JP2011001256A - 窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の製造方法、窒化リチウム−遷移金属複合酸化物およびリチウム電池 - Google Patents

窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の製造方法、窒化リチウム−遷移金属複合酸化物およびリチウム電池 Download PDF

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Abstract

【課題】簡便な方法で電子伝導性が良好な窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を得ることができる窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を提供する。
【解決手段】岩塩層状構造またはスピネル構造を有する窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の製造方法であって、Li元素、遷移金属元素およびO元素を有する原料と、下記一般式(1)で表され、常温(25℃)で固体または液体である窒化剤とを含有する原料組成物を調製する調製工程と、上記原料組成物を焼成し、上記原料の窒化を行い、窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を合成する合成工程と、を有することを特徴とする窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の製造方法。
Figure 2011001256

一般式(1)において、R、RおよびRは、それぞれ独立であり、炭素(C)、水素(H)、酸素(O)および窒素(N)の少なくともいずれかを有する官能基である。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えば正極活物質として有用な窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の製造方法、窒化リチウム−遷移金属複合酸化物およびリチウム電池に関する。
リチウム電池は、高い起電力および高エネルギー密度を有するため、情報関連機器、通信機器の分野で広く実用化されている。一方、自動車の分野においても、環境問題、資源問題から電気自動車やハイブリッド自動車の開発が急がれており、これらの電源としても、リチウム電池が検討されている。リチウム電池は、一般的に、正極活物質を含有する正極活物質層と、負極活物質層を含有する負極活物質層と、正極活物質層および負極活物質層の間に形成された電解質層とを有する。
このようなリチウム電池の正極活物質として、LiCoO等の岩塩層状構造を有する化合物、LiMn等のスピネル構造を有する化合物を用いることが知られている。また、このような化合物(リチウム−遷移金属複合酸化物)を、アンモニアを用いて窒化する方法が知られている。例えば、特許文献1においては、抵抗率が1×10Ωcm以上の酸化物を還元性雰囲気下で加熱した後、前記酸化物をアンモニアガスと反応させて、組成式:LiMeO(式中、0≦x≦2、0.1<y<2.2、0<z<1.4、MeはTi、Co、Ni、Mn、Si、GeおよびSnよりなる群から選択される少なくとも1種)で表される、抵抗率が1×10Ωcm未満の窒素酸化物を得る活物質材料の製造方法が開示されている。一方、正極活物質の製造方法ではないものの、尿素を用いて酸化物を窒化する方法が知られている。例えば、特許文献2においては、特定の比表面積を有する酸化物(例えば酸化チタン)と、常温で前記酸化物に吸着する窒素化合物(例えば尿素)との混合物を加熱して、光触媒活性を有する無機系酸窒化物を製造する方法が開示されている。
特開2006−32321号公報 特開2002−154823号公報
特許文献1に記載されているように、リチウム−遷移金属複合酸化物をアンモニアで窒化することは知られているものの、アンモニアを用いた場合、窒化反応が生じにくいため、電子伝導性の向上には限界がある。本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、簡便な方法で電子伝導性が良好な窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を得ることができる窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を提供することを主目的とする。
上記目的を達成するために、本発明においては、岩塩層状構造またはスピネル構造を有する窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の製造方法であって、Li元素、遷移金属元素およびO元素を有する原料と、下記一般式(1)で表され、常温(25℃)で固体または液体である窒化剤とを含有する原料組成物を調製する調製工程と、上記原料組成物を焼成し、上記原料の窒化を行い、窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を合成する合成工程と、を有することを特徴とする窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の製造方法を提供する。
Figure 2011001256
一般式(1)において、R、RおよびRは、それぞれ独立であり、炭素(C)、水素(H)、酸素(O)および窒素(N)の少なくともいずれかを有する官能基である。
本発明によれば、常温で固体または液体である窒化剤を含む原料組成物を用い、その原料組成物を焼成することで、電子伝導性が良好な窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を簡便に得ることができる。これにより、例えば、窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を正極活物質として用いた場合に、相対的に導電化材の使用量を低減でき、電池の高容量化を図ることができる。
上記発明においては、上記原料が、リチウム−遷移金属複合酸化物であることが好ましい。原料混合物ではなく、原料化合物(リチウム−遷移金属複合酸化物)を用いることで、容易に窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を得ることができるからである。
上記発明においては、上記リチウム−遷移金属複合酸化物が、上記岩塩層状構造を有し、Li(MはMn、CoおよびNiからなる群から選択される少なくとも一種であり、a〜cは、0<a≦1.3、0.7≦b≦1.3、1.5≦c≦2.5を満たす)で表される化合物であることが好ましい。電子伝導性がより良好な窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を得ることができるからである。さらに、上記リチウム−遷移金属複合酸化物は、LiCoOであることが好ましい。
上記発明においては、上記リチウム−遷移金属複合酸化物が、上記スピネル構造を有し、Li(MはMn、CoおよびNiからなる群から選択される少なくとも一種であり、a〜cは、0<a≦2.0、1.5≦b≦2.5、3≦c≦5を満たす)で表される化合物であることが好ましい。電子伝導性がより良好な窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を得ることができるからである。さらに、上記リチウム−遷移金属複合酸化物は、LiMnであることが好ましい。
上記発明においては、上記窒化剤が、尿素であることが好ましい。効果的に窒化を行うことができるからである。
上記発明においては、上記合成工程の際の焼成温度が、100℃〜800℃の範囲内であることが好ましい。電子伝導性がより良好な窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を得ることができるからである。
上記発明においては、上記合成工程の際の焼成温度が、200℃〜500℃の範囲内であることが好ましい。窒化が充分に進行した窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を得ることができると同時に、窒化リチウム−遷移金属複合酸化物から窒素元素が脱離することを抑制できるからである。
上記発明においては、上記合成工程の際の焼成時間が、10分〜7時間の範囲内であることが好ましい。電子伝導性がより良好な窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を得ることができるからである。
また、本発明においては、岩塩層状構造またはスピネル構造を有する窒化リチウム−遷移金属複合酸化物であって、結晶質であることを特徴とする窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を提供する。
本発明によれば、電子伝導性が良好な窒化リチウム−遷移金属複合酸化物とすることができる。
上記発明においては、N元素が、上記窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の内部に存在することが好ましい。
また、本発明においては、岩塩層状構造またはスピネル構造を有する窒化リチウム−遷移金属複合酸化物であって、N元素が、上記窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の内部に存在することを特徴とする窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を提供する。
本発明によれば、窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の内部にN元素が存在することで、電子伝導性が良好な窒化リチウム−遷移金属複合酸化物とすることができる。
上記発明においては、窒化リチウム−遷移金属複合酸化物が、上記岩塩層状構造を有し、Li(MはMn、CoおよびNiからなる群から選択される少なくとも一種であり、a〜dは、0<a≦1.3、0.7≦b≦1.3、1.5≦c≦2.5、0.01≦d≦0.6を満たす)で表される化合物であることが好ましい。上記組成を有することで、電子伝導性がより良好な窒化リチウム−遷移金属複合酸化物とすることができるからである。
上記発明においては、窒化リチウム−遷移金属複合酸化物が、上記スピネル構造を有し、Li(MはMn、CoおよびNiからなる群から選択される少なくとも一種であり、a〜dは、0<a≦2.0、1.5≦b≦2.5、3≦c≦5、0.01≦d≦0.6を満たす)で表される化合物であることが好ましい。上記組成を有することで、電子伝導性がより良好な窒化リチウム−遷移金属複合酸化物とすることができるからである。
上記発明においては、粒子状であることが好ましい。薄膜のように剥離やクラック等が生じず、耐久性に優れているからである。
上記発明においては、平均粒径が100nm〜100μmの範囲内であることが好ましい。例えば正極活物質として有用だからである。
上記発明においては、比表面積が0.1m/g〜300m/gの範囲内であることが好ましい。
上記発明においては、正極活物質として用いられることが好ましい。高容量な電池を得ることができるからである。
上記発明においては、上述した窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の製造方法により得られたことが好ましい。
また、本発明においては、正極活物質を含有する正極活物質層と、負極活物質を含有する負極活物質層と、上記正極活物質層および上記負極活物質層の間に形成された電解質層と、を有するリチウム電池であって、上記正極活物質が、上述した窒化リチウム−遷移金属複合酸化物であることを特徴とするリチウム電池を提供する。
本発明によれば、正極活物質として、電子伝導性が良好な窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を用いることで、相対的に導電化材の使用量を低減でき、電池の高容量化を図ることができる。
上記発明においては、上記電解質層が、液体電解質層または固体電解質層であることが好ましい。液体電解質層または固体電解質層であることが好ましい。液体電解質層である場合、高出力なリチウム電池を得ることができ、固体電解質層である場合、安全性の高いリチウム電池を得ることができるからである。
本発明においては、簡便な方法で電子伝導性が良好な窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を得ることができるという効果を奏する。
本発明の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の製造方法の一例を示す説明図である。 本発明の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の製造方法の他の例を示す説明図である。 高容量化のメカニズムを説明する説明図である。 本発明のリチウム電池の発電要素の一例を示す概略断面図である。 実施例3で得られた窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を用いた評価用コインセル、および、比較例3で得られた評価用化合物を用いた評価用コインセルの充放電カーブである。 実施例4で得られた窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を用いた評価用コインセル、および、比較例4で得られた評価用化合物を用いた評価用コインセルの充放電カーブである。 実施例4で得られた窒化リチウム−遷移金属複合酸化物、および比較例4で得られた評価用化合物のX線回折測定の結果である。 実施例5−1〜5−5で得られた窒化リチウム−遷移金属複合酸化物のX線光電子分光測定の結果である。 図8の一部を拡大した拡大図である。
以下、本発明の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の製造方法、窒化リチウム−遷移金属複合酸化物およびリチウム電池について、詳細に説明する。
A.窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の製造方法
まず、本発明の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の製造方法について説明する。本発明の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の製造方法は、岩塩層状構造またはスピネル構造を有する窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の製造方法であって、Li元素、遷移金属元素およびO元素を有する原料と、上述した一般式(1)で表され、常温(25℃)で固体または液体である窒化剤とを含有する原料組成物を調製する調製工程と、上記原料組成物を焼成し、上記原料の窒化を行い、窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を合成する合成工程と、を有することを特徴とするものである。
本発明によれば、常温で固体または液体である窒化剤を含む原料組成物を用い、その原料組成物を焼成することで、電子伝導性が良好な窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を簡便に得ることができる。これにより、例えば、窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を正極活物質として用いた場合に、相対的に導電化材の使用量を低減でき、電池の高容量化を図ることができる。
図1は、本発明の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の製造方法の一例を示す説明図である。図1においては、まず、原料としてコバルト酸リチウム(LiCoO、岩塩層状構造を有するリチウム−遷移金属複合酸化物)を用意し、窒化剤として尿素を用意する。次に、これらを混合し、原料組成物を調製する(調製工程)。その後、得られた原料組成物を例えば真空状態、500℃の条件で焼成し、原料の窒化を行い、窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を合成する(合成工程)。また、本発明においては、図2に示すように、原料として、スピネル構造を有するリチウム−遷移金属複合酸化物であるマンガン酸リチウム(LiMn)等を用いても良い。
また、本発明においては、窒素を導入することにより、窒化しないリチウム−遷移金属複合酸化物に比べて、高容量な窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を得ることができる。高容量化できる理由については、以下の通りであると考えられる。すなわち、窒素の導入により、酸素(O)の一部が窒素(N)で置換された窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を得ることができ、その置換されたNがリチウム−遷移金属複合酸化物の結晶構造を安定化させているためであると考えられる。ここで、図3(a)に示すように、従来のLiMn(スピネル構造を有するリチウム−遷移金属複合酸化物)では、Liイオンが脱離すると、リチウム−遷移金属複合酸化物の結晶構造が不安定化し、脱離可能なLiイオンの数が制限される。また、長期使用時には、電解液中にMnが溶出することにより結晶構造が崩れ、Liサイトの減少が生じることで、容量の低下が生じる場合が考えられる。これに対して、図3(b)に示すように、LiMnのOの一部をNで置換すると、局所的に正電荷の偏り(ホールh)が生じ、そのホールhが脱離したLiイオンの部位を補うことにより、結晶構造を安定化させることができる。その結果、脱離可能なLiイオンの数が増加し、高容量化を図ることができると考えられる。同様に、ホールhは、Mnが溶出した部位を補うことで結晶構造を安定化させ、長期使用による容量低下を抑制することができると考えられる。なお、図3においては、スピネル構造を有する窒化リチウム−遷移金属複合酸化物について説明したが、LiCoOに代表される岩塩層状構造を有する窒化リチウム−遷移金属複合酸化物についても同様である。
以下、本発明の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の製造方法について、工程ごとに説明する。
1.調製工程
本発明における調製工程は、Li元素、遷移金属元素およびO元素を有する原料と、上述した一般式(1)で表され、常温(25℃)で固体または液体である窒化剤とを含有する原料組成物を調製する工程である。
(1)原料
本発明における原料は、Li元素、遷移金属元素およびO元素を有するものである。この原料は、岩塩層状構造またはスピネル構造を有するリチウム−遷移金属複合酸化物(原料化合物)であっても良く、そのリチウム−遷移金属複合酸化物を合成可能な複数の化合物の混合物(原料混合物)であっても良い。以下、場合を分けて説明する。
(i)原料が、岩塩層状構造またはスピネル構造を有するリチウム−遷移金属複合酸化物である場合
この場合、原料は、Li元素、遷移金属元素およびO元素の全てを有する化合物(リチウム−遷移金属複合酸化物)であって、岩塩層状構造またはスピネル構造を有するものであれば特に限定されるものではない。上記遷移金属元素としては、例えば、Mn、Co、Ni、V、Cr、Ti等を挙げることができ、中でもMn、Co、Niが好ましい。また、原料は、上記遷移金属元素以外にも、Mg、Al、Si、Cu、Zn、Ga、Ge、ZrおよびNbからなる群から選択される少なくとも一種の元素を含有していても良い。これらの元素は、上記遷移金属元素に対して、50mol%以下であることが好ましい。
岩塩層状構造を有するリチウム−遷移金属複合酸化物としては、例えば、下記一般式(A−1)で表される化合物を挙げることができる。
一般式(A−1):Li(Mは少なくとも一種の遷移金属元素であり、a〜cは、0<a≦1.3、0.7≦b≦1.3、1.5≦c≦2.5を満たす)
一般式(A−1)において、bは、0.8≦b≦1.2が好ましく、0.9≦b≦1.1がより好ましい。cは、1.4≦c≦2.3が好ましく、1.6≦c≦2.1がより好ましい。さらに、一般式(A−1)におけるMは、上述した遷移金属元素からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましく、Mn、CoおよびNiからなる群から選択される少なくも一種であることがより好ましい。電子伝導性がより良好な窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を得ることができるからである。また、岩塩層状構造を有するリチウム−遷移金属複合酸化物としては、具体的には、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3、LiVO、LiCrO等を挙げることができる。
一方、スピネル構造を有するリチウム−遷移金属複合酸化物としては、例えば、下記一般式(A−2)で表される化合物を挙げることができる。
一般式(A−2):Li(Mは少なくとも一種の遷移金属元素であり、a〜cは、0<a≦2.0、1.5≦b≦2.5、3≦c≦5を満たす)
一般式(A−2)において、bは、1.7≦b≦2.4が好ましく、1.9≦b≦2.2がより好ましい。cは、3.5≦c≦4.5が好ましく、3.2≦c≦4.2がより好ましい。さらに、一般式(A−2)におけるMは、上述した遷移金属元素からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましく、Mn、CoおよびNiからなる群から選択される少なくも一種であることがより好ましい。電子伝導性がより良好な窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を得ることができるからである。また、スピネル構造を有するリチウム−遷移金属複合酸化物としては、具体的には、LiMn、LiCoMnO、LiNi0.5Mn1.5、LiCo0.5Mn1.5、LiFe0.5Mn1.5、LiCu0.5Mn1.5等を挙げることができる。
また、リチウム−遷移金属複合酸化物は、粒子状(粉末状)であっても良く、薄膜状であっても良いが、粒子状であることが好ましい。薄膜のように剥離やクラック等が生じず、耐久性に優れているからである。粒子状のリチウム−遷移金属複合酸化物の平均粒径は、例えば100nm以上、中でも2μm以上、特に4μm以上であることが好ましい。一方、上記平均粒径は、例えば100μm以下、中でも20μm以下であることが好ましい。なお、平均粒径は、レーザー回折式の粒度分布計により算出することができる。
また、リチウム−遷移金属複合酸化物の比表面積は、例えば0.1m/g以上、中でも0.5m/g以上であることが好ましい。一方、上記比表面積は、例えば300m/g以下、中でも100m/g以下であることが好ましい。なお、比表面積は、BET法(気体吸着法)により算出することができる。
(ii)原料が、岩塩層状構造またはスピネル構造を有するリチウム−遷移金属複合酸化物を合成可能な複数の化合物の混合物である場合
本発明における原料は、上述したように、上記リチウム−遷移金属複合酸化物を合成可能な複数の化合物の混合物(原料混合物)であっても良い。この場合は、目的とする窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の組成を調整しやすいという利点を有する。
このような原料混合物としては、例えば、Li元素を有する化合物と、遷移金属元素を有する化合物との混合物を挙げることができる。Li元素を有する化合物としては、例えばLiCO、LiO、LiNO、LiNO、LiCl、CHCOOLi、Li、LiOH、LiHおよびLiP等を挙げることができる。中でも、Li元素を有する化合物は、焼成によりLi元素以外の構成成分が気体になる化合物であることが好ましい。また、遷移金属元素を有する化合物としては、例えば、上述した遷移金属元素を含有する、シュウ酸化合物、炭酸化合物、硝酸化合物、塩化物、硫酸化合物、フッ化物等を挙げることができる。
また、目的とする窒化リチウム−遷移金属複合酸化物は、酸素元素を有するものであるため、上述したLi元素を有する化合物および遷移金属元素を有する化合物の少なくとも一方は、酸素元素を有することが好ましい。なお、上記酸素元素は、反応雰囲気中の酸素から供給されるものであっても良い。また、原料混合物における各化合物の添加量は、目的とする窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の組成に応じて適宜選択することが好ましい。
(2)窒化剤
次に、本発明における窒化剤について説明する。本発明における窒化剤は、下記一般式(1)で表され、常温(25℃)で固体または液体である。
Figure 2011001256
一般式(1)において、R、RおよびRは、それぞれ独立であり、炭素(C)、水素(H)、酸素(O)および窒素(N)の少なくともいずれかを有する官能基である。一般式(1)において、R、RおよびRは、全て同じであっても良く、全て異なっていても良く、R、RおよびRのうち2つが同じであっても良い。また、R、RおよびRの少なくとも一つが、炭素(C)を有することが好ましい。
また、本発明における窒化剤は、常温(25℃)で、固体または液体である。固体または液体であることで、窒化剤と原料とが物理的に効率良く接触した原料組成物を作製することができ、原料組成物の窒化効率が向上する。なお、アンモニア等の気体を窒化剤とした場合、窒化反応が生じにくく、腐食性が高く、設備が高コストになる可能性がある点に留意すべきである。
本発明における窒化剤としては、例えば尿素、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、アミノエタン、アニリン、ニコチン、シクロヘキシルアミン等を挙げることができ、中でも尿素が好ましい。目的とする窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の組成に悪影響を与え難いからである。なお、尿素は、一般式(1)において、RおよびRがHであり、Rが−CONHである化合物である。
窒化剤の添加量は、目的とする窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の組成に応じて適宜選択することが好ましい。原料におけるLiを100モル部とした場合、窒化剤におけるNは、例えば10モル部〜100モル部の範囲内であることが好ましく、30モル部〜60モル部の範囲内であることがより好ましい。なお、本発明においては、原料および窒化剤が、焼成前に充分に接していることが重要である。そのため、窒化剤の割合が多すぎる場合、原料に接していない部分では充分な窒化が生じないため、全体としての窒化の効率は悪くなる可能性がある。
(3)原料組成物の調製
本発明における原料組成物は、上述した原料および窒化剤を含有する。原料組成物の調製方法としては、例えば、原料および窒化剤を混合する方法を挙げることができる。原料の混合方法は、特に限定されるものではないが、より均一に混合することが好ましい。中でも、本発明においては、原料と窒化剤とをメカニカルミリング法(例えばボールミル法)によって混合することが好ましい。メカニカルミリング法を用いることで、原料の粉砕および混合を同時に行うことができ、原料成分の接触面積を大きくすることができるからである。
また、本発明におけるメカニカルミリング法は、合成反応を伴うメカニカルミリング法であっても良く、合成反応を伴わないメカニカルミリング法であっても良い。なお、ここでいう合成反応とは、原料化合物を合成する合成反応を意味する。そのため、合成反応を伴うメカニカルミリング法は、上述したように、原料が原料混合物である場合に、用いることができる。一方、合成反応を伴わないメカニカルミリング法は、上述したように、原料が原料化合物(リチウム−遷移金属複合酸化物)である場合に、用いることができる。これにより、原料化合物と窒化剤との分散性を向上させることができる。また、ボールミル法を用いて混合を行う場合、回転速度は、例えば100rpm〜11000rpmの範囲内であり、500rpm〜5000rpmの範囲内であることが好ましい。また、処理時間は、特に限定されるものではなく、所望の原料組成物が得られる程度に適宜設定することが好ましい。なお、本発明においては、原料および窒化剤を、一般的な撹拌手段を用いて、単に混合するだけであっても良い。
2.合成工程
次に、本発明における合成工程について説明する。本発明における合成工程は、上記原料組成物を焼成し、上記原料の窒化を行い、窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を合成する工程である。
本発明における焼成温度は、所望の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を得ることができる温度であれば特に限定されるものではないが、窒化剤が分解または溶解する温度以上の温度であることが好ましい。窒素元素が化学結合に組み込まれた窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を得やすくなるからである。焼成温度は、用いる窒化剤の種類に応じて適宜選択することが好ましく、例えば100℃以上であり、200℃以上が好ましく、300℃以上がより好ましい。焼成温度が低すぎると、窒化が充分に進行しない可能性があるからである。一方、焼成温度は、例えば800℃以下であり、700℃以下が好ましく、500℃以下がより好ましく、450℃以下が特に好ましい。焼成温度が高すぎると、窒化リチウム−遷移金属複合酸化物から窒素元素が脱離する可能性があるからである。焼成時間は、例えば10分以上であり、30分以上が好ましい。一方、焼成時間は、例えば7時間以下であり、5時間以下がより好ましい。
また、焼成時の雰囲気は、特に限定されるものではないが、例えば大気雰囲気;窒素雰囲気およびアルゴン雰囲気等の不活性ガス雰囲気;アンモニア雰囲気および水素雰囲気等の還元雰囲気;真空等を挙げることができ、中でも不活性ガス雰囲気、還元雰囲気、真空が好ましく、特に還元雰囲気が好ましい。窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の酸化劣化を防止することができるからである。また、原料組成物の焼成方法としては、例えば焼成炉を用いる方法等を挙げることができる。また、本発明においては、窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の合成を行った後に、残留する尿素を除去する焼成を行うことが好ましい。
3.その他
本発明により得られる窒化リチウム−遷移金属複合酸化物は、例えば正極活物質として用いることが好ましい。この窒化リチウム−遷移金属複合酸化物は電子伝導性が良好なので、相対的に導電化材の使用量を低減でき、電池の高容量化を図ることができるからである。そのため、本発明においては、上述した調製工程および合成工程を行うことにより正極活物質を得る工程と、上記正極活物質を用いて正極活物質層を形成する工程とを有することを特徴とするリチウム電池の製造方法を提供することができる。また、本発明においては、上記の製造方法により得られたことを特徴とする正極活物質を提供することができる。
B.窒化リチウム−遷移金属複合酸化物
次に、本発明の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物について説明する。本発明の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物は、例えば、上記「A.窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の製造方法」に記載された方法により得ることができる。また、本発明の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物は、酸素(O)の一部が窒素(N)で置換されたものであることが好ましい。さらに、本発明の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物は、以下の第一実施態様、第二実施態様に大別することができる。以下、実施態様ごとに説明する。
1.第一実施態様
本発明の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の第一実施態様は、岩塩層状構造またはスピネル構造を有する窒化リチウム−遷移金属複合酸化物であって、結晶質であることを特徴とするものである。なお、窒化リチウム−遷移金属複合酸化物が結晶質であることは、X線回折(XRD)によって確認することができる。
第一実施態様によれば、電子伝導性が良好な窒化リチウム−遷移金属複合酸化物とすることができる。さらに、結晶質であることから、非晶質である場合に比べて、Liイオンの挿入脱離の可逆性が良い、電位が高く一定するという利点を有する。また、上述した特許文献1(特開2006−32321号公報)には、活物質が非晶質であることは記載されているものの(例えば請求項2、図3)、活物質が結晶質であることは記載されていない。また、仮に、リチウム−遷移金属複合酸化物(例えばLiCoOやLiMn)を、特許文献1に記載された条件(アンモニアを用いた条件)で窒化したとしても、結晶質の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を得ることはできない。
第一実施態様の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の組成は、特に限定されるものではないが、例えば、上記「A.窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の製造方法」により得られる窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の組成と同様であることが好ましい。窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の一例としては、岩塩層状構造を有し、Li(Mは少なくとも一種の遷移金属元素であり、a〜dは、0<a≦1.3、0.7≦b≦1.3、1.5≦c≦2.5、0.01≦d≦0.6を満たす)で表される化合物を挙げることができる。なお、この一般式を一般式(B−1)と称する場合がある。一般式(B−1)において、bは、0.8≦b≦1.2が好ましく、0.9≦b≦1.1がより好ましい。cは、1.4≦c≦2.3が好ましく、1.6≦c≦2.1がより好ましい。dは、0.05≦d≦0.5が好ましく、0.1≦d≦0.4がより好ましい。さらに、一般式(B−1)におけるMは、「A.窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の製造方法」に記載した遷移金属元素からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましく、Mn、CoおよびNiからなる群から選択される少なくも一種であることがより好ましい。電子伝導性がより良好な窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を得ることができるからである。
一方、窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の他の例としては、スピネル構造を有し、Li(MはMn、CoおよびNiからなる群から選択される少なくとも一種であり、a〜dは、0<a≦2.0、1.5≦b≦2.5、3≦c≦5、0.01≦d≦0.6を満たす)で表される化合物を挙げることができる。なお、この一般式を一般式(B−2)と称する場合がある。一般式(B−2)において、bは、1.7≦b≦2.4が好ましく、1.9≦b≦2.2がより好ましい。cは、3.5≦c≦4.5が好ましく、3.2≦c≦4.2がより好ましい。dは、0.05≦d≦0.5が好ましく、0.1≦d≦0.4がより好ましい。さらに、一般式(B−2)におけるMは、「A.窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の製造方法」に記載した遷移金属元素からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましく、Mn、CoおよびNiからなる群から選択される少なくも一種であることがより好ましい。電子伝導性がより良好な窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を得ることができるからである。
また、第一実施態様の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物は、後述する第二実施態様の特徴をさらに備えていても良い。詳細については、各実施態様で説明する。
また、第一実施態様の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物は、粒子状(粉末状)であっても良く、薄膜状であっても良いが、粒子状であることが好ましい。薄膜のように剥離やクラック等が生じず、耐久性に優れているからである。粒子状の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の平均粒径は、例えば100nm以上、中でも2μm以上、特に4μm以上であることが好ましい。一方、上記平均粒径は、例えば100μm以下、中でも20μm以下であることが好ましい。なお、平均粒径は、レーザー回折式の粒度分布計により算出することができる。
また、第一実施態様の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の比表面積は、例えば0.1m/g以上、中でも0.5m/g以上であることが好ましい。一方、上記比表面積は、例えば300m/g以下、中でも100m/g以下であることが好ましい。なお、比表面積は、BET法(気体吸着法)により算出することができる。なお、従来のスパッタリング法や蒸着法を用いた薄膜を削った場合、上記と同様に、粒子状の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物が得られる可能性がある。しかしながら、このような粒子は、凹凸の少ない薄膜から形成されるものであるため、粒子の比表面積は小さくなる。これに対して、上記「A.窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の製造方法」に記載された方法で得られた窒化リチウム−遷移金属複合酸化物は、通常、粒子の表面に凹凸を有するため、比表面積は大きくなる。
また、第一実施態様の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物は、リチウム−遷移金属複合酸化物に単にN元素が吸着したものではなく、窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の組成の一部にN元素が組み込まれていることが好ましい。中でも、第一実施態様においては、上述したように、窒化リチウム−遷移金属複合酸化物は、酸素(O)の一部が窒素(N)で置換されたものであることが好ましい。
また、第一実施態様の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物は、例えば正極活物質として有用である。電子伝導性が高いため、相対的に導電化材の使用量を低減でき、電池の高容量化を図ることができるからである。また、第一実施態様の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物は、上記「A.窒化リチウム−遷移金属複合酸化物」に記載の方法により得られたものであることが好ましい。
2.第二実施態様
次に、本発明の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の第二実施態様について説明する。第二実施態様の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物は、岩塩層状構造またはスピネル構造を有する窒化リチウム−遷移金属複合酸化物であって、N元素が、上記窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の内部に存在することを特徴とするものである。なお、N元素が、窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の内部に存在することは、XPS測定のN1sのピーク(395eV〜398eVに現れるピーク)によって確認することができる。
第二実施態様によれば、窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の内部にN元素が存在することで、電子伝導性が良好な窒化リチウム−遷移金属複合酸化物とすることができる。また、上述した特許文献1(特開2006−32321号公報)には、N元素が、窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の内部に存在することは全く記載されていない。また、仮に、リチウム−遷移金属複合酸化物(例えばLiCoOやLiMn)を、特許文献1に記載された条件(アンモニアを用いた条件)で窒化したとしても、リチウム−遷移金属複合酸化物の表面しか窒化されず、N元素は、窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の内部に存在しない。
本発明における「内部」とは、窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の表面から20nm以上内部の位置をいう。
第二実施態様の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の組成は、特に限定されるものではないが、例えば、上記「A.窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の製造方法」により得られる窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の組成と同様であることが好ましい。好ましい組成については、上述した第一実施態様と同様である。さらに、第二実施態様の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物は、非晶質であっても良く、結晶質であっても良い。また、窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の形状および物性等については、上述した第一実施態様と同様であるので、ここでの記載は省略する。
C.リチウム電池
次に、本発明のリチウム電池について説明する。本発明のリチウム電池は、正極活物質を含有する正極活物質層と、負極活物質を含有する負極活物質層と、上記正極活物質層および上記負極活物質層の間に形成された電解質層と、を有するリチウム電池であって、上記正極活物質が、上述した窒化リチウム−遷移金属複合酸化物であることを特徴とするものである。
本発明によれば、正極活物質として、電子伝導性が良好な窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を用いることで、相対的に導電化材の使用量を低減でき、電池の高容量化を図ることができる。また、窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を用いることで、Liイオン伝導性の向上が期待できる。
図4は、本発明のリチウム電池の発電要素の一例を示す概略断面図である。図4に示される発電要素10は、正極活物質を含有する正極活物質層1と、負極活物質を含有する負極活物質層2と、正極活物質層1および負極活物質層2の間に形成された電解質層3とを有するものである。さらに、本発明においては、正極活物質層1に含まれる正極活物質として、上述した窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を用いることを大きな特徴とする。また、電解質層3は、後述するように、液体電解質層、ゲル電解質層および固体電解質層のいずれであっても良い。
以下、本発明のリチウム電池について、構成ごとに説明する。
1.正極活物質層
まず、本発明における正極活物質層について説明する。本発明における正極活物質層は、正極活物質として、上述した窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を少なくとも含有する層であり、必要に応じて、導電化材、結着材および固体電解質材料の少なくとも一つを含有していても良い。特に、本発明のリチウム電池が液体電解質層を有する場合、正極活物質層は結着材をさらに含有することが好ましい。正極活物質の滑落を効果的に抑制することができるからである。また、本発明のリチウム電池が固体電解質層を有する場合、正極活物質層は固体電解質材料をさらに含有することが好ましい。正極活物質層におけるLiイオン伝導性を向上させることができるからである。
正極活物質として用いられる窒化リチウム−遷移金属複合酸化物については、上記「B.窒化リチウム−遷移金属複合酸化物」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、上記導電化材としては、所望の導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば炭素材料からなる導電化材を挙げることができる。具体的には、アセチレンブラック、カーボンブラック、コークス、炭素繊維、黒鉛を挙げることができる。より好ましくは、熱処理温度が800℃〜2000℃の平均粒子径10μm以下のコークス、黒鉛、平均粒子径1μm以下の炭素繊維が好ましい。また、導電化材のN吸着によるBET比表面積は10m/g以上が好ましい。
上記結着材は、化学的、電気的に安定なものであることが好ましく、具体的には、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系結着材、および、スチレンブタジエンゴム等のゴム系結着材等を挙げることができる。上記固体電解質材料は、Liイオン伝導性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、酸化物固体電解質材料、硫化物固体電解質材料を挙げることができ、中でも硫化物固体電解質材料が好ましい。Liイオン伝導性が高く、高出力な電池を得ることができるからである。なお、固体電解質材料については、後述する「3.電解質層」で詳細に説明する。
正極活物質層に含まれる正極活物質の含有量は、容量の観点からはより多いことが好ましく、例えば60重量%〜99重量%の範囲内、中でも70重量%〜95重量%の範囲内であることが好ましい。また、導電化材の含有量は、所望の電子伝導性を確保できれば、より少ないことが好ましく、例えば1重量%〜30重量%の範囲内であることが好ましい。また、結着材の含有量は、正極活物質等を安定に固定化できれば、より少ないことが好ましく、例えば1重量%〜30重量%の範囲内であることが好ましい。また、固体電解質材料の含有量は、所望の電子伝導性を確保できれば、より少ないことが好ましく、例えば1重量%〜40重量%の範囲内であることが好ましい。
また、正極活物質層の厚さは、リチウム電池の構成によって大きく異なるものであるが、例えば0.1μm〜1000μmの範囲内であることが好ましい。
2.負極活物質層
次に、本発明における負極活物質層について説明する。本発明における負極活物質層は、負極活物質を少なくとも含有する層であり、必要に応じて、導電化材、結着材および固体電解質材料の少なくとも一つを含有していても良い。
負極活物質としては、例えば金属活物質およびカーボン活物質を挙げることができる。金属活物質としては、例えばIn、Al、SiおよびSn等を挙げることができる。一方、カーボン活物質としては、例えばメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、高配向性グラファイト(HOPG)、ハードカーボン、ソフトカーボン等を挙げることができる。また、負極活物質の形状は、例えば、膜状であっても良く、粒子状であっても良い。ここで前者の場合は、通常、負極活物質そのものが負極活物質層になる。また、粒子状の負極活物質の平均粒径は、例えば1nm〜100μmの範囲内、中でも10nm〜30μmの範囲内であることが好ましい。さらに、粒子状の負極活物質の比表面積は、例えば0.1m/g〜10m/gの範囲内であることが好ましい。なお、負極活物質層に用いられる、導電化材、結着材および固体電解質材料については、上述した正極活物質層に用いられるものと同様であるので、ここでの記載は省略する。
負極活物質が粒子状である場合、負極活物質層は、粒子状の負極活物質の他に、必要に応じて、導電化材、結着材および固体電解質材料の少なくとも一つを含有していても良い。この場合、負極活物質層に含まれる負極活物質の含有量は、容量の観点からはより多いことが好ましく、例えば60重量%〜99重量%の範囲内、中でも70重量%〜95重量%の範囲内であることが好ましい。また、導電化材の含有量は、所望の電子伝導性を確保できれば、より少ないことが好ましく、例えば1重量%〜30重量%の範囲内であることが好ましい。また、結着材の含有量は、負極活物質等を安定に固定化できれば、より少ないことが好ましく、例えば1重量%〜30重量%の範囲内であることが好ましい。また、固体電解質材料の含有量は、所望の電子伝導性を確保できれば、より少ないことが好ましく、例えば1重量%〜40重量%の範囲内であることが好ましい。
また、負極活物質層の厚さは、リチウム電池の構成によって大きく異なるものであるが、例えば0.1μm〜1000μmの範囲内であることが好ましい。
3.電解質層
次に、本発明における電解質層について説明する。本発明における電解質層は、上記正極活物質層および上記負極活物質層の間に形成される層である。電解質層に含まれる電解質を介して、正極活物質と負極活物質との間のLiイオン伝導を行う。電解質層の形態は、特に限定されるものではなく、液体電解質層、ゲル電解質層、固体電解質層等を挙げることができる。
液体電解質層は、通常、非水電解液を用いてなる層である。リチウム電池の非水電解液は、通常、リチウム塩および非水溶媒を含有する。上記リチウム塩としては、例えばLiPF、LiBF、LiClOおよびLiAsF等の無機リチウム塩;およびLiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiC(CFSO等の有機リチウム塩等を挙げることができる。上記非水溶媒としては、例えばエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、スルホラン、アセトニトリル、1,2−ジメトキシメタン、1,3−ジメトキシプロパン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランおよびこれらの混合物等を挙げることができる。非水電解液におけるリチウム塩の濃度は、例えば0.5mol/L〜3mol/Lの範囲内である。なお、本発明においては、非水電解液として、例えばイオン性液体等の低揮発性液体を用いても良い。
ゲル電解質層は、例えば、上記非水電解液にポリマーを添加してゲル化することで得ることができる。具体的には、上記非水電解液に、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアクリルニトリル(PAN)またはポリメチルメタクリレート(PMMA)等のポリマーを添加することにより、ゲル化を行うことができる。
固体電解質層は、固体電解質材料を用いてなる層である。固体電解質材料としては、例えば、酸化物固体電解質材料および硫化物固体電解質材料を挙げることができ、中でも硫化物固体電解質材料が好ましい。Liイオン伝導性が高く、高出力な電池を得ることができるからである。硫化物固体電解質材料は、LiおよびSを有し、Liイオン伝導性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、Li、Sおよび第三成分Aを有するもの等を挙げることができる。第三成分Aとしては、例えばP、Ge、B、Si、I、Al、GaおよびAsからなる群より選択される少なくとも一種を挙げることができる。中でも、本発明においては、硫化物固体電解質材料が、LiSと、LiS以外の硫化物MSとを用いた化合物であることが好ましい。具体的には、LiS−P化合物、LiS−SiS化合物、LiS−GeS化合物等を挙げることができ、中でもLiS−P化合物が好ましい。Liイオン伝導性が高いからである。さらに、LiSおよび硫化物MSとのモル比を、xLiS−(100−x)MSとした場合、xは、50≦x≦95の関係を満たすことが好ましく、60≦x≦85の関係を満たすことがより好ましい。なお、LiS−P化合物は、LiSおよびPを用いた硫化物固体電解質材料を意味する。その他の化合物についても同様である。例えば、LiSおよびPを用いて、メカニカルミリング法または溶融急冷法を行うことで、非晶質のLiS−P化合物を得ることができる。
硫化物固体電解質材料は、非晶質であっても良く、結晶質であっても良い。結晶質の硫化物固体電解質材料は、例えば、非晶質の硫化物固体電解質材料を焼成することで得ることができる。また、硫化物固体電解質材料は、架橋硫黄を有することが好ましい。硫化物固体電解質材料のLiイオン伝導性が高いからである。特に本発明においては、硫化物固体電解質材料が、Li11であることが好ましい。Liイオン伝導性が高いからである。固体電解質材料の平均粒径は、例えば1nm〜100μmの範囲内、中でも10nm〜30μmの範囲内であることが好ましい。
電解質層の厚さは、リチウム電池の構成によって大きく異なるものであるが、例えば0.1μm〜1000μmの範囲内、中でも0.1μm〜300μmの範囲内であることが好ましい。
4.その他の構成
本発明のリチウム電池は、上述した負極活物質層、電解質層および負極活物質層を少なくとも有するものである。さらに通常は、正極活物質層の集電を行う正極集電体、および負極活物質の集電を行う負極集電体を有する。正極集電体の材料としては、例えばSUS、アルミニウム、ニッケル、鉄、チタンおよびカーボン等を挙げることができ、中でもSUSが好ましい。一方、負極集電体の材料としては、例えばSUS、銅、ニッケルおよびカーボン等を挙げることができ、中でもSUSが好ましい。また、正極集電体および負極集電体の厚さや形状等については、リチウム電池の用途等に応じて適宜選択することが好ましい。
本発明のリチウム電池は、正極活物質層および負極活物質層の間に、セパレータを有していても良い。より安全性の高いリチウム電池を得ることができるからである。セパレータの材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース、ポリフッ化ビニリデン等の多孔膜;および樹脂不織布、ガラス繊維不織布等の不織布等を挙げることができる。また、本発明に用いられる電池ケースには、一般的なリチウム電池の電池ケースを用いることができる。電池ケースとしては、例えばSUS製電池ケース等を挙げることができる。また、本発明のリチウム電池が全固体電池である場合、発電要素を絶縁リングの内部に形成しても良い。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
原料化合物としてLiCoO(アルドリッチ社製、平均粒径2.5μm)を用意し、窒化剤として尿素(アルドリッチ社製)を用意した。次に、LiCoOおよび尿素を、それぞれ1gずつ秤量して(モル比では、LiCoO:尿素=10:8.6)、乳鉢にて混合し、原料組成物を得た。その後、得られた原料組成物を、成形機にて1cmφ×2mmtに成形し、得られた成形体をガラス管に入れ、真空とした。次に、そのガラス管を、管状炉で500℃、3時間の条件で焼成した。これにより、窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の合成を行った。さらに、大気中、500℃、1時間の条件で焼成することで、残留尿素を除去し、窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を得た。なお、得られた窒化リチウム−遷移金属複合酸化物に対して、BET法により比表面積を測定した。測定には、比表面積および細孔分布全自動ガス吸着測定装置(オートソープ−1、湯浅アイオニクス社製)を用いた。その結果、得られた窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の比表面積は、1m/gであった。
[比較例1]
実施例1で使用したLiCoOを評価用化合物とした。
[実施例2]
原料化合物としてLiMn(アルドリッチ社製、平均粒径5μm)を用意し、窒化剤として尿素(アルドリッチ社製)を用意した。次に、LiMnおよび尿素を、それぞれ1gずつ秤量して(モル比では、LiMn:尿素=10:15.6)、乳鉢にて混合し、原料組成物を得た。この原料組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を得た。また、得られた窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の比表面積は、0.6m/gであった。
[比較例2]
実施例2で使用したLiMnを評価用化合物とした。
[評価1]
(CV測定による電池反応電位の測定)
実施例1、2で得られた窒化リチウム−遷移金属複合酸化物、および比較例1、2で得られた評価用化合物を用いて、電池反応電位の測定を行った。まず、評価用コイン電池を作製した。正極活物質である、窒化リチウム−遷移金属複合酸化物または評価用化合物と、結着材であるPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)と、導電化材であるKB(ケッチェンブラック)とを、正極活物質:結着材:導電化材=70:5:25(重量比)の割合で有する正極活物質層(重量:10mg)を形成した。次に、負極活物質層としてLi金属を用い、非水電解液としてエチレンカーボネート(EC)およびジメチルカーボネート(DEC)を体積比1:1で混合した非水溶媒にLiPFを1Mで溶解させたものを用い、評価用コイン電池を得た。
得られた評価用コイン電池に対して、電気化学測定装置システム(ソーラトロン社製、147055BEC型)を用いて、サイクリックボルタンメトリ(CV)測定を行い、酸化還元電位を測定した。測定条件は、電位範囲を2.0V〜4.2V(vs Li/Li)とし、掃引速度を0.1mV/secとした。得られた酸化還元電位の結果を表1に示す。
Figure 2011001256
表1に示されるように、実施例1では、比較例1に比べて、酸化還元電位は変化せずに、電流値が大きく向上することが確認された。同様に、実施例2では、比較例2に比べて、酸化還元電位は変化せずに、電流値が大きく向上することが確認された。これは、得られた窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の電子伝導性が向上したためであると考えられる。また、電流値は電池の出力に大きく影響し、電流値が大きいほど電池の出力特性が向上する。すなわち、本発明の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を用いることにより、電池の出力特性が向上することが確認された。
また、一般的に、正極活物質の酸化電位と負極活物質の還元電位との差が電池電圧となる。実施例1および比較例1の酸化電位は同程度であったことから、N元素の導入による電池電圧の低下は生じなかった。逆に、電池の充電電圧の観点からは、正極活物質の還元電位と負極活物質の酸化電位との差が充電電圧になるが、これについても、N元素の導入による充電電圧の低下は生じていないことが確認された。
また、上記の評価用コイン電池を用いて、総還元電流および総酸化電流を算出した。具体的には、CV測定により得られたCV曲線を積分することにより、総還元電流および総酸化電流を算出した。さらに、充放電後の総還元電流および総酸化電流の変化率を調べた。その結果を表2に示す。
Figure 2011001256
表2に示されるように、実施例1では、比較例1に比べて総還元電流および総酸化電流が大きかった。同様に、実施例2では、比較例2に比べて総還元電流および総酸化電流が大きかった。これらの結果から、N元素の導入により、サイクル劣化が低減できることが確認された。また、比較例2で用いたLiMnのように、スピネル構造を有する活物質は、サイクル劣化が著しい傾向にある。それに対して、実施例2では、サイクル劣化を低減することができた。その理由としては、N元素を導入することにより、遷移金属元素(例えばMn)が電解液中に溶解しにくくなったためであると考えられる。
[実施例3]
原料化合物としてLiCoO(アルドリッチ社製、平均粒径2.5μm)を用意し、窒化剤として尿素(アルドリッチ社製)を用意した。次に、LiCoOおよび尿素を、それぞれ1gずつ秤量して(モル比では、LiCoO:尿素=10:8.6)、乳鉢にて15分間混合し、原料組成物を得た。その後、得られた原料組成物を、成形機にて1cmφ×2mmtに成形し、得られた成形体を軽く砕いた後にガラス管に入れ、真空とした。次に、そのガラス管を、管状炉で500℃、6時間の条件で焼成した。これにより、窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の合成を行った。さらに、得られた窒化リチウム−遷移金属複合酸化物をるつぼ内に移し、大気中、750℃、5時間の条件で焼成することで、残留尿素を除去し、窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を得た。
[比較例3]
実施例3で使用したLiCoOを評価用化合物とした。
[実施例4]
原料化合物としてLiNi0.5Mn1.5(アルドリッチ社製、平均粒径5μm)を用意し、窒化剤として尿素(アルドリッチ社製)を用意した。次に、LiNi0.5Mn1.5および尿素を、それぞれ1gずつ秤量して(モル比では、LiNi0.5Mn1.5:尿素=1:2.5)、乳鉢にて15分間混合し、原料組成物を得た。この原料組成物を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を得た。
[比較例4]
実施例4で使用したLiNi0.5Mn1.5を評価用化合物とした。
[評価2]
(1)充放電特性の評価
実施例3、4で得られた窒化リチウム−遷移金属複合酸化物、および比較例3、4で得られた評価用化合物を用いて、評価用コイン電池を作製した。活物質である、窒化リチウム−遷移金属複合酸化物または評価用化合物と、結着材であるPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)と、導電化材であるKB(ケッチェンブラック)とを、活物質:結着材:導電化材=70:5:25(重量比)の割合で有する活物質層(10mg)を形成した。次に、対極層としてLi金属を用い、非水電解液としてエチレンカーボネート(EC)およびジメチルカーボネート(DEC)を体積比1:1で混合した非水溶媒にLiPFを1Mで溶解させたものを用い、評価用コイン電池を得た。
得られた評価用コイン電池を、定電流充放電法(0.2mA)、充放電範囲(0.5V〜3.0V)、放電スタートの条件で充放電を行った。その結果を図5および図6に示す。図5は、2サイクル目の充放電カーブであり、実施例3では、比較例3に比べて、充電容量および放電容量の両方で容量が増大した。特に、実施例3は、比較例3に比べて、充電時の電圧が小さく、放電時の電圧が大きくなっているため、活物質による抵抗が小さくなることが確認された。また、図5において、実施例3の充電容量は141mAh/gであり、比較例3の充電容量は130mAh/gであり、実施例3の放電容量は138mAh/gであり、比較例3の放電容量は126mAh/gであった。一方、図6は、2サイクル目の充放電カーブであり、実施例4では、比較例4に比べて、充電容量および放電容量の両方で容量が増大した。また、図6において、実施例4の充電容量は145.8mAh/gであり、比較例4の充電容量は137.2mAh/gであり、実施例4の放電容量は127.7mAh/gであり、比較例4の放電容量は116.4mAh/gであった。このように、窒素を導入することにより、高容量化を図れることが確認された。これは、上述したように、酸素(O)の一部が窒素(N)で置換されることによって、局所的に正電荷の偏り(ホールh)が生じ、そのホールhが脱離したLiイオンの部位を補うことにより、構造が安定化し、より多くのLiイオンが脱離可能になったためであると考えられる。
(2)X線回折測定
実施例4で得られた窒化リチウム−遷移金属複合酸化物、および比較例4で得られた評価用化合物を用いて、X線回折測定を行った。その結果を図7に示す。図7に示されるように、実施例4および比較例4では、XRDのピークに大きな違いは見られず、両者は、同等の結晶構造を有することが確認された。
(3)外観評価
実施例4で得られた窒化リチウム−遷移金属複合酸化物、および比較例4で得られた評価用化合物の外観を目視で確認したところ、評価用化合物の色は黒であったのに対して、窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の色は黒褐色であった。このように、窒素の導入により、外観変化が生じ、窒化が生じていることが確認された。
[実施例5−1]
原料化合物としてLiCoO(アルドリッチ社製、平均粒径2.5μm)を用意し、窒化剤として尿素(アルドリッチ社製)を用意した。次に、LiCoOおよび尿素を、それぞれ1gずつ秤量して(モル比では、LiCoO:尿素=10:8.6)、乳鉢にて混合し、原料組成物を得た。その後、得られた原料組成物を、成形機にて1cmφ×2mmtに成形し、得られた成形体をガラス管に入れ、真空とした。次に、そのガラス管を、管状炉で200℃、3時間の条件で焼成した。これにより、窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の合成を行った。さらに、大気中、500℃、1時間の条件で焼成することで、残留尿素を除去し、窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を得た。
[実施例5−2〜5−5]
200℃の焼成温度を、それぞれ、300℃、400℃、500℃、600℃に変更したこと以外は、実施例5−1と同様にして、窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を得た。
[評価3]
(X線光電子分光測定)
実施例5−1〜5−5で得られた窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を用いて、X線光電子分光(XPS)測定を行った。XPSでは、N1sの測定を行った。その結果を図8および図9に示す。なお、図9は、図8の一部を拡大した拡大図である。また、N1sのXPS測定により、窒化リチウム−遷移金属複合酸化物のNの状態を、定性的および定量的に評価することができる。定性的にみて、高エネルギー側のピークは、表面吸着成分や有機成分のピーク(402eV〜399eV)であり、低エネルギー側にピークがシフトするほど、LiCoOのOがNに置換されたことを示す(具体的には399eV〜396eVのピーク)。一方、定量的にみて、ピーク強度が高いほど、LiCoOのOがNに置換された量が多いことを示す。このことを踏まえて、図8および図9を見ると、実施例5−1〜5−3では、焼成温度が高くなるにつれて、ピークが低エネルギー側にシフトしていることから、窒化が進行していることが確認された。なお、実施例5−4、5−5では、図9におけるピークが確認されていることから、窒化が進行していることは確認されたが、実施例5−1〜5−3に比べて、ピーク強度が低くなっており、窒化リチウム−遷移金属複合酸化物から窒素元素が脱離した可能性が示唆された。
1 … 正極活物質層
2 … 負極活物質層
3 … 電解質層
10 … 発電要素

Claims (22)

  1. 岩塩層状構造またはスピネル構造を有する窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の製造方法であって、
    Li元素、遷移金属元素およびO元素を有する原料と、下記一般式(1)で表され、常温(25℃)で固体または液体である窒化剤とを含有する原料組成物を調製する調製工程と、
    前記原料組成物を焼成し、前記原料の窒化を行い、窒化リチウム−遷移金属複合酸化物を合成する合成工程と、
    を有することを特徴とする窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の製造方法。
    Figure 2011001256
    一般式(1)において、R、RおよびRは、それぞれ独立であり、炭素(C)、水素(H)、酸素(O)および窒素(N)の少なくともいずれかを有する官能基である。
  2. 前記原料が、リチウム−遷移金属複合酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の製造方法。
  3. 前記リチウム−遷移金属複合酸化物が、前記岩塩層状構造を有し、Li(MはMn、CoおよびNiからなる群から選択される少なくとも一種であり、a〜cは、0<a≦1.3、0.7≦b≦1.3、1.5≦c≦2.5を満たす)で表される化合物であることを特徴とする請求項2に記載の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の製造方法。
  4. 前記リチウム−遷移金属複合酸化物が、LiCoOであることを特徴とする請求項3に記載の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の製造方法。
  5. 前記リチウム−遷移金属複合酸化物が、前記スピネル構造を有し、Li(MはMn、CoおよびNiからなる群から選択される少なくとも一種であり、a〜cは、0<a≦2.0、1.5≦b≦2.5、3≦c≦5を満たす)で表される化合物であることを特徴とする請求項2に記載の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の製造方法。
  6. 前記リチウム−遷移金属複合酸化物が、LiMnであることを特徴とする請求項5に記載の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の製造方法。
  7. 前記窒化剤が、尿素であることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の製造方法。
  8. 前記合成工程の際の焼成温度が、100℃〜800℃の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の製造方法。
  9. 前記合成工程の際の焼成温度が、200℃〜500℃の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれかの請求項に記載の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の製造方法。
  10. 前記合成工程の際の焼成時間が、10分〜7時間の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれかの請求項に記載の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の製造方法。
  11. 岩塩層状構造またはスピネル構造を有する窒化リチウム−遷移金属複合酸化物であって、結晶質であることを特徴とする窒化リチウム−遷移金属複合酸化物。
  12. N元素が、前記窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の内部に存在することを特徴とする請求項11に記載の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物。
  13. 岩塩層状構造またはスピネル構造を有する窒化リチウム−遷移金属複合酸化物であって、N元素が、前記窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の内部に存在することを特徴とする窒化リチウム−遷移金属複合酸化物。
  14. 前記岩塩層状構造を有し、Li(MはMn、CoおよびNiからなる群から選択される少なくとも一種であり、a〜dは、0<a≦1.3、0.7≦b≦1.3、1.5≦c≦2.5、0.01≦d≦0.6を満たす)で表される化合物であることを特徴とする請求項11から請求項13までのいずれかの請求項に記載の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物。
  15. 前記スピネル構造を有し、Li(MはMn、CoおよびNiからなる群から選択される少なくとも一種であり、a〜dは、0<a≦2.0、1.5≦b≦2.5、3≦c≦5、0.01≦d≦0.6を満たす)で表される化合物であることを特徴とする請求項11から請求項13までのいずれかの請求項に記載の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物。
  16. 粒子状であることを特徴とする請求項11から請求項15までのいずれかの請求項に記載の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物。
  17. 平均粒径が100nm〜100μmの範囲内であることを特徴とする請求項16に記載の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物。
  18. 比表面積が0.1m/g〜300m/gの範囲内であることを特徴とする請求項16または請求項17に記載の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物。
  19. 正極活物質として用いられることを特徴とする請求項11から請求項18までのいずれかの請求項に記載の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物。
  20. 請求項1から請求項9までのいずれかの請求項に記載の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物の製造方法により得られたことを特徴とする請求項11から請求項19までのいずれかの請求項に記載の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物。
  21. 正極活物質を含有する正極活物質層と、負極活物質を含有する負極活物質層と、前記正極活物質層および前記負極活物質層の間に形成された電解質層と、を有するリチウム電池であって、
    前記正極活物質が、請求項11から請求項20までのいずれかの請求項に記載の窒化リチウム−遷移金属複合酸化物であることを特徴とするリチウム電池。
  22. 前記電解質層が、液体電解質層または固体電解質層であることを特徴とする請求項21に記載のリチウム電池。
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