JP2011061133A - 半導体イメージセンサとその製造法 - Google Patents
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Abstract
光の全反射のみを利用した画素構成では、全反射面の角度が重要な設計要因となり、半導体イメージセンサの他の特性との両立が困難であった。また、光の入射角によっては全反射が実現されず、隣接画素へ光が漏れ込むことによる光感度低下や分解能劣化を誘起していた。
【解決手段】
感光素子11の上部に窪みを形成し、この内部に絶縁材料を充填して光学要素19を形成する。光学要素19は第1の材料と第2の材料とから構成されており、該光学要素の中央領域では第2の材料が、該光学要素内の周辺領域では第1の材料が、それぞれ主成分となり、屈折率分布を実現している。入射光25はカラーフィルタ20を通過した後、該光学要素内で屈折したり、側壁で全反射してから感光素子11へ到達する。
【選択図】図1
Description
(1)前記光学要素の中心に位置する層:
SiO2とSi3N4の含有率=0%
Ta2O5の含有率=100%
(2)前記光学要素の中心から少し離れていて中心領域に位置する層
(例えば、前記した(1)の外側に位置する層である):
SiO2とTa2O5の含有率=0%
Si3N4の含有率=100%
(3)前記中心領域と周辺領域の中間に位置する層:
SiO2とSi3N4の含有率=50%
Ta2O5の含有率=0%
(4)前記周辺領域で前記光学要素の最外周に位置する層:
SiO2の含有率100%
Si3N4とTa2O5の含有率=0%
といった含有率の例が挙げられる。
図1は、本発明の第1の実施形態としての画素構成例を示す図である。なお、同図において図形の縦横比は必ずしも実際の当該イメージセンサと合致しておらず、画素の構成および動作を概念的に示しているにすぎない。同図において、10はSiなどの半導体基板、11はフォトダイオードなどから成る感光素子、12は当該11からの光電変換信号を外部回路へ接続すると同時に当該11を周期的に基準電位まで充電するための拡散層、13は当該11と当該12とを電気的に接続するためのゲート電極、14は11から13などで構成されるトランジスタ、15は第1の絶縁層、16はイメージセンサの駆動および信号処理に必要な配線層であり、入射光が感光素子領域外へ照射されることを防止する光遮蔽層としても機能している。17は前記した16の表面に積層された酸化膜や樹脂などからなる第2の絶縁層であり、半導体イメージセンサの表面を平坦化する機能を有している。さらに、18は第2の絶縁層上に積層化された第3の絶縁層である。第1の絶縁層15と第2の絶縁層17と第3の絶縁層18の一部には、感光素子11の上部に位置するように窪みが形成され、この内部に絶縁材料あるいは樹脂材料が充填されて光学要素19が形成されている。すなわち、19は入射光に対面した上部開口、感光素子側との境界である底面、および、側壁とから構成されている。光学要素19の断面は同図に例示したように、図の垂直方向に一様な断面積を有するのではなく、上部に向かって断面積が大きくなるように形成されている。また、19の底面は感光素子11と直接接することがなく、第1の絶縁層15の一部を介して接していることが望ましいが、この限りではない。
図1に示した実施形態では、光学要素19の垂直方向の断面形状のみが例示されている。光学要素の水平方向での平面的な形状(輪切りにした時の形状)については、
(1)感光素子側との境界である底面は、当該感光素子の大きさと大略等しく、その形状
も当該感光素子と同じであることが好ましいが、この限りではない。当該感光素子
の形状は、通常は長方形(正方形を含む)であることが多いが、当該底面がこの長
方形以外の形状、例えば、多角形や円形であっても良い。
(2)入射光に対面した上部開口は、前記半導体イメージセンサの画素の大きさと大略等
しく、その形状も当該画素と同じであることが好ましいが、この限りではない。当
該画素の形状は、通常は長方形(正方形を含む)であることが多いが、当該上部開
口がこの長方形以外の形状、例えば、多角形や円形であっても良い。しかしながら、
当該画素へ入射した光を全て光電変換に寄与させるためには、前記上部開口は、当
該画素と同じ形状、同じ大きさであることが好ましい。
(3)光学要素の中間部分(側壁がある部分)は、前記上部開口と類似した形状であるこ
とが好ましいが、この限りではない。通常は、前記上部開口と前記底面とをつなぐ
ような形状、例えば、四角錐台(上面が下面よりも面積が大きい)類似の形状であ
る。
図3は前項で記載した屈折率分布を有する光学要素の集光機能を説明するための図である。同図(a)は光学要素を、断面が円形の筒型であると仮定した時の概念的な構造図である。中心部から外周部にかけて同心円状の図形が描かれており、層状の構造となっている。さらに、それぞれの円形境界で屈折率が階段状に変化する場合、即ち、図2(a)に例示した段階的な屈折率分布の場合に対応して示されている。図3(b)では、さらにモデルを簡略化した図が示されている。即ち、同図(a)において、中心部から外周部にわたって縦方向に切断し、複数の板が層状に積層された構造へ簡略化されている。この場合には、同図(b)の奥側が光学要素の中心部に、手前側が光学要素の外周部にそれぞれ対応している。さらに、同図(c)には、同図(b)の簡略化モデルを横側から見た概念図を示している。同図(c)では、右端の層が光学要素の中央部(屈折率が最大)、左端の層が光学要素の外周部(屈折率が最小)に対応している。さらに、同図(c)においては、下側が感光素子側に、上側が半導体イメージセンサの表面側(前記した上部開口であり、結像レンズからの光が入射する側)に対応している。同図(c)では、図形の右上から一定の入射角度をもって光が入射する様子が示されている。以下には、層状構造を有する光学要素の内部で、この光線が描く光跡をシミュレーション結果として例示する。
図4は前記した光学要素内での、入射光線の光跡を示している。同図の横軸は光学要素の中心(距離が0マイクロメートルに対応)から外周(距離が6マイクロメートルに対応)までの距離を示している。縦軸は光学要素の前記上部開口からの深さを示している。また、同図には中心から外周に向かって1マイクロメートル毎に屈折率が階段状に段階的に減少することも示されている。即ち、中心では屈折率2.0(Si3N4に相当)、外周では屈折率1.5(SiO2に相当)であるような6層構造である。以上のように、同図では、光学要素の直径が12マイクロメートル、高さが10マイクロメートルの円筒形(6層構造)で、屈折率が階段状に分布している構成を仮定している。さらに、同図では光学要素の最上部へ入射した光の入射角度(図3(c)を参照)をパラメータとしている。同図(a)では光学要素の中心に光が入射した場合、同図(b)では光学要素の中心から外周側へ2マイクロメートル離れた位置に光が入射した場合が示されている。
(1)入射角度10度では距離1マイクロメートルの位置で全反射し、屈折率1.9の
領域には入射せず、屈折率2.0の領域へ反射される。
(2)入射角度20度では距離2マイクロメートルの位置で全反射し、屈折率1.8の
領域には入射せず、屈折率1.9の領域へ反射される。
(3)入射角度30度では距離3マイクロメートルの位置で全反射し、屈折率1.7の
領域には入射せず、屈折率1.8の領域へ反射される。
(4)入射角度40度では距離5マイクロメートルの位置で全反射し、屈折率1.5の
領域には入射せず、屈折率1.6の領域へ反射される。
(5)入射角度50度では、光学要素の外側を構成する物質の屈折率に依存するが、距
離6マイクロメートルの所で全反射する場合もありうる。
(6)入射角度60度の場合は、光学要素の外側を構成する物質の屈折率に依存するが、
光学要素から外側へ光が抜け出る場合がありうる。
図4(b)では、入射角度が10度から30度までは、屈折率が変化する特定の境界で全反射する。例えば
(1)入射角度10度では距離3マイクロメートルの位置で全反射し、屈折率1.7の
領域には入射せず、屈折率1.8の領域へ反射される。
(2)入射角度20度では距離4マイクロメートルの位置(深さ方向では欄外の13マ
イクロメートル)で全反射し、屈折率1.6の領域には入射せず、屈折率1.7
の領域へ反射される。
(3)入射角度30度では距離5マイクロメートルの位置で全反射し、屈折率1.5の
領域には入射せず、屈折率1.6の領域へ反射される。
(4)入射角度40度では、光学要素の外側を構成する物質の屈折率に依存するが、距
離6マイクロメートルの所で全反射する場合もありうる。
(5)入射角度50度と60度の場合は、光学要素の外側を構成する物質の屈折率に依
存するが、光学要素から外側へ光が抜け出る場合がありうる。
図4(a)と(b)で示したように、入射角度が大きくなると、光学要素の外周に相当する側壁から外側へ光が抜け出る場合があることが分かる。この光の通過を阻止するために、光学要素の側壁(距離6マイクロメートルの位置)に反射層を設け、この反射層で光を反射させることにより、全ての光を光学要素内で伝播させることができる。かかる構成をとれば、屈折率分布を有する光学要素内の前記した特定の境界での全反射、および当該側壁での反射により、入射光を全て光学要素内に閉じ込めることができ、最終的には前記光学要素の底面から前記感光素子へ光を導くことが可能となる。
図5は前記した光学要素内での、入射光線の他の光跡例を示している。同図の横軸は光学要素の中心(距離が0マイクロメートルに対応)から外周(距離が6マイクロメートルに対応)までの距離を示している。縦軸は光学要素の最上部(上部開口)からの深さを示している。同図では、図2(b)に例示したような屈折率の分布、即ち、中心から外周に向かって直線的に屈折率が減少する場合が示されている。同図では、中心の屈折率は2.0(Si3N4に相当)、外周の屈折率は1.4(SiO2に相当すると仮定)としている。同図では光学要素の最上部へ入射した光の入射角度(図3(c)を参照)をパラメータとしている。同図(a)では光学要素の中心に光が入射した場合、同図(b)では光学要素の中心から外周側へ2マイクロメートル離れた位置に光が入射した場合が示されている。
図3乃至図5では、光学要素が円筒状であると仮定して光跡結果が示された。光学要素の形状はこれに限らず、他の形状であっても良い。例えば、光学要素が上方に向って断面積が大きくなるようなバケツ形(上下反転させた円錐台)であっても良い。図6(a)はバケツ形の光学要素の断面を示した図である。後述するように、光学要素を製造する場合には、側壁側から順次に透明絶縁膜が堆積されていく。このため、図2(a)のような階段状の屈折率分布の場合は、図6(a)のような形状になる。同図(a)の破線で区切った部分のみを切り出して簡易化した図が同図(b)に示されている。即ち、前記したバケツ形の光学要素においても、図4乃至図5に示したシミュレーション結果が適用可能である。ただし、図6(a)において50で示した入射光の角度と51で示した側壁角度との和が、図6(b)での入射角度に対応している。即ち、図4でのパラメータである角度を「図4での表示角度から側壁角度を減算した値が実際の入射光に対応する角度〔図6(a)の50〕である」と読み替える必要がある。例えば、側壁角度を20度とするならば、図4(a)での「30度」の光跡は、図6(a)では10度に対応している。
前項で記したように、側壁角度が20度の場合、図6に対応させて図4を読み替えると、
(1)光学要素の中心への入射光
1)0度から20度までの入射光は光学要素内の屈折率が変化する面で全反射
される
2)30度以上の入射光は光学要素の外周部から漏れ出す可能性がある
(2)光学要素の中心から2マイクロメートル離れた場所への入射光
1)0度から10度までの入射光は光学要素内の屈折率が変化する面で全反射
される
2)20度以上の入射光は光学要素の外周部から漏れ出す可能性がある
と言える。なお、本項での入射光の角度は図6(a)の座標系〔図6(a)の50に対応〕で記載されている。また、光学要素の外周部から漏れ出す光に対しては、当該光学要素の側壁に反射層を設け、この反射層で光学要素内に反射させれば、光の漏れ出しを防止することができる。
図7は前記光学要素を含む半導体イメージセンサの製造プロセスを概説する図である。同図において、図1と同一番号は同一構成要素を示している。同図(a)において、半導体基板10にフォトダイオードなどで構成された感光素子11と拡散層12を形成し、続いて、周知の技術を用いて第1の絶縁層15、ゲート電極13、光遮蔽機能を併せ有する配線層16が形成される。同図(a)では配線層16は単層の場合が例示されているが、複数層から構成されていても良い。続いて、配線層16を含む表面全体には第2の絶縁層17が形成される。さらに、第3の絶縁層18が17の上に積層化される。17と18の構成材料としては、透明な樹脂であっても良く、また、酸化膜や窒化膜のような絶縁材料であっても良い。第2の絶縁層17および第3の絶縁層18の表面は大略平坦になっているのが一般的であるが、必ずしも平坦である必要はない。同図(b)ではパターニングされたフォトレジストや金属や絶縁材などから成るマスク層60を利用して、感光素子11の上方に窪み61が形成される。この形成には主として化学的なエッチングなどが利用される。エッチングの具体的な手法としては、弗酸などを主成分とする湿式エッチング、プラズマや反応性ガスを用いる乾式エッチング、さらに乾式エッチングの一種として、深さ方向に断面形状変化が殆どない異方性エッチングや、深さ方向の断面形状変化を伴う等方性エッチングなどが挙げられる。また、窪み61の形成には、複数のエッチング技術を組合わせても良い。
本項では、図7(c)に示した光学要素62を充填し、さらに、図2(a)乃至図2(c)に例示した分布屈折率を実現するプロセスについて概説する。本発明の特徴である分布した屈折率は、周知の気相成長工程でガス、圧力、電力などの雰囲気条件を連続的に変化させながら絶縁材料を堆積させることにより実現される。具体的には、気相成長工程の初期においては、光学要素の外周部にSiO2のみを堆積させる。そして、時間経過とともに雰囲気中の窒素濃度を向上させるとともに酸素濃度を下げることにより、SiO2−Si3N4の混成膜を光学要素の中間部分に堆積させる。最終段階では酸素濃度をゼロもしくは極度に減少させることにより、Si3N4を光学要素の中心部に堆積させる。このような雰囲気条件の連続可変手法により、光学要素の周辺領域の屈折率をSiO2の大略1.45から、中心領域の屈折率をSi3N4の大略2.0まで実現することが可能となる。あるいは、気相成長工程での雰囲気を時間経過とともにSiがより多く含有するような制御手法も適用可能である。なお、上記の説明では、雰囲気条件を連続的に変化させる例が記載されているが、雰囲気条件を一定時間毎に変化させることにより、図2(a)のような階段状に変化する屈折率分布を実現することも可能である。
図8は本発明の第2の実施形態であり、窪みの他の形成法を示している。同図において、図1と同一番号は同一構成要素を示している。同図ではパターニングされたフォトレジストや金属や絶縁材などから成るマスク層70を利用して、感光素子11の上方に窪み71が形成されている。かかる形成の手段としては湿式エッチングや等方性RIE(反応性イオンエッチング)が代表的である。当該手段では、マスク層70の端部の下部までエッチングが行われ、マスク層70のパターニング開口よりも当該71の最上部の寸法が大きくなる特徴がある。図示していないが、引続く工程で窪み71に光学要素が形成される。
図9は本発明の第3の実施形態であり、窪みの他の形成法を示している。同図において、図1と同一番号は同一構成要素を示している。同図ではパターニングされたフォトレジストや金属や絶縁材などから成るマスク層80を利用して、感光素子11の上方に窪み81が形成されている。この窪み81は第1段階と第2段階の2ステップで形成される。第1段階では、異方性RIEなどでマスク層80のパターニング開口の形状と大略等しい形状を有する垂直の窪みが形成される。引続いて第2段階では、等方性RIEにより、マスク層80の端部の下部まで横方向にもエッチングが進行する。この2段階を経ることにより、図示したようなプラグ形の窪みが実現される。また、第1段階の異方性RIEでは、エッチング条件を変化させることにより、窪みの断面形状を変化させることが可能である。このため、図9に例示したように、窪みの下部(底面)から上部(上部開口)に向って断面積を少しずつ大きくしたり、あるいは、ほぼ同一な断面積として垂直な側壁形状を形成することも可能となる。本実施形態では、複数のエッチング手段が組合されて窪み加工されることが特徴である。図示していないが、引続く工程で窪み81には光学要素が形成される。
図10は本発明の第4の実施形態であり、窪みの他の形成法を示している。同図において、図1と同一番号は同一構成要素を示している。同図ではパターニングされたフォトレジストや金属や絶縁材などから成るマスク層90を利用して、感光素子11の上方に窪み91が形成されており、この窪みの側壁には金属薄膜などで構成された反射層92が設けられている。反射層92は蒸着などの周知の手段により設けられる。一般の蒸着手段においては、窪み91の底部まで反射層が形成されてしまうことがあるが、RIEなどの手法を用いて底部の反射層のみを除去する必要がある。一方、改良された蒸着装置を用いて斜め方向から金属粒子が飛来して、側壁部のみに反射層を形成しても良い。図示していないが、引続く工程で窪み91には光学要素が形成される。本実施形態では、光学要素の側壁で光が全反射することを利用できないような場合でも、入射光を効率よく反射させ、感光素子11へ光を集光できる利点がある。
図10に示した実施形態では、反射層92は、窪み91の側壁全体に設けられている。しかしながら、計算された光跡(図4および図5)を参照すると、反射層による当該側壁での反射は、当該側壁の上方で発生していることがわかる。換言すると、光学要素内で当該側壁の下方に向う光は、当該側壁に到達する以前に、光学要素内の屈折率が変化する部分で折り返され、光学要素の中心領域に向っている。このため、反射層92は当該側壁の上方部分にのみ形成されていても集光効果には何ら影響を与えない。この場合には、前項の後半で記載した「斜め方向からの蒸着」手法が採用できる。即ち、斜め方向からの蒸着では、当該窪みの底部に反射層が形成されないため、製造プロセスが簡略化される利点がある。
図11は本発明の第5の実施形態であり、半導体イメージセンサの画素の他の構成例を示している。同図において、図1と同一番号は同一構成要素を示している。なお、同図において図形の縦横比は必ずしも実際の当該イメージセンサと合致しておらず、画素の構成および動作を概念的に示しているに過ぎない。同図において、100は第2の絶縁層17の上部に設けられたカラーフィルタである。このカラーフィルタを形成してから、第3の絶縁層18が積層化され、続いて、光学要素101が形成される。入射光102は当該光学要素に入射してから、カラーフィルタ100で色分離され、感光素子11へ到達する。図1に示した構成と異なり、この構成では、光学要素の底部は感光素子11から離れて位置することになるが、光学要素101に屈折率分布を設けることにより、入射光の集光作用は達成される。
図12は本発明の第6の実施形態であり、半導体イメージセンサの画素の他の構成例を示している。同図において、図1と同一番号は同一構成要素を示している。なお、同図において図形の縦横比は必ずしも実際の当該イメージセンサと合致しておらず、画素の構成および動作を概念的に示しているに過ぎない。同図の構成では、光学要素111の下部にマイクロレンズ110が設けられていることに特徴がある。110は樹脂材料あるいは絶縁材料で形成されうるが、その屈折率が17の屈折率よりも大きい材料が選定されている。入射光112は、当該光学要素内での屈折率分布により前記した特定の境界で全反射したり、側壁での反射により、光学要素の底部に到達してから、マイクロレンズ110で屈折し、集光されてから感光素子11に到達する。本構成では、マイクロレンズは、集光機能に補助的な役割りを担っている。このマイクロレンズにより、光学要素の底面を通過した光が横方向に伝播することが阻止され、光電変換効率の向上に寄与できる。また、画素構成での設計自由度がさらに拡大される利点もある。
図13は図12の製造方法を概説する図であり、図1と同一番号は同一構成要素を示している。前記した工程により作成された同図(a)の構造体は、同図(b)に示すように、パターニングされたマスク層120を利用して乾式あるいは湿式の等方性エッチングを施すことにより、凹レンズ形状の凹み121が形成される。この形成工程後、同図(c)に示すように、第2の絶縁層17の屈折率よりも屈折率が大きい樹脂材料あるいは絶縁材料が当該構成全面上に被覆され、レンズ層122が形成される。引き続き、同図(d)に示すように、レンズ層122がエッチバックと称される工程により部分的に除去され、120と大略同一平面を有するように平坦化されて、マイクロレンズ123が形成される。同図での123の形状は図12での110の形状と異なるが、入射光の集光機能については同一とみなせる。なお、同図(d)ではマスク層120が除去されていないが、120と123の表面が平坦化されている限り除去の必要性はない。さらに、120が単にエッチング時のマスクとして機能するだけではなく、他の機能、例えば、入射光に対して低い透過率を有している材料から構成され光遮蔽機能をも有している場合には、マスク層120は除去されない方が好ましい。同図(e)は同図(d)とは異なり、図12の110と同一形状を実現するための製造例を示している。すなわち、同図(b)のマスク層120が除去されてから122が設けられ、さらにエッチバック工程により上面が平坦化されて123が形成される。
図14は本発明の第7の実施形態であり、当該半導体イメージセンサの画素の他の構成例を示している。同図において、図1と同一番号は同一構成要素を示している。なお、同図において図形の縦横比は必ずしも実際の当該イメージセンサと合致しておらず、画素の構成および動作を概念的に示しているに過ぎない。同図において、131は光学要素130の上部開口面に埋め込まれたマイクロレンズであり、図13で概説したような工程に類似して形成されている。131の屈折率は光学要素130の屈折率よりも大きいことが条件となり、当該条件を満足するような材料が選択される。本実施形態においても、レンズ層131は補助的なマイクロレンズとして機能しており、入射光の集光効率の増大に寄与している。
図15は本発明の第8の実施形態であり、図1と同一番号は同一構成要素を示している。同図は図1に例示した画素が横方向に3個並び、イメージセンサ部分140を構成している場合が示されている。なお、同図には図1に例示した画素構造、すなわち、光学要素の上部にカラーフィルタ20が配置されている構造を例示したが、図11から図14に例示した構造であっても良い。140上にはカバーガラス141が密着して積層化されている。前述したように、本発明においては、半導体イメージセンサの表面が本質的に平坦であるため、図15のようにカバーガラス141をイメージセンサ部分140の表面に密着させることが可能である。この密着構造により、突発的な力の印加に対しても、カバーガラス141が補強材として機能するので半導体イメージセンサの破壊を防止できる。さらに、カバーガラス141を積層化する前に、イメージセンサ部分140の表面を機械的に洗浄することができるので汚染防止の観点からも有利となる。
図16は本発明の第9の実施形態であり、前項で概説したカバーガラスへの機能付与の一例である。同図において、図15と同一番号は同一構成要素を示している。本実施形態では、図15の実施形態とは異なり、カラーフィルタ20が搭載されていない。同図において、151はその一部に蛍光膜を含むカバーガラスである。この蛍光膜は入射した紫外線152を可視光に変換して放射し、この可視光がイメージセンサ部分140で画像信号に変換される。蛍光膜からの可視光の放射には方向性がないので、140に配列された光学要素の構成としては図10に例示したような光学要素側壁に反射層を有するような構成が好ましいが、この限りではない。さらに、本実施形態では入射光が紫外線であるような事例が示されているが、入射光としてはこれに限らず、X線などの放射光が入射するような応用例でも、151の構成を変えることにより適用できる。
図17は本発明の第10の実施形態であり、図15と同一番号は同一構成要素を示している。なお、同図には図1に例示した画素構造、すなわち、光学要素の上部にカラーフィルタが配置されている構造を例示したが、図11から図14に例示した構造であっても良い。本実施形態では、カバーガラス161に画素に対応して配列された凸レンズ162が含まれている。この構成にでは、162は補助的なマイクロレンズとして機能し、フォトダイオード11への集光効果を一層高めることが可能である。162の形成方法については、各種の周知技術を利用することができる。例えば、カバーガラス161の下側表面を凹レンズ上の窪みに加工してから、162となる材料を埋め込むことが挙げられる。ここでは、凸レンズの機能を発揮させるため、162の屈折率は161の屈折率よりも大きな材料を選択する必要がある。しかしながら、従来例とは異なり、凸レンズ162は補助的機能を有すれば良いので、その形状や特性に対する制限は緩やかである。本実施形態においても、イメージセンサ部分140の表面はカバーガラス161の下側表面に密着させることが可能なため、従来のマイクロレンズ搭載事例での種々の課題は解決されることになる。
2 受光部
3 透明材料部
4 低屈折率部分
10 半導体基板
11 感光素子
12 拡散層
13 ゲート電極
14 トランジスタ
15 第1の絶縁層
16 配線層
17 第2の絶縁層
18 第3の絶縁層
19、62、101、111、130 光学要素
20、100 カラーフィルタ
21 第4の絶縁層
22、23 画素ピッチ
25、102、112 入射光
27 断面を示す部分
28 階段状の屈折率分布
29 直線状の屈折率分布
30 連続的な曲線状の屈折率分布
50 入射角度
51 側壁角度
60、70、80、90、120 マスク層
61、71、81、91 窪み
63 表面層
92 反射層
110、123、131 マイクロレンズ
121 凹み
122 レンズ層
140 イメージセンサ部分
141、151、161 カバーガラス
152 紫外線
162 凸レンズ
Claims (6)
- 配列された感光素子のそれぞれの上方に集光するための透明な光学要素を設けた半導体イメージセンサであって、
前記光学要素の中心領域の屈折率は、該光学要素の中心領域の外を占める周辺領域の屈折率より高くなることを特徴とする半導体イメージセンサ。 - 前記光学要素は、屈折率の異なる少なくとも2種類の透明材料から構成され、
前記中心領域から前記周辺領域に向かうに従い、
屈折率を高くする材料の含有率を小さくし、かつ、屈折率を低くする材料の含有率を大きくしたこと
を特徴とする請求項1に記載の半導体イメージセンサ。 - 前記光学要素の一部における屈折率は、
前記光学要素の一部においては前記少なくとも2種類の透明材料の構成比で決定される場合を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体イメージセンサ。 - 前記中心領域から前記周辺領域に向かうに従い、
前記光学要素は、
前記屈折率の低い材料の含有率を段階的に高めることにより、
該屈折率が段階的に低くなることを特徴とする請求項2に記載の半導体イメージセンサ。 - 前記中心領域から前記周辺領域に向かうに従い、
前記光学要素は、
前記屈折率の低い材料の含有率を連続的に高めることにより、
該屈折率が連続的に低くなることを特徴とする請求項2に記載の半導体イメージセンサ。 - 前記光学要素が、該光学要素を配置する前記半導体イメージセンサの絶縁層に接する側壁に、光を反射する層を設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の半導体イメージセンサ。
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