JP2011020128A - 高温耐久性に優れた熱交換器用アルミニウム合金製ろう付け構造体及びその製造方法 - Google Patents

高温耐久性に優れた熱交換器用アルミニウム合金製ろう付け構造体及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2011020128A
JP2011020128A JP2009165671A JP2009165671A JP2011020128A JP 2011020128 A JP2011020128 A JP 2011020128A JP 2009165671 A JP2009165671 A JP 2009165671A JP 2009165671 A JP2009165671 A JP 2009165671A JP 2011020128 A JP2011020128 A JP 2011020128A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
brazing
alloy
mass
flow path
heat exchanger
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2009165671A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5431046B2 (ja
Inventor
Yoshikazu Suzuki
義和 鈴木
Makoto Ando
誠 安藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Furukawa Sky Aluminum Corp
Original Assignee
Furukawa Sky Aluminum Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Furukawa Sky Aluminum Corp filed Critical Furukawa Sky Aluminum Corp
Priority to JP2009165671A priority Critical patent/JP5431046B2/ja
Publication of JP2011020128A publication Critical patent/JP2011020128A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5431046B2 publication Critical patent/JP5431046B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Details Of Heat-Exchange And Heat-Transfer (AREA)

Abstract

【課題】熱交換器の使用時における温度150〜250℃での耐クリープ性に優れる流路部材を有する熱交換器用ろう付け構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る高温耐久性に優れた熱交換器用アルミニウム合金製ろう付け構造体の製造方法は、気体又は液体の流路を形成する流路部材を備える高温耐久性に優れた熱交換器用アルミニウム合金製ろう付け構造体の製造方法であって、Mn:0.7〜1.6質量%、Fe:0.05〜0.7質量%、Si:0.05〜0.3質量%を含有し残部がAl及び不可避的不純物からなる組成を有するAl−Mn系合金材を流路部材の少なくとも一部に用いてろう付け接合し、該ろう付け接合時における前記Al−Mn系合金材の到達温度が610℃を超え628℃以下となるよう制御する、ことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱交換器に用いられる高温耐久性に優れたアルミニウム合金製ろう付け構造体の製造方法、及び高温耐久性に優れたアルミニウム合金製ろう付け構造体に関するものである。
一般に、自動車用熱交換器はフィン、チューブ、ヘッダなどのアルミニウム合金部材がろう付け接合されて構成されている。このろう付け構造体の材料としてはAl−Mn系合金が多く用いられている。これには、単独で用いられる場合とクラッド材の心材として用いられる場合の両方が有り、素材形態としても例えば押出材と板材とがある。
近年、自動車の燃費向上や環境対応の必要性から、従来よりも高い150〜250℃で使用される熱交換器(インタークーラーやCO冷媒を用いたエアコン等)の開発が進んでいる。これに伴い、より高温・高応力が加わる各部材、特にガスや液体が通るチューブなどの流路部材について、使用時のクリープ変形を抑えることが熱交換器の機能を維持するために重要である。そのため、ろう付けに適するAl−Mn系合金材についても、この温度域での耐クリープ性の向上が要求されている。
しかしながら、熱交換器の流路部材の耐クリープ性の向上に関する有効な先行技術の例は乏しい。
特許文献1には、高温強度に優れた熱交換器用Al合金押出材として、成分がMn:0.7〜1.5質量%及びCu:0.3〜1.0質量%、Si:0.10質量%未満、Fe:0.20質量%未満とし、ろう付け後の電気伝導度を37.0%IACS以下としたものが開示されている。これは、合金組成の選択により、固溶元素量を上げて固溶強化により高温強度を向上させる技術と解釈される。しかし、特許文献1では、耐クリープ性の向上についての言及はなく、長時間高温で応力付加した場合の耐久性が確保されているとは言いがたい。この合金は、固相線温度を下げるCuを多く添加しており、特許文献1の実施例のろう付け温度である605℃よりろう付け温度を高くすると局部溶解を起こすおそれがある。また、高濃度のCu添加は粒界腐食の感受性を高める問題もある。
特開2001−207231号公報
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、熱交換器の使用時における温度150〜250℃での耐クリープ性に優れる流路部材を有する熱交換器用アルミニウム合金製ろう付け構造体の製造方法、及びそれによる熱交換器用アルミニウム合金製ろう付け構造体を提供することを目的とする。特に、高温強度の向上には効いても耐粒界腐食性などを低下させるCu、及びろう付け性を低下させるMgを添加しないか、添加量を抑えることを前提として、耐クリープ性を向上させることを課題とした。
上記課題を解決するため、本発明の第1の観点に係る高温耐久性に優れた熱交換器用アルミニウム合金製ろう付け構造体の製造方法は、
気体又は液体の流路を形成する流路部材を備える高温耐久性に優れた熱交換器用アルミニウム合金製ろう付け構造体の製造方法であって、
Mn:0.7〜1.6質量%、Fe:0.05〜0.7質量%、Si:0.05〜0.3質量%を含有し残部がAl及び不可避的不純物からなる組成を有するAl−Mn系合金材を前記流路部材の少なくとも一部に用いてろう付け接合し、
該ろう付け接合時における前記Al−Mn系合金材の到達温度が610℃を超え628℃以下となるよう制御する、
ことを特徴とする。
上記の熱交換器用アルミニウム合金製ろう付け構造体において、前記Al−Mn系合金材が、さらにCu、Mg、Ti、Cr、Zr、V、Niの一種又は複数種を各0.05〜0.2質量%含む、
こととしてもよい。
また、上記課題を解決するため、本発明の第2の観点に係る高温耐久性に優れた熱交換器用アルミニウム合金製ろう付け構造体は、
気体又は液体の流路を形成する流路部材を備えろう付け接合されており、
前記流路部材は、少なくともその一部に、Mn:0.7〜1.6質量%、Fe:0.05〜0.7質量%、Si:0.05〜0.3質量%を含有し残部がAl及び不可避的不純物からなる組成を有するAl−Mn系合金材を備え、
前記ろう付け接合された前記Al−Mn系合金材のMn固溶量が0.4質量%以上かつFe固溶量が0.01質量%以上である、
ことを特徴とする。
本発明によれば、流路部材に使用されるAl−Mn系合金材において、ろう付け接合後のMn固溶量及びFe固溶量をともに多くすることができるため、熱交換器の使用時における温度150〜250℃での耐クリープ性を向上させることが可能となる。
本発明の実施例における評価用ミニコアを示す正面図である。 本発明の実施例におけるその他の評価用ミニコアを示す正面図である。
本発明者らは、特に追加的な工程を用いずに、合金組成及びろう付け条件を制御してAl−Mn系合金材の耐クリープ性を向上させることを試み、それに適した組成及びろう付け条件を検討し、本発明に至った。以下、本発明の実施形態について具体的に説明する。
本発明で対象にする熱交換器の流路部とは、熱交換に必要な気体、液体の流れる部分である。流路部は熱交換器の運転時に高温となりかつ圧力が加わるため、流路部の構成部材(以下、流路部材という)は耐クリープ性を必要とする。通常、全体の流路はヘッダ、チューブなどの複数の流路部材が組み合わされて形成され、フィンと合わせて一体のろう付け構造体として形成される。本実施形態では、流路部材の少なくとも一部の部位にAl−Mn系合金材が使用されるものとする。Al−Mn系合金材の素材形態としては、例えば押出材又は板材とすることができる。押出材としては、流路形状を持つ押出多穴チューブが典型的なものである。板材としては、全体が一種類のAl−Mn系合金で成るいわゆるベア材を用いても良いし、複層からなるクラッド材の心材として用いても良い。
本発明の製造方法では、流路部を形成するAl−Mn系合金材のろう付け時における到達温度が610℃を超え、628℃以下となるよう制御する。このような制御により、合金中のMn、Feの固溶量を上げることが可能となる。発明者らの検討により、Mn及びFeがともに一定量以上固溶している場合に、耐クリープ性を向上させる効果が大きいことが確認されている。
ろう付け前のAl−Mn系合金中のMn、Feは金属間化合物粒子を多く形成しており、固溶している量は小さい。これを上記の特定条件でろう付け加熱することで効果的に金属間化合物粒子を固溶させることが可能となる。
具体的には、熱交換器の製造時のろう付け温度は600〜605℃前後が通例であるが、本発明では流路部材に用いられるAl−Mn系合金材の到達温度がこれより高い610℃を超え、628℃以下となるように制御する。このような高い到達温度とすることで、Al−Mn系合金材中の固溶Mn量、固溶Fe量を高くし、これらの固溶元素によりクリープ変形の抑制が可能となるのである。
材料の到達温度が610℃以下では、通例のろう付け処理の場合と比べて耐クリープ性の特段の向上は起こらない。また、到達温度が628℃を超えると、該押出材中で局部的な溶融が起こるおそれがあり、これにより組み合わせるフィンの変形が起こるため正常な構造体が得られない。本実施形態では、特に、620℃を超え、628℃以下の材料到達温度とすることが耐クリープ性の向上にはより有効である。
Al−Mn系合金材は、ろう付け中、610℃を超え、628℃以下となる温度範囲に1〜8min保持されることが望ましい。また、ろう付け後の冷却中の固溶元素の析出を防止するため、冷却速度は80℃/min以上が望ましく、さらに160℃/min以上とすることが望ましい。
本発明の製造方法によるろう付けで通例以上の加熱時間をとる必要はなく、工程の生産性の観点から材料温度が500℃以上となっている時間は25min以内とする。
次に、上記のろう付け条件に好適なAl−Mn系合金の組成について説明する。先ず、基本的な有効元素であるMn、Feの添加量と固溶量の規定について説明する。
流路部材に用いられるAl−Mn系合金の組成中のMnは、ろう付け後の流路部材の耐クリープ性向上に有効な元素である。この添加量が0.70質量%未満では、十分な耐クリープ性が得られない。また添加量が1.6質量%を超えると通常のDC(Direct Chill)鋳造時に粗大な晶出物を生じ、均質な組織が得られず不適当である。
Feはアルミニウム合金の不可避的な不純物の代表的なものであるが、Mnとともに適切に添加して制御するとチューブ材の耐クリープ性向上に寄与する元素である。Feを0.70質量%を超えて含有すると、DC鋳造時に粗大な晶出物を生じ、均質な組織が得られないため不適当である。また、これを0.05質量%未満とするのは、高価な高純度のアルミ地金を用いる必要があり、かえって耐クリープ性の点で不利となるため不適当である。
流路部材に用いられるAl−Mn系合金では、耐クリープ性の向上のため、ろう付け加熱後にMn固溶量が0.40質量%以上かつFe固溶量が0.010質量%以上であることが規定される。これは、本発明の材料組成・ろう付け加熱条件を採用することにより実現される。固溶量の上限は特に規定しないが、添加量以下になることは自明である。0.40質量%に満たないMn固溶量であると、流路部材の耐クリープ性が低くなり不適当である。また、アルミニウム合金中のFeの固溶量はごく小さいのが通例であるが、本発明者らは、規定量を満たす少量の固溶FeでもAl−Mn系合金の耐クリープ性向上に有効であることを見出した。なお、Feの固溶量が0.010質量%に満たない量では、耐クリープ性の向上が不十分となり不適当である。
ここで、Mn及びFeの固溶量の分析は、熱フェノール溶解ろ液法によるものとする。この分析方法については文献「松尾ら:軽金属、Vol.47(1997),15.」に説明されており、これに準じて実施される。
以下に、Mn、Fe以外に本実施形態で必須元素として添加されるSiの成分規定について説明する。
Siは不可避的な不純物元素の一つであり、Mnの存在状態に影響する。これを0.05質量%未満に規制すると、高価な高純度地金を必要とし、かつ特段の特性向上にも結びつかない。また、Si含有量が0.30質量%を超えると、Mnの析出が著しく促進され、結果として耐クリープ性向上の効果が損なわれるので不適当である。さらに、Si含有量が規定を超え、他の選択元素も加えた場合、本発明規定のろう付け条件で材料中の局部的な溶融が生じるおそれがあり不適当である。
また、上記必須元素以外に、選択的に添加できる有効元素として、Cu、Mg、Ti、Cr、Zr、V、Niの一種又は複数種を各0.05〜0.20質量%含むこととしてもよい。以下、各成分の限定理由について説明する。
Cuは、規定範囲で添加することにより流路部材のろう付け後の耐クリープ性向上に寄与する元素である。前述のように、Cuの過度の添加は、固相線温度の低下により高温ろう付け時の局部溶融を引き起こすことと、粒界腐食を助長することと、の問題がある。このため、0.20質量%を超える添加は不適当である。また、0.05質量%未満のCu添加は、耐クリープ性向上に結びつかない。
ただし、620℃を超えて、628℃以下の特に高いろう付け温度を採用する場合、Cuを添加しない合金組成が望ましい。逆に言えば、粒界腐食などの懸念からCuを実質的に無添加とした合金組成(0.05%未満)の場合には、620℃を超えて、628℃以下の高温ろう付けにより耐クリープ性を補うことが出来る。
Mgも規定範囲で添加することにより流路部材のろう付け後の耐クリープ性向上に寄与する。しかし、0.20質量%を超える添加は、フラックスを用いたノコロックろう付けでの接合性を低下させるため不適当である。また、Mgの過度の添加は固相線温度の低下により高温ろう付け時の局部溶融を招くおそれがある。一方、0.05質量%未満の添加では、特段の強度向上効果が得られない。
また、Cu、Mgの添加量が規定より多い場合には材料の熱間加工性が低下する。このため、押出多穴チューブを対象とした場合、押出性生産性が低下するか、場合により正常な形状のチューブが得られないおそれがある。
Ti、Cr、Zr、V、Niも流路部材のろう付け後の強度に寄与する元素である。規定範囲未満の添加量では、強度向上効果が不十分である。これらはCu、Mgと異なり、顕著な固相線温度の低下はもたらさないが、規定範囲を超えて添加すると、鋳造時に粗大な晶出物が形成されるため均質な材料組織が得られないため適当でない。
その他に、本発明においては、流路部材に通常のアルミニウム合金の鋳造で添加される微細化剤の成分であるTi:0.005〜0.10質量%、又はTi:0.005〜0.10質量%及びB:0.001〜0.01質量%を含んでいてもかまわない。なお、微細化剤由来のTiは、鋳造時に金属間化合物粒子として存在することで凝固組織の微細化に効くものであり、上記の強化元素としてのTiとは別に添加されるものとする。
次に、本発明による熱交換器用ろう付け構造体における各部材製造方法について説明する。
規定のAl−Mn系合金材を含む流路部材は、適宜、Al−Si系合金ろう材を用いて他の部材とろう付け接合されることにより、熱交換器用の構造体を形成する。ブレージングシートは、ベア材や表面にろう材層を有するものを使用することができる。ろう付け方法としては、非酸化性雰囲気下でフラックスを用いて接合するノコロックろう付けが好適である。Al−Si系合金ろうは、ブレージングシートの皮材として供給されるのが一般的であるが、ろうの粉末や箔を接合部に設置することでもかまわない。
本発明の一実施形態としては、上述のように成分が規定されたAl−Mn系合金からなる押出多穴チューブを流路部材とし、ブレージングシートからなるフィン、ヘッダと組み合わせて熱交換器用構造体を構成するものが好適である。このうち、ブレージングシートフィンは、Al−Mn系合金を心材とし、両面にAl−Si系ろう材層を有する厚さ0.04〜0.12mmのものが好適であり、コルゲート成形された後に流路部材とろう付け接合される。なお、フィンは薄い部材であり、ろう付け時に熱交換器の中で最も速く温度の上がる部位である。ろう付け温度を高くすると、コルゲートフィンの座屈変形が起こりやすく、正常な形状の構造体が得られない場合がある。この防止のためには、615℃×3minの保持で30mm突き出して行ったサグ試験でサグ量が18mm以下であるブレージングシートフィンの使用が好適である。なお、サグ試験については、軽金属溶接構造協会規格LWST8801に準じて実施されるものとする。
流路部材の一形態である押出多穴チューブの製造工程としては、規定組成のAl−Mn系合金ビレットをDC鋳造により作製し適宜均質化処理し熱間押出する方法が好適である。押出材の表面にZn溶射などにより犠牲陽極層を形成することは通常通り実施できる。この熱間押出後のチューブは、所定長さに切断されて熱交換器用の構造体に組み入れられる。
また、Al−Mn系合金を心材としたクラッド材も、上記工程の熱間圧延によってスラブの片面あるいは両面にAl−Si合金材を圧着接合することによって作製しうる。
また、流路部材として用いられる板材の製造方法としては、例えば以下に示す工程によるものが好適である。すなわち、Al−Mn系合金スラブを通常のDC鋳造により作製し、適宜均質化処理したのち熱間圧延し、冷間圧延及び焼鈍を組み合わせた方法で、所定厚さの板材とすることが好適である。なお、流路部材としての板材は、流路形状を与えるためロールや金型による成形加工を施してからろう付け接合されるのが通例である。
なお、本発明に係る熱交換器用アルミニウム合金製ろう付け構造体は、流路部材の一部として用いることもできる。このような実施形態として、例えばカーエアコンのコンデンサやエバポレータなどのチューブへの使用が挙げられる。チューブの肉厚を薄くしながら、クリープによる変形を抑えることができるので、本発明の技術が最も有効となる。この場合、ヘッダタンクなどの他の流路部材はより肉厚であるので本発明規定以外のものでもクリープ変形を起こさせない設計が可能である。これらの他の流路部材についても、本発明規定の材料を用いて、薄肉化をはかることができるのは当然である。
次に、本発明の熱交換器用アルミニウム合金製ろう付け構造体の実施例について、その特許請求の範囲から外れる比較例と比較して具体的に説明するが、本発明はこれに制限されるものではない。
先ず、表1に示す組成のAl−Mn系合金の板厚80mmのスラブを、DC鋳造法で作製した。これをスラブ面削の後、均質化処理を兼ねた熱間圧延予備加熱を450℃×3hの条件で実施し、熱間圧延して板厚4.5mmの熱間圧延板とした。次に、この熱間圧延板を板厚1.5mmまで冷間圧延して、390℃×3hの条件で中間焼鈍し、さらに冷間圧延して板厚0.7mmの板材を作製した。なお、表1の合金組成の欄において、「残部」は不可避的不純物を含むものであり(後述の表2も同様)、「−」は検出限界以下であることを示す。
Figure 2011020128
このAl−Mn系合金の板材を流路部材の模擬材として、図1に示すように、実験的な構造体であるミニコア10を組み立てた。すなわち、Al−Mn系合金板11は幅20mm、長さ128mmとし、幅16mmのコルゲート加工されたブレージングシートフィン12を間にはさんで上下に配置した。Al−Mn系合金板11の中央部はフィンが接合されないよう空間をあけたが、この部分(図1の破線で示す範囲内の特性評価部13)が後述のクリープ試験片の平行部の長さが30mmとなるようにした。ブレージングシートフィン12は、表2に示すような組成のものを用いた。すなわち、ブレージングシートフィン12のうち、心材は、1.35質量%のMnを含有するAl−Mn系合金材であり、ろう材は7.1質量%のSiを含有するAl−Si系合金材である。なお、表2における記号「Tr.」は、当該元素の含有量が微量であることを示す。ろう材は心材の両面に7%のクラッド率となるように配置し、ブレージングシートフィン12全体の板厚は0.08mmとした。ブレージングシートフィン12のコルゲートの山高さは7.5mm、山間隔を1.8mmとした。ミニコア10の各部材の固定はステンレス線(図示せず)で行った。
Figure 2011020128
そして、上記のように構成されたミニコア10に対して、一般的なノコロックろう付けでろう付け加熱を行った。より具体的には、フッ化物系の非腐食性フラックスをミニコア10の表面に塗布した後、表3の条件でろう付け加熱した。ろう付け加熱に際しては、Al−Mn系合金板11に熱電対を取り付け、ろう付け中のAl−Mn合金板11の到達温度(以下、単に到達温度ともいう)を測定した。
Figure 2011020128
次に、ろう付け加熱後のミニコア10からブレージングシートフィン12を除去して、Al−Mn系合金板11から、平行部(特性評価部13)の長さが30mm、幅が12.5mmで、つかみ部の幅が20mmのダンベル型クリープ試験片を作製した。
各試験片に対する評価項目を以下に示す。クリープ試験は、上記試験片に対して200℃で種々応力を印加して実施し、最小ひずみ速度が10−7/sとなる試験応力をクリープ強さと定義して評価した。その他に、同様の試験片を用い、5mm/minの引張速度で200℃での高温引張強さを測定した。また、この特性評価部13と同等位置の部材について、Mn固溶量及びFe固溶量の分析を熱フェノール抽出法で行った。
表4に、図1に示したミニコア10、すなわちAl−Mn合金板を使用したろう付け構造体における各種の製造条件と上記評価項目の測定結果を示す。なお、表4は、それぞれ本発明範囲内の組成を有する合金No.1、2及び5を使用し、種々のろう付け条件により形成された構造体に関するものである。
Figure 2011020128
表4に示すように、本発明対象となる組成の同一合金について本発明規定のろう付け条件をとった場合(実施例1−1〜1−3、2−1〜2−4、3−1〜3−3)と、規定範囲のろう付け条件から外れる例(比較例1−1〜1−2、2−1〜2−3、3−1〜3−2)と、を比べると、上記各合金について本発明で規定するろう付け条件(実施例)でクリープ強さが上がっていることが分かる。また、高温引張強さについても、各合金について実施例の方が比較例よりも高い結果が得られている。これは、表4に示すように、固溶元素として特にMn及びFeの両方の固溶量が増した効果と解釈される。また、実施例2−1と実施例2−2とを比べると、同じ合金、同じ到達温度であれば、前述したようにより冷却速度が大きい実施例2−1の方がクリープ強さ、高温引張強さともにより大きな値が得られた。このように、規定の合金組成範囲であれば、いずれの合金組成でも、ろう付けの条件の制御によりクリープ強さの向上が実現できることが本発明の技術の利点といえる。本発明範囲の条件でも、特にろう付け時の到達温度が620℃を超える場合に、耐クリープ性の向上が顕著である。
表5では、さらに合金組成を変えてミニコア10を作製した場合の各試験片について評価することにより、本発明の有効性を示している。表5には、合金No.3、4、6〜11の各合金について、異なるろう付け条件による実施例4〜11と対応する比較例4〜11との結果をそれぞれ並べて記載した。それに加えて、本発明範囲外の組成を有する合金No.20〜30についての結果も比較例12〜22として表5に示す。なお、表5において、「***」の項目は正常に試験片が形成されたが一部の評価項目を測定していないことを示す。また、表5において、「---」で示す項目は、正常に試験片が作成されなかったために測定ができなかったことを示す。
Figure 2011020128
表5に示すように、上記各合金について、実施例4〜11は比較例4〜11に比べてクリープ強さ、高温引張強さともに向上している。これは、表4の場合と同様に、ろう付け後のMn及びFeの固溶量がともに実施例の方が比較例よりも多くなったためと解釈される。なお、実施例5及び比較例5におけるMn、Feの固溶量については、表4の結果を考慮すると、同じろう付け条件(C、E)の他の実施例等とほぼ同等であるものと推察される。また、比較例12についてはMn含有量が規定範囲よりも少なかったため高温引張強さ及びクリープ強さが低くなった。さらに、比較例13〜22については、それぞれ表5の備考欄に示すように、各元素の含有量が規定範囲よりも多かったため、各元素の説明において上述した理由で正常に試験片が形成されなかった。したがって、当該試験片における表5の「---」で示す項目は測定できなかった。
上記の結果は流路部材を板材とした場合であるが、これに加えて、押出材についても評価した。以下、試験片の製造方法と評価について説明する。
表1の合金No.1について、直径200mmのビレットをDC鋳造し、600℃×5hの均質化処理の後、500℃にて熱間押出しした。これにより、幅16mm、厚さ1.6mmで11穴の多穴チューブ形状を有するAl−Mn合金押出チューブ21を形成した。続いて、このAl−Mn合金押出チューブ21と、表2の組成を有するブレージングシートフィン22とを組み合わせ、前記の板材の場合と同様に図2のようなミニコア20とし、ろう付け加熱した。その後、このミニコア20からブレージングシートフィン22を取り除き、Al−Mn合金押出チューブ21から図2に示す特性評価部23を採取し試験片とした。そして、採取された試験片をクリープ試験機のチャックで固定し、200℃で種々の応力を印加して、最小ひずみ速度が10−7/sとなる試験応力をクリープ強さとして算出評価した。評価結果を表6に示す。
Figure 2011020128
表6に示すように、実施例12、13は、比較例23、24に比べてクリープ強さが向上するという結果が得られた。この結果は、上述した板材と同様に、ろう付け後のMn及びFeの固溶量が、ともに実施例の方が比較例よりも多いことで説明することができる。このように、Al−Mn系合金押出材を用いてろう付けした場合でも、本発明条件のろう付けにより耐クリープ性の向上が可能であることが実証された。
10 ミニコア
11 Al−Mn系合金板
12 ブレージングシートフィン
13 特性評価部
20 ミニコア
21 Al−Mn系合金押出チューブ
22 ブレージングシートフィン
23 特性評価部

Claims (3)

  1. 気体又は液体の流路を形成する流路部材を備える高温耐久性に優れた熱交換器用アルミニウム合金製ろう付け構造体の製造方法であって、
    Mn:0.7〜1.6質量%、Fe:0.05〜0.7質量%、Si:0.05〜0.3質量%を含有し残部がAl及び不可避的不純物からなる組成を有するAl−Mn系合金材を前記流路部材の少なくとも一部に用いてろう付け接合し、
    該ろう付け接合時における前記Al−Mn系合金材の到達温度が610℃を超え628℃以下となるよう制御する、
    ことを特徴とする高温耐久性に優れた熱交換器用アルミニウム合金製ろう付け構造体の製造方法。
  2. 前記Al−Mn系合金材が、さらにCu、Mg、Ti、Cr、Zr、V、Niの一種又は複数種を各0.05〜0.2質量%含む、
    ことを特徴とする請求項1に記載の熱交換器用アルミニウム合金製ろう付け構造体の製造方法。
  3. 気体又は液体の流路を形成する流路部材を備えろう付け接合されており、
    前記流路部材は、少なくともその一部に、Mn:0.7〜1.6質量%、Fe:0.05〜0.7質量%、Si:0.05〜0.3質量%を含有し残部がAl及び不可避的不純物からなる組成を有するAl−Mn系合金材を備え、
    前記ろう付け接合された前記Al−Mn系合金材のMn固溶量が0.4質量%以上かつFe固溶量が0.01質量%以上である、
    ことを特徴とする高温耐久性に優れた熱交換器用アルミニウム合金製ろう付け構造体。
JP2009165671A 2009-07-14 2009-07-14 高温耐久性に優れた熱交換器用アルミニウム合金製ろう付け構造体の製造方法 Expired - Fee Related JP5431046B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009165671A JP5431046B2 (ja) 2009-07-14 2009-07-14 高温耐久性に優れた熱交換器用アルミニウム合金製ろう付け構造体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009165671A JP5431046B2 (ja) 2009-07-14 2009-07-14 高温耐久性に優れた熱交換器用アルミニウム合金製ろう付け構造体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011020128A true JP2011020128A (ja) 2011-02-03
JP5431046B2 JP5431046B2 (ja) 2014-03-05

Family

ID=43630642

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009165671A Expired - Fee Related JP5431046B2 (ja) 2009-07-14 2009-07-14 高温耐久性に優れた熱交換器用アルミニウム合金製ろう付け構造体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5431046B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013204892A (ja) * 2012-03-28 2013-10-07 T Rad Co Ltd 耐圧強度に優れるタンク材及び熱交換器
JP2014055338A (ja) * 2012-09-13 2014-03-27 Uacj Corp 熱交換器用アルミニウム製クラッド板及びその製造方法、ならびに、当該クラッド板を用いたアルミニウム製熱交換器及びその製造方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02282451A (ja) * 1989-04-24 1990-11-20 Sumitomo Light Metal Ind Ltd 真空ろう付け構造体の製造方法
JP2006045603A (ja) * 2004-08-03 2006-02-16 Furukawa Sky Kk 自然冷媒用熱交換器のアルミニウム合金押出しチューブ材
JP2010214378A (ja) * 2009-03-13 2010-09-30 Furukawa-Sky Aluminum Corp 高温ろう付け用薄肉ブレージングシートフィン材およびそれを使用した熱交換器の製造方法
JP2010214379A (ja) * 2009-03-13 2010-09-30 Furukawa-Sky Aluminum Corp 高温ろう付け用薄肉ブレージングシートフィン材およびそれを使用した熱交換器の製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02282451A (ja) * 1989-04-24 1990-11-20 Sumitomo Light Metal Ind Ltd 真空ろう付け構造体の製造方法
JP2006045603A (ja) * 2004-08-03 2006-02-16 Furukawa Sky Kk 自然冷媒用熱交換器のアルミニウム合金押出しチューブ材
JP2010214378A (ja) * 2009-03-13 2010-09-30 Furukawa-Sky Aluminum Corp 高温ろう付け用薄肉ブレージングシートフィン材およびそれを使用した熱交換器の製造方法
JP2010214379A (ja) * 2009-03-13 2010-09-30 Furukawa-Sky Aluminum Corp 高温ろう付け用薄肉ブレージングシートフィン材およびそれを使用した熱交換器の製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013204892A (ja) * 2012-03-28 2013-10-07 T Rad Co Ltd 耐圧強度に優れるタンク材及び熱交換器
JP2014055338A (ja) * 2012-09-13 2014-03-27 Uacj Corp 熱交換器用アルミニウム製クラッド板及びその製造方法、ならびに、当該クラッド板を用いたアルミニウム製熱交換器及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5431046B2 (ja) 2014-03-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4166613B2 (ja) 熱交換器用アルミニウム合金フィン材および該フィン材を組付けてなる熱交換器
JP5055881B2 (ja) 熱交換器用アルミニウム合金フィン材の製造方法およびフィン材をろう付けする熱交換器の製造方法
JP6452626B2 (ja) アルミニウム合金クラッド材及びその製造方法、ならびに、当該アルミニウム合金クラッド材を用いた熱交換器及びその製造方法
US11136652B2 (en) Aluminum alloy material and method for producing the same, and aluminum alloy clad material and method for producing the same
JP6452627B2 (ja) アルミニウム合金クラッド材及びその製造方法、ならびに、当該アルミニウム合金クラッド材を用いた熱交換器及びその製造方法
JP6206322B2 (ja) ろう付け性と耐サグ性に優れた熱交換器用アルミニウム合金フィン材およびその製造方法
US20160161199A1 (en) Aluminum-alloy clad member, method for producing same, and heat exchanger using aluminum-alloy clad member
JP5913853B2 (ja) アルミニウム合金ブレージングシートおよびその製造方法
JP4623729B2 (ja) 犠牲陽極材面のろう付けによる面接合性に優れたアルミニウム合金クラッド材および熱交換器
WO2015001725A1 (ja) アルミニウム合金ブレージングシート及びその製造方法
JP2008006480A (ja) 熱交換器用ブレージングフィン材並びに熱交換器及びその製造方法
JP6418714B2 (ja) アルミニウム合金クラッド材及びその製造方法、ならびに、当該アルミニウム合金クラッド材を用いた熱交換器及びその製造方法
EP2969376B1 (en) Clad sheet alloys for brazing applications
JP2008231503A (ja) アルミニウム合金材およびアルミニウム合金ブレージングシート
US20170003085A1 (en) Aluminum alloy fin material for heat exchangers, and method of producing the same, and heat exchanger
JP2010106345A (ja) 熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシート
US20130292012A1 (en) Aluminum alloy for small-bore hollow shape use excellent in extrudability and intergranular corrosion resistance and method of production of same
JP5279337B2 (ja) 熱交換器用アルミニウム合金フィン材およびその製造方法並びに熱交換器
CN112955574B (zh) 铝合金硬钎焊板及其制造方法
JP5431046B2 (ja) 高温耐久性に優れた熱交換器用アルミニウム合金製ろう付け構造体の製造方法
JP5545798B2 (ja) 熱交換器用アルミニウム合金フィン材の製造方法
JP2010018872A (ja) ろう付性に優れたアルミニウム合金ブレージングシート
JP2009293059A (ja) 耐エロージョン性に優れた高強度アルミニウム合金フィン材及びその製造方法、並びに自動車熱交換器
JP2017057497A (ja) 熱交換器用アルミニウム合金フィン材及びその製造方法、ならびに、当該アルミニウム合金フィン材を用いた熱交換器
JP3743709B2 (ja) 成形性及びろう付け性に優れた熱交換器用アルミニウム合金フィン材

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120625

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130730

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130731

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130930

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131203

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131204

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5431046

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees