JP2010526336A - 可撓性ディスプレイと圧力分散手段とを備える電子装置 - Google Patents

Abstract

本発明は、表面と裏面とを有する可撓性ディスプレイ（２３）を備える装置（２０）に関し、裏面には、表面に印加された外圧を分散する弾性部材（２４）の層が接着されて設けられている。弾性部材の厚さは、外圧に対して十分な耐性を有するとともに、表示装置の最も弱い面が実質的に中立線に一致するように最適化される。ディスプレイと弾性部材（２４）の層を接着剤を用いて接続することにより、小粒子が層（２４）とディスプレイの裏面との間に侵入することを防止する。

Description

本発明は、表面と裏面を有する可撓性ディスプレイを備える電子装置に関する。

冒頭に記載した電子装置の一実施の形態が、ＷＯ２００４／０４７０５９に開示されている。公知の電子装置は、収納のために適当なローラに巻かれる可撓性ディスプレイを備えている。公知の電子装置は、可撓性ディスプレイの表面および裏面の機械的な損傷および／または引っかき傷を打ち消す手段を備えている。このため、公知の装置は、可撓性ディスプレイの裏面と協働する堅い棒体(バー）を備えるように構成されている。棒体は、可撓性ディスプレイが収納されるときに裏面が表面に接することを防止するスペーサとして機能するよう構成されている。可撓性ディスプレイの裏面がスペーサーバーによって損傷することを防止するために、スペーサーバーと公知のディスプレイの裏面との間に柔軟性のある材料の層が設けられている。この柔軟性のある材料は、可撓性ディスプレイと一体化したり、可撓性ディスプレイの裏面とスペーサバーとの間の領域に固定することなく設けることができる。

公知の電子装置には次のような難点がある。すなわち、可撓性ディスプレイは、通常デリケートな材料から製造されるため、ポインターのようなもの、例えば指やペンによって、とくにスペーサーバーに対応する領域で傷ついてしまうことがある。さらに、スペーサーバーによって可撓性ディスプレイの曲げ半径が小さくなり、可撓性ディスプレイを構成する多層構造に損傷を与えてしまう可能性がある。

本発明の目的は、圧痕から表示領域を効果的に保護する可撓性ディスプレイを備える電子装置を提供することである。

この目的のため、本発明による電子装置において、裏面には、表面に印加された外圧を分散する弾性部材の層が接着されて設けられている。

本発明の技術的手段は、複数の層から形成される薄い可撓性ディスプレイは、堅いベース上に配置されている場合に、局所的な圧力に対して非常に敏感であるという知見に基づいている。例えば、可撓性ディスプレイの一部が、十分に剛性のあるハウジング内に、もしくは隣接して配置されている場合、剛性のあるハウジングは外力を受けて曲がるといった自由度がないという事実から、可撓性ディスプレイの材料の不所望な損傷が生じる可能性がある。したがって、本発明によると以下の利点を得られる。すなわち、ハウジング内にもしくは隣接して配置された可撓性ディスプレイの一部について、弾性部材の層をハウジングに対向する前記一部の面に接着している。これにより、弾性部材の層が可撓性ディスプレイと剛性のあるハウジングとの間に配置され、可撓性ディスプレイに印加されたいかなる圧力も分散する適切なクッションとして機能する。

また、テーブル等の堅い面上に可撓性ディスプレイが置かれている場合に、鉛筆等の物体によって圧力がかけられると、容易に圧痕が発生してしまう。さらに、広げられたディスプレイ上に粒子が落ちる可能性がある。ディスプレイが巻き取られるときに、これらの粒子がディスプレイに押し付けられ、損傷を生じる可能性がある。ディスプレイの裏面に弾性部材を接着して設けることにより、ディスプレイにおける弾性エネルギーの量は影響を受けることがないので、外力を受けた場合の変位に対して適切な自由度を提供することができる。可撓性ディスプレイの面は、曲げの際に機械的応力が最小となる中立線を実質的に含むことが望ましい。外力を受けた場合の可撓性ディスプレイの反応は、図１を用いて詳細を説明する。したがって、ゴムや発泡体の層といった弾性部材を可撓性ディスプレイの裏面に付加することにより、局所的な圧力に対する表示特性が向上する。すなわち、同一の先端部を用いた場合に、損傷が発生するまでにより高い圧力をかけることができる。ベースが柔軟であれば、押込み力は大きな範囲に分散される。とくに、可撓性ディスプレイの表示層が電気泳動カプセルに基づいて形成されている場合、カプセルがつぶれることによる表示特性の不所望な劣化が防止される。

本発明による電子装置の一実施の形態において、表面は、活性領域と非活性領域とを備え、弾性部材は非活性領域に接着されている。

これは、非活性領域、とくに非ルミネッセンス領域が可撓性ディスプレイに設けられ、この領域が通常、表示領域の端部領域に配置され、活性領域、とくにディスプレイのルミネッセンス領域に導線を供給するために用いられるという理解に基づいて構成されている。導線の損傷は、ディスプレイの回線異常を引き起こす。電子装置を可撓性ディスプレイの回線異常から保護するために、導線を含む端部領域は弾性部材によって保護されている。弾性部材は、ディスプレイの裏面の保護に用いられるものと同一のものを選択することが望ましい。これにより、電気泳動ディスプレイについてさらなる利点が得られる。なお、非活性領域においても、電気泳動プロセスが発生する可能性がある。これは非活性領域にいて限りなく小さいルミネッセンスを引き起こす。これらの領域を、望ましくは透明でない、保護性のとくに弾性部材でカバーすることにより、そのような寄生発光を低減することができる。本発明による電子装置の望ましい実施の形態において、可撓性ディスプレイは端部領域を備え、端部領域は、弾性部材の間に挟まれている。弾性部材は、発泡体の層またはゴムの層を構成することが望ましい。

本発明の上記および他の態様について、図面を参照して以下に詳細を説明する。

図１は、発泡体の力−変位曲線グラフを概略的に示す図である。 図２は、弾性部材の層が設けられた可撓性ディスプレイの一実施の形態を示す概略図である。 図３は、弾性部材の層が設けられた可撓性ディスプレイのさらなる実施の形態を示す概略図である。

図１は、発泡体とゴムの力−変位曲線グラフを概略的に示す図である。このグラフは、発泡体の層がゴムの層よりも好ましいことを示している。グラフ１０は、加えられた力（縦座標）に対する変位（横座標）を概略的に示している。グラフ（ａ）は発泡体に関し、グラフ（ｂ）はゴム材料に関するグラフである。領域１、２、３の分析から、発泡体の場合、力は変位とともに実質的に直線的に増加するということがわかる。発泡体を形成するセルの壁は、支持材として機能する。領域２において、セルの壁による支持が崩れ始める。したがって、付加される外力が増加しなくても、圧痕深さが増加する。この段階で、使用した先端部（ｔｉｐ）と発泡体との接触面が増加する。これは、局所的に付加した圧力、したがって損傷による変化が減少することを意味する。領域３では、発泡体のセル壁が完全に押しつぶされる。セル中には空気が存在しなくなる。この場合、発泡体の圧痕は、セルが形成される材料そのものの圧痕と全く同じとなる。ゴム材料の力−変位曲線（ｂ）は直線的に変化している。３つの異なる領域が存在しないため、損傷が発生する限界力Ｌにより早く到達することを示している。

図２は、弾性部材の層が設けられた可撓性ディスプレイの一実施の形態を概略的に示している。電子装置２０、とくにモニター、携帯型コンピュータ、電話等は、例えば収納ハウジング２２内の適当なローラ（不図示）によって巻き取り可能な可撓性ディスプレイ２３を備えている。可撓性ディスプレイは、適当な電子装置のハウジングに巻き付けられるようにしてもよい。なお、図２は、装置の背面図である。可撓性ディスプレイ２３は、電気泳動技術に基づいて作動することが望ましい。このような装置の表面は、発光するように構成されている。可撓性ディスプレイ２３の裏面には、ディスプレイの裏面に接着された弾性部材２４の層が設けられている。弾性部材の厚さは、外圧に対して十分な耐性を有するとともに、ディスプレイの最も弱い層の面が実質的に中立線と一致することを確保するように最適化される。ディスプレイの最も弱い層は、曲げに対して最も損傷を受けやすい構成とされる。通常、電子部品を含む層または表示層がこのような最も弱い層とみなされる。さらに、弾性部材２４の弾性係数は、弾性部材２４の圧力分散特性を向上するように最適化されている。中立線は、曲げの際に機械的応力が最も小さくなる線として定義される。さらに、ディスプレイの裏面は、引っかき傷、粒子の痕跡、および周囲環境による不所望な紫外線の照射から保護される。接着剤を使用してディスプレイと弾性部材２４の層とを接合することにより、層２４とディスプレイの裏面との間の領域に小粒子が侵入することを防止する。従って、柔軟性、すなわち可撓性のあるディスプレイの裏面に弾性部材を付着させることにより、局所的な圧力および圧痕、さらには不所望な紫外光から可撓性ディスプレイを一層保護することができる。弾性層２４として発泡体を選択し、ディスプレイに接着することが望ましい。

図３は、弾性部材の層が設けられた可撓性ディスプレイのさらなる実施の形態を概略的に示す図である。３０ａには、簡単のため可撓性ディスプレイのみを概略的に示す。３０ａは、弾性部材の端部保護層が設けられた表示領域３７の正面部分を示す。この層は、とくに発泡体の層、またはゴム製の層からなる。３２ａ，３２ｂとして概略的に示す端部は、通常、３２ｂは表示部３７に供給される導線を含んでいる。また、領域３４ａ、３４ｂには、弾性部材からなる保護層が設けられることが望ましい。３００ｂは、可撓性ディスプレイのＡ-Ａ断面図を示す。可撓性ディスプレイを備える層は、可撓性ディスプレイの端部３２ａにおいて、弾性部材３４の層の間に挟まれている。弾性部材、とくに発泡体またはゴム材料は、適当な接着剤によって可撓性ディスプレイの表面または裏面に接着されることが望ましい。なお、ディスプレイの活性領域３７の周囲に弾性部材を設置することにより、導線３８を保護することもできる。さらに、ディスプレイ３７の表面上の部材の層の存在によって、ディスプレイが巻き取り位置に収納される際に、表示領域上に存在する粒子によって損傷を受けることがない。また、端部領域で発生する寄生発光（parasitic luminescence）が打ち消され、装置全体としての品質が向上する。なお、人間の眼によって観察されるディスプレイのブラックリフレクション（black reflection）は、可撓性ディスプレイ３７の活性領域を形成する弾性部材について適切な色を選択することにより最適化することができる。複数の層３４の厚さをそれぞれ最適化することにより、例えば、全て等しくすることにより、可撓性ディスプレイの電子的活性層の面が、曲げの際に機械的応力が最小となる中立線を含むことになる。これにより、可撓性ディスプレイの電子部品等、潜在的にもろい部品に対する使用中の機械的応力を最小とすることができる。

なお、本発明による装置の特定の実施形態を明確にするためにそれぞれ別々に説明したが、各図面を用いて説明した構成についてそれぞれ対応する部分を置き換えてもよい。特定の実施形態について上述したが、本発明は上述した以外の形態も実施することができる。上記説明は例示であって、限定するものではない。したがって、当業者には明らかなように、上述した発明についての変形も添付の特許請求の範囲内に属すると理解される。

Claims (7)

1. 表面と裏面とを有する可撓性ディスプレイを備える電子装置であって、
   前記裏面には、前記表面に印加された外圧を分散する弾性部材の層が接着されて設けられていることを特徴とする電子装置。
2. 請求項１に記載の電子装置において、
   前記可撓性ディスプレイは電子的活性層を備え、当該層の面は、曲げの際に機械的応力が最小となる中立線を実質的に含むことを特徴とする電子装置。
3. 請求項１または請求項２に記載の電子装置において、
   前記表面は、活性領域と非活性領域とを備え、前記弾性部材は前記非活性領域に接着されていることを特徴とする電子装置。
4. 請求項３に記載の電子装置において、
   前記可撓性ディスプレイは端部領域を備え、前記端部領域は、前記弾性部材の間に挟まれていることを特徴とする電子装置。
5. 請求項３に記載の電子装置において、
   前記弾性部材は、前記ディスプレイの前記表面の前記非活性領域にのみ設けられていることを特徴とする電子装置。
6. 請求項１から請求項５のいずれか１項に記載の電子装置において、
   前記弾性部材は、発泡体の層またはゴムの層を構成することを特徴とする電子装置。
7. 請求項１から請求項６のいずれか１項に記載の電子装置において、
   前記可撓性ディスプレイの一部はハウジング内に配置され、前記弾性部材の前記層は、前記ハウジングに対向する前記一部の面に接着されていることを特徴とする電子装置。
   

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