JP2011001524A - ホース用ゴム組成物及びそれを用いたホース - Google Patents

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Abstract

【課題】加硫後のゴム物性の低下、ブルーミング等の問題を生じる可能性のあるCTPのような加硫遅延剤を使用することなく、DCBSと同等以上の加硫遅延効果を有する加硫促進剤を用いて、耐熱耐久性の高いホース用ゴム組成物を提供すること。
【解決手段】ニトリル含量が42質量%以下であって、ゴム成分全量100質量%中にニトリル含量が10〜20質量%となる量のアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)と、溶解パラメーター(SP値)が15〜19(MPa)1/2である10〜40質量%の量の非極性ゴムとを含有するゴム成分100質量部に対し、コバルト含有化合物をコバルト量として0.1〜1質量部の量で含有し、かつ特定構造を有するスルフェンアミド系加硫促進剤を含有するホース用ゴム組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、特定のスルフェンアミド系加硫促進剤を含有するホース用ゴム組成物、及びかかるホース用ゴム組成物を用いた接着耐久性に優れるホースに関する。
従来より、ホース等のゴム製品は、その求められる耐圧特性からワイヤー等の金属補強材を用いた複合材料で構成される。なかでも油圧ホースにおいては、この金属補強材が高い補強効果を発揮するため、製品としてより高い信頼性を確保する上で、この金属補強材とゴム部材との間に経時変化が抑制された安定度の高い接着性が必要とされる。特に、かかるホースを高温度雰囲気下のように過酷な環境下で使用した場合、内容物の流体温度が高温となるおそれがあり、120℃を超えることもある。したがって、こうした使用環境下にも耐えうるよう、金属補強材とゴム部材との間の接着性にもさらに高い耐熱性を有することが望まれる。
このような油圧ホースは、作動油が充填されるゴム製の内面ゴム層(内管ゴム)、作動油の圧力に耐えるための補強層および中間ゴム層(中間ゴム)、外部からの損傷を防止する外面ゴム層(外被ゴム)を内側から順次積層した構造を備えるのが一般的である。かかる外被ゴムや中間ゴムには、耐候性、耐摩耗性、耐熱性、耐油性、耐低温性等の多岐に亘る特性をバランスよく備えるクロロプレンゴムを配合するのが主流となっている反面、環境問題の観点からはこのクロロプレンに代わるハロゲンフリーのゴムが求められている。こうした要求に対応するため、主として良好な耐油性を有するアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)が好適に用いられており、例えば、特許文献1〜2には、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)及びエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)をゴム成分として配合したゴム組成物が開示されている。
一方、ゴムと金属とを接着する方法としては、ゴムと金属との結合を同時に行う方法、いわゆる直接加硫接着法が知られているが、この際、ゴムの加硫と金属との結合を同時に行う上で、加硫反応に遅効性を与えるスルフェンアミド系加硫促進剤が有用とされており、現在市販されている最も加硫反応に遅効性を与える加硫促進剤としては、例えば、N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(以下、「DCBS」と略す)が挙げられる。さらに、遅効性を必要とするような場合には、スルフェンアミド系加硫促進剤と、N−(シクロヘキシルチオ)フタルイミド(以下、「CTP」と略す)のような加硫遅延剤とを併用することも行われている。また、上記DCBS以外のスルフェンアミド系加硫促進剤としては、例えば、特定の式で表されるビススルフェンアミド(特許文献3参照)や、天然油脂由来のアミンを原料としたベンゾチアゾルリルスルフェンアミド系加硫促進剤(特許文献4参照)等も知られている。
こうしたなか、ハロゲンフリーのゴムとしてアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)を用いる場合、ブラスめっきワイヤー等の金属との接着性を確保するには、NBRのニトリル含量や、ゴム成分であるNBRにエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等の他のゴムをブレンドするか否かによって、選択し得る加硫促進剤も変動する状況下にあるが、ゴムやけを抑制する上では、より遅効性の高いスルフェンアミド系加硫促進剤を用いるのが望ましい。
特開2001−205745号公報 特開2001−206987号公報 特開2005−139082号公報 特開2005−139239号公報
しかしながら、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)を配合したホース用ゴム組成物に従来の加硫促進剤を用いると、好適なムーニースコーチタイムを確保するのには限界があり、また従来の加硫促進剤と上記のような加硫遅延剤とを併用した場合、加硫遅延剤の配合量によっては加硫ゴムの物理的物性に悪影響を及ぼし、かつ、加硫ゴムの外観の悪化および接着性に悪影響を及ぼすブルーミングの原因になるという問題が生じる。
そこで、本発明は、加硫後のゴム物性の低下、ブルーミング等の問題を生じる可能性のあるCTPのような加硫遅延剤を使用することなく、DCBSと同等以上の加硫遅延効果を有する加硫促進剤を用いて、ゴムやけを極力低減しつつ、ワイヤー等の金属補強材とゴムとの接着性、特に熱老化後の接着性の向上を図り得る耐熱耐久性の高いホース用ゴム組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく、特定のスルフェンアミド系加硫促進剤を採用し、良好なスコーチタイムを得ることができるとともに、金属との間に高い接着耐久性を発揮し得るホース用ゴム組成物を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明のホース用ゴム組成物は、ニトリル含量が42質量%以下であって、ゴム成分全量100質量%中にニトリル含量が10〜20質量%となる量のアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)と、
溶解パラメーター(SP値)が15〜19(MPa)1/2である10〜40質量%の量の非極性ゴムとを含有するゴム成分100質量部に対し、
コバルト含有化合物をコバルト量として0.1〜1質量部の量で含有し、かつ
式(I)で表されるスルフェンアミド系加硫促進剤を含有することを特徴とする。
Figure 2011001524
(式(I)中、R1は、炭素数3〜12の分岐アルキル基を示し、R2は炭素数1〜10の直鎖アルキル基を示す。R3〜R6は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖アルキル基又はアルコキシ基、或いは炭素数3〜4の分岐アルキル基又はアルコキシ基であり、これらは互いに同一であっても異なっていてもよい。nは0または1を示し、xは1または2を示す。)。
前記非極性ゴムは、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、イソブチレン−イソプレンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種であるのが望ましい。
また、前記ゴム成分100質量部に対し、さらにフェノール樹脂を0.5〜5質量部の量で含有するのが好ましく、前記スルフェンアミド系加硫促進剤を0.1〜3質量部の量で含有するのが好ましい。
さらに、前記式(I)中、R1がtert−ブチル基であり、R2が炭素数1〜6の直鎖アルキル基であり、かつnが0であってもよく、R1がtert−ブチル基であり、R2が炭素数1〜4の直鎖アルキル基であり、かつnが0であってもよい。
また、前記式(I)中、R3〜R6がすべて水素原子であってもよい。
本発明のホースは、上記ホース用ゴム組成物からなるゴム層を有することを特徴とする。
本発明によれば、DCBSと同等以上の加硫遅延効果を有する加硫促進剤を用いているので、適度なムーニースコーチタイムを保持することができる。また、加硫後のゴム物性の低下、ブルーミング等の問題を生じる可能性のあるCTPのような加硫遅延剤を使用する必要がなく、加硫ゴムの外観や接着性に悪影響を及ぼすおそれがない。そのため、ゴムやけの発生を極力低減するとともに、熱老化後においても高い接着性を発揮し得るホース用ゴム組成物を得ることができる。
したがって、本発明のホース用ゴム組成物は、環境問題にも配慮しつつワイヤー等の金属補強材を補強層として有するホース用として好適に採用することができ、かかるゴム組成物から得られるホースは、特に過酷な使用環境下に晒される油圧ホースとして最適な高い耐熱耐久性を発揮することができる。
本発明のホース用ゴム組成物を用いた一実施態様に係る油圧ホースの積層構造を示す斜視図である。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明のホース用ゴム組成物は、ニトリル含量が42質量%以下であって、ゴム成分全量100質量%中にニトリル含量が10〜20質量%となる量のアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)と、
溶解パラメーター(SP値)が15〜19(MPa)1/2である10〜40質量%の量の非極性ゴムとを含有するゴム成分100質量部に対し、
コバルト含有化合物をコバルト量として0.1〜1質量部の量で含有し、かつ
式(I)で表されるスルフェンアミド系加硫促進剤を含有することを特徴とする。
Figure 2011001524
本発明のホース用ゴム組成物に用いるゴム成分は、特定のアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)を特定の量で含有する。かかるアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)は、ニトリル含量(AN含量)が42質量%以下、好ましくは20〜42質量%、より好ましくは20〜35質量%の量である。ニトリル含量が42質量%を超えると、他のポリマーとの極性差が大きくなり、配合成分の分配のバランスが崩れてワイヤー等の金属との接着性や他のポリマーとの間における共架橋性が低下するおそれがあるとともに、耐低温性を良好に保持できない可能性がある。
上記アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)の含有量は、ゴム成分全量100質量%中にニトリル含量が10〜20質量%、好ましくは10〜15質量%、より好ましくは12〜13質量%となる量である。ゴム成分全量100質量%中のニトリル含量が10質量%未満であると、NBRがもたらす良好な耐油性が必要以上に低下するおそれがあり、20質量%を超えると、耐低温性が低下するおそれがある。
本発明のホース用ゴム組成物に用いるゴム成分は、さらに特定の割合の非極性ゴムを含有する。非極性ゴムとは、溶解パラメーター(SP値)が15〜19(MPa)1/2、好ましくは15〜18(MPa)1/2である極性の低いゴムを意味する。具体的には、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、イソブチレン−イソプレンゴムが挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでもより耐候性や耐摩耗性等を向上させる観点から、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴムであるのが好ましい。特に、ホースの最外部に位置し、より優れた耐候性を要求される外面ゴム層(外被ゴム)としてはエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)を用いるのが最適であり、中間ゴム層(中間ゴム)としては、他の部材との接着性や加工性の向上の観点から、スチレン−ブタジエンゴムを用いるのが好ましい。
なお、溶解パラメーター(SP値、δ)とは、一般に液体のモル蒸発エネルギー(ΔEv)およびモル体積(V)より、次式によって定義される。
SP値(δ)=(δEv/V)0.5
さらに、SP値はFedors法によれば化学構造のみから推算することができる(「溶解パラメーター値(Solubility Parameter Values)」、ポリマーハンドブック(Polymer Handbook)、第4版(J,Brandrup他編集)参照)。なお、本明細書においてSP値とは、Fedors法よって算出される値を意味し、該値が低いほどゴムが低極性であることを示す。
上記非極性ゴムの含有量は、ゴム成分全量100質量%中に10〜40質量%、好ましくは20〜40質量%、より好ましくは25〜40質量%の量である。非極性ゴムの含有量が10質量%未満であると、低温性が低下するおそれがあり、40質量%を超えると、耐油性や耐摩耗性が低下するおそれがあるとともに、作業性が悪化する可能性もある。
上記アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)及びSP値が上記範囲内である非極性ゴム以外のゴム成分を配合する場合、かかるゴム成分としてはゴム製品に一般に用いられるゴムであれば特に限定されず、主鎖に二重結合があるゴム成分であれば硫黄架橋可能であるため、上記式(I)で表されるスルフェンアミド系加硫促進剤が有効に機能するものであり、たとえば、天然ゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、多硫化ゴム、フッ素ゴム、水素化ニトリルゴム等が挙げられる。なかでもブラスめっきワイヤー等の金属補強材への接着性や得られるホースの耐久性向上の観点から、天然ゴムを用いるのが望ましい。
上記ホース用ゴム組成物には、初期接着性能の向上に大きく寄与するコバルト含有化合物を配合する。かかるコバルト含有化合物としては、有機酸のコバルト塩、無機酸のコバルト塩である塩化コバルト、硫酸コバルト、硝酸コバルト、リン酸コバルト、クロム酸コバルトが挙げられる。なかでも、さらなる初期接着性能の向上の点から、有機酸のコバルト塩が好ましい。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
上記有機酸のコバルト塩としては、より具体的には、例えば、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、ロジン酸コバルト、バーサチック酸コバルト、トール油酸コバルト等の少なくとも1種を挙げることができ、また、有機酸コバルトは有機酸の一部をホウ酸で置き換えた複合塩でもよく、具体的には、市販のOMG社製の商品名「マノボンド」等も用いることができる。
上記コバルト含有化合物の含有量は、コバルト量として、上記ゴム成分100質量部に対し、0.1〜1質量部、好ましくは0.2〜0.5質量部の量である。コバルト量の含有量が0.1質量部未満では、充分な接着性の向上を図ることができず、一方、1質量部を越えると、熱老化後の耐熱性が低下するおそれがある。
上記ホース用ゴム組成物には、上記式(I)で表されるスルフェンアミド系加硫促進剤を配合する。本発明に用いるスルフェンアミド系加硫促進剤は、下記式(X)で表される従来のスルフェンアミド系加硫促進剤であるDCBSと同等の加硫遅延効果を有しているため、好適なムーニースコーチタイムをも確保することができる。また、ブラスめっきワイヤー等の金属補強材との直接加硫接着における接着耐久性にも優れるとともに、熱老化にも充分に耐えうる接着性を発揮することができる。
Figure 2011001524
本発明において、上記式(I)で表されるスルフェンアミド系加硫促進剤中のRは、炭素数3〜12の分岐アルキル基を示す。R1が炭素数3〜12の分岐アルキル基であれば、上記スルフェンアミド系加硫促進剤の加硫促進性能が良好であるとともに、接着性能を高めることができる。
1としては、具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、トリイソブチル基、sec−ブチル基,tert−ブチル基、イソアミル基(イソペンチル基)、ネオペンチル基、tert−アミル基(tert−ペンチル基)、イソヘキシル基、tert−ヘキシル基、イソヘプチル基、tert−ヘプチル基、イソオクチル基、tert−オクチル基、イソノニル基、tert−ノニル基、イソデシル基、tert−デシル基、イソウンデシル基、tert−ウンデシル基、イソドデシル基、tert−ドデシル基などが挙げられる。これらの中でも、好適なムーニースコーチタイムが得られるなどの効果の点から、炭素数1〜12のtert−アルキル基が好ましく、特に、tert−ブチル基、tert−アミル基(tert−ペンチル基)、tert−ドデシル基、トリイソブチル基が好ましく、中でもtert−ブチル基が、接着性の向上及びDCBSと同等の加硫速度の保持効果をバランスよく発揮する観点から最も好ましい。
上記式(I)で表されるスルフェンアミド系加硫促進剤中のnは、0または1を示し、合成のし易さや原材料コストなどの効果の点から、0であるのが好ましい。また式(I)中のxは1または2の整数を示す。xが3以上になると反応性が高くなり過ぎるためスルフェンアミド系加硫促進剤の安定性が低下し、作業性が悪化するおそれがある。
これらは、R1に隣接する−N−の近傍にかさ高い基が存在するほど、良好なムーニースコーチタイムを付与できる傾向にあるためと推定される。したがって、たとえば上記式(I)中のR1がtert−ブチル基であり、nが0であると、R1がシクロヘキシル基であり、nが0であるDCBSと比べて、−N−の近傍は前者の方がよりかさ高く、より好適なムーニースコーチタイムを付与し得るものと考えられる。さらに後述するR2とも相まって、−N−の近傍に位置する置換基のかさ高さを適度に制御することで、人体蓄積性に配慮しつつ、好適な加硫速度と良好な接着性をバランスよく発揮することが可能となる。
本発明において、上記式(I)で表されるスルフェンアミド系加硫促進剤中のR2は、炭素数1〜10の直鎖アルキル基を表す。仮にR2が分岐アルキル基であると、R1及びR2共に分岐アルキル基となるため、合成しても安定性を良好に保持できない可能性があり、耐熱接着性が低下するおそれがある。特に、R1及びR2共にtert−ブチル基である場合には、その合成でさえ困難となる。したがって、上記のようにR2が炭素数1〜10の直鎖アルキル基であれば、分岐アルキル基であるR1との組合せがよく、−N−の近傍に位置する置換基のかさ高さを有効に制御して、人体蓄積性に配慮しつつ、好適な加硫速度と良好な接着性能をバランスよく発揮することができる。
2としては具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−アミル基(n−ペンチル基)、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基などが挙げられる。これらの中でも、合成のし易さや原材料コストなどの効果並びに適正な濃縮性の保持により人体蓄積性に配慮する観点から、炭素数1〜4であるのが好ましく、炭素数1〜3であるのがより好ましく、炭素数1〜2であるのが最も好ましい。
したがって、上記式(I)中のR2がHのような従来のスルフェンアミド系加硫促進剤であると、加硫速度が速すぎるおそれがあるとともに良好な接着性が得られない傾向にある。また、R2がシクロヘキシル基のようなかさ高い基や上記範囲外の長鎖の基であるような従来のスルフェンアミド系加硫促進剤であると、逆に加硫速度が遅すぎる傾向にある。
より具体的には、特にR1がtert−ブチル基であり、nが0である場合、最適なR2としては、接着性の向上及びDCBSと同等の加硫速度の保持をバランスよく発揮する観点並びに人体蓄積性に配慮する観点から、メチル基、エチル基が挙げられる。
なお、上記式(I)で表されるスルフェンアミド系加硫促進剤中のR1が炭素数3〜12の分岐アルキル基以外の各官能基(例えば、n−オクタデシル基等)や炭素数が12を超える分岐アルキル基である場合、また、R2が炭素数1〜10の直鎖アルキル基以外の各官能基(例えば、n−オクタデシル基等)や炭素数10を超える直鎖または分岐アルキル基である場合、さらにnが2以上の場合には、本発明の目的の効果を充分に発揮し得ず、ムーニースコーチタイムが好適な範囲を超えて遅くなり加硫時間が必要以上に長くなることによって、生産性や接着性が低下したり、または促進剤としての加硫性能やゴム性能が低下したりするおそれがある。
上記式(I)中のR3〜R6は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖アルキル基又はアルコキシ基、或いは炭素数3〜4の分岐アルキル基又はアルコキシ基であり、これらは互いに同一であっても異なっていてもよく、なかでも、R3とR5とが、炭素数1〜4の直鎖アルキル基又はアルコキシ基、或いは炭素数3〜4の分岐アルキル基又はアルコキシ基であるのが好ましい。また、R3〜R6が、炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基の場合、炭素数1であるのが好ましく、R3〜R6のすべてがHであるのが好ましい。好ましいいずれの場合も、化合物の合成のし易さ及び加硫速度が遅くならない点で望ましい。上記式(I)中のR3〜R6の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が挙げられる。
また、上記スルフェンアミド系加硫促進剤のlog Pow値(1−オクタノール/水分配係数)は適正な濃縮性を保持する観点から小さいほど好ましく、具体的には、上記式(I)中のR1及びR2の炭素数が少ないほど、log Pow値が小さくなる傾向にある。たとえば、本発明で用いる式(I)中のR1がt−ブチル基であり、かつnが0である場合、従来のスルフェンアミド系加硫促進剤であるDCBSと同等の加硫速度を保持しつつ良好な接着性能を発揮し、かつ人体蓄積性に配慮する観点からすれば、式(I)中のR2は炭素数1〜2であるのが好ましい。
なお、log Pow値(1−オクタノール/水分配係数)は、一般に化学物質の濃縮性を評価する簡易測定法の一つにより得られる値であり、1−オクタノールと水の2つの溶媒相中に化学物質を加えて平行状態となったときの、その2相における化学物質の濃度比Powから得られる値を意味する。Powは下記式で表され、Powの対数値がlog Pow値である。
Pow=Co/Cw
Co:1−オクタノール層中の被験物質濃度
Cw:水層中の被験物質濃度
log Pow値は、JIS Z7260−117(2006)に準拠し、高速液体クロマトグラフィーを使用してPowを測定することにより求めることができる。
本発明において、上記式(I)で表されるスルフェンアミド系加硫促進剤の代表例としては、N−メチル−N−t−ブチルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド(BMBS)、N−エチル−N−t−ブチルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド(BEBS)、N−n−プロピル−N−t−ブチルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド、N−n−ブチル−N−t−ブチルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド(BBBS)、N−メチル−N−イソアミルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド、N−エチル−N−イソアミルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド、N−n−プロピル−N−イソアミルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド、N−n−ブチル−N−イソアミルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド、N−メチル−N−tert−アミルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド、N−エチル−N−tert−アミルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド、N−n−プロピル−N−tert−アミルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド、N−n−ブチル−N−tert−アミルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド、N−メチル−N−tert−ヘプチルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド、N−エチル−N−tert−ヘプチルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド、N−n−プロピル−N−tert−ヘプチルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド、N−n−ブチル−N−tert−ヘプチルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド;
N−メチル−N−t−ブチル−4−メチルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド、N−メチル−N−t−ブチル−4,6−ジメトキシベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド、N−エチル−N−t−ブチル−4−メチルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド、N−エチル−N−t−ブチル−4,6−ジメトキシベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド、N−n−プロピル−N−t−ブチル−4−メチルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド、N−n−プロピル−N−t−ブチル−4,6−ジメトキシベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド、N−n−ブチル−N−t−ブチル−4−メチルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド、N−n−ブチル−N−t−ブチル−4,6−ジメトキシベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
これらのなかでも、接着性能向上の点から、N−メチル−N−t−ブチルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド(BMBS)、N−エチル−N−t−ブチルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド(BEBS)、N−n−プロピル−N−t−ブチルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミドが好ましい。
特に、最も長いムーニースコーチタイムと優れた接着性能を有する点で、N−メチル−N−t−ブチルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド(BMBS)、N−エチル−N−t−ブチルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド(BEBS)がより好ましく、N−エチル−N−t−ブチルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド(BEBS)が最も好ましい。
これらスルフェンアミド系加硫促進剤は、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)、ジベンゾチアゾリルジスルフィド(MBTS)などの汎用の加硫促進剤と組み合わせて使用することも可能である。
上記スルフェンアミド系加硫促進剤の含有量は、上記ゴム成分100質量部に対し、0.1〜3質量部、好ましくは0.2〜2.5質量部、さらに好ましくは0.5〜1.5質量部の量である。この加硫促進剤の含有量が0.1質量部未満であると、充分に加硫しなくなるおそれがあり、一方、3質量部を超えると、ブルーミング等の問題が生じやすく、ゴムやけの発生やブラスめっきワイヤー等との接着性の低下を引き起こすおそれがある。
上記スルフェンアミド系加硫促進剤の製造方法としては、下記方法を好ましく挙げることができる。
すなわち、対応するアミンと次亜塩素酸ソーダの反応によりあらかじめ調製したN−クロロアミンとビス(ベンゾチアゾール−2−イル)ジスルフィドを、アミンおよび塩基存在下、適切な溶媒中で反応させる。塩基としてアミンを用いた場合は、中和を行い、遊離のアミンに戻した後、得られた反応混合物の性状に従って、ろ過、水洗、濃縮、再結晶など適切な後処理をおこなうと、目的とするスルフェンアミドが得られる。
本製造方法に用いる塩基としては,過剰量用いた原料アミン、トリエチルアミンなどの3級アミン、水酸化アルカリ,炭酸アルカリ、重炭酸アルカリ、ナトリウムアルコキシドなどが挙げられる。特に、過剰の原料アミンを塩基として用いたり、3級アミンであるトリエチルアミンを用いて反応を行い、水酸化ナトリウムで生成した塩酸塩を中和し、目的物を取り出した後、ろ液からアミンを再利用する方法が望ましい。
本製造方法に用いる溶媒としては、アルコールが望ましく、特にメタノールが望ましい。
例えば、N−エチル−N−t−ブチルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド(BEBS)では、N−t−ブチルエチルアミンに次亜塩素酸ナトリウム水溶液を0℃以下で滴下し、2時間攪拌後油層を分取した。ビス(ベンゾチアゾール−2−イル)ジスルフィド、N−t−ブチルエチルアミンおよび前述の油層を、メタノ−ルに懸濁させ、還流下2時間攪拌した。冷却後、水酸化ナトリウムで中和し、ろ過、水洗、減圧濃縮した後、再結晶することで目的とするBEBS(白色固体)を得ることができる。
本発明のホース用ゴム組成物には、より接着性の向上を図る観点から、メチレンドナーであるヘキサミン等が含まれるフェノール樹脂を配合するのが望ましい。かかるフェノール樹脂としては、変性、未変性のいずれを用いてもよく、具体的には、アルキルフェノール樹脂、カシュー変性フェノール樹脂、オイル変性フェノール樹脂などが挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。フェノール樹脂の含有量は、特に制限されるものではないが、ゴム成分100質量部に対し、通常0.5〜5質量部、好ましくは1〜3質量部の量である。上記含有量が0.5質量部未満であると、フェノール樹脂を配合する効果が充分に得られないおそれがあり、5質量部を超えると、更なる接着性の向上が見込めない上にゴムの硬度が必要以上に上昇して耐久性が低下するおそれがある。
上記ホース用ゴム組成物には、上記成分のほか、通常、加硫剤として硫黄を配合する。その含有量は、上記ゴム成分100質量部に対し、0.3〜10質量部、好ましくは1.0〜7.0質量部、より好ましくは2.0〜5.0質量部の量である。硫黄の含有量が0.3質量部未満であると、充分に加硫しなくなるおそれがあり、一方、10質量部を超えると、ゴムの老化性能が低下するおそれがあり好ましくない。
本発明のホース用ゴム組成物には、必要に応じて上記成分以外の添加剤等を適宜配合してもよい。かかる添加剤等としては、例えば、上記硫黄以外の加硫剤、上記加硫促進剤以外の加硫促進剤或いは加硫促進助剤、カーボンブラック等の補強性充填剤、老化防止剤、可塑剤、石油樹脂、ワックス類、酸化防止剤、オイル、滑剤、紫外線吸収剤、分散剤、相溶化剤、共架橋化剤、均質化剤等が挙げられる。本発明のホース用ゴム組成物は、これら各成分を、たとえば、バンバリーミキサー、ニーダー等により混練りすることにより製造することができる。
本発明のホースは、上記ホース用ゴム組成物からなるゴム層を有する。具体的には、例えば図1に示すように、内面ゴム層(内管ゴム)10、ブラスめっきワイヤーを有する補強層12、14、16、18、中間ゴム層(中間ゴム)11、13、15、17、及び外面ゴム層(外被ゴム)19のように複数層の補強層が形成されたホースを製造することができる。上記ホース用ゴム組成物は、これら中間ゴム層または外被ゴム層を形成するのに好適である。
かかるホースを製造するには、以下の方法を例示することができる。
まず、ホース内径と同程度の直径を有する芯体(マンドレル)の外側に内面ゴム層10用のゴム組成物を押出成形して該マンドレルを被覆し、内面ゴム層10を形成する(内管押出工程)。次いで、該内管押出工程で形成した内面ゴム層10の外側に、所定本数のブラスめっきワイヤーを編み上げて補強層11を形成し(編み上げ工程)、該補強層11の外側に本発明のホース用ゴム組成物のシートを挿入形成して、中間ゴム層12を形成する。これを複数回繰り返して補強層14、16、18及び中間ゴム層13、15、17を順次積層し、本発明のホース用ゴム組成物からなる外面ゴム層19を形成する(外被押出工程)。さらに、外被押出成形で形成した外面ゴム層の外側を適宜好適な樹脂で被覆し(樹脂モールド被覆工程)、これを所定の条件で加硫する(加硫工程)。加硫後、上記被覆樹脂を剥離し(樹脂モールド剥離工程)、マンドレルを取り除く(マンドレル抜出工程)ことにより、内管ゴムと外被ゴムとの間に中間ゴムと補強層を有するホースが得られる。
なお、上記ホースの構造は、内側から内管ゴム、各々4層からなる中間ゴム層と補強層、及び外被ゴムを配した複数層からなるが、これに限定されず、内管ゴム、補強層及び外被ゴムを順次積層した3層構造であってもよく、また2層からなる中間ゴム層と補強層を配した5層構造であってもよく、かかる構造はホースの要求特性に応じて適宜選択することができる。また、上記補強層は全てブラスめっきワイヤーで形成される必要はなく、一部繊維で形成される補強層を用いることもできる。
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、各スルフェンアミド系加硫促進剤のlog Pow値は、上述したように、JIS Z7260−117(2006)に準拠し、高速液体クロマトグラフィーを使用してPowを測定することにより求めた。
〔製造例1:N−エチル−N−t−ブチルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド(加硫促進剤1)の合成〕
N−t−ブチルエチルアミン16.4g(0.162mol)に12%次亜塩素酸ナトリウム水溶液148gを0℃以下で滴下し、2時間攪拌後油層を分取した。ビス(ベンゾチアゾール−2−イル)ジスルフィド39.8g(0.120mol)、N−t−ブチルメチルアミン24.3g(0.240mmol)および前述の油層を、メタノ−ル120mlに懸濁させ、還流下2時間攪拌した。冷却後、水酸化ナトリウム6.6g(0.166mol)で中和し、ろ過、水洗、減圧濃縮した後、再結晶することで目的とする加硫促進剤1を41.9g(収率66%)の白色固体(融点60〜61℃、log Pow値4.9)として得た。
得られた加硫促進剤1のスペクトルデータを以下に示す。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ=1.29(t,3H,J=7.1Hz,CH3(エチル))、1.34(s,9H,CH3(t−ブチル))、2.9−3.4(br−d,CH2)、7.23(1H,m)、7.37(1H,m)、7.75(1H,m)、7.78(1H,m).
13C−NMR(100MHz,CDCl3)δ=15.12、28.06、47.08、60.41、120.70、121.26、123.23、125.64、134.75、154.93、182.63.
質量分析(EI、70eV):m/z;251(M+−CH4)、167(M+−C614N)、100(M+−C75NS2):IR(KBr,cm-1):3061,2975,2932,2868,1461,1429,1393,1366,1352,1309,1273,1238,1198,1103,1022,1011,936,895,756,727。
〔製造例2:N−メチル−N−t−ブチルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド(BEBS、加硫促進剤2)の合成〕
N−t−ブチルエチルアミンの代わりにN−t−ブチルメチルアミン14.1g(0.162mol)を用いて製造例1と同様に行い、加硫促進剤2を46.8g(収率82%)の白色固体(融点56〜58℃、log Pow値4.5)として得た。
得られた加硫促進剤2のスペクトルデータを以下に示す。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ=1.32(9H,s,CH3(t−ブチル))、3.02(3H,s,CH3(メチル))、7.24(1H,m)、7.38(1H,m)、7.77(1H,m)、7.79(1H,m).
13C−NMR(100MHz,CDCl)δ=27.3、41.9、59.2、120.9、121.4、123.3、125.7、135.0、155.5、180.8.
質量分析(EI,70eV)m/z;252(M+)、237(M+−CH3)、223(M+−C26)、195(M+−C49)、167(M+−C512N)、86(M+−C74NS2)。
〔製造例3:N−n−プロピル−N−t−ブチルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド(加硫促進剤3)の合成〕
N−t−ブチルメチルアミンの代わりにN−n−プロピル−t−ブチルアミン18.7g(0.162mol)を用いて製造例1と同様に行い、加硫促進剤3を白色固体(融点50〜52℃、log Pow値5.3)として得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ=0.92(t,J=7.3Hz,3H),1.34(s,9H),1.75(br,2H),3.03(brd,2H),7.24(t,J=7.0Hz,1H),7.38(t,J=7.0Hz,1H),7.77(d,J=7.5Hz,1H),7.79(d,J=7.5Hz,1H).
13C−NMR(100MHz,CDCl3)δ=11.7,23.0,28.1,55.3,60.4,120.7,121.3,123.3,125.7,134.7,154.8,181.3.
〔製造例4:N−n−ブチル−N−t−ブチルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド(加硫促進剤4)の合成〕
N−t−ブチルメチルアミンの代わりにN−t−ブチル−n−ブチルアミン20.9g(0.162mol)を用いて製造例1と同様に行い、加硫促進剤4を42.4g(収率60%)の白色固体(融点55〜56℃、log Pow値5.8)として得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ=0.89(3H,t,J=7.32Hz,CH3(n−Bu))、1.2−1.4(s+m,11H,CH3(t−ブチル)+CH2(n−ブチル))、1.70(br.s,2H,CH2)、2.9−3.2(br.d,2H,N−CH2)、7.23(1H,m)、7.37(1H,m)、7.75(1H,m)、7.78(1H,m).
13C−NMR(100MHz,CDCl3)δ=14.0、20.4、27.9、31.8、53.0、60.3、120.6、121.1、123.1、125.5、134.6、154.8、181.2.
質量分析(EI,70eV)、m/z294(M+)、279(M+−CH3)、237(M+−C49)、167(M+−C818N)、128(M+−C74NS2):IR(neat):1707cm-1,3302cm-1
〔比較製造例1:N−i−プロピル−N−t−ブチルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド(加硫促進剤5)の合成〕
N−t−ブチルメチルアミンの代わりにN−i−プロピル−t−ブチルアミン18.7g(0.162mol)を用いて製造例1と同様に行い、加硫促進剤5を白色固体(融点68〜70℃)として得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ=1.20−1.25(dd,(1.22ppm:J=6.4Hz,1.23ppm:J=6.4Hz)6H),1.37(s,9H),3.78(m,J=6.3Hz,1H),7.23(t,J=7.0Hz,1H),7.38(t,J=7.0Hz,1H),7.77(d,J=7.5Hz,1H),7.79(d,J=7.5Hz,1H).
13C−NMR(100MHz,CDCl3)δ=22.3,23.9,29.1,50.6,61.4,120.6,121.2,123.2,125.6,134.5,154.5,183.3.
〔比較製造例2:N,N−ジ−i−プロピルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド(加硫促進剤6)の合成〕
N−t−ブチルメチルアミンの代わりにN−ジ−i−プロピルアミン16.4g(0.162mol)を用いて製造例1と同様に行い、加硫促進剤6を白色固体(融点57〜59℃)として得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl)δ=1.26(d,J=6.5Hz,12H),3.49(dq,J=6.5Hz,2H),7.24(t,J=7.0Hz,1H),7.37(t,J=7.0Hz,1H),7.75(d,J=8.6Hz,1H),7.79(d,J=8.6Hz,1H).
13C−NMR(100MHz,CDCl3)δ=21.7,22.5,55.7,120.8,121.3,123.4,125.7,134.7,155.1,182.2.
質量分析(EI,70eV),m/z266(M+),251(M+−15),218(M+−48),209(M+−57),182(M+−84),167(M+−99),148(M+−118),100(M+−166:base).
[実施例1〜12、比較例1〜10]
2200mlのバンバリーミキサーを使用して、ゴム成分、加硫促進剤、及びその他の配合剤を表1に示す配合処方で混練り混合して、未加硫のゴム組成物を調製し、以下の方法で、ムーニー粘度、ムーニースコーチタイムを測定し、引張り試験、耐熱接着性試験、耐候性試験およびインパルス試験を以下に示す方法にしたがって行い、評価した。結果を表1に示す。
《ムーニー粘度、ムーニースコーチタイム》
JIS K 6300−1:2001に準拠して行った。
なお、評価は、表1では比較例3の値を100とし、表2では比較例8の値を100として指数表示した。ムーニー粘度は、値が小さいほど混練時の作業性が良好であることを示し、ムーニースコーチタイムは、値が大きいほど混練後の作業性が良好であることを示す。
《引張り試験》
得られたゴム組成物を150℃で60分加硫した150mm×150mm×2mmのシートからなるJISダンベル状3号形サンプルを作製し、JIS K 6251:2004に準拠して25℃にて引っ張り試験を行い、破断時引っ張り強さ(Tb)、破断時伸び(Eb)、100%伸長時の引張応力(M100)を測定し、それぞれ表1では比較例3のゴム組成物の各値を100とし、表2では比較例8のゴム組成物の各値を100として指数表示した。指数値が大きいほど、耐破壊性に優れることを示す。
《耐熱接着性試験》
黄銅めっき(Cu:63%、Zu:37%)したスチールコード(外径0.5mm×長さ300mm)3本を10mm間隔で平行に並べ、このスチールコードを上下両側から各ゴム組成物でコーティングして、これを160℃、20分間の条件で加硫し、サンプルを作製した。
ASTM−D−2229に準拠し、得られた各サンプルを100℃のギアオーブンに15日、30日間放置した後、スチールコードを引き抜き、ゴムの被覆状態を目視で観察し、0〜100%で表示して耐熱接着性の指標とした。数値が大きい程、耐熱接着性に優れることを示す。
《耐候性試験》
JIS K 6259の「6.動的オゾン劣化試験」に準拠し、40℃、50pphm、20%伸長、72時間の条件で測定した。測定にはスガ試験機(株)製「オゾンウェザーメーター」を使用した。
なお、「C−4」との評価結果は、深くて大きい亀裂(1mm以上3mm未満)が無数確認された状態を意味する。
《インパルス試験》
図1に示す構造を有するホースを上述した製造方法に準じて、NBR系ゴム組成物(JSR(株)製 N240Sにカーボンブラックや硫黄等の必要な添加剤を配合したもの)で形成された内面ゴム層(厚さ1.60mm)、実施例及び比較例で得られた各ホース用ゴム組成物で形成された中間ゴム層(厚さ0.30mm)及び補強層(Ф0.38 ブラスめっきワイヤー)、並びに実施例及び比較例で得られた各ホース用ゴム組成物で形成された外被ゴム層(厚さ1.20mm)を順次積層し、150℃で60分の加硫を経て、内径19mmのホースを得た。
次いで、得られたホースを用い、JIS K6330−8に準拠し、インパルステスター((株)サム電子機械製高圧インパルステスター)により下記条件にてインパルス試験を行い、取り外したホースを解剖して、油漏れ、加締め部でのホース抜け、ホース部バースト回数等を総合的に評価し、表1では比較例3の値を100とし、表2では比較例8の値を100として指数表示した。数値が大きい程、結果が良好であることを示す。
使用油・・・新日本石油製HDS−3
油温・・・・100℃
油圧・・・・50MPa
昇圧速度・・500MPa/sec
Figure 2011001524
Figure 2011001524
※1:アクリロニトリル−ブタジエンゴム、N250S、ニトリル含量20質量%、JSR(株)製
※2:エチレン−プロピレン−ジエンゴム、EP35、JSR(株)製
※3:#65、旭カーボン(株)製
※4:日石三菱スーパーオイルY22、新日本石油製
※5:銀嶺SR、東邦亜鉛(株)製
※6:スミライトレジンPR12687、住友ベークライト(株)製
※7:OZOACE−0017、日本精蝋(株)製
※8:ANTIGENE6C、住友化学(株)製
※9:大日本インキ化学工業(株)製ナフテン酸コバルト、コバルト含有量:10質量%
※10:UB−XP108、パフォーマンスアディティブ社製
※11:サフファックス5、鶴見化学工業(株)製
※12:デュラリンクHTS、フレキシス(株)製
※13:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(ノクセラーCZ、大内新興化学工業(株)製)
※14:N−t−ブチルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド(ノクセラーNS、
大内新興化学工業(株)製)
※15:N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(ノクセラーDZ、大内新興化学工業(株)製)
※16:スチレン−ブタジエンゴム、taipol 1500E、TSRC製
※17:ニプシルAQ、東ソーシリカ(株)製
※18:大日本インキ化学工業(株)製ステアリン酸コバルト、コバルト含有量:9.5質量%
表1〜表2の結果から明らかなように、ゴム成分として特定量の非極性ゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、コバルト含有化合物、及び上記特定の加硫促進剤を含有する実施例1〜12は、従来の加硫促進剤を含有した比較例1〜10に比して、良好な作業性を保持しつつ、破断時伸び、破断時引っ張り強さおよび100%伸長時の引張応力の低下を抑制して耐破壊性の低下を防止するとともに、優れた耐候性と耐熱耐久性を併せ持つことがわかる。また、実施例2〜3、8〜9によれば、上記特定の加硫促進剤と従来の加硫促進剤を併用した場合であっても、同様の効果が得られることも明らかである。
1:ホース
10:内面ゴム層(内管ゴム)
11:中間ゴム層(中間ゴム)
12:補強層
13:中間ゴム層(中間ゴム)
14:補強層
15:中間ゴム層(中間ゴム)
16:補強層
17:中間ゴム層(中間ゴム)
18:補強層
19:外面ゴム層(外被ゴム)

Claims (8)

  1. ニトリル含量が42質量%以下であって、ゴム成分全量100質量%中にニトリル含量が10〜20質量%となる量のアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)と、
    溶解パラメーター(SP値)が15〜19(MPa)1/2である10〜40質量%の量の非極性ゴムとを含有するゴム成分100質量部に対し、
    コバルト含有化合物をコバルト量として0.1〜1質量部の量で含有し、かつ
    式(I)で表されるスルフェンアミド系加硫促進剤を含有することを特徴とするホース用ゴム組成物;
    Figure 2011001524
    (式(I)中、R1は、炭素数3〜12の分岐アルキル基を示し、R2は炭素数1〜10の直鎖アルキル基を示す。R3〜R6は、水素原子、炭素数1〜4の直鎖アルキル基又はアルコキシ基、或いは炭素数3〜4の分岐アルキル基又はアルコキシ基であり、これらは互いに同一であっても異なっていてもよい。nは0または1を示し、xは1または2を示す。)。
  2. 前記非極性ゴムが、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、イソブチレン−イソプレンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のホース用ゴム組成物。
  3. 前記ゴム成分100質量部に対し、さらにフェノール樹脂を0.5〜5質量部の量で含有する請求項1または2に記載のホース用ゴム組成物。
  4. 前記ゴム成分100質量部に対し、前記スルフェンアミド系加硫促進剤を0.1〜3質量部の量で含有する請求項1〜3のいずれかに記載のホース用ゴム組成物。
  5. 前記式(I)中、R1がtert−ブチル基であり、R2が炭素数1〜6の直鎖アルキル基であり、かつnが0である請求項1〜4のいずれかに記載のホース用ゴム組成物。
  6. 前記式(I)中、R1がtert−ブチル基であり、R2が炭素数1〜4の直鎖アルキル基であり、かつnが0である請求項1〜5のいずれかに記載のホース用ゴム組成物。
  7. 前記式(I)中、R3〜R6がすべて水素原子である請求項1〜6のいずれかに記載のホース用ゴム組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のホース用ゴム組成物からなるゴム層を有することを特徴とするホース。
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