JP2011032942A - 電動式油圧作業機におけるポンプ制御システム - Google Patents
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Abstract
【課題】油圧アクチュエータに圧油供給する油圧ポンプを電動機で駆動せしめるように構成された電動式油圧作業機において、電動機の温度上昇により電動機の出力が低下してしまうことを防止すると共に、作動油の温度が低い場合に電動機に過電流が流れてしまうことを防止する。
【解決手段】ポンプトルク制御部20に、電動機の温度上昇に応じて油圧ポンプのトルクを低く設定する第一ポンプトルク設定器25と、作動油の温度低下に応じて油圧ポンプのトルクを低く設定する第二ポンプトルク設定器26とを設け、上記第一、第二ポンプトルク設定器25、26により設定された設定トルクのうち低い方の設定トルクに基づいて、電動機の温度上昇及び作動油の温度低下に応じて油圧ポンプのトルクを低下させるポンプトルク低下制御を行うように構成した。
【選択図】図3
【解決手段】ポンプトルク制御部20に、電動機の温度上昇に応じて油圧ポンプのトルクを低く設定する第一ポンプトルク設定器25と、作動油の温度低下に応じて油圧ポンプのトルクを低く設定する第二ポンプトルク設定器26とを設け、上記第一、第二ポンプトルク設定器25、26により設定された設定トルクのうち低い方の設定トルクに基づいて、電動機の温度上昇及び作動油の温度低下に応じて油圧ポンプのトルクを低下させるポンプトルク低下制御を行うように構成した。
【選択図】図3
Description
本発明は、電動機により油圧ポンプを駆動させ、該油圧ポンプからの圧油供給で各種油圧アクチュエータを駆動させるように構成された電動式油圧作業機におけるポンプ制御システムの技術分野に関するものである。
一般に、トンネル内で作業を行なうような場合には、排気ガスを発生する作業機械の使用は好ましくなく、そこで、従来から、例えば電動式油圧ショベルのように、電動機により油圧ポンプを駆動させ、該油圧ポンプからの圧油供給で各種油圧アクチュエータを駆動させるように構成された電動式油圧作業機が知られている。この様な電動式油圧作業機は、排ガス問題に対応できるばかりか、低騒音化も図ることができるため、近年、種々の作業現場での重要が増加している。
ところで、前記電動式油圧作業機において、長時間連続して重負荷作業をしたような場合に、電動機の温度(コイル温度)が上昇してコイル抵抗が大きくなり、これにより電動機に流れる電流値が小さくなって電動機の出力トルクが低下してしまうことがある。この様に電動機の温度が上昇して出力トルクが低下した場合、電動機が過負荷状態になって、電動機のファンによる冷却が追いつかず、コイル温度が異常に上昇して焼損しまう惧れが生じる。これを防止するために、コイル温度が異常に上昇した場合に電動機を停止させる温度プロテクタが設けられるが、該温度プロテクタが作動すると、作業の途中、例えば電動式油圧ショベルにおいてバケットが空中に位置しているような場合であっても電動機が停止してしまうため、作業を続行することができないという問題がある。
一方、電動機によって駆動される油圧ポンプは、作動油の温度が低いと、ポンプ効率が低下してポンプ駆動トルクが大きくなる。このため、作動油温度が低い場合には、電動機が過負荷状態になって過電流が流れ、これにより過電流時に電動機を停止させる過電流保護回路が作動してしまう惧れが生じる。該過電流保護回路が作動した場合にも、前述した温度プロテクタが作動した場合と同様に電動機が停止して、作業を行なうことができないという問題がある。
そこで、従来、電動機(電動モータ)の温度が所定温度を越えると、電動機の最大出力トルクを、電動機の温度に応じて制限する最大出力トルク制限手段を設けた技術(例えば、特許文献1参照。)や、電動機の起動時に、作動油温度が低い場合には、始動時目標周波数から最終目標周波数に至るまでの変化時間を長くするようにした技術(例えば、特許文献2参照。)が提唱されている。
ところで、前記電動式油圧作業機において、長時間連続して重負荷作業をしたような場合に、電動機の温度(コイル温度)が上昇してコイル抵抗が大きくなり、これにより電動機に流れる電流値が小さくなって電動機の出力トルクが低下してしまうことがある。この様に電動機の温度が上昇して出力トルクが低下した場合、電動機が過負荷状態になって、電動機のファンによる冷却が追いつかず、コイル温度が異常に上昇して焼損しまう惧れが生じる。これを防止するために、コイル温度が異常に上昇した場合に電動機を停止させる温度プロテクタが設けられるが、該温度プロテクタが作動すると、作業の途中、例えば電動式油圧ショベルにおいてバケットが空中に位置しているような場合であっても電動機が停止してしまうため、作業を続行することができないという問題がある。
一方、電動機によって駆動される油圧ポンプは、作動油の温度が低いと、ポンプ効率が低下してポンプ駆動トルクが大きくなる。このため、作動油温度が低い場合には、電動機が過負荷状態になって過電流が流れ、これにより過電流時に電動機を停止させる過電流保護回路が作動してしまう惧れが生じる。該過電流保護回路が作動した場合にも、前述した温度プロテクタが作動した場合と同様に電動機が停止して、作業を行なうことができないという問題がある。
そこで、従来、電動機(電動モータ)の温度が所定温度を越えると、電動機の最大出力トルクを、電動機の温度に応じて制限する最大出力トルク制限手段を設けた技術(例えば、特許文献1参照。)や、電動機の起動時に、作動油温度が低い場合には、始動時目標周波数から最終目標周波数に至るまでの変化時間を長くするようにした技術(例えば、特許文献2参照。)が提唱されている。
しかしながら、前記従来のものは、何れもインバータ制御により電動機を制御するものであって、構成が複雑になりコストも高くつくという問題がある。さらに、電動機の制御だけでは、該電動機にかかる負荷の制御はできないため、油圧ポンプのトルク制御も別途必要であり、制御が複雑になるという問題があって、ここに本発明の解決すべき課題がある。
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、電動機により駆動される可変容量型の油圧ポンプと、該油圧ポンプから供給される作動油により駆動される油圧アクチュエータと、油圧ポンプのトルクを制御するポンプトルク制御手段とを備えてなる電動式油圧作業機において、該電動式油圧作業機に、前記電動機の温度を検出する電動機温度検出手段を設けると共に、前記ポンプトルク制御手段は、前記電動機温度検出手段により検出される電動機の温度の上昇に応じて、油圧ポンプのトルクを予め設定される基準トルクよりも低下させるポンプトルク低下制御を行なうことを特徴とする電動式油圧作業機におけるポンプ制御システムである。
請求項2の発明は、請求項1において、電動式油圧作業機に、さらに、作動油の温度を検出する作動油温度検出手段を設けると共に、ポンプトルク制御手段は、前記電動機温度検出手段により検出される電動機の温度の上昇に応じて油圧ポンプのトルクを基準トルクよりも低く設定する第一ポンプトルク設定手段と、前記作動油温度検出手段により検出される作動油の温度の低下に応じて油圧ポンプのトルクを基準トルクよりも低く設定する第二ポンプトルク設定手段とを有し、前記第一、第二ポンプトルク設定手段により設定された設定トルクのうち低い方の設定トルクに基づいて、電動機の温度上昇及び作動油の温度低下に応じて油圧ポンプのトルクを基準トルクよりも低下させるポンプトルク低下制御を行なうことを特徴とする電動式油圧作業機におけるポンプ制御システムである。
請求項3の発明は、請求項1または2において、電動機は、電動式油圧作業機の外部に設けられた外部電源から電力供給されると共に、ポンプトルク制御手段は、外部電源の周波数に応じて油圧ポンプの基準トルクを設定することを特徴とする電動式油圧作業機におけるポンプ制御システムである。
請求項2の発明は、請求項1において、電動式油圧作業機に、さらに、作動油の温度を検出する作動油温度検出手段を設けると共に、ポンプトルク制御手段は、前記電動機温度検出手段により検出される電動機の温度の上昇に応じて油圧ポンプのトルクを基準トルクよりも低く設定する第一ポンプトルク設定手段と、前記作動油温度検出手段により検出される作動油の温度の低下に応じて油圧ポンプのトルクを基準トルクよりも低く設定する第二ポンプトルク設定手段とを有し、前記第一、第二ポンプトルク設定手段により設定された設定トルクのうち低い方の設定トルクに基づいて、電動機の温度上昇及び作動油の温度低下に応じて油圧ポンプのトルクを基準トルクよりも低下させるポンプトルク低下制御を行なうことを特徴とする電動式油圧作業機におけるポンプ制御システムである。
請求項3の発明は、請求項1または2において、電動機は、電動式油圧作業機の外部に設けられた外部電源から電力供給されると共に、ポンプトルク制御手段は、外部電源の周波数に応じて油圧ポンプの基準トルクを設定することを特徴とする電動式油圧作業機におけるポンプ制御システムである。
請求項1の発明とすることにより、電動機の温度が上昇した場合には、油圧ポンプのトルクは基準トルクよりも低くなるように制御されることになり、これにより電動機にかかる負荷が軽減して、電動機の温度上昇を抑制できることになる。この結果、長時間連続して作業を行なうような場合であっても、電動機を定格出力で駆動せしめることができて、作業性の向上に大きく貢献できると共に、電動機や電動機用制御回路の故障の低減、長寿命化に貢献できる。しかもこのものは、電動機の制御ではなく油圧ポンプのトルク制御によって電動機の温度上昇を抑制するものであるから、インバータ等の機器を必要とせず、制御および構成が簡単であって、コストの抑制に貢献できる。
請求項2の発明とすることにより、電動機の温度上昇及び作動油の温度低下に応じてポンプトルク低下制御が行なわれることになり、而して、作業開始時等に作動油温度が低くてポンプ効率が悪い場合であっても、電動機が過負荷状態になって過電流が流れてしまうことを防止できると共に、長時間連続して作業を行うような場合であっても、電動機の温度上昇を抑制して定格出力で駆動せしめることができることになり、よって、電動機の制御ではなく油圧ポンプ11のトルク制御によって、常時安定した状態で電動機を駆動させることができて、制御及び構成の簡素化が図れると共に、作業性の向上、電動機や電動器用制御回路の故障の低減、長寿命化を達成できる。
請求項3の発明とすることにより、外部電源の周波数の違いにより電動機の出力トルクが変化しても、該電動機の出力トルクに対応した基準トルクの設定を行うことができる。
請求項2の発明とすることにより、電動機の温度上昇及び作動油の温度低下に応じてポンプトルク低下制御が行なわれることになり、而して、作業開始時等に作動油温度が低くてポンプ効率が悪い場合であっても、電動機が過負荷状態になって過電流が流れてしまうことを防止できると共に、長時間連続して作業を行うような場合であっても、電動機の温度上昇を抑制して定格出力で駆動せしめることができることになり、よって、電動機の制御ではなく油圧ポンプ11のトルク制御によって、常時安定した状態で電動機を駆動させることができて、制御及び構成の簡素化が図れると共に、作業性の向上、電動機や電動器用制御回路の故障の低減、長寿命化を達成できる。
請求項3の発明とすることにより、外部電源の周波数の違いにより電動機の出力トルクが変化しても、該電動機の出力トルクに対応した基準トルクの設定を行うことができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1において、1は電動式油圧ショベル(本発明の電動式油圧作業機に相当する)であって、該電動式油圧ショベル1は、クローラ式の下部走行体2、該下部走行体2に旋回自在に支持される上部旋回体3、該上部旋回体3に装着されるフロントアタッチメント4等から構成されると共に、該フロントアタッチメント4を形成するブーム5、アーム6、バケット7をそれぞれ揺動せしめるためのブームシリンダ8、アームシリンダ9、バケットシリンダ10や、下部走行体2を走行せしめるための左右の走行モータ(図1には図示せず)、上部旋回体3を旋回せしめるための旋回モータ(図1には図示せず)等の各種の油圧アクチュエータAを備えている。さらに上部旋回体3には、これら油圧アクチュエータAに作動油を供給する可変容量型の油圧ポンプ11と、該油圧ポンプ11を駆動せしめるべく油圧ポンプ11の駆動軸に連動連結される電動機12とが搭載されていると共に、該電動機12は、電源ケーブル13を介して、電動式油圧ショベル1の外部に設けられた外部電源14から電力供給されるように構成されている。尚、電動機12は三相誘導電動機であって、その回転数は電源周波数に比例する。また、図1中、15は前記電源ケーブル13が巻装されるケーブルリールである。
次いで、図2に前記電動式油圧ショベル1の回路図を示すが、該図2において、A、11、12、14はそれぞれ前述した油圧アクチュエータ、油圧ポンプ、電動機、外部電源である。また、15は油タンク、16は各油圧アクチュエータAの油給排制御をそれぞれ行なう各種制御バルブが組込まれたコントロールバルブ、17はパイロット圧力源である。さらに、18は前記電動機12の制御盤であって、該制御盤18には、電動機12の始動・停止制御回路や過電流保護回路等が組み込まれている。
一方、11aは前記油圧ポンプ11の容量可変手段、19は該容量可変手段11aに接続される電磁比例弁であって、該電磁比例弁19は、後述するポンプトルク制御部20からの制御信号に基づいて、油圧ポンプ11のトルクを制御するべく容量可変手段11aにトルク制御用の信号圧を出力するように構成されている。
前記ポンプトルク制御部20は、マイクロコンピュータ等を用いて構成されるものであって、外部電源14の周波数(例えば、東日本では50Hz、西日本では60Hz)を入力する周波数入力器21、電動機12の温度(コイル温度)を検出する電動機温度センサ(本発明の電動機温度検出手段に相当する)22、作動油の温度を検出する作動油温度センサ(本発明の作動油温度検出手段に相当する)23からの信号を入力し、これら入力信号に基づいて油圧ポンプ11のトルクを設定して、前記電磁比例弁19に制御信号を出力する。尚、前記ポンプトルク制御部20は、本発明のポンプトルク制御手段を構成する。
次いで、前記ポンプトルク制御部20における油圧ポンプ11のトルクの設定について、図3に示す制御ブロック図に基づいて説明すると、該図3に示す如く、ポンプトルク制御部20は、基準トルク設定器24、第一ポンプトルク設定器(本発明の第一ポンプトルク設定手段に相当する)25、第二ポンプトルク設定器(本発明の第二ポンプトルク設定手段に相当する)26、及び最小値選択器27を有している。
前記基準トルク設定器24は、油圧ポンプ11のトルクを電動機12の出力トルク範囲内に保持するための基準トルクTsを設定するが、この場合に、外部電源14の周波数の違いにより電動機12の出力トルクが変化することに対応させて油圧ポンプ11の基準トルクTsを設定するべく、周波数入力器21から入力される外部電源14の周波数に応じて油圧ポンプ11の基準トルクTsを設定する。例えば、外部電源14の周波数が60Hzの場合は、50Hzの場合よりも電動機12の出力トルクが小さくなるため、60Hzのときの基準トルクTsは、50Hzのときの基準トルクTsよりも小さな値が設定される。
一方、第一ポンプトルク設定器25は、前記基準トルク設定器24により設定された基準トルクTsと、電動機温度センサ22から入力される電動機12の温度tmとを入力し、該電動機12の温度tmに応じて油圧ポンプ11のトルクを設定する。つまり、第一ポンプトルク設定器25は、該第一ポンプトルク設定器25により設定される油圧ポンプ11のトルクを第一設定トルクT1とすると、電動機12の温度tmが予め設定される電動機設定温度tms以下の場合(tm≦tms)には、基準トルクTsを第一設定トルクT1として設定(T1=Ts)し、また、電動機12の温度tmが前記電動機設定温度tmsよりも高い場合(tm>tms)には、基準トルクTsよりも低い値を第一設定トルクT1として設定(T1<Ts)するが、この場合、電動機12の温度tmtが上昇するほど第一設定トルクT1が低下するように設定する。尚、前記電動機設定温度tmsは、電動機12が出力低下してしまうことのない適切なコイル温度の上限値として予め設定される値である。
また、第二ポンプトルク設定器26は、前記基準トルク設定器24により設定された基準トルクTsと、作動油温度センサ23から入力される作動油の温度toとを入力し、該作動油の温度toに応じて油圧ポンプ11のトルクを設定する。つまり、第二ポンプトルク設定器26は、該第二ポンプトルク設定器26により設定される油圧ポンプ11のトルクを第二設定トルクT2とすると、作動油の温度toが予め設定される作動油設定温度tos以上の場合(to≧tos)には、基準トルクTsを第二設定トルクT2として設定(T2=Ts)し、また、作動油の温度toが前記作動油設定温度tosよりも低い場合(to<tos)には、基準トルクTsよりも低い値を第二設定トルクT2として設定(T2<Ts)するが、この場合、作動油の温度toが低下するほど第二設定トルクT2も低下するように設定する。尚、前記作動油設定温度tosは、油圧ポンプ11の駆動トルクが増大してしまうことのない適切な作動油温度の下限値として予め設定される値である。
さらに、最小値選択器27は、前記第一ポンプトルク設定器25により設定された第一設定トルクT1と、第二ポンプトルク設定器26により設定された第二設定トルクT2とを入力して、これらのうち低い方の設定トルクを選択し、該選択した設定トルクを油圧ポンプ11の設定トルクTとして出力する。
そして、ポンプトルク制御部20は、油圧ポンプ11のトルクを前記最小値選択器27から出力された設定トルクTにするべく、図示しない電磁比例弁制御回路を介して前記電磁比例弁19に制御信号を出力する。これにより、電磁比例弁19から油圧ポンプ11の容量可変手段11aに対して、油圧ポンプ11のトルクを前記設定トルクTにするための信号圧が出力される。そして、容量可変手段11aは、上記電磁比例弁19から入力される信号圧と油圧ポンプ11の吐出圧とに基づいて、油圧ポンプのトルクが前記設定トルクTになるように油圧ポンプ11の吐出量を制御するようになっている。
つまり、ポンプトルク制御部20は、外部電源14の周波数に応じて基準トルクTsを設定する基準トルク設定器24と、電動機12の温度の上昇に応じて油圧ポンプ11のトルクを上記基準トルクTsよりも低く設定する第一ポンプトルク設定器25と、作動油の温度の低下に応じて油圧ポンプ11のトルクを基準トルクTsよりも低く設定する第二ポンプトルク設定器26と、上記第一、第二ポンプトルク設定器25、26により設定された第一、第二設定トルクT1、T2のうち低い方の設定トルクを選択する最小値選択器27とを有し、そして、該最小値選択器27により選択された設定トルクTに基づいて、電動機12の温度上昇及び作動油の温度低下に応じて油圧ポンプ11のトルクを基準トルクTsよりも低下させるポンプトルク低下制御を行なう構成になっている。
叙述の如く構成された本形態において、電動式油圧ショベル1は、電動機12により駆動される可変容量型の油圧ポンプ11と、該油圧ポンプ11から供給される作動油により駆動される各種油圧アクチュエータAと、油圧ポンプ11のトルクを制御するポンプトルク制御部20を備えて構成されているが、さらに電動式油圧ショベル1には、前記電動機12の温度を検出する電動機温度センサ22が設けられている。そして、前記ポンプトルク制御部20は、電動機温度センサ22により検出される電動機12の温度の上昇に応じて油圧ポンプ11のトルクを予め設定される基準トルクTsよりも低く設定する第一ポンプトルク設定器25を有すると共に、該第一ポンプトルク制御器25により設定された第一設定トルクT1に基づいて、電動機12の温度の上昇に応じて油圧ポンプ11のトルクを基準トルクTsよりも低下させるポンプトルク低下制御を行なうことになる。
而して、電動機12の温度が上昇した場合に、油圧ポンプ11のトルクは、予め設定される基準トルクTsよりも低くなるように制御されることになり、これにより電動機12にかかる負荷が軽減して、電動機12の温度上昇を抑制できることになる。この結果、長時間連続して作業を行なうような場合であっても、電動機12が温度上昇により出力低下してしまうようなことなく、定格出力で駆動せしめることができることになって、作業性の向上に大きく貢献できると共に、電動機12や制御盤18の故障の低減、長寿命化に貢献できる。しかも、しかもこのものは、電動機12の制御ではなく油圧ポンプ11のトルク制御によって電動機12の温度上昇を抑制するものであるから、インバータ等の機器を必要とせず、制御および構成が簡単であって、コストの抑制に貢献できる。
さらにこのものにおいて、電動式油圧ショベル1には、作動油の温度を検出する作動油温度センサ23が設けられていると共に、ポンプトルク制御部20は、前記第一ポンプトルク設定器25に加えて、作動油温度センサ23により検出される作動油温度の低下に応じて油圧ポンプ11のトルクを基準トルクTsよりも低く設定する第二ポンプトルク設定器26を有しており、そして、前記第一ポンプトルク設定器25により設定された第一設定トルクT1と第二ポンプトルク設定器26により設定された第二設定トルクT2とのうち低い方を設定トルクTとして選択し、該設定トルクTに基づいて油圧ポンプのトルク制御を行なうことになる。
この結果、電動機12の温度上昇だけでなく、作動油の温度低下にも応じて油圧ポンプ11のトルクを基準トルクTsよりも低下させるポンプトルク低下制御が行なわれることになり、而して、作業開始時等に作動油温度が低くてポンプ効率が悪い場合であっても、電動機12が過負荷状態になって過電流が流れてしまうことを防止できると共に、前述したように、長時間連続して作業を行うような場合であっても、電動機12の温度上昇を抑制して定格出力で駆動せしめることができ、よって、電動機12の制御ではなく油圧ポンプ11のトルク制御によって、常時安定した状態で電動機12を駆動させることができて、制御及び構成の簡素化が図れると共に、作業性の向上、電動機12や制御盤18の故障の低減、長寿命化を達成することができる。
また、前記電動機12は、電動式油圧ショベル1の外部に設けられた外部電源14から電力供給されることになるが、この場合に、ポンプトルク制御部20は、外部電源14の周波数に応じて油圧ポンプ11の基準トルクTsを設定する構成になっており、而して、外部電源14の周波数の違いにより電動機12の出力トルクが変化しても、該電動機12の出力トルクに対応した基準トルクTsの設定を行えることになる。尚、本実施の形態では、周波数入力器21によって外部電源14の周波数をポンプトルク制御部20に入力する構成になっているが、これに限定されることなく、例えば、制御盤18に外部電源14の周波数を検出する周波数検出器を設け、該周波数検出器からの検出信号をポンプトルク制御部20に入力するように構成することもできる。
本発明は、油圧アクチュエータに作動油を供給する油圧源として、電動機により駆動される可変容量型の油圧ポンプを備えた各種の電動式油圧作業機に利用することができる。
1 電動式油圧ショベル
11 油圧ポンプ
12 電動機
14 外部電源
19 電磁比例弁
20 ポンプトルク制御部
21 周波数入力器
22 電動機温度センサ
23 作動油温度センサ
24 基準トルク設定器
25 第一ポンプトルク設定器
26 第二ポンプトルク設定器
27 最小値選択器
A 油圧アクチュエータ
11 油圧ポンプ
12 電動機
14 外部電源
19 電磁比例弁
20 ポンプトルク制御部
21 周波数入力器
22 電動機温度センサ
23 作動油温度センサ
24 基準トルク設定器
25 第一ポンプトルク設定器
26 第二ポンプトルク設定器
27 最小値選択器
A 油圧アクチュエータ
Claims (3)
- 電動機により駆動される可変容量型の油圧ポンプと、該油圧ポンプから供給される作動油により駆動される油圧アクチュエータと、油圧ポンプのトルクを制御するポンプトルク制御手段とを備えてなる電動式油圧作業機において、該電動式油圧作業機に、前記電動機の温度を検出する電動機温度検出手段を設けると共に、前記ポンプトルク制御手段は、前記電動機温度検出手段により検出される電動機の温度の上昇に応じて、油圧ポンプのトルクを予め設定される基準トルクよりも低下させるポンプトルク低下制御を行なうことを特徴とする電動式油圧作業機におけるポンプ制御システム。
- 請求項1において、電動式油圧作業機に、さらに、作動油の温度を検出する作動油温度検出手段を設けると共に、ポンプトルク制御手段は、前記電動機温度検出手段により検出される電動機の温度の上昇に応じて油圧ポンプのトルクを基準トルクよりも低く設定する第一ポンプトルク設定手段と、前記作動油温度検出手段により検出される作動油の温度の低下に応じて油圧ポンプのトルクを基準トルクよりも低く設定する第二ポンプトルク設定手段とを有し、前記第一、第二ポンプトルク設定手段により設定された設定トルクのうち低い方の設定トルクに基づいて、電動機の温度上昇及び作動油の温度低下に応じて油圧ポンプのトルクを基準トルクよりも低下させるポンプトルク低下制御を行なうことを特徴とする電動式油圧作業機におけるポンプ制御システム。
- 請求項1または2において、電動機は、電動式油圧作業機の外部に設けられた外部電源から電力供給されると共に、ポンプトルク制御手段は、外部電源の周波数に応じて油圧ポンプの基準トルクを設定することを特徴とする電動式油圧作業機におけるポンプ制御システム。
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2009
- 2009-08-03 JP JP2009180312A patent/JP2011032942A/ja active Pending
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