JP2011011579A - 車両用制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】要求に応じて自動変速機の出力軸を回転不可能なロック状態と回転可能なアンロック状態とに切り替えるシフト・バイ・ワイヤ方式のパーキング機構を有する車両用制御装置に対し、坂路でパーキング機構をロック状態にさせる際の動作の信頼性を高める。
【解決手段】シフト・バイ・ワイヤ方式のパーキング機構5において、このパーキング機構5をロック状態にするにあたって、車両が停車している路面が平坦路である場合には、パーキングギア51に対するパーキングロックポール52の押し付け力を低く設定するようにアクチュエータの目標回転角度を小さく設定する一方、車両が停車している路面が坂路である場合には、パーキングギア51に対するパーキングロックポール52の押し付け力を高く設定するようにアクチュエータの目標回転角度を大きく設定する。
【選択図】図7
【解決手段】シフト・バイ・ワイヤ方式のパーキング機構5において、このパーキング機構5をロック状態にするにあたって、車両が停車している路面が平坦路である場合には、パーキングギア51に対するパーキングロックポール52の押し付け力を低く設定するようにアクチュエータの目標回転角度を小さく設定する一方、車両が停車している路面が坂路である場合には、パーキングギア51に対するパーキングロックポール52の押し付け力を高く設定するようにアクチュエータの目標回転角度を大きく設定する。
【選択図】図7
Description
本発明は、例えば自動車等の車両に搭載される自動変速機の出力軸を回転不可能なロック状態と回転可能なアンロック状態とに切り替えるシフト・バイ・ワイヤ方式のパーキング機構を搭載した車両に用いる制御装置に関する。
従来の自動変速機は、一般的に、運転席に設けられるスライド式のシフトレバーを運転者がスライド操作することにより、その操作力をワイヤやロッド等を介し直接的にパーキング機構やマニュアルバルブに伝達して、例えばパーキングレンジP、リバース(後進走行)レンジR、ニュートラルレンジN、ドライブ(前進走行)レンジDのいずれかが選択できるようになっている。
ここで、パーキングレンジPが選択された場合には、パーキング機構によって自動変速機の出力軸を回転不可能なロック状態にするようになっている。また、リバースレンジR、ニュートラルレンジN、ドライブレンジDが選択された場合には、自動変速機に備えられたシフトレンジ切替用の油圧回路の一構成要素であるマニュアルバルブの状態を変更することによって、変速機構部に備えられたクラッチやブレーキ等の摩擦係合要素を係合または解放させることにより、要求レンジを成立させるようになっている。
次に、前記パーキング機構の構成や動作について説明する。
パーキング機構は、一般的に、パーキングギアと、パーキングロックポールと、パーキングロッドとを含んで構成されている。
パーキングギアは、自動変速機の出力軸に外装固定されている。パーキングロックポールは、パーキングギアに対して遠近変位可能に傾動自在に支持されており、パーキングギアの歯間(歯と歯の間の溝)に係入・離脱可能とされる爪を有している。パーキングロッドは、一端側にパーキングロックポールを傾動させるためのテーパコーンが設けられており、自動変速機の出力軸と略平行に前方または後方に変位されるようになっている。
このパーキングロッドは、ディテントレバーによって駆動されるようになっている。このディテントレバーの駆動形態としては、シフトレバーと例えばワイヤやロッド等を介して直接的に連動連結して、シフトレバーの操作力で直接的に駆動される直接操作方式と呼ばれる形態や、いわゆるシフト・バイ・ワイヤ方式と呼ばれる形態がある。
このシフト・バイ・ワイヤ方式は、運転者によるシフトレバーの操作をセンサやスイッチ等によって検出し、この検出したシフトレンジ信号に応じて適宜のアクチュエータでディテントレバーを駆動する形態になっている(例えば特許文献1から特許文献3を参照)。
なお、シフト・バイ・ワイヤ方式の場合、パーキング機構に対するパーキング要求信号やパーキング解除要求信号を出力する操作部材として、上述した一般的なシフトレバーの他に、ジョイスティックやプッシュボタン等が用いられることもある。
そして、パーキング機構の動作としては、まず、ディテントレバーを傾動(回動)させることによってパーキングロッドを例えば後方へ変位させると、テーパコーンがパーキングロックポールを押し上げて、パーキングロックポールの爪をパーキングギアの歯間に係入させることにより、自動変速機の出力軸を回転不可能なロック状態とする。
一方、ディテントレバーを前記と逆向きに傾動させることによってパーキングロッドを例えば前方へ変位させると、テーパコーンによるパーキングロックポールの押し上げ力が解除され、パーキングロックポールがばねによって引っ張られて下がるので、その爪がパーキングギアの歯間から抜け出ることにより、自動変速機の出力軸を回転可能なアンロック状態とする。
ところで、前記従来例のようなシフト・バイ・ワイヤ方式のパーキング機構では、シフトレバーの操作力で直接的にロック状態を成立させる直接操作方式のものに比べて、アンロック状態のパーキング機構をロック状態にさせるための要求(以下、パーキング要求と呼ぶ)を受けてから、ロック状態を成立させるまでに所定のタイムラグが発生する。
このタイムラグが発生している期間、つまり前記パーキング要求時点からロック状態を成立させるまでの過程において、例えば車両を坂道に停車させることによって車両が傾いているような状況で運転者がフット式ブレーキの踏み込み作動を解除してしまうと、路面の傾きに応じて駆動輪が回転して車両がずれ動くおそれがあり、ロック状態を成立させ難くなることが懸念される。
具体的に説明すると、そもそも、パーキング要求がなされてからパーキング機構のロック状態を成立させるまでの間に上述した如く車両がずれ動くようなことがあると、駆動輪の回転に伴って、自動変速機の出力軸に固定されているパーキングギアが回転してしまう。そして、このパーキングギアの歯間とパーキングロックポールの爪とが完全に対向するまでの間(パーキングロックポールの爪がパーキングギアの歯間に係入可能な対向状態になるまでの間)に、パーキングギアの回転速度が所定速度以上にまで上昇してしまうと、パーキングロックポールの爪がパーキングギアに接触する際にパーキングロックポールがパーキングギアから弾かれるといった、いわゆるラチェッティング現象が発生しやすくなる。
以下の説明では、このラチェッティング現象が発生するパーキングギアの回転速度(パーキングギアの外周縁部の回転速度)の最低回転速度をラチェット速度と呼ぶこととする。つまり、パーキングギアの歯間とパーキングロックポールの爪とが完全に対向するまでの間にパーキングギアの回転速度がラチェット速度に達してしまうと、前記ラチェッティング現象が発生し、パーキングロックポールの爪がパーキングギアの歯間に係入できなくなる可能性がある。
そして、このようなラチェッティング現象が発生する状況では、パーキング機構のロック状態を成立させるまでの時間が長引くことが懸念される。
また、特許文献2や特許文献3には、前記パーキング要求時点からロック状態を成立させるまでの間に、駆動輪の回転を阻止するための制動力を発生させることが開示されている。
例えば、パーキング機構のロック状態が成立するまでの間、駆動輪に付設されているブレーキ(例えばディスクブレーキ)を作動させることでロック状態を成立させやすくしたり、登坂路では自動変速機を後進段にし、また、降坂路では自動変速機を前進段にすることで車両停車状態を維持してロック状態を成立させやすくしたりしている。
ところが、このような構成では、パーキング機構以外の作動部(前記駆動輪に付設されているブレーキや自動変速機)を、前記ロック状態を成立させるためだけに作動させる必要があり、車両全体としての制御が複雑化するばかりでなく、この作動部の作動回数が増加することから、その耐久性を高くしておくための構成も必要になり、製造コストの高騰を招いてしまうといった課題があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、要求に応じて自動変速機の出力軸を回転不可能なロック状態と回転可能なアンロック状態とに切り替えるシフト・バイ・ワイヤ方式のパーキング機構を有する車両用制御装置に対し、坂道でパーキング機構をロック状態にさせる際の動作の信頼性を高めることにある。
−課題の解決原理−
前記の目的を達成するために講じられた本発明の解決原理は、路面勾配が大きい状況でパーキング機構をロック状態にする際には、パーキングギア(被噛み合い部材)に対するパーキングロックポール(噛み合い部材)の押圧力を高く設定し、パーキングギアの歯間へのパーキングロックポールの爪の係入が行われやすくする動作を実行するようにしている。
前記の目的を達成するために講じられた本発明の解決原理は、路面勾配が大きい状況でパーキング機構をロック状態にする際には、パーキングギア(被噛み合い部材)に対するパーキングロックポール(噛み合い部材)の押圧力を高く設定し、パーキングギアの歯間へのパーキングロックポールの爪の係入が行われやすくする動作を実行するようにしている。
−解決手段−
具体的に、本発明は、回転軸に回転一体とされた被噛み合い部材と、この被噛み合い部材と噛み合う噛み合い姿勢において前記回転軸を回転不可能なロック状態にする一方、被噛み合い部材との噛み合いが解除される噛み合い解除姿勢において前記回転軸を回転可能なアンロック状態にする噛み合い部材と、パーキング要求時に噛み合い部材を噛み合い解除姿勢から噛み合い姿勢にするための駆動力を発生する駆動手段とを備えたシフト・バイ・ワイヤ方式のパーキング機構を有する車両用制御装置を前提とする。この車両用制御装置に対し、車両が停車する路面の勾配が大きい場合には、勾配が小さい場合に比較して、前記駆動手段が発生する前記駆動力を大きくする構成としている。
具体的に、本発明は、回転軸に回転一体とされた被噛み合い部材と、この被噛み合い部材と噛み合う噛み合い姿勢において前記回転軸を回転不可能なロック状態にする一方、被噛み合い部材との噛み合いが解除される噛み合い解除姿勢において前記回転軸を回転可能なアンロック状態にする噛み合い部材と、パーキング要求時に噛み合い部材を噛み合い解除姿勢から噛み合い姿勢にするための駆動力を発生する駆動手段とを備えたシフト・バイ・ワイヤ方式のパーキング機構を有する車両用制御装置を前提とする。この車両用制御装置に対し、車両が停車する路面の勾配が大きい場合には、勾配が小さい場合に比較して、前記駆動手段が発生する前記駆動力を大きくする構成としている。
この特定事項により、パーキング要求時には、駆動手段が作動し、その駆動力によって噛み合い部材が前記噛み合い解除姿勢から噛み合い姿勢とされる。これに伴い、被噛み合い部材と噛み合い部材とが噛み合い、前記回転軸を回転不可能なロック状態にすることになる。この際、車両が停車する路面の勾配が小さい場合(勾配が「0」の場合を含む)には、駆動手段が発生する駆動力は比較的小さく設定されるのに対し、車両が停車する路面の勾配が大きい場合には、前記勾配が小さい場合に比較して、駆動手段が発生する駆動力は大きく設定される。
前記パーキング要求時点からロック状態を成立させるまでの間に路面の傾きに応じて駆動輪が回転して車両がずれ動く状況において、路面の勾配が小さい場合には駆動輪の回転加速度も小さいか又は殆ど回転しないため、その回転速度が前記ラチェット速度に達するまでに噛み合い部材と被噛み合い部材との相対位置は互いに噛み合える位置となり、噛み合い部材が噛み合い姿勢となることで、被噛み合い部材に噛み合ってロック状態を成立させることが可能である。このため、駆動手段が発生する駆動力が小さくてもロック状態が成立する。
これに対し、路面の勾配が大きい場合には駆動輪の回転加速度も大きいため、噛み合い部材と被噛み合い部材との相対位置が互いに噛み合える位置となるまでに、被噛み合い部材の回転速度が前記ラチェット速度に達してしまい、前記ラチェッティング現象が発生する可能性がある。このため、この場合には、駆動手段が発生する駆動力を大きく設定しておき、被噛み合い部材に対する噛み合い部材の押し付け力を高く得て、ラチェッティング現象の発生を回避し、噛み合い部材と被噛み合い部材とが迅速に噛み合えるようにする。これにより、路面の勾配に関わりなく、パーキング要求に応じて安定的にパーキング機構をロック状態にでき、その動作の信頼性を高めることが可能になる。
また、上述した如く、路面の勾配が小さい場合には駆動手段が発生する駆動力は小さく設定される。つまり、本解決手段は、駆動手段が発生する駆動力を常に大きく設定するものではない。このため、パーキング機構を構成する各部材に高い耐久性が要求されることはなく、コストの低廉化やパーキング機構の重量軽減を図ることができる。また、例えば、駆動手段を電動モータにより構成した場合には、路面の勾配が小さい場合の消費電力を少なく抑えることができ、パーキング機構による電力の浪費もなくなる。
前記駆動手段が発生する駆動力を大きくする場合として、より具体的には以下のものが挙げられる。つまり、前記パーキング要求時における噛み合い部材に対する被噛み合い部材の回転位置を検知する回転位置検知手段を設ける。そして、車両が停車する路面の勾配が大きく、且つ前記回転位置検知手段によって検知された被噛み合い部材の回転位置が所定の非噛み合い範囲にある場合に、前記駆動力制御手段が、前記駆動手段が発生する駆動力を大きくするようにしている。
これによれば、車両が停車する路面の勾配が大きい状況であっても、被噛み合い部材の回転位置が前記非噛み合い範囲にない場合には、この被噛み合い部材の回転位置が非噛み合い範囲にある場合に比べて前記駆動力を小さく設定することになる。このため、必要以上に駆動手段の駆動力を大きくすることがなくなり、上述したように、パーキング機構を構成する各部材に高い耐久性が要求されることがなく、コストの低廉化やパーキング機構の重量軽減を図ることができる。また、駆動手段を電動モータにより構成した場合の消費電力を少なく抑えることができる。
また、前記駆動手段が発生する駆動力を大きくする前記所定の非噛み合い範囲としては、以下のように設定される。つまり、路面の勾配に応じて回転軸と共に被噛み合い部材が回転する場合に、この被噛み合い部材が噛み合い部材と噛み合い可能な回転位置まで回転した時点での回転速度が、これら両者の噛み合いが不能となる速度に達する範囲となるように、路面の勾配に応じて設定される。
このように非噛み合い範囲を設定することで、上述した作用効果を顕著に得ることができる。
また、前記駆動手段を、電動モータを駆動源とするものとし、その駆動力を噛み合い部材に伝達することにより、この噛み合い部材を非噛み合い姿勢から噛み合い姿勢にする構成とする。そして、この電動モータの駆動時の目標回転角を変更することによって噛み合い部材に与える駆動力を変更する構成としている。
また、前記駆動手段が発生する前記駆動力を大きくした後、前記被噛み合い部材と噛み合い部材とが互いに噛み合うロック状態になった場合に、前記駆動手段が発生する駆動力を、路面の勾配が小さい場合の駆動力に相当する値まで小さくするようにしている。
これにより、ロック状態後において駆動手段が発生する駆動力を小さくすることにより、必要以上の駆動力の発生を解消することができる。これによっても、パーキング機構を構成する各部材に高い耐久性が要求されることがなく、コストの低廉化やパーキング機構の重量軽減を図ることができる。また、駆動手段を電動モータにより構成した場合の消費電力を少なく抑えることができる。
また、パーキング機構のより具体的な構成およびロック状態を得るための具体的な動作としては以下のものが挙げられる。先ず、前記被噛み合い部材を、周方向に亘って複数の歯が形成されたパーキングギアとする。また、前記噛み合い部材を、パーキングギアの歯間に噛み合い可能な爪を有するパーキングロックポールとする。また、前記パーキングロックポールをパーキングギアに対して遠近変位させるよう押し引きされるパーキングロッドと、パーキングロッドを押し引きするよう回動可能に支持されるディテントレバーと、ディテントレバーを適宜方向に所定角度回動させるための前記駆動手段としてのアクチュエータと、人的操作に応答して前記ロック状態を成立させるためのパーキング要求信号またはアンロック状態を成立させるためのパーキング解除要求信号を出力する操作部材とを備えさせる。そして、前記駆動力制御手段が、前記アクチュエータの駆動量を大きく設定することでディテントレバーの回動量を大きくし、パーキングロッドの移動量を大きくして、パーキングギアに対するパーキングロックポールの押し付け力を大きくする構成としている。
これにより、アクチュエータの駆動量に応じてディテントレバーの回動量を調整することで、前記パーキングギアに対するパーキングロックポールの押し付け力を調整できる。その結果、路面の勾配に関わりなく、パーキング要求に応じて安定的にパーキング機構をロック状態にでき、その動作の信頼性を高めることが可能になる。
本発明では、路面勾配が大きい状況でパーキング機構をロック状態にする際には、被噛み合い部材に対する噛み合い部材の押圧力を高く設定し、これら両者の噛み合いが行われやすくしている。このため、車両の坂路停車時におけるパーキング機構の動作の信頼性を高めることができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態を図1から図7に沿って説明する。本発明の特徴部分の説明に先立ち、図1を参照して、本実施形態に係る車両のパワートレーンの概要について説明する。
本発明の第1実施形態を図1から図7に沿って説明する。本発明の特徴部分の説明に先立ち、図1を参照して、本実施形態に係る車両のパワートレーンの概要について説明する。
−パワートレーンの概要−
図1には、エンジンとモータとを併用したハイブリッド方式のパワートレーンを示している。図中、1は駆動源としてのエンジン、2は自動変速機、3は駆動輪、4は駆動輪3に備えられたブレーキ、5はパーキング機構である。尚、ハイブリッドシステムの全体構成については、図13を用いて後述する。この後述するハイブリッドシステムに備えられる各種モータジェネレータや動力分割機構等は上記自動変速機2の内部に収容されている。
図1には、エンジンとモータとを併用したハイブリッド方式のパワートレーンを示している。図中、1は駆動源としてのエンジン、2は自動変速機、3は駆動輪、4は駆動輪3に備えられたブレーキ、5はパーキング機構である。尚、ハイブリッドシステムの全体構成については、図13を用いて後述する。この後述するハイブリッドシステムに備えられる各種モータジェネレータや動力分割機構等は上記自動変速機2の内部に収容されている。
これらの基本構成は一般的に公知の構成と同じとされるので、本発明と直接的に関与していない部分については簡単に説明する。
エンジン1は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等とされ、その運転動作はエンジンECU(Electronic Control Unit)6により制御される。
自動変速機2は、主として、トルクコンバータ21、変速機構部22、油圧回路23等を含んで構成されており、その変速動作はECT(Electronic Controlled Automatic Transmission)_ECU7により制御される。尚、ハイブリッド車両の場合、上記トルクコンバータ21は備えられないこともある。
油圧回路23には、図示していないが、例えばリバース(後進走行)レンジR、ニュートラルレンジN、ドライブ(前進走行)レンジDのそれぞれに対応するように、適宜の摩擦係合要素に対する油圧経路を確保するようになっている。
駆動輪3は、自動変速機2内に配置されるデファレンシャル24および車軸(符号省略)を介して前進駆動力や後進駆動力が伝達されて、回転駆動される。
ブレーキ4は、例えば油圧式のディスクブレーキとされており、運転者が車両室内に設置されるブレーキペダル41を踏み込み操作したときにディスクロータ(符号省略)に摩擦力を与えて駆動輪3に制動力を付与するものである。このブレーキ4は、ドラムブレーキであってもよい。一般的には、前記踏み込み力(踏力)をブースタ42およびマスターシリンダ43で増幅するようになっていて、軽い踏力で強い制動力を得るようになっている。
このブレーキ4は、一般的に公知のブレーキアシスト機能やアンチロックブレーキ機能等を実現するために、マスターシリンダ43からブレーキキャリパ(符号省略)に至る油圧経路の途中にブレーキ油圧制御部44を設け、このブレーキ油圧制御部44をブレーキECU8により適宜に制御するようになっている。
−パーキング機構の構成−
パーキング機構5は、図2から図4に示すような構成であり、必要に応じて、自動変速機2の出力軸(回転軸)25を回転不可能なロック状態や、回転可能なアンロック状態にするもので、いわゆるシフト・バイ・ワイヤ方式と呼ばれる構成になっている。
パーキング機構5は、図2から図4に示すような構成であり、必要に応じて、自動変速機2の出力軸(回転軸)25を回転不可能なロック状態や、回転可能なアンロック状態にするもので、いわゆるシフト・バイ・ワイヤ方式と呼ばれる構成になっている。
なお、自動変速機2の出力軸25としては、例えばカウンタードライブギア等とされるが、その他の動力伝達軸とすることも可能である。
このパーキング機構5は、具体的に、主として、パーキングスイッチ(操作部材)10と、パーキングギア(被噛み合い部材)51と、パーキングロックポール(噛み合い部材)52と、パーキングロッド53と、ディテントレバー54と、ラッチレバー55と、コントロールシャフト56と、アクチュエータ(駆動手段)57と、エンコーダ57aとを含んで構成されている。
パーキングギア51は、自動変速機2の出力軸25に一体回転可能に外装固定されている。
パーキングロックポール52は、パーキングギア51の近傍に一端側を支点として傾動自在となるように配置されている。このパーキングロックポール52の長手方向途中には、パーキングギア51の歯間に係入または離脱可能とされる爪52aが設けられている。尚、このパーキングロックポール52は、図示しないバネによってパーキングギア51から引き離される方向に常時付勢されている。
パーキングロッド53は、ディテントレバー54の傾動動作によって出力軸25と略平行に前方側または後方側に変位されるように配置されている。
このパーキングロッド53の前端は、図2に示すように、ディテントレバー54に連結されていて、パーキングロッド53の後端には、パーキングロックポール52を傾動させるためのテーパコーン58が設けられている。
なお、テーパコーン58は、パーキングロッド53に遊嵌されると共にコイルスプリング59からの付勢力を受けており、外周面(テーパ面)がパーキングロックポール52に押圧されるようになっている。このコイルスプリング59は、パーキングロッド53に外装されており、その一端がパーキングロッド53に係止固定されているスナップリング(符号省略)によって受け止められている。
ディテントレバー54は、その傾動中心に一体形成される円筒ボス部54aがコントロールシャフト56に一体回転可能に例えばスプライン嵌合により外嵌されている。ディテントレバー54の上端側には、二つの溝54b,54cが設けられている。
このディテントレバー54にはパーキングロッド53が連結されている。この連結の形態としては、例えばディテントレバー54の所定位置に設けられる貫通孔に、パーキングロッド53の屈曲端を挿入してから、この屈曲端に図示省略のスナップリングや係止ピン等でもって抜け止め固定するようになっている。
ラッチレバー55は、ディテントレバー54の傾動姿勢を保持するもので、一端が自動変速機ケース(図示省略)等に固定された板ばね等からなる本体を有し、この本体の他端に、ディテントレバー54に形成されている前記溝54b,54cに係合されるローラ55aが設けられた構成になっている。このラッチレバー55のローラ55aは、パーキング解除時に第1溝54bに係合され、パーキング時には、ディテントレバー54の回動に伴って第1溝54bから抜け出て第2溝54cに係合される(例えば図6に示す状態となる)。
コントロールシャフト56は、図示省略の自動変速機ケース等に回動自在に支持されており、アクチュエータ57によって正逆両方向に所定角度回転駆動されるようになっている。
アクチュエータ57は、図示していないが、電動モータと、減速機構(例えばサイクロギヤやウォームギアや遊星機構等)とを含んで構成されている。このアクチュエータ57は、操作部材としての例えばパーキングスイッチ10に対する人的操作に応答して、SBW_ECU9により電気的に制御されるようになっている。
前記アクチュエータ57の駆動制御としては、電動モータのロータの回転角を検出する前記エンコーダ57aの出力(検出回転角)が、所定の目標回転角(目標シフトカウント)に一致するまで、前記電動モータへの通電が行われる。このエンコーダ57aの構成としては、例えば、電動モータのロータの外周に設置される磁石あるいはロータの外周に交互に反対の極性で磁化される磁極と、磁気検出用のホールICとで構成され、ロータの回転量に応じた数のパルスを出力するデジタルエンコーダとして構成されている。尚、これらアクチュエータ57およびエンコーダ57aの構成としては、上述したものには限定されない。
パーキングスイッチ10は、例えば押圧操作されることでパーキング要求信号を出力するタイプのスイッチとされている。
上述した各ECU6,7,8,9は、いずれも一般的に公知のように、CPU、ROM、RAMおよびバックアップRAM等を含んで構成されるものとされ、それぞれ互いに必要な情報を双方向で送受可能になっている。ROMは、各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップ等が記憶されている。CPUは、ROMに記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて各種の演算処理を実行する。また、RAMは、CPUでの演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリであり、バックアップRAMは、例えばエンジン1の停止時にその保存すべきデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。
−パーキング機構5の基本動作−
次に、前記パーキング機構5の基本的な動作を説明する。
次に、前記パーキング機構5の基本的な動作を説明する。
まず、パーキング機構5のアンロック状態(図2から図4に示す状態)において、運転者がパーキングスイッチ10を押圧操作すると、パーキングスイッチ10はパーキング要求信号を出力し、このパーキング要求信号はSBW_ECU9に入力される。
このSBW_ECU9は、アクチュエータ57を制御することにより、コントロールシャフト56をロック方向、例えば正回転方向に所定角度回転させる。
これにより、コントロールシャフト56と一体的にディテントレバー54が前記と同方向に傾けられることになり、それに伴いパーキングロッド53が後端側へ押される。そして、テーパコーン58の大径側がパーキングロックポール52を押し上げて、爪52aがパーキングギア51の歯間に係入される。これにより、出力軸25が回転不可能なロック状態にされる。このとき、ディテントレバー54の第2溝54cにローラ55aが係合しているから、ディテントレバー54の姿勢が位置決め保持される(例えば図6に示す状態となる:パーキングロックポール52の噛み合い姿勢)。
一方、パーキング機構5のロック状態において、運転者がシフトレバーをR/N/Dレンジへレンジ切り替え操作すると、シフトレバーはパーキング解除要求信号を出力し、このパーキング解除要求信号はSBW_ECU9に入力される。
このSBW_ECU9は、アクチュエータ57を制御することにより、コントロールシャフト56をアンロック方向、例えば逆回転方向に所定角度回転させる。
これにより、コントロールシャフト56と一体的にディテントレバー54が前記と同方向に傾けられることになり、それに伴いパーキングロッド53およびテーパコーン58が前端側へ引かれて、テーパコーン58によるパーキングロックポール52の押し上げ力が解除されるので、パーキングロックポール52が下がって、爪52aがパーキングギア51の歯間から抜け出る。なお、パーキングロックポール52は図示省略のばねによってパーキングギア51から引き離される方向に常時付勢されている。これにより、出力軸25が回転可能なアンロック状態にされる。このとき、ディテントレバー54の第1溝54bにラッチレバー55のローラ55aが係合しているから、ディテントレバー54の姿勢が位置決め保持される(図3に示す状態:パーキングロックポール52の噛み合い解除姿勢)。
−アクチュエータ57の駆動制御−
次に、本実施形態の特徴とする動作として、前記パーキング機構5をロック状態にする際におけるアクチュエータ57の駆動制御について説明する。
次に、本実施形態の特徴とする動作として、前記パーキング機構5をロック状態にする際におけるアクチュエータ57の駆動制御について説明する。
このアクチュエータ57の駆動制御では、パーキング機構5をロック状態にするにあたって、車両が停車している路面が傾斜している場合には、パーキングギア51に対するパーキングロックポール52の押し付け力を高めるようにアクチュエータ57を駆動制御するようにしている(本発明でいう駆動力制御手段により、駆動手段が発生する駆動力を大きくする動作)。
以下、このアクチュエータ57の駆動制御について図5のフローチャートに沿って説明する。この図5に示すフローチャートは、SBW_ECU9による動作を主体に記載しており、一定周期毎にエントリーされる。
先ず、ステップST1において、車両の停車条件が成立したか否かを判定する。ここでの停車条件とは、ブレーキ4が作動されていること、車速がゼロまたはゼロ近傍(例えば0km/h〜3km/h)であること等が挙げられ、これらすべてを満足したときに、停車条件が成立したと判定する。
なお、この停車条件の一つであるブレーキ4の作動判定は、例えばブレーキECU8との間で双方向通信して、ブレーキ作動フラグが「1」であるか「0」であるかを調べることによって行うことができる。例えばブレーキECU8は、マスターシリンダ43に付設される圧力センサ(図示省略)の出力値が所定値以上である場合にブレーキ4が作動されているものとして前記ブレーキ作動フラグを「1」とする一方で、マスターシリンダ43の圧力センサ(図示省略)の出力値が所定値未満である場合にブレーキ4が作動されていないものとして、前記ブレーキ作動フラグを「0」とする。
また、前記停車条件の一つである車速検出は、例えばECT_ECU7との間で双方向通信して、その一時記憶領域に保存されてある最新の車速情報を読み出すことによって行うことができる。例えばECT_ECU7は、例えば車輪速センサ11からの出力に基づいて車速を算出し、その算出結果を一時記憶領域に最新の車速として保存するようになっている。
ここで、停車条件を満足していない場合には、前記ステップS1でNO判定され、本ルーチンを一旦終了する。
一方、停車条件を満足している場合には、前記ステップS1でYES判定され、ステップST2に移る。このステップST2では、パーキング要求(パーキング指令)を受けたか否かを判定する。この判定は、例えばパーキングスイッチ10が運転者により操作されることによって、パーキングスイッチ10から出力されるパーキング要求信号(パーキング機構5をロック状態とするための指令信号)が入力されたか否かを調べることによって行うことができる。
ここで、パーキングスイッチ10から出力されるパーキング要求信号が入力された場合にはステップST2でYES判定して、ステップST3に移行するが、入力されない場合にはステップST2でNO判定して、本ルーチンを一旦終了する。
パーキング要求信号が入力されたことでステップST3に移行すると、車両が停車しようとしている路面あるいは停車した路面が坂路であるか否かを判定する。この判定は、車両に設置される勾配センサ12からの出力に基づいて行うことができる。
なお、勾配センサ12は、車両の姿勢を検出する姿勢検出手段であるが、例えば車両が水平姿勢の場合には路面が平坦路であることを意味しており、また、車両が前上がり姿勢の場合には路面が登坂路であることを意味しており、さらに、車両が前下がり姿勢の場合には路面が降坂路であることを意味している。
前記路面が坂路ではなく、つまり平坦路であって、ステップST3でNO判定された場合には、ステップST4に移る。一方、前記路面が坂路であって、ステップST3でYES判定された場合には、ステップST5に移る。
前記ステップST4では、パーキングギア51に対するパーキングロックポール52の押し付け力は比較的低くても、パーキングロックポール52の爪52aをパーキングギア51の歯間に係入できると判断し、パーキングギア51に対するパーキングロックポール52の押し付け力を通常の押し付け力に設定する通常制御を実行する。この通常制御では、アクチュエータ57の目標回転角度を小さく設定する。具体的には、図6に示すように、第2溝54cの最深部にラッチレバー55のローラ55aが位置する程度の目標回転角度に設定され(例えば目標回転角度(ラッチレバー55のローラ55aが第1溝54b内に位置している状態からの回転角度)が20°に設定され)、前記エンコーダ57aの出力が、この比較的小さく設定された目標回転角度に対応する出力となるまでアクチュエータ57を回転駆動させる。
このような通常制御にあっては、アクチュエータ57の目標回転角度が比較的小さく設定され、ディテントレバー54の傾動量も小さくなるため、パーキングロッド53の移動量も小さくなり、このテーパコーン58がパーキングロックポール52を押し上げる駆動力も比較的小さくなる。
上述した如く、この通常制御は、路面が平坦路である場合に行われるため、パーキング要求が成されてからパーキング機構5のロック状態が成立するまでにタイムラグがあっても、出力軸25の回転に伴ってパーキングギア51の回転速度が前記ラチェット速度(パーキングロックポール52がパーキングギア51から弾かれるといった前記ラチェッティング現象が発生するパーキングギア51の回転速度)に達してしまうことはない。このため、前記駆動力が比較的小さくても、パーキングロックポール52の爪52aはパーキングギア51の歯間に良好に係入され、これにより、出力軸25が回転不可能なロック状態にされることになる。なお、この通常制御では、例えば特開2005−69407号公報に示すように、変速機構部22をまずニュートラルレンジNにしてから、実行するようにすることが好ましい。
一方、前記路面が坂路であった場合には、前記ステップST3でYES判定されたことでステップST5に移行する。このステップST5では、パーキングギア51に対するパーキングロックポール52の押し付け力が低い場合には前記ラチェッティング現象が発生する可能性があると判断し、パーキングギア51に対するパーキングロックポール52の押し付け力を増大させる(前記通常制御での押し付け力よりも増大させる)押し付け力増大制御を実行する。
この押し付け力増大制御では、アクチュエータ57の目標回転角度を大きく設定する。具体的には、図7に示すように、第2溝54cの最深部にラッチレバー55のローラ55aが位置する前記目標回転角度(前記通常制御において設定されていた目標回転角度)よりも大きな目標回転角度に設定され(例えば回転角度が30°に設定され)、前記エンコーダ57aの出力が、この比較的大きく設定された目標回転角度に対応する出力となるまでアクチュエータ57を回転駆動させる。これにより、ラッチレバー55のローラ55aとディテントレバー54との相対位置としては、このラッチレバー55のローラ55aがディテントレバー54の第2溝54cの最深部よりも更に反テーパコーン側(図7における左側)に位置することになる。つまり、ラッチレバー55のローラ55aがディテントレバー54の第2溝54cの傾斜面上に位置するように相対位置を変位させ、その結果、ディテントレバー54の回転角度が大きくなる。この場合、ラッチレバー55からは、ディテントレバー54に対して前記回転角度を小さくするような付勢力(ラッチレバー55のローラ55aを第2溝54cの最深部に戻すような付勢力)が作用することになるので、この付勢力に打ち勝つように、アクチュエータ57のトルクが上昇されることになる。
このような押し付け力増大制御にあっては、アクチュエータ57の目標回転角度が比較的大きく設定され、ディテントレバー54の傾動量も大きくなるため、パーキングロッド53の移動量も大きくなり、コイルスプリング59の付勢力も大きくなることにより、テーパコーン58がパーキングロックポール52を押し上げる駆動力も比較的大きくなる。上述した如く、この押し付け力増大制御は、路面が坂路である場合に行われるため、パーキング要求が成されてからパーキング機構5のロック状態が成立するまでのタイムラグの間に、出力軸25の回転に伴ってパーキングギア51の回転速度が前記ラチェット速度に達してしまうような状況となっても、大きな押し付け力を得ることで、パーキングギア51の回転速度の上昇が抑えられる(パーキングロックポール52の爪52aがパーキングギア51の歯の外周面に押し付けられることで回転速度の上昇が抑えられる)。その結果、パーキングロックポール52の爪52aはパーキングギア51の歯間に良好に係入され、これにより、出力軸25が回転不可能なロック状態にされることになる。なお、この押し付け力増大制御においても、例えば特開2005−69407号公報に示すように、変速機構部22をまずニュートラルレンジNにしてから、実行するようにすることが好ましい。
前記ステップST5で押し付け力増大制御が開始された後、ステップST6では、この押し付け力増大制御が開始されてから所定時間(例えば1.0sec)が経過したか否かを判定する。この所定時間とは、パーキング機構5をロック状態とするためにアクチュエータ57の駆動を開始してから、パーキングロックポール52の爪52aがパーキングギア51の歯間に係入するまでの時間、つまりロック状態となるまでの時間に相当するものとして設定され、上述した値に限定されるものではない。
未だ、この所定時間が経過していない場合にはステップST6でNO判定され、ステップST5に戻って押し付け力増大制御を継続する。
一方、前記所定時間が経過し、ステップST6でYES判定された場合には、ステップST7に移り、パーキングロックポール52の爪52aがパーキングギア51の歯間に係入したか否かを判定するためのパーキング処理完了判定動作を実行する。
このパーキング処理完了判定動作は、車速が略「0」の状態が所定時間(例えば3sec)継続した場合に、パーキングロックポール52の爪52aがパーキングギア51の歯間に係入してパーキング処理が完了したと判定するようになっている。この車速の判定は、前記車輪速センサ11からの出力に基づいて行われる。また、パーキングギア51の歯の位置を検出可能なセンサをパーキングギア51に近接して配設しておくことで、このパーキングギア51の回転位置を検出し、パーキングロックポール52の爪52aがパーキングギア51の歯間に係入した状態でのパーキングギア51の回転位置が検出された状態が所定時間(例えば3sec)継続した場合に、パーキング処理が完了したと判定するようにしてもよい。更には、前記ディテントレバー54の姿勢を検出可能なセンサを設けておき、このディテントレバー54がロック状態成立時の姿勢(図7に示す姿勢)になったことを、そのセンサが検出した場合にパーキング処理が完了したと判定するようにしてもよい。尚、このパーキング処理完了判定動作は、前記ステップST4において通常制御が実行された場合にも行われる。
そして、ステップST7では、パーキングロックポール52の爪52aがパーキングギア51の歯間に係入されるまで(パーキング処理が完了したと判定されるまで)パーキング処理が継続される。
パーキングロックポール52の爪52aがパーキングギア51の歯間に係入され、パーキング機構5がロック状態になった場合(ステップST7でYES判定された場合)には、本ルーチンを終了する。
この際、パーキング処理として前記押し付け力増大制御が行われていた場合には、この押し付け力を低下させ、前記通常制御における押し付け力(比較的低い押し付け力)と同等の押し付け力が得られるように押し付け力増大制御が解除されることになる。つまり、パーキング処理の完了に伴って、図7に示す状態(押し付け力増大制御の状態)から図6に示す状態(通常制御の状態)に移行されることになる。
以上説明したように、本実施形態では、パーキング機構5をロック状態にするにあたって、車両が停車している路面が傾斜している場合には、パーキングギア51に対するパーキングロックポール52の押し付け力を高めるようにアクチュエータ57を駆動制御するようにしている。このため、パーキングギア51の回転速度が前記ラチェット速度に達してしまうような状況下であっても、パーキング機構5のロック状態を良好に得ることができる。つまり、路面の勾配に関わりなく、パーキング要求に応じて安定的にパーキング機構5をロック状態にでき、その動作の信頼性を高めることが可能である。
また、路面が平坦路である場合にはアクチュエータ57の駆動力は小さく設定される。このため、パーキング機構5を構成する各部材に高い耐久性が要求されることはなく、コストの低廉化やパーキング機構5の重量軽減を図ることができる。また、路面が平坦路である場合の電動モータによる消費電力を少なく抑えることができ、パーキング機構5による電力の浪費もなくなる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態に係る車両のパワートレーンの構成は上述した第1実施形態のものと略同一であるので、ここでの説明は省略する。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態に係る車両のパワートレーンの構成は上述した第1実施形態のものと略同一であるので、ここでの説明は省略する。
本実施形態は、アクチュエータ57の駆動制御が前記第1実施形態のものと異なっているので、ここでは、このアクチュエータ57の駆動制御についてのみ説明する。
本実施形態におけるアクチュエータ57の駆動制御としては、パーキング機構5をロック状態にするにあたって、車両が停車している路面が平坦である場合には、パーキングギア51に対するパーキングロックポール52の押し付け力を低く設定する(前記通常押し付け力に設定する)ようにアクチュエータ57を駆動制御する。また、車両が停車している路面が傾斜している場合には、パーキングロックポール52に対するパーキングギア51の回転位置に応じて、前記通常押し付け力を得るためのアクチュエータ57の駆動制御と前記増大押し付け力を得るためのアクチュエータ57の駆動制御との何れかを選択するようにしている。
以下、このアクチュエータ57の駆動制御について図8のフローチャートに沿って説明する。この図8に示すフローチャートは、SBW_ECU9による動作を主体に記載しており、一定周期毎にエントリーされる。なお、このフローチャートでは、前記第1実施形態において図5で示したフローチャートにおける各ステップと同一の動作については同ステップ番号を付している。
先ず、ステップST1において、車両の停車条件が成立したか否かを判定する。この判定動作は上述した第1実施形態のものと同様にして行われる。
停車条件を満足していない場合には、ステップS1でNO判定され、本ルーチンを一旦終了する。
一方、停車条件を満足している場合には、前記ステップS1でYES判定され、ステップST2に移る。このステップST2では、パーキング要求(パーキング指令)を受けたか否かを判定する。この判定動作も上述した第1実施形態のものと同様にして行われる。
パーキングスイッチ10から出力されるパーキング要求信号が入力された場合にはステップST2でYES判定して、ステップST3に移行するが、入力されない場合にはステップST2でNO判定して、本ルーチンを一旦終了する。
パーキング要求信号が入力されたことでステップST3に移行すると、車両が停車しようとしている路面あるいは停車した路面が坂路であるか否かを判定する。この判定は、車両に設置される勾配センサ12からの出力に基づいて行うことができる。
前記路面が坂路ではなく、つまり平坦路であって、ステップST3でNO判定された場合には、ステップST4に移る。一方、前記路面が坂路であって、ステップST3でYES判定された場合には、ステップST10に移る。
ステップST4では、パーキングギア51に対するパーキングロックポール52の押し付け力は比較的低くても、パーキングロックポール52の爪52aをパーキングギア51の歯間に係入できると判断し通常制御を実行する。この通常制御では、アクチュエータ57の目標回転角度を小さく設定する。具体的には、図6に示すように、第2溝54cの最深部にラッチレバー55のローラ55aが位置する程度の目標回転角度に設定され(例えば回転角度が20°に設定され)、前記エンコーダ57aの出力が、この比較的小さく設定された目標回転角度に対応する出力となるまでアクチュエータ57を回転駆動させる。
このような通常制御にあっては、アクチュエータ57の目標回転角度が比較的小さく設定され、ディテントレバー54の傾動量も小さくなるため、パーキングロッド53の移動量も小さくなり、このテーパコーン58がパーキングロックポール52を押し上げる駆動力も比較的小さくなる。ここでの通常制御は、路面が平坦路であると判定された場合に行われるため、パーキング要求が成されてからパーキング機構5のロック状態が成立するまでにタイムラグがあっても、出力軸25の回転に伴ってパーキングギア51の回転速度が前記ラチェット速度に達してしまうことはないとして行われるものである。このため、前記駆動力が比較的小さくても、パーキングロックポール52の爪52aはパーキングギア51の歯間に良好に係入され、これにより、出力軸25が回転不可能なロック状態にされることになる。なお、この通常制御では、例えば特開2005−69407号公報に示すように、変速機構部22をまずニュートラルレンジNにしてから、実行するようにすることが好ましい。
前記路面が坂路であって、ステップST3でYES判定されたことでステップST10に移行すると、パーキングギア51の回転位置が、通常の押し付け力でパーキングロックポール52の噛み合いが可能な位置であるか否かを判定する(本発明でいう回転位置検知手段による噛み合い部材に対する被噛み合い部材の回転位置検知動作)。つまり、パーキングギア51の歯間の位置がパーキングロックポール52の爪52aに略対向する位置にあり、パーキングギア51の回転量が少ないかまたは殆ど回転しなくてもパーキングロックポール52の爪52aがパーキングギア51の歯間に係入できる位置となっているか否かを判定する。このパーキングギア51の回転位置判定動作の詳細については後述する。
このステップST10でYES判定された場合には、パーキングギア51に対するパーキングロックポール52の押し付け力は比較的低くても、パーキングロックポール52の爪52aをパーキングギア51の歯間に係入できると判断し、ステップST4の通常制御を実行する。この通常制御では、上述した如く、アクチュエータ57の目標回転角度を小さく設定する。つまり、第2溝54cの最深部にラッチレバー55のローラ55aが位置する程度の目標回転角度に設定され(例えば回転角度が20°に設定され)、前記エンコーダ57aの出力が、この比較的小さく設定された目標回転角度に対応する出力となるまでアクチュエータ57を回転駆動させる。
このような通常制御にあっては、アクチュエータ57の目標回転角度が比較的小さく設定され、ディテントレバー54の傾動量も小さくなるため、パーキングロッド53の移動量も小さくなり、このテーパコーン58がパーキングロックポール52を押し上げる駆動力も比較的小さくなる。上述した如く、この通常制御は、前記路面は坂路であるものの、パーキングギア51の回転位置としては、通常の押し付け力でパーキングロックポール52の噛み合いが可能な位置であると判定する(前記ラチェット速度に達するまでに噛み合いが完了すると判定した)ことによって行われる通常制御である。このため、前記パーキングロッド53の移動量が小さくても、パーキングロックポール52の爪52aはパーキングギア51の歯間に良好に係入され、これにより、出力軸25が回転不可能なロック状態にされることになる。なお、この通常制御では、例えば特開2005−69407号公報に示すように、変速機構部22をまずニュートラルレンジNにしてから、実行するようにすることが好ましい。
一方、パーキングギア51の回転位置が、通常の押し付け力でパーキングロックポール52の噛み合いが可能な位置ではなく(被噛み合い部材であるパーキングギア51の回転位置が所定の非噛み合い範囲にあり)、つまり、パーキングギア51の歯間の位置がパーキングロックポール52の爪52aに略対向する位置にはなく、パーキングギア51が比較的大きく回転しなければパーキングロックポール52の爪52aがパーキングギア51の歯間に係入できない位置となっている場合には、ステップST10でNO判定され、ステップST5に移る。
このステップST5では、パーキングギア51に対するパーキングロックポール52の押し付け力が低い場合に前記ラチェッティング現象が発生する可能性があると判断し、押し付け力増大制御を実行する。この押し付け力増大制御では、アクチュエータ57の目標回転角度を大きく設定する。具体的には、図7に示すように、第2溝54cの最深部にラッチレバー55のローラ55aが位置する前記目標回転角度(前記通常制御において設定されていた目標回転角度)よりも大きな目標回転角度に設定され(例えば回転角度が30°に設定され)、前記エンコーダ57aの出力が、この比較的大きく設定された目標回転角度に対応する出力となるまでアクチュエータ57を回転駆動させる。これにより、ラッチレバー55のローラ55aとディテントレバー54の相対位置としては、このラッチレバー55のローラ55aがディテントレバー54の第2溝54cの最深部よりも更に反テーパコーン側(図7における左側)に位置することになる。つまり、ラッチレバー55のローラ55aがディテントレバー54の第2溝54cの傾斜面上に位置するように相対位置を変位させ、その結果、ディテントレバー54の回転角度が大きくなる。
このような押し付け力増大制御にあっては、アクチュエータ57の目標回転角度が比較的大きく設定され、ディテントレバー54の傾動量も大きくなるため、パーキングロッド53の移動量も大きくなり、コイルスプリング59の付勢力も大きくなることにより、テーパコーン58がパーキングロックポール52を押し上げる駆動力も比較的大きくなる。上述した如く、この押し付け力増大制御は、パーキングギア51の回転位置が、通常の押し付け力でパーキングロックポール52の噛み合いが困難な位置であると判定された場合に実行されるため、大きな押し付け力を得ることで、パーキングギア51の回転速度の上昇が抑えられる。その結果、パーキングロックポール52の爪52aはパーキングギア51の歯間に良好に係入され、これにより、出力軸25が回転不可能なロック状態にされることになる。なお、この押し付け力増大制御においても、例えば特開2005−69407号公報に示すように、変速機構部22をまずニュートラルレンジNにしてから、実行するようにすることが好ましい。
前記ステップST5で押し付け力増大制御が開始された後、ステップST6では、この押し付け力増大制御が開始されてから所定時間(例えば1.0sec)が経過したか否かを判定する。この所定時間は上述した値に限定されるものではない。
未だ、この所定時間が経過していない場合にはステップST6でNO判定され、ステップST5に戻って押し付け力増大制御を継続する。
一方、前記所定時間が経過し、ステップST6でYES判定された場合には、ステップST7に移り、パーキングロックポール52の爪52aがパーキングギア51の歯間に係入したか否かを判定するためのパーキング処理完了判定動作を実行する。このパーキング処理完了判定動作は上述した第1実施形態のものと同様にして行われる。尚、このパーキング処理完了判定動作は、前記ステップST4において通常制御が実行された場合にも行われる。
そして、ステップST7では、パーキングロックポール52の爪52aがパーキングギア51の歯間に係入されるまで(パーキング処理が完了したと判定されるまで)パーキング処理が継続される。
パーキングロックポール52の爪52aがパーキングギア51の歯間に係入され、パーキング機構5がロック状態になった場合(ステップST7でYES判定された場合)には、本ルーチンを終了する。
−パーキングギア51の回転位置判定動作−
次に、前記パーキングギア51の回転位置判定動作(前記フローチャートにおけるステップST10での判定動作)について説明する。
次に、前記パーキングギア51の回転位置判定動作(前記フローチャートにおけるステップST10での判定動作)について説明する。
図9および図10は、それぞれパーキング要求信号が入力された時点におけるパーキングロックポール52に対するパーキングギア51の回転位置を示している。
今、路面が降坂路であって、運転者がフット式ブレーキの踏み込み作動を解除した場合、パーキング機構5のロック状態が成立するまでの間にパーキングギア51が図中の時計回り方向に回転する(坂路の勾配に応じた回転加速度をもって回転する)場合を考える。
パーキングギア51の回転位置が図9に示す位置にある状態でパーキング要求信号が入力された場合、パーキングギア51が僅かに回転するだけで(図中の角度αだけ回転すれば)パーキングギア51の歯間とパーキングロックポール52の爪52aとが完全に対向することになる。つまり、パーキングロックポール52の爪52aがパーキングギア51の歯間に係入可能な対向状態となる。このため、比較的勾配の大きな坂路であったとしてもパーキングギア51の回転速度がラチェット速度に達するまでにパーキングギア51の歯間とパーキングロックポール52の爪52aとが完全に対向し、両者の噛み合いが可能である。
従って、この図9に示すようなパーキングギア51の回転位置にあっては、パーキングギア51の回転位置が、通常の押し付け力でパーキングロックポール52の噛み合いが可能な位置であると判断され、つまり、前記フローチャートにおけるステップST10でYES判定され、パーキングギア51に対するパーキングロックポール52の押し付け力は比較的低くても、パーキングロックポール52の爪52aをパーキングギア51の歯間に係入できるとして通常制御を実行することになる(ステップST4)。
一方、パーキングギア51の回転位置が図10に示す位置にある状態でパーキング要求信号が入力された場合、パーキングギア51が比較的大きく回転しなければ(図中の角度βだけ回転しなければ)パーキングギア51の歯間とパーキングロックポール52の爪52aとが完全に対向することはできない。このため、比較的勾配の大きな坂路であった場合、パーキングギア51の歯間とパーキングロックポール52の爪52aとが完全に対向するまでの間にパーキングギア51の回転速度がラチェット速度に達してしまう可能性がある。つまり、前記ラチェッティング現象が発生する可能性がある。
このため、この図10に示すようなパーキングギア51の回転位置にあっては、パーキングギア51の回転位置が、通常の押し付け力でパーキングロックポール52の噛み合いが可能な位置ではないと判断され、つまり、前記フローチャートにおけるステップST10でNO判定され、パーキングギア51に対するパーキングロックポール52の押し付け力を高くしなければパーキングロックポール52の爪52aをパーキングギア51の歯間に係入できないとして押し付け力の増大制御を実行することになる(ステップST5)。
このようにして、パーキングギア51の歯間とパーキングロックポール52の爪52aとが完全に対向するまでの間にパーキングギア51の回転速度がラチェット速度に達する状況にあるか否かを判断することによって前記押し付け力の通常制御と増大制御との何れかが選択されることになる。
より具体的には、パーキングギア51の回転位置(パーキングギア51の歯間とパーキングロックポール52の爪52aとが完全に対向するまでの回転角度に相関のある位置)と、路面勾配とをパラメータとして、パーキングギア51の歯間とパーキングロックポール52の爪52aとが完全に対向するまでのパーキングギア51の回転速度を求める回転速度マップを前記ROMに予め記憶させておき、この回転速度マップから求められるパーキングギア51の回転速度がラチェット速度未満であった場合には前記押し付け力の通常制御を実行し、ラチェット速度以上であった場合には前記押し付け力の増大制御を実行する。
言い換えると、前記所定の非噛み合い範囲は、路面の勾配に応じて出力軸25と共にパーキングギア51が回転する場合に、このパーキングギア51がパーキングロックポール52と噛み合い可能な回転位置まで回転した時点での回転速度が、前記ラチェット速度に達する範囲となるように、路面の勾配に応じて設定されており、パーキングギア51が、この非噛み合い範囲にあるか否かによって通常制御と増大制御との一方が選択されることになる。
また、パーキングギア51の回転位置(パーキングギア51の歯間とパーキングロックポール52の爪52aとが完全に対向するまでの回転角度に相関のある位置)のみに基づいて前記押し付け力の通常制御と増大制御との何れかを選択するようにしてもよい。この場合、例えば、パーキングギア51の歯間とパーキングロックポール52の爪52aとが完全に対向するまでの回転角度として、パーキングギア51の各歯のピッチに対して1/2を超える回転角度であった場合には押し付け力の増大制御を実行すること等が挙げられる。
本実施形態においても、上述した第1実施形態の場合と同様に、パーキングギア51の回転速度が前記ラチェット速度に達してしまうような状況下であっても、パーキング機構5のロック状態を良好に得ることができる。つまり、路面の勾配に関わりなく、パーキング要求に応じて安定的にパーキング機構5をロック状態にでき、その動作の信頼性を高めることが可能である。
また、路面が平坦路である場合や、坂路であったとしてもパーキングギア51の回転速度が前記ラチェット速度に達してしまう前にロック状態が得られる場合にはアクチュエータ57の駆動力は小さく設定される。このため、パーキング機構5を構成する各部材に高い耐久性が要求されることはなく、コストの低廉化やパーキング機構5の重量軽減を図ることができる。また、電動モータによる消費電力を少なく抑えることができ、パーキング機構5による電力の浪費もなくなる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態に係る車両のパワートレーンの構成も上述した第1実施形態のものと略同一であるので、ここでの説明は省略する。本実施形態は、ディテントレバー54に形成されている第2溝54cの形状が上述した各実施形態のものと異なっている。従って、このでは、この第2溝54cの形状についてのみ説明する。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態に係る車両のパワートレーンの構成も上述した第1実施形態のものと略同一であるので、ここでの説明は省略する。本実施形態は、ディテントレバー54に形成されている第2溝54cの形状が上述した各実施形態のものと異なっている。従って、このでは、この第2溝54cの形状についてのみ説明する。
図11および図12は、本実施形態に係るパーキング機構5のディテントレバー54およびその周辺部を示しており、図11は、通常制御時(通常押し付け力に設定された場合)を示し、図12は、増大制御時(増大押し付け力に設定された場合)を示している。
これらの図に示すように、本実施形態に係るディテントレバー54の第2溝54cは、前記各実施形態のものに比べて、その最深部の範囲が拡大(ディテントレバー54の回転方向に沿って拡大)されている。つまり、ディテントレバー54の回転中心(前記コントロールシャフト56の回転中心に一致している)に対して略等距離にある領域が、所定角度範囲(図11における角度範囲Xを参照)に亘って形成されている。
前記各実施形態のものでは、上述した如く、増大制御時にはラッチレバー55からディテントレバー54に対して前記回転角度を小さくするような付勢力が作用するため、アクチュエータ57のトルクを上昇するものであった。
これに対し、本実施形態では、ラッチレバー55のローラ55aが最深部の範囲内(図11におけるXの範囲内)で通常制御と増大制御とが切り替え可能であるため、アクチュエータ57の駆動力に対する反力(ディテントレバー54に対して回転角度を小さくするような付勢力)が生じないことになり、アクチュエータ57の目標回転角度に対して高い精度でディテントレバー54の回転角度位置を制御できることになる。このため、パーキングギア51に対するパーキングロックポール52の押し付け力も高い精度で制御できることになり、前記ラチェッティング現象を発生させない範囲で必要最小限の前記押し付け力を得ることが可能となって、アクチュエータ57における電力の浪費を最小限に抑制できることになる。
(ハイブリッドシステムの説明)
次に、上記各実施形態におけるパワートレーンのシステムであるハイブリッドシステム(ハイブリッド車両)の全体構成について説明する。
次に、上記各実施形態におけるパワートレーンのシステムであるハイブリッドシステム(ハイブリッド車両)の全体構成について説明する。
このハイブリッド車両は、図13に示すように、主として、エンジン(例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等)101、モータジェネレータ102、モータジェネレータ103、動力分割機構104、インバータ105、HVバッテリ106、コンバータ107、補機バッテリ108、変速機109、制御装置200等を備えている。
モータジェネレータ102は、三相交流によってロータが回転することにより動力を発生する交流同期電動機である。モータジェネレータ102には、HVバッテリ106の直流電力をインバータ105にて変換した交流電力が供給されて回転する。なお、モータジェネレータ102は減速時や制動時には回生発電する。
モータジェネレータ103は、前記したモータジェネレータ102と同様に交流同期電動機であって、エンジン101が発生する動力のうち、動力分割機構104を介して分配された動力によって駆動して交流電力を発電する。モータジェネレータ103で発電された交流電力は、インバータ105にて直流電力に変換された後にHVバッテリ106に充電される。モータジェネレータ103は、エンジン101の始動時にクランキングを行うスタータモータとしても機能する。
モータジェネレータ102およびモータジェネレータ103は、制御装置200によって駆動制御される。制御装置200は、モータジェネレータ102およびモータジェネレータ103を駆動制御するために必要な信号(例えば回転数、印加電流など)をモータジェネレータ102およびモータジェネレータ103から入力してインバータ105にスイッチング制御信号を出力する。
なお、変速機109に連結されるモータジェネレータ102は主として電動機として動作するため、単に「モータ」と呼ばれることがある。また、動力分割機構104に連結されるモータジェネレータ103は概ね発電機として動作することが多いため、単に「ジェネレータ」と呼ばれることがある。
動力分割機構104は、例えば遊星歯車機構とされており、エンジン1の動力をモータジェネレータ102の回転軸(駆動輪3に連結)とモータジェネレータ103の回転軸とに分割する。参考までに、動力分割機構104としての遊星歯車機構において、リングギアがモータジェネレータ102の回転軸に結合され、サンギアがモータジェネレータ103の回転軸に結合され、キャリアがエンジン101の出力軸に結合される。
HVバッテリ106は、例えばニッケル水素バッテリセルを所定数直列に接続した高電圧バッテリであって、前記したようにモータジェネレータ103の発電電力によって充電される。尚、このHVバッテリ106としては、リチウムイオンバッテリとしてもよい。
インバータ105は、HVバッテリ106の直流電流とモータジェネレータ102やモータジェネレータ103の3相交流電流との変換を行う電力交換装置である。インバータ105は制御装置200により制御される。
補機バッテリ108は、照明、オーディオ機器、エアコン用コンプレッサ、および、制御装置200などに電力を供給する。
コンバータ107は、インバータ105の直流側に接続され、高電圧の直流を低電圧(例えば12V)に降圧して補機バッテリ108の充電を行うDC−DCコンバータである。
変速機109は、動力分割機構104の駆動輪3側への動力をデファレンシャル110を介して駆動輪3へ伝達する機構であり、内部に潤滑用のオートマティックトランスミッションフルード(ATF)が循環されるように構成されている。
制御装置200は、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)とされ、一般的に公知のようにCPU、ROM、RAMおよびバックアップRAM等を含んで構成される。ROMは、各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップ等が記憶されている。CPUは、ROMに記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて各種の演算処理を実行する。また、RAMは、CPUでの演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリであり、バックアップRAMは、例えばエンジン101の停止時にその保存すべきデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。
この制御装置200には、各種のセンサやスイッチの出力信号に基づいて、各種の制御を実行する。この制御装置200に接続される前記センサやスイッチとしては、本発明に直接的に関与するものだけを図示して説明すると、少なくとも前記第1実施形態で説明したパーキングスイッチ10、車輪速センサ11、勾配センサ12がある。
そして、制御装置200は、前記した各種センサの出力信号に基づいて、運転者の要求トルク、必要とされるエンジン出力、モータトルクなどを算出し、エンジン101およびモータジェネレータ102のいずれか一方もしくは双方を動力源として駆動輪3を駆動するというハイブリッド制御を行う。例えば、発進時や低速走行時のようにエンジン効率が低くなる領域では、エンジン101を停止させてモータジェネレータ102のみの動力で駆動輪3を駆動する。また、通常走行時には、エンジン101を作動させてそのエンジン101の動力で駆動輪3を駆動するという制御を行う。さらに、全開加速等の高負荷時には、エンジン101の動力に加えて、HVバッテリ106からモータジェネレータ102に電力を供給してモータジェネレータ102による動力を補助動力として追加するという制御を行う。
なお、パーキング機構5のパーキングギア51は、モータジェネレータ102と変速機109との間の動力伝達軸に取り付けられる。
ところで、前記制御装置200は、単一の統括的な制御装置として説明しているが、前記実施形態で説明したエンジンECU、ECT_ECU、ブレーキECUならびにSBW_ECUのように、複数の制御装置に分けることも可能である。
以上のような構成とされたハイブリッド車両に対して、第1実施形態のように、パーキング機構5をロック状態にするにあたって、車両が停車している路面が傾斜している場合には、パーキングギア51に対するパーキングロックポール52の押し付け力を高めるようにアクチュエータ57を駆動制御する。
また、第2実施形態のように、パーキング機構5をロック状態にするにあたって、車両が停車している路面が平坦である場合には、パーキングギア51に対するパーキングロックポール52の押し付け力を低く設定するようにアクチュエータ57を駆動制御する。一方、車両が停車している路面が傾斜している場合には、パーキングロックポール52に対するパーキングギア51の回転位置に応じて、前記通常押し付け力を得るためのアクチュエータ57の駆動制御と前記増大押し付け力を得るためのアクチュエータ57の駆動制御との何れかを選択する。
また、上述したようなハイブリッド車両にあっては、モータジェネレータ102の回転位置を検出するためのセンサであるレゾルバが備えられている。このため、上述したパーキングギア51の回転位置判定動作にあっては、このレゾルバによって検出されるモータジェネレータ102の回転位置に基づいてパーキングギア51の回転位置を判定し、パーキングギア51の歯間とパーキングロックポール52の爪52aとが完全に対向するまでの間にパーキングギア51の回転速度がラチェット速度に達するか否かを判定して、前記押し付け力の通常制御と増大制御との何れかを選択するようにすることも可能である。
−他の実施形態−
前記各実施形態ではハイブリッド車両を例に挙げているが、モータのみを駆動源とする車両に対しても本発明は適用可能である。また、フロントエンジン・フロントドライブ(FF)方式、フロントエンジン・リアドライブ(FR)方式、その他の方式の車両についても本発明を適用することが可能である。
前記各実施形態ではハイブリッド車両を例に挙げているが、モータのみを駆動源とする車両に対しても本発明は適用可能である。また、フロントエンジン・フロントドライブ(FF)方式、フロントエンジン・リアドライブ(FR)方式、その他の方式の車両についても本発明を適用することが可能である。
また、前記各実施形態では、パーキング機構5がシフトレンジ切替機構(マニュアルバルブ等を含む機構)から独立したものとして構成された場合について説明したが、例えば特開2009−73416号公報に開示されているようなシフトレンジ切替機構に一体的に組み込まれたパーキング機構に対しても本発明は適用可能である。
また、前記各実施形態では、通常制御と増大制御との2段階で前記押し付け力を切り替えるようにしていたが、路面の勾配やパーキングギア51の回転位置などに応じて前記押し付け力をリニアに変更するようにした場合も本発明の技術的思想の範疇である。
本発明は、シフト・バイ・ワイヤ方式のパーキング機構を搭載した車両において、坂路でのパーキング機構の作動の信頼性を高めるための制御に適用可能である。
2 自動変速機
25 出力軸(回転軸)
3 駆動輪
5 パーキング機構
51 パーキングギア(被噛み合い部材)
52 パーキングロックポール(噛み合い部材)
52a 爪
57 アクチュエータ(駆動手段)
10 パーキングスイッチ(操作部材)
25 出力軸(回転軸)
3 駆動輪
5 パーキング機構
51 パーキングギア(被噛み合い部材)
52 パーキングロックポール(噛み合い部材)
52a 爪
57 アクチュエータ(駆動手段)
10 パーキングスイッチ(操作部材)
Claims (6)
- 回転軸に回転一体とされた被噛み合い部材と、この被噛み合い部材と噛み合う噛み合い姿勢において前記回転軸を回転不可能なロック状態にする一方、被噛み合い部材との噛み合いが解除される噛み合い解除姿勢において前記回転軸を回転可能なアンロック状態にする噛み合い部材と、パーキング要求時に噛み合い部材を噛み合い解除姿勢から噛み合い姿勢にするための駆動力を発生する駆動手段とを備えたシフト・バイ・ワイヤ方式のパーキング機構を有する車両用制御装置において、
車両が停車する路面の勾配が大きい場合には、勾配が小さい場合に比較して、前記駆動手段が発生する前記駆動力を大きくする駆動力制御手段を備えていることを特徴とする車両用制御装置。 - 請求項1記載の車両用制御装置において、
前記パーキング要求時における噛み合い部材に対する被噛み合い部材の回転位置を検知する回転位置検知手段が設けられ、
前記駆動力制御手段は、車両が停車する路面の勾配が大きく、且つ前記回転位置検知手段によって検知された被噛み合い部材の回転位置が所定の非噛み合い範囲にある場合に、前記駆動手段が発生する駆動力を大きくするよう構成されていることを特徴とする車両用制御装置。 - 請求項2記載の車両用制御装置において、
前記駆動手段が発生する駆動力を大きくする前記所定の非噛み合い範囲は、路面の勾配に応じて回転軸と共に被噛み合い部材が回転する場合に、この被噛み合い部材が噛み合い部材と噛み合い可能な回転位置まで回転した時点での回転速度が、これら両者の噛み合いが不能となる速度に達する範囲となるように、路面の勾配に応じて設定されることを特徴とする車両用制御装置。 - 請求項1、2または3記載の車両用制御装置において、
前記駆動手段は電動モータを駆動源とするものであり、その駆動力を噛み合い部材に伝達することにより、この噛み合い部材を非噛み合い姿勢から噛み合い姿勢にする構成となっており、この電動モータの駆動時の目標回転角を変更することによって噛み合い部材に与える駆動力が変更される構成となっていることを特徴とする車両用制御装置。 - 請求項1〜4のうち何れか一つに記載の車両用制御装置において、
前記駆動力制御手段は、前記駆動手段が発生する前記駆動力を大きくした後、前記被噛み合い部材と噛み合い部材とが互いに噛み合うロック状態になった場合に、前記駆動手段が発生する駆動力を、路面の勾配が小さい場合の駆動力に相当する値まで小さくするよう構成されていることを特徴とする車両用制御装置。 - 請求項1〜5のうち何れか一つに記載の車両用制御装置において、
前記被噛み合い部材は周方向に亘って複数の歯が形成されたパーキングギアであり、前記噛み合い部材は、パーキングギアの歯間に噛み合い可能な爪を有するパーキングロックポールであって、
前記パーキングロックポールをパーキングギアに対して遠近変位させるよう押し引きされるパーキングロッドと、
パーキングロッドを押し引きするよう回動可能に支持されるディテントレバーと、
ディテントレバーを適宜方向に所定角度回動させるための前記駆動手段としてのアクチュエータと、
人的操作に応答して前記ロック状態を成立させるためのパーキング要求信号またはアンロック状態を成立させるためのパーキング解除要求信号を出力する操作部材とが備えられ、
前記駆動力制御手段は、前記アクチュエータの駆動量を大きく設定することでディテントレバーの回動量を大きくし、パーキングロッドの移動量を大きくして、パーキングギアに対するパーキングロックポールの押し付け力を大きくするよう構成されていることを特徴とする車両用制御装置。
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2009
- 2009-06-30 JP JP2009155338A patent/JP2011011579A/ja active Pending
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