JP2011010401A - モータ制御装置および電動パワーステアリング装置 - Google Patents

モータ制御装置および電動パワーステアリング装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ロータの回転速度が急激に変化したり回転方向が反転しない場合でも、ロータ角度を正確に推定し制御を行うモータ制御装置を提供する。
【解決手段】ロータ角度位置検出部162により離散的に検出される検出ロータ角度θrが得られない間、ロータ角度推定部164は、経過時間ΔTLが前回の検出時間間隔ΔTn 以下の場合は通常推定演算(S72)を行い、以上の場合は戻し推定演算(S62)を行う。ここで直前の検出ロータ角度θrと電気角推定値θreとの差が30度を超えると、操舵トルク符号を取得して(S58)ロータが反転したか否かを推定する(S60)。ここで反転しないと推定される場合は逆戻し処理として機能する通常推定演算(S72)を行うことにより、戻し処理を行う場合にロータの回転方向が反転しない場合でも電気角推定値θreを正確に算出することができる。
【選択図】図7

Description

本発明は、ブラシレスモータの制御を行うモータ制御装置、および当該モータ制御装置を備えた電動パワーステアリング装置に関する。
従来から、運転者がハンドル(ステアリングホイール)に加える操舵トルクに応じて電動モータを駆動することにより車両のステアリング機構に操舵補助力を与える電動パワーステアリング装置が用いられている。電動パワーステアリング装置の電動モータには従来からブラシモータが広く使用されているが、信頼性および耐久性の向上や慣性の低減などの観点から、近年ではブラシレスモータも使用されている。
このブラシレスモータが使用されている電動パワーステアリング装置では、座標変換によるベクトル制御などでブラシレスモータを駆動する方法が一般的である。この方法では、ロータの現時点での回転位置であるロータ角度を検出するため、ホール素子を含む位置検出センサ(ホールセンサ)が用いられることが多い。このホールセンサは、永久磁石からなるロータの周囲に、例えば120度または60度の間隔で3個が配置され、これら3個のホールセンサから出力された検出信号に基づき電気角60度毎のロータ角度の変化が検出される。
ここで、電気角60度毎の検出情報のみでは、現時点での正確なロータ角度を得ることができないので、当該検出信号に基づき、現時点でのロータ角度を推定する計算が行われるのが一般的である。例えば、検出信号における直前の検出時点からその前の検出時点までの時間間隔と、直前の検出時点からの経過時間とに基づき、現時点でのロータ角度が推定される。
この推定されたロータ角度が不正確であると、脱調やモータ効率の悪化を引き起こすので、推定のための計算には従来よりさまざま工夫がなされている。例えば特許文献1には、ロータ位相推定値が次回の検出位相値に相当する値に達すると、ロータ位相推定値を今回の検出位相値に相当する値の方向へ戻す処理(以下ではこの処理を「戻し処理」という)を行うモータ制御装置の構成が開示されている。
特開2004−23973号公報
ここで、ロータの回転速度が急激に変化することが多い電動パワーステアリング装置において、ホールセンサからの検出信号における直前の検出時点からその前の検出時点までの時間間隔に基づいて単純に現時点でのロータ角度を推定する計算を行うと、現実のロータ角度と大きなずれを生じる可能性がある。
また、上記戻し処理は、現実のロータが前回の検出時点までの角速度と同じ角速度で回転し、かつ次回の検出位相角が得られると予想される時点の直前でその回転方向が反転し同じ角速度で回転する場合を想定して、上記時点でロータ位相推定値を戻すものである。そのため、現実のロータが上記場合と同様に回転すれば比較的正確なロータ位相推定値を算出することができる。しかし、現実のロータ角度がゆっくりと変化して戻らない場合(すなわちロータの回転方向が反転しない場合)など、上記のように現実のロータが回転しない場合には正確なロータ位相推定値を算出することができない。
そこで本発明では、ロータの回転速度が急激に変化する場合や、戻し処理が行われるときに回転方向が反転しない場合でも、ロータ角度を正確に推定し制御を行うモータ制御装置、およびこれを備えた電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、ブラシレスモータを駆動するモータ制御装置であって、
前記ブラシレスモータのロータの電気角を所定の検出電気角毎に検出可能なように周方向に所定の間隔を空けて配置される複数の検出素子を有し、当該複数の検出素子からの検出信号に基づき前記ロータの電気角を前記所定の検出電気角毎に離散的に検出するロータ角度検出手段と、
前記ロータ角度検出手段による前記ロータ電気角の検出時点の時間間隔に基づき、前記ロータの現時点における電気角推定値を算出するロータ角度推定手段と、
前記ロータの回転方向が反転したか否かを推定する反転推定手段と、
前記ブラシレスモータに供給すべき電流の量を示す指令電流値と、前記ロータ角度推定手段により算出される前記電気角推定値とに基づき、前記ブラシレスモータを制御する指令電圧のレベルを求める制御手段と、
前記制御手段で求められるレベルの電圧に応じて前記ブラシレスモータを駆動するモータ駆動手段と
を備え、
前記ロータ角度推定手段は、前記ロータ角度検出手段による前記ロータ電気角が検出されることなく次に検出されるべき時点が到来した場合、前記ロータ角度検出手段により直前に検出された前記ロータ電気角へ向かって値が戻るように前記電気角推定値を算出する戻し処理を行い、前記戻し処理中に前記反転推定手段により前記ロータが反転していないと推定される場合、前記ロータ角度検出手段により次に検出されるべきロータ電気角へ向かって値が再び戻るように前記電気角推定値を算出する逆戻し処理を行うことを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明において、
前記ロータ角度推定手段は、前記ロータ角度検出手段による前記ロータ電気角の直前の検出時点から、当該直前の検出時点の前回の検出時点までの時間間隔ΔTn と、前記直前の検出時点から現時点までの経過時間ΔTLとが等しくなるとき、前記次に検出されるべき時点が到来したと判定することを特徴とする。
第3の発明は、ブラシレスモータを駆動するモータ制御装置であって、
前記ブラシレスモータのロータの電気角を所定の検出電気角毎に検出可能なように周方向に所定の間隔を空けて配置される複数の検出素子を有し、当該複数の検出素子からの検出信号に応じて前記ロータの電気角を前記所定の検出電気角毎に離散的に検出するロータ角度検出手段と、
前記ロータ角度検出手段による前記ロータ電気角の直前の検出時点である第1の時点を終点とし当該第1の時点の前回の検出時点である第2の時点を始点とする時間間隔ΔTn に基づき算出される前記ロータの角速度ωに応じて、前記ロータの現時点における電気角推定値を算出するロータ角度推定手段と、
前記ブラシレスモータに供給すべき電流の量を示す指令電流値と、前記ロータ角度推定手段により算出される前記電気角推定値とに基づき、前記ブラシレスモータを制御する指令電圧のレベルを求める制御手段と、
前記制御手段で求められるレベルの電圧に応じて前記ブラシレスモータを駆動するモータ駆動手段と
を備え、
前記ロータ角度推定手段は、前記第2の時点から前記第1の時点までの間に前記ロータの回転方向が反転した場合であって、かつ前記第2の時点を終点とし当該第2の時点の前回の検出時点である第3の時点を始点とする時間間隔ΔTn-1 に対して1以上の所定の係数αを乗算して得られる時間間隔α・ΔTn-1 よりも前記時間間隔ΔTn が大きい場合、前記ロータの角速度ωに対して1より大きい所定の角速度増大係数を乗算しまたは前記時間間隔ΔTn に対して1より小さい所定の期間短縮係数を乗算することにより前記ロータの角速度ωを算出し、前記電気角推定値を算出することを特徴とする。
第4の発明は、第1から第3までのいずれか1つの発明に記載のモータ制御装置を備えた、電動パワーステアリング装置である。
上記第1の発明によれば、戻し処理中に反転推定手段によりロータが反転していないと推定される場合、ロータ角度検出手段により次に検出されるべきロータ電気角へ向かって値が再び戻るように電気角推定値を算出する逆戻し処理が行われるので、逆戻し処理開始時点以降において実際のロータの電気角とロータ角度推定手段により算出される電気角推定値との差が広がることがない。よって、戻し処理が行われるときに回転方向が反転しない場合でも、ロータ角度を正確に推定し制御を行うことができる。
上記第2の発明によれば、時間間隔ΔTn と、経過時間ΔTLとが等しくなるとき、次に検出されるべき時点が到来したと判定するので、ロータ角度推定手段により算出される電気角推定値が次に検出されるべきロータ角度に達したか否かを判定することなく、適切な時点で戻し処理を行うか否かを判定することができる。
上記第3の発明によれば、ロータ角度推定手段により、ロータの回転方向が反転した場合であって、かつ時間間隔α・ΔTn-1 よりも時間間隔ΔTn が大きい場合、ロータの角速度ωに対して角速度増大係数を乗算しまたは時間間隔ΔTn に対して期間短縮係数を乗算することによりロータの角速度ωを算出し、電気角推定値を算出する。よって、途中でロータの回転方向が反転したことから長くなった期間または小さくなった角速度に対してその期間を短くするようまたはその角速度を大きくするよう補正することができるので、補正された期間または角速度に基づき正確な電気角推定値を算出することができる。
上記第4の発明によれば、上記第1から第3までの発明における効果を奏するモータ制御装置を備えた電動パワーステアリング装置を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成をそれに関連する車両構成と共に示す概略図である。 上記実施形態に係る電動パワーステアリング装置を制御的観点から見た構成を示すブロック図である。 上記実施形態におけるモータの軸方向に対する垂直断面図である。 図3に示すロータが60度時計回りに回転した時のモータの軸方向に対する垂直断面図である。 上記実施形態におけるロータ角度検出値に基づくロータ角度推定の手順を示すフローチャートである。 上記実施形態における実際のロータ角度と推定ロータ角度との時間的な変化の一例を示す図である。 上記実施形態におけるロータ角度推定処理の詳しい処理手順を示すフローチャートである。 上記実施形態における実際のロータ角度と推定ロータ角度との時間的な変化の別例を示す図である。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
<1.全体構成>
図1は、本発明の一実施形態(およびその他の各実施形態)に係る電動パワーステアリング装置の構成を、それに関連する車両の構成と共に示す概略図である。図1に示す電動パワーステアリング装置は、ブラシレスモータ1、減速機2、トルクセンサ3、車速センサ4、位置検出センサであるホールセンサ5、および、電子制御ユニット(Electronic Control Unit :以下、ECUという)10を備えたコラムアシスト型の電動パワーステアリング装置である。
図1に示すように、ステアリングシャフト102の一端にはハンドル(ステアリングホイール)101が固着されており、ステアリングシャフト102の他端はラックピニオン機構103を介してラック軸104に連結されている。ラック軸104の両端は、タイロッドおよびナックルアームからなる連結部材105を介して車輪106に連結されている。運転者がハンドル101を回転させると、ステアリングシャフト102は回転し、これに伴いラック軸104は往復運動を行う。ラック軸104の往復運動に伴い、車輪106の向きが変わる。
電動パワーステアリング装置は、運転者の負荷を軽減するために、以下に示す操舵補助を行う。トルクセンサ3は、ハンドル101の操作によってステアリングシャフト102に加えられる操舵トルクTを検出する。車速センサ4は、車速Sを検出する。
ホールセンサ5は、ホール素子を含むホールICからなり、ブラシレスモータ1のロータの回転位置Pを検出する。なお、後述するようにこのホールセンサは、連続的にロータの位置を検出可能ないわゆるリニア形式のホールセンサではなく、離散的にロータの位置を検出するスイッチ形式(オンオフ形式)のホールセンサである。
ECU10は、車載バッテリ100から電力の供給を受け、操舵トルクT、車速Sおよび回転位置Pに基づきブラシレスモータ1を駆動する。ブラシレスモータ1は、ECU10によって駆動されると、操舵補助力を発生させる。減速機2は、ブラシレスモータ1とステアリングシャフト102との間に設けられる。ブラシレスモータ1で発生した操舵補助力は、減速機2を介して、ステアリングシャフト102を回転させるように作用する。
この結果、ステアリングシャフト102は、ハンドル101に加えられる操舵トルクと、ブラシレスモータ1で発生した操舵補助力の両方によって回転する。このように電動パワーステアリング装置は、ブラシレスモータ1で発生した操舵補助力を車両のステアリング機構に与えることにより操舵補助を行う。
このような本実施形態に係る電動パワーステアリング装置では、ブラシレスモータ1を駆動する制御装置(モータ制御装置)に特徴がある。そこで以下では、本実施形態に係る電動パワーステアリング装置に含まれるモータ制御装置について説明する。
<2.モータ制御装置の構成>
図2は、上記電動パワーステアリング装置における制御装置であるECU10の構成を示すブロック図である。このECU10は、マイクロコンピュータ(以下「マイコン」と略記する)20とモータ駆動部とから構成される。マイコン20は、その内部のメモリに格納された所定のプログラムを実行することにより、車速演算部184と、目標電流演算部114と、減算器122,124と、d軸電流PI制御部126と、q軸電流PI制御部128と、d−q/3相交流座標変換部132と、符号反転加算器134と、3相交流/d−q座標変換部138と、ロータ角度位置検出部162と、ロータ角度推定部164とからなるモータ制御部として機能する。目標電流演算部114には、基本アシスト制御部180とモータ電流指令値演算部188とが含まれている。モータ駆動部は、モータ制御部としてのマイコン20から出力される電圧指令値に基づき3相のブラシレスモータ1を駆動するハードウェア(回路)であり、PWM信号生成回路150と、モータ駆動回路152と、U相電流検出器156と、V相電流検出器154とから構成される。
ハンドル101が操作されると、トルクセンサ3によって検出される操舵トルクTがECU10に入力されるとともに、車速センサ4によって検出される車速信号SもECU10に入力される。車速演算部184では、車速信号Sに基づいて車速Vが算出される。
ロータ角度位置検出部162は、ブラシレスモータ1に取り付けられたホールセンサ5から出力されるセンサ信号に基づいて、ブラシレスモータ1のロータである永久磁石の回転位置である実際のロータ角度θaに相当する電気角(以下「検出ロータ角度θr」という)を離散的に検出する。このホールセンサ5は、図3のように取り付けられる3つのホールセンサからなる。
図3は、モータの軸方向に対する垂直断面図であり、図4は、図3に示すロータが60度時計回りに回転した時のモータの軸方向に対する垂直断面図である。これらの図に示されるように、ホールセンサ5は、3つのホールセンサ5a〜5cからなり、これらは3つのステータ6a〜6cの直上に取り付けられている。これらのホールセンサ5a〜5cは、説明の便宜のため、ロータ7の磁極(N極またはS極)が最も接近した時、すなわち対応するステータ6a〜6cの直上に位置する時点でセンサ信号を出力するものとする。なお、実際にはホールセンサ5a〜5cは、ロータ7の実際のロータ角度θaが60度変化する毎にこれらのうちのいずれか1つから出力される信号がHレベルからLレベルへまたはその逆に変化するよう、軸回りに120度ずつの間隔を空けて配置される。
また、図3および図4では、センサ信号を出力するホールセンサに斜線が付されている。さらに以下では、ホールセンサ5aの位置にロータ7のN極が最も接近した時のロータ7の角度を0度とする。すなわち、図3に示されるように、実際のロータ角度θaが0度のときに斜線を付されたホールセンサ5aは、ロータ7のN極を検出しており、ロータ角度位置検出部162に対してセンサ信号が送られる。ロータ角度位置検出部162は、ホールセンサ5aからの当該センサ信号を受け取ることにより、検出ロータ角度θrは0度であることを判別することができるので、ロータ角度推定部164に対して検出ロータ角度θrである0度を与える。
さらに、ロータ7が時計回り方向に60度回転すると、図4に示されるように斜線を付されたホールセンサ5cは、ロータ7のS極を検出しており、ロータ角度位置検出部162に対してセンサ信号が送られる。ロータ角度位置検出部162は、ホールセンサ5cからの当該センサ信号を受け取った時の検出ロータ角度θrは60度であることを判別することができるので、ロータ角度推定部164に対して検出ロータ角度θrである60度を与える。
このように、ロータ7が60度回転する毎に、3つのホールセンサ5a〜5cによりロータ7のN極またはS極を検出することができるので、ロータ角度位置検出部162は、ロータ角度推定部164に対して検出単位角度である60度毎に(離散的に)検出ロータ角度θrを与える。したがって、検出ロータ角度θrが与えられる場合には、その検出ロータ角度θrは正確であってそのままロータ角度として使用することができるが、その値は離散的にしか得られないためその間の値を推定する必要がある。
そこでロータ角度推定部164は、ロータ角度位置検出部162によって検出された検出ロータ角度θrに対して、現時点におけるロータ角度を正確に推定する演算を行うことにより、この電気角θrを推定された電気角θreに補正し出力する。この推定演算については詳しくは後述する。なお、本実施形態ではロータの極対数が1であるため、この電気角θre(電気角θr)は機械角に一致している。またこの極対数は2以上であってもよい。
またロータ角度推定部164は、直前(すなわち次回の検出時点から見て1回前)にロータ角度位置検出部162から受け取った検出ロータ角度θrと、その前(2回前)に受け取った検出ロータ角度θr’とを記憶するとともに、さらにその前(3回前)にロータ角度位置検出部162から検出ロータ角度θrを受け取った時点から前回(2回前)の時点までの時間間隔ΔTn-1 と、前回(2回前)の時点から直前(1回前)の時点までの時間間隔ΔTn とを記憶する。これらの値はロータ角度の推定のために使用されるが詳しくは後述する。
基本アシスト制御部180は、アシストマップと呼ばれる、操舵トルクと目標電流値とを対応づけるテーブルを参照し、操舵トルクTと車速Vとに基づいて、ブラシレスモータ1に流すべき目標電流値Itを決定する。モータ電流指令値演算部188は、目標電流値Itに基づいて、q軸電流指令値iq*を出力する。このq軸電流指令値iq*は、ブラシレスモータ1が発生すべきトルクに対応する電流値であり、減算器124に入力される。一方、d軸電流指令値id*は、トルクに関与しないのでid*=0として、減算器122に入力される。
U相電流検出器156およびV相電流検出器154は、それぞれモータのU相、V相の巻き線(本明細書では単に「U相、V相」という)に流れる電流を検出し、U相電流検出値iuとV相電流検出値ivとをそれぞれ電圧信号で出力する。これらのU相電流検出器156およびV相電流検出器154は、モータ駆動回路152からブラシレスモータ1へ繋がる線に対して配置されるが、モータ駆動回路152内の各駆動用素子と接地点との間に配置されてもよい。
3相交流/d−q座標変換部138は、ロータの電気角θreに基づいて、U相電流検出値iuおよびV相電流検出値ivを、d−q座標上の値であるd軸モータ電流値idおよびq軸モータ電流値iqに変換する。このd軸モータ電流値idおよびq軸モータ電流値iqは、減算器122および減算器124にそれぞれ入力される。
減算器122では、d軸電流指令値id*とd軸モータ電流値idとの偏差id*−idが出力される。そして、d軸電流PI制御部126では、その偏差id*−idに基づく比例積分演算によって、d軸電圧指令値vd*が出力される。一方、減算器124では、q軸電流指令値iq*とq軸モータ電流値iqとの偏差iq*−iqが出力される。そして、q軸電流PI制御部128では、その偏差iq*−iqに基づく比例積分演算によって、q軸電圧指令値vq*が出力される。
d−q/3相交流座標変換部132では、ロータの電気角θreに基づいて、d軸電圧指令値vd*およびq軸電圧指令値vq*を、3相交流座標上の値であるU相電圧指令値vu*およびV相電圧指令値vv*に変換する。そして、符号反転加算器134は、U相電圧指令値vu*およびV相電圧指令値vv*からW相電圧指令値vw*を算出する。
PWM信号生成回路150は、U相電圧指令値vu*、V相電圧指令値vv*、W相電圧指令値vw*を受け取り、それらの指令値に応じてデューティ比の変化するPWM信号Su、Sv、Swを生成する。モータ駆動回路152では、そのPWM信号Su、Sv、Swによってスイッチング素子がオン/オフされ、それにより、デューティ比に応じた電圧vu、vv、vwがブラシレスモータ1のU相、V相、W相にそれぞれ印加される。
<3.ロータ角度推定部の動作>
<3.1 全体の動作>
次に、本実施形態におけるロータ角度推定部164のロータ角度決定処理について説明する。図5は、本実施形態に係る電動パワーステアリング装置における、ロータ角度検出値に基づくロータ角度決定の手順を示すフローチャートである。なお、以下の処理は所定の非常に短い制御間隔で繰り返し行われるものとする。
ステップS10において、このモータ制御装置に備えられるロータ角度推定部164は、ホールセンサ5からのセンサ信号を入力されるロータ角度位置検出部162によって算出され離散的に与えられる検出ロータ角度θrを受け取った否かを判定する。ホールセンサの信号検出により検出ロータ角度θrを受け取らない場合には(ステップS10:No)、処理はステップS50に進む。このステップS50における角度推定処理については詳しく後述する。この角度推定処理が行われると、上記処理は一旦終了し、次の制御周期が到来すると新たに開始される、という動作が装置の停止まで繰り返される。
また、上記判定の結果、ホールセンサの信号検出により離散的に与えられる検出ロータ角度θrを受け取った場合には(ステップS10:Yes)、ロータ角度推定部164は、受け取ったロータ角度である検出ロータ角度θrをそのまま推定値としての推定ロータ角度θreに代入し(ステップS12)、その推定ロータ角度θreを出力する。この出力された推定ロータ角度θreが3相交流/d−q座標変換部138およびd−q/3相交流座標変換部132に与えられることについては前述した。
次にステップS14において、ロータ角度推定部164は、ロータ7の回転方向が前回の検出時点から今回の検出時点までの間に反転したか否かを判定し、反転した場合には(ステップS14:Yes)、続くステップS16の処理へ進み、反転していない場合には(ステップS14:No)、詳しくは後述する期間短縮係数Tcに1を代入し(ステップS20)、さらに続くステップS22の処理へ進む。なお、上記判定は、具体的には前回(2回前)の検出時点における推定ロータ角度θre’と、今回である直前(1回前)の検出時点における推定ロータ角度θreとを比較し、同じ値であればその間に反転したものとすることにより行うことができる。このようにロータ7の回転方向が反転する場合について、図6を参照して詳しく説明する。
図6は、実際のロータ角度と推定ロータ角度との時間的な変化の一例を示す図である。この図6に示されるように、時刻t0では実際のロータ角度θaも推定ロータ角度θreもゼロであり、また図示されていないが検出ロータ角度θrもゼロである。その後、時刻t1において、ロータ角度位置検出部162により検出ロータ角度θrが60°と検出される。この時点における実際のロータ角度θaも推定ロータ角度θreも60°になることは前述したとおりである。
さらにその後、時刻t2において実際のロータ角度θaが120°になる前に減少に転じ、推定ロータ角度θreは120°となりその後減少に転じているが、このような推定ロータ角度θreの算出方法については詳しく後述する。なお、この時刻t2近傍で実際のロータ7の回転方向は反転しているが、この時点ではロータ角度位置検出部162により検出ロータ角度θrを得ることができないので、反転したことを直接に検出することはできない。ただし結果的に反転したであろうことを推定することは可能であり、詳しくは後述する。
そして時刻t5において、ロータ角度位置検出部162により検出ロータ角度θrが60°と検出される。この時点において、前回(2回前)の検出時点t1における推定ロータ角度θre’は60°であり、今回である直前(1回前)の検出時点t5における推定ロータ角度θreも60°であるので、上記ステップS14の処理においてロータ7の回転方向は、時刻t1から時刻t5までの間に反転したと判定される。
続いてステップS16において、ロータ角度推定部164は、前回(2回前)にロータ角度位置検出部162から検出ロータ角度θr’を受け取った時点から直前(1回前)の時点までの時間間隔ΔTn の大きさが、前回のさらに前(3回前)の時点から前回(2回前)の時点までの時間間隔ΔTn-1 の大きさよりも大きいか否かを判定し、大きい場合には(ステップS16:Yes)、詳しくは後述する期間短縮係数Tcに1/2を代入し(ステップS18)、さらに続くステップS22の処理へ進む。また上記判定の結果大きくない場合には(ステップS16:No)、前述したステップS20における処理を行った後、さらに続くステップS22の処理へ進む。
ここで図6に示す例では、直前(1回前)の検出時点を時刻t5とするとき、まず前述したように、上記ステップS14の処理において、時刻t5の時点ではロータ7の回転方向は(途中で)反転したと判定される。次に上記ステップS16の処理において、前回(2回前)の検出時点である時刻t1から上記時刻t5までの時間間隔ΔTn の大きさは、前々回(3回前)の検出時点である時刻t0から上記時刻t1までの時間間隔ΔTn-1 の大きさよりも大きいと判定される。したがって、上記ステップS18の処理において、期間短縮係数Tcには1/2が代入される。このように期間短縮係数Tcに1/2を代入する目的については詳しく後述する。
次にステップS22において、ロータ角度推定部164は、角度推定用の初期化処理を行う。具体的には、後述するステップS50における角度推定処理に使用される直前(1回前)の検出時点からの経過時間ΔTLをゼロに設定する。
また、ロータ角度推定部164は、ステップS50における角度推定処理に使用されるロータの回転方向を示す回転方向係数Orに1または−1の値を代入する。具体的には、前回(2回前)の検出時点における推定ロータ角度θre’と、今回である直前(1回前)の検出時点における推定ロータ角度θreとに基づき、図の時計回り方向にロータ7が回転していると判定される場合には回転方向係数Orに1を代入し、反時計回り方向にロータ7が回転していると判定される場合には回転方向係数Orに−1を代入する。またθre’=θreである場合には、前述したようにロータ7の回転方向が途中で反転しているので、前回の回転方向係数Orの符号を逆にして、再び回転方向係数Orに代入する。
その後、上記一連の処理は一旦終了し、次の制御周期が到来すると新たに開始される、という動作が装置の停止まで繰り返される。次に、図7を参照して角度推定処理(ステップS50)の詳しい処理内容について説明する。
<3.2 角度推定の詳しい動作>
図7は、本実施形態に係る電動パワーステアリング装置における、角度推定処理の詳しい処理手順を示すフローチャートである。図7に示されるステップS52において、ロータ角度推定部164は、直前(1回前)にロータ角度位置検出部162から検出ロータ角度θrを受け取った時点から現時点までの経過時間ΔTLが、前回(2回前)から直前(1回前)の時点までの時間間隔ΔTn 以上であるか否かを判定する。
この判定の結果、ΔTL≧ΔTn である場合(ステップS52:Yes)、処理はステップS54に進み、以降の処理で(従来の戻し処理とは異なる、後述する逆戻し処理として機能する通常推定演算を含めた)本実施形態における戻し処理が行われる。この処理内容については後述する。なお、このステップS52における処理のように経過時間ΔTLに基づき戻し処理を行うか否か判定すれば、推定ロータ角度θreが次に検出されるべき検出ロータ角度に達したか否かを判定することなく、適切な時点で戻し処理を行うか否かを判定することができる。もっとも、ここでステップS52における処理に代えて、従来のように推定ロータ角度θreが次に検出されるべき検出ロータ角度に達したか否かを判定してもよい。
なお、上記ステップS52では、ΔTL≧ΔTn であるか否かが判定されるが、ΔTn より所定の期間pだけ長い期間と比較されてもよい(ΔTL≧ΔTn +p)。そうすれば、推定ロータ角度θreが次に検出されるべき検出ロータ角度に達した場合、さらに期間pが経過した時点で戻し処理を行うか否かを判定することができる。
また、上記判定の結果、ΔTL<ΔTn である場合(ステップS52:No)、ステップS68の処理を経てステップS72における通常推定演算が行われる。ここで、まず前述した戻し処理が行われない場合であって、上記期間短縮係数Tcに1/2が代入される場合を含めた通常推定演算に関連する動作について先に説明する。
<3.2.1 期間が短縮される場合を含む通常推定演算動作>
まずステップS68において、ロータ角度推定部164は、後述するトルク検出フラグをリセットする。このトルク検出フラグは、以下に説明する通常推定演算が後述する逆戻し処理として機能する場合に使用されるので、以下の通常推定演算が逆戻し処理として機能しないこの時点でリセットされる。その後処理はステップS72に進む。
次にステップS72(通常推定演算)において、ロータ角度推定部164は、ロータ角度位置検出部162による前回(2回前)から直前(1回前)の時点までの時間間隔ΔTn に対して期間短縮係数Tcを乗算した期間に基づき、この期間におけるロータ7の角速度ω(=60/(ΔTn ・Tc)・Or)を算出し、この角速度ωを上記直前の検出時点からの経過時間ΔTLに対して乗算し、この乗算値を直前に検出された検出ロータ角度θrに加算することにより、推定ロータ角度θre(=ω・ΔTL+θr)を算出する。
ここで、前述したステップS20の処理において上記期間短縮係数Tcに1が代入される場合、時間間隔ΔTn に対して期間短縮係数Tcを乗算する意味はない。しかし、前述したステップS18の処理において上記期間短縮係数Tcに1/2が代入される場合、時間間隔ΔTn に対して期間短縮係数Tcを乗算した期間は、時間間隔ΔTn の半分となる。この期間に基づき推定ロータ角度θreを算出するためのロータ7の角速度ωを算出すると、比較的正確な推定ロータ角度θreを得ることができる。以下、図6を参照して詳しく説明する。
前述したように図6に示される時刻t5において、期間短縮係数Tcには1/2が代入される(S14→S16→S18)。したがって、その直後の角度推定処理(S10→S50)において行われる通常推定演算(S52→S68→S72)では、ロータ7の角速度ω(=60/(ΔTn ・Tc)・Or)は、時刻t2から時刻t5までの実際のロータ角度θaの変化(角速度)に近い値が得られる。すなわち、図6に示されるように、実際の角度θaは時刻t2近傍で120°直前の角度となった後に減少に転じており、時刻t2から時刻t5までの時間間隔は、時刻t1から時刻t5までの時間間隔ΔTn の1/2にほぼ等しいので、時刻t2から時刻t5までの実際のロータ7の角速度は、上記通常推定演算におけるロータ7の角速度ωに近い値となる。もちろん、実際のロータ角度θaは、例えば時刻t2近傍で120°とは全く異なる角度(例えば90°)となった後に減少に転じるなど、図6に示される変化態様とは異なるように変化することも考えられるが、ロータ7が途中で反転する場合であって(S14:Yes)かつΔTn >ΔTn-1 である場合(S16:Yes)、前述した戻し処理により想定される変化態様と同様に考えれば、現実のロータ7が次回の検出位相角が得られると予想される時刻t2の直前でその回転方向が反転し同じ角速度で回転する変化態様を想定することが好適であると考えられる。したがって、上記場合に限り、1/2が代入された期間短縮係数Tcを使用して推定ロータ角度θreを算出すると、比較的正確な値を得ることができる。
なお、上記ステップS16の処理における条件は、ΔTn >ΔTn-1 としたが、図6に示すような例では時刻t4から時刻t5までの時間間隔をΔTkとするとき、ΔTn =ΔTn-1 ・2+ΔTkであるので、上記条件はΔTn >ΔTn-1 ・2としてもよい。このように上記条件はΔTn >ΔTn-1 ・α(ただしα≧1)とすることができる。もっともαが2より大きい場合に上記条件を満たすことは少ないため、αを2以下の値とすることが多く、典型的には1とすることが多い。
次にステップS74において、ロータ角度推定部164は、推定ロータ角度θreから直前に検出されたロータ角度である検出ロータ角度θrを差し引いた値の絶対値が60°より大きいか否かを判定する。この判定の結果、60°以下の場合(ステップS74:No)、上記一連の角度推定処理は終了し、図5の処理に復帰する。また上記判定の結果、60°より大きい場合(ステップS74:Yes)、直前の検出ロータ角度θrに対して、60°に回転方向係数Orを乗算した値を加え、得られる値を推定ロータ角度θreに代入し(ステップS76)、上記一連の角度推定処理が終了する。
このように推定ロータ角度θreが次に検出されるべき検出ロータ角度を超えないように演算を行うのは、次に検出されるべき検出ロータ角度θrが実際に得られていないのにそれを超える角度であると推定することができないからである。また、推定ロータ角度θreを次に検出されるべき検出ロータ角度(=θr+60・Or)とするのは、後述する戻し処理の場合とは異なり、通常の場合には、当該次に検出されるべき検出ロータ角度が実際のロータ角度θaに近いと推定されるからである。
例えば、図6に示されるように、時刻t6において、推定ロータ角度θreは、次に検出されるべき検出ロータ角度0°に達しているので、次に実際に検出ロータ角度が検出される時刻t7の時点まで推定ロータ角度θreは0°に維持される。
次に、前述したようにステップS52の判定の結果、ΔTL≧ΔTn である場合、(従来の戻し処理とは異なる、後述する逆戻し処理として機能する通常推定演算を含めた)戻し処理が行われる。この処理内容について詳しく説明する
<3.2.2 逆戻し処理として機能する通常推定演算を含めた戻し処理動作>
まずステップS54において、ロータ角度推定部164は、推定ロータ角度θreから直前に検出された検出ロータ角度θrを差し引いた値の絶対値が30°以下であるか否かを判定する。この判定の結果、30°より大きい場合(ステップS54:No)、処理はステップS62へ進む。
また上記判定の結果、30°以下である場合(ステップS54:Yes)、ロータ角度推定部164は、トルク検出フラグが立てられているかすなわちトルク検出済みであるか否かを判定し(ステップS56)、この判定の結果、検出済みである場合(ステップS56:Yes)、ステップS60の処理に進み、この判定の結果、検出済みでない場合(ステップS56:No)、トルクセンサ3によって検出される操舵トルクTの符号を取得してトルク検出フラグを立て(ステップS58)、ステップS60の処理に進む。すなわち、戻し処理が行われる場合において、推定ロータ角度θreと検出ロータ角度θrとの差が30°に達したとき、これらの処理(S54〜S58)により、操舵トルクTの符号取得が一回だけなされることになる。
次にステップS60において、ロータ角度推定部164は、ステップS56において取得された操舵トルクTの符号と回転方向係数Orの符号とを比較し、符号が一致している場合にはロータ7の回転方向が途中で反転したであろうと判定し、符号が一致していない場合にはロータ7の回転方向が反転していないであろうと判定する。前述したように、ロータ7の回転方向は直前の検出時点とその前の検出時点とにおいて検出される検出ロータ角度θrを比較することにより行われるので、その途中の時点でロータ7の回転方向が反転したか否かを判定することは本来できないはずである。しかし、ステアリングシャフト102の回転方向が反転される時点の直前を除いて、操舵トルクの符号は、ロータ7の回転方向と一致していることが多い。したがって、反転されると想定される時点(すなわち推定ロータ角度θreと(反転されないときに)次に検出されるべき検出ロータ角度との差がほとんどない時点)から離れた時点(例えば推定ロータ角度θreと上記検出されるべき検出ロータ角度との差が30°の時点)において、戻し処理中の回転方向係数Orの符号が操舵トルクTの符号と一致している場合には、実際のロータ角度θaの変化も戻し処理中の推定ロータ角度θreの変化と一致していることが多いと推定される。このことから上記のような判定を行うことができる。また、推定ロータ角度θreと検出ロータ角度θrとの差が30°に達した時点で上記判定を行い、かつ必要な場合に後述する逆戻し処理を行うことにより、結果的に実際のロータ角度θaと推定ロータ角度θreとの差が30°以上開くことを防止することができ、より正確な推定ロータ角度θreを算出することができる。なお、上記30°の角度は典型例であって、60°未満の異なる角度であってもよい。
このような判定の結果、ロータ7の回転方向が反転したと推定される場合(ステップS60:Yes)、処理はステップS62における戻し推定演算に進む。また、上記判定の結果、反転していないと推定される場合(ステップS60:No)、期間短縮係数Tcに1を代入し(ステップS70)、ステップS72における前述した通常推定演算に進む。ここで戻し処理中に行われる通常推定演算は、戻し処理における戻し推定演算に対してさらに逆方向に推定ロータ角度θreの変化方向を戻す処理、すなわち逆戻し処理として機能する。したがって、期間短縮係数Tcに1/2を代入すると、正確な推定ロータ角度θreを算出することができなくなるので、上記ステップS70における処理のように期間短縮係数Tcに1を代入する。
続いてステップS62(戻し推定演算)において、ロータ角度推定部164は、ロータ角度位置検出部162による前回(2回前)から直前(1回前)の時点までの時間間隔ΔTn におけるロータ7の角速度ω(=60/ΔTn ・Or)を算出し、この角速度ωの符号を反転した角速度−ωを上記直前の検出時点からの経過時間ΔTLに対して乗算し、この乗算値を直前に検出された検出ロータ角度θrに加算することにより、推定ロータ角度θre(=−ω・ΔTL+θr)を算出する。なおこの戻し推定演算は、角速度ωの符号が反転される点と、期間短縮係数Tcが使用されない点とが前述した通常推定演算(ステップS72)とは異なる。
次にステップS64において、ロータ角度推定部164は、直前に検出されたロータ角度である検出ロータ角度θrから推定ロータ角度θreを差し引くことにより得られる値に対して回転方向係数Orを乗算した値が0°より小さいか否かを判定する。この判定の結果、0°以上の場合(ステップS64:No)、上記一連の角度推定処理は終了し、図5の処理に復帰する。また上記判定の結果、0°より小さい場合(ステップS64:Yes)、直前の検出ロータ角度θrを推定ロータ角度θreに代入し(ステップS66)、上記一連の角度推定処理が終了する。
このように推定ロータ角度θreが検出ロータ角度θrを超えないように演算を行うのは、前述したように次に検出されるべき検出ロータ角度θrが実際に得られていないのにそれを超える角度であると推定することができないからである。また、推定ロータ角度θreを検出ロータ角度θrとするのは、前述したように戻し処理により想定されるロータの回転態様を前提にするとき、次に検出されるべき検出ロータ角度は、実際のロータ角度θaに近いと推定されるからである。
以上のような戻し処理が行われる場合について、まず前述した図6を参照して、逆戻し処理が行われない例を具体的に説明する。図6に示されるように、時刻t2において推定ロータ角度θreは120°となる。ここで時刻t1におけるロータ角度検出を直前(1回前)の検出時点とするとき、時刻t0から時刻t1までの時間間隔ΔTn は、時刻t1から時刻t2までの経過時間ΔTLに等しくなるので、この時刻t2の時点から戻し推定演算が行われる(S52→S54→S62)。
その後、推定ロータ角度θreが検出ロータ角度θrである120°から30°以上離れた時点、すなわち推定ロータ角度θreが90°になる時点である時刻t3において、操舵トルクTの符号が取得される(S52→S54→S56→S58)。そして、図示されていないが、この時点での操舵トルクTの符号が回転方向係数Orの符号と合致しているものとすると、ロータ7の回転方向は戻し処理において想定されるように反転したと推定されるので、推定ロータ角度θreが60°に達する時刻t4まで戻し推定演算が繰り返される(S52→S54→S56→S60→S62→S64)。
そして時刻t4に達すると、推定ロータ角度θreが検出ロータ角度θrを超えないように推定ロータ角度θreに検出ロータ角度θrが代入され(S66)、次にロータ角度が検出される時刻t5まで上記処理が繰り返される(S52→S54→S56→S60→62→S64→S66)。
次に、逆戻し処理が行われる例について図8を参照して具体的に説明する。図8は、実際のロータ角度と推定ロータ角度との時間的な変化の別例を示す図である。この図8に示される例は、図6に示される例と、時刻t2の前まではほぼ同様であるが、図6に示す例とは異なり実際のロータ角度θaの変化方向(ロータの回転方向)が反転していない。したがって、もし逆戻し処理が行われない従来の戻し処理が行われると、次に検出ロータ角度θrが得られる時刻t5の時点では、推定ロータ角度θreと実際のロータ角度θaとが60°もの誤差を生じることになる。しかし、前述したように本実施形態では、推定ロータ角度θreが検出ロータ角度θrである120°から30°以上離れた時点、すなわち推定ロータ角度θreが90°になる時点である時刻t3において、操舵トルクTの符号が取得される(S52→S54→S56→S58)。そして、図示されていないが、この時点での操舵トルクTの符号が回転方向係数Orの符号と合致していないものとすると、ロータ7の回転方向は戻し処理において想定されるようには反転しなかったと推定されるので、推定ロータ角度θreが120°に達する時刻t4まで逆戻し処理として機能する通常推定演算が繰り返される(S52→S54→S56→S60→S70→S72→S74)。
そして時刻t4に達すると、推定ロータ角度θreが次回検出されるべき検出ロータ角度である120°(=θr+60°)を超えないように推定ロータ角度θreに120°が代入され(S76)、次にロータ角度が検出される時刻t5まで上記処理が繰り返される(S52→S54→S56→S60→S70→S72→S74→S76)。
<4.効果>
以上のように、本実施形態におけるロータ角度推定部164は、ロータ7が途中で反転しかつΔTn >ΔTn-1 である場合には、現実のロータ7が次回の検出位相角が得られると予想される時刻t2の直前でその回転方向が反転し同じ角速度で回転する変化態様を想定し、1/2が代入された期間短縮係数Tcを使用して推定ロータ角度θreを算出するので、正確な推定ロータ角度θreを得ることができる。なお、この効果を奏するためには、図5に示す各処理および図7に示すステップS72〜S76における処理が行われれば足りるので、図7に示すステップS52〜S70における処理は省略してもよい。
また、上記ロータ角度推定部164は、戻し処理中に、推定ロータ角度θreと検出ロータ角度θrとの差が30°に達した時点でトルクセンサにより得られる操舵トルクTの符号が回転方向係数Orの符号が合致していない場合には逆戻し処理を行うことにより、結果的に実際のロータ角度θaと推定ロータ角度θreとの差が30°以上開くことを防止することができ、より正確な推定ロータ角度θreを算出することができる。なお、この効果を奏するためには、図5に示すステップS14〜S20における処理および図7に示すステップS70における処理は省略してもよい。
<5.変形例>
上記一実施形態では、スイッチ方式のホールセンサ5を用いたが、離散的な値を出力する位置検出センサであってそのために角度推定が必要であるものであればよく、例えば交番検知型のホールセンサが用いられてもよい。なおその場合にはホールセンサの取り付け位置は図3および図4の場合とは異なるが、ロータ7の位置を離散的に検出可能であれば、ホールセンサの取り付け位置(例えば軸回りに60°ずつ間隔を空けた位置)や配置数などは周知の様々な組み合わせを採用することができる。
上記一実施形態では、ステップS18において期間短縮係数Tcに1/2を代入することにより角速度算出の対象となる期間を短縮する構成であるが、この構成に代えて角速度ωが2倍になるよう速度増大係数ωcに2を代入し、例えばステップS72(通常推定演算)において、ロータ角度推定部164は、ロータ7の角速度ω(=60/ΔTn ・ωc・Or)を算出し、この角速度ωに基づき推定ロータ角度θre(=ω・ΔTL+θr)を算出してもよい。
また上記一実施形態では、期間短縮係数Tcには1/2を代入するが、これは前述したように上記戻し処理は、現実のロータが前回の検出時点までの角速度と同じ角速度で回転し、かつ次回の検出位相角が得られると予想される時点の直前でその回転方向が反転し同じ角速度で回転する変化態様を想定しているからである。したがって、ロータの回転方向が反転する場合において、上記態様とは異なるロータ角速度の変化態様を想定することにより、期間短縮係数Tcに1より小さい数値であって1/2以外の数値を代入してもよい。このような場合、途中でロータの回転方向が反転したことから長くなった期間に対してその期間を短くするよう1未満の期間短縮係数Tcを乗算することにより補正すれば、補正された期間に基づき正確な推定ロータ角度θreを得ることができる。なお、このことは速度増大係数ωcについても同様であり、1より大きい数値であって2以外の数値が代入されてもよい。
上記一実施形態では、ステップS58における処理で操舵トルクTの符号を取得する構成であって、トルクセンサおよび関連する上記処理は、ステップS60における処理でロータ7の回転方向が反転されたと推定する反転推定手段として機能するが、この反転推定手段は周知の様々な構成を採用することができる。例えば図示されない舵角センサを備え、この舵角センサにより取得されるハンドル101の操舵角の変化方向を取得し、ロータ7の反転推定を行う構成であってもよい。
5a〜5c…ホールセンサ、6a〜6c…ステータ、7…ロータ、20…マイコン

Claims (4)

  1. ブラシレスモータを駆動するモータ制御装置であって、
    前記ブラシレスモータのロータの電気角を所定の検出電気角毎に検出可能なように周方向に所定の間隔を空けて配置される複数の検出素子を有し、当該複数の検出素子からの検出信号に基づき前記ロータの電気角を前記所定の検出電気角毎に離散的に検出するロータ角度検出手段と、
    前記ロータ角度検出手段による前記ロータ電気角の検出時点の時間間隔に基づき、前記ロータの現時点における電気角推定値を算出するロータ角度推定手段と、
    前記ロータの回転方向が反転したか否かを推定する反転推定手段と、
    前記ブラシレスモータに供給すべき電流の量を示す指令電流値と、前記ロータ角度推定手段により算出される前記電気角推定値とに基づき、前記ブラシレスモータを制御する指令電圧のレベルを求める制御手段と、
    前記制御手段で求められるレベルの電圧に応じて前記ブラシレスモータを駆動するモータ駆動手段と
    を備え、
    前記ロータ角度推定手段は、前記ロータ角度検出手段による前記ロータ電気角が検出されることなく次に検出されるべき時点が到来した場合、前記ロータ角度検出手段により直前に検出された前記ロータ電気角へ向かって値が戻るように前記電気角推定値を算出する戻し処理を行い、前記戻し処理中に前記反転推定手段により前記ロータが反転していないと推定される場合、前記ロータ角度検出手段により次に検出されるべきロータ電気角へ向かって値が再び戻るように前記電気角推定値を算出する逆戻し処理を行うことを特徴とする、モータ制御装置。
  2. 前記ロータ角度推定手段は、前記ロータ角度検出手段による前記ロータ電気角の直前の検出時点から、当該直前の検出時点の前回の検出時点までの時間間隔ΔTn と、前記直前の検出時点から現時点までの経過時間ΔTLとが等しくなるとき、前記次に検出されるべき時点が到来したと判定することを特徴とする、請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. ブラシレスモータを駆動するモータ制御装置であって、
    前記ブラシレスモータのロータの電気角を所定の検出電気角毎に検出可能なように周方向に所定の間隔を空けて配置される複数の検出素子を有し、当該複数の検出素子からの検出信号に応じて前記ロータの電気角を前記所定の検出電気角毎に離散的に検出するロータ角度検出手段と、
    前記ロータ角度検出手段による前記ロータ電気角の直前の検出時点である第1の時点を終点とし当該第1の時点の前回の検出時点である第2の時点を始点とする時間間隔ΔTn に基づき算出される前記ロータの角速度ωに応じて、前記ロータの現時点における電気角推定値を算出するロータ角度推定手段と、
    前記ブラシレスモータに供給すべき電流の量を示す指令電流値と、前記ロータ角度推定手段により算出される前記電気角推定値とに基づき、前記ブラシレスモータを制御する指令電圧のレベルを求める制御手段と、
    前記制御手段で求められるレベルの電圧に応じて前記ブラシレスモータを駆動するモータ駆動手段と
    を備え、
    前記ロータ角度推定手段は、前記第2の時点から前記第1の時点までの間に前記ロータの回転方向が反転した場合であって、かつ前記第2の時点を終点とし当該第2の時点の前回の検出時点である第3の時点を始点とする時間間隔ΔTn-1 に対して1以上の所定の係数αを乗算して得られる時間間隔α・ΔTn-1 よりも前記時間間隔ΔTn が大きい場合、前記ロータの角速度ωに対して1より大きい所定の角速度増大係数を乗算しまたは前記時間間隔ΔTn に対して1より小さい所定の期間短縮係数を乗算することにより前記ロータの角速度ωを算出し、前記電気角推定値を算出することを特徴とする、モータ制御装置。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のモータ制御装置を備えた、電動パワーステアリング装置。
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