JP2011000347A - 遊技機 - Google Patents
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Abstract
【課題】遊技盤面上の任意の位置にある遊技者の手を非接触で検知して遊技者の手の位置を特定することにより、遊技者の動作に合わせた演出制御を可能にする。
【解決手段】遊技機1は、遊技盤の正面側に設けられ、遊技球が打ち出される遊技領域を視認可能にする透明板ユニット4を有する前枠部材3と、その前枠部材3に設けられ、遊技盤面上において透明板ユニット4の近傍に存在する物体までの距離を測定する少なくとも2つの距離センサ9a,9bから成る距離測定手段9と、少なくとも2つの距離センサ9a,9bの測定結果に基づいて遊技盤面上における物体の位置を検出する位置特定部65と、位置特定部65により検出される物体の位置に基づいて演出内容を異なった内容に制御する演出制御基板130とを備える構成である。
【選択図】図1
【解決手段】遊技機1は、遊技盤の正面側に設けられ、遊技球が打ち出される遊技領域を視認可能にする透明板ユニット4を有する前枠部材3と、その前枠部材3に設けられ、遊技盤面上において透明板ユニット4の近傍に存在する物体までの距離を測定する少なくとも2つの距離センサ9a,9bから成る距離測定手段9と、少なくとも2つの距離センサ9a,9bの測定結果に基づいて遊技盤面上における物体の位置を検出する位置特定部65と、位置特定部65により検出される物体の位置に基づいて演出内容を異なった内容に制御する演出制御基板130とを備える構成である。
【選択図】図1
Description
本発明は、遊技盤面に遊技球を打ち出すパチンコ遊技機などの遊技機に関する。
パチンコ遊技機などの遊技機において、遊技盤の遊技領域に打ち出された遊技球に入球すると、遊技盤の略中央に設けた画像表示器が作動し、各種の演出画像を表示するものが公知である。近年、このような遊技機は、遊技者が操作する押圧式の操作ボタンを備えており、遊技の進行に伴い、遊技者が操作ボタンを操作した場合に演出画像の内容を変化させることができるようになっている。
ところが、押圧式の操作ボタンの場合、操作による衝撃が作用するため、長期間の使用により破損する可能性がある。そのため、従来は、遊技盤の略中央に設けられる画像表示器の近傍に光センサを設け、該光センサが画像表示器の正面側の所定の検知範囲内で遊技者の手を非接触で検出することにより、画像表示器に表示する演出内容を変化させるようにした遊技機が提案されている(例えば特許文献1)。
しかしながら、上記特許文献1における光センサは、画像表示器の正面側における所定の検知範囲内に遊技者の手があるか否かを検知するための所謂オンオフセンサである。そのため、例えば画像表示器に対して演出に関する複数の選択肢を表示して遊技者に一の選択肢を選択させる場合、それら複数の選択肢の表示位置に対応させて複数の光センサを設置する必要がある。そのため、選択肢の数を増やそうとすれば、それに応じて光センサの数を増加させることが必要になり、コストの上昇が問題となる。これを防止するため、例えば光センサの数を2つにすると、画像表示器に表示する2つの選択肢のうちから遊技者によって選択されたいずれか一方の演出パターンを実行するといった限られた演出しか実行できないという問題がある。
また上記特許文献1では、画像表示器の正面側における所定の検知範囲内に遊技者の手があればそれを検知することは可能であるが、その検知範囲は極めて限られた範囲であるため、所定の検知範囲以外の領域に遊技者の手がある場合にはそれを検知することはできない。そのため、遊技盤面上の任意の位置にある遊技者の手の位置を特定することができないという問題がある。
そこで本発明は、上記課題を解決すべく、遊技盤面上の任意の位置にある遊技者の手を非接触で検知し、しかも遊技盤面上における遊技者の手の位置を特定することにより、遊技者の動作に合わせた従来よりもきめ細かな演出制御を行うことができるようにした遊技機の提供を目的としている。
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、遊技機であって、遊技球が打ち出される遊技領域を有する遊技盤と、前記遊技盤の正面側に設けられ、前記遊技領域を視認可能にする透明板を有する前枠部材と、前記前枠部材に設けられ、前記遊技盤面上において前記透明板近傍に存在する物体までの距離を測定する少なくとも2つの距離センサから成る距離測定手段と、前記少なくとも2つの距離センサの測定結果に基づいて前記遊技盤面上における物体の位置を特定する位置特定手段と、前記位置特定手段により特定される物体の位置に基づいて演出内容を異なった内容に制御する演出制御手段と、を備える構成である。
かかる構成によれば、少なくとも2つの距離センサの測定結果により、透明板近傍に存在する物体の位置を、例えば遊技盤面上における2次元座標として特定することができるようになり、これを演出制御に利用することで、遊技者の動作に合わせた演出制御が可能になる。
また請求項2にかかる発明は、請求項1記載の遊技機において、前記距離測定手段は、前記前枠部材において前記透明板の周囲の異なる位置に設けられた3つの距離センサを備え、前記位置特定手段は、前記3つの距離センサの測定結果に基づいて前記遊技盤面上における物体の位置を特定することを特徴としている。かかる構成によれば、透明板近傍に存在する物体の位置をより高精度に特定することが可能になる。
また請求項3にかかる発明は、請求項1又は2記載の遊技機において、前記演出制御手段は、所定の演出タイミングにおいて、前記位置特定手段により物体の位置が特定された場合に、その物体の位置に基づいて演出内容を異なった内容に制御することを特徴としている。かかる構成によれば、所定の演出タイミングにおいて遊技者の動作に合わせた演出制御が行える。
また請求項4にかかる発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の遊技機において、前記位置特定手段により特定される物体の位置が所定の不正検知領域にあるか否かを判定する不正検出手段をさらに備えることを特徴としている。かかる構成は、少なくとも2つの距離センサの測定結果を、例えば磁石による不正行為を検出するためにも利用するものである。
また請求項5にかかる発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の遊技機において、前記距離センサが正常に機能しているか否かを診断する自己診断手段と、前記自己診断手段が前記距離センサの機能停止を検出した場合に異常信号を出力する異常出力手段と、をさらに備えることを特徴としている。かかる構成によれば、距離センサが機能停止した場合、それに対処するための措置を速やかに行えるようになる。
本発明にかかる遊技機によれば、少なくとも2つの距離センサが透明板近傍に存在する物体までの距離を測定し、その測定結果に基づいて物体の位置を検出することにより、透明板近傍に存在する物体の位置を例えば遊技盤面上における2次元座標として特定することができる。そして特定された物体の位置に基づいて演出内容を異なった内容に制御するので、遊技者の手の位置や手の移動方向など、遊技者の動作に合わせて演出内容を変化させることができ、従来よりもきめ細かな演出制御を行うことができるようになる。
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについて重複する説明は省略する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態における遊技機1の外観構成を示す斜視図であり、遊技機1の正面側を斜め下方から観た図である。本実施形態の遊技機1は、ホール(店舗)の島設備などに固定される本体枠2と、その本体枠2の正面側に設けられた前枠部材3とを備えている。前枠部材3は、本体枠2の左端部に設けられた支持部2a,2bによって所定の鉛直軸周りに開閉可能に軸支される。また前枠部材3は、その中央に、本体枠2の内側に設けられる遊技盤20の遊技領域21を視認可能にするための透明板ユニット4が嵌め込まれた窓部5を有している。ここで透明板ユニット4は、ガラス板などで構成される2枚の透明板を、所定間隔を隔ててほぼ平行な状態に保持するユニットであり、前枠部材3の窓部5に嵌め込まれた状態で固定される。
図1は、第1の実施の形態における遊技機1の外観構成を示す斜視図であり、遊技機1の正面側を斜め下方から観た図である。本実施形態の遊技機1は、ホール(店舗)の島設備などに固定される本体枠2と、その本体枠2の正面側に設けられた前枠部材3とを備えている。前枠部材3は、本体枠2の左端部に設けられた支持部2a,2bによって所定の鉛直軸周りに開閉可能に軸支される。また前枠部材3は、その中央に、本体枠2の内側に設けられる遊技盤20の遊技領域21を視認可能にするための透明板ユニット4が嵌め込まれた窓部5を有している。ここで透明板ユニット4は、ガラス板などで構成される2枚の透明板を、所定間隔を隔ててほぼ平行な状態に保持するユニットであり、前枠部材3の窓部5に嵌め込まれた状態で固定される。
また前枠部材3は、窓部5の下方において、遊技機1の正面側に張り出した状態に形成された球受け部6を有している。この球受け部6の上面には、遊技機1から払い出される賞球を受けるための凹状に形成された球受け皿が設けられている。また球受け部6の上面には、図示を省略する演出ボタンなども設けられている。この球受け部6の右下部には、遊技者が操作するハンドルレバー7が設けられている。遊技者が、このハンドルレバー7を時計方向に回転操作すると、遊技球発射機構が作動し、その操作角度に応じた打球力で遊技球が遊技盤20の遊技領域21に所定の時間間隔で打ち出される。その遊技球が遊技盤20に設けられた各種入賞口に入球すると、それに応じた賞球が球受け皿に払い出される。
また前枠部材3は、窓部5の左右両側に複数のLEDなどが縦方向に配列された枠ランプ11を備えている。また前枠部材3は、その上部が正面側に張り出した膨出部3aとなっており、この膨出部3aの左右両側に一対のスピーカ10が設けられており、その中央に枠ランプの一種である上部ランプ12が設けられている。この上部ランプ12は、遊技の進行状態に応じた演出を行うため、光の照射方向を縦方向又は横方向に揺動させることができるようになっており、その駆動機構は膨出部3aの内部に設けられている。また前枠部材3は、球受け部6の下方も正面側に張り出した膨出部3bとなっており、この膨出部3bの中央に枠ランプの一種である下部ランプ13が設けられている。この下部ランプ13もまた、遊技の進行状態に応じた演出を行うため、光の照射方向を縦方向又は横方向に揺動させることができるようになっており、その駆動機構が膨出部3bの内部に設けられている。
そして図1に示すように、前枠部材3の上部に設けられた膨出部3aの下面側に、透明板ユニット4の表面近傍に存在する物体までの距離を測定するための2つの距離センサ9a,9bが距離測定手段9として設けられている。距離センサ9a,9bは、膨出部3aにおいて左右対称の位置に設けられ、その本体は膨出部3aの内側に保持されている。また距離センサ9a,9bは、膨出部3aの下面から透明板ユニット4の表面側空間を臨む状態に取り付けられ、それぞれのセンサが独立して透明板ユニット4の表面近傍に存在する物体までの距離を非接触で測定する。距離センサ9a,9bによって測定対象となる物体は、例えば遊技者の手などである。このような距離センサ9a,9bとしては、例えば超音波センサや光センサなどの非接触式センサを用いることができるが、本実施形態ではその一例として超音波センサを採用する場合を例示する。
図2は、距離測定手段9である距離センサ9a,9bの詳細な一構成例を示す図である。各距離センサ9a,9bは、平板状のベース部材14と、そのベース部材14のほぼ中央に設けられる超音波送信器15と、超音波送信器15を挟んで対称な位置に設けられる2つの超音波受信器16,17とを備えている。例えば、超音波送信器15および超音波受信器16,17のそれぞれは同一の圧電素子によって構成される。
超音波送信器15は、積層構造の圧電体に対して所定周波数(例えば40kHz)のパルス電圧が加えられることにより、素子の表面15aからパルス電圧の周波数に対応した超音波を送出する。このとき、超音波送信器15は、圧電素子の中心軸を基準に所定角度θの範囲内に超音波を送出する。尚、この角度θは、使用する圧電素子を変更することにより適宜設定することが可能であるが、本実施形態では透明板ユニット4が設けられている領域のほぼ全体が超音波送出範囲内となるように設定することが好ましい。
超音波受信器16,17は、超音波送信器15から送出された超音波が透明板ユニット4の表面近傍において物体に当たって反射した反射波を受信するためのものである。超音波受信器16,17の表面16a,17aに超音波が入射すると、それに伴って積層構造の圧電体が振動するので、各超音波受信器16,17は受信した超音波の周波数に対応したパルス信号(電圧)を発生させる。そして後述するように、超音波送信器15が超音波を送信したタイミングと、超音波受信器16,17が超音波を受信したタイミングとの時間差により、透明板ユニット4の表面近傍に位置する物体までの距離を測定するように構成される。
ここで各超音波受信器16,17は超音波送信器15と同一の圧電素子であるので、各超音波受信器16,17が感度を有する超音波の入射角度範囲は、超音波送信器15の送出角度θとほぼ同等である。そのため、図2に示すように、2つの超音波受信器16,17を、超音波送信器15を中心とする対称的な位置に設けることにより、これらの配列方向において反射波の受信可能領域を拡げており、超音波送信器15が送出する超音波の到達範囲内から反射してくる反射波を漏れなく検知することができるようになっている。
上記構成の距離センサ9a,9bは、図1に示すように超音波受信器16、超音波送信器15および超音波受信器17の配列方向が透明板ユニット4の表面とほぼ平行になるように設けられている。そのため、2つの超音波受信器16,17による超音波の受信可能領域は透明板ユニット4の表面とほぼ平行な方向に拡がっており、透明板ユニット4の表面近傍において、超音波送信器15による超音波の送出範囲から反射してくる反射波を漏れなく受信することが可能である。
尚、上記においては、超音波送信器15と超音波受信器16,17とを同一の圧電素子で構成する場合を例示した。これらを同一の圧電素子で構成することにより、部品の種類を減らすことができるので、コストを抑制することができるという利点があるが、必ずしもそれらを同一の圧電素子で構成することに限定するものではない。
図3は、距離センサ9aの取り付け状態を示す遊技機上部の概略縦断面図である。尚、距離センサ9bの取り付け状態についてもこれと同様である。図3に示すように距離センサ9aは、前枠部材3の上部に張り出し形成された膨出部3aの内部所定箇所に固定されている。そして膨出部3aの下面3cには、距離センサ9aが設けられた位置に対応して3つの孔18が設けられている。距離センサ9aの超音波送信器15および超音波受信器16,17はそれら3つの孔18に配設されており、それぞれの表面15a,16a,17aが膨出部3aの下面3cとほぼ面一となる状態に取り付けられている。そのため、遊技機1を正面から観た場合でも、距離センサ9aは目立たない取り付け態様となっている。
また図3に示すように距離センサ9aの超音波送信器15および超音波受信器16,17の軸方向(圧電素子の積層方向)は、側面視において透明板ユニット4とほぼ平行である。そのため、距離センサ9aは、透明板ユニット4の表面に沿って超音波を送出する。
また図1に示すように各距離センサ9a,9bは、透明板ユニット4の中央部に向けて超音波を送出すべく、超音波送信器15および超音波受信器16,17の軸方向が正面視において若干左右方向に傾斜した状態となっている。そのため、各距離センサ9a,9bは、透明板ユニット4の表面のほぼ全体に向けて超音波を送信可能となっており、透明板ユニット4の表面近傍に位置する物体を検知することができる。
図4は、遊技機1の前枠部材3を開放した状態を示す図である。尚、図4では、遊技盤20に設けられる各部材の図示を省略している。図3に示すように透明板ユニット4の背面側には、遊技領域21を有する遊技盤20が設けられており、この遊技盤20は本体枠2の内側に装着されている。遊技者が遊技を行うときには、図1に示したように前枠部材3は本体枠2に閉じられ、施錠された状態となるのに対し、遊技中、例えば遊技領域21において球詰まりなどが生じると、店員が前枠部材3を解錠して図4に示すように前枠部材3を開放することにより、遊技領域21の球詰まりなどを解消することができる。このように前枠部材3は、遊技中において店員による開閉操作が行われることがあるため、上述した距離センサ9a,9bからの配線ケーブル19は、支持部2a,2bによって規定される前枠部材3の回動軸近傍に引き回され、その回動軸近傍から本体枠2の内部へと配線されている。そのため、距離センサ9a,9bに接続するための配線ケーブル19が、前枠部材3の開閉操作を妨げることはない。また逆に、前枠部材3の開閉操作が行われた場合であっても配線ケーブル19に負荷がかかることはなく、断線などの不具合が生じることを防止できる。
次に遊技機1の本体枠2の内側に設けられる遊技盤20の一例について説明する。図5は、遊技盤20の一例を示す正面図である。遊技盤20は、図5に示すように外側レール22と内側レール23とで囲まれた略円形の遊技領域21を有している。遊技球は、遊技領域21の左側に設けられた外側レール22と内側レール23の間の空隙から遊技領域21の内側に打ち出される。その遊技領域21の内側には、遊技盤20の略中央に位置するように画像表示ユニット24が設けられている。この画像表示ユニット24は、遊技盤20の略中央に形成された貫通孔に嵌め込まれ、ビスなどの固定手段によって遊技盤20に固定されている。
画像表示ユニット24は、その中央に、液晶ディスプレイなどで構成される画像表示器25を備えている。画像表示器25は、遊技の進行に伴って各種演出を行うための演出用画像や、遊技の進行とは関係なく遊技者に対して各種報知を行うための報知用画像などを表示する。また画像表示ユニット24は、画像表示器25の周囲に配置された演出用の各種盤ランプや可動役物などを備えている。
また遊技領域21には、画像表示ユニット24の周囲に配置された、多数の釘、スルーゲート、風車、各種入賞口、およびアウト口などの公知の部材が設けられている。そのため、遊技領域21に打ち出された遊技球は、多数の釘や風車などによって進路を変えながら遊技領域21を下方に向かって転動していき、スルーゲートを通過したり、各種入賞口に入球したり、或いはアウト口から排出される。
図例の場合、画像表示ユニット24の左側にスルーゲート29が設けられており、このスルーゲート29を遊技球が通過することにより、遊技機1において普通図柄の抽選が行われる。また画像表示ユニット24の下方には、始動口26、電動チューリップ27および大入賞口28が設けられている。始動口26および電動チューリップ27は、遊技球が入球することによって所定球数の賞球を払い出す入賞口であると共に、遊技機1において大当たり抽選が行われる入賞口である。つまり、始動口26および電動チューリップ27は、遊技機1において大当たり抽選を行うための条件となる入賞口である。電動チューリップ27はその左右に開閉する羽根部材を備えており、通常その羽根部材は閉じた状態となっている。そして遊技球がスルーゲート29を通過したことに伴って行われる普通図柄の抽選に当選すると、その左右の羽根部材が遊技状態に応じて所定時間および所定回数開放し、電動チューリップ27に遊技球が入球し易くなる。大入賞口28は、大当たり抽選において当選した場合、その当選した当たりの種類に応じて所定回数開閉する入賞口である。大入賞口28の開放中に遊技球が大入賞口28に入球すると、その入球数に応じて賞球の払い出しが行われる。また遊技領域21の最下部には、いずれの入賞口にも入球しなかった遊技球を遊技盤20の背面側に排出するためのアウト口21aが設けられている。
遊技領域21の外側で遊技盤20の右下部には、例えば複数のLED発光素子によって構成される表示器30が設けられている。この表示器30は、例えば、普通図柄の抽選結果を表示する普通図柄表示器31と、普通図柄抽選の保留数を表示する普通図柄保留表示器32と、大当たり抽選の結果に応じた特別図柄を表示する特別図柄表示器33と、大当たり抽選の保留数を表示する特別図柄保留表示器34とを有している。すなわち、表示器30は、遊技の進行に伴う普通図柄抽選の結果および大当たり抽選の結果を表示するためのものである。このような表示器30は、画像表示器25と比較すると表示サイズが小さく、しかも、遊技者にとって各種抽選結果を把握しにくい態様で表示が行われる。そのため、遊技者は、通常、画像表示器25に表示される演出用の画像を視認しながら遊技を行うことになる。
例えば、遊技領域21に打ち出された遊技球が、始動口26又は電動チューリップ27に入球すると、遊技機1は上述したように大当たり抽選を行う。そして遊技機1は、特別図柄表示器33を作動させて特別図柄の変動表示を所定時間行い、所定時間経過後に変動表示を停止させて大当たり抽選の結果に応じた特別図柄を表示する。大当たり抽選において当選する当たりの種類として、例えば「大当たり」と「小当たり」とがあり、大当たりに当選している場合、特別図柄表示器33は特別図柄の変動表示を開始してから所定時間が経過した後、その大当たりに対応した特別図柄を表示した状態で停止する。また小当たりに当選している場合、特別図柄表示器33は特別図柄の変動表示を開始してから所定時間が経過した後、その小当たりに対応した特別図柄を表示した状態で停止する。ただし、大当たりと小当たりのそれぞれに対応する特別図柄は、一見してそれらを区別して把握することが困難な図柄(表示態様)となっている。
一方、画像表示器25では、特別図柄表示器33における特別図柄の変動表示中に、例えば数字などが付された3列の装飾図柄の変動表示が行われる。この装飾図柄の変動表示中は、遊技機1において予告演出やリーチ演出などの各種演出が行われることがある。例えば3列の装飾図柄のうち、2列の装飾図柄が揃った状態で停止すると、リーチ演出に移行し、画像表示器25においてリーチ演出用の動画像などが表示される。また装飾図柄の変動表示中或いはリーチ演出中の所定の演出タイミングで、遊技者が遊技盤20の正面側の透明板ユニット4の表面近傍に手をかざしたり、或いは手を移動させると、画像表示器25は、その遊技者の手の位置や手の移動方向などに応じた演出を行うことがある。そして3列の装飾図柄の変動表示は、特別図柄表示器33における特別図柄の変動表示の停止と同時に或いはその直前に停止し、大当たり抽選の結果を遊技者に報知する。例えば、大当たりに当選していれば、3列の装飾図柄は「7,7,7」などのように全て揃った状態で停止するので、遊技者は大当たりに当選したことを把握することができる。
大当たり抽選において大当たりに当選すると、遊技機1は大当たり遊技(特別遊技状態)に移行し、大入賞口28が開閉する。この大当たり遊技では、例えば、大入賞口28を開放する1回当たりの開放時間が所定時間(例えば30秒など)に設定され、その1回当たりの開放設定時間が経過するか或いは開放中に所定球数(例えば9個)の入球がカウントされれば大入賞口28を閉鎖するラウンドが所定回数(例えば15ラウンド)繰り返される。したがって、大当たり遊技において大入賞口28に多くの遊技球を入球させることにより、遊技者は多くの賞球を獲得することができる。
また大当たり抽選において小当たりに当選した場合、遊技機1は小当たり遊技に移行し、この場合も大入賞口28が開閉する。ただし、小当たり遊技では、大入賞口28を開放する1回当たりの開放時間が大当たり遊技と比較して短い時間(例えば0.1秒など)に設定される。そのため、小当たり遊技では、大当たり遊技の場合と同様に所定球数(例えば9個)の入球がカウントされれば大入賞口28を閉鎖するようになっているものの、通常は小当たり遊技中に開放される大入賞口28に、そのような多くの遊技球を入球させることは難しく、遊技者にとっては多くの賞球を獲得することが困難な遊技状態となっている。
上記のような遊技盤20は、前枠部材3の窓部5に嵌め込まれた透明板ユニット4を介して遊技者が視認可能なようになっており、特に遊技盤20における遊技領域21の略全体を視認することができる。
図6は、本実施形態における遊技機1を正面から観た図である。遊技者は、図6に示す状態で、前枠部材3の窓部5を介して遊技領域21に打ち出される遊技球の挙動や、画像表示器25における装飾図柄の表示などに注目しつつ遊技を行う。
図6に示すように、距離センサ9a,9bはそれぞれ、前枠部材3の上部から所定角度θの範囲内に超音波を送出し、遊技盤20の盤面のほぼ全体(特に遊技領域21のほぼ全体)に超音波を送出する。透明板ユニット4の表面近傍に遊技者の手などが存在しない場合、各距離センサ9a,9bから送出される超音波は、前枠部材3の下部に設けられた球受け部6やその他の窓部5の周縁部で反射し、それらの反射波が各距離センサ9a,9bに入射する。つまり、透明板ユニット4の表面近傍に遊技者の手などの物体が存在しない状態では、各距離センサ9a,9bが受信する反射波は、常に一定の状態(定常状態)となっている。
これに対し、透明板ユニット4の表面近傍に遊技者の手などの物体が存在する場合、各距離センサ9a,9bが受信する反射波には、その物体で反射した反射波が含まれるため、定常状態とは異なった状態となる。そこで遊技機1は、各距離センサ9a,9bが受信する反射波のうちから定常状態とは異なる反射波を、透明板ユニット4の表面近傍に存在する物体からの反射波として抽出し、各距離センサ9a,9bが超音波を送出したタイミングと、物体からの反射波を受信したタイミングとの時間差により透明板ユニット4の表面近傍に位置する物体までの距離を測定する。ここで各距離センサ9a,9bは、透明板ユニット4の表面近傍に位置する物体までの距離を個別に測定するため、距離センサ9aからは第1の距離情報L1が得られ、距離センサ9bからは第2の距離情報L2が得られる。そして各距離センサ9a,9bが設置されている位置情報と、測定によって得られる第1および第2の距離情報L1,L2とに基づいて演算を行うことにより、透明板ユニット4の表面近傍に存在する物体の2次元的な位置(遊技盤面上における位置)を特定することができる。
そして遊技機1は、上記のようして特定される遊技盤面上での物体(遊技者の手)の位置に基づいて画像表示器25における演出画像を変化させたり、或いは可動役物を作動させたり、ランプを点灯させるなど、演出内容を異なった内容に変化させるように制御する。
また各距離センサ9a,9bが比較的短い周期で交互に測定動作を行うことにより、透明板ユニット4の表面近傍に位置する物体が遊技盤面に沿って移動する場合でも、その移動をほぼリアルタイムで検知することも可能である。そのため、遊技機1は、遊技盤面上における遊技者の手の移動方向に合わせて演出内容を異なった内容に変化させることもできる。
ところで、本実施形態の遊技機1は、遊技領域21に打ち出された遊技球が、始動口26や電動チューリップ27に入球すると、上述したように賞球の払い出しを行うと共に、それを条件として大当たり抽選を1回行う。そのため、例えば磁石を用いて遊技球を不正に誘導するような不正行為を行う遊技者は、獲得する賞球数を増やそうとして、或いは、大当たり抽選の機会を増やそうとして、始動口26や電動チューリップ27に磁石を接近させる動作を行う。
また大当たり抽選に当選した場合の大当たり遊技中又は小当たり遊技中は、大入賞口28が開放される。大当たり遊技又は小当たり遊技では、上述したように開放中の大入賞口28に所定球数の遊技球が入球すると、大入賞口28が閉鎖する。ところが、所定球数をカウントするまでに所定球数を超えて大入賞口28に入球した場合には、所定球数を超える分に対しても賞球が払い出される。そのため、磁石を用いて不正行為を行う遊技者は、大当たり遊技中或いは小当たり遊技中、獲得する賞球数を増やそうとして大入賞口28に磁石を接近させる動作を行う。
そこで本実施形態では、図6に破線で示すように、遊技盤面上において始動口26、電動チューリップ27および大入賞口28を含む領域R1を不正検知領域としており、距離センサ9a,9bの測定結果に基づいて透明板ユニット4の表面近傍に物体が検知された場合、その物体が不正検知領域R1に位置していれば、遊技者による不正行為が行われている可能性があることを検知する。
つまり、本実施形態の遊技機1は、距離センサ9a,9bの測定結果に基づいて透明板ユニット4の表面近傍に物体が検知された場合、その物体の位置情報を演出制御に利用すると共に、磁石による不正行為が行われているか否かを判断するための情報としても利用する。そのため、本実施形態の遊技機1は、遊技者の手の位置や移動方向などに応じて遊技の進行に伴って行われる演出を適宜異なった演出内容に変化させることにより、遊技性に富んだ多様な演出を行うことができると共に、磁石による不正行為を検知することもできるように構成されている。
次に図7は、遊技機1の制御機構を示すブロック図であり、遊技機1の背面側(本体枠2における遊技盤20の背面側)に取り付けられる各種制御基板を示している。遊技機1は、遊技に関する主たる動作を制御するメイン制御基板100と、メイン制御基板100から出力される信号やコマンドに基づいて各部を制御するサブ制御基板200と、距離センサ9a,9bを制御する距離センサ制御基板300とを備えている。本実施形態の場合、サブ制御基板200は、払出制御基板120、演出制御基板130、画像制御基板140、ランプ制御基板150等で構成されている。
メイン制御基板100は、遊技に関する主要動作を制御する遊技制御部50を備えている。またメイン制御基板100には、遊技球が始動口26又は電動チューリップ27に入球したことを検知する始動口スイッチ81、電動チューリップ27を開閉させる電チューソレノイド82、遊技球がスルーゲート29を通過したことを検知するゲートスイッチ83、遊技球が普通入賞口に入球したことを検知する普通入賞口スイッチ84、遊技球が大入賞口28に入球したことを検知する大入賞口スイッチ85、大入賞口28を開閉駆動する大入賞口ソレノイド86、普通図柄表示器31、普通図柄保留表示器32、特別図柄表示器33および特別図柄保留表示器34が接続されている。
遊技制御部50は、CPU101とROM102とRAM103とを備えている。この遊技制御部50は、始動口スイッチ81、普通入賞口スイッチ84および大入賞口スイッチ85のそれぞれが遊技球の入球を検知した場合、その入球数に応じて払出制御基板120に賞球コマンドを送出する。払出制御基板120は、CPU121とROM122とRAM123とを備え、遊技盤20の背面側に設けられた払出モータ124を制御するように構成されており、メイン制御基板100から賞球コマンドを入力すると、入球した入賞口に応じて所定球数の払い出しを行う。
また遊技制御部50は、大当たり抽選や普通図柄の抽選を行うように構成されている。例えばゲートスイッチ83が遊技球の通過を検知した場合、電動チューリップ27を開閉するための普通図柄抽選を行い、当選すれば電チューソレノイド82を所定時間若しくは所定回数駆動させて電動チューリップ27を開放させる。また始動口スイッチ81が入球を検知した場合、遊技制御部50は、大当たり抽選を行い、特別図柄表示器33での特別図柄の変動表示を開始すると共に、その抽選結果に応じた演出を行わせるべく、演出制御基板130に対して信号やコマンドを送出する。また始動口スイッチ81が入球を検知したとき、特別図柄の変動表示中である場合は、その入球に伴う特別図柄の変動表示を保留し、特別図柄保留表示器34に保留数を表示する。また遊技制御部50による大当たり抽選で大当たり又は小当たりに当選した場合、遊技制御部50は、特別図柄の変動表示後にその当たり種別に対応した特別図柄を表示し、大入賞口ソレノイド86の開閉駆動を開始すると共に、その当たり種別に応じてサブ制御基板200の各部を制御することにより、遊技機1を大当たり遊技状態又は小当たり遊技状態に移行させる。
また遊技制御部50には、距離センサ制御基板300において磁石による不正行為を検出された場合に出力される不正信号SG2が入力する。遊技制御部50は、不正信号SG2を入力すると遊技者による不正行為に対処するための処理を実行するがこれについては後述する。
演出制御基板130は、CPU131とROM132とRAM133とリアルタイムクロック(RTC)134とを備えている。演出制御基板130は、メイン制御基板100からの信号やコマンドなどに基づいて具体的な演出内容を決定し、画像制御基板140とランプ制御基板150のそれぞれを制御する。例えば、特別図柄の変動表示に伴ってメイン制御基板100から入力する変動パターンなどに基づいて装飾図柄の変動表示パターンや各種ランプの点灯パターンなどの演出パターンを決定し、メイン制御基板100によって特別図柄の変動表示が行われる時間の間、大当たり抽選の結果に応じた演出を行うべく、画像制御基板140およびランプ制御基板150のそれぞれを制御する。
また演出制御基板130には、距離センサ制御基板300において検出される物体の位置情報SG1が入力する。演出制御基板130は、物体の位置情報SG1を入力すると、それに応じて演出内容を変化させることがあるがこれについては後述する。
画像制御基板140は、CPU141とROM142とRAM143とVRAM144とを備えており、演出制御基板130からの指示に基づいて画像表示器25における装飾図柄の変動表示を行うと共に、演出制御基板130から指定された図柄でその変動表示を停止させるなど、画像表示器25での表示画像を制御する。また画像制御基板140は、演出制御基板130からの指定に基づいてリーチ演出や画像表示器25にキャラクタを出現させるなどの各種の演出を行う。VRAM144は、画像表示器25に表示するための画像を書き込むメモリである。CPU141はこのVRAM144に対して背景画像表示処理、装飾図柄表示処理、キャラクタ画像表示処理などの各種処理を実行することにより、画像表示器25に対して、背景画像、装飾図柄画像、キャラクタ画像などを重畳的に表示することができる。また画像制御基板140は、スピーカ10から演出用の効果音などを発生させる。
ランプ制御基板150は、CPU151とROM152とRAM153とを備えており、演出制御基板130からの指示に基づいて枠ランプ11(上部ランプ12および下部ランプ13を含む)や盤ランプ87などを含む各種ランプを点灯させると共に、演出用の各種可動役物を駆動するための役物駆動部88を制御する。また図示を省略するが、ランプ制御基板150は上部ランプ12および下部ランプ13を揺動させる駆動機構を制御するようにも構成される。
距離センサ制御基板300は、前枠部材3に設けられた距離センサ9a,9bを個別に制御する距離センサ制御部51と、各距離センサ9a,9bによる測定結果に基づいて物体の位置を検出する位置検出部52とを備えている。
図8は、距離センサ制御基板300に設けられた距離センサ制御部51および位置検出部52の一構成例を示すブロック図である。図8に示すように距離センサ制御部51は、タイミング生成回路61と、距離センサ9aを制御する第1距離センサ制御回路62と、距離センサ9bを制御する第2距離センサ制御回路63とを備えている。
タイミング生成回路61は、所定周波数(例えば40kHz)のタイミング信号を生成し、第1距離センサ制御回路61と第2距離センサ制御回路62のそれぞれに対して一定周期ごとに交互にそのタイミング信号を出力する。第1距離センサ制御回路62および第2距離センサ制御回路63はそれぞれタイミング生成回路61から入力するタイミング信号に基づいて各距離センサ9a,9bを駆動し、透明板ユニット4の表面近傍に存在する物体までの距離を測定する。
第1距離センサ制御回路62は、駆動回路161と、信号処理回路162と、時間計測回路163と、距離算出部164と、自己診断回路165と、異常出力部166とを備えている。尚、第2距離センサ制御回路63についてもこれと同様の構成であるので、以下においては第1距離センサ制御回路62を例に挙げて説明する。
駆動回路161は、タイミング生成回路61から入力するタイミング信号に基づいて距離センサ9aに含まれる超音波送信器15を駆動する回路である。この駆動回路161は、例えば、入力するタイミング信号を増幅して超音波送信器15に出力することにより、超音波送信器15が所定周波数の超音波を送出するように制御する。
信号処理回路162は、超音波受信器16,17が超音波を受信することによって発生するパルス信号を処理する回路である。信号処理回路162は、例えば、所定周波数(例えば40kHz)のパルス信号のみを抽出するフィルタ、整流器、増幅器、各超音波受信器16,17から出力される信号を加算する加算器などを備えており、超音波送信器15が送出した超音波に対応する信号成分のみを抽出して時間計測回路163と自己診断回路165に送出する。
時間計測回路163は、超音波送信器15が超音波を送信してから超音波受信器16,17が物体からの反射波を受信するまでに要した時間を計測する回路である。時間計測回路163には、タイミング生成回路61が出力するタイミング信号が入力している。時間計測回路163はそのタイミング信号に基づいて時間計測を開始する。そして信号処理回路162から出力される信号から、透明板ユニット4の表面近傍に位置する物体からの反射波に対応する信号成分のみを抽出し、超音波受信器16,17が物体からの反射波を受信するまでに要した時間を測定する。時間計測回路163によって測定された時間は、距離算出部164に出力される。尚、時間計測を開始してから所定時間内に、透明板ユニット4の表面近傍に位置する物体からの反射波に対応する信号成分を抽出することができなかった場合は時間計測動作を停止し、距離算出部164への時間の出力は行わない。
距離算出部164は、時間計測回路163から入力する時間に基づいて透明板ユニット4の表面近傍に存在する物体までの距離を算出する処理部である。超音波の伝播速度は既知であるため、距離算出部164は、時間計測回路163から入力する時間と、超音波の伝播速度とに基づいて演算を行うことにより、物体までの距離を算出する。そして距離算出部164において算出される第1の距離情報L1は、位置検出部52に出力される。
一方、自己診断回路165は、超音波送信器15が超音波を送信してから所定時間内にその超音波の反射波(定常状態の反射波を含む。)を受信したか否かを診断することにより、距離センサ9aが正常に機能しているか否かを判断する処理部である。例えば悪意ある遊技者が超音波送信器15および超音波受信器16,17のいずれか一方、若しくは双方の表面部分を何らかの部材で塞いでしまった場合、距離センサ9aによる距離測定機能は停止する。そのため、自己診断回路165は、距離センサ9aが正常に機能しているか否かを、常に或いは定期的に診断することにより、そのような不正行為を検出することができるようになっている。また自己診断回路165は、不正行為による機能停止だけでなく、故障などが原因で距離センサ9aが機能停止している場合にもそれを検出することができる。そして自己診断回路165が距離センサ9aの機能停止を検出した場合、異常出力部166に対して異常信号を出力する。
異常出力部166は、自己診断回路165が距離センサ9aの機能停止を検出した場合、それをメイン制御基板100の遊技制御部50に対して通知する処理部であり、上述した不正信号SG2とは別に、距離センサ9aの機能が停止したことを示す異常信号を遊技制御部50に出力する。
また第2距離センサ制御回路63も上記と同様であり、第2距離センサ制御回路63からは距離センサ9bが超音波を送受信することによって測定された物体までの距離を示す第2の距離情報L2が出力され、位置検出部52へと導かれる。
位置検出部52は、物体の位置を特定する位置特定部65と、その特定された物体の位置に基づいて遊技者による不正行為を検出する不正検出部66とを備えている。
位置特定部65は、第1の距離情報L1および第2の距離情報L2に基づいて演算を行うことにより透明板ユニット4の表面近傍に存在する物体が遊技盤面上のどのような位置にあるかを特定し、その位置情報SG1を出力する。この位置情報SG1は、例えば遊技盤面上における2次元座標として表現される。
ここで位置特定部65において物体の位置を特定するための処理の概念について説明する。図9は、遊技機1の正面図であり、距離センサ9aによって測定された第1の距離情報L1と、距離センサ9bによって測定された第2の距離情報L2とによって物体Mの位置を特定する処理の概念を示している。図9に示すように距離センサ9aから物体Mまでの距離がL1であるとすると、その物体Mは、距離センサ9aの位置を中心とする半径L1の円弧状ラインLa上のどこかの位置に存在する。一方、距離センサ9bから物体Mまでの距離がL2であるとすると、その物体Mは、距離センサ9bの位置を中心とする半径L2の円弧状ラインLb上のどこかの位置に存在する。したがって、物体Mは2つのラインLa,Lbの交点上に位置していることになる。そこで位置特定部65は、遊技盤面上における各距離センサ9a,9bの設置位置と、第1の距離情報L1と、第2の距離情報L2とに基づいて演算を行い、2つのラインLa,Lbの交点を求めることにより物体Mの位置を特定する。
ところで、上記のようにして2つのラインLa,Lbの交点を求めた場合、2つの交点が求められることがある。この場合、一方の交点が透明板ユニット4の外側に位置していれば、他方の交点(つまり、透明板ユニット4の内側に位置する交点)を物体Mが存在する位置として特定することができる。しかし、2つの交点のそれぞれが透明板ユニット4の内側に位置することもある。図10はそのようなケースを示しており、距離センサ9aの位置を中心とする半径L1の円弧状ラインLaと、距離センサ9bの位置を中心とする半径L2の円弧状ラインLbとの2つの交点が透明板ユニット4の内側に位置している。このような場合、図10に示す物体M1と物体M2の2つの位置のうち、実際に物体が存在する位置を正確に特定することができないが、位置特定部65は物体M1と物体M2の2つの位置のうちからいずれか一方を選択して物体Mの位置を特定する。例えば、物体M1と物体M2の2つの位置のうち、透明板ユニット4の中央部に近い方の位置を選択し、物体Mの位置を特定する。
尚、本実施形態では、距離センサ9a,9bが透明板ユニット4の上方2箇所に設けられているのに対し、不正検知領域R1は透明板ユニット4の中央下部に設定されているので、ラインLaとLbとの2つの交点が共に透明板ユニット4の内側となり、かつ、そのうちのいずれか一方が不正検知領域R1に位置するというケースは生じ得ない。そのため、上述のように、位置特定部65が、物体M1と物体M2の2つの位置のうちからいずれか一方を適宜に選択したとしても、それによって不正行為が検知できなくなることはなく、また逆に不正行為でない行為を不正行為として誤検知してしまうこともない。
上記のようにして位置特定部65が物体Mの位置を特定すると、その物体Mの位置情報SG1を不正検出部66に出力する。また位置特定部65はその位置情報SG1を演出制御基板130にも出力する。
次に不正検出部66は、位置特定部65から位置情報SG1を入力し、透明板ユニット4の表面近傍に存在する物体が不正検知領域R1の内側にあるか否かを判断し、不正検知領域R1の内側にある場合には遊技者による不正行為が行われているものと判定して遊技制御部50に対して不正信号SG2を出力する。つまり、図11に示すように位置特定部65によって特定された物体Mの位置が不正検知領域R1に含まれている場合、不正検出部66は遊技者による行為を不正行為として検出する。
ここで、透明板ユニット4の表面近傍に存在する物体Mが不正検知領域R1の内側にあることを検出した場合、不正検出部66は直ちに不正信号SG2を出力するようにしても良いが、そうすると悪意のない遊技者が手を一時的に始動口26や大入賞口28などの近辺に移動させるような行為も全て不正行為として検出することになる。そこでこれを防止するために、不正検出部66は、透明板ユニット4の表面近傍に存在する物体が不正検知領域R1の内側にある状態を検出した場合でも直ちに不正信号SG2を出力するのではなく、例えばその状態を所定時間継続して検出し続けた場合、或いは、その状態を所定時間内に所定回数以上検出した場合に不正信号SG2を出力するように構成することが好ましい。ただし、このような処理をメイン制御基板100で行うように構成しても良い。
また不正検出部66は、透明板ユニット4の表面近傍に存在する物体が不正検知領域R1以外の領域にあることを検出した場合、不正信号SG2の出力は行わない。つまり、図12に示すように位置特定部65によって特定された物体Mの位置が不正検知領域R1以外の領域にある場合、不正検出部66は遊技者による行為を不正行為でないと判定する。したがって、この場合、位置検出部52からは演出制御基板130に対して位置情報SG1の出力のみが行われる。
図7に示した遊技制御部50は、上述したようにサブ制御基板200に対して信号やコマンドなどを出力することで遊技の進行状況に応じた制御を行いつつ、その一方で、定期的に距離センサ制御基板300から出力される不正信号SG2を監視している。そして距離センサ制御基板300から不正信号SG2を入力すると、遊技制御部50は、そのタイミングで不正行為に対処するための各種処理を実行する。例えば、演出制御基板130に対して不正行為警告コマンドを出力することにより、画像表示器25に警告用画像を装飾図柄の前面側に重畳して表示させたり、或いは、スピーカ10から警告のための音声を発生させる。また枠ランプ11などを所定のパターンで点灯させることで周囲の店員などに報知する。また遊技制御部50は、図示しない通信インタフェースを介してホール側のコンピュータに、磁石による不正行為が行われている可能性があることを通知する。これにより、ホール側では、多数設置されている遊技機のうち、どの遊技機で磁石による不正行為が行われている可能性があるのかをリアルタイムで把握することができる。
また距離センサ制御基板300による各距離センサ9a,9bの自己診断が行われた結果、遊技制御部50が距離センサ制御基板300から異常信号を受信した場合、遊技制御部50は、そのタイミングで各距離センサ9a,9bの異常に対処するための各種処理を実行する。例えば、演出制御基板130に対して異常コマンドを出力することにより、画像表示器25に「店員を呼んでください。」といった画像を装飾図柄の前面側に重畳して表示させたり、スピーカ10から所定の音声を発生させる。また枠ランプ11などを所定のパターンで点灯させることで周囲の店員などに報知する。また遊技制御部50は、図示しない通信インタフェースを介してホール側のコンピュータに、2つの距離センサ9a,9bのうちのいずれか一方若しくは双方が異常状態であることを通知する。これにより、ホール側では、多数設置されている遊技機のうち、どの遊技機で距離センサ9a,9bの不具合が発生しているかをリアルタイムで把握することができる。
ここでメイン制御基板100の遊技制御部50によって行われる上述した動作の処理手順について説明する。図13は、遊技制御部50の主要動作を示すフローチャートである。遊技制御部50は、電源投入時や電源遮断時などの特殊な場合を除く通常の動作時において図13に示すフローチャートに基づく処理をタイマ割込処理として一定時間(例えば4ミリ秒)ごとに繰り返し実行するように構成される。
遊技制御部50は、この処理を開始すると、乱数更新処理(ステップS101)、始動口スイッチ処理(ステップS102)、ゲートスイッチ処理(ステップS103)、各種スイッチ処理(ステップS104)、賞球処理(ステップS105)、特別図柄処理(ステップS106)、普通図柄処理(ステップS107)、大入賞口処理(ステップS108)、電動チューリップ(電チュー)処理(ステップS109)、不正行為検出処理(ステップS110)および出力処理(ステップS111)を順次実行し、それらが終了すると、その後は初期値乱数更新処理(ステップS112)を繰り返し実行する。そして一定時間が経過し、タイマによる割込が発生すれば、再び乱数更新処理(ステップS101)以降の処理が実行され、以降これが繰り返される。
乱数更新処理(ステップS101)では、RAM103の乱数格納領域に格納されている大当たり乱数、図柄乱数、リーチ乱数などの各種乱数の値を更新する処理を実行する。
そして始動口スイッチ処理(ステップS102)では、始動口スイッチ81の状態を監視し、始動口スイッチ81がオンとなっている場合には、大当たり抽選の保留数を確認し、その保留数が所定数未満であれば、その保留数をインクリメントする処理を行い、さらに、乱数格納領域から大当たり抽選のために大当たり乱数などの各種乱数を取得する処理を実行する。このとき取得する大当たり乱数などにより、大当たり抽選における抽選結果が確定する。
そしてゲートスイッチ処理(ステップS103)では、ゲートスイッチ83の状態を監視し、ゲートスイッチ83がオンとなっている場合には、普通図柄抽選の保留数を確認し、その保留数が所定数未満であれば、その保留数をインクリメントする処理を行い、さらに、普通図柄抽選のための乱数を取得する処理を実行する。このとき取得する乱数により、普通図柄抽選における抽選結果が確定する。
そして各種スイッチ処理(ステップS104)では、その他全てのスイッチ(例えば普通入賞口スイッチや大入賞口スイッチなど)からの入力処理を行い、賞球処理(ステップS105)では、各種入賞口への入賞数を計数し、その計数値に基づいて払出制御基板120に出力するための賞球コマンドを設定する。
そして特別図柄処理(ステップS106)では、特別図柄の変動表示およびその変動表示に伴う処理を行う。例えば、大当たり抽選の保留数が1以上である場合に、その保留を消化して特別図柄の変動表示を開始する。このとき、当該保留の大当たり乱数などに基づいて大当たり抽選(大当たり判定)を行う。そして特別図柄の変動表示中に大当たり抽選の結果に応じた演出を行わせるべく、演出制御基板130に出力するための変動パターンや、装飾図柄の変動表示を開始させるコマンドなどを設定する。
そして普通図柄処理(ステップS107)では、普通図柄の変動表示およびその変動表示に伴う処理を行う。例えば、普通図柄抽選の保留数が1以上である場合に、その保留を消化して普通図柄の変動表示を開始する。このとき、当該保留の乱数に基づいて普通図柄抽選を行う。
そして大入賞口処理(ステップS108)では、特別図柄の変動表示後、大当たり遊技又は小当たり遊技に移行した場合に大入賞口28を開閉させる処理を行う。この処理により、大当たり抽選において当選した場合の大当たり遊技又は小当たり遊技が行われる。
そして電動チューリップ処理(ステップS109)では、普通図柄処理(ステップS107)において普通図柄抽選に当選していた場合に電動チューリップ27を開放させる処理を行う。
そして不正行為検出処理(ステップS110)では、距離センサ制御基板300から不正信号や異常信号などが出力されているか否かを検出し、不正信号や異常信号などを入力すると、上述したように、演出制御基板130に対して出力するための不正行為警告コマンドや異常コマンドなどを設定する。またホール側のコンピュータに通知するコマンドなどを設定する。
そして出力処理(ステップS111)では、上記各処理で設定された各種コマンドなどを払出制御基板120又は演出制御基板130に対して出力する。またここでは、ホール側のコンピュータに通知するコマンドなども出力される。
そして初期値乱数更新処理(ステップS112)では、次のタイマ割込が発生するまでの残余時間を利用して、乱数格納領域に格納されている大当たり乱数、図柄乱数、リーチ乱数などの各種乱数の初期値を更新する処理を繰り返し実行する。次のタイマ割込が発生するまでの残余時間は、遊技機1の状態によって毎回異なるので、この処理が繰り返し実行されることによって更新される各種乱数の初期値は不規則なものとなる。そのため、大当たりを不正に発生させようとした場合でも大当たり乱数の初期値が不明なため、大当たり乱数が大当たりの当選値となるタイミングを把握することはできず、例えば一定周期ごとに体感信号を発生する不正装置などを利用した不正行為を防止することができる。
上記のような処理を行うことにより、遊技制御部50は、遊技の進行状況に応じて各部を制御すると共に、遊技中に遊技者が始動口26、電動チューリップ27又は大入賞口28に対して磁石を近づけるような不正行為を行った場合には遊技者に対して警告を行い、周囲の店員やホール側に報知する。そのため、本実施形態の遊技機1によれば、遊技中に磁石による不正行為が行われた場合には周囲の店員やホール側がそれを速やかに把握することができ、不正行為に対する迅速な対処が可能になる。そして本実施形態の遊技機1では、磁石による不正行為を検出するための距離センサ9a,9bが透明板ユニット4の周縁部であって前枠部材3の上部2箇所に設けられているため、これら距離センサ9a,9bが遊技領域21の視認性を低下させることがないように配置されている。
次に、演出制御基板130が、距離センサ9a,9bによる測定結果、すなわち距離センサ制御基板300から入力する位置情報SG1に基づいて遊技中に行われている演出内容を変化させる処理の一例について説明する。
演出制御基板130は、上述したようにメイン制御基板100から変動パターンを入力すると、その変動パターンに基づいて画像表示器25における装飾図柄の変動表示パターンなどの演出パターンを決定する。そしてさらに装飾図柄の変動表示を開始させるコマンドをメイン制御基板100から入力すると、その決定した演出パターンに対応する演出を行うべく、装飾図柄の変動表示を開始する。ここで、演出制御基板130が決定する演出パターンには遊技者が所定の操作を行った場合に演出内容を切り替えるための切替え用演出パターンが含まれることがある。この場合、装飾図柄の変動表示開始後、演出制御基板130は、実行中の演出パターンに規定される所定の演出タイミングで、距離センサ制御基板300から位置情報SG1を入力しているか否かを確認し、位置情報SG1を入力していれば、その位置情報SG1に基づいて現在実行中の演出パターンを切替え用の演出パターンに変化させる。以下、演出制御基板130が、演出パターンの切替えを行う場合の動作について説明する。
図14は、演出制御基板130が距離センサ9a,9bの測定結果に基づいて演出内容を変化させる処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理は、例えば演出制御基板130によって定期的に実行される処理である。演出制御基板130は、この処理を開始すると、演出実行中であるか否かを判断する(ステップS201)。ここで演出実行中でない場合は、これ以降の処理を行うことなく、この処理を終了する。一方、演出実行中である場合(ステップS201でYES)、現在実行中の演出パターンに切替え用の演出パターンが含まれているか否かを判断する(ステップS202)。現在実行中の演出パターンが切替え用の演出パターンを含まない場合(ステップS202でNO)、これ以降の処理を行うことなく、処理を終了する。この場合、現在実行中の演出が終了するまでそのまま実行されることになる。一方、現在実行中の演出パターンが切替え用の演出パターンを含んでいる場合(ステップS202でYES)、演出制御基板130は、距離センサ制御基板300から出力される位置情報SG1を検知するための所定の演出タイミングとなるまで待機し(ステップS203)、その演出タイミングになると(ステップS203でYES)、距離センサ制御基板300から位置情報SG1を入力したか否かを判断する(ステップS204)。
このとき、演出制御基板130は、例えば図15に示すように、画像表示器25に、遊技者に何らかの操作(手の動き)を行わせるための演出用画像を表示する。図15に示す例では、3つの演出パターン(演出A,演出B,演出C)のうちからひとつの演出パターンを選択することを遊技者に促している。この場合、遊技者は、画像表示器25に向かって所望の演出パターンを選択する操作を行えば、それによって実行中の演出が異なった演出パターンに変化することを把握する。そして遊技者は、現在実行中の演出が大当たりへの期待度のより一層高い演出などに変化することを期待して、そのような操作を行うようになる。そしてその結果、距離センサ9a,9bは遊技者の手を検知するので、演出制御基板130は、距離センサ制御基板300から位置情報SG1を入力する。
演出制御基板130は、位置情報SG1を検知する演出タイミングとなってから所定時間が経過するまで、遊技者の手の位置を特定した位置情報SG1の入力待機状態となっており(ステップS204,S205)、所定時間が経過するまでに位置情報SG1を入力しなかった場合には(ステップS205でYES)、演出パターンを切り替えることなく、この処理を終了する。この場合、現在実行中の演出パターンが終了するまで、そのまま実行される。
これに対し、所定時間が経過するまでに位置情報SG1を入力した場合(ステップS204でYES)、演出制御基板130は、遊技者の手の位置情報SG1に基づいて現在の演出パターンを切替え用演出パターンに切り替える(ステップS206)。例えば、図15に示す状態において遊技者が演出Aの画像の正面側に手をかざした場合、演出制御基板130は、遊技者の手の位置情報SG1に基づいて演出Aに対応する切替え用演出パターンを特定し、現在実行中の演出パターンを遊技者によって選択された演出Aの切替え用演出パターンに切り替えてその後の演出を実行する。尚、遊技者が演出Bの画像或いは演出Cの画像の正面側に手をかざした場合も同様である。そして装飾図柄の変動表示が終了するまで、遊技者によって選択された切替え用演出パターンに基づく演出が行われる。
このように本実施形態の遊技機1は、距離センサ9a,9bの測定結果に基づいて透明板ユニット4の表面近傍に遊技者の手の位置を特定することができるため、所定の演出タイミングで画像表示器25に3つ以上の選択肢を表示して遊技者に選択させることができる。つまり、画像表示器25に表示する選択肢の数を増やしたとしても、距離センサ9a,9bは、いずれか一つの選択肢に対してかざされる遊技者の手の位置を特定することができる。そして遊技機1は、位置情報SG1に基づいて遊技者が選択した演出パターンを特定し、現在実行中の演出をそれに対応する演出に切り替えるので、多くの演出パターンの中から遊技者にひとつの演出パターンを選択させることができ、従来よりも多様な演出を行うことが可能である。
また図14のフローチャートでは、遊技者の手の位置を特定した位置情報SG1を入力すれば、それに基づいて演出パターンを切り替える場合を例示したが、この他にも、例えば所定時間内における遊技者の手の移動方向を検知し、その移動方向に応じて演出パターンを切り替えるようにしても良い。その一例を挙げると、所定の演出タイミングにおいて現在表示中の装飾図柄を遊技者が手で切断するような動作を行えば、その手の移動方向に応じて装飾図柄を切断していく画像を表示し、所定時間内に切断操作が成功すれば、現在表示中の装飾図柄を他の図柄に変化させるといった演出を行うことができる。またこの他にも種々の演出態様がある。
尚、ここでは装飾図柄の変動表示中に行われる演出を、位置情報SG1に基づいて他の演出に切り替える場合を例示したが、位置情報SG1に基づく演出内容の切替えは、必ずしも装飾図柄の変動表示中であることに限られない。例えば大当たり遊技中又は小当たり遊技中の演出を、遊技者の手の位置に基づいて他の演出に切り替えるものあっても構わない。
以上のように本実施形態の遊技機1は、前枠部材3の上部2箇所に透明板ユニット4を臨む状態で取り付けられた距離センサ9a,9bを備えており、これら距離センサ9a,9bが遊技盤20の盤面上において透明板ユニット4の表面近傍に存在する物体までの距離を測定する。そして各距離センサ9a,9bの測定結果に基づいて遊技盤面上における物体の位置を特定し、その物体の位置に基づいて演出内容を異なった内容に制御する。したがって、遊技者の手の位置や動きなどを非接触で検知しつつ、その手の位置や動きなどに応じた多様な演出を行うことができる。
また遊技機1において距離センサ9a,9bによる測定動作は常に行われており、物体の位置が特定されると、演出制御基板130にはその物体の位置情報SG1が随時入力している。そして演出制御基板130は、所定の演出タイミングとなったときに入力する位置情報SG1に基づいて演出内容を異なった内容に制御する。これにより、所定の演出タイミングとなったときに行われる遊技者の操作に基づいて演出内容を異なる内容に変化させることができる。
また遊技者に対して常に何らかの操作を行わせるのではなく、所定の演出タイミングとなったときに、遊技者に対して手の操作を行うことを促し、所定時間が経過するまでの間に遊技者による操作が行われた場合にのみ、遊技者の手の位置や移動方向などに応じて演出内容を変化させるので、遊技者に対し、演出内容を操作する感覚を効果的に与えることができる。
また、この種の遊技機1では、例えば装飾図柄の変動表示の時間はメイン制御基板100で設定される変動パターンに規定されているため、演出制御基板130が装飾図柄の変動表示を開始してから所定の演出タイミングとなったときに、遊技者の手の位置や動きなどに応じて演出内容を変化させることにより、変動パターンに規定された時間内で遊技者の手の位置や動きなどに応じた演出を行うことができるようになる。
また本実施形態の遊技機1は、位置特定部65により検出される物体が所定の不正検知領域R1に位置するか否かを判定するようにも構成されているため、例えば始動口26や大入賞口28などに磁石を用いて遊技球を不正に導こうとするような不正行為を検知することも可能である。そのため、磁石による不正行為を検知するためのセンサなどを別に設ける必要がなく、コストの上昇を抑制することが可能である。
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について説明する。図16は、第2の実施の形態における遊技機1の外観構成を示す斜視図であり、遊技機1の正面側を斜め上方から観た図である。本実施形態の遊技機1は、前枠部材3において窓部5の周縁部に3つの距離センサ9a,9b,9cが距離測定手段9として設けられている。このうち、2つの距離センサ9a,9bが設けられる位置は、第1の実施の形態とほぼ同様であり、前枠部材3の上部2箇所に透明板ユニット4を臨む状態で取り付けられている。また他の1つの距離センサ9cは、図16に示すように透明板ユニット4の下方に設けられた球受け部6の上面側に設けられ、球受け部6の上面から透明板ユニット4の表面側空間を臨む状態に取り付けられている。そしてこれら3つの距離センサ9a,9b,9cのそれぞれが独立して透明板ユニット4の表面近傍に存在する物体までの距離を非接触で測定する。尚、その他の構成については第1の実施の形態で説明したものと同様である。また各距離センサ9a,9b,9cの詳細な構成についても第1の実施の形態で説明したものと同様である。
次に第2の実施の形態について説明する。図16は、第2の実施の形態における遊技機1の外観構成を示す斜視図であり、遊技機1の正面側を斜め上方から観た図である。本実施形態の遊技機1は、前枠部材3において窓部5の周縁部に3つの距離センサ9a,9b,9cが距離測定手段9として設けられている。このうち、2つの距離センサ9a,9bが設けられる位置は、第1の実施の形態とほぼ同様であり、前枠部材3の上部2箇所に透明板ユニット4を臨む状態で取り付けられている。また他の1つの距離センサ9cは、図16に示すように透明板ユニット4の下方に設けられた球受け部6の上面側に設けられ、球受け部6の上面から透明板ユニット4の表面側空間を臨む状態に取り付けられている。そしてこれら3つの距離センサ9a,9b,9cのそれぞれが独立して透明板ユニット4の表面近傍に存在する物体までの距離を非接触で測定する。尚、その他の構成については第1の実施の形態で説明したものと同様である。また各距離センサ9a,9b,9cの詳細な構成についても第1の実施の形態で説明したものと同様である。
次に図17は第2の実施の形態における遊技機1を正面から観た図である。遊技者は、図17に示す状態で、前枠部材3の窓部5に嵌め込まれた透明板ユニット4を介して遊技領域21に打ち出される遊技球の挙動や、画像表示器25における装飾図柄の表示などに注目しつつ遊技を行う。
そして本実施形態でも、窓部5の周縁部においてそれぞれ異なる箇所に設けられた3つの距離センサ9a,9b,9cが透明板ユニット4の表面近傍にある物体を検知し、その物体までの距離を測定する。そして3つの距離センサ9a,9b,9cの測定結果に基づいて遊技盤面上における物体の位置を特定し、その位置情報を演出制御に利用する。つまり、本実施形態でも、所定の演出タイミングにおける遊技者の手の位置や移動方向などに応じて遊技の進行に伴って行われる演出を適宜異なった演出内容に変化させることで、遊技性に富んだ演出を行うように構成される。
また本実施形態でも、図17に破線で示すように、遊技盤面上において始動口26、電動チューリップ27および大入賞口28を含む領域R1を不正検知領域としており、距離センサ9a,9b,9cの測定結果に基づいて透明板ユニット4の表面近傍に物体が検知された場合、その物体が不正検知領域R1に位置していれば、遊技者による不正行為が行われている可能性があることを検知する。
そして本実施形態の遊技機1は、透明板ユニット4の周囲3カ所に設けた距離センサ9a,9b,9cに基づいて物体の位置を特定するため、第1の実施の形態よりも高精度に物体の位置を特定することができるという利点がある。尚、本実施形態の遊技機1における全体的な制御機構は、第1の実施の形態で説明したものと同様であるが、本実施形態では3つの距離センサ9a,9b,9cを備えるため、距離センサ制御基板300がそれら3つの距離センサ9a,9b,9cを制御するように構成されている。
図18は、第2の実施の形態における距離センサ制御基板300の一構成例を示すブロック図である。図18に示すように距離センサ制御部51は、タイミング生成回路61と、距離センサ9aを制御する第1距離センサ制御回路62と、距離センサ9bを制御する第2距離センサ制御回路63と、距離センサ9cを制御する第3距離センサ制御回路64とを備えている。第1距離センサ制御回路62、第2距離センサ制御回路63および第3距離センサ制御回路64の詳細な構成は第1の実施の形態において図8を参照して説明した構成と同様である。そのため、各距離センサ制御回路62,63,64は、タイミング生成回路61から入力するタイミング信号に基づいて各距離センサ9a,9b,9cを独立して駆動し、透明板ユニット4の表面近傍に存在する物体までの距離を測定する。尚、各距離センサ制御回路62,63,64が、各距離センサの自己診断を行う点についても第1の実施の形態と同様である。
そして位置検出部52は、第1距離センサ制御回路62から出力される第1の距離情報L1、第2距離センサ制御回路63から出力される第2の距離情報L2、および、第3距離センサ制御回路64から出力される第3の距離情報L3に基づいて演算を行うことにより透明板ユニット4の表面近傍に存在する物体が遊技盤面上のどのような位置にあるかを特定し、その位置情報SG1を出力する。
図19は、遊技機1の正面図であり、距離センサ9aによって測定された第1の距離情報L1と、距離センサ9bによって測定された第2の距離情報L2と、距離センサ9cによって測定された第3の距離情報L3との3つの情報に基づいて物体Mの位置を特定する処理の概念を示している。図19に示すように距離センサ9aから物体Mまでの距離がL1であるとすると、その物体Mは、距離センサ9aの位置を中心とする半径L1の円弧状ラインLa上のどこかの位置に存在する。また距離センサ9bから物体Mまでの距離がL2であるとすると、その物体Mは、距離センサ9bの位置を中心とする半径L2の円弧状ラインLb上のどこかの位置に存在する。さらに距離センサ9cから物体Mまでの距離がL3であるとすると、その物体Mは、距離センサ9cの位置を中心とする半径L3の円弧状ラインLc上のどこかの位置に存在する。これら円弧状のラインLa,Lb,Lcが遊技盤面上の1点で交叉している場合、物体Mはその1点に位置していることになる。そのため、位置特定部65は、3つのラインLa,Lb,Lcが1点で交わる場合には、その交点を求めることによって物体Mの位置を特定し、その物体Mの位置を遊技盤面上の2次元座標として表現した位置情報SG1を不正検出部66と演出制御基板130とに出力する。
ここで、例えば図10に示したように距離センサが2つしかない場合であれば、透明板ユニット4の内側の領域に2つの交点が特定されることがあり、それら2つの交点のうちのいずれに物体Mが位置しているのかを正確に特定することが難しい。これに対し、本実施形態では、3つの距離センサ9a,9b,9cによる測定結果に基づいて3つのラインLa,Lb,Lcが交わる交点を求めることによって物体Mの位置を特定するので、上記のような場合であっても正確に物体Mの位置を特定することができるという利点がある。
不正検出部66は、位置特定部65から位置情報SG1を入力し、透明板ユニット4の表面近傍に存在する物体が不正検知領域R1の内側にあるか否かを判断し、不正検知領域R1の内側にある場合には遊技者による不正行為が行われているものと判定して遊技制御部50に対して不正信号SG2を出力する。つまり、図20に示すように3つの距離センサ9a,9b,9cの測定結果に基づいて特定された物体Mの位置が不正検知領域R1に含まれている場合、不正検出部66は遊技者により不正行為が行われている可能性があることを検出する。そして例えば、不正検知領域R1に物体Mが存在する状態が所定時間以上継続した場合、或いは、その状態が所定時間内に所定回数以上検出した場合に、不正信号SG2を出力するように構成される。
また不正検出部66は、透明板ユニット4の表面近傍に存在する物体が不正検知領域R1以外の領域にあることを検出した場合、不正信号SG2の出力は行わない。つまり、図21に示すように位置特定部65によって特定された物体Mの位置が不正検知領域R1以外の領域にある場合、不正検出部66は遊技者による行為を不正行為でないと判定する。したがって、この場合、位置検出部52からは演出制御基板130に対して位置情報SG1の出力のみが行われる。
ところで、本実施形態の場合、3つの距離センサ9a,9b,9cのそれぞれから得られるラインLa,Lb,Lcが必ずしも1点で交わるとは限らない。図22は、その一例を示す図である。例えば、ある遊技者が磁石による不正行為を行っているとき、他の遊技者がその不正行為を補助するために画像表示器25の正面付近に手をかざすような行為を行っている場合、前枠部材3の上部に設けた2つの距離センサ9a,9bは、画像表示器25の正面付近にある物体M1を検出する。この物体M1の位置は、円弧状の2つのラインLa,Lbの交点として求められるため、遊技盤面上における2次元座標上の1点として特定することができる。また球受け部6の上面に設けた距離センサ9cは、不正検知領域R1の近傍にある物体M2を検出する。ただし、この物体M2は、距離センサ9cから距離L3だけ離れた位置にあることは特定できるものの、円弧状のラインLc上のどこに位置しているかは特定することができない。
このような場合、位置特定部65は、演出制御基板130への位置情報SG1の出力を行わず、物体M1の位置情報と、物体M2の位置情報(より厳密には距離情報L3)との双方を不正検出部66に出力する。そして不正検出部66は、物体M1と物体M2の少なくとも一方が不正検知領域R1に位置している可能性があれば、メイン制御基板100に対して不正信号SG2を出力する。図22の場合、物体M2が不正検知領域R1に位置している可能性があるため、不正検出部66は、メイン制御基板100に対して不正信号SG2を出力する。これにより、遊技機1からホール側のコンピュータに対して不正行為が行われている可能性があることが通知されるので、例えば遊技者が行っている行為を店員が確認するといった対処が可能になる。
尚、本実施形態においても、メイン制御基板100および演出制御基板130における処理手順などは第1の実施の形態で説明したものと同様である。
以上のように本実施形態の遊技機1は、前枠部材3の周囲3箇所に透明板ユニット4を臨む状態で取り付けられた距離センサ9a,9b,9cを備えており、これら距離センサ9a,9b,9cが遊技盤20の盤面上において透明板ユニット4の表面近傍に存在する物体までの距離を測定する。そして各距離センサ9a,9b,9cの測定結果に基づいて遊技盤面上における物体の位置を特定する。そして各距離センサ9a,9b,9cの測定結果に基づいて一つの物体の位置を特定することができた場合に、その物体の位置情報に基づいて演出内容を異なった内容に制御する。したがって、遊技者の手の位置や動きなどを非接触で検知しつつ、その手の位置や動きなどに応じた多様な演出を行うことができる。
また本実施形態の遊技機1は、第1の実施の形態と同様に、位置特定部65により検出される物体が所定の不正検知領域R1に位置するか否かを判定するようにも構成されているため、例えば始動口26や大入賞口28などに磁石を用いて遊技球を不正に導こうとするような不正行為を検知することも可能である。そのため、磁石による不正行為を検知するためのセンサなどを別に設ける必要がなく、コストの上昇を抑制することが可能である。
尚、上記においては、3つの距離センサ9a,9b,9cのうちの2つの距離センサ9a,9bを前枠部材3の上部に設け、残りの1つの距離センサ9cを球受け部6の上面部分に設けた例を説明した。ところが、球受け部6の上面部分に距離センサ9cを設けると、遊技者の手によって超音波送信器15又は超音波受信器16,17の表面が塞がれる可能性があり、その場合は距離センサ9cが物体までの距離を測定することができなくなる。そのため、それを防止するためには、例えば図23に示すように、3つの距離センサ9a,9b,9cの全てを前枠部材3の上部に設けても構わない。
(変形例)
以上、本発明に関する幾つかの実施形態について説明したが、本発明は上述した内容に限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
以上、本発明に関する幾つかの実施形態について説明したが、本発明は上述した内容に限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
例えば、上記実施形態では、始動口26に遊技球が入球すると、大当たり抽選を行い、その大当たり抽選に当選すると大入賞口28が所定回数開閉する遊技機を例示した。しかしながら、本発明の遊技機は、必ずしもそのような遊技機に限定されるものではなく、上述した遊技機以外の種々の遊技機に対しても適用可能であることは勿論である。
また上述した実施形態では、遊技盤20に対して不正検知領域が一つの設定される場合を例示したが、複数の不正検知領域を設定しても構わない。また上述した実施形態では、距離センサの一例として超音波センサを採用する場合を例示したが、これに限られず、例えば不可視光を投受光する光センサを採用しても良い。
1 遊技機
2 本体枠
3 前枠部材
4 透明板ユニット
5 窓部
9 距離測定手段
9a,9b,9c 距離センサ
15 超音波送信器(超音波送信手段)
16,17 超音波受信器(超音波受信手段)
20 遊技盤
21 遊技領域
65 位置特定部(位置特定手段)
66 不正検出部(不正検出手段)
165 自己診断回路(自己診断手段)
166 異常出力部(異常出力手段)
2 本体枠
3 前枠部材
4 透明板ユニット
5 窓部
9 距離測定手段
9a,9b,9c 距離センサ
15 超音波送信器(超音波送信手段)
16,17 超音波受信器(超音波受信手段)
20 遊技盤
21 遊技領域
65 位置特定部(位置特定手段)
66 不正検出部(不正検出手段)
165 自己診断回路(自己診断手段)
166 異常出力部(異常出力手段)
Claims (5)
- 遊技球が打ち出される遊技領域を有する遊技盤と、
前記遊技盤の正面側に設けられ、前記遊技領域を視認可能にする透明板を有する前枠部材と、
前記前枠部材に設けられ、前記遊技盤面上において前記透明板近傍に存在する物体までの距離を測定する少なくとも2つの距離センサから成る距離測定手段と、
前記少なくとも2つの距離センサの測定結果に基づいて前記遊技盤面上における物体の位置を特定する位置特定手段と、
前記位置特定手段により特定される物体の位置に基づいて演出内容を異なった内容に制御する演出制御手段と、
を備えることを特徴とする遊技機。 - 前記距離測定手段は、前記前枠部材において前記透明板の周囲の異なる位置に設けられた3つの距離センサを備え、
前記位置特定手段は、前記3つの距離センサの測定結果に基づいて前記遊技盤面上における物体の位置を特定することを特徴とする請求項1記載の遊技機。 - 前記演出制御手段は、所定の演出タイミングにおいて、前記位置特定手段により物体の位置が特定された場合に、その物体の位置に基づいて演出内容を異なった内容に制御することを特徴とする請求項1又は2記載の遊技機。
- 前記位置特定手段により特定される物体の位置が所定の不正検知領域にあるか否かを判定する不正検出手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の遊技機。
- 前記距離センサが正常に機能しているか否かを診断する自己診断手段と、
前記自己診断手段が前記距離センサの機能停止を検出した場合に異常信号を出力する異常出力手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の遊技機。
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2009
- 2009-06-22 JP JP2009147162A patent/JP2011000347A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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