JP2011051063A - 研磨パッド及び研磨パッドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリマー組成物を発泡させてなる発泡層を有し、該発泡層が、その厚み方向に平均気泡径を連続的に変化させていることを特徴とする研磨パッドなどを提供する。
【選択図】 図1
Description
このCMPにおいては、被研磨物と研磨パッドとの間に砥粒を含むスラリーを介在させて前記被研磨物と前記研磨パッドとを摺接させることが行われており、該研磨パッドとしては、その最表面側の研磨層として発泡層を形成させたものが知られている。
前記発泡層は、ポリマー組成物によって発泡状態に形成されており、通常、研磨層として利用される場合には、前記砥粒を担持させたり、研磨によって発生する研磨カスを取り込ませたりし得るように、その表面において前記気泡を開口させる処理が施されて研磨パッドに備えられている。
このように発泡層を研磨に用いる研磨パッドは、被研磨物にスクラッチ傷等が発生することを防止しつつ表面研磨を実施することができ優れた表面研磨を実施させ得るものである。
また、このような研磨パッドは、前記発泡層が、通常、適度なクッション性を有することから、前記発泡層の表面と、前記被研磨物との接触状態を研磨時において安定させやすく、このような点においても優れた表面研磨の実施が容易に実現可能なものである。
しかし、研磨パッドを、その表面から裏側部分にかけて過度に柔軟に形成させるなどすると被研磨物のエッジ部に“ダレ”を発生させる場合があるため、従来、研磨層と、その裏側に設けられた下地層との積層構造を形成させ、しかも、前記下地層を前記研磨層よりも高硬度に形成させた研磨パッドが用いられたりしている(下記特許文献1、段落〔0043〕参照)。
すなわち、厚み方向にその特性を異ならせることによって、被研磨物の形状や、材質、あるいは、求められる表面平坦性などに応じて、それぞれに適した研磨パッドを作製して研磨品質の向上を図ることが従来検討されている。
当然ながら、このような層間剥離が生じると研磨パッドとして利用することができなくなるため、特許文献2記載の発明のように、発泡層に段階的変化を形成させることによって研磨パッドの耐用期間を短くさせるおそれを有する。
すなわち、本発明によれば、発泡層の厚み方向に、例えば、気泡が細かくクッション性に優れた部分と、該クッション性に優れた部分よりも気泡が粗く厚い気泡膜によって高強度に形成されている部分とが形成されている研磨パッドなどが提供されうることから、研磨の質の向上を図ることができる。
しかも、発泡状態の変化が連続的に変化していることから、例えば、特許文献2に記載されている発明に比べて特性の変化を抑制させた状態で、発泡層の厚み方向の特性を変化させることができ応力集中を抑制しうる。
すなわち、本発明によれば、耐用期間が短縮されるおそれを抑制しつつ、研磨の質の向上を図ることが可能な研磨パッドを提供し得る。
また、本発明の研磨パッドの作製方法によれば、上記のような効果を有する研磨パッドを簡便に作製し得る。
本実施形態に係る、研磨パッドは、直径数cmから数十cmの円板状に形成されており、図1左は、本実施形態に係る研磨パッドの使用形態を模擬的に示した側面図であり、右図は、左図の破線Xで示される部分の研磨パッドの断面構造を示す部分断面図である。
この図1に示すように、本実施形態に係る研磨パッド1は、ポリマー組成物を発泡させてなる発泡層10を有しており、該発泡層10のみによって形成されている。
すなわち、前記発泡層10は、その裏面を定盤に面接させるとともに、表面を被研磨物に摺接させて該被研磨物の研磨を行う研磨層として研磨パッド1全体を構成するものである。
この図1においては、その上側が、被研磨物の研磨に用いられる研磨パッド1の表面1sであり、下側が裏面1bである。
該研磨パッド1は、最表面側に位置する気泡Fsの表面側の気泡膜を除去する処理が施されており、前記気泡Fsが開口された表面状態を有している。
一方で、図1における下側となる裏面1bにおいては、気泡Fbを開口させる処理が施されておらず、気泡膜によって平坦面が形成されている。
そして、裏面側に向かうにしたがって、気泡が粗大化されており、それに伴って気泡膜も厚みを増して、表面1sの側に比べて、裏面1bの側の発泡度が低下しており、裏面側の硬度が、表面側よりも高くなるように形成されている。
また、そのような場合においては、表面1sの硬度が、ショアA硬度で、60〜98度とされ、且つ裏面1bの硬度が、ショアA硬度で、20〜70度とされることが“ダレ”防止などの観点から好適である。
この硬度についてのより好ましい値は、表面側が、80度以上で、裏面側が、30〜75度である。
なお、この研磨パッドにおける部分的な硬度は、実施例記載の方法によって測定可能である。
なお、発泡層10の形成に用いるポリマー組成物としては、求められる特性を容易に調整し得る点においてポリウレタン組成物を採用することが好ましい。
すなわち、ポリウレタン組成物は、ポリオール化合物などの活性水素含有有機化合物とイソシアネート基含有化合物とのそれぞれの選択によって硬度や引張強さといった機械的性質を調整することができる点において前記発泡層10の形成材料として好適である。
より具体的には、上記のような成分を含んだ液状の未硬化組成物を作製し、該未硬化組成物を発泡硬化させて前記発泡層10を形成させることができる。
なお、これらのイソシアネート基含有化合物としては、単独物を、又は複数を組み合わせたものを用いることができる。
また、イソシアネート基含有化合物は、市販されているものを用いることができる。
前記未硬化組成物における前記イソシアネート基含有化合物の割合は、30〜70質量%であることが好ましい。
なお、これらの芳香族ジイソシアネートは、単独物で、又は複数を組み合わせて用いることができる。
また、室温で液状であり、取り扱いが容易であるという点においては、カルボジイミド変性MDI、ポリメリックMDI、又はこれらとMDIとの混合物が好ましい。
なお、前記活性水素含有有機化合物は、分子中に前記官能基を1種のみ有していてもよく、分子中に該官能基を複数種有していてもよい。
なお、前記未硬化組成物における前記ポリオール化合物の割合は、10〜50質量%であることが好ましい。
なお、汎用品ではあるが、特定化学物質に指定され分子中に塩素を含んでいる、例えば前記MOCAなどのような前記ポリアミン化合物は用いずに未硬化組成物を調整することが好ましい。
前記低沸点炭化水素としては、例えば、ブタン、ペンタン、シクロペンタン、及びこれらの混合物などが挙げられる。
前記ハロゲン化炭化水素としては、塩化メチレン、HFC(ハイドロフルオロカーボン類)等が挙げられる。
前記発泡剤としての水は、前記未硬化組成物中に0.01〜0.5質量%配合されていることが好ましい。
前記未硬化組成物における触媒は、前記未硬化組成物中に0.0001〜0.5質量%配合されていることが好ましい。
本実施形態の研磨パッドを製造する製造方法としては、発泡層と略同一形状となる扁平状の収容スペースを有する金型に前記ポリマー組成物を注型して、厚み方向に平均気泡径を連続的に変化させた発泡層そのものを当該金型で作製する方法や、高さ方向に平均気泡径を連続的に異ならせた円柱状の発泡体を一旦形成させた後に、該発泡体を所定厚みにスライスして発泡層を作製する方法などが挙げられる。
前記金型としては、その形状等が特に限定されるものではなく、発泡体を形成させるために広く一般的に利用されているものを用いることができる。
したがって、以下には、このような方法を採用するのに適した金型を例示しつつ本実施形態の研磨パッドのる製造方法を説明する。
図2は、本実施形態にかかる研磨パッドの製造方法において用いる金型の上面図であり、図3は、前記金型の略中心部を通る縦断面図である。
(a)前記活性水素含有有機化合物及び前記発泡剤を含む混合活性水素液と前記イソシアネート含有化合物を含むイソシアネート含有液とを連続的に混合させることにより液状の未硬化ポリウレタン組成物(硬化性ポリマー組成物)を作製する混合工程、
(b)前記未硬化ポリウレタン組成物を扁平状の収容スペースを有する金型内に充填する充填工程、
(c)前記未硬化ポリウレタン組成物を金型内で十分、発泡・硬化させて得られた発泡層を取り出す取り出し工程、
(d)取り出された発泡層10の表面1sをバフ加工して、表面1sの気泡Fsを開口させる開口工程。
まず、用いる金型100について、説明する。
前記下金型4aの型面(上面)には、周方向に沿った端縁4e1から内方側へ所定距離をおいて下方側へ凹入することにより形成されている凹入部4a1が備えられている。
前記上金型4bの型面(下面)には、周方向に沿った端縁4e2から内方側へ所定距離をおいて下方側へ突出することにより形成されている突出部4b1が備えられている。
また、前記金型100は、下金型4aの凹入部4a1に上金型4bの突出部4b1が僅かなクリアランスを設けて嵌合するように構成されている。
また、前記凹入部4a1に前記突出部4b1を突入させた際には、該凹入部4a1の底面と前記突出部4b1の先端面とが当接される前に該凹入部4a1の外側の領域と突出部4b1の外側の領域とが面接するように、前記下金型4aと上金型4bとが構成されている。
すなわち、下金型4aと上金型4bとは、互いに、最も近接させた際において凹入部4a1の底面と上金型4bの突出部4b1の最下面との間に扁平状の収容スペース8(キャビティ8)が形成されるように構成されている。
また、前記上金型4bには、前記未硬化ポリウレタン組成物を金型100に注入させるための管状部材6の先端に設けられた球面と面接して、該管状部材6の開口を前記貫通孔9に位置あわせさせるべく、その上面を前記貫通孔9の周りにおいて球面状に凹入させて球面部9aが形成されている。
また、下金型4aを側方から貫通し、キャビティー8の側面8aを画定する箇所において下金型4aの型面に開口するような経路を通じて未硬化ポリウレタン組成物をキャビティー8に流入させることも可能である。
なお、この金型100への未硬化ポリウレタン組成物の導入には、前記混合活性水素液と前記イソシアネート含有液とを混合するためのミキシングヘッドを有するRIM成形機などを利用することができる。
また、前記金型100の内部に形成されるキャビティー8の形状は、ここでは作製する発泡層と略同形である。
また、円柱状の発泡体を形成して該発泡体をスライスする方法にも当該金型を応用可能であり、その際には、少なくとも、上面視におけるキャビティーの形状が発泡層の上面視形状と略同形となるように前記金型を形成させておくことが好ましい。
なお、前記金型100の材質としては、例えば、金属、樹脂などが挙げられる。
先に述べたように、この混合工程は、前記活性水素含有有機化合物及び前記発泡剤を含む混合活性水素液と前記イソシアネート含有化合物を含むイソシアネート含有液とを連続的に混合させることにより液状の未硬化ポリウレタン組成物(硬化性ポリマー組成物)を作製する工程である。
前記活性水素含有液及び前記発泡剤を含む混合活性水素液と、前記イソシアネート含有液とは、それぞれを予め調製して別々に保管しておくことにより、斯かる2液を混合するまでは、斯かる2液それぞれにおいて硬化反応がほとんど進行せず、斯かる2液を比較的長時間貯蔵することができることから、研磨パッドの製造における工程の時間管理がしやすくなるという利点がある。
前記充填工程の直前に実施することにより、前記硬化性ポリマー組成物におけるウレタン化反応が過度に進行する前に前記充填工程を実施することができ、該充填工程を容易に実施させうる。
詳しくは、前記混合活性水素液と前記イソシアネート含有液とを混合すると直ちに、混合活性水素液に含まれている活性水素含有有機化合物の活性水素基と、前記イソシアネート含有液に含まれているイソシアネート基含有化合物のイソシアネート基との反応等が進行し、この反応等の進行に伴って硬化性ポリマー組成物の粘度が上昇することから、続く前記充填工程における硬化性ポリマー組成物の充填が時間の経過に伴って徐々に困難となり得る。
従って、前記混合工程を前記充填工程の直前に実施することにより、得られた硬化性ポリマー組成物の粘度が過度に上昇する前に前記充填工程を実施することができる。
また、前記発泡剤が水である場合には、前記混合活性水素液と前記イソシアネート含有液とを混合することにより、発泡剤である水とイソシアネート基との反応によって比較的短時間に前記硬化性ポリマー組成物が発泡しはじめることから、前記硬化性ポリマー組成物における発泡が過度に進行する前に前記充填工程を実施すべく、前記混合工程は、前記充填工程の直前に実施することが好ましい。
斯かる操作は、例えば後述する反応射出成形機(RIM成形機)を用いることによって実施できる。
具体的には斯かる操作においては、前記混合活性水素液と前記イソシアネート含有液とを衝突させて該2液を混合させて前記未硬化ポリウレタン組成物を流体として作製する。
例えば、第三級アミン化合物の種類や量を調整して未硬化ポリウレタン組成物に含有させることにより、前記混合工程を実施してから斯かる発泡現象が始まるまでの時間を調整することができるという利点がある。
また、活性水素含有有機化合物の活性水素とイソシアネート含有化合物のイシシアネート基との反応速度を適度に小さくでき、発泡現象が生じる前における未硬化ポリウレタン組成物の粘度上昇を抑制できるという点において、前記活性水素含有液が前記ポリオール化合物を含むものであることが好ましい。
斯かる点において、前記未硬化ポリウレタン組成物は、イソシアネート基含有化合物を含むイソシアネート含有液と、前記ポリオール化合物を含む活性水素含有液と、水と、前記触媒としての第三級アミン化合物とを混合したものが好ましい。
また、前記イソシアネート含有液及び前記活性水素含有液の合計100質量部に対する前記発泡剤は、0.01〜1.0質量部であることが好ましい。
該充填工程においては、図2、図3に例示の金型100を用いる場合であれば、その扁平状の内部空間(キャビティー8)に前記混合工程で作製された液状の硬化性ポリマー組成物を注入して前記キャビティー8の内部に充填する操作を実施する。
詳しくは、前記充填工程は、通常、前記混合工程の直後に実施するものであり、例えば、RIM成形機を用いて、前記混合活性水素液と前記イソシアネート含有液とを衝突させて混合工程を実施し、得られた未硬化ポリウレタン組成物を、このRIM成形機から排出させて前記貫通孔9を通じて前記第1状態に保持された金型100内に注入する方法が挙げられる。
前記充填工程において前記内部空間に前記未硬化ポリウレタン組成物を充填する量としては、充填後に前記未硬化ポリウレタン組成物が発泡によって見かけ上の体積を増加させる程度(発泡度)にもよるが、例えば、内部空間(キャビティー)の容積の50〜100%とされ得る。
発泡層単体によって形成されている本実施形態の研磨パッドを製造する製造方法においては、前記混合工程、及び当該充填工程などをこのRIM成形法によって実施することができる。
また、前記イソシアネート含有液及び前記混合活性水素液のそれぞれを原料タンクに入れて所望の温度で保持しておくことにより、未硬化ポリウレタン組成物の硬化反応を所望の温度で進めやすくなる。
即ち、RIM成形機の計量ポンプによって前記イソシアネート含有液及び前記混合活性水素液のそれぞれを所望の流量となるように循環させておくことにより、これらをミキシングヘッドにおいて比較的短時間で混合し、迅速に金型の収容スペースに注入することができる。
また、上記のように循環を行っていることで未硬化ポリウレタン組成物の所望量を精度良く注入しやすくなるという利点も有する。
ところが、金型への充填完了間際においては、噴出量が少なくなることに起因して各原料の撹拌が不十分になりやすく、また、流量の精密な制御が困難になりやすいことから原料割合にも誤差を発生させやすい。
従って、RIM成形機から、金型のキャビティーに至る区間において液だめ部を設けて、この問題となりそうな未硬化ポリウレタン組成物を除外することが好ましい。
このように液状の硬化性ポリマー組成物を、RIM成形機からの流出後、前記キャビティー流入前に一旦貯留することのできる液だめ部を設けることで、形成材料の不均一によって生じる特性や発泡状態の予期せぬ乱れが発泡層に形成されるおそれも低減させることができる。
このように、例えば、前記扁平状の収容スペース(キャビティー)を形成すべく対向している金型の内壁面の内の一方の表面温度を未硬化ポリウレタン組成物よりも高温とし、他方の表面温度を前記一方の表面温度よりも低温にした状態で前記未硬化ポリウレタン組成物を流入させることによって、より簡便に、厚み方向に平均気泡径が連続的に変化している発泡層を形成させることができる。
発泡層の厚みが、1.5〜10mm程度であれば、未硬化ポリウレタン組成物の温度をT1(℃)としたときに前記一方の表面温度を、(T1+15℃)〜(T1+60℃)とし、前記他方の表面温度を、(T1−10℃)〜(T1+40℃)とすることで発泡状態の連続的な変化を発泡層の厚み方向に良好に形成させ得る。
そして、研磨層がポリウレタン組成物を発泡させてなる発泡層によって構成されている場合は、その表面側が、通常、比重0.1〜0.9、好ましくは比重0.2〜0.8、さらに好ましくは比重0.4〜0.6とされ、且つショアA硬度で80度以上とされることが好ましい。
なお、発泡層の硬度は、この発泡状態によっても制御ができるが、例えば、前記未硬化ポリウレタン組成物におけるMOCAなどのポリアミン化合物の量の調整、ならびに、前記MDIなどの芳香族ジイソシアネートの量の調整によっても調整が可能である。
この取り出し工程は、前記充填工程後、未硬化ポリウレタン組成物を金型内で十分発泡、硬化させ、その後、形成された発泡層を前記金型から取り出す工程である。
この開口工程は、前記取り出し工程において取り出された発泡層の表面1sをバフ加工して、表面1sの気泡Fsを開口させる処理を実施するものである。
前記取り出し工程において取り出された発泡層は、そのままの状態で、研磨パッド1に用いることもできるが、該発泡層10を、被研磨物の研磨を行う研磨層として利用する場合には、その表面において気泡を開口させる当該開口工程を実施することにより研磨に用いる砥粒や、研磨によって発生する研磨カスを開口させた気泡内に取り込ませることができ、被研磨物にスクラッチ傷等が発生することを防止しつつ優れた表面研磨を実施させ得る。
すなわち、被研磨物に接する側は、キメ細かな気泡が高い発泡度で形成され、裏面側に比べて柔軟に形成されている。
そのため、被研磨物にエッジ部の“ダレ”が発生することを防止できるなど、優れた研磨性能が発揮されることとなる。
しかも、特開2003−220550号公報に記載されている研磨パッドのように、界面を形成させて段階的に気泡径を変化させているのではなく、平均気泡径が連続的に変化していることから発泡層における局所的な応力集中が抑制され、層間剥離などの発生を防ぐことができる。
なお、本実施形態における研磨パッドの製造方法によれば、このような厚み方向への平均気泡径の連続的な変化を容易に調整し得ることから、被研磨物の形状や材質、求められる表面品質などに応じて、それぞれに最適な研磨パッドを簡便に作製することができる。
また、本実施形態においては、研磨パッドとしての製品寿命に影響を与える界面が、実質的に形成されない点において、発泡層単層で構成された研磨パッドを例示しているが、上記に説明したような平均気泡径の連続的な変化を有する発泡層が別の下地層などと積層されて研磨層として用いられる場合も本発明の意図する範囲である。
なお、これらに限定されず、各種の発泡状態を採用することができる。
しかも、本実施形態においては、発泡層の生産性や、品質の安定性の観点から、RIM成形法を主体に本発明の研磨パッドの製造方法を説明しているが、RIM成形以外の成形方法も採用が可能である。
さらには、開口工程なども研磨パッドにおいて求められる発泡層の機能に応じて省略することも可能である。
(混合活性水素液)
混合活性水素液は、下記配合内容で調整した。
アクトコールEP−3033(商品名PPG系ポリオール、三井化学社製)100質量部
ジエチレングリコール 33質量部
DABCO−33LV(商品名、アミン系触媒、エアプロダクツ社製)0.15質量部
SH−193(商品名、整泡剤、東レシリコン社製、変成シリコーン) 2質量部
アデカタブ465E(商品名、スズ系触媒、株式会社ADEKA製」0.003質量部
純水 0.20質量部
(a)40℃に加温したミリオネートMTL(ポリイソシアネート、官能基=2、日本ポリウレタン社製)
(b)40℃に加温した上記混合活性水素液
とを、(a):(b)=45質量部:55質量部となる割合で(注型速度=250g/秒、圧力=150kgf/cm2、((a)、(b)両液共同じ))混合する混合工程を実施して、65℃に加温された密閉金型(収容スペース= 一辺85cmの正方形×隙間3.4mm)に、1250g(注型量合計)注型する充填工程を実施し、15分放置して金型内で発泡、硬化させた後に取り出す取り出し工程を実施した。
脱型したシートは、100℃のオーブンにて24時間、アフターキュアーを行い、全体の見掛け比重=0.50、硬度90度(ショアA)の発泡体シート(発泡層)を得た。
この発泡体シートの断面写真を図6に示す。
そして、この断面写真をもとに、厚み方向上側の領域における平均気泡径と下側の領域における平均気泡径とを観察したところ、以下のようになった。
上側:平均気泡径 44.1μm、気泡占有率 62.8%
下側:平均気泡径 64.6μm、気泡占有率 47.2%
(平均気泡径の測定方法)
パッド断面のSEM画像を画像解析ソフト(三谷商事株式会社製、製品名:WinROOF)によりポア部分とそれ以外の部分の色を2値化して分離し、SEM画像内の任意の0.5mm×0.5mmの範囲内のポア部分の面積率及び気泡数を求めた。
次いで、気泡総面積を気泡数で割ることにより平均気泡径を算出した。
なお、切断面による気泡径バラツキによる補正はしていない。
結果、上側(硬度:85、比重0.44)、下側(硬度:96、比重0.80)の値が観察された。
なお、硬度と比重との測定は、それぞれ以下のようにして実施した。
JIS K6253に基づいて測定した。
具体的には、パッド上側は、上記パッドの下側部分をバフにより取り除き、この上側部分のみを総厚みが約6mmになるように重ねて測定した。
パッド下側も同様に、上記パッドの上側部分をバフにより取り除き、この下側部分のみを総厚みが約6mmになるように重ねて測定した。
JIS K7222に基づいて測定した。
具体的には、パッド上側は、パッド下側をバフにより取り除き、この上側部分のみの厚みと重量から計算した。
パッド下側も同様に、パッド上側をバフにより取り除き、この下側部分のみの厚みと重量から計算した。
一方で、上部では、温度上昇が緩やかになるために、泡化が十分進んでから硬化が起こったために低比重、低硬度となって形成されている。
金型温度を、上金型40℃、下金型60℃とした以外は、実施例1と同様として研磨パッドを作製した。
得られた研磨パッドの断面写真(SEM写真)を図7に示す。
図7における(1)〜(3)で平均気泡径および気泡占有率を実施例1同様に測定したところ、下記表1の通りとなった。
Claims (6)
- ポリマー組成物を発泡させてなる発泡層を有し、該発泡層が、その厚み方向に平均気泡径を連続的に変化させていることを特徴とする研磨パッド。
- 被研磨物を研磨すべくその表面に前記被研磨物が摺接される研磨層が前記発泡層によって形成されている請求項1記載の研磨パッド。
- 前記研磨層を形成している発泡層が、被研磨物に摺接される表面側から裏面側に向けて平均気泡径を連続的に拡大させている請求項2記載の研磨パッド。
- 前記ポリマー組成物が、ポリウレタン組成物である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の研磨パッド。
- ポリマー組成物を発泡させてなる発泡層を有している研磨パッドを作製すべく、発泡剤を含んだ液状の硬化性ポリマー組成物を作製し、該硬化性ポリマー組成物を扁平状の収容スペースを有する金型内において発泡、硬化させて前記発泡層を形成させる研磨パッドの製造方法であって、
厚み方向に平均気泡径が連続的に変化している前記発泡層を形成させるべく、前記硬化性ポリマー組成物の温度と前記金型の表面温度とを異ならせた状態で前記硬化性ポリマー組成物を前記金型内に流入させて、該金型表面に接する表面部分の発泡状態を内部の発泡状態と異ならせることを特徴とする研磨パッドの製造方法。 - 前記扁平状の収容スペースを形成すべく対向している前記金型の内壁面の内の一方が、その表面温度を前記硬化性ポリマー組成物よりも高温とし、他方がその表面温度を前記一方の表面温度よりも低温にした状態で該金型内に前記硬化性ポリマー組成物を流入させる請求項5記載の研磨パッドの製造方法。
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