JP2011016980A - アクリルエマルジョン組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】
貯蔵安定性が良好で、被処理物に対する親和性、ヌレ性が良好であり、比較的低温の処理でも、必要十分な機械的強度、接着力を発揮するアクリルエマルジョン組成物を得る。
【解決手段】
分子中に、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)がラジカル重合した化学構造(P1)を有し、化学構造(P1)の凝集エネルギーCE(P1)が500MPa以上である化学構造を0.3〜50重量%含むアクリル共重合体2〜50重量%と水50〜98重量%を含むアクリルエマルジョン組成物である。また、分子中に、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)がラジカル重合した化学構造(P1)が有する官能基がさらに反応した後に生成する化学構造(P2)を有し、化学構造(P2)の凝集エネルギーCE(P2)が450MPa以上である化学構造を0.3〜50重量%含むアクリル共重合体2〜50重量%と水50〜98重量%を含むアクリルエマルジョン組成物である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、アクリルエマルジョン組成物に関し、特に、塗料、粘着剤、接着剤、バインダーおよびサイジング剤、紙力増強剤、高分子複合材料の相溶化ポリマーなどに用いられるアクリルエマルジョン組成物に関する。
アクリルエマルジョンは、低VOCで環境負荷が小さいことから塗料、粘着剤、接着剤などとして広く使用されている。一方で、アクリルエマルジョンは水を媒体として乳化重合で製造されるため、成膜後もポリマー中に乳化剤が残り、水を媒体とするため適切な硬化剤がないこともあって、十分な架橋反応を行うことができず機械的強度が低く、耐水性、耐溶剤性などの耐薬品性が劣っていた。
アクリルエマルジョンの架橋方法が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1はカルボキシル基由来の高酸価アクリルエマルジョンと分子中にオキサゾニル基を有するビニル化合物のエマルジョンとを混合するものである。特許文献1が提案する技術は、基本的にはアクリルエマルジョンとオキサゾニル基を有するビニル化合物のエマルジョンとからなる2液混合型であり、連続処理を行うような現場では使い勝手が悪く、かつ十分な性能を引き出すためには200℃以上の高温での硬化反応、架橋反応が必要であり、耐熱性がさほどない、例えばプラスチック類には適用できない。
ポリアミン化合物をバインダーとする炭素繊維の処理方法が提案されている(特許文献2、特許文献3参照)。特許文献2または3で提案されている技術は、ポリエチレンイミンまたはポリアリルアミンで炭素繊維の集束体を製造した後、これをマトリックス樹脂に分散する炭素繊維チョップドストランドに関するものである。特許文献2または3で提案されている技術では、ポリエチレンイミン水溶液またはポリアリルアミン水溶液が炭素繊維との親和性が乏しいこと、ヌレ性が不十分であること、および、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミンの分子量がせいぜい数千から数万未満と小さく、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミンは架橋されることがなく、炭素繊維複合材料(CFRP)として期待される必要十分な機械強度、耐熱性、耐薬品性などが発現されないことが推測される。
特開平9−328656号公報 特開平3−65311号公報 特開平7−266462号公報
本発明が解決しようとする課題は、貯蔵安定性が良好で、被処理物に対する親和性、ヌレ性が良好であり、必要十分な機械的強度、接着力を発揮するアクリルエマルジョン組成物を得ることである。
本発明は、分子中に、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)がラジカル重合した化学構造(P1)を有し、化学構造(P1)の凝集エネルギーCE(P1)が500MPa以上である化学構造を0.3〜50重量%含むアクリル共重合体2〜50重量%と水50〜98重量%を含むアクリルエマルジョン組成物である。
本発明は、さらに、分子中に、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)がラジカル重合した化学構造(P1)が有する官能基がさらに反応した後に生成する化学構造(P2)を有し、化学構造(P2)の凝集エネルギーCE(P2)が450MPa以上である化学構造を0.3〜50重量%含むアクリル共重合体2〜50重量%と水50〜98重量%を含むアクリルエマルジョン組成物である。
本発明のアクリルエマルジョン組成物は、貯蔵安定性が良好で、種々素材への親和性、ヌレ性に優れている。本発明のアクリルエマルジョン組成物は、150℃以下程度の比較的低温処理でも必要十分な弾性率、引張強度、伸度、引張剪断強度、曲げ応力、曲げ弾性率などの機械的強度を発現する。
また、本発明のアクリルエマルジョン組成物は、塗料用、粘着剤用、接着剤用として有用であり、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン樹脂(ABS)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ナイロン樹脂(NY)、ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS)、ポリプロピレン樹脂(PP)などのプラスチック類、鉄、アルミニウム合金、マグネシウム合金などの金属への接着性、付着性、防蝕性が優れ、耐薬品性、耐候性などバランスのとれた性能を発揮する。
本発明のアクリルエマルジョン組成物は、アクリル共重合体の凝集エネルギーが適切に選択され、制御されるため、ガラス繊維、炭素繊維、チタンウイスカー、アラミド繊維などの高機能繊維のバインダー、サイジング剤として優れた性能を発揮し、ガラス繊維、炭素繊維、チタンウイスカー、アラミド繊維などの高機能繊維に強固に接着し、ガラス繊維、炭素繊維、チタンウイスカー、アラミド繊維をマトリックス樹脂中に均一に分散する作用がある。この機能により、本発明のアクリルエマルジョン組成物は、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)および炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、チタンウイスカー強化プラスチック、アラミド繊維強化プラスチックなどの弾性率、引張強度、伸度、引張剪断強度、界面剪断強度、曲げ応力、曲げ弾性率などの機械的強度、ヒート・デストーション・テンパラチャー(HDT)の上昇など耐熱性を著しく向上する作用がある。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)として、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、β−カルボキシエチルアクリレートなどのカルボキシル基含有アクリル単量体、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、グリセリンモノメタクリレート、グリセリル−1−メタクリロイルオキシエチルウレタン、3,4−ジヒドロキシブチル−1−メタクリロイルオキシエチルウレタン、α−ヒドロキシメチルアクリレート、α−ヒドロキシエチルアクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、トリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールグリコールモノアクリレート、ジプロピレングリコールモノアクリレート、トリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ジブタンジオールモノアクリレート、トリブタンジオールモノアクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノアクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、トリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールグリコールモノメタクリレート、ジプロピレングリコールモノメタクリレート、トリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ジブタンジオールモノメタクリレート、トリブタンジオールモノメタクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノメタクリレートなどの水酸基含有アクリル単量体、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートなどのアミノ基含有アクリル単量体、グリシジルアクリレート、メチルグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、メチルグリシジルメタクリレート、ビニルベンジルグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートなどのエポキシ基含有アクリル単量体、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(3−ヒドロキシプロピルアクリルアミド)、N−(4−ヒドロキシブチル)アクリルアミドなどのアミド基含有アクリル単量体、N−(2−メタクリロイルオキシエチル)エチレンウレア、N−(2−メタクリルアミドエチル)エチレンウレアなどのウレア基含有アクリル単量体、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸2−エトキシエチル、メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸2−エトキシエチルなどのメトキシ基またはエトキシ基を有するアクリル単量体、N−ビニル−2−ピロリドン、ダイアセトンアクリルアミドなどのカルボニル基含有アクリル単量体、アクリル酸亜鉛、メタクリル酸亜鉛、ハイブリッドポリエステルアクリレートオリゴマー「サートマーCN−2402」(サートマー(株)社のZn含有アクリルオリゴマー)、ハイブリッドポリウレタンオリゴマー「サートマー2405」(サートマー(株)社のZn含有アクリルオリゴマー)などの分子中に金属原子(Zn、Al、Ca、Mg、Zr、Cuなど)を含有するモノマー、オリゴマーなどが例示される。本発明のアクリルエマルジョン組成物では、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)は、単独で使用しても、2種類以上の混合物で使用してもよい。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)は、分子中に官能基を有するアクリル単量体とラジカル共重合可能なその他のアクリル単量体との合計量を100重量%として、好ましくは、0.3〜50重量%、より好ましくは、0.5〜40重量%、さらにより好ましくは、0.8〜35重量%使用されるのが望ましい。本発明のアクリルエマルジョン組成物では、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)の使用量が0.3重量%未満の場合には、アクリル共重合体の機械的強度が低下し、十分な引張剪断強度、界面剪断強度が発揮されない場合がある。分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)の使用量が50重量%を超える場合には、アクリルエマルジョン製造過程で高粘度、高チキソトロピー性となって、アクリルエマルジョン組成物の製造が困難である場合がある。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)とラジカル共重合可能なその他のアクリル単量体として、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ベンジル、イソボルニルアクリレート、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ベンジル、イソボルニルメタクリレート、トリフルオロエチルメタクリレートなどの(メタ)アクリル酸(フルオロ)アルキルエステル、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレートなどのジシクロペンチル基を有するアクリル単量体、スチレン、酢酸ビニルなどのビニル化合物などのアクリル単量体が例示される。本発明のアクリルエマルジョン組成物では、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)とラジカル共重合可能なその他のアクリル単量体は単独で使用しても、2種類以上の混合物で使用してもよい。
本発明は、分子中に、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)がラジカル重合した化学構造(P1)を有し、化学構造(P1)の凝集エネルギーCE(P1)が500MPa以上である化学構造を0.3〜50重量%含むアクリル共重合体2〜50重量%と水50〜98重量%を含むアクリルエマルジョン組成物である。化学構造(P1)の凝集エネルギーCE(P1)が500MPa以上である化学構造を0.3〜50重量%含むアクリル共重合体は、好ましくは5〜45重量%、より好ましくは5〜30重量%含有されるのが望ましい。本発明のアクリルエマルジョン組成物では、化学構造(P1)の凝集エネルギーCE(P1)が500MPa以上である化学構造を0.3〜50重量%含むアクリル共重合体の含有量が2重量%未満の場合には、被着体に対するアクリル共重合体の処理効率が悪くなり、処理ムラができて十分な接着強度が発揮されない。また、化学構造(P1)の凝集エネルギーCE(P1)が500MPa以上である化学構造を0.3〜50重量%含むアクリル共重合体の含有量が50重量%を超える場合には、アクリルエマルジョン組成物の粘度、チキソトロピーが高くなって、アクリル共重合体で被着体を均一に処理できなくなり、接着強度が発揮されない。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、化学構造(P1)は、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)の一例としてグリシジルメタクリレート(GMA)の場合を例にとり示せば、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)であるグリシジルメタクリレート(GMA)は
Figure 2011016980
で示され、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)であるグリシジルメタクリレート(GMA)がラジカル重合した化学構造(P1)は
Figure 2011016980
で示される。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)がラジカル重合した化学構造(P1)の凝集エネルギーCE(P1)は500MPa以上である。化学構造(P1)の凝集エネルギーCE(P1)が500MPa未満の場合には、必要十分な引張剪断強度、界面剪断強度が発揮されず、接着力が不十分となる。化学構造(P1)の凝集エネルギーCE(P1)が500MPa未満の場合は、高機能繊維で強化された高分子複合材料の引張強度、弾性率、耐熱性などが不十分となる。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、化学構造(P1)の凝集エネルギーCE(P1)は、CE(P1)=δ×E/M(ここで、δは分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)の密度(g/cc)を表し、Eは化学構造(P1)を構成する原子団の凝集エネルギーEcoh (J/mol)の総和であり、MはP1の分子量を表す。)で表される。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、化学構造(P1)の凝集エネルギーCE(P1)を求めるにあたり、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)の密度(g/cc)δ、および、分子量Mは、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)を生産、上市している、例えば、三菱レイヨン(株)、大阪有機化学(株)、日本触媒(株)、日油(株)、東亞合成(株)、共栄社化学(株)、興人(株)、レーヌ(株)、サートマー(株)など、メーカーのカタログ値を使用した。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)の一例を表1に示した。
Figure 2011016980
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、E(J/mol)は、化学構造(P1)を構成する原子団の凝集エネルギーEcoh (J/mol)の総和である。すなわち、本発明のアクリルエマルジョン組成物では、E=ΣEcoh (J/mol)である。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、化学構造(P1)を構成する、例えば、−CH、−CH−、>C<、−COOHなどの原子団の凝集エネルギーEcoh (J/mol)は、参考文献:(1)R.F.Fedors:「A Method for Estimating Both the Solubility Parameters and Molar Volumes of Liquids」, Polm. Eng. Sci., 14(2).147-154(1974)、および、参考文献:(2)「SP値 基礎・応用と計算方法」((株)情報機構)、第6刷、p69、2008を参照し、R.F.Fedors が提案している原子団の凝集エネルギーEcoh (J/mol)を使用した。R.F.Fedorsが提案している原子団の凝集エネルギーEcoh(J/mol)の一例を表2に示した。
Figure 2011016980
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、アクリル共重合体に異なる官能基を有する複数のアクリル単量体(P)が共重合されている場合、官能基を有するアクリル単量体(P)がラジカル重合した化学構造(P1)の凝集エネルギーCE(P1)は、複数個の凝集エネルギーCE(P1)の中で最大のものを採用する。また同様に、アクリル共重合体分子中に、同時に複数個のCE(P1)が存在する場合にも、CE(P1)、CE(P2)の中で最大のものを採用する。
すなわち、本発明のアクリルエマルジョン組成物では、官能基を有するアクリル単量体(P)がA,B,C・・・であるとすれば、官能基を有するアクリル単量体(P)がラジカル重合した化学構造(P1)は(A),(B),(C)であるとして、仮に各々の凝集エネルギーCE(P1)(A)=CE(P1)(B)>CE(P1)(C)とした場合、アクリル共重合体の凝集エネルギーはCE(P1)(A)またはCE(P1)(B)とする。
凝集エネルギーCE(P1)の算出例を分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)としてグリシジルメタクリレート(GMA)(分子量M=142、密度δ=1.07g/cc)を例にとり、説明する。
グリシジルメタクリレート(GMA)がラジカル重合した化学構造(P)は、分子中に原子団として、−CH(Ecoh=4710)を1個、−CH−(Ecoh=4940)を3個、>CH−(Ecoh=3430)を1個、>C<(Ecoh=1470)を1個、−COO−(Ecoh=18000)を1個、−O−(Ecoh=3350)を1個有するため、E=ΣEcoh=4710(=4710×1)+14820(=4940×3)+3430(=3430×1)+1470(=1470×1)+18000(=18000×1)+3350(=3350×1)=45780となる。グリシジルメタクリレート(GMA)の分子量M=142、密度δ=1.07(g/cc)であるから、CE(P1)=δ×E/M=1.07×45780/142=345MPaとなる。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)がラジカル重合した化学構造(P1)の凝集エネルギーCE(P1)が500MPa以上となる分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)として、アクリル酸(CE(P1)=530)、イタコン酸(CE(P1)=844)、マレイン酸(CE(P1)=851)、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(CE(P1)=556)、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(CE(P1)=501)、グリセリンモノメタクリレート(CE(P1)=513)、N−(2−メタクリロイルオキシエチル)エチレンウレア(CE(P1)=513)、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(CE(P1)=717)などが例示される。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)がラジカル重合した化学構造(P1)の凝集エネルギーCE(P1)は、好ましくは、500MPa〜900MPa、より好ましくは、500〜880MPaであるのが望ましい。本発明のアクリルエマルジョン組成物では、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)がラジカル重合した化学構造(P1)の凝集エネルギーCE(P1)が、好ましくは、500MPa〜900MPaのとき、アクリル共重合体そのものの耐水性、耐アルカリ性などの化学的性質、引張強度、伸度などの機械的性質が改善される傾向が見られ、同時に、引張剪断強度、界面剪断強度などの接着性が向上する傾向が見られる。
本発明に係わる第二の発明は、分子中に、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)がラジカル重合した化学構造(P1)が有する官能基がさらに反応した後に生成する化学構造(P2)の凝集エネルギーCE(P2)が、450MPa 以上である化学構造を0.3〜50重量%含むアクリル共重合体2〜50重量%と水50〜98重量%を含むアクリルエマルジョン組成物である。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、化学構造(P2)の凝集エネルギーCE(P2)が、450MPa以上である化学構造を0.3〜50重量%含むアクリル共重合体は、好ましくは5〜45重量%、より好ましくは5〜30重量%含有されるのが望ましい。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、化学構造(P2)の凝集エネルギーCE(P2)が、450MPa以上である化学構造を0.3〜50重量%含むアクリル共重合体の含有量が2重量%未満の場合には、被着体に対するアクリル共重合体の処理効率が悪くなり、処理ムラができて十分な接着強度が発揮されない。また、化学構造(P2)の凝集エネルギーCE(P2)が、450MPa以上である化学構造を0.3〜50重量%含むアクリル共重合体の含有量が50重量%を超える場合には、アクリルエマルジョン組成物の粘度、チキソトロピーが高くなって、アクリル共重合体で被着体を均一に処理できなくなり、接着強度が発揮されない。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、化学構造(P2)は、化学構造(P1)が有する官能基がさらに反応した後に生成する化学構造(P2)を表す。本発明のアクリルエマルジョン組成物では、化学構造(P2)は、化学構造(P1)の自己反応により生成する新たな化学構造(P2)であっても、化学構造(P1)が有する官能基と相互に反応する官能基を有する化合物との反応の後に生成した化学構造(P2)であってもよい。本発明のアクリルエマルジョン組成物では、化学構造(P2)は、例えば、炭素原子と炭素原子との共有結合、炭素原子と酸素原子との共有結合などの共有結合により生じる化学構造(P2)であっても、例えば、水酸基と水酸基との水素結合、水酸基とアミノ基との水素結合、水酸基とカルボキシル基との水素結合などの水素結合、例えば、カルボキシル基とZn、Cu、Feなどの金属原子または金属原子を含む化合物とのアイオノマーなどのイオン結合による化学結合(P2)であってもよい。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、化学構造(P1)が反応しない、あるいは、反応によっても化学構造が変化しない場合には、化学構造(P2)は化学構造(P1)となる。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、化学構造(P1)が、反応により変化し化学構造(P2)になる場合、反応機構、生成する化学構造(P2)に関しては、例えば、文献:高分子実験学第6巻「高分子反応」、高分子学会高分子実験学編集委員会編、共立出版、1978、を参照した。
化学構造(P2)は、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)の一例としてグリシジルメタクリレート(GMA)を選択し、グリシジルメタクリレート(GMA)がラジカル重合した化学構造(P1)が有する官能基であるエポキシ基と反応する化合物の一例としてポリアミン化合物である「エポミンSP−012」(日本触媒(株)社製のポリエチレンイミン)選択した場合を例にとり、説明する。
分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)であるグリシジルメタクリレート(GMA)は
Figure 2011016980
で示され、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)であるグリシジルメタクリレート(GMA)がラジカル重合した化学構造(P1)は
Figure 2011016980
で示され、化学構造(P1)が有する官能基であるエポキシ基と「エポミンSP−012」とが反応した後にできる化学構造(P2)は
Figure 2011016980
で例示される。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、アクリル共重合体に異なる官能基を有する複数のアクリル単量体(P)が共重合されている場合、官能基を有するアクリル単量体(P)がラジカル重合した化学構造(P1)が有する官能基がさらに反応してできる化学構造(P2)が有する凝集エネルギーCE(P2)は、複数個の凝集エネルギーCE(P2)の中で最大のものを採用する。また同様に、アクリル共重合体分子中に、同時に複数個のCE(P2)が存在する場合にも、CE(P2)の中で最大のものを採用する。
すなわち、本発明のアクリルエマルジョン組成物では、官能基を有するアクリル単量体(P)がA,B,C・・・であるとすれば、官能基を有するアクリル単量体(P)がラジカル重合した化学構造(P1)は(A),(B),(C)であるとして、(A),(B),(C)の官能基がさらに反応してできる化学構造(P2)は(AA),(BB),(CC)であるとして、仮に各々の凝集エネルギーCE(P2)(AA)<CE(P2)(BB)>CE(P2)(CC)、かつ、CE(P2)(CC)>CE(P1)(A)=CE(P1)(B)とした場合には、アクリル共重合体の凝集エネルギーはCE(P2)(CC)とする。
分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)としてグリシジルメタクリレート(GMA)を選択し、グリシジルメタクリレートがラジカル重合した化学構造(P1)、および、グリシジルメタクリレートがラジカル重合した化学構造(P1)が、化学構造(P1)が有する官能基であるエポキシ基と反応する化合物としてポリアミンである「PAA−03」(日東紡(株)のポリアリルアミン)を選択した場合に生成する化学構造(P2)として、それぞれの凝集エネルギーCE(P1)、CE(P2)の算出方法を表3に例示した。
Figure 2011016980
分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)の一例としてアクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)、イタコン酸(IA)、マレイン酸(MA)アクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA)、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)、グリセリンモノメタクリレート(GLM)、グリシジルメタクリレート(GMA)、ビニルベンジルグリシジルエーテル(VBGE)、N−(2−メタクリロイルオキシエチル)エチレンウレア(MEEU)、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(HEAA)を選択し、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)がラジカル重合により生成する化学構造(P1)の凝集エネルギーCE(P1)を表4に例示した。
Figure 2011016980
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、表4に示した例の中では、好ましくは、化学構造(P1)の凝集エネルギーCE(P1)MPaの条件、500MPa〜900MPaの観点から、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)として、好ましくは、アクリル酸(AA)(CE(P1)=530)、イタコン酸(IA)(CE(P1)=844)、マレイン酸(MA)(CE(P1)=851)などの分子中にカルボキシル基を有するアクリル単量体、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA)(CE(P1)=556)、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)(CE(P1)=501)、グリセリンモノメタクリレート(GLM)(CE(P1)=624)などの分子中に水酸基を有するアクリル単量体、N−(2−メタクリロイルオキシエチル)エチレンウレア(MEEU)(CE(P1)=513)などの分子中にウレア基を有するアクリル単量体、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(HEAA)(CE(P1)=717)などの分子中にアミド基を有するアクリル単量体が望ましい。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、アクリル共重合体に含まれる化学構造(P1)は、好ましくは、分子中に官能基として水酸基、カルボキシル基、アミド基、ウレア基のいずれか1種以上を含むことが推奨される。
本発明の第二の発明のアクリルエマルジョン組成物では、化学構造(P2)の凝集エネルギーCE(P2)は、CE(P2)=δ×E/M(ここで、δは分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)の密度(g/cc)を表し、Eは化学構造(P2)を構成する原子団の凝集エネルギーEcohの総和であり、MはP2の分子量を表す。)で表される。
分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)の例としてアクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)、イタコン酸(IA)、マレイン酸(MA)、グリシジルメタクリレート(GMA)のラジカル重合により生成する化学構造(P1)がポリアリルアミンと反応して生成する化学構造(P2)、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(HEAA)のラジカル重合により生成する化学構造(P1)が自己反応により生成する化学構造(P2)の凝集エネルギーCE(P2)を表5に例示した。
Figure 2011016980
本発明の第二の発明のアクリルエマルジョン組成物では、化学構造(P2)の凝集エネルギーCE(P2)は、450MPa以上である。CE(P2)が450MPa未満の場合には、必要十分な引張剪断強度、界面剪断強度が発揮されず、接着力が不十分となり、高機能繊維で強化された高分子複合材料の引張強度、弾性率、耐熱性などが不十分となる。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、化学構造(P2)の凝集エネルギーCE(P2)は、好ましくは、450MPa〜1200MPa、より好ましくは、480MPa〜1180MPaであるのが望ましい。本発明のアクリルエマルジョン組成物では、化学構造(P2)の凝集エネルギーCE(P2)が、好ましくは、450MPa〜1200MPaのとき、アクリル共重合体そのものの耐水性、耐アルカリ性などの化学的性質、引張強度、伸度などの機械的性質が改善される傾向が見られ、同時に、引張剪断強度、界面剪断強度などの接着性が向上する傾向が見られる。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、表5に示した例のなかでは、好ましくは、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)として、好ましくは、アクリル酸(AA)(CE(P2)=634)、メタクリル酸(MAA)(CE(P2)=542)、イタコン酸(IA)(CE(P2)=1004)、マレイン酸(MA)(CE(P2)=1030)、グリシジルメタクリレート(GMA)(CE(P2)=489)、ビニルベンジルグリシジルエーテル(VBGE)(CE(P2)=476)、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(HEAA)(CE(P2)=541)が望ましい。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、化学構造(P2)は、好ましくは、分子中に官能基としてカルボキシル基、エポキシ基、アミド基のいずれか1種以上を含むことが推奨される。本発明のアクリルエマルジョン組成物では、より好ましくは、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)がラジカル重合した化学構造(P1)が有する官能基がエポキシ基である。
本発明のアクリルエマルジョンでは、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)がラジカル重合した化学構造(P1)の凝集エネルギーCE(P1)、化学構造(P1)がさらに反応した後に生成する化学構造(P2)の凝集エネルギーCE(P2)において、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)がラジカル重合した化学構造(P1)が有する官能基と相互に反応し得る官能基を有する化合物(Q)が、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)がラジカル重合した化学構造(P1)が有する官能基と反応した後に生成する化学構造(Q1)とし、化学構造(Q1)の凝集エネルギーをCE(Q1)としたとき、CE(Q1)>CE(P1)またはCE(Q1)>CE(P2)の場合には、アクリル共重合体の凝集エネルギーはCE(Q1)とする。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)がラジカル重合した化学構造(P1)が有する官能基と相互に反応し得る官能基を有する化合物として「PAA−03」(日東紡(株)のポリアリルアミン)、「エポミンSP−012」(日本触媒(株)のポリエチレンイミン)を例とすれば、CE(Q1)の例としては、「PAA−03」の場合には、CE(Q1)=499MPaとなり、「エポミンSP−012」の場合には、CE(Q1)=561MPaとなる。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、好ましくは、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)がラジカル重合した化学構造(P1)の官能基と相互に反応する官能基を有する化合物を使用することができる。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)がラジカル重合した化学構造(P1)の官能基と相互に反応する官能基を有する化合物として、好ましくは、N,N−ジメチルエタノールアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミンなどの分子中にアミノ基やアミド基を有する化合物、フタル酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリメリット酸などの多塩基酸または酸無水物、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、エチレングリコールなどの多価アルコール、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどのポリイソシアネートおよびポリイソシアネートがメチルエチルケトンオキシムなどのブロック剤で一時的に不活性化されたもの、過酸化ベンゾイル、クメンハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどのシランカップリング剤、テトライソプロポキシチタネート、アルミニウムモノアセチルアセトネート ビス(エチルアセトアセテートなどの金属含有有機化合物などが例示される。本発明のアクリルエマルジョン組成物では、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)がラジカル重合した化学構造(P1)の官能基と相互に反応する官能基を有する化合物は単独で使用しても、2種類以上の混合物で使用してもよい。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)がラジカル重合した化学構造(P1)の官能基と相互に反応する官能基を有する化合物のなかでは、より好ましくは、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミンなどの分子中に1級アミノ基を有する分子量200〜5万のオリゴマーまたはポリマーが推奨される。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)の官能基と相互に反応する官能基を有する化合物として、より好ましくは、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミンなどの分子中に1級アミノ基を有する分子量200〜5万のオリゴマーまたはポリマーが使用されるとき、アクリルエマルジョンが安定化される傾向が見られ、同時に、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン樹脂(ABS)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ナイロン樹脂(NY)、ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS)、ポリプロピレン樹脂(PP)などのプラスチック類、鉄、アルミニウム合金、マグネシウム合金などの金属へのヌレ性が向上し、接着性が改善される傾向が見られる。
また、本発明のアクリルエマルジョン組成物では、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)の官能基と相互に反応する官能基を有する化合物として、より好ましくは、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミンなどの分子中に1級アミノ基を有する分子量200〜5万のオリゴマーまたはポリマーが使用されるとき、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維、チタンウイスカーなどの高機能繊維へのヌレ性、親和性、接着性が改善され、これら高機能繊維と高分子材料との界面剪断強度が大きく向上し、高機能繊維で強化された熱可塑性プラスチック、熱硬化性プラスチックの引張強度、伸度、曲弾性率、耐熱性などの機械的強度や熱的性質が向上する傾向が見られる。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、ポリアリルアミンは、例えば、日東紡(株)が上市している「PAAシリーズ」、「PASシリーズ」、「両性シリーズ」のなかから任意に選択できる。上市されている「PAAシリーズ」の製品としては、「PAA−01」(重量平均分子量約1000)、「PAA−03」(重量平均分子量約3000)、「PAA−05」(重量平均分子量約5000)、「PAA−08」(重量平均分子量約8000)、「PAA−15」(重量平均分子量約15000)、「PAA−15C」(重量平均分子量約15000)、「PAA−25」(重量平均分子量約25000)などが例示される。本発明のアクリルエマルジョン組成物では、上市されている「PAAシリーズ」のなかでは、重量平均分子量が小さい「PAA−01」(重量平均分子量約1000)、「PAA−03」(重量平均分子量約3000)、「PAA−05」(重量平均分子量約5000)が、アクリル共重合体との反応性が向上し、強靱な硬化物を与える傾向が見られ望ましい。上市されている「PASシリーズ」の製品としては、「PAS−21CL」(重量平均分子量約110000)、「PAS−21」(重量平均分子量約4000)、「PAS−92」(重量平均分子量約5000)などが例示される。上市されている「両性シリーズ」の製品としては、「PAS−410」、「PAS−84」(重量平均分子量約23000)、「PAS−2451」(重量平均分子量約3000)などが例示される。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、ポリエチレンイミンは、例えば、日本触媒(株)が上市しているポリエチレンイミン「エポミン」のなかから任意に選択できる。上市されている「エポミン」としては、「SP−300」(分子量約300)、「SP−006」(分子量約600)、「SP−012」(分子量約1200)、「SP−018」(分子量約1800)、「SP−200」(分子量約10000)などが例示される。本発明のアクリルエマルジョン組成物では、上市されている「エポミン」のなかでは、分子量が小さい「SP−300」(分子量約300)、「SP−006」(分子量約600)、「SP−012」(分子量約1200)、「SP−018」(分子量約1800)がアクリル共重合体との反応性が向上し、強靱な硬化物を与える傾向が見られ望ましい。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、ポリアリルアミンおよび/またはポリエチレンイミンは、アクリル共重合体100重量部に対して、好ましくは2〜35重量部使用されるのが望ましい。ポリアリルアミンおよび/またはポリエチレンイミンは、より好ましくは5〜30重量部、さらに好ましくは5〜25部使用されるのが望ましい。本発明のアクリルエマルジョン組成物では、ポリアリルアミンおよび/またはポリエチレンイミンの使用量が、アクリル共重合体100重量部に対して、好ましくは、2〜35重量部であれば、アクリルエマルジョン組成物の貯蔵安定性が良好で、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維などの高機能繊維との接着性が向上し、高機能繊維複合材料の引張強度、伸度、曲弾性率、耐熱性などの機械的強度、熱的性質が向上する傾向が見られる。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、アクリルエマルジョン組成物とポリアリルアミンおよび/またはポリエチレンイミンとを混合する際、好ましくは、非イオン性乳化剤を使用するのが望ましい。本発明のアクリルエマルジョン組成物では、非イオン性乳化剤は、アクリルエマルジョン組成物に含まれていても、ポリアリルアミンおよび/またはポリエチレンイミンに含まれていても、アクリルエマルジョン組成物とポリアリルアミンおよび/またはポリエチレンイミンを混合する際に添加してもよい。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、アクリルエマルジョンは、好ましくは、アクリル共重合体を溶液重合で製造した後、脱溶媒し、好ましくは、イオン交換水中に乳化する方法、アクリル共重合体を塊状重合した後、好ましくは、イオン交換水中に乳化する方法、乳化重合で直接アクリルエマルジョンを製造する方法、アクリル共重合体が水溶性の場合には、イオン交換水中で水溶液重合する方法などいずれの方法で製造してもよい。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、アクリルエマルジョンを乳化重合で製造する場合には、好ましくは、イオン交換水を使用して製造される。本発明のアクリルエマルジョン組成物では、アクリルエマルジョンは、好ましくは、陰イオン性乳化剤、および/または、非イオン性乳化剤を使用して製造され、製造される
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、アクリルエマルジョンを製造するにあたり、乳化重合に使用する陰イオン性乳化剤として、好ましくは、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムなどの陰イオン性乳化剤が例示される。本発明のアクリルエマルジョン組成物では、アクリルエマルジョンを製造するときに好ましく使用される陰イオン性乳化剤は、単独で使用しても、2種類以上の混合物で使用してもよい。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、アクリルエマルジョンを製造するにあたり、乳化重合に使用する非イオン性乳化剤として、好ましくは、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどの非イオン性乳化剤が例示される。本発明のアクリルエマルジョン組成物では、アクリルエマルジョンを製造するときに好ましく使用される非イオン性乳化剤は、単独で使用しても、2種類以上の混合物で使用してもよい。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、アクリルエマルジョン製造時の乳化剤として、より好ましくは、反応性乳化剤が使用されるのが望ましい。本発明のアクリルエマルジョン組成物では、反応性乳化剤として、好ましくは、「ラテムルPD−104」(ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム)、「ラテムルPD−420」(ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル)(以上、花王(株)社の製品)「アデカリアソーブSR−1025」(α−スルホ−ω−(1−(アルコキシ)メチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ)−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)のアンモニウム塩の水溶液)(旭電化工業(株)社の製品)、「アクアロンKH−1025」(第一工業製薬(株)社の製品)などが例示される。本発明のアクリルエマルジョン組成物では、アクリルエマルジョンを製造するときにより好ましく使用される反応性乳化剤は、単独で使用しても、2種類以上の混合物で使用してもよい。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、アクリルエマルジョンを製造するにあたり、好ましくは、乳化剤として反応性乳化剤が使用されることにより、アクリルエマルジョンの乳化重合時および貯蔵時の安定性が向上し、耐水性、耐アルカリ性などの耐薬品性が向上する傾向が見られる。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、アクリルエマルジョンを製造するために好ましく使用される重合開始剤として、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどの水溶性重合開始剤が例示される。本発明のアクリルエマルジョン組成物では、重合開始剤は単独で使用しても、2種類以上の混合物で使用してもよい。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、アクリルエマルジョンは、好ましくは、イオン交換水を使用し、窒素ガスなどで重合系を不活性ガス置換した後、重合温度50〜100℃でラジカル重合し製造される。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、アクリルエマルジョンの製造は、好ましくは、モノマー滴下法、プレエマルジョン法、プレチャージ法、シード乳化重合、パワーフィード法など公知の乳化重合法が適用できる。本発明のアクリルエマルジョン組成物では、アクリルエマルジョンは公知のいずれの方法で製造してもよいが、製造されるアクリルエマルジョンのレーザー散乱法で測定される粒子径は、好ましくは、40〜250nm、より好ましくは、50〜200nm、さらに好ましくは、60〜160nmであるのが望ましい。本発明のアクリルエマルジョン組成物では、アクリルエマルジョンの粒子径が40〜250nmのとき、アクリルエマルジョンの粘度、濃度、チキソトロピー性が適切となり、アクリルエマルジョン組成物の製造が容易となり、ヌレ性、接着性が向上する傾向が見られる。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、アクリルエマルジョンの粒子径は、濃厚系粒径アナライザー「FPAR−1000」(大塚電子(株)社の分析器)を使用して測定した。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、分子中に官能基を有するアクリル単量体の水への溶解性が高く、すなわち分配係数が小さい場合には、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)を含むアクリル単量体をα−メチルスチレンダイマー(2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン)の存在下で塊状重合(アクリルプレポリマー)した後、アクリルプレポリマーの存在下にさらにアクリル単量体を乳化重合する方法が推奨される。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、好ましくは、本製造方法により、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)が水相に移行し、水相で重合することがないため、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)を共重合でアクリル共重合体中に取り込みやすくなり、ヌレ性、接着強度が向上する傾向が見られる。本発明のアクリルエマルジョン組成物では、同時にブロック共重合体となって、マトリックス樹脂との間で接着強度がさらに改善、向上される傾向が見られる。
ここで、本発明のアクリルエマルジョン組成物では、分配係数とは、化合物の疎水性を表す数値である。分配係数は、化合物の水と有機溶媒(n−オクタノールが一般的である)の二相に溶解したときの平衡溶解度比を実測した値で、一般に分配係数P=(有機溶媒相の濃度)/(水相の濃度)で表される。値が大きいほど脂溶性が高い。すなわち、本発明のアクリルエマルジョン組成物では、分配係数とは、乳化重合中に、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)がミセル中に残る割合と、水相に移行する割合を示すものである。分配係数が小さい場合には、アクリル単量体が共重合でポリマー中に取り込まれる割合が低くなり、水相中でホモポリマーとなる割合が多くなる。本発明のアクリルエマルジョン組成物では、分配係数の例としては、アクリル酸では分配係数log Pow=0.31、メタクリル酸では分配係数log Pow=0.93、N−メチロールアクリルアミドでは分配係数log Pow=−1.81、アクリルアミドではlog Pow=−1.65〜−0.67(以上、国際化学物質安全性カード(ICSC):国立医薬品食品衛生研究所発行を参照した)が例示される。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、アクリルエマルジョンを乳化重合で製造する場合には、好ましくは、あらかじめ窒素ガスバブリング等により脱酸素したイオン交換水中で、重合開始剤として、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、2,2−アゾビス(2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン(和光純薬工業(株)の水溶性有機アゾ系重合開始剤「VA−061」)などの水溶性重合開始剤を使用し、乳化剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸などの陰イオン性乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどの非イオン性乳化剤、あるいは、「アデカリアソーブSR−1025」(アデカ(株)の反応性乳化剤)、「ラテムルPD−104」(花王(株)の反応性乳化剤)などを使用し、重合温度50〜100℃で、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)を含むアクリル単量体を乳化重合することにより製造できる。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)の分配係数が小さい場合には、好ましくは、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)を含むアクリルプレポリマーを製造した後、アクリルプレポリマーの存在下にアクリル単量体を乳化重合してアクリルエマルジョンを製造するのが望ましい。本発明のアクリルエマルジョン組成物では、アクリルプレポリマーは、好ましくは、α−メチルスチレンダイマーの存在下で、α−メチルスチレンダイマーの1.0モルに対して、0.02〜1.00モルの例えば、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油(株)の「パーブチルO」)、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業(株)の油溶性有機アゾ系重合開始剤「V−65」)、2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(和光純薬工業(株)の油溶性有機アゾ系重合開始剤「V−59」)などの重合開始剤を使用し、重合温度80〜100℃で、分子中に官能基を有するアクリル単量体を含むアクリル単量体をラジカル重合して製造する。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、アクリルエマルジョンは、好ましくは、アクリルプレポリマーの存在下に、あらかじめ窒素ガスバブリング等により脱酸素したイオン交換水中で、重合開始剤として、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、2,2−アゾビス(2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン(和光純薬工業(株)の水溶性有機アゾ系重合開始剤「VA−061」)などの水溶性重合開始剤を使用し、乳化剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸などの陰イオン性乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどの非イオン性乳化剤、あるいは、「アデカリアソーブSR−1025」(アデカ(株)の反応性乳化剤)、「ラテムルPD−104」(花王(株)の反応性乳化剤)などを使用し、重合温度50〜100℃で、アクリル単量体を乳化重合することにより製造できる。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、アクリルエマルジョンは、より好ましくは、アクリルプレポリマーを乳化剤および重合開始剤として使用し、アクリルプレポリマーの存在下に、あらかじめ窒素ガスバブリング等により脱酸素したイオン交換水中で、重合温度50〜100℃で、アクリル単量体を乳化重合することにより製造できる。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、非イオン性乳化剤としては、好ましくは、HLB13〜HLB19、より好ましくは、HLB15〜19、さらに好ましくは、HLB16〜19の非イオン性乳化剤が推奨される。本発明のアクリルエマルジョン組成物では、好ましくは、HLB13〜HLB19の非イオン性乳化剤が使用されれば、アクリルエマルジョン組成物とポリアリルアミンおよび/またはポリエチレンイミンを混合する際、凝集物の発生がなく安定なアクリルエマルジョン組成物が製造できる傾向が見られる。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、好ましくは、HLB13〜19の非イオン性乳化剤として、好ましくは、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが推奨される。本発明のアクリルエマルジョン組成物では、非イオン性乳化剤として、好ましくは、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが使用されれば、アクリルエマルジョン組成物とポリアリルアミンおよび/またはポリエチレンイミンを混合する際、凝集物の発生がなく安定なアクリルエマルジョン組成物が製造できる傾向が見られる。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、好ましくはHLB13〜HLB19の非イオン性乳化剤は、アクリルエマルジョン100重量部に対し、HLB13〜HLB19の非イオン性乳化剤を、好ましくは、0.02〜20重量部使用するのが望ましい。本発明のアクリルエマルジョン組成物では、HLB13〜HLB19の非イオン性乳化剤の使用量が、好ましくは、0.02〜20重量部であれば、アクリルエマルジョンとポリアリルアミンおよび/またはポリエチレンイミンとの混合が容易で、凝集物の生成がなく、貯蔵経時でも増粘、分離などを起こさず安定化される傾向が見られる。
アクリルエマルジョンを製造する際に、好ましくはHLB13〜HLB19の非イオン性乳化剤を使用するか、製造したアクリルエマルジョンに好ましくはHLB13〜HLB19の非イオン性乳化剤を添加することで、アニオン性アクリルエマルジョンにポリアリルアミンおよび/またはポリエチレンイミンを容易に混合できる。
本発明のアクリルエマルジョン組成物では、好ましくは、HLB13〜HLB19の、好ましくは、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとして、「エマルゲン1108」(HLB13.4)、「エマルゲン1118S−70」(HLB16.4)、「エマルゲン1135S−70」(HLB17.9)、「エマルゲン1150S−60」(HLB18.5)(以上、花王(株)の非イオン性乳化剤)などが例示される。本発明のアクリルエマルジョン組成物では、ポリオキシエチレンアルキルエーテルは単独で使用しても、2種類以上の混合物で使用してもよい。
以下に実施例で本発明の詳細を説明する。なお、以下の実施例では、評価方法、測定方法等を次の通りとした。
1)加熱残分(%)
JIS K 5407:1997にしたがって加熱残分を測定した。なお、測定は140℃で60分間加熱乾燥し、行った。加熱残分(%)を、アクリルエマルジョン組成物中のアクリル共重合体含有量(重量%)とした。
2)pH(25℃)
pHメーターを使用し、25℃で測定した。
3)粒子径(nm)
濃厚系粒径アナライザー「FPAR−1000」(大塚電子(株)社の分析機)を使用して25℃で測定した。
4)貯蔵安定性
アクリルエマルジョン組成物を100mLガラスビンにとり、密栓して23℃で1ヶ月間静置した。状態(外観、増粘)を目視観察し、製造直後と変わらないものを合格とした。
5)酸価(mgKOH)
JIS K 5407:1997にしたがって測定した。
6)引張剪断強度(MPa)
アクリルエマルジョン組成物中にアルミニウム合金(厚さ1mm)(JIS A−2017P:1999)製テストピースを5分間浸漬し、引き上げと同時に140℃で30分間加熱した。処理したテストピースにポリプロピレン板(厚さ1mm)を200℃で10秒間圧着し、JIS K−6850:1999にしたがって23℃で引張剪断強度を測定した。引張剪断強度が10MPa以上で合格とした。
実施例1
撹拌装置、温度センサー、還流冷却器、モノマー滴下口がついた1リットル四つ口フラスコにあらかじめ窒素ガスのバブリングを行い脱酸素した、イオン交換水100g、アデカリアソーブ「SR−1025」(25%水溶液)(アデカ(株)の反応性乳化剤、濃度25%)0.8gを仕込み、80℃に昇温した。
メタクリル酸メチル79.5g、メタクリル酸n−ブチル20.0g、イタコン酸0.5gのアクリル単量体混合物100g、アデカリアソーブ「SR−1025」(25%水溶液)3.2g、あらかじめ窒素ガスのバブリングを行い脱酸素したアクリルモノマー乳化用のイオン交換水39.9gを乳化機にかけ10000回転で5分間乳化した(モノマーエマルジョン)。
フラスコに、過硫酸アンモニウム0.2gを投入し、続けて、モノマーエマルジョンの20%(28.6g)を投入し、30分間乳化重合を行った。この後、モノマーエマルジョンの残部80%(114.5g)を3時間でフラスコ内に滴下した。滴下終了後、さらに1時間乳化重合を継続した後、希釈用のイオン交換水5.9gを加え、40℃以下になるまで冷却し、アクリルエマルジョンを製造した。
アクリルエマルジョンを攪拌しながら、イオン交換水416.7gを添加して、濃度が15%に調整された実施例1のアクリルエマルジョン組成物(AE−1)を製造した。
アクリルエマルジョン組成物(AE−1)は、表6に示したとおり、加熱残分15.3%、pH(25℃)2.4であった。また、貯蔵安定性も良好であった。
なお、表6において、(1)は初期仕込みのイオン交換水、(2)、(5)は反応性乳化剤のアデカリアソーブ「SR−1025」(25%水溶液)(アデカ(株)の反応性乳化剤、濃度25%)、(3)は重合開始剤の過硫酸アンモニウム、(4)は分子中に官能基を有するアクリル単量体を含むアクリル単量体、(6)はアクリル単量体乳化用および希釈用のイオン交換水、(7)は希釈用のイオン交換水、(8)はアクリ共重合体に含まれる化学構造(P1)の凝集エネルギーCE(MPa)、(9)はアクリルエマルジョン組成物の特性値を示した。
実施例2〜実施例6
表6に示す組成で実施例1と同様にして実施例2〜実施例5のアクリルエマルジョン組成物AE−2〜AE−6を製造した。表6に示したとおり、実施例2〜実施例6のアクリルエマルジョン組成物は、何らの問題なく製造でき、貯蔵安定性も良好であった。
Figure 2011016980
実施例7
撹拌装置、温度センサー、還流冷却器、モノマー滴下口がついた1リットル四つ口フラスコにあらかじめ窒素ガスのバブリングを行い脱酸素した、イオン交換水100g、アデカリアソーブ「SR−1025」(25%水溶液)(アデカ(株)の反応性乳化剤、濃度25%)0.8gを仕込み、80℃に昇温した。
メタクリル酸メチル69.0g、メタクリル酸n−ブチル20.0g、イタコン酸1.0g、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル10.0gのアクリル単量体混合物100g、アデカリアソーブ「SR−1025」(25%水溶液)3.2g、あらかじめ窒素ガスのバブリングを行い脱酸素したアクリルモノマー乳化用のイオン交換水39.9gを乳化機にかけ10000回転で5分間乳化した。(モノマーエマルジョン)
フラスコに、過硫酸アンモニウム0.2gを投入し、続けて、モノマーエマルジョンの20%(28.6g)を投入し、30分間乳化重合を行った。
この後、モノマーエマルジョンの残部80%(114.5g)を3時間でフラスコ内に滴下した。滴下終了後、さらに1時間乳化重合を継続した後、希釈用のイオン交換水5.9gを加え、40℃以下になるまで冷却し、アクリルエマルジョンを製造した。
アクリルエマルジョンを攪拌しながら、非イオン性乳化剤エマルゲン「1135S−70」(花王(株)の乳化剤、HLB17.9)5.0g、イオン交換水433.3gを添加し30分間攪拌した。この後、ポリアリルアミン水溶液(日東紡(株)「PAA−03」(20%水溶液))50.0gを添加し、さらに60分間攪拌を行って濃度が15%に調整された実施例7のアクリルエマルジョン組成物(AE−7)を製造した。
アクリルエマルジョン組成物(AE−7)は、表7に示したとおり、加熱残分15.2%、pH(25℃)10.8であった。また、貯蔵安定性も良好であった。
なお、表7において、(1)は初期仕込みのイオン交換水、(2)、(5)は反応性乳化剤のアデカリアソーブ「SR−1025」(25%水溶液)(アデカ(株)の反応性乳化剤、濃度25%)、(3)は重合開始剤の過硫酸アンモニウム、(4)は分子中に官能基を有するアクリル単量体を含むアクリル単量体、(6)はアクリル単量体乳化用および希釈用のイオン交換水、(7)は非イオン性乳化剤エマルゲン「1135S−70」(花王(株)の乳化剤、HLB17.9)および希釈用のイオン交換水、(8)はポリアミン化合物(ポリアリルアミン「PAA−03」(日東紡(株))、ポリエチレンイミン「エポミンSP−012」(日本触媒(株))であり、「PAA−03」は20%水溶液の製品をそのままで使用し、「SP−012」はあらかじめイオン交換水で濃度が20%になるよう希釈したものを使用した。)、(9)アクリル共重合体に含まれる化学構造(P2)の凝集エネルギーCE(MPa)、(10)はアクリルエマルジョン組成物の特性値を示した。
実施例8〜実施例11
表7に示す組成で実施例7と同様にして実施例8〜実施例11のアクリルエマルジョン組成物AE−8〜AE−11を製造した。表8に示したとおり、実施例8〜実施例11のアクリルエマルジョン組成物は、何らの問題なく製造でき、貯蔵安定性も良好であった。
Figure 2011016980
アクリルプレポリマーAP−1の製造
撹拌装置、温度センサー、還流冷却器、モノマー滴下口がついた500ミリリットル四つ口フラスコに、アクリル酸シクロヘキシル82.0g、アクリル酸3.0g、アクリル酸2−ヒドロキシエチル15.0gの分子中に官能基を有するアクリル単量体を含むアクリル単量体100g、α−メチルスチレンダイマー47.6g、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業(株)の「V−65」)20.0g(分子中に官能基を有するアクリル単量体を含むアクリル単量体100重量部に対して20.0重量部、α−メチルスチレンダイマー1.0モルに対して0.400モル)を仕込んだ。
30分間窒素ガスバブリングを行い重合系の脱酸素を行った後、窒素ガスの吹き込みに変え、90分間で90℃に昇温した。90℃で16時間重合を行い、実施例のアクリルエマルジョン組成物に使用するアクリルプレポリマーAP−1を製造した(表8)。
アクリルプレポリマーAP−1製造中は、異常な発熱、急激な粘度上昇など起こらず、問題なく製造できた。また、製造中、2時間毎にサンプリングし、加熱残分と数平均分子量を測定し、数平均分子量が加熱残分に正比例して増大することを確認した。
なお、表8中、(1)は分子中に官能基を有するアクリル単量体を含むアクリル単量体、(2)はRAFT剤(可逆的付加開裂型連鎖移動剤)であるα−メチルスチレンダイマー、(3)は重合開始剤、(4)はアクリルプレポリマーに含まれる化学構造(P1)の凝集エネルギーCE(MPa)、(5)はアクリルプレポリマーの特性値を示した。
アクリルプレポリマーAP−2〜AP−4の製造
組成を表8に示すとおり変える以外はアクリルプレポリマーAP−1と同様にしてアクリルプレポリマーAP−2〜AP−4を製造した。アクリルプレポリマーAP−2〜AP−4製造中は、異常な発熱、急激な粘度上昇など起こらず、問題なく製造できた。また、製造中、2時間毎にサンプリングし、加熱残分と数平均分子量を測定し、数平均分子量が加熱残分に正比例して増大することを確認した。
Figure 2011016980
アクリルプレポリマーAP−5の製造
撹拌装置、温度センサー、還流冷却器、モノマー滴下口がついた500ミリリットル四つ口フラスコに、アクリルプレポリマー(AP−1)100gとアクリル酸シクロヘキシル2gを仕込んだ。
30分間窒素ガスバブリングを行い重合系の脱酸素を行った後、窒素ガスの吹き込みに変え、90分間で90℃に昇温した。90℃で8時間重合を行い、実施例のアクリルエマルジョン組成物に使用するアクリルプレポリマーAP−5を製造した。
アクリルプレポリマーAP−5製造中は、異常な発熱、急激な粘度上昇など起こらず、問題なく製造できた。また、製造中、2時間毎にサンプリングし、加熱残分と数平均分子量を測定し、数平均分子量が加熱残分に正比例して増大することを確認した。
なお、表9中、(1)はアクリルプレポリマーに使用する原料アクリルプレポリマーとアクリル単量体、(2)はアクリルプレポリマーに含まれる化学構造(P1)または化学構造(P2)のいずれか大きい値を有する方の凝集エネルギーCE(MPa)、(3)はアクリルプレポリマーを水溶化するために中和剤として使用した28%−アンモニア水、(4)はアクリルプレポリマーの特性値を示した。
アクリルプレポリマーAP−6〜AP−8の製造
組成を表9に示すとおり変える以外はアクリルプレポリマーAP−5と同様にしてアクリルプレポリマーAP−6〜AP−8を製造した。アクリルプレポリマーAP−6〜AP−8製造中は、異常な発熱、急激な粘度上昇など起こらず、問題なく製造できた。また、製造中、2時間毎にサンプリングし、加熱残分と数平均分子量を測定し、数平均分子量が加熱残分に正比例して増大することを確認した。
Figure 2011016980
実施例12
撹拌装置、温度センサー、還流冷却器、モノマー滴下口がついた1リットル四つ口フラスコにあらかじめ窒素ガスのバブリングを行い脱酸素した、イオン交換水120g、アデカリアソーブ「SR−1025」(25%水溶液)(アデカ(株)の反応性乳化剤、濃度25%)1.0gを仕込み、83℃に昇温した。
アクリルプレポリマー(AP−1)20g、イソボルニルメタクリレート5.0g、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(日立化成(株)FANCRYL「FA−512M」)85.0g、グリシジルメタクリレート10.0gのアクリル単量体混合物100g、アデカリアソーブ「SR−1025」(25%水溶液)3.8g、あらかじめ窒素ガスのバブリングを行い脱酸素したアクリルモノマー乳化用のイオン交換水47.8gを乳化機にかけ10000回転で5分間乳化した(モノマーエマルジョン)。
フラスコに、過硫酸アンモニウム0.2gを投入し、続けて、モノマーエマルジョンの20%(34.3g)を投入し、30分間乳化重合を行った。この後、モノマーエマルジョンの残部80%(137.3g)を3時間でフラスコ内に滴下した。滴下終了後、さらに1時間乳化重合を継続した後、希釈用のイオン交換水7.1gを加え、40℃以下になるまで冷却し、アクリルエマルジョンAE−12を製造した。
アクリルエマルジョンを攪拌しながら、非イオン性乳化剤エマルゲン「1135S−70」(花王(株)の乳化剤、HLB17.9)6.0g、イオン交換水520.0gを添加し30分間攪拌した。この後、ポリアリルアミン水溶液(日東紡(株)「PAA−03」(20%水溶液))60.0gを添加し、さらに60分間攪拌を行って濃度が15%に調整された実施例12のアクリルエマルジョン組成物(AE−12)を製造した。アクリルエマルジョン組成物(AE−12)は、表10に示したとおり、加熱残分15.5%、pH(25℃)11.0であった。また、貯蔵安定性も良好であった。
なお、表10において、(1)は初期仕込みのイオン交換水、(2)、(5)は反応性乳化剤のアデカリアソーブ「SR−1025」(25%水溶液)(アデカ(株)の反応性乳化剤、濃度25%)、(3)は重合開始剤の過硫酸アンモニウム、(4)はアクリルプレポリマーおよびアクリル単量体、(6)はアクリル単量体乳化用および希釈用のイオン交換水、(7)は非イオン性乳化剤エマルゲン「1135S−70」(花王(株)の乳化剤、HLB17.9)および希釈用のイオン交換水、(8)はポリアミン化合物(ポリアリルアミン「PAA−03」(日東紡(株))、ポリエチレンイミン「エポミンSP−012」(日本触媒(株))であり、「PAA−03」は20%水溶液の製品をそのままで使用し、「SP−012」はあらかじめイオン交換水で濃度が20%になるよう希釈したものを使用した。)、(9)アクリル共重合体に含まれる化学構造(P2)の凝集エネルギーCE(MPa)、(10)はアクリルエマルジョン組成物の特性値を示した。
実施例13〜実施例15
表10に示す組成で実施例12と同様にして実施例13〜実施例15のアクリルエマルジョン組成物AE−13〜AE−15を製造した。表10に示したとおり、実施例13〜実施例15のアクリルエマルジョン組成物は、何らの問題なく製造でき、貯蔵安定性も良好であった。
Figure 2011016980
実施例16
撹拌装置、温度センサー、還流冷却器、モノマー滴下口がついた1リットル四つ口フラスコにあらかじめ窒素ガスのバブリングを行い脱酸素した、イオン交換水120gを仕込み、83℃に昇温した。
アクリルプレポリマー(AP−5)20g、イソボルニルメタクリレート5.0g、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(日立化成(株)FANCRYL「FA−512M」)85.0g、グリシジルメタクリレート10.0gのアクリル単量体混合物100g、あらかじめ窒素ガスのバブリングを行い脱酸素したアクリルモノマー乳化用のイオン交換水51.4gを乳化機にかけ10000回転で10分間乳化した(モノマーエマルジョン)。
フラスコに、モノマーエマルジョンの20%(34.3g)を投入し、30分間乳化重合を行った。この後、モノマーエマルジョンの残部80%(137.1g)を3時間でフラスコ内に滴下した。滴下終了後、さらに1時間乳化重合を継続した後、希釈用のイオン交換水8.6gを加え、40℃以下になるまで冷却し、アクリルエマルジョンAE−16を製造した。
アクリルエマルジョンを攪拌しながら、イオン性乳化剤エマルゲン「1135S−70」(花王(株)の乳化剤、HLB17.9)6.0g、イオン交換水520.0gを添加し30分間攪拌した。この後、(5)ポリアリルアミン水溶液(日東紡(株)「PAA−03」(20%水溶液))60.0gを添加し、さらに60分間攪拌を行って濃度が15%に調整された実施例16のアクリルエマルジョン組成物(AE−16)を製造した。
アクリルエマルジョン組成物(AE−16)は、表11に示したとおり、加熱残分15.3%、pH(25℃)11.0であった。また、貯蔵安定性も良好であった。
なお、表11において、(1)は初期仕込みのイオン交換水、(2)はアクリルプレポリマーおよびアクリル単量体、(3)はアクリル単量体乳化用および希釈用のイオン交換水、(4)は非イオン性乳化剤エマルゲン「1135S−70」(花王(株)の乳化剤、HLB17.9)および希釈用のイオン交換水、(5)はポリアミン化合物(ポリアリルアミン「PAA−03」(日東紡(株))、ポリエチレンイミン「エポミンSP−012」(日本触媒(株))であり、「PAA−03」は20%水溶液の製品をそのままで使用し、「SP−012」はあらかじめイオン交換水で濃度が20%になるよう希釈したものを使用した。)、(6)アクリル共重合体に含まれる化学構造(P2)の凝集エネルギーCE(MPa)、(7)はアクリルエマルジョン組成物の特性値を示した。
実施例17〜実施例19
表11に示す組成で実施例12と同様にして実施例17〜実施例19のアクリルエマルジョン組成物AE−17〜AE−19を製造した。表11に示したとおり、実施例17〜実施例19のアクリルエマルジョン組成物は、何らの問題なく製造でき、貯蔵安定性も良好であった。
Figure 2011016980
比較例1
撹拌装置、温度センサー、還流冷却器、モノマー滴下口がついた1リットル四つ口フラスコにあらかじめ窒素ガスのバブリングを行い脱酸素した、イオン交換水100g、アデカリアソーブ「SR−1025」(25%水溶液)(アデカ(株)の反応性乳化剤、濃度25%)0.8gを仕込み、80℃に昇温した。
メタクリル酸メチル75.0g、メタクリル酸n−ブチル20.0g、メタクリル酸5.0gのアクリル単量体混合物100g、アデカリアソーブ「SR−1025」(25%水溶液)3.2g、あらかじめ窒素ガスのバブリングを行い脱酸素したアクリルモノマー乳化用のイオン交換水39.9gを乳化機にかけ10000回転で5分間乳化した(モノマーエマルジョン)。
フラスコに、過硫酸アンモニウム0.2gを投入し、続けて、モノマーエマルジョンの20%(28.6g)を投入し、30分間乳化重合を行った。この後、モノマーエマルジョンの残部80%(114.5g)を3時間でフラスコ内に滴下した。滴下終了後、さらに1時間乳化重合を継続した後、希釈用のイオン交換水5.9gを加え、40℃以下になるまで冷却し、アクリルエマルジョンを製造した。
アクリルエマルジョンを攪拌しながら、非イオン性乳化剤エマルゲン「1135S−70」(花王(株)の乳化剤、HLB17.9)は添加しないで、イオン交換水416.7gを添加し30分間攪拌した。ポリアリルアミン、ポリエチレンイミンは添加しないで、さらに60分間攪拌を行って濃度が15%に調整された比較例1のアクリルエマルジョン組成物(AE−20)を製造した。
アクリルエマルジョン組成物(AE−20)は、表12に示したとおり、加熱残分15.0%、pH(25℃)2.3であった。また、貯蔵安定性も良好であった。
なお、表12において、(1)は初期仕込みのイオン交換水、(2)、(5)は反応性乳化剤のアデカリアソーブ「SR−1025」(25%水溶液)(アデカ(株)の反応性乳化剤、濃度25%)、(3)は重合開始剤の過硫酸アンモニウム、(4)は分子中に官能基を有するアクリル単量体を含むアクリル単量体、(6)はアクリル単量体乳化用および希釈用のイオン交換水、(7)は非イオン性乳化剤エマルゲン「1135S−70」(花王(株)の乳化剤、HLB17.9)および希釈用のイオン交換水、(8)はポリアミン化合物(ポリアリルアミン「PAA−03」(日東紡(株))、ポリエチレンイミン「エポミンSP−012」(日本触媒(株))であり、「PAA−03」は20%水溶液の製品をそのままで使用し、「SP−012」はあらかじめイオン交換水で濃度が20%になるようしたものを使用した。)、(9)アクリル共重合体に含まれる化学構造(P1)の凝集エネルギーCE(MPa)、(10)はアクリルエマルジョン組成物の特性値を示した。
比較例2〜比較例4
表12に示す組成で比較例1と同様にして比較例2〜比較例4のアクリルエマルジョン組成物AE−21〜AE−23を製造した。表13に示したとおり、比較例2〜比較例4のアクリルエマルジョン組成物は、何らの問題なく製造でき、貯蔵安定性も良好であった。
Figure 2011016980
実施例および比較例のアクリルエマルジョン組成物の接着試験
実施例(1〜19)および比較例(1〜4)のアクリルエマルジョン組成物を使用して接着性試験を行った。
表13に見られるとおり、アクリル共重合体に含まれる化学構造(P1)の凝集エネルギーCE(P1)が500MPa〜900MPaである場合には、良好な接着性を示した。一方、この条件を満たさない、比較例のアクリルエマルジョン組成物では接着強度が不足する結果となった。
Figure 2011016980
Figure 2011016980
表14に見られるとおり、ポリアミン化合物(ポリアリルアミンまたはポリエチレンイミン)が使用されたとき、さらに良好な接着性が発揮された。
Figure 2011016980
表16に見られるとおり、分子中に官能基を有するアクリル単量体を含むアクリル単量体をラジカル重合しアクリルプレポリマーを製造した後、さらに、アクリルプレポリマーの存在下で分子中に官能基を有するアクリル単量体を含むアクリル単量体をラジカル重合してアクリルエマルジョン組成物としたものは、さらに優れた接着性を有していた。
Figure 2011016980

Claims (5)

  1. 分子中に、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)がラジカル重合した化学構造(P1)を有し、化学構造(P1)の凝集エネルギーCE(P1)が500MPa以上である化学構造0.3〜50重量%含むアクリル共重合体2〜50重量%と水50〜98重量%を含むアクリルエマルジョン組成物。
  2. 分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)がラジカル重合した化学構造(P1)が有する官能基が水酸基、カルボキシル基、アミド基、ウレア基のいずれか1種である請求項1に記載のアクリルエマルジョン組成物。
  3. 分子中に、分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)がラジカル重合した化学構造(P1)が有する官能基がさらに反応した後に生成する化学構造(P2)を有し、化学構造(P2)の凝集エネルギーCE(P2)が450MPa以上である化学構造を0.3〜50重量%含むアクリル共重合体2〜50重量%と水50〜98重量%を含むアクリルエマルジョン組成物。
  4. 分子中に官能基を有するアクリル単量体(P)がラジカル重合した化学構造(P1)が有する官能基がエポキシ基である請求項3に記載のアクリルエマルジョン組成物。
  5. 化学構造(P1)の凝集エネルギーCE(P1)が、500MPa〜900MPa、化学構造(P2)の凝集エネルギーCE(P2)が、450MPa〜1200MPaである請求項1〜4のいずれかに記載のアクリルエマルジョン組成物。
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