JP2011026471A - ポリカーボネート粒状体の連続製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】残留有機溶媒量が極めて少なく且つ粒子径の揃ったポリカーボネート粒状体を、効率的な方法で、安定的に、生産性良く連続的に製造する方法を提供する。
【解決手段】ポリカーボネート樹脂有機溶媒溶液と温水とを、加圧下、静的ミキサーにより混合することにより、水中油分散型(O/W)のエマルジョンとし、該有機溶媒の大気圧における沸点をT(℃)として、T℃〜T+50℃に保持した造粒槽に連続的に供給し、有機溶媒を除去してポリカーボネート粒状体を製造する方法であって、静的ミキサーでのウェーバー数(We)が2×10〜2×10であることを特徴とするポリカーボネート粒状体の連続製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明はポリカーボネート粒状体の連続製造方法に関する。更に詳しくは、残留有機溶媒量が極めて少なく且つ粒子径の揃ったポリカーボネート粒状体を、効率的な方法で、安定的に、生産性良く連続的に製造する方法に関する。
ポリカーボネート樹脂は、通常二価フェノールのアルカリ水溶液とホスゲンを塩化メチレン等の有機溶媒の存在下反応させるいわゆる界面縮重合法により製造され、得られるポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液(以下、ポリカーボネート樹脂溶液という)から有機溶媒を除去して粒状体にする粉粒化工程を経た後乾燥工程に供される。
ポリカーボネート樹脂溶液から有機溶媒を除去して粒状体を得る方法としては、例えばポリカーボネート樹脂溶液を熱水と接触させてゲル化物となした後粉砕する方法(特許文献1、2等)が知られている。
しかしながら、これらの方法によって得られる粒状体には、なお多くの有機溶媒が残留し、この残留有機溶媒は通常の乾燥によって充分に除去することは困難である。この残留有機溶媒を更に減少させるには高温での長時間の乾燥によらねばならず、乾燥工程が巨大化あるいは煩雑化し、それでもなお数十〜数百ppmの有機溶媒が残留する。
また、残留有機溶媒の少ないポリカーボネート樹脂粒状体の製造方法として、反応により得られるポリカーボネート樹脂溶液もしくは有機溶媒が残留するポリカーボネート樹脂のスラリーに非溶媒や貧溶媒を添加処理する方法、又は有機溶媒が残留するポリカーボネート樹脂粒状体を貧溶媒で抽出する方法(特許文献3〜6等)が提案されている。
これらの方法では、有機溶媒は充分に除去されるものの、逆に非溶媒や貧溶媒が多量に残留し、この残留非溶媒や貧溶媒は通常の乾燥では勿論のこと、高温で長時間の乾燥によっても充分に除去することは困難である。しかも、回収した有機溶媒を再び使用するためには、使用した非溶媒や貧溶媒を精製除去するために多大なエネルギーを必要とする。
また、ポリカーボネート樹脂溶液を湿式粉砕機で循環しているスラリー液中に供給し、懸濁状態を保ちながら加熱して粒状体を製造する方法(特許文献7、8等)が知られている。
しかしながら、これらの方法では、懸濁状態を生成させるために、強力な攪拌動力が必要とする上、造粒槽壁、攪拌翼等に樹脂溶液が付着成長し、塊状の固形物を生成するトラブルを引き起こす。
これらを改善するために、ポリカーボネート樹脂溶液と水との混合液を、高い線速度または剪断力で混合して懸濁状態となし、得られた懸濁液を加熱して有機溶媒を除去し、粒状化する方法(特許文献9、10等)が提案されている。しかしながら、高い線速度または剪断力を得るために多大なエネルギーが必要となる問題点がある。また、これらの方法によって得られる粒状体は、嵩密度が小さく取り扱い性の悪いものであった。
ポリカーボネート樹脂溶液から有機溶媒を除去して粒状体を得る方法としては、樹脂溶液から直接溶媒を除去するよりは、水などの非溶媒へ投入して間接的に溶媒を除去する方法が伝熱効率の面から好ましい。しかし、樹脂溶液を攪拌下の水に投入した場合、造粒槽壁、攪拌翼等へ付着成長した塊が粉砕されることにより発生した有機溶媒を多量に含み乾燥性の悪い粒状物が、製品に混入することにより、製品の残留有機溶媒濃度が高くなる問題があった。あるいは、ポリカーボネート樹脂溶液と水との混合液を、高い線速度または剪断力で混合した懸濁液を加熱した場合、懸濁液を作製するために多大なエネルギーが必要であり、また製品も嵩密度が低下する問題があった。
特公昭45−009875号公報 特公平04−001767号公報 特公昭55−001298号公報 特開昭63−278929号公報 特開平01−006020号公報 特公平05−012371号公報 特公昭63−054011号公報 特公平03−041493号公報 特許第3551211号公報 特表2003−518536号公報
本発明の目的は、残留有機溶媒が極めて少ないポリカーボネート粒状体を、効率的な方法で、安定的に、且つ生産性良く、連続的に製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成せんと鋭意研究した結果、ポリカーボネート樹脂有機溶媒溶液を、加圧下、高温の温水と混合し、静的ミキサーにより、水中油分散型(O/W)の液液分散液(エマルジョン)とし、造粒槽に連続的に供給し、有機溶媒を除去してポリカーボネート粒状体を製造する方法で、静的ミキサーでのウェーバー数(We)を2×10〜2×10とすることによって、上記目的を達成することを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明によれば、
1.ポリカーボネート樹脂有機溶媒溶液と温水とを、加圧下、静的ミキサーにより混合することにより、水中油分散型(O/W)のエマルジョンとし、該有機溶媒の大気圧における沸点をT(℃)として、T℃〜T+50℃に保持した造粒槽に連続的に供給し、有機溶媒を除去してポリカーボネート粒状体を製造する方法であって、静的ミキサーでのウェーバー数(We)が2×10〜2×10であることを特徴とするポリカーボネート粒状体の連続製造方法、
2.水中油分散型(O/W)のエマルジョンの温度が、T℃〜T+80℃の範囲である前項1に記載のポリカーボネート粒状体の連続製造方法、
3.生成したポリカーボネート粒状体の少なくともその一部を抜取り、湿式粉砕機により粉砕した後、造粒槽内へ循環させながら、ポリカーボネート粒状体を製造する前項1または2に記載のポリカーボネート粒状体の連続製造方法、
4.前記造粒槽として翼および/またはバレルに溝又は突起状の歯を設けたニーダーを用いる前項1〜3のいずれか1項に記載のポリカーボネート粒状体の連続製造方法、および
5.前項1〜4で得られたポリカーボネート粒状体の水スラリーを、T+20℃〜T+60℃に調整した後、脱水してポリカーボネート粒状体を分離、回収し、粒状体と分離された温水をエマルジョン形成用の温水として使用する請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリカーボネート粒状体の連続製造方法、
が提供される。
本発明によれば、通常の乾燥により残留溶媒が極めて少なく、且つ粒径が揃っていて取り扱い易い極めて優れたポリカーボネート粒状体を、効率的な方法で、生産性良く、連続的に製造でき、その奏する工業的効果は格別なものである。
本発明で好適に用いる混練機(ニーダー)の一例の簡略化した断面図を示した図である。 図1の撹拌翼の簡略化した側面図を示した図である。 撹拌翼に形成した鋸歯状突起の部分側面図を示した図である。 バレルに形成した突条の部分側面図を示した図である。 バレルに形成した突起の部分側面図を示した図である。
本発明で使用されるポリカーボネート樹脂は、通常エンジニアリング樹脂として使用される樹脂であり、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られる芳香族ポリカーボネート樹脂である。ここで使用する二価フェノールは2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)が好ましく使用される。その他の二価フェノールとしては、例えばビス(4−ヒドロキシフェニル)メタンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられ、更には2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパンの如きハロゲン化ビスフェノール類等が挙げられる。
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、ジアリールカーボネート、ハロホルメート等があげられ、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネート、二価フェノールのジハロホルメート等があげられる。
上記二価フェノールとカーボネート前駆体を反応させて芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するに当たっては、必要に応じて触媒、分子量調整剤、酸化防止剤等を使用してもよく、また芳香族ポリカーボネート樹脂は例えば三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっても、二種以上の芳香族ポリカーボネート樹脂の混合物であってもよい。
芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量については任意のものを用いることができ、特に制限する必要はないが、例えば二価フェノールとしてビスフェノールA、カーボネート前駆体としてホスゲンを用いて芳香族ポリカーボネート樹脂を得た場合、その分子量は粘度平均分子量で表して1.2×10〜5.0×10の範囲が好ましい。
本発明でいう粘度平均分子量は、まず、次式にて算出される比粘度(ηSP)を20℃で塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求め、
比粘度(ηSP)=(t−t)/t
[tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度(ηSP)から次の数式により粘度平均分子量Mを算出する。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−40.83
c=0.7
なお、本発明のポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量を測定する場合は、次の要領で行うことができる。すなわち、ポリカーボネート樹脂をその20〜30倍重量の塩化メチレンに溶解し、可溶分をセライトろ過により採取した後、溶液を除去して十分に乾燥し、塩化メチレン可溶分の固体を得る。かかる固体0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液から20℃における比粘度(ηSP)を、オストワルド粘度計を用いて求め、上式によりその粘度平均分子量Mを算出する。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂粒状体の連続製造方法は、有機溶媒を使用する界面縮重合法によって得られた芳香族ポリカーボネート樹脂溶液を使用するのに極めて適している。すなわち、本発明は、二価フェノールとホスゲンとを有機溶媒中で反応させて得られた芳香族ポリカーボネート樹脂溶液からその粒状体を得るのに適している。この際使用される有機溶媒は芳香族ポリカーボネート樹脂の良溶媒であって、水と非混和性の溶媒である。
本発明でいう有機溶媒とは、少なくとも1種の良溶媒を主たる溶媒とし、好ましくは1,1,2,2−四塩化エタン、塩化メチレン、1,2−二塩化エチレン、クロロホルム、1,1,2−三塩化エタン、1,2−二塩化エタン、ジオキサン、テトラハイドロフラン、ジオキソラン等を使用することができる。特に好ましくは、塩化メチレン(大気圧沸点40℃)が使用される。かかる有機溶媒は、溶媒中の90容量%以上が良溶媒である溶媒が好ましく使用され、特に良溶媒から実質的になる溶媒が好ましく使用される。
また、本発明において、使用される上記有機溶媒には、ポリマーを析出させない程度の貧溶媒を含んでいてもよい。かかる貧溶媒としてはヘプタン、ヘキサン、ペンタン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類が挙げられる。
上記、界面縮重合法により得られるポリカーボネート樹脂溶液は、通常、不溶性不純物の除去のためにろ過処理、および水溶性不純物や触媒等の除去のために水洗浄や必要に応じて酸洗浄またはアルカリ洗浄等の処理が行われる。
上記処理の終了したポリカーボネート樹脂溶液は、次いで、溶媒を除去してポリカーボネート樹脂の粒状体を得る操作が行われる。この際、かかるポリカーボネート樹脂溶液の濃度は、通常5〜30重量%である。これは、この範囲内の濃度であれば、溶液粘度が適当で、工業生産設備で取り扱い易く、溶液の洗浄が容易で、ろ過効率も良好であり、また、有機溶媒が多すぎず、後に溶媒を除去する際、過大なエネルギーを要さず、経済的な生産の面で有利である。
本発明で使用するポリカーボネート有機溶媒溶液の濃度は、特に制限されるものではないが、好ましくは5〜30重量%であり、より好ましくは5〜25重量%である。上記精製後の樹脂溶液をそのまま使用することもできるし、濃縮後使用することも可能である。
本発明では、ポリカーボネート有機溶媒溶液は、加圧下で静的ミキサーにより温水と混合されるが、そのときの圧力は、有機溶媒が蒸発しない圧力が採用される。混合後のエマルジョンの温度は、有機溶媒の大気圧での沸点をT(℃)として、T℃〜T+80℃が好ましい。したがって、使用する温水の温度はT℃〜T+80℃が好ましい。例えば有機溶媒として塩化メチレンを使用する場合は、好ましい温水の温度は40〜120℃の範囲であり、混合後に得られるエマルジョンの好ましい温度は40〜120℃の範囲である。また、圧力は0.1〜1.0MPaの範囲が好ましい。エマルジョンの温度を所定の温度となすためには、混合前のポリカーボネート有機溶媒溶液を加熱する方法、混合前の水を加熱する方法、混合後のエマルジョンを加熱する方法があるが、伝熱効率の点から、主として混合前の水を加熱する方法が好ましく用いられ、混合前のポリカーボネート有機溶媒溶液、混合後のエマルジョンを加熱する方法は補助的に用いられる。
水中油分散型(O/W)のエマルジョンの形成条件は、静的ミキサーでのウェーバー数(We)が2×10〜2×10であるのが好ましく、5×10〜1×10がより好ましく、1×10〜5×10が特に好ましい。
ここで言うウェーバー数(We)とは、下記式で表される。
We=(D・u・ρ)/σs
(Dはミキサー内径[m]、uは流体の平均線速度[m/s]、ρは連続相密度[kg/m]、σsは界面張力[N/m]を表す。)
ウェーバー数が2×10より小さい場合は、混合が不十分となり、製品である粒状体の残留有機溶媒濃度が高くなる問題がある。さらにウェーバー数が小さくなると、造粒槽壁、攪拌翼等に樹脂溶液が付着成長し、塊状の固形物を生成するトラブルを引き起こす。また、ウェーバー数が2×10より大きい場合は、エマルジョンを作製するために過大なエネルギーが必要となり好ましくない。また、必要以上にウェーバー数を大きくし、エマルジョン中の液滴が極めて微細となった場合は、製品である粒状体の嵩密度の低下を引き起こす問題が発生する。
エマルジョンを形成させるための有機溶媒溶液と温水との容量比は、ポリカーボネート樹脂の種類、分子量、有機溶媒溶液中の濃度等によって異なるが、通常、容量比で好ましくは1:0.2〜5、より好ましくは1:0.2〜3である。有機溶媒溶液に対する温水の量が少なすぎる場合は、水中油分散型(O/W)エマルジョンではなく油中水分散型(W/O)エマルジョンとなるため不適であり、有機溶媒溶液に対する温水の量が多すぎる場合は、造粒時のスラリー濃度の低下を招き、混錬機および湿式粉砕機を使用する場合は粉砕機構が有効に働かなくなる。また、スラリーより粒状体を分離する工程の負荷が大きくなり好ましくない。
エマルジョンを形成させる静的ミキサーは、エマルジョンを形成できるものであれば何れでも使用することができ、具体的にはスタティックミキサー((株)ノリタケカンパニーリミテド)、ハイミキサー(東レエンジニアリング(株))、T.K.ROSS LPDミクサー(プライミクス(株))等が挙げられる。
有機溶媒溶液と温水のエマルジョンは、好ましくは一定の温度および一定の圧力に制御した造粒槽に連続的に供給される。有機溶媒溶液と温水のエマルジョンを造粒槽へ投入する方法については特に制限はなく、滴下投入や液中へ直接投入する方法、シャワー方式によって分散投入してもよい。
造粒槽の内部圧力は加圧、大気圧あるいは減圧下、何れの圧力でも良い。しかし、減圧とすることにより、有機溶媒は除去し易くなるが、減圧とするためのブロアーあるいは真空ポンプの動力が過大となり、エネルギー上不利である。また、加圧とすることにより生成した粒子内の有機溶媒の拡散が促進され、残存有機溶媒濃度が少なくなる利点があるが、過度に加圧することは、装置コスト、加熱エネルギーの点から有利ではない。通常は、加圧、大気圧もしくは有機溶媒の回収率をあげるための微減圧の条件が適用される。具体的に造粒槽の内部圧力は−0.02〜0.3MPaの範囲が好ましい。
造粒槽としては、攪拌翼を有する攪拌層や粉砕機構を有する混練機(ニーダー)を使用することができる。ニーダーは予めスラリーを仕込んでおく必要がないことからより好適に使用される。
ニーダーの一例を図面に示す。第1図は双腕形ニーダーの簡略化した断面図であり、第2図はそのシグマ型翼の簡略化した側面図である。このニーダーは平行に設置したシグマ型翼1とこれを収納するジャケット付のバレル2から成り、翼の回転により混練を行う。更に、このニーダーには、第1図に示す如く、バレルの長手方向に突条3を設けるとともにシグマ型翼1の周縁には鋸歯状突起4を設けてある。鋸歯状突起4は第3図に示す如き形状であり、バレル2内面に形成した突条3の形状は第4図に示す如き断面を有するものである。バレル2内面に形成する凹凸としては第1図、第4図に示した突条3に変えて、第5図に示す如く、多数の突起を突設せしめてもよい。このような粉砕用の突条、突起としては、その高さが3〜20mm程度、そのピッチ(歯と歯との間隔)が3〜20mm程度、その先端部の曲率半径が1〜5mm程度が良く、また翼とバレルのクリアランスは1〜50mmが好ましい。
造粒槽の温度は、あまりに低いと有機溶媒の蒸発が遅くなり造粒処理能力が低下する、あるいは造粒後の樹脂粒状体の乾燥性が悪化する問題があり、逆にあまりに高いと得られる樹脂粒状体の嵩密度が小さくなり過ぎる傾向があるため、造粒槽内の温度(水の温度)を該有機溶媒の沸点をT(℃)として、T〜T+50℃の温度範囲に保持する必要がある。好ましくは、T+2℃〜T+45℃の温度範囲である。例えば、有機溶媒として塩化メチレンを使用する場合は、40〜90℃の温度範囲であり、好ましくは42〜85℃の温度範囲である。
立上初期においても造粒槽内に、予め粒状体を準備しておく必要はなく、温水に有機溶媒溶液と温水とのエマルジョンを連続供給すれば良く、造粒槽壁、攪拌翼等への樹脂塊付着なしに、安定した連続造粒まで移行可能である。
造粒槽内のポリカーボネート粒状体と温水との重量比率(ポリカーボネート/水)は、攪拌及びスラリーの取り扱いおよび粉砕効率の点で、0.05〜1.0の範囲が好ましく、特に0.07〜0.8の範囲が好ましい。スラリー濃度が高すぎる場合は、取り扱い上の問題があり、低すぎる場合は混錬機および湿式粉砕機の粉砕効率が低下する。ポリカーボネート樹脂粒状体と温水との比率は、エマルジョンを形成させる時に静的ミキサーに供給するポリカーボネート樹脂溶液と温水との比率を調節して、上記範囲内に保つことが好ましい。
本発明においては、造粒槽にて生成したポリカーボネート粒状体の水スラリーを抜出し、湿式粉砕機によって粉砕することが好ましい。湿式粉砕機としては液体中の固体を粉砕することができれば、何れでも使用可能であるが、輸送機能を有する湿式粉砕機が好適であり、例えば市販品であればハクスバーナ・ゼノア(株)製ディスインテグレーター、プライミクス(株)製T.K.ホモミックラインミル、三井鉱山(株)製トリゴナル等があげられる。また、ポンプと粉砕機の併用であっても差支えない。ポンプを使用する場合は、上記粉砕機に加え、ホソカワミクロン(株)製ハンマミルあるいはフェザミル、奈良機械製作所(株)製ハンマーミルあるいはカッターミル等が挙げられる。
湿式粉砕機による粉砕は、粉砕したスラリー中のポリカーボネート粒状体の平均粒径が0.4〜4mm程度になるまで粉砕するのが良く、好ましくは0.5〜3mm程度になるまで粉砕するのが良い。粉砕後の平均粒径が大き過ぎる場合は、樹脂粒状体の乾燥性が悪化するために、製品の残留有機溶媒濃度が高くなる問題があり、逆に平均粒径が小さすぎる場合は、湿式粉砕機の負荷が過大となり、エネルギーを多量に必要とするだけでなく、湿式粉砕機の閉塞に至る場合もある。また、製品の取り扱い性も悪化する。
湿式粉砕処理を実施した粒状体スラリーのうち、造粒槽に循環するものと、次工程に供給するものの割合は、重量比で100:1〜1:1の範囲が好ましく、より好ましくは50:1〜2:1である。造粒槽に循環する割合があまりに少ないと、造粒槽で形成される粒子が大きくなり、造粒槽および湿式粉砕機への負荷も大きくなると共に、樹脂粒状体の乾燥性が悪化する問題も発生する。逆に造粒槽に循環する割合が多すぎる場合は、送液ポンプあるいは湿式粉砕機のモーターが過大となり、エネルギーの上で不利となる。
次工程に供給されたポリカーボネート粒状体の水スラリーから、ポリカーボネート粒状体を回収するには、水スラリーを造粒時における温度より高く、有機溶媒の大気圧での沸点をT(℃)として、T+20℃〜T+60℃に調整し、好ましくは熱水(85〜95℃程度)中で溶媒を蒸発した後、傾斜、ろ過、遠心分離等の手段によって、ポリカーボネート粒状体を分離し、回収すれば良い。具体的なスラリーの温度は、例えば、有機溶媒として塩化メチレンを使用する場合は、60〜100℃の温度範囲である。
傾斜、ろ過、遠心分離等の手段によって粒状体と分離された温水は、エマルジョン形成用の温水として使用することが好ましい。この方法を採用することにより、温水が保有している熱エネルギーは有効に再利用され、非常に効率的なシステムとなる。
かくして得られたポリカーボネート粒状体には必要に応じて任意の安定剤、添加剤、充填剤等を加えることができる。
以下に本発明の実施例を示して更に説明する。なお、実施例中における%は重量%、圧力はゲージ圧である。
(1)塩化メチレン含有量;全有機ハロゲン分析装置[三菱化成(株)製 TOX]により塩素含有量を測定し、塩化メチレン量に換算した。
(2)粘度平均分子量;ポリカーボネート樹脂0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液を用いて20℃でオストワルド粘度計により比粘度(ηsp)を測定し、次式により計算した。
ηsp/C=[η]+K[η]
[η]=1.23×10−40.83
(式中、Cは濃度で0.7、Kは定数で0.45である)
(3)平均粒径;日本粉体工業協会編「造粒便覧」1編、2章、2・4項の粒度測定法に準拠し、試料を、13.2mm、8.0mm、4.75mm、2.8mm、1.7mm、1.0mm、0.71mm、0.5mm、0.3mm、0.18mmの目開きを持つ篩を使用して、篩い分けた後、重量を基準とした累積粒度分布グラフを作成し、累積重量が50%になるところの粒径を求め、これを平均粒径とした。
(4)嵩密度;100cmの金属製円筒容器にポリカーボネート樹脂試料を、ロートを用いて投入し、余剰分をすり落として秤量し、内容物の重量W(g)を求め、次式により算出した。
嵩密度(g/cm)=W/100
[実施例1]
造粒槽として溶液供給口、水蒸気導入口、温水導入口、蒸気排出口及びスラリー導出口を備え、翼径16cmの3枚ファウドラー翼を2段有した50リットル攪拌槽を用い、湿式粉砕機としてハクスバーナ・ゼノア(株)製ディスインテグレーターを用いた。
内径8mm、長さ155mmの(株)ノリタケカンパニーリミテド社製スタティックミキサーに、ビスフェノールAとホスゲンから常法によって合成し、精製した粘度平均分子量25,000のポリカーボネートの塩化メチレン溶液(温度35℃、濃度16重量%)と50℃の温水を、夫々100リットル/hrの速度で導入し、水中油分散型(O/W)のエマルジョンとした。このときのスタティックミキサーでのウェーバー数(We)は189、エマルジョンの温度は46℃であった。
ポリカーボネート粒状体を10重量%含有する45℃の温水スラリー40kgを入れた、大気圧下150rpmで攪拌している上記攪拌槽に、得られたエマルジョンを連続的に溶液供給口より供給し、同時に圧力0.3MPaの水蒸気を18.5kg/hrの速度で導入し、攪拌槽の内温を45℃に維持した。なお、6時間後の造粒槽内のポリカーボネート粒状体と温水との重量比率(ポリカーボネート/温水)は0.18であった。
水温を45℃に維持し、攪拌槽のスラリー導出口よりスラリーを抜き出し、湿式粉砕機を用いて湿式粉砕し、湿式粉砕後のスラリーの内、4m/hrを造粒槽に循環しながら、138リットル/hrの水スラリーを連続的に排出すると同時に、蒸発した塩化メチレンを蒸気排出口からコンデンサーに導き同伴した水分と分離し、塩化メチレンを回収した。排出した水スラリーのポリカーボネート粒状体中の残留塩化メチレン量は16重量%であった。
排出した水スラリーを、大気圧下95℃に保持した熱水中に攪拌下投入し、1時間加熱脱気処理した後、遠心脱水機によりポリカーボネート粒状体を分離し、140℃で6時間熱風乾燥を行った。乾燥後の粒状体の塩化メチレン含有量は8.5ppm、平均粒径は1.2mm、嵩密度は0.57g/cmであった。
[実施例2]
実施例1と同じ装置を用い、エマルジョンを作製する温水の温度を95℃、攪拌槽の内温を45℃に維持するため供給する圧力0.3MPaの水蒸気の速度を11.6kg/hrとする以外は、実施例1と同様にしてポリカーボネート粒状体を得た。
エマルジョン作製時のスタティックミキサーでのウェーバー数(We)は174であり、連続的に排出した水スラリーの量は128リットル/hrであり、排出した水スラリーのポリカーボネート粒状体中の残留塩化メチレン量は6.5重量%であり、乾燥後の粒状体の塩化メチレン含有量は2.1ppm、平均粒径は1.4mm、嵩密度は0.46g/cmであった。
[実施例3]
実施例1と同じ装置を用い、攪拌槽に入れておいた温水の温度を70℃とし、攪拌槽の内温を70℃に維持するため供給する圧力0.3MPaの水蒸気の速度を32.5kg/hrとする以外は、実施例1と同様にしてポリカーボネート粒状体を得た。
エマルジョン作製時のスタティックミキサーでのウェーバー数(We)は189であり、連続的に排出した水スラリーの量は141リットル/hrであり、排出した水スラリーのポリカーボネート粒状体中の残留塩化メチレン量は3.0重量%であり、乾燥後の粒状体の塩化メチレン含有量は3.6ppm、平均粒径は1.6mm、嵩密度は0.40g/cmであった。
[実施例4]
実施例1と同じ造粒槽、湿式粉砕機を用い、静的ミキサーを内径16.1mm、長さ320mmの(株)ノリタケカンパニーリミテド社製スタティックミキサーとする以外は、実施例1と同様にしてポリカーボネート粒状体を得た。
エマルジョン作製時のスタティックミキサーでのウェーバー数(We)は23であり、連続的に排出した水スラリーの量は138リットル/hrであり、排出した水スラリーのポリカーボネート粒状体中の残留塩化メチレン量は20重量%であり、乾燥後の粒状体の塩化メチレン含有量は61.4ppm、平均粒径は1.3mm、嵩密度は0.62g/cmであった。
[実施例5]
実施例1と同じ造粒槽、湿式粉砕機を用い、静的ミキサーを内径4.0mm、長さ160mmの(株)ノリタケカンパニーリミテド社製スタティックミキサーとする以外は、実施例1と同様にしてポリカーボネート粒状体を得た。
エマルジョン作製時のスタティックミキサーでのウェーバー数(We)は1510であり、連続的に排出した水スラリーの量は137リットル/hrであり、排出した水スラリーのポリカーボネート粒状体中の残留塩化メチレン量は13重量%であり、乾燥後の粒状体の塩化メチレン含有量は4.2ppm、平均粒径は1.2mm、嵩密度は0.47g/cmであった。
[実施例6]
混練機として溶液供給口、水蒸気導入口、温水導入口、蒸気排出口及びスラリー導出口を備え、翼径17cmのシグマ型翼双腕型50リットルニーダーを用い、湿式粉砕機としてハクスバーナ・ゼノア(株)製ディスインテグレーターを用いた。
内径8mm、長さ155mmの(株)ノリタケカンパニーリミテド社製スタティックミキサーに、ビスフェノールAとホスゲンから常法によって合成し、精製した粘度平均分子量25,000のポリカーボネートの塩化メチレン溶液(温度35℃、濃度16重量%)と50℃の温水を、夫々100リットル/hr、50リットル/hrの速度で導入し、水中油分散型(O/W)のエマルジョンとした。このときのスタティックミキサーでのウェーバー数(We)は107、エマルジョンの温度は43℃であった。
このエマルジョンを、45℃の温水40kgを入れた、大気圧下150rpmで攪拌している上記ニーダーに、連続的に溶液供給口より供給し、同時に圧力0.3MPaの水蒸気を18.8kg/hrの速度で導入し、ニーダーの内温を45℃に維持した。なお、6時間後のニーダー内のポリカーボネート粒状体と温水との重量比率(ポリカーボネート/温水)は0.32であった。
水温を45℃に維持し、ニーダーのスラリー導出口よりスラリーを抜き出し、湿式粉砕機を用いて湿式粉砕し、湿式粉砕後のスラリーの内、2m/hrをニーダーに循環しながら、89リットル/hrの水スラリーを連続的に排出すると同時に、蒸発した塩化メチレンを蒸気排出口からコンデンサーに導き同伴した水分と分離し、塩化メチレンを回収した。排出した水スラリーのポリカーボネート粒状体中の残留塩化メチレン量は17重量%であった。
排出した水スラリーを、大気圧下95℃に保持した熱水中に攪拌下投入し、1時間加熱脱気処理した後、遠心脱水機によりポリカーボネート粒状体を分離し、140℃で6時間熱風乾燥を行った。乾燥後の粒状体の塩化メチレン含有量は11.7ppm、平均粒径は1.3mm、嵩密度は0.58g/cmであった。
[実施例7]
実施例6と同じ装置を用い、エマルジョンを作製する温水の温度を95℃、攪拌槽の内温を45℃に維持するため供給する圧力0.3MPaの水蒸気の速度を15.5kg/hrとする以外は、実施例1と同様にしてポリカーボネート粒状体を得た。
エマルジョン作製時のスタティックミキサーでのウェーバー数(We)は100であり、連続的に排出した水スラリーの量は83リットル/hrであり、排出した水スラリーのポリカーボネート粒状体中の残留塩化メチレン量は8.0重量%であり、乾燥後の粒状体の塩化メチレン含有量は6.9ppm、平均粒径は1.5mm、嵩密度は0.51g/cmであった。
[実施例8]
実施例6と同じ混錬機、スタティックミキサーを用い、湿式粉砕機の替わりに三和ハイドロテック(株)製スラリーポンプを使用し、エマルジョンを作製する温水の温度を80℃、ニーダーの内温を45℃に維持するため供給する圧力0.3MPaの水蒸気の速度を16.7kg/hrとする以外は、実施例6と同様にしてポリカーボネート粒状体を得た。
エマルジョン作製時のスタティックミキサーでのウェーバー数(We)は102であり、連続的に排出した水スラリーの量は84リットル/hrであり、排出した水スラリーのポリカーボネート粒状体中の残留塩化メチレン量は13重量%であり、乾燥後の粒状体の塩化メチレン含有量は107.4ppm、平均粒径は2.8mm、嵩密度は0.55g/cmであった。
[実施例9]
実施例1と同じ装置を用い、攪拌槽の圧力を0.05MPaとし、攪拌槽に入れておいた温水の温度を55℃とし、攪拌槽の内温を55℃に維持するため供給する圧力0.3MPaの水蒸気の速度を22.3kg/hrとする以外は、実施例1と同様にしてポリカーボネート粒状体を得た。
エマルジョン作製時のスタティックミキサーでのウェーバー数(We)は189であり、連続的に排出した水スラリーの量は138リットル/hrであり、排出した水スラリーのポリカーボネート粒状体中の残留塩化メチレン量は4.3重量%であり、乾燥後の粒状体の塩化メチレン含有量は5.1ppm、平均粒径は1.3mm、嵩密度は0.49g/cmであった。
[実施例10]
造粒槽として溶液供給口、水蒸気導入口、温水導入口、蒸気排出口及びスラリー導出口を備え、翼径28cmの3枚ファウドラー翼を2段有した250リットル攪拌槽を用い、湿式粉砕機としてハクスバーナ・ゼノア(株)製ディスインテグレーターを用いた。
内径5mm、長さ200mmの(株)ノリタケカンパニーリミテド社製スタティックミキサーに、ビスフェノールAとホスゲンから常法によって合成し、精製した粘度平均分子量25,000のポリカーボネートの塩化メチレン溶液(温度35℃、濃度16重量%)と50℃の温水を、夫々300リットル/hrの速度で導入し、水中油分散型(O/W)のエマルジョンとした。このときのスタティックミキサーでのウェーバー数(We)は7000、エマルジョンの温度は46℃であった。
ポリカーボネート粒状体を10重量%含有する45℃の温水スラリー130kgを入れた、大気圧下120rpmで攪拌している上記攪拌槽に、得られたエマルジョンを連続的に溶液供給口より供給し、同時に圧力0.3MPaの水蒸気を50.6kg/hrの速度で導入し、攪拌槽の内温を45℃に維持した。なお、6時間後の造粒槽内のポリカーボネート粒状体と温水との重量比率(ポリカーボネート/温水)は0.19であった。
水温を45℃に維持し、攪拌槽のスラリー導出口よりスラリーを抜き出し、湿式粉砕機を用いて湿式粉砕し、湿式粉砕後のスラリーの内、10m/hrを造粒槽に循環しながら、407リットル/hrの水スラリーを連続的に排出すると同時に、蒸発した塩化メチレンを蒸気排出口からコンデンサーに導き同伴した水分と分離し、塩化メチレンを回収した。排出した水スラリーのポリカーボネート粒状体中の残留塩化メチレン量は13重量%であった。
排出した水スラリーを、大気圧下95℃に保持した熱水中に攪拌下投入し、1時間加熱脱気処理した後、遠心脱水機によりポリカーボネート粒状体を分離し、140℃で6時間熱風乾燥を行った。乾燥後の粒状体の塩化メチレン含有量は3.3ppm、平均粒径は1.2mm、嵩密度は0.37g/cmであった。
[実施例11]
造粒槽として溶液供給口、水蒸気導入口、温水導入口、蒸気排出口及びスラリー導出口を備え、翼径28cmの3枚ファウドラー翼を2段有した250リットルジャケット付攪拌槽を用い、湿式粉砕機としてハクスバーナ・ゼノア(株)製ディスインテグレーターを用いた。
内径16.1mm、長さ320mmの(株)ノリタケカンパニーリミテド社製スタティックミキサーに、ビスフェノールAとホスゲンから常法によって合成し、精製した粘度平均分子量25,000のポリカーボネートの塩化メチレン溶液(温度35℃、濃度16重量%)と遠心脱水機により粒状体と分離した温水を、夫々300リットル/hrの速度で導入し、水中油分散型(O/W)のエマルジョンとした。
ポリカーボネート粒状体を10重量%含有する45℃の温水スラリー130kgを入れた、大気圧下120rpmで攪拌している上記攪拌槽に、得られたエマルジョンを連続的に溶液供給口より供給し、同時に圧力0.3MPaの水蒸気を攪拌槽の内温を45℃に維持する速度で導入した。
水温を45℃に維持し、攪拌槽のスラリー導出口よりスラリーを抜き出し、湿式粉砕機を用いて湿式粉砕し、湿式粉砕後のスラリーの内、10m/hrを造粒槽に循環しながら、ジャケット付攪拌槽のレベルが一定になるよう水スラリーを連続的に排出すると同時に、蒸発した塩化メチレンを蒸気排出口からコンデンサーに導き同伴した水分と分離し、塩化メチレンを回収した。
排出した水スラリーを、大気圧下95℃に保持した熱水中に攪拌下投入し、1時間加熱脱気処理した後、遠心脱水機によりポリカーボネート粒状体を分離した。
粒状体と分離された温水は、ジャケット付攪拌槽のジャケットへ導入し、熱交換した後、ポリカーボネート樹脂有機溶媒溶液と混合する温水として使用した。
6時間後の、ポリカーボネート樹脂有機溶媒溶液と混合する温水の温度は52℃、このときのスタティックミキサーでのウェーバー数(We)は215、エマルジョンの温度は47℃、造粒槽に導入する圧力0.3MPaの水蒸気は21.9kg/hr、造粒槽内のポリカーボネート粒状体と温水との重量比率(ポリカーボネート/温水)は0.20、排出した水スラリーのポリカーボネート粒状体中の残留塩化メチレン量は15重量%であった。
ポリカーボネート粒状体は140℃で6時間熱風乾燥を行い、乾燥後の粒状体の塩化メチレン含有量は7.0ppm、平均粒径は1.2mm、嵩密度は0.56g/cmであった。
[比較例1]
実施例1と同じ造粒槽を用い、静的ミキサーを使用せず、湿式粉砕機の替わりに三和ハイドロテック(株)製スラリーポンプを使用し、ビスフェノールAとホスゲンから常法によって合成し、精製した粘度平均分子量25,000のポリカーボネートの塩化メチレン溶液(温度35℃、濃度16重量%)を、45℃の温水40kgを入れた、大気圧下150rpmで攪拌している上記攪拌槽に連続的に溶液供給口より100リットル/hrの速度で供給し、同時に圧力0.3MPaの水蒸気と50℃の温水を夫々18.4kg/hr、100リットル/hrの速度で導入したが、攪拌槽壁、攪拌翼への付着が酷く、運転は不可能であった。
[比較例2]
実施例1と同じ造粒槽、湿式粉砕機を用い、静的ミキサーを内径27.2mm、長さ550mmの(株)ノリタケカンパニーリミテド社製スタティックミキサーとする以外は、実施例1と同様にしてポリカーボネート粒状体を得た。
エマルジョン作製時のスタティックミキサーでのウェーバー数(We)は5であり、連続的に排出した水スラリーの量は138リットル/hrであり、排出した水スラリーのポリカーボネート粒状体中の残留塩化メチレン量は23重量%であり、乾燥後の粒状体の塩化メチレン含有量は1630ppm、平均粒径は1.6mm、嵩密度は0.62g/cmであった。
Figure 2011026471
本発明で得られるポリカーボネート樹脂は、フィルム、シート、成形品等各種用途に応じて成形され、使用される。
1.撹拌翼
2.バレル
3.バレルに形成した突条
4.撹拌翼周縁に形成した鋸歯状突起
〜P.突起および突条の歯と歯の間隔
〜R.突起先端部および突条先端部の曲率半径
〜h.突起および突条の高さ

Claims (5)

  1. ポリカーボネート樹脂有機溶媒溶液と温水とを、加圧下、静的ミキサーにより混合することにより、水中油分散型(O/W)のエマルジョンとし、該有機溶媒の大気圧における沸点をT(℃)として、T℃〜T+50℃に保持した造粒槽に連続的に供給し、有機溶媒を除去してポリカーボネート粒状体を製造する方法であって、静的ミキサーでのウェーバー数(We)が2×10〜2×10であることを特徴とするポリカーボネート粒状体の連続製造方法。
  2. 水中油分散型(O/W)のエマルジョンの温度が、T℃〜T+80℃の範囲である請求項1に記載のポリカーボネート粒状体の連続製造方法。
  3. 生成したポリカーボネート粒状体の少なくともその一部を抜取り、湿式粉砕機により粉砕した後、造粒槽内へ循環させながら、ポリカーボネート粒状体を製造する請求項1または2に記載のポリカーボネート粒状体の連続製造方法。
  4. 前記造粒槽として翼および/またはバレルに溝又は突起状の歯を設けたニーダーを用いる請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリカーボネート粒状体の連続製造方法。
  5. 請求項1〜4で得られたポリカーボネート粒状体の水スラリーを、T+20℃〜T+60℃で熱水処理した後、脱水してポリカーボネート粒状体を分離、回収し、粒状体と分離された温水をエマルジョン形成用の温水として使用する請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリカーボネート粒状体の連続製造方法。
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