JP2011012695A - 油圧緩衝器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ブレーキ操作時における車体前部の沈み込みの抑制の程度を、ブレーキ操作の緩急に応じてきめ細かく制御すること。
【解決手段】 ピストン支持部材23の先端部に設けたピストン26が作動油室21内を摺動し、前記作動油室21の内部を前記ピストン26によりピストン側油室21Bとロッド側油室21Aに区画し、ピストン26のピストン側油室21Bとロッド側油室21Aを連絡する流路に圧側減衰バルブ41Aを設けてなる油圧緩衝器10において、前記圧側減衰バルブ41Aを背面支持するバルブ押え71を設け、ブレーキ液圧に応じて変位するプランジャ84によりバルブ押え71を圧側減衰バルブ41Aに対して押動するアクチュエータ80を有してなるもの。
【選択図】 図1

Description

本発明は油圧緩衝器に関する。
従来、ブレーキ操作時における車体前部の沈み込み(後輪の接地を失い、走行安定性を損なう)を抑制する油圧緩衝器(アンチノーズダイブフロントフォーク)として、特許文献1に記載のものがある。この油圧緩衝器は、ピストン支持部材をシートパイプに挿入し、ブレーキ操作時に下動するピストン支持部材の先端部に設けたピストンがシートパイプ内室の油をシートパイプ外室へ押し出そうとする圧側行程で、ブレーキ液圧の上昇により移動する弁部材により、シートパイプ内室をシートパイプ外室に連通している連通路を直ちに閉鎖する。この結果、ブレーキ操作時の圧側行程におけるシートパイプ内室からシートパイプ外室への油の流れを遮断して圧側減衰力を上昇させ、ピストン支持部材及びピストンの下動ストロークを阻止し、車体前部の沈み込みを阻止する。
実公平2-21629
特許文献1に記載の油圧緩衝器では、ブレーキ液圧の上昇により、弁部材がシートパイプ内室をシートパイプ外室に連通している連通路を直ちに閉鎖し、シートパイプ内室からシートパイプ外室への油の流れを直ちに遮断する。このため、ブレーキレバーの握りの緩急に関係なく、ブレーキ操作によって直ちに圧側行程の油の流れを遮断して圧側減衰力を上昇させ、ピストンの下動ストロークを阻止するものになり、緩やかなブレーキでも急ブレーキでも同様な圧側減衰力を生ずるものになって、きめ細かい沈み込み抑制制御ができない。
本発明の課題は、ブレーキ操作時における車体前部の沈み込みの抑制の程度を、ブレーキ操作の緩急に応じてきめ細かく制御することにある。
請求項1の発明は、ピストン支持部材の先端部に設けたピストンが作動油室内を摺動し、前記作動油室の内部を前記ピストンによりピストン側油室とロッド側油室に区画し、ピストンのピストン側油室とロッド側油室を連絡する流路に圧側減衰バルブを設けてなる油圧緩衝器において、前記圧側減衰バルブを背面支持するバルブ押えを設け、ブレーキ液圧に応じて変位するプランジャによりバルブ押えを圧側減衰バルブに対して押動するアクチュエータを有してなるようにしたものである。
請求項2の発明は、車体側のアウタチューブ内に車軸側のインナチューブを摺動自在に挿入し、前記インナチューブに隔壁部材を設け、該隔壁部材の隔壁部の下部の該インナチューブの内部に作動油室を、上部に油溜室を区画し、前記アウタチューブ側に取付けたピストン支持部材を、前記隔壁部材の隔壁部を貫通して前記作動油室内に挿入し、該ピストン支持部材の先端部に前記作動油室内を摺動するピストンを設け、前記アウタチューブの内周とインナチューブの外周との間に環状の油室を区画し、この環状の油室をインナチューブに設けた油孔を介して前記作動油室に連通し、前記作動油室の内部を前記ピストンによりピストン側油室とロッド側油室に区画し、ピストンのピストン側油室とロッド側油室を連絡する流路に伸側減衰バルブと圧側減衰バルブを設けてなる油圧緩衝器において、前記ピストン支持部材に前記圧側減衰バルブを背面支持するバルブ押えを設け、ブレーキ液圧に応じて変位するプランジャによりバルブ押えを圧側減衰バルブに対して押動するアクチュエータを有してなるようにしたものである。
請求項3の発明は、請求項2の発明において更に、前記アクチュエータがアウタチューブの上端側に設置され、アクチュエータのプランジャに衝接する操作ロッドをピストン支持部材の中空部に通し、操作ロッドによりバルブ押えを圧側減衰バルブに対して押動するようにしたものである。
請求項4の発明は、車体側チューブに車軸側チューブを摺動自在に挿入し、車軸側チューブの底部にダンパシリンダを立設し、車体側チューブに支持したピストンロッドをダンパシリンダに挿入し、ピストンロッドの先端部にダンパシリンダの内部を摺動するピストンを設け、車体側チューブと車軸側チューブの内部で、ダンパシリンダの外周部に油溜室と気体室を設け、ピストンロッドのピストンによりダンパシリンダの内部をピストン側油室とロッド側油室に区画し、ピストンのピストン側油室とロッド側油室を連絡する流路に伸側減衰バルブと圧側減衰バルブを設け、ダンパシリンダに設けたボトムピースにより、ピストン側油室と油溜室を区画し、ボトムピースのピストン側油室と油溜室を連通する流路に伸側チェックバルブと圧側減衰バルブを設けてなる油圧緩衝器において、前記ピストンロッドに圧側減衰バルブを背面支持するバルブ押えを設け、ブレーキ液圧に応じて変位するプランジャによりバルブ押えを圧側減衰バルブに対して押動するアクチュエータを有してなるようにしたものである。
請求項5の発明は、請求項4の発明において更に、前記アクチュエータが車体側チューブの上端側に設置され、アクチュエータのプランジャに衝接する操作ロッドをピストンロッドの中空部に通し、操作ロッドによりバルブ押えを圧側減衰バルブに対して押動するようにしたものである。
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかの発明において更に、前記プランジャがバルブ押えを押動する経路に、一定以上の荷重の作用によって圧縮される付勢手段を介装したものである。
(請求項1)
(a)ブレーキ液圧に応じて変位するプランジャによりバルブ押えを圧側減衰バルブに対して押動するアクチュエータを有してなるものにした。従って、ブレーキレバーの握り等のブレーキ操作の緩急による、ブレーキ液圧の上昇の程度により、プランジャがバルブ押えを介して圧側減衰バルブに付与する押動荷重を異なる大きさに変化する。これにより、この圧側減衰バルブはブレーキ時の圧側行程のピストン側油室からロッド側油室へ流れ込もうとする油の流れに与える抵抗力を変化させ、ひいては該圧側減衰バルブが発生する減衰力を変化し、結果としてピストンの下動ストロークを適宜に抑制する。圧側減衰バルブが発生する減衰力の変化は、圧側減衰バルブを押動するバルブ押えの径、アクチュエータのプランジャの径等により調整できる。よって、ブレーキ操作時における車体前部の沈み込みの抑制の程度を、ブレーキ操作の緩急に応じてきめ細かく制御することができる。
(請求項2)
(b)アウタチューブ側に取付けたピストン支持部材のピストンが、インナチューブの内部の作動油室内を摺動するタイプの油圧緩衝器で、上述(a)を実現できる。このタイプの油圧緩衝器では、圧側行程でピストン側油室から排出される油の全量がピストンに設けた圧側減衰バルブを通るものであり、上述(a)のアクチュエータのプランジャにより圧側減衰バルブを介してその全量の油の流れに抵抗力を与えるものになるから、車体前部の沈み込み抑制効果は大きい。
(請求項3)
(c)上述(b)のアクチュエータがアウタチューブの上端側に設置され、アクチュエータのプランジャに衝接する操作ロッドをピストン支持部材の中空部に通し、操作ロッドによりバルブ押えを圧側減衰バルブに対して押動するものにしたから、上述(b)の油圧緩衝器をコンパクトに構成できる。
(請求項4)
(d)車軸側チューブの底部にダンパシリンダを立設し、車体側チューブに支持したピストンロッドをダンパシリンダに挿入し、ピストンロッドの先端部にダンパシリンダの内部を摺動するピストンを設けるタイプの油圧緩衝器で、上述(a)を実現できる。
(請求項5)
(e)上述(d)のアクチュエータが車体側チューブの上端側に設置され、アクチュエータのプランジャに衝接する操作ロッドをピストンロッドの中空部に通し、操作ロッドによりバルブ押えを圧側減衰バルブに対して押動するものにしたから、上述(d)の油圧緩衝器をコンパクトに構成できる。
(請求項6)
(f)上述(a)〜(e)のアクチュエータのプランジャがバルブ押えを押動する経路に、一定以上の荷重の作用によって圧縮されるスプリング等の付勢手段を介装した。従って、ブレーキ液圧が過大に上昇したとき、又は車両が路面の突起に乗り、ピストン側油室の油圧が過大に上昇したとき、スプリング等の付勢手段の収縮によってそれらのブレーキ液圧、ピストン側油室の油圧の過大な上昇を吸収し、圧側減衰バルブの減衰力が過大になることを回避する。車両の操縦安定性を確保する。
図1は実施例1の油圧緩衝器を示す断面図である。 図2は図1の下部断面図である。 図3は図1の中間部断面図である。 図4は図1の上部断面図である。 図5はアンチノーズダイブ装置を示す断面図である。 図6は実施例2の油圧緩衝器を示す断面図である。 図7は図6の下部断面図である。 図8は図6の中間部断面図である。 図9は図6の上部断面図である。 図10はアンチノーズダイブ装置を示す断面図である。
(実施例1)(図1〜図5)
フロントフォーク(油圧緩衝器)10は、アウタチューブ11を車体側に、インナチューブ12を車輪側に配置する倒立型フロントフォークであり、図1〜図4に示す如く、アウタチューブ11の下端開口部の内周に固定したガイドブッシュ11Aと、インナチューブ12の上端開口部の外周に固定したガイドブッシュ12Aを介して、アウタチューブ11の内部にインナチューブ12を摺動自在に挿入する。11Bはオイルシール、11Cはダストシールである。アウタチューブ11の上端開口部にはキャップ13が液密に螺着されて封着され、アウタチューブ11の外周には車体側取付部材が設けられる。インナチューブ12の下端開口部には車軸ブラケット15が液密に挿着されて螺着されてインナチューブ12の底部を構成し、車軸ブラケット15には車軸取付孔15Aが設けられる。
フロントフォーク10は、アウタチューブ11の内周と、インナチューブ12の外周と、前記2つのガイドブッシュ11A、12Aにて区画される環状油室17を区画する。
フロントフォーク10は、インナチューブ12の上端側内周にOリングを介する等により液密に、有底カップ状の隔壁部材19を設け、隔壁部材19の底部のロッドガイド部19Aより下部に作動油室21を区画するとともに、上部に油溜室22を区画する。油溜室22の中でその下側領域は油室22A、上側領域は空気室22Bである。隔壁部材19のインナチューブ12より突出する上端部の外周に設けたガイドブッシュ12Aはアウタチューブ11の内周に摺接する。
フロントフォーク10は、アウタチューブ11に取付けたピストンロッド23を隔壁部材19のロッドガイド部19Aに摺動自在に挿入する。具体的には、キャップ13の中心部の下端部に螺着した取付カラー24に中空ピストンロッド23を螺着し、これをロックナット24Aで固定する。
フロントフォーク10は、隔壁部材19のロッドガイド部19Aからインナチューブ12に挿入したピストンロッド23の先端部に螺着したピストンボルト25に、インナチューブ12の内周に摺接するピストン26を固定し、前記油室21をピストンロッド23が収容されるピストンロッド側油室21Aと、ピストンロッド23が収容されないピストン側油室21Bに区画する。ピストン26はピストンナット27により固定される。
フロントフォーク10は、前記環状油室17を、インナチューブ12に設けた油孔28を介して、ピストンロッド側油室21Aに常時連通する。
フロントフォーク10は、ピストン26のピストン側油室21Bに臨む下端面の側に上ばね受31を取着し、車軸ブラケット15が形成するインナチューブ12の底部に下ばね受32を配置し、上ばね受31と下ばね受32の間に懸架スプリング33を介装している。懸架スプリング33の全体がピストン側油室21Bに浸漬される。フロントフォーク10は、車両走行時に路面から受ける衝撃力を懸架スプリング33の伸縮振動により吸収する。このとき、後述するばね荷重調整装置60が下ばね受32を昇降し、懸架スプリング33のばね荷重を調整可能にする。
フロントフォーク10は、ピストン26に減衰力発生装置40を備える(図3)。
減衰力発生装置40は、圧側流路41と伸側流路42を備える。圧側流路41は、バルブストッパ41Bにバックアップされる圧側ディスクバルブ41A(圧側減衰バルブ)により開閉される。伸側流路42は、バルブストッパ42Bにバックアップされる伸側ディスクバルブ42A(伸側減衰バルブ)により開閉される。尚、バルブストッパ41B、バルブ41A、ピストン26、バルブ42A、バルブストッパ42Bは、ピストンボルト25に挿着されるバルブ組立体を構成し、ピストンボルト25に螺着されるピストンナット27に挟まれて固定される。
減衰力発生装置40は、キャップ13の中心部に不図示の減衰力調整装置40Aを設け、減衰力調整装置40Aのニードル弁44をピストンロッド23の中空部に挿入し、ピストンロッド23に設けたバイパス路45の開度をニードル弁44の上下動により調整する。バイパス路45は、ピストン26をバイパスし、ピストンロッド側油室21Aとピストン側油室21Bを連絡する。
減衰力発生装置40は、圧側行程では、低速域で、ニードル弁44により開度調整されたバイパス路45の通路抵抗により圧側減衰力を発生し、中高速域で、圧側ディスクバルブ41Aの撓み変形により圧側減衰力を発生する。また、伸側行程では、低速域で、ニードル弁44により開度調整されたバイパス路45の通路抵抗により伸側減衰力を発生し、中高速域で、伸側ディスクバルブ42Aの撓み変形により伸側減衰力を発生する。この圧側減衰力と伸側減衰力により、前述した懸架スプリング33の伸縮振動を制振する。
フロントフォーク10は、キャップ13の下端面に、インナチューブ12に設けた隔壁部材19の上端部が最圧縮ストロークで衝合するストッパラバー13A、ストッパ板13Bを設けており、このストッパラバー13Aによって最圧縮ストロークを規制する。
フロントフォーク10は、インナチューブ12の上端側の隔壁部材19のピストンロッド側油室21Aに臨む下端面にストッパリング46Aを用いて固定したスプリングシート46と、ピストンロッド23に設けたストッパリング47Aに係止させたスプリングシート47との間にリバウンドスプリング48を介装してある。フロントフォーク10の最伸長時に、隔壁部材19の側のスプリングシート46がリバウンドスプリング48をスプリングシート47との間で加圧することにより、最伸長ストロークを規制する。
しかるに、フロントフォーク10にあっては、アウタチューブ11とインナチューブ12の環状隙間からなる前記環状油室17の断面積S1を、ピストンロッド23の断面積(外径に囲まれる面積)S2より大きく形成している(S1>S2)。
また、隔壁部材19のロッドガイド部19A及びスプリングシート46に、圧側行程では油溜室22からピストンロッド側油室21Aへの油の流れを許容し、伸側行程ではピストンロッド側油室21Aから油溜室22への油の流れを阻止するチェック弁50を設けている。
また、隔壁部材19のロッドガイド部19Aはピストンロッド23の周囲にオイルシールを封着していないから、チェック弁50の内周に圧入してあるブッシュがピストンロッド23の周囲に形成する微小間隙により、ピストンロッド側油室21Aと油溜室22を連通する微小流路(オリフィス)51(不図示)を構成する。微小流路51は、隔壁部材19のロッドガイド部19Aに穿設され、ピストンロッド側油室21Aと油溜室22を連通するオリフィス手段により構成されるものでも良い。
以下、ばね受32を昇降し、懸架スプリング33のばね荷重を調整するばね荷重調整装置60について説明する。ばね荷重調整装置60は、車軸ブラケット15の車軸取付孔15Aを外れる位置で外部に臨むアジャストボルト61に螺合されるスライダ62を車軸ブラケット15の内部でインナチューブ12の下部に配置し、アジャストボルト61の回転によりスライダ62をインナチューブ12の中心軸に交差する方向(アジャストボルト61の軸方向)に直線移動可能にする。スライダ62の上部斜面A2にばね受ベース63の下部斜面A1を載せ、ばね受ベース63の上にばね受筒部64を介してばね受32を支持する。アジャストボルト61の回転によりスライダ62、ばね受ベース63、ばね受筒部64を介してばね受32を昇降させ、懸架スプリング33のばね荷重を調整する。
フロントフォーク10の動作は以下の如くになる。
(圧側行程)
圧側行程でインナチューブ12に進入するピストンロッド23の進入容積分の作動油がインナチューブ12の内周の油室21Aからインナチューブ12の油孔28を介して環状油室17に移送される。このとき、環状油室17の容積増加分ΔS1(補給量)がピストンロッド23の容積増加分ΔS2より大きいから、環状油室17への油の必要補給量のうち、(ΔS1−ΔS2)の不足分が油溜室22からチェック弁50を介して補給される。
この圧側行程では、前述した通り、低速域で、ニードル弁44により開度調整されたバイパス路45の通路抵抗により圧側減衰力を発生し、中高速域で、圧側ディスクバルブ41Aの撓み変形により圧側減衰力を発生する。
(伸側行程)
伸側行程でインナチューブ12から退出するピストンロッド23の退出容積分の作動油が環状油室17からインナチューブ12の油孔28を介してインナチューブ12の内周の油室21Aに移送される。このとき、環状油室17の容積減少分ΔS1(排出量)がピストンロッド23の容積減少分ΔS2より大きいから、環状油室17からの油の排出量のうち、(ΔS1−ΔS2)の余剰分が微小流路51を介して油溜室22へ排出される。
この伸側行程では、前述した通り、低速域で、ニードル弁44により開度調整されたバイパス路45の通路抵抗により伸側減衰力を発生し、中高速域で、伸側ディスクバルブ42Aの撓み変形により伸側減衰力を発生する。また、上述の微小流路51の通路抵抗による伸側減衰力も発生する。
しかるに、フロントフォーク10にあっては、車両のブレーキ操作時における車体前部の沈み込みを抑制するアンチノーズダイブ装置70を以下の如くに備える。
アンチノーズダイブ装置70は、ピストンロッド23に圧側ディスクバルブ41Aのためのバルブ押え71を設けるとともに、ブレーキ操作に連動してバルブ押え71を圧側ディスクバルブ41Aに対して押圧するアクチュエータ80を有する。
アンチノーズダイブ装置70は、図4、図5に示す如く、アウタチューブ11の上端側、本実施例ではキャップ13にアクチュエータ80を設置する。アクチュエータ80は、キャップ13の中心軸上に同軸的に固定される液圧ハウジング81に液圧室82を形成し、車両のブレーキ操作部から延在されるブレーキ液圧供給管(不図示)が接続されるブレーキ液圧供給路83を液圧室82に連通し、液圧ハウジング81の中心軸上で液圧室82に臨むプランジャ84を該液圧ハウジング81に液密に摺動可能、かつ液圧ハウジング81から軸方向下方に突出可能に設ける。ブレーキ操作により昇圧される液圧室82のブレーキ液圧をプランジャ84の液圧室82に臨む受圧面に作用し、プランジャ84の液圧ハウジング81からの突出位置を液圧室82に占めるブレーキ液圧に応じて変位させる。85は液圧ハウジング81の液圧室82を封止するプラグボルト、86は液圧室82のためのエア抜きバルブである。
アンチノーズダイブ装置70は、プランジャ84が衝接する操作ロッド72を、アクチュエータ80が設置されるキャップ13の中心軸上で、キャップ13の内外に液密に摺動可能に支持する。操作ロッド72は、キャップ13に液密に摺動可能に挿通されるロッド部72Aと、ロッド部72Aに一体化されて取付カラー24の中空部に摺動可能に挿通される上かご部72Bと、上かご部72Bの内周に摺動可能に装填される下かご部72Cとを有し、上かご部72Bと下かご部72Cの間にスプリング(付勢手段)73を介装して備える。スプリング73は、上かご部72Bに対し下かご部72Cを軸方向に弾発的に離隔させ、下かご部72Cの下向き外端面が上かご部72Bの開口部に係着されているストッパリング72Dに係止するまでそれら両かご部72B、72Cを離隔させる。
アンチノーズダイブ装置70は、操作ロッド72の下かご部72Cの下向き外端面が衝接する操作ロッド74をピストンロッド23の中空部に通す。ピストンロッド23の下端側の直径方向の両側部には、軸方向に延びる長孔状のガイド孔23Aが設けられ、押動ピン75の両側突起がガイド孔23Aに遊びなく軸方向にスライド可能に係入される。ピストンロッド23の中空部に挿入されている操作ロッド74の下端面が押動ピン75の上面に衝接する。ピストンロッド23の下端部まわりには、押動ピン75の両側突起に下方から衝接する押動片76と、押動片76とバルブ押え71の間に介装される押動カラー77が設けられる。押動片76はカップ状をなし、カップの内周上面にて押動ピン75の両側突起と衝接し、カップの外周下面に押動カラー77の上端部を着座させる。バルブ押え71は、圧側ディスクバルブ41Aの上面の適宜の外径位置に全周連続的(間欠的でも可)に衝接する円環状押え部71Aと、ピストンボルト25の上端外周にスライドガイドされるスライド部71Bと、ピストンロッド側油室21Aを圧側流路41、伸側流路42、バイパス路45に連通する通路71Cを備え、外周段差部に押動カラー77の下端部を着座させる。
アンチノーズダイブ装置70は、圧側ディスクバルブ41Aのバルブ押え71とアクチュエータ80のプランジャ84との間に、キャップ13、取付カラー24、ピストンロッド23(ピストン支持部材)に順に挿通される操作ロッド72、74、及びピストンロッド23の周囲に設けられる押動ピン75、押動片76、押動カラー77を介装する。
このとき、操作ロッド72の上かご部72Bと下かご部72Cの間に介装されているスプリング73は、ブレーキ操作により昇圧される液圧室82のブレーキ液圧がプランジャ84に及ぼす通常押込力よりも大きなばね力fを付与される予圧縮状態で、上かご部72Bから軸方向に離隔される下かご部72Cを上かご部72B内のストッパリング72Dに係止させている。スプリング73にこのばね力f以上の荷重が作用するとき、スプリング73は圧縮されるものになる。
そして、アンチノーズダイブ装置70は、車両の通常運転時に、ブレーキ操作による昇圧のないブレーキ液圧が液圧室82を占めている場合に、バルブ押え71と圧側ディスクバルブ41Aとの間(又はプランジャ84と操作ロッド72の間)に僅かな隙間を介するように、操作ロッド72、74、押動カラー77等の長さを設定している。
本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)ブレーキ液圧に応じて変位するプランジャ84によりバルブ押え71を圧側ディスクバルブ41Aに対して押動するアクチュエータ80を有してなるものにした。従って、ブレーキレバーの握り等のブレーキ操作の緩急による、ブレーキ液圧の上昇の程度により、プランジャ84がバルブ押え71を介して圧側ディスクバルブ41Aに付与する押動荷重を異なる大きさに変化する。これにより、この圧側ディスクバルブ41Aはブレーキ時の圧側行程のピストン側油室21Bからロッド側油室21Aへ流れ込もうとする油の流れに与える抵抗力を変化させ、ひいては該圧側ディスクバルブ41Aが発生する減衰力を変化し、結果としてピストン26の下動ストロークを適宜に抑制する。圧側ディスクバルブ41Aが発生する減衰力の変化は、圧側ディスクバルブ41Aを押動するバルブ押え71の径、アクチュエータ80のプランジャ84の径等により調整できる。よって、ブレーキ操作時における車体前部の沈み込みの抑制の程度を、ブレーキ操作の緩急に応じてきめ細かく制御することができる。
(b)アウタチューブ11側に取付けたピストンロッド23のピストン26が、インナチューブ12の内部の作動油室21A、21B内を摺動するタイプの油圧緩衝器10で、上述(a)を実現できる。このタイプの油圧緩衝器10では、圧側行程でピストン側油室21Bから排出される油の全量がピストン26に設けた圧側ディスクバルブ41Aを通るものであり、上述(a)のアクチュエータ80のプランジャ84により圧側ディスクバルブ41Aを介してその全量の油の流れに抵抗力を与えるものになるから、車体前部の沈み込み抑制効果は大きい。
(c)上述(b)のアクチュエータ80がアウタチューブ11の上端側に設置され、アクチュエータ80のプランジャ84に衝接する操作ロッド72をピストンロッド23の中空部に通し、操作ロッド72によりバルブ押え71を圧側ディスクバルブ41Aに対して押動するものにしたから、上述(b)の油圧緩衝器10をコンパクトに構成できる。
(d)上述(a)〜(c)のアクチュエータ80のプランジャ84がバルブ押え71を押動する経路に、一定以上の荷重の作用によって圧縮されるスプリング73を介装した。従って、ブレーキ液圧が過大に上昇したとき、又は車両が路面の突起に乗り、ピストン側油室21Bの油圧が過大に上昇したとき、スプリング73の収縮によってそれらのブレーキ液圧、ピストン側油室21Bの油圧の過大な上昇を吸収し、圧側ディスクバルブ41Aの減衰力が過大になることを回避する。車両の操縦安定性を確保する。
(実施例2)(図6〜図10)
フロントフォーク100は、図6〜図9に示す如く、車体側チューブ(インナチューブ)101を車軸側チューブ(アウタチューブ)102に摺動自在に嵌合して正立にし、両チューブ101、102の間に懸架スプリング103を介装するとともに、単筒型ダンパ104を正立にして内装している。車体側チューブ101をアウタチューブにし、車軸側チューブ102をインナチューブにし、車体側チューブ101を車軸側チューブ102に摺動自在に嵌合して倒立にするものでも良い。
車軸側チューブ102の上端内周部には車体側チューブ101の外周部が摺接するブッシュ105、オイルシール106、ダストシール107が嵌着され、車体側チューブ101の下端外周部には車軸側チューブ102の内周部が摺接するブッシュ108が嵌着される。
車体側チューブ101はアッパブラケット、ロアブラケットを介して車体側に支持され、車軸側チューブ102は車軸ブラケット110を介して車軸に結合される。
車軸側チューブ102のボトムキャップ112が封着された底部にはダンパ104のダンパシリンダ111の下端部が取着されて立設している。このとき、ダンパシリンダ111は、ボトムキャップ112に外側から係入させたボトムピース141により固定保持される。
車体側チューブ101の上端部にはキャップ115が液密に挿着されるとともに螺着され、キャップ115の中心部の下端部に螺着した取付カラー116に中空ピストンロッド119の基端部が螺着され、ロックナット120でロックされている。このピストンロッド119の先端部はダンパシリンダ111に挿入されている。
車軸側チューブ102の内部のダンパシリンダ111の上端内周部にはカラー121が固定され、カラー121の上端部にはばね受122が設けられている。他方、車体側チューブ101の内部で、キャップ115の下端内周にはばね受123が設けられる。ばね受123によって懸架スプリング103の上端を支持し、ばね受122によって懸架スプリング103の下端を支持する。
車体側チューブ101と車軸側チューブ102の内部で、ダンパシリンダ111の外周部には、油溜室125Aと気体室125Bとが設けられ、気体室125Bに閉じ込められている気体が気体ばねを構成する。油溜室125Aの作動油は、気体室125Bのばね定数の調整と、車体側チューブ101と車軸側チューブ102の摺接ブッシュ105、108の潤滑、車軸側チューブ102の上端部のオイルシール106の湿潤に寄与する。そして、これらの懸架ばね103と気体ばねの弾発力が、車両が路面から受ける衝撃力を吸収する。
ダンパ104は、ピストンバルブ装置(伸側減衰力発生装置)130と、ボトムバルブ装置(圧側減衰力発生装置)140とを有する。ダンパ104は、ピストンバルブ装置130とボトムバルブ装置140が発生する減衰力により、懸架スプリング103と気体ばねによる衝撃力の吸収に伴なう車体側チューブ101と車軸側チューブ102の伸縮振動を抑制する。
ダンパシリンダ111の上端開口部(カラー121)にはロッドガイド126が設けられ、ロッドガイド126にはピストンロッド119を摺接案内するブッシュ127が圧入されている。
尚、ダンパシリンダ111の内周のピストンロッド119の周囲には最伸長時にロッドガイド126との間で圧縮されて緩衝作用を果たすリバウンドスプリング128が保持されている。
また、車体側チューブ101の先端内周部にはオイルロックピース129が固定され、車軸側チューブ102のボトムキャップ112が封着された底部にはオイルロックカラー130が立設され、最圧縮時にオイルロックピース129をオイルロックカラー130に進入させて最圧縮時の緩衝作用を果たす。
以下、フロントフォーク100の減衰機構について説明する。
(ピストンバルブ装置130)
ピストンバルブ装置130は、ピストンロッド119の先端部にピストンホルダ131を装着し、このピストンホルダ131に螺着されるナット131A、バルブストッパ131Bによりピストン132、バルブストッパ131Cを装着している。ピストン132は、ダンパシリンダ111の内部を摺接し、ダンパシリンダ111の内部をピストンロッド119が収容されないピストン側油室133Aとピストンロッド119が収容されるロッド側油室133Bとに区画する。ピストン132は、伸側バルブ134Aを備えてピストン側油室133Aとロッド側油室133Bとを連絡可能とする伸側流路134と、圧側ディスクバルブ135Aを備えてピストン側油室133Aとロッド側油室133Bとを連絡可能とする圧側流路135(不図示)とを備える。
従って、フロントフォーク100の圧縮時には、ピストン側油室133Aの油が圧側流路135を通り圧側バルブ135Aを開いてロッド側油室133Bへ導かれる。
また、フロントフォーク100の伸長時には、ロッド側油室133Bの油が伸側流路134を通り伸側バルブ134Aを撓み変形させてピストン側油室133Aへ導かれ、伸側の減衰力を生ずる。
(ボトムバルブ装置140)
ボトムバルブ装置140は、ダンパシリンダ111が固定されるボトムピース141に、ナット142により圧側バルブ146A、バルブハウジング143、バルブストッパ144を保持している。バルブストッパ144は、バルブハウジング143との間に伸側ディスクバルブ(チェックバルブ)147A、ばね147Bを保持する。バルブハウジング143はダンパシリンダ111の中間部に液密に密着し、ピストン側油室133Aの下方にボトムバルブ室145を区画形成する。バルブハウジング143は、圧側ディスクバルブ146Aを備えたピストン側油室133Aとボトムバルブ室145とを連絡可能とする圧側流路146と、伸側ディスクバルブ(チェックバルブ)147Aを備えてピストン側油室133Aとボトムバルブ室145とを連絡可能とする伸側流路147(不図示)とを備える。ボトムバルブ室145はダンパシリンダ111の壁面に設けた油路148により、ダンパシリンダ111の外部に設けてある油溜室125Aに連絡可能とされている。
また、車軸側チューブ102の底部に設けたボトムピース141には、圧側流路146と伸側流路147とをバイパスしてピストン側油室133Aと油溜室125Aとを連絡可能とするバイパス流路149を備える。また、ボトムピース141に外部から螺動操作可能に設けられているアジャスタ150が係合する減衰力調整ロッド152をボトムピース141に液密に挿着するとともに螺着しており、アジャスタ150により螺動される減衰力調整ロッド152の先端ニードル弁によりボトムピース141のバイパス流路149の流路面積を調整可能としている。
従って、フロントフォーク100の圧縮時には、ダンパシリンダ111に進入したピストンロッド119の進入容積分の油が、ピストン側油室133Aから、バイパス流路149を通って油溜室125A、或いは圧側流路146、ボトムバルブ室145、ダンパシリンダ111の壁面の油路148を通って油溜室125Aに排出される。このとき、ダンパシリンダ111とピストンロッド119の相対速度が低速のときには、バイパス流路149に設けてあるニードル弁による絞り抵抗により圧側の減衰力を得る。この減衰力は、減衰力調整ロッド152によるニードル弁の位置調整により調整される。また、ダンパシリンダ111とピストンロッド119の相対速度が中高速のときには、ピストン側油室133Aから圧側流路146を通る油が圧側ディスクバルブ146Aを撓み変形させてボトムバルブ室145に導かれ、圧側の減衰力を生ずる。
フロントフォーク100の伸長時には、ダンパシリンダ111から退出するピストンロッド119の退出容積分の油が、油溜室125Aからボトムバルブ室145、伸側流路147を通ってピストン側油室133Aに還流される。
従って、フロントフォーク100は以下の如くに減衰作用を行なう。
(圧縮時)
フロントフォーク100の圧縮時には、ボトムバルブ装置140において、バルブハウジング143の圧側バルブ146A或いはニードル弁を流れる油により圧側減衰力を生じ、ピストンバルブ装置130で圧側ディスクバルブ135Aにおいて圧側減衰力を生ずる。
(伸長時)
フロントフォーク100の伸長時には、ピストンバルブ装置130において、ピストン132のニードル弁或いは伸側バルブ134Aを流れる油により伸側減衰力を生じ、ボトムバルブ装置140では殆ど減衰力を生じない。
これらの圧側と伸側の減衰力により、フロントフォーク100の伸縮振動が抑制される。
しかるに、フロントフォーク100にあっては、車両のブレーキ操作時における車体前部の沈み込みを抑制するため、前述したフロントフォーク10(図1〜図5)におけると同様のアンチノーズダイブ装置70を以下の如くに備える。
アンチノーズダイブ装置70は、ピストンロッド119に圧側ディスクバルブ135Aのためのバルブ押え71を設けるとともに、ブレーキ操作に連動してバルブ押え71を圧側ディスクバルブ135Aに対して押圧するアクチュエータ80を有する。
アンチノーズダイブ装置70は、図9、図10に示す如く、車体側チューブ101の上端側、本実施例ではキャップ115にアクチュエータ80を設置する。アクチュエータ80は、キャップ115の中心軸上に同軸的に固定される液圧ハウジング81に液圧室82を形成し、車両のブレーキ操作部から延在されるブレーキ液圧供給管(不図示)が接続されるブレーキ液圧供給路83を液圧室82に連通し、液圧ハウジング81の中心軸上で液圧室82に臨むプランジャ84を該液圧ハウジング81に液密に摺動可能、かつ液圧ハウジング81から軸方向下方に突出可能に設ける。ブレーキ操作により昇圧される液圧室82のブレーキ液圧をプランジャ84の液圧室82に臨む受圧面に作用し、プランジャ84の液圧ハウジング81からの突出位置を液圧室82に占めるブレーキ液圧に応じて変位させる。85は液圧ハウジング81の液圧室82を封止するプラグボルト、86は液圧室82のためのエア抜きバルブである。
アンチノーズダイブ装置70は、プランジャ84が衝接する操作ロッド72を、アクチュエータ80が設置されるキャップ115の中心軸上で、キャップ115の内外に液密に摺動可能に支持する。操作ロッド72は、キャップ115に液密に摺動可能に挿通されるロッド部72Aと、ロッド部72Aに一体化されて取付カラー116の中空部に摺動可能に挿通される上かご部72Bと、上かご部72Bの内周に摺動可能に装填される下かご部72Cとを有し、上かご部72Bと下かご部72Cの間にスプリング73を介装して備える。スプリング73は、上かご部72Bに対し下かご部72Cを軸方向に弾発的に離隔させ、下かご部72Cの下向き外端面が上かご部72Bの開口部に係着されているストッパリング72Dに係止するまでそれら両かご部72B、72Cを離隔させる。
アンチノーズダイブ装置70は、操作ロッド72の下かご部72Cの下向き外端面が衝接する操作ロッド74をピストンロッド119の中空部に通す。ピストンロッド119の下端側の直径方向の両側部には、軸方向に延びる長孔状のガイド孔119Aが設けられ、押動ピン75の両側突起がガイド孔119Aに遊びなく軸方向にスライド可能に係入される。ピストンロッド119の中空部に挿入されている操作ロッド74の下端面が押動ピン75の上面に衝接する。ピストンロッド119の下端部まわりには、押動ピン75の両側突起に下方から衝接する押動片76と、押動片76とバルブ押え71の間に介装される押動カラー77が設けられる。押動片76はカップ状をなし、カップの内周上面にて押動ピン75の両側突起と衝接し、カップの外周下面に押動カラー77の上端部を着座させる。バルブ押え71は、圧側ディスクバルブ135Aの上面の適宜の外径位置に全周連続的(間欠的でも可)に衝接する円環状押え部71Aと、ピストンホルダ131の上端外周にスライドガイドされるスライド部71Bと、ピストンロッド側油室133Bを圧側流路135(不図示)、伸側流路134に連通する通路71Cを備え、外周段差部に押動カラー77の下端部を着座させる。
アンチノーズダイブ装置70は、圧側ディスクバルブ135Aのバルブ押え71とアクチュエータ80のプランジャ84との間に、キャップ115、取付カラー116、ピストンロッド119(ピストン支持部材)に順に挿通される操作ロッド72、74、及びピストンロッド119の周囲に設けられる押動ピン75、押動片76、押動カラー77を介装する。
このとき、操作ロッド72の上かご部72Bと下かご部72Cの間に介装されているスプリング73は、ブレーキ操作により昇圧される液圧室82のブレーキ液圧がプランジャ84に及ぼす通常押込力よりも大きなばね力fを付与される予圧縮状態で、上かご部72Bから軸方向に離隔される下かご部72Cを上かご部72B内のストッパリング72Dに係止させている。スプリング73にこのばね力f以上の荷重が作用するとき、スプリング73は圧縮されるものになる。
そして、アンチノーズダイブ装置70は、車両の通常運転時に、ブレーキ操作による昇圧のないブレーキ液圧が液圧室82を占めている場合に、バルブ押え71と圧側ディスクバルブ135Aとの間(又はプランジャ84と操作ロッド72の間)に僅かな隙間を介するように、操作ロッド72、74、押動カラー77等の長さを設定している。
本実施例によれば、以下の作用効果を奏する。
(a)ブレーキ液圧に応じて変位するプランジャ84によりバルブ押え71を圧側減衰バルブ135Aに対して押動するアクチュエータ80を有してなるものにした。従って、ブレーキレバーの握り等のブレーキ操作の緩急による、ブレーキ液圧の上昇の程度により、プランジャ84がバルブ押え71を介して圧側減衰バルブ135Aに付与する押動荷重を異なる大きさに変化する。これにより、この圧側減衰バルブ135Aはブレーキ時の圧側行程のピストン側油室133Aからロッド側油室133Bへ流れ込もうとする油の流れに与える抵抗力を変化させ、ひいては該圧側減衰バルブ135Aが発生する減衰力を変化し、結果としてピストン132の下動ストロークを適宜に抑制する。圧側減衰バルブ135Aが発生する減衰力の変化は、圧側減衰バルブ135Aを押動するバルブ押え71の径、アクチュエータ80のプランジャ84の径等により調整できる。よって、ブレーキ操作時における車体前部の沈み込みの抑制の程度を、ブレーキ操作の緩急に応じてきめ細かく制御することができる。
(b)車軸側チューブ102の底部にダンパシリンダ111を立設し、車体側チューブ101に支持したピストンロッド119をダンパシリンダ111に挿入し、ピストンロッド119の先端部にダンパシリンダ111の内部を摺動するピストン132を設けるタイプのフロントフォーク100で、上述(a)を実現できる。
(c)上述(b)のアクチュエータ80が車体側チューブ101の上端側に設置され、アクチュエータ80のプランジャ84に衝接する操作ロッド72をピストンロッド119の中空部に通し、操作ロッド72によりバルブ押え71を圧側減衰バルブ135Aに対して押動するものにしたから、上述(b)のフロントフォーク100をコンパクトに構成できる。
(d)上述(a)〜(c)のアクチュエータ80のプランジャ84がバルブ押え71を押動する経路に、一定以上の荷重の作用によって圧縮されるスプリング73を介装した。従って、ブレーキ液圧が過大に上昇したとき、又は車両が路面の突起に乗り、ピストン側油室133Aの油圧が過大に上昇したとき、スプリング73の収縮によってそれらのブレーキ液圧、ピストン側油室133Aの油圧の過大な上昇を吸収し、圧側減衰バルブ135Aの減衰力が過大になることを回避する。車両の操縦安定性を確保する。
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、アンチノーズダイブ装置70の前述したスプリング73は、スプリングに限らず、気体ばね、ゴム等の弾性体からなるものであれば良い。
本発明は、油圧緩衝器において、圧側減衰バルブを背面支持するバルブ押えを設け、ブレーキ液圧に応じて変位するプランジャによりバルブ押えを圧側減衰バルブに対して押動するアクチュエータを有してなるものにした。これにより、ブレーキ操作時における車体前部の沈み込みの抑制の程度を、ブレーキ操作の緩急に応じてきめ細かく制御することができる。
10 フロントフォーク(油圧緩衝器)
11 アウタチューブ
12 インナチューブ
17 環状油室
19 隔壁部材
21 作動油室
21A ロッド側油室
21B ピストン側油室
22 油溜室
23 ピストンロッド(ピストン支持部材)
26 ピストン
28 油孔
41 圧側流路
41A 圧側ディスクバルブ
42 伸側流路
42A 伸側ディスクバルブ
70 アンチノーズダイブ装置
71 バルブ押え
72 操作ロッド
73 スプリング(付勢手段)
80 アクチュエータ
82 液圧室
84 プランジャ
100 フロントフォーク(油圧緩衝器)
101 車体側チューブ
102 車軸側チューブ
111 ダンパシリンダ
119 ピストンロッド
125A 油溜室
125B 気体室
132 ピストン
133A ピストン側油室
133B ロッド側油室
134 伸側流路
134A 伸側ディスクバルブ
135 圧側流路
135A 圧側ディスクバルブ
141 ボトムピース
146 圧側流路
146A 圧側ディスクバルブ
147 伸側流路
147A 伸側ディスクバルブ

Claims (6)

  1. ピストン支持部材の先端部に設けたピストンが作動油室内を摺動し、前記作動油室の内部を前記ピストンによりピストン側油室とロッド側油室に区画し、ピストンのピストン側油室とロッド側油室を連絡する流路に圧側減衰バルブを設けてなる油圧緩衝器において、
    前記圧側減衰バルブを背面支持するバルブ押えを設け、ブレーキ液圧に応じて変位するプランジャによりバルブ押えを圧側減衰バルブに対して押動するアクチュエータを有してなることを特徴とする油圧緩衝器。
  2. 車体側のアウタチューブ内に車軸側のインナチューブを摺動自在に挿入し、
    前記インナチューブに隔壁部材を設け、該隔壁部材の隔壁部の下部の該インナチューブの内部に作動油室を、上部に油溜室を区画し、
    前記アウタチューブ側に取付けたピストン支持部材を、前記隔壁部材の隔壁部を貫通して前記作動油室内に挿入し、該ピストン支持部材の先端部に前記作動油室内を摺動するピストンを設け、
    前記アウタチューブの内周とインナチューブの外周との間に環状の油室を区画し、この環状の油室をインナチューブに設けた油孔を介して前記作動油室に連通し、
    前記作動油室の内部を前記ピストンによりピストン側油室とロッド側油室に区画し、ピストンのピストン側油室とロッド側油室を連絡する流路に伸側減衰バルブと圧側減衰バルブを設けてなる油圧緩衝器において、
    前記ピストン支持部材に前記圧側減衰バルブを背面支持するバルブ押えを設け、ブレーキ液圧に応じて変位するプランジャによりバルブ押えを圧側減衰バルブに対して押動するアクチュエータを有してなることを特徴とする油圧緩衝器。
  3. 前記アクチュエータがアウタチューブの上端側に設置され、アクチュエータのプランジャに衝接する操作ロッドをピストン支持部材の中空部に通し、操作ロッドによりバルブ押えを圧側減衰バルブに対して押動する請求項2に記載の油圧緩衝器。
  4. 車体側チューブに車軸側チューブを摺動自在に挿入し、
    車軸側チューブの底部にダンパシリンダを立設し、車体側チューブに支持したピストンロッドをダンパシリンダに挿入し、ピストンロッドの先端部にダンパシリンダの内部を摺動するピストンを設け、
    車体側チューブと車軸側チューブの内部で、ダンパシリンダの外周部に油溜室と気体室を設け、
    ピストンロッドのピストンによりダンパシリンダの内部をピストン側油室とロッド側油室に区画し、ピストンのピストン側油室とロッド側油室を連絡する流路に伸側減衰バルブと圧側減衰バルブを設け、
    ダンパシリンダに設けたボトムピースにより、ピストン側油室と油溜室を区画し、ボトムピースのピストン側油室と油溜室を連通する流路に伸側チェックバルブと圧側減衰バルブを設けてなる油圧緩衝器において、
    前記ピストンロッドに圧側減衰バルブを背面支持するバルブ押えを設け、ブレーキ液圧に応じて変位するプランジャによりバルブ押えを圧側減衰バルブに対して押動するアクチュエータを有してなることを特徴とする油圧緩衝器。
  5. 前記アクチュエータが車体側チューブの上端側に設置され、アクチュエータのプランジャに衝接する操作ロッドをピストンロッドの中空部に通し、操作ロッドによりバルブ押えを圧側減衰バルブに対して押動する請求項4に記載の油圧緩衝器。
  6. 前記プランジャがバルブ押えを押動する経路に、一定以上の荷重の作用によって圧縮される付勢手段を介装した請求項1〜5のいずれかに記載の油圧緩衝器。
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