記電解液に最大13質量%まで溶解する。しかしながら、ホウ酸に対するマンニットの割合が質量比で1以下、或いは2以上の範囲では、上記電解液に溶解しなかった。したがって、ホウ酸と糖アルコールとを特定の割合(ホウ酸と糖アルコールが質量比で1:1.1〜1:1.8)にすることにより、γ−ブチロラクトンとスルホランとの混合溶媒に対し、エチレングリコールを使用することなしに、ホウ酸と糖アルコールとを高濃度で溶解させることができることがわかる。
本発明の電解液において、γ−ブチロラクトンとスルホランとの割合は、質量比で80:20〜95:5の範囲である。スルホランが上述の範囲より多いと、低温での比抵抗値が上昇し、高温放置後の比抵抗の増加が著しくなる。また、γ−ブチロラクトンが上述の範囲より多いと、初期における低温での比抵抗値には問題がないものの、高温放置後に火花電圧が低下し、比抵抗の増加も著しくなる。
そして、γ−ブチロラクトンとスルホランとを質量比で80:20〜95:5の範囲で混合した混合溶媒に、フタル酸三級アミン塩と共にホウ酸と糖アルコールとを質量比で1:1.1〜1:1.3の範囲で溶解させ、且つホウ酸と糖アルコールとの合計量を電解液全体の8〜15質量%の範囲にすると、火花電圧が高く、−40℃においても低い比抵抗値を示し、125℃での放置試験において安定した火花電圧と比抵抗値を示す電解液が得られる。また、この電解液を使用した電解コンデンサは、125℃100V負荷試験においても、極めて安定な静電容量とインピーダンスを示す。
これに対し、理由は明らかではないが、ホウ酸に対する糖アルコールの割合が上述の範囲(ホウ酸と糖アルコールとを質量比で1:1.1〜1:1.3)より多いと、初期における電解液の比抵抗値が上昇する上に、高温放置後の比抵抗値の増加が著しくなる。また、ホウ酸と糖アルコールとの合計量が電解液全体の8質量%を下回ると、電解液の火花電圧が急激に低下し、またこの電解液を使用した電解コンデンサの漏れ電流が急激に増加し、高温負荷試験中にショート不良が発生するようになる。
本発明のγ−ブチロラクトンとスルホランとの混合溶媒にフタル酸三級アミン塩、ホウ酸、及び糖アルコールを必須成分として溶解させた電解コンデンサ用電解液において、本発明の効果を損なわない範囲で、フタル酸三級アミン塩、ホウ酸、及び糖アルコール以外の溶質を使用することができる。使用可能な溶質としては、リン酸、ケイ酸、炭酸等の無機酸電解質、耐電圧を向上させるためのノニオン界面活性剤、コロイダルシリカ、ポリオキシエチレングリセリン、電解コンデンサ内部で発生しうる水素を吸収するためのp−ニトロフェノール、p−ニトロ安息香酸などのニトロ化合物、電極箔の水和劣化を防止するためのメチルリン酸エステル、エチルリン酸エステル等のリン酸エステル化合物などが挙げられる。
以下に実施例を用いて本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
1:電解液の調製
以下の表2に示されている、組成の異なる電解液を調製した。実施例1〜8は、γ−ブチロラクトンとスルホランが質量比で80:20〜95:5の範囲であり、ホウ酸とマンニットが質量比で1:1.1〜1:1.3の範囲であり、且つ、ホウ酸とマンニットとの合計量が電解液全体の8〜15質量%である電解液の例である。比較例1は、ホウ酸とマンニットが質量比で1:1.1〜1:1.3の範囲であり、且つ、ホウ酸とマンニットとの合計量が電解液全体の8〜15質量%であるものの、スルホランに対するγ−ブチロラクトンの質量比が80/20より少ない電解液の例であり、比較例2は、ホウ酸とマンニットが質量比で1:1.1〜1:1.3の範囲であり、且つ、ホウ酸とマンニットとの合計量が電解液全体の8〜15質量%であるものの、スルホランに対するγ−ブチロラクトンの質量比が95/5より多い(スルホランを含有しない)電解液の例である。また、比較例3,4は、γ−ブチロラクトンとスルホランが質量比で80:20〜95:5の範囲であり、ホウ酸とマンニットとの合計量が電解液全体の8〜15質量%であるものの、ホウ酸に対するマンニットの質量比が1.3/1より多い電解液の例であり、比較例5は、γ−ブチロラクトンとスルホランが質量比で80:20〜95:5の範囲であり、ホウ酸とマンニットが質量比で1:1.1〜1:1.3の範囲であるものの、ホウ酸とマンニットとの合計量が電解液全体の8質量%より少ない電解液の例である。また、従来例1は、γ−ブチロラクトンとスルホランとの混合溶媒にフタル酸三級アミン塩を溶解させたがホウ酸とマンニットとを溶解させない電解液の例(特許文献5参照)であり、従来例2は、スルホランの代わりにエチレングリコールを使用した電解液の例(特許文献3参照)であり、従来例3は、スルホランを使用せず且つフタル酸三級アミン塩の代わりにマレイン酸四級アンモニウム塩を使用した電解液の例(特許文献2参照)である。
Figure 2011071228
2:電解液の特性評価
得られた各電解液について、30℃と125℃において火花電圧を測定し、30℃と−40℃において比抵抗値を測定した。次いで、各電解液をガラスアンプル内に封入し、125℃で500時間放置した。放置後の各電解液について、再び、30℃と125℃における火花電圧と、30℃と−40℃における比抵抗値を測定した。測定結果を表3に示す。
Figure 2011071228
初期特性において、実施例1〜8及び比較例1〜4は、125℃においても150V以上の火花電圧を示した。実施例1〜8の電解液の比抵抗値は従来例1〜3の電解液の比抵抗値に比較してわずかに上昇したが、−40℃においても十分に低い値を示した。これに対し、ホウ酸とマンニットとの合計量が電解液全体の8質量%より少ない比較例5及び従来例1〜3の電解液の125℃における火花電圧は150Vより低かった。特に、従来例1の電解液の火花電圧は著しく低かった。したがって、比較例5及び従来例1〜3の電解液は100WV級の動作を保証する電解コンデンサのための電解液としては不都合であった。また、スルホランに対するγ−ブチロラクトンの質量比が80/20より少ない比較例1、及びホウ酸に対するマンニットの質量比が1.3/1より多い比較例3,4の電解液の比抵抗値、特に−40℃における比抵抗値は、実施例1〜8の電解液の比抵抗値に比較して上昇していた。
125℃、500時間放置後には、スルホランに対するγ−ブチロラクトンの質量比が95/5より多い(スルホランを含有しない)比較例2の電解液において、火花電圧が125℃で150V以下に低下し、比較例1〜4及び従来例2,3において、比抵抗値、特に−40℃における比抵抗値が大幅に上昇した。
以上の結果より、実施例1〜8で示される、γ−ブチロラクトンとスルホランが質量比で80:20〜95:5の範囲であり、ホウ酸とマンニットが質量比で1:1.1〜1:1.3の範囲であり、且つ、ホウ酸とマンニットとの合計量が電解液全体の8〜15質量%である本発明の電解液は、火花電圧が150Vより高く、したがってこの電解液を使用した電解コンデンサの125℃使用下における100WV級での動作保証を可能にし、比抵抗値、特に−40℃における比抵抗値が低く、したがってこの電解液を使用した電解コンデンサの低温領域での低インピーダンス性を保証し、その上高温放置後も安定な特性を示し、高い火花電圧と低い比抵抗値を維持したことが分かる。
3:電解コンデンサの作成
アルミニウム箔をエッチング処理して実効表面積を拡大させ、表面に陽極酸化により誘電体酸化アルミニウム皮膜を形成した陽極箔と、アルミニウム箔をエッチング処理した陰極箔とを、セパレータを介して巻回することによりコンデンサ素子を構成し、このコンデンサ素子に実施例1〜8、比較例1〜5及び従来例1〜3の電解液を含浸させるとともに、このコンデンサ素子を金属ケース内に封止して、定格電圧が100V、定格静電容量が100μF、直径がφ12.5mmで長さが20mmのアルミニウム電解コンデンサを各20個製造した。
4:電解コンデンサの特性評価
得られた各電解コンデンサについて、静電容量、インピーダンス、及び漏れ電流を測定した。次いで、各電解コンデンサについて、125℃で定格電圧の100Vを2000時間印加する高温負荷試験を行い、試験後に再び静電容量、インピーダンス、及び漏れ電流を測定した。測定結果を表4に示す。
従来例1のγ−ブチロラクトンとスルホランとの混合溶媒にフタル酸三級アミン塩を溶解させたがホウ酸とマンニットとを溶解させない電解液は、表3から明らかなように火花電圧が極端に低く、エージング途中で全数ショート不良を起こし、コンデンサの製品化が不可能であった。従来例2の電解液を使用した電解コンデンサでは、エージング中に2個、試験中に5個のコンデンサにショート不良が認められ、従来例3の電解液を使用した電解コンデンサでは、エージング中に7個、試験中に8個のコンデンサにショート不良が認められた上に、5個に液漏れが認められた。したがって、電解液においてマレイン酸の四級アンモニウム塩を使用すると、コンデンサの液漏れが生じやすいことが分かる。また、ホウ酸とマンニットとの合計量が電解液全体の8質量%より少ない比較例5の電解液を使用した電解コンデンサにおいても、試験中に1個のコンデンサにショート不良が認められた。
Figure 2011071228
初期特性において、ホウ酸とマンニットとの合計量が電解液全体の8質量%より少ない比較例5の電解液を使用した電解コンデンサ、及び従来例2,3の電解液を用いた電解コンデンサの漏れ電流は著しく大きかった。また、高温負荷試験後は、比較例1〜4の電解液を使用した電解コンデンサにおいて、インピーダンスの著しい増加が認められ、比較例2,5及び従来例2,3の電解液を使用した電解コンデンサにおいて、漏れ電流の著しい増加が認められた。
これに対し、実施例1〜8のγ−ブチロラクトンとスルホランが質量比で80:20〜95:5の範囲であり、ホウ酸とマンニットが質量比で1:1.1〜1:1.3の範囲であり、且つ、ホウ酸とマンニットとの合計量が電解液全体の8〜15質量%である本発明の電解液を使用した電解コンデンサは、低インピーダンス特性を示した上に、125℃100V2000時間の負荷試験後においても、静電容量、インピーダンス、漏れ電流のいずれの値も安定していた。
本発明の電解コンデンサ用電解液は、125℃使用下において100WV級の動作を保証し、−40℃においても低いインピーダンス特性を示し、その上、125℃での長期使用後においても静電容量やインピーダンス特性などの劣化が少なく、液漏れなどの問題もないコンデンサを与える。したがって、本発明の電解コンデンサ用電解液は、自動車のエンジンの燃料噴出装置の制御回路用の電解コンデンサなどのための電解液として極めて好適である。

Claims (1)

  1. γ−ブチロラクトンとスルホランとの混合溶媒に、フタル酸三級アミン塩、ホウ酸、及び糖アルコールを必須成分として溶解させた電解コンデンサ用電解液であって、
    γ−ブチロラクトンとスルホランとの質量比が80:20〜95:5の範囲であり、
    ホウ酸と糖アルコールとの質量比が1:1.1〜1:1.3の範囲であり、且つ、ホウ酸と糖アルコールとの合計量が電解液全体の8〜15質量%である
    ことを特徴とする電解コンデンサ用電解液。
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