JP2008300684A - 電解コンデンサの駆動用電解液および電解コンデンサ - Google Patents
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Abstract
【課題】105℃以下の温度範囲で安定した漏れ電流値を示し、かつ音響用コンデンサとして使用した場合に高い音質を示すことが可能な電解コンデンサの駆動用電解液および電解コンデンサを提供する。
【解決手段】γ−ブチロラクトンを主溶媒とし、少なくとも一種以上の副溶媒を含み、有機カルボン酸またはその塩を溶質とし、γ−バレロラクトンを含有することで、105℃までの温度範囲で安定した電解コンデンサの電気特性を示し、かつ音響用コンデンサとして高い音質を示す電解液が得られる。
【選択図】なし
【解決手段】γ−ブチロラクトンを主溶媒とし、少なくとも一種以上の副溶媒を含み、有機カルボン酸またはその塩を溶質とし、γ−バレロラクトンを含有することで、105℃までの温度範囲で安定した電解コンデンサの電気特性を示し、かつ音響用コンデンサとして高い音質を示す電解液が得られる。
【選択図】なし
Description
本発明は、電解コンデンサ用の駆動用電解液、およびそれを用いた電解コンデンサに関するものである。さらに詳しくは、音響用電解コンデンサ用の駆動用電解液およびそれを用いたアルミニウム電解コンデンサに関するものである。
一般に、オーディオ機器において、アルミニウム電解コンデンサは電源回路のフィルタ、各回路ブロックのカップリングおよびデカップリングに使用されているが、電解コンデンサの材料や製法により再生音の音質が変化することが知られている。
また、電解コンデンサ内には駆動用電解液が含浸されているが、音響用の電解コンデンサ駆動用電解液としてはエチレングリコールまたはそのエーテル類、水およびジカルボン酸またはその塩からなるものが使用されてきた(例えば、特許文献1)。
また、電解コンデンサ内には駆動用電解液が含浸されているが、音響用の電解コンデンサ駆動用電解液としてはエチレングリコールまたはそのエーテル類、水およびジカルボン酸またはその塩からなるものが使用されてきた(例えば、特許文献1)。
しかしながら、従来のエチレングリコールまたはそのエーテル類、水およびジカルボン酸またはその塩からなる駆動用電解液は、組成中に一定量の純水を含有しているため、105℃以上の使用では漏れ電流値の増大等の問題が発生するため、適さなかった。
一方、高温度条件下で使用される電解コンデンサの駆動用電解液には、低粘度の溶媒種であるγ-ブチロラクトンを主溶媒とした電解液がよく知られている(例えば、特許文献2)。
特公平7−48456号広報
特開平6−36974号公報
しかし、上記特許文献1に記載される電解液の構成成分のみでは、これらの電解液を使用して電解コンデンサを製造し、この電解コンデンサをオーディオ機器に使用しても、音のバランス、明るさ、透明感に優れた再生音質が得られないという問題点があった。
本発明は、前述の現状を鑑みてなされたものであり、105℃以上の温度範囲での使用を可能にしながら、電解コンデンサをオーディオ回路に用いた際、高い音質を実現することのできる電解コンデンサの駆動用電解液、および当該駆動用電解液を用いた電解コンデンサを提供することを目的とする。
本発明は、高温度下での安定性を持ちながら、高い音質を持った電解コンデンサの駆動用電解液(以下、電解液という)について検討した結果、γ−ブチロラクトンを主溶媒に用い、有機カルボン酸またはその塩を主溶質に用い、かつγ−バレロラクトンを添加することで、高温度下で安定な特性を実現可能であり、音響用コンデンサとして使用した場合に、より優れた再生音質、すなわち均一で、バランスの良い、劣化の少ない音質を得ることが可能な電解液を得ることができる。
すなわち、本発明に係る電解コンデンサの駆動用電解液は、主溶媒としてγ−ブチロラクトンを用い、主溶質として有機カルボン酸またはその塩を用い、かつγ−バレロラクトンを添加することを特徴としている。
本発明において、使用する有機カルボン酸の例としては、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン酸、安息香酸、フタル酸、2−メチルアゼライン酸、1,6−デカンジカルボン酸、5,6−デカンジカルボン酸、2−ブチルオクタン二酸、7−ビニルヘキサデン−1、16−ジカルボン酸等の有機カルボン酸を例示することができる。また、より顕著な効果を得るために、2種またはそれ以上の有機カルボン酸を使用しても良い。
また、前記有機カルボン酸の塩としては、アンモニウム塩、メチルアミン、エチルアミン、t−ブチルアミン等の一級アミン塩、ジメチルアミン、エチルメチルアミン、ジエチルアミン等の二級アミン塩、トリメチルアミン、ジエチルメチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエチルアミン等の三級アミン塩、テトラメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム等の四級アンモニウム塩等を例示することができる。
本発明において、前記γ-バレロラクトンを電解液全体に対して1.0〜20.0重量%含むことが好ましい。
本発明においては、副溶媒として、アルコール類、エーテル類、アミド類、オキサゾリジノン類、γ−バレロラクトン以外のラクトン類、ニトリル類、カーボネート類、およびスルホン類からなる群より選ばれる1種以上の溶媒を含む構成を採用してもよい。
アルコール類として、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、ベンジルアルコール、アミルアルコール、フルフリルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ヘキシトール等が挙げられる。
エーテル類として、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
アミド類として、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックアミド等が挙げられる。
オキサゾリジノン類として、N−メチル−2−オキサゾリジノン、3,5−ジメチル−2−オキサゾリジノン等が挙げられる。
ラクトン類として、γ-ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、β−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等が挙げられる。
ニトリル類として、アセトニトリル、アクリロニトリル、アジポニトリル、3−メトキシプロピオニトリル等が挙げられる。
カーボネート類として、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が挙げられる。
スルホン類として、ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、ジエチルスルホン、スルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン等が挙げられる。
その他の副溶媒としては、水、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホオキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、トルエン、キシレン、パラフィン類、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールおよびその共重合体(以下、ポリアルキレングリコール)等の高分子量体として挙げられる。
上記の副溶媒のうちで、特に好適なものは、エチレングリコールである。
本発明では、必要により、添加剤を配合してもよい。添加剤を加える目的は多岐にわたるが、例えば、熱安定性の向上、水和などの電極劣化の抑制、耐電圧の向上、ガス発生の抑制、ハロゲン化物に対する耐性の付与等が挙げられる。添加剤の含有量は特に制限はないが、0.01〜20重量%の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.01〜10重量%の範囲である。
そのような添加剤の例として、p−ニトロフェノール、m−ニトロアセトフェノン、p−ニトロ安息香酸、p−ニトロベンジルアルコール、p−ニトロクレゾール、p−ニトロトルエン等のニトロ化合物、オルトリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、リン酸メチル、リン酸エチル、リン酸ブチル、リン酸イソプロピル、リン酸ジブチル、リン酸ジオクチル等のリン酸化合物、ホウ酸およびその錯化合物等のホウ酸化合物、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類、コロイダルシリカ、アルミノシリケート、シリコーン化合物(例えば、反応性シリコーンであるヒドロキシ変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、カルボキシル変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン等)やシランカップリング剤(例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等)等のケイ素化合物が挙げられる。
そのような添加剤の例として、p−ニトロフェノール、m−ニトロアセトフェノン、p−ニトロ安息香酸、p−ニトロベンジルアルコール、p−ニトロクレゾール、p−ニトロトルエン等のニトロ化合物、オルトリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、リン酸メチル、リン酸エチル、リン酸ブチル、リン酸イソプロピル、リン酸ジブチル、リン酸ジオクチル等のリン酸化合物、ホウ酸およびその錯化合物等のホウ酸化合物、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類、コロイダルシリカ、アルミノシリケート、シリコーン化合物(例えば、反応性シリコーンであるヒドロキシ変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、カルボキシル変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン等)やシランカップリング剤(例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン等)等のケイ素化合物が挙げられる。
本発明によれば、−40℃〜+105℃までの温度範囲で安定した特性を保ち、かつ音質の優れた音響用電解コンデンサを得ることができる。
本発明が適用される電解コンデンサの基本的な構造についての図は省略するが、電解コンデンサでは、エッチング処理および酸化皮膜形成処理を施した陽極箔と、エッチング処理を施した陰極箔とを、電解紙等のセパレータを介して巻回したコンデンサ素子が用いられている。エッチング処理では、アルミニウム箔に対して、酸性溶液中での化学的エッチングや電気化学的エッチングを行い、電極箔の表面を拡大する。
さらに、酸化皮膜形成処理では、リン酸やホウ酸などのアンモニウム塩を配合した水溶液中での陽極酸化を行う。なお、陰極箔の表面には、大気中酸化皮膜や薄い陽極酸化皮膜が形成されていることもある。
かかるコンデンサ素子は、駆動用電解液を含浸した後、有底筒状の外装ケースに収納される。その際、外装ケースの開口部に対して絞り加工を施して、外装ケースの開口部を弾性封口体より密閉する。
さらに、酸化皮膜形成処理では、リン酸やホウ酸などのアンモニウム塩を配合した水溶液中での陽極酸化を行う。なお、陰極箔の表面には、大気中酸化皮膜や薄い陽極酸化皮膜が形成されていることもある。
かかるコンデンサ素子は、駆動用電解液を含浸した後、有底筒状の外装ケースに収納される。その際、外装ケースの開口部に対して絞り加工を施して、外装ケースの開口部を弾性封口体より密閉する。
このような電解コンデンサを作製するにあたって、本形態では、γ-ブチロラクトンを含む溶媒中に、有機カルボン酸またはその塩を含む電解液を用いる。また、γ−バレロラクトンを電解液全体に対して1.0〜20.0重量%配合する。また、電解液は、副溶媒として、アルコール類、エーテル類、アミド類、オキサノリジノン類、ラクトン類、ニトリル類、カーボネート類、またはスルホン類を含んでいることが好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
まず、以下の表1に示す組成にて電解液の調整し、30℃における比抵抗測定後、電解コンデンサの作製を行った。電解コンデンサを作製するにあたっては、陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータを介して巻回した巻回型素子に電解液を含浸したのち、巻回型素子をアルミニウム外装ケースに収納して弾性封口体で封口した。使用した電解コンデンサ素子は、ケースサイズφ16mm×25mmL、定格電圧50V、静電容量1000μFである。
次に、作製した電解コンデンサをCDプレーヤーの出力カップリングコンデンサとして実装した後試聴し、音質評価を行った。評価方法として、音の均一さ、バランス、明るさ、透明感の評価項目で、五人の評価者が10点制で総合評価を行い、そのうち最も点数の高いものおよび最も点数の低いものを除外した残り三人の点数の平均値を評価点数とした。また、製品耐久性試験として作製した電解コンデンサを105℃の恒温槽中に1000時間放置した後、製品に定格電圧である50Vを印加し、1分間経過した後の漏れ電流値を測定した。
次に、作製した電解コンデンサをCDプレーヤーの出力カップリングコンデンサとして実装した後試聴し、音質評価を行った。評価方法として、音の均一さ、バランス、明るさ、透明感の評価項目で、五人の評価者が10点制で総合評価を行い、そのうち最も点数の高いものおよび最も点数の低いものを除外した残り三人の点数の平均値を評価点数とした。また、製品耐久性試験として作製した電解コンデンサを105℃の恒温槽中に1000時間放置した後、製品に定格電圧である50Vを印加し、1分間経過した後の漏れ電流値を測定した。
表1に示すように、実施例1と従来例1とを比較すると、添加剤としてγ-バレロラクトンを使用した実施例1は、105℃無負荷放置試験後の漏れ電流値が低下し、かつ良好な音質を示した。
次に、実施例1と従来例2とを比較すると、主溶媒のγ−ブチロラクトンを全く含まず、副溶媒のエチレングリコールと純水を用いた従来例2は、105℃無負荷放置試験後の漏れ電流値が大きいのに対し、主溶媒にγ-ブチロラクトン、添加剤としてγ-バレロラクトンを使用した実施例1では、恒温放置後の漏れ電流値が低い値を示した。
さらに、実施例1と実施例2〜7とを比較すると、γ−バレロラクトン添加量が1重量%未満である実施例2および添加量が30.0重量%である実施例7では、γ−バレロラクトンの含有量は1.0〜20.0重量%である場合に比較して音質が比較的悪い傾向にある。
よって、γ−バレロラクトンの含有量は1.0〜20.0重量%であることが望ましい。この含有範囲内においては、添加量によらず良好な音質効果が得られ、必要とする比抵抗値に応じて添加量を設定することができる。
よって、γ−バレロラクトンの含有量は1.0〜20.0重量%であることが望ましい。この含有範囲内においては、添加量によらず良好な音質効果が得られ、必要とする比抵抗値に応じて添加量を設定することができる。
実施例1と実施例8を比較すると、副溶媒を添加しない実施例8は、エチレングリコールを添加した実施例1と比して比抵抗が著しく上昇しており、コンデンサの駆動用電解液として不適である。よって、副溶媒を添加することがより望ましい。
また、実施例1と比較例1を比較すると、主溶媒としてエチレングリコール、副溶媒として水を添加した溶媒系の電解液にγ−バレロラクトンを添加した比較例1は、γ−バレロラクトンの添加による音質向上の効果は薄く、また、105℃無負荷放置試験後の漏れ電流値の改善も得られない。よって、本発明の主溶媒にはγ−ブチロラクトンを用いることが望ましい。
なお、本発明は、実施例に限定されるものではなく、先に記載した各種化合物を単独または複数溶解した電解液を用いて、いずれの構造の電解コンデンサも作製することができる。
Claims (4)
- γ−ブチロラクトンを主溶媒とする溶媒中に、有機カルボン酸またはその塩とγ−バレロラクトンとを含むことを特徴とする電解コンデンサの駆動用電解液。
- 前記γ−バレロラクトンを電解液全体に対して1.0〜20.0重量%含むことを特徴とする請求項1に記載の電解コンデンサの駆動用電解液。
- 前記溶媒は、副溶媒として、アルコール類、エーテル類、アミド類、オキサゾリジノン類、ラクトン類、ニトリル類、カーボネート類、およびスルホン類からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の溶媒を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の電解コンデンサの駆動用電解液。
- 請求項1〜3の何れか1項に記載の駆動用電解液がコンデンサ素子に含浸されていることを特徴とする電解コンデンサ。
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2007
- 2007-05-31 JP JP2007146025A patent/JP2008300684A/ja active Pending
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