JP2011071085A - 二次電池用正極及び二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の二次電池用正極は、Li2NiPO4F、LiNiPO4、LiCoPO4、Li2CoPO4F等の正極活物質と、導電性ダイヤモンドライクカーボン粉やグラッシーカーボン粉が含まれている導電助剤と、PTFE粉体との混合物がホットプレスによって成形されている。
【選択図】図1
Description
以下、本発明を具体化した実施形態について説明する。
まず、正極活物質の粉末を用意し、これに導電性助剤としてのグラッシーカーボン粉末(及び/又はダイヤモンドライクカーボン粉体)と、結合剤としてのポリテトラエチレン(PTFE)やポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のフッ素樹脂粉末とを加え、ホットプレスによって所望の形状に成形し、実施形態の二次電池用正極を得る。正極活物質としては、例えばLi2NiPO4F、LiNiPO4、LiCoPO4、Li2CoPO4F等のいずれか、あるいはこれらの混合物を用いることができる。これらの混合割合は、正極として必要とされる電子伝導性や、結合剤としての機能を奏するために必要なフッ素樹脂の添加量等を勘案して、適宜決定すればよい。代表的な割合としては、正極活物質粉末が60〜80重量%、グラッシーカーボン粉末が15〜35重量%、フッ素樹脂粉末が3〜10重量%である。
以下、本発明の二次電池用正極の発明の効果について立証するため、様々な導電性物質粉体をPTFE粉体と混合してホットプレス法によって円盤状電極を作製し、電位−電流曲線を測定した。
実験例1では、グラッシーカーボン粉(平均粒径0.5μm)とPTFEとを80:20の重量比で混合し、ホットプレスによって8mmφの円盤状の電極を作製した。
実験例2では、グラッシーカーボン粉砕品(平均粒径8μm)とPTFEとを80:20の重量比で混合し、ホットプレスによって8mmφの円盤状の電極を作製した。
実験例3では、ダイヤモンドライクカーボン粉末(平均粒径0.03μm)とPTFEとを80:20の重量比で混合し、ホットプレスによって8mmφの円盤状の電極を作製した。
(実験例4)
実験例4では、グラッシーカーボン粉砕品(平均粒径0.5μm)にPtを20重量%担持したPt担持グラッシーカーボン粉砕品とPTFEとを80:20の重量比で混合し、ホットプレスによって8mmφの円盤状の電極を作製した。
比較例1は、市販のグラッシーカーボン板そのものである
比較例2では、カーボンブラック(電気化学工業社製「HS−100」)とPTFEとを80:20の重量比で混合し、ホットプレスによって8mmφの円盤状の電極を作製した。
実験例3では、カーボンブラック(電気化学工業社製「HS−100」)を真空中3000℃で3時間熱処理を行なったものを4mgとPTFE粉体とPTFEとを80:20の重量比で混合し、ホットプレスによって8mmφの円盤状の電極を作製した。
上記のようにして作製した実験例1〜3及び比較例1〜3の電極について、リチウムイオン電池用電解液中で電位走査し、電位−電流曲線を測定した。電解液は次のように調製した。すなわち、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとセバコニトリルとを容量比で25:25:50となるように混合液を調製し、さらにLiPF6を1mol/Lとなるように溶解した溶液を電解液とし、三極式電解セル容器に入れた。
また、電解質を1M LiBF4へ変更して同様な測定をおこなった。その結果を図4に示す。この場合も比較例2のカーボンブラックやカーボンブラックを熱処理してグラファイト化した比較例3よりも、グラッシーカーボン粉砕品の実験例1やダイヤモンドライクカーボン粉末の実験例3や、Pt担持グラッシーカーボンの実験例4の方が、高電位側で電位窓が広がることがわかった。
さらに、電解質を1M LiTFSIへ変更して同様な試験をおこなった。その結果を図5に示す。この場合も比較例2の比較例2のカーボンブラックやカーボンブラックを熱処理してグラファイト化した比較例3よりも、グラッシーカーボン粉砕品の実験例1の方が、高電位側で電位窓が広がることがわかった。
以上は、リチウムイオン電池を想定した、LiPF6を溶解した溶液を電解液中での電位−電流曲線の測定に関する実験例であった。本発明は、リチウムイオン電池以外にナトリウムイオン電池においても適用することができる。このことを実証するために、NaPF6を溶解した溶液を電解液中での電位−電流曲線の測定についても行った。
実験例5では、グラッシーカーボン粉(平均粒径0.5μm)とPTFE粉体とを90:10の重量比で混合し、ホットプレスによって8mmφの円盤状の電極を作製した。
実験例6では、ダイヤモンドライクカーボン粉(平均粒径0.03μm)とPTFE粉体とを90:10の重量比で混合し、ホットプレスによって8mmφの円盤状の電極を作製した。
比較例4では、カーボンブラック(商品名:デンカブラック 電気化学工業株式会社製)とPTFE粉体とを90:10の重量比で混合し、ホットプレスによって8mmφの円盤状の電極を作製した。
上記のようにして作製した実験例5、6及び比較例4の電極について、ナトリウムイオン電池用電解液中で電位走査し、電位−電流曲線を測定した。電解液は次のように調製した。すなわち、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとセバコニトリルとを容量比で25:25:50となるように混合液を調製し、さらにNaPF6を0.5mol/Lとなるように溶解した溶液を電解液とし、三極式電解セル容器に入れた。
リチウムイオン電池用電解液はLi塩(電解質)と有機溶媒とを含んでいる。
Li塩には、Liイオン電池用の一般的なLi塩を用いることができる。例えば、LiPF6(六フッ化リン酸リチウム)、LiBF4(四フッ化ホウ酸リチウム)、LiTFSI(リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)、LiTFS(トリフルオロメタンスルホン酸リチウム)、LiBETI(リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド)又はこれらの2種以上を用いることができる。
なかでも、正極の酸化還元電位が4.5V以上のものについては、LiPF6、及び/又はLiBF4を使用することが好ましい。また、LiTFSIやLiTFSやLiBETIを用いる場合、LiPF6又はLiBF4を添加することが好ましい。
更にはニトリル化合物を有機溶媒として用いることができる。ここで、ニトリル化合物としては、鎖式飽和炭化水素化合物の両末端にニトリル基が結合した鎖式飽和炭化水素ジニトリル化合物、鎖式エーテル化合物の末端の少なくとも一つにニトリル基が結合した鎖式エーテルニトリル化合物及びシアノ酢酸エステルのうち少なくとも一つのニトリル化合物を挙げることができる。
シアノ酢酸エステルとしてはシアノ酢酸メチル、シアノ酢酸エチル、シアノ酢酸プロピル、シアノ酢酸ブチル等が挙げられる。これらのシアノ酢酸エステルは、炭素数は特に限定されないが、20以下であることが好ましい。
電位窓を広げる作用の観点からジニトリル化合物が好ましい。中でも、セバコニトリルの採用が更に好ましい。
ただし、ニトリル化合物は粘度が高いので、上述の鎖状炭酸エステル、環状炭酸エステル及び/又は環状カルボン酸エステルと併用することが好ましい。更に好ましくはニトリル化合物と鎖状炭酸エステル及び環状炭酸エステルとを併用する。鎖状炭酸エステルとしてはジメチルカーボネートを採用することができ、環状炭酸エステルとしてはエチレンカーボネートを採用することができる。
この場合、有機溶媒全体に占めるニトリル化合物の配合割合は1〜90容量%とすることが好ましい。更に好ましくは5〜70容量%であり、更に更に好ましくは、10〜50容量%である。
ナトリウムイオン電池用電解液はNa塩(電解質)と有機溶媒とを含んでいる。
Na塩には、従来からNaイオン電池用のNa塩として知られているものを用いることができる。例えば、例えば、NaClO4、NaPF6、NaBF4、NaCF3SO3、NaN(CF3SO2)2、NaN(FSO2)2、NaN(C2F5SO2)2、NaC(CF3SO2)3等が挙げられる。溶媒及び溶質の混合比は特に限定されず、目的に応じて適宜設定される。
また、各種添加剤(例えば、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、エチレンサルファイト)を0.1−3%程度入れることも好ましい。これにより、負極側で耐食性皮膜がで形成され、耐食性が向上する。
鎖状カーボネートは、ジメチルカーボネートのほかに、ジエチルカーボネートやエチルメチルカーボネートを使用することができる。
更にはニトリル化合物を有機溶媒として用いることができる。ここで、ニトリル化合物としては、鎖式飽和炭化水素化合物の両末端にニトリル基が結合した鎖式飽和炭化水素ジニトリル化合物、鎖式エーテル化合物の末端の少なくとも一つにニトリル基が結合した鎖式エーテルニトリル化合物及びシアノ酢酸エステルのうち少なくとも一つのニトリル化合物を挙げることができる。
シアノ酢酸エステルとしてはシアノ酢酸メチル、シアノ酢酸エチル、シアノ酢酸プロピル、シアノ酢酸ブチル等が挙げられる。これらのシアノ酢酸エステルは、炭素数は特に限定されないが、20以下であることが好ましい。
ただし、ニトリル化合物は粘度が高いので、上述の鎖状炭酸エステル、環状炭酸エステル及び/又は環状カルボン酸エステルと併用することが好ましい。更に好ましくはニトリル化合物と鎖状炭酸エステル及び環状炭酸エステルとを併用する。鎖状炭酸エステルとしてはジメチルカーボネートを採用することができ、環状炭酸エステルとしてはエチレンカーボネートを採用することができる。
この場合、有機溶媒全体に占めるニトリル化合物の配合割合は1〜90容量%とすることが好ましい。更に好ましくは15〜70容量%であり、更に更に好ましくは、30〜50容量%である。
正極は正極活物質と集電体とを備える。
(リチウムイオン電池用正極活物質)
リチウムイオン電池用正極活物質とは「負極よりも高い電位で結晶構造内にリチウムが挿入/離脱され、それに伴って酸化/還元が行われる物質」をいう。
正極活物質としては(1)酸化物系、(2)オリビン型結晶構造を有するリン酸塩系、及び(3)オリビンフッ化物系を挙げることができる。
1−1具体的物質
酸化物系としては、Li1−xCoO2(x=0〜1:層状構造)、Li1−xNiO2(x=0〜1:層状構造)、Li1−xMn2O4(x=0〜1:スピネル構造)、Li2-yMnO3系(y=0〜2)及びこれらの固溶体(ここで固溶体とは、上記酸化物系の正極活物質において金属原子が自由な割合で混合された物質を指す。)を挙げることができる。また、これらのうちの金属原子を他の金属原子でドープしたものも含まれる。ドーパントとしては酸化還元反応において電気化学的な特性を変化させられるものであれば特に限定されるものではない。例えば、Li、Mg、Al、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb及びMoの1種又はそれ以上を用いることができる。
1−2 特性
この正極活物質の一般的な放電電位は5V (vs Li/Li+)未満である。但し、LiMn2O4系でNiに一部置換した、LiNi0.5Mn1.5O4は、放電電位が4.7Vであり、急速充電をおこなう際には過電圧分を加味し、5Vを超える充電電圧を必要とする場合がある。また、LiCoMnO4は放電電圧が5.2V程度から始まるため、これも充電電圧は5Vを超える。また、酸化物系は一般に300℃未満で分解し、酸素発生とともに比較的大きな発熱反応がある。このため、過充電が起こらないような制御回路が必要とされる。
2−1具体的物質
オリビン型結晶構造を有するリン酸塩系としては、Li1−xNiPO4 (x=0〜1)、Li1−xCoPO4 (x=0〜1)、Li1−xMnPO4 (x=0〜1)、Li1−xFePO4 (x=0〜1)及びこれらの固溶体(ここで固溶体とは、上記リン酸塩系の正極活物質において金属原子が自由な割合で混合された物質を指す。)を挙げることができる。また、これらのうちの金属原子を他の金属原子でドープしたものも含まれる。ドーパントとしては酸化還元反応において電気化学的な特性を変化させられるものであれば特に限定されるものではない。例えば、Mg、Al、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb及びMoの1種又は2種以上を用いることができる(特開2008−130525号参照)。
2−2 特性
この正極活物質の酸化還元電位は、上記酸化物系とは異なり300℃未満では発熱反応が小さい上、酸素は発生せず、安全性が高いことから注目されている。また、リン酸塩系のうち、LiCoPO4系は放電電位が4.8V程度であり、急速充電に際しては5V以上で耐電圧を有する電解液が必要とされる。LiNiPO4の放電電位は5.2V (vs Li/Li+)が示唆されている。
3−1 具体的物質
Li2−xNiPO4F (x=0〜2)、Li2−xCoPO4F (x=0〜2)が知られており、その他Li2−xMnPO4F (x=0〜2)、Li2−xFePO4F (x=0〜2)が考えられる。
また、これらの固溶体(ここで固溶体とは、上記オリビンフッ化物系の正極活物質において金属原子が自由な割合で混合された物質を指す。)も挙げることができる。さらに、これらのうちの金属原子を他の金属原子でドープしたものも含まれる。ドーパントとしては酸化還元反応において電気化学的な特性を変化させられるものであれば特に限定されるものではない。例えば、Mg、Al、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Zr、Nb及びMoの1種又はそれ以上を用いることができる。
3−2 特性
この正極活物質の酸化還元電位はオリビン系と同様に、上記酸化物系とは異なり、300℃未満の分解では、発熱反応が小さい上、酸素発生がないため、正極活物質由来の電池発火の影響は小さいと考えられ安全性の面で注目されている。また、電池の電気容量密度(mAh/g)を上記リン酸塩系よりも高くできる(特開2003−229126号公報参照)。しかし、例えばLi2CoPO4F系は、平均放電電位が4.8V程度であり、急速充電に際しては5V以上で耐電圧を有する電解液が必要とされる。また、Li2NiPO4F系の放電電位は5.2V(vs Li/Li+)程度であり、5V以上で耐電圧を有する電解液が必要とされる。
その他、リチウム非含有のFeF3、有機導電性物質を用いた共役系ポリマー、シェブレル相化合物等を用いることもできる。また、遷移金属カルコゲン化物、バナジウム酸化物およびそのリチウム塩、ニオブ酸化物およびそのリチウム塩、さらには、複数の異なった正極活物質を混合して用いることも可能である。
正極活物質粒子の平均粒径は、特に限定はされないが、10nm〜30μmであることが好ましい。
ナトリウムイオン電池用正極活物質は、充放電によって可逆的に酸化−還元を繰り返すことのできる物質であって、ナトリウムイオンを可逆的にインターカレート−デインターカレートできる物質であることが要求される。
このような正極活物質としては、特開2009−129741号公報に記載されているNaFeO2、NaNiO2、NaCoO2、NaMnO2、NaFe1−xM1 xO2、NaNi1−xM1 xO2、NaCo1−xM1 xO2、NaMn1−xM1 xO2(ただし、M1は3価金属からなる群より選ばれる1種以上の元素であり、0≦x<0.5である。)で示される化合物等が挙げられる。これらのなかでも、主に鉄とナトリウムとを含有する複合酸化物であって、六方晶の結晶構造からなる複合酸化物を正極活物質として用いることにより、高い放電電圧を得ることができ、エネルギー密度の高い二次電池を得ることができる。
また、これらの化合物うちの遷移金属原子を他の金属原子でドープしたものでもよい。ドーパントとしては酸化還元反応において電気化学的な特性を変化させられるものであれば特に限定されるものではない。
正極用集電体とは正極活物質を担持する導電性の基板である。
正極の集電体の成形材料は、充電時において安定であることが要求される。特に、酸化還元電位の高いオリビン型結晶構造を有するリン酸塩系及びオリビンフッ化物系の正極活物質を用いるときには、耐食性に優れた素材を使用することが好ましい。
例えば、電解質としてLiPF6、LiBF4を使用する場合、オーステナイト系ステンレス、Ni、Al、Ti等を用いることができるが、使用する正極活物質の動作電位を考慮し、適宜選択することが好ましい。例えば、電解質としてLiPF6を用いる場合は、Li/Li+電極に対して6Vでも使用することができるが、電解質としてLiBF4を用いる場合、SUS304はLi/Li+電極に対し5.8V以下で充放電可能な場合のみ用いることができる。また、電解質としてLiTFSIを使用する場合、正極集電体表面に耐食性皮膜を形成させるべく、LiPF6を共存させることが好ましい。LiBETI及びLiTFSもLiTFSIの場合と同様である。
また、Al等の導電金属材料へ導電性DLC(ダイヤモンドライクカーボン)を周知の方法で被覆したものを集電体として用いることもできる。電解質がLiBF4やLiPF6など、容易にフッ化物皮膜を形成するようなリチウム塩の場合は、アルミニウム上へ厚いフッ化皮膜が形成し、耐食性は向上するものの、電子伝導性が低下し、ひいてはオーミック過電圧増加に伴う、高出力化が阻害されることとなる。Al等の導電金属材料へ導電性DLCを被覆すれば、フッ化物皮膜は導電性DLCの欠陥部分の極わずかな面積でのみ発生するだけである。このため、高電圧化しても電子伝導性の低下は無視できる程度となり、懸念されている高電圧化による出力低下は防ぐことが可能となる。
ここで、導電性ダイヤモンドライクカーボンとは、ダイヤモンド結合(炭素同士のSP3混成軌道結合)とグラファイト結合(炭素同士のSP2混成軌道結合)の両方の結合が混在しているアモルファス構造をとるカーボンのうち、導電性が1000Ωcm以下のものをいう。ただし、アモルファス構造以外に、部分的にグラファイト構造からなる結晶構造(すなわちSP2混成軌道結合からなる六方晶系結晶構造)からなる相を有し、これにより導電性が発揮されるものも含まれる。グラファイトとダイヤモンドの中間の性質を有するダイヤモンドライクカーボンは、成膜時にダイヤモンドライクカーボンを構成する炭素原子のSP2混成軌道結合とSP3混成軌道結合の比率を調整することで、導電性を調節することができる。
勿論、上記耐食性導電性金属材料を導電性DLCで被覆してもよい。
集電体の形状及び構造は、正極活物質や電池の構造に応じて、任意に設計可能である。
リチウムイオン電池用正極やナトリウムイオン電池用正極は、電池に組み込む前に、ニトリル化合物を1容量%以上含む有機溶媒中にリチウム塩(あるいはナトリウム塩)が溶解した前処理用電解液中に正電極を浸漬する浸漬処理工程を行い、さらに電極に正電圧を付与する正電圧処理工程を行なう。こうして前処理された電極は、ニトリル化合物を全く含まない電解液や、ニトリル化合物の添加量の少ない電解液を用いたリチウムイオン電池に用いても、電位窓が広く、高い電位においても電解液を分解し難くなる(特願2009−180007号参照)。このような広い電位窓の電極となる理由は、電極上に窒素を成分として含む耐食性の皮膜が形成されるためであると推測される。
負極は負極活物質と集電体とを備える。
(リチウムイオン電池用負極活物質)
リチウムイオン電池用負極活物質とは「正極よりも低い電位で結晶構造内にリチウムが挿入/離脱され、それに伴って酸化/還元が行われる物質」をいう。
リチウムイオン電池用負極活物質としては、例えば、人造黒鉛、天然黒鉛、ハードカーボン等の種々の炭素材料やチタン酸リチウム(Li4Ti5O12)、H2Ti12O25、H2Ti6O13、Fe2O3などが挙げられる。また、これらを適宜混合した複合体も挙げることができる。さらには、Si微粒子やSi薄膜、これらのSiがSi−Ni、Si−Cu、Si−Nb、Si−Zn、Si−Sn等のSi系合金となった微粒子や薄膜が挙げられる。さらには、SiO酸化物、Si−SiO2複合体、Si−SiO2−カーボンなどの複合体等を挙げることができる。
また、ナトリウムイオン電池用負極活物質とは「二次電池の負極として充放電によってナトリウムイオンが出入りするとともに可逆的に酸化−還元を繰り返すことのできる物質」であり、本発明においてはLi4Ti5O12を用いる。
負極用の集電体は汎用的な導電性金属材料、Cu、Al、Ni、Ti、オーステナイト系ステンレス等で形成することができる。
但し、電解液にニトリル化合物を用いたとき(他の有機溶剤との併用を含む)には、電解液中のLi塩(あるいはナトリウム塩)に応じて適宜選択する必要がある。すなわち、電解質としてLiPF6、LiBF4を使用する場合、オーステナイト系ステンレス、Ni、Al、Ti等の使用が可能となる。ただし、使用する負極活物質の動作電位に応じて、適宜選択する必要がある。負極活物質としてカーボン系やSi系を使用する場合において、電解質としてLiBF4を使用した場合は、Cu以外のAl、Ni、Ti、オーステナイト系ステンレス等からなる集電体を使用することができる。負極活物質としてチタン酸リチウムやFe2O3系の化合物を用いた場合は、Cuを含む上記材料の全てが適用可能である。一方、電解質としてLiPF6使用時はAl、Ni及びTiが好ましく、オーステナイト系ステンレス及びCuは好ましくない。また、電解質としてLiTFSIや、LiBETI、やLiTFSを使用する場合、Ni、Ti、Al、Cu、オーステナイト系ステンレスの何れも使用することができる。
セパレータは電解液中へ浸漬され、正極と負極とを分離し両者の短絡を防ぐとともに、LiイオンやNaイオンの通過を許容する。
かかるセパレータには、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂から成る多孔質フィルムが挙げられる。
ケースは電解液に対する耐食性を有する材質で形成される。その形状は、電池の目的用途に応じて任意に設計できる。
リチウム塩が溶解している電解液を使用する場合には、オーステナイト系ステンレスからなる基材、Ti、Ni及び/又はAlからなるケースを用いることができる。但し使用する正極、負極活物質の動作電位により適宜選択しなければならない場合もある。
ケースが集電体を兼ねる場合や集電体に電気的に結合される場合は、各電極の集電体形成材料と同一若しくは同種の材料で形成される。
2b…導電助剤(グラッシーカーボン粉末)
2…二次電池用正極
3…負極
Claims (3)
- 正極活物質と導電助剤とが含まれている二次電池用正極において、
前記導電助剤には導電性ダイヤモンドライクカーボン粉及びグラッシーカーボン粉の少なくとも1種が含まれていることを特徴とする二次電池用正極。 - 前記正極活物質はLi2NiPO4F、LiNiPO4、LiCoPO4及びLi2CoPO4Fの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1記載の二次電池用正極。
- 請求項1又は2記載の二次電池用正極と、ニトリル化合物を含む電解液と、を備えていることを特徴とする二次電池。
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