JP2010515690A - 医薬品の多形及び溶媒和物、並びに製造方法 - Google Patents

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Abstract

固体3−(4−アミノ−3−メチルベンジル)−7−(フラン−2−イル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−アミンの多形及び溶媒和物形、並びにそれらの製造方法を開示する。
【選択図】図1A

Description

優先権の主張
本願は、2007年1月5日出願の米国仮特許出願第60/883588号に対する優先権を主張し、これを参照することによりその全体を援用する。
本発明は、医薬品の多形及び溶媒和物、並びにそれらの製造方法に関する。
運動障害は、特に高齢者の間で深刻な健康上の問題となる。これらの運動障害は、脳病変の結果でありうることが多い。運動障害をもたらす基底核に関わる障害として、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病及びウイルソン病が挙げられる。更に、脳虚血及びその他の神経障害の後遺症として、ジスキネジアが起こることが多い。
パーキンソン病の症状として、振戦、固縮、無動症及び***変換の4つが従来より知られている。この疾患は、通常、うつ、痴呆及び全般的な認知機能低下も伴う。パーキンソン病の有病率は、総人口1000名につき1名である。発症率は、60歳を過ぎた高齢者に関しては100名中、1名にまで増加している。黒質におけるドーパミン作動性ニューロンの変性と、それに続く線条体におけるドーパミンの間質内濃度の低減は、パーキンソン病の発症にとって重大なものである。パーキンソン病の臨床症状が明示される前に、黒質由来の細胞の約80%が破壊されうる。
パーキンソン病の処置のための戦略のあるものは、伝達物質補充療法(L−ジヒドロキシフェニル酢酸(L−DOPA))、モノアミンオキシダーゼの阻害(例えば、Deprenyl(商標))、ドーパミン受容体作動薬(例えば、ブロモクリプチン及びアポモルヒネ)及び抗コリン作動薬(例えば、ベンズトロフィン(benztrophine)、オルフェナドリン)に基づいている。伝達物質補充療法は、特に「オン・オフ」症状が発症した場合の長期治療後には一貫した臨床的利点をもたらしうるわけではない。更にこのような処置は、アテトーシス及び舞踏病の不随意運動、悪心及び嘔吐も伴ってしまう。また、現在の療法は患者に継続的な認知機能低下を惹起する、根底にある神経変性障害を治療するものではない。
プリン受容体、特にアデノシン受容体、より具体的にはアデノシンA2A受容体のブロッキングは、パーキンソン病などの運動障害や、うつ、認知症、若しくは記憶障害などの障害、急性及び慢性痛、ADHD又は睡眠発作の治療又は予防に、又は被験者での神経保護のために有益でありうる。アデノシンA2A阻害薬の1つとして、3−(4−アミノ−3−メチルベンジル)−7−(フラン−2−イル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−アミンが挙げられる。
一実施態様で、組成物は、3−(4−アミノ−3−メチルベンジル)−7−(フラン−2−イル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−アミン(1)の結晶形Bを含む。組成物は、実質的に純粋な(1)の結晶形Bであることができる。組成物は、X線粉末回折における、7.64°、10.70°、12.23°、21.46°、22.25°、22.79°、24.25°、及び28.43°の2θでのピークにより特徴付けることができる。組成物は、X線粉末回折における、7.64°、10.70°、12.23°、13.17°、15.24°、16.50°、17.82°、18.50°、19.49°、20.52°、21.46°、22.25°、22.79°、24.25°、26.50°、27.33°、及び28.43°の2θでのピークにより特徴付けることができる。組成物は、製薬上許容される担体を更に含むことができる。
別の態様で、組成物は、3−(4−アミノ−3−メチルベンジル)−7−(フラン−2−イル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−アミンの溶媒和物を含む。組成物は、(1)のTHF溶媒和物、メチルエチルケトン溶媒和物、1,4−ジオキサン溶媒和物、又は1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−オール溶媒和物を含むことができる。溶媒和物は、実質的に純粋であることができる。溶媒和物は、(1)の結晶形Dであることができる。溶媒和物は、(1)の結晶形Eであることができる。溶媒和物は、(1)の結晶形Fであることができる。溶媒和物は、(1)の結晶形Gであることができる。溶媒和物は、(1)の結晶形Hであることができる。
別の態様で、(1)の結晶形Bを調製する方法は、(1)、そのN−保護誘導体、又はそれらの組み合わせを、スルホン酸に接触させることを含む。スルホン酸は、メタンスルホン酸であることができる。スルホン酸への接触は、1M以上の濃度を有するメタンスルホン酸の水溶液への接触を含むことができる。(1)のN−保護誘導体は、3−(4−トリフルオロアセタミド−3−メチルベンジル)−7−(フラン−2−イル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−アミンであることができる。その方法は、(1)、そのN−保護誘導体、又はそれらの組み合わせを、塩基性組成物に接触させることを更に含むことができる。塩基性組成物は、水酸化カリウム水溶液であることができる。水酸化カリウム水溶液中の水酸化カリウムは、1Mを超える濃度でありうる。
別の態様で、3−(4−アミノ−3−メチルベンジル)−7−(フラン−2−イル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−アミンの結晶形Bを調製する方法は、3−(4−アミノ−3−メチルベンジル)−7−(フラン−2−イル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−アミンを、カルボン酸に接触させることを含む。カルボン酸は、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、又はこれらの組み合わせであることができる。方法は、3−(4−アミノ−3−メチルベンジル)−7−(フラン−2−イル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−アミンを塩基性組成物に接触させることを更に含むことができる。塩基性組成物は、水酸化アンモニウム水溶液であることができる。
別の態様で、化合物の製造方法は、一定量のDADCP、一定量の(3−メチル−4−ニトロフェニル)メタンアミン塩酸塩を、一定量の立体障害アミン及び一定量の高沸点アルコールと容器内で配合することにより反応混合物を形成し、その反応混合物を100℃より高い温度に所定の反応時間加熱することを含む。
反応混合物の加熱として、120℃以上の温度への加熱を挙げることができる。立体障害アミンは、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、トリイソプロピルアミン、トリイソブチルアミン、2,4,6−コリジン、2,6−ルチジン、2,6−ジ−t−ブチルピリジン、又は1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(ocatane)であることができる。高沸点アルコールは、n−ブタノール、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ベンジルアルコール、t−アミルアルコール、n−ペンタノール、又は2−ブトキシエタノールであることができる。前記方法は、所定の反応時間後に、反応混合物へジアゾ化試薬を添加することを含むことができる。ジアゾ化試薬は、亜硝酸ナトリウムなどの亜硝酸塩であることができる。
他の実施態様、特徴、及び目的は、発明の説明及び図面から明らかになるであろう。
図1Aは、医薬品の結晶形態の特質を示すグラフである。 図1Bは、医薬品の結晶形態の特質を示すグラフである。 図1Cは、医薬品の結晶形態の特質を示すグラフである。 図2Aは、医薬品の結晶形態の特質を示すグラフである。 図2Bは、医薬品の結晶形態の特質を示すグラフである。 図2Cは、医薬品の結晶形態の特質を示すグラフである。 図3Aは、医薬品の結晶形態の特質を示すグラフである。 図3Bは、医薬品の結晶形態の特質を示すグラフである。 図3Cは、医薬品の結晶形態の特質を示すグラフである。 図4Aは、医薬品の結晶形態の特質を示すグラフである。 図4Bは、医薬品の結晶形態の特質を示すグラフである。 図4Cは、医薬品の結晶形態の特質を示すグラフである。 図5Aは、医薬品の結晶形態の特質を示すグラフである。 図5Bは、医薬品の結晶形態の特質を示すグラフである。 図6Aは、医薬品の結晶形態の特質を示すグラフである。 図6Bは、医薬品の結晶形態の特質を示すグラフである。 図6Cは、医薬品の結晶形態の特質を示すグラフである。 図6Dは、医薬品の結晶形態の特質を示すグラフである。 図7Aは、医薬品の結晶形態の特質を示すグラフである。 図7Bは、医薬品の結晶形態の特質を示すグラフである。 図8は、医薬品の結晶形態の特質を示すグラフである。 図9は、医薬品の結晶構造の模式図である。 図10は、医薬品の結晶構造の模式図である。
アデノシン受容体の遮断は、パーキンソン病などの運動障害の治療、及び脳虚血の治療に結びつけられている。例えば、Richardson,P.J.ら、Trends Pharmacol.Sci.1997,18,338−344、並びにGao,Y.及びPhillis,J.W.、Life Sci.1994,55,61−65(各々を参照することによりその全体を援用する)を参照されたい。アデノシンA2A受容体拮抗薬には、パーキンソン病などの運動障害の治療での潜在的用途がある(Mally,J.及びStone,T.W.、CNS Drugs,1998,10,311−320(参照することによりその全体を援用する))。
アデノシンは、十分に実証されている多種多様な調節機能及び生理的効果を有する、天然由来のプリンヌクレオシドである。この内在性ヌクレオシドの中枢神経系(CNS)効果は、CNS障害におけるプリン作動薬の治療的潜在性のために、薬物の発見で特に注目されている(Jacobson,K.A.ら、J.Med.Chem 1992,35,407−422、及びBhagwhat,S.S.;Williams,M.E.、Opin.Ther.Patents 1995,5,547−558(各々を参照することによりその全体を援用する))。
アデノシン受容体とは、プリン受容体として知られるプリンヌクレオチド及びヌクレオシド受容体の群のサブクラス(P)を表す。生理学的に異なる主なアデノシン受容体サブタイプは、A、A2A、A2B(高親和性及び低親和性のもの)及びA(Fredholm,B.B.ら、Pharmacol.Rev.1994,46,143−156(参照することによりその全体を援用する))として知られている。アデノシン受容体は、CNS内に存在する(Fredholm,B.B.、News Physiol.Sci.,1995,10,122−128(参照することによりその全体を援用する))。
受容体で仲介される薬剤は、脳虚血、又はパーキンソン病などの神経変性障害の治療に有用である可能性がある(Jacobson,K.A.、Suzuki,F.、Drug Dev.Res.,1997,39,289−300;Baraldi,P.G.ら、Curr.Med.Chem.1995,2,707−722;並びにWilliams,M.及びBumnstock,G.Purinergic Approaches Exp.Ther.(1997),3−26.編集者.Jacobson,KennethA.;Jarvis,Michael F.出版社:Wiley−liss,New York,N.Y.(参照することによりその全体を援用する))。
カフェインなどのキサンチン誘導体で、注意欠陥多動性障害(ADHD)の処置の一形態が提供されうると考えられている。数多くの研究で、ADHDの症状の制御に対する、カフェインの有益な効果が立証されている(Garfinkel,B.D.ら、Psychiatry,1981,26,395−401(参照することによりその全体を援用する))。アデノシン受容体の拮抗作用は、ヒトにおけるカフェインの主要な挙動効果の原因となると考えられ、このためアデノシンA2A受容体の遮断が、ADHD患者で観察されるカフェインの効果の原因になっているかもしれない。従って、選択的アデノシンA2A受容体拮抗薬は、ADHDの効果的な治療をもたらしながらも、副作用は少ないかもしれない。
アデノシン受容体は、睡眠パターンの調節に重要な役割を果たす可能性があり、そして実際に、カフェインなどのアデノシン拮抗薬は強力な覚醒効果を呈し、覚醒を長引かせるのに使用できる(Porkka−Heiskanen,T.ら、Science,1997,276,1265−1268(参照することによりその全体を援用する))。アデノシンの睡眠調節は、かかるアデノシンA2A受容体によって仲介される可能性がある(Satoh,S.,ら、Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,1996,93:5980−5984(参照することによりその全体を援用する))。よって、選択的アデノシンA2A受容体拮抗薬は、過眠症又は睡眠発作などの睡眠障害における過剰な眠気を相殺するのに利するかもしれない。
大うつ病の患者は、血小板でのアデノシン作動薬で誘発される刺激に対する応答鈍麻を示し、アデノシンA2A受容体機能の調節不全が、うつの際に起こるのかもしれないことを示唆している(Berk,M.ら、2001,Eur.Neuropsycopharmacol.11,183−186(参照することによりその全体を援用する))。動物モデルでの実験による証拠から、アデノシンA2A受容体機能の遮断が抗うつ活性をもたらすことが示されている(El Yacoubi,Mら、Br.J.Pharmacol.2001,134,68−77(参照することによりその全体を援用する))。従って、アデノシンA2A受容体拮抗薬は、大うつ病、及び患者の他の情動障害の治療に有用でありうる。
アデノシンA2A受容体の薬理が総説されている(Ongini,E.;Fredholm,B.B.Trends Pharmacol.Sci.1996,17(10),364−372(参照することによりその全体を援用する))。アデノシンA2A拮抗薬による運動障害の治療での推定機序の1つは、A2A受容体が、CNSにおけるドーパミンD受容体に機能的に結合できることである。例えば、Ferre,S.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1991,88,7238−7241;Puxe,K.ら、Adenosine Adenine Nucleotides Mol.Biol.Integr.Physiol.,(Proc.Int.Symp.),第5版(1995),499−507.編集者:Belardinelr,Luiz;Pelleg,Amir.出版社:KIuwer,Boston,Mass.;及びFerre,S.ら、Trends Neurosci.1997,20,482−487(各々を参照することによりその全体を援用する)を参照されたい。
CNSでのアデノシンA2A受容体の役割への関心は、A2A受容体を強直症に関連付けるインビボの研究(Ferreら、Neurosci.Lett.1991、130、1624;及びMandhane、S.N.ら、Eur.J.Pharmacol.1997、328、135−141(各々を参照することによりその全体を援用する))にある程度起因して、アデノシンA2A受容体に選択的に結合する薬剤の検討を促すことになっている。
アデノシンA2A拮抗薬療法の利点の1つは、根底にある神経変性障害も治療しうることである。例えば、Ongini,E.;Adami,M.;Ferri,C.;Bertorelli,R.、Ann.N.Y.Acad.Sci.1997,825(Neuroprotective Agents),3048(参照することによりその全体を援用する)を参照されたい。とりわけ、アデノシンA2A受容体機能の遮断は、マウスにてMPTPで誘発される神経毒性に対する神経保護をもたらす(Chen,J−F.、J.Neurosci.2001,21,RC143(参照することによりその全体を援用する))。更には、飲食によるカフェイン(既知のアデノシンA2A受容体拮抗薬)の摂取は、パーキンソン病のリスク低減に関連している(Ascherio,A.ら、Ann.Neurol.,2001,50,56−63;及びRoss G.W.,ら、JAMA,2000,283,2674−9(各々を参照することによりその全体を援用する))。従って、アデノシンA2A受容体拮抗薬は、パーキンソン病などの神経変性疾患における神経保護をもたらすかもしれない。
キサンチン誘導体が、パーキンソン病など、アデノシンA受容体の機能亢進によって引き起こされる様々な疾患を処置するためのアデノシンA2A受容体拮抗薬として開示されている(例えば、欧州特許出願公開第565377号(参照することによりその全体を援用する)を参照されたい)。著名なキサンチン由来のアデノシンA2A選択的拮抗薬の1つは、CSC[8−(3−クロロスチリル)カフェイン]である(Jacobsonら、FEBS Lett.、1993、323、141−144(参照することによりその全体を援用する))。
アデノシンA及びA2A受容体での混合拮抗薬である気管支拡張薬のテオフィリン(1,3−ジメチルキサンチン)の臨床試験が行われている。このアデノシン受容体拮抗薬の処方剤がパーキンソン病で価値あるものかどうかを判定するために、15名のパーキンソン患者についてオープン試験を行い、徐放性経口テオフィリン製剤(150mg/日)で12週まで処置し、1週間後に4.44mg/Lの血清テオフィリンレベルが認められた。それらの患者は、平均客観的障害スコアの有意な改善を示し、11名は中等度又は顕著な主観的改善を報告した(Mally,J.、Stone,T.W.、J.Pharm.Pharmacol.1994,46,515−517(参照することによりその全体を援用する))。
KF 17837[E−8−(3,4ジメトキシスチリル)−1,3−ジイソプロピル−7−メチルキサンチン]は、アデノシンA2A受容体作動薬であるCGS 21680の側脳室内投与によって誘発される強直性応答を、経口投与で有意に寛解させる選択的アデノシンA2A受容体拮抗薬である。KF 17837はまた、ハロペリドール及びレセルピンによって誘発される強直症も低減した。更に、KF 17837は、L−DOPAとベンセラジドとを合わせた場合の閾値下用量の抗強直症効果を増強し、KF 17837が中枢作用性のアデノシンA2A受容体拮抗薬であり、また黒質線条体路のドーパミン作動性機能はアデノシンA2A受容体拮抗薬によって増強されることが示唆された(Kanda,T.ら、Eur.J.Pharmacol.1994,256,263−268(参照することによりその全体を援用する))。KF 17837の構造活性相関(SAR)が、公表されている(Shimada,J.ら、Bioorg.Med.Chem.Lett.1997,7,2349−2352(参照することによりその全体を援用する))。アデノシンA2A受容体拮抗薬KW−6002についての最近のデータも報告されている(Kuwana,Yら、Soc.Neurosci.Abstr.1997,23,119.14;及びKanda,T.ら、Ann.Neurol.1998,43(4),507−513(各々を参照することによりその全体を援用する))。
これらの薬理学的特質を共有する非キサンチン構造体は、SCH 58261及びその誘導体を包含する(Baraldi,P.G.ら、J.Med Chem.1996,39,1164−71(参照することによりその全体を援用する))。SCH 58261(7−(2−フェニルエチル)−5−アミノ−2−(2−フリル)−ピラゾロ−[4,3−e]−1,2,4トリアゾロ[1,5−c]ピリミジン)は、運動障害の治療に有効であると報告されており(Ongini,E.Drug Dev.Res.1997,42(2),63−70(参照することによりその全体を援用する))、また後発の一連の化合物により検証がなされている(Baraldi,P.G.ら、J.Med.Chem.1998,41(12),2126−2133(参照することによりその全体を援用する))。
アデノシンA2A阻害薬の1つとして3−(4−アミノ−3−メチルベンジル)−7−(フラン−2−イル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−アミン(1)が挙げられる。国際特許出願公開第WO02/055083号(参照することによりその全体を援用する)を参照されたい。
Figure 2010515690
化合物(1)は、従来の任意の技術を用いて合成でき、それらのうちのいくつかを以下に例証する。(1)の製剤は、国際特許出願公開第WO02/055083号パンフレット(例えば、第23〜28頁、42頁、66〜67頁、及び106頁参照)に概説されている。
更に詳細には、国際特許出願公開第WO02/055083号パンフレットは、以下の反応シーケンスを記載している。
Figure 2010515690
上記方法により調製した化合物(1)について報告された融点は、245.3℃〜246.1℃(第106頁参照)であった。更に後述するとおり、この融点は結晶形Aに特徴的である。
一実施形態で、化合物(1)の合成は、トシル化ピリミジン(2)の、3−メチル−4−トリフルオロアセタミド−ベンジルアミン(3)との反応に依るものである。この経路の最終工程は、塩基性加水分解によるトリフルオロアセチル保護基の除去である。
Figure 2010515690
上記方法により調製すると、化合物(1)の結晶形Bが得られた。場合によっては、4−アミノベンジル基は、トリフルオロアセチル保護基に代わってメチルカルボニルオキシ又はベンジルカルボニルオキシ保護基により保護できる。
他の実施形態で、以下のスキームに例示するように、ピリミジン環を形成する前にトリアゾール環を形成することによって化合物(1)の合成を進行させる。
Figure 2010515690
ピリミジン環の前にトリアゾール環を構築する別の経路は、以下のとおりである。
Figure 2010515690
別の実施形態で、化合物(1)の合成にはピリミジン(4)のジアゾニウム種との反応が関わる。
Figure 2010515690
さらに別の実施形態で、合成方法は、N−(2−アミノ−4,6−ジクロロピリミジン−5−イル)−ホルムアミドの、3−メチル−4−ニトロベンズアミドとのカップリングを包含しうる。
Figure 2010515690
カップリング及びジアゾ化工程を、分離せずに1つのポットで行える、前記方法の変法も使用できる。
Figure 2010515690
この方法で、カップリング反応は、立体障害アミン及び高沸点アルコールを溶媒として使用することにより好ましいものとなりうる。立体障害アミンは、好ましくは実質的に塩基性であり、且つ実質的に非求核性である。好適な立体障害アミンの例のいくつかとして、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、トリイソプロピルアミン、トリイソブチルアミン、2,4,6−コリジン、2,6−ルチジン、2,6−ジ−t−ブチルピリジン、及び1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(ocatane)が挙げられる。ある実施形態で、立体障害アミンはトリエチルアミンよりも立体障害性が高いものでありうる。高沸点アルコールは、水よりも高い沸点(すなわち、大気圧で100℃)を有しうる。好適な高沸点アルコール類の例のいくつかとして、n−ブタノール、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ベンジルアルコール、t−アミルアルコール、n−ペンタノール、及び2−ブトキシエタノールが挙げられる。カップリング反応の生成物は、そのカップリング反応の生成物を単離する必要なく同じポットでジアゾ化試薬(例えば、NaNO)と配合できる。従って、重要な中間体の直接的なワンポット合成が提供される。
化合物(1)は、例えば、X線粉末回折パターン、DSC測定、及び溶媒含有量によって識別される様々な結晶形にて存在できる。その様々な結晶形は、A形、B形、D形、E形、F形、G形、及びH形と称される。
A形は、化合物(1)を溶解させるのに好適な温度で、テトラヒドロフラン(THF)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチルピロリドン(NMP)、又はそれらの混合物などの好適な溶媒中に化合物(1)を溶解させることにより調製できる。或いは、化合物(1)を溶解させるのに好適な温度で、溶媒(例えば、THF、DMF、DMA、又はNMP)と、逆溶剤(水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルメチルエーテル(TBME)、アセトン、アセトニトリル、1,2−ジメトキシエタン、又はその混合物など)との混合液に化合物(1)を溶解させることができる。次いで、A形の形成に好適な条件下、その混合物に逆溶剤を添加することができる。例えば、化合物(1)をDMSOに溶解させ、その後、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、又はt−ブチルアルコール)、及び任意に第2の逆溶剤(アルコール又は水など)と、配合することができる。
A形は、溶媒及び酸の混合物に化合物(1)を溶解させることによっても調製できる。この方法に好適な溶媒のいくつかとして、THF、エタノール、及びメタノールが挙げられる。好適な酸のいくつかとして、塩酸、硫酸、及びメタンスルホン酸が挙げられる。溶媒/酸混合物に溶解すれば、化合物(1)は次いでA形の生産に好適な条件下に、水酸化物又はアミン(例えば、水性水酸化ナトリウム)などの好適な塩基を添加することにより沈殿される。
B形は、B形の生産に好適な条件下に溶媒及び酸(特に、水及びメタンスルホン酸)の混合物に化合物(1)を溶解させ、水酸化物又はアミン(例えば、水性水酸化カリウム)などの好適な塩基を添加することにより化合物(1)を沈殿させることによって調製できる。例えば、結晶形Bは、水及びアルキルスルホン酸(メタンスルホン酸又はエタンスルホン酸など)の溶液に化合物(1)(又は保護形、例えば、フェニルアミノ基がアセチル又はトリフルオロアセチル基などでアシル化された形)を溶解させ、(例えば、残留している保護された(1)を全て抽出すべく)酢酸エチルなどの有機溶媒と、水酸化物塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、又は水酸化アンモニウム等)などの塩基とを添加することによって調製できる。塩基を添加すると、結果的に(1)の沈殿を引き起こすことができる。沈殿物は、(例えば、水又は水性溶媒系中で)再度スラリー化して残存アルキルスルホン酸を全て除去できる。
或いは、結晶形Bは、水とアルキル酸(例えば、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、ブタン酸等)との混合物中で化合物(1)のスラリーを形成し、水酸化物塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、又は水酸化アンモニウム等)などの塩基で混合物を中和することにより調製できる。
化合物は、無機又は有機の酸及び塩基に由来する、製薬上許容される塩の形態で使用できる。かかる酸塩に含まれるものとして、以下の塩、すなわち、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩化水素塩、臭化水素塩、ヨウ化水素塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩(pectinate)、過硫酸塩、3−フェニル−プロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩及びウンデカン酸塩が挙げられる。塩基塩として、アンモニウム塩、ナトリウム及びカリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム及びマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、N−メチル−D−グルカミン、ジシクロヘキシルアミン塩などの有機塩基との塩、並びにアルギニン及びリジンなどのアミノ酸との塩等が挙げられる。また、塩基性窒素含有基は、メチル、エチル、プロピル、及びブチル塩化物、臭化物及びヨウ化物などの低級アルキルハロゲン化物、ジメチル、ジエチル、ジブチル及びジアミル硫酸塩などのジアルキル硫酸塩、デシル、ラウリル、ミリスチル及びステアリル塩化物、臭化物及びヨウ化物などの長鎖ハロゲン化物、ベンジル及びフェネチル臭化物などのアラルキルハロゲン化物等といった薬剤で四級化することができる。水又は油に可溶性又は分散性の生成物が、これによって得られる。
化合物は、経口的に、非経口的に、吸入スプレーにより、局所的に、直腸内に、経鼻的に、頬側的に、経膣的に又は移植したリザーバを介して投与してもよい医薬組成物に製剤化してもよい。本願明細書の「非経口的」という用語には、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液内、胸骨内、髄腔内、肝内、病巣内及び頭蓋内注射又は注入技術が含まれる。
医薬組成物は、化合物(1)、又は製薬上許容されるその誘導体を、任意の製薬上許容される担体と共に含むことができる。本願明細書の「担体」という用語は、許容されるアジュバント及び賦形剤を含む。本発明の医薬組成物で使用してもよい製薬上許容される担体として、限定しないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、緩衝剤物質、例えばリン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸類の部分グリセリド混合物、水、塩又は電解質、例えば、プロタミン硫酸塩、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリレート類、ワックス類、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコール及び羊毛脂が挙げられる。
医薬組成物は、無菌の注射用製剤、例えば無菌の注射用水性又は油性懸濁液の形態としてもよい。この懸濁液は、好適な分散又は湿潤剤及び懸濁剤を用い、当該技術分野で公知の技術により製剤化してもよい。無菌の注射用製剤は、無毒の非経口で許容される希釈剤又は溶媒中の、無菌の注射用溶液又は懸濁液、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液としてもよい。用いてもよい許容される賦形剤及び溶媒として挙げられるのは、水、リンゲル溶液及び等張性の塩化ナトリウム溶液である。更に、無菌の不揮発性油が、溶媒又は懸濁媒体として通常用いられる。この目的で、合成モノ−又はジグリセリドを含め、任意の無刺激性不揮発性油を用いてもよい。オレイン酸及びそのグリセリド誘導体などの脂肪酸は、注射剤の調製に有用であり、また、オリーブ油又はヒマシ油などの天然の製薬上許容される油も同様であって、特にそれらのポリオキシエチル化体にて有用である。これらの油溶液又は懸濁液は、長鎖アルコール希釈剤又は分散剤も含有してもよい。
医薬組成物は、経口で許容される任意の剤形で投与でき、この剤形として、限定しないが、カプセル剤、錠剤、水性懸濁剤又は液剤が挙げられる。
経口で使用する錠剤の場合、一般的に使用される担体として乳糖及びトウモロコシデンプンが挙げられる。ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢化剤も通常添加される。カプセル形態での経口投与用に有用な希釈剤として、乳糖及び乾燥トウモロコシデンプンが挙げられる。水性懸濁液が経口用途に必要とされる場合、有効成分を乳化剤及び懸濁化剤と配合する。必要に応じ、特定の甘味剤、着香剤又は着色剤を添加してもよい。
或いは、医薬組成物は、直腸内投与用の坐剤の形態として投与してもよい。これらは、当該薬剤を室温では固体であるが直腸の温度では液体である好適な無刺激性の賦形剤と混合することによって調製でき、従って、直腸で溶けて薬物を放出することになる。このような材料として、カカオ脂、ミツロウ及びポリエチレングリコールが挙げられる。
医薬組成物は、特に処置の標的が、眼、皮膚、又は下部腸管の疾患を含め、局所投与により容易に到達可能な領域又は器官を含む場合に局所投与してもよい。好適な局所処方剤は、これらの領域又は器官の各々に対し、容易に調製される。
下部腸管に対する局所投与は、直腸坐剤(前記を参照)にて、又は好適な浣腸処方剤にて達成できる。局所的経皮貼付剤(パッチ)を使用してもよい。
局所投与のために、医薬組成物は、1種以上の担体に懸濁又は溶解した有効成分を含有する好適な軟膏に製剤化してもよい。本発明の化合物の局所投与用の担体として、限定しないが、鉱油、液体ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス及び水が挙げられる。或いは、医薬組成物は、1種以上の製薬上許容される担体に懸濁又は溶解した有効成分を含有する好適なローション剤又はクリーム剤に製剤化することができる。好適な担体として、限定しないが、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリールアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール及び水が挙げられる。
眼用には、塩化ベンジルアルコニウムなどの保存剤添加、又は無添加の、pHを調整した無菌の等張性生理食塩水中の微粒子化懸濁液として、又は好ましくは、pHを調整した無菌の等張性生理食塩水中の液剤として医薬組成物を製剤化してもよい。或いは、眼用に、医薬組成物をワセリンなどの軟膏に製剤化してもよい。
医薬組成物は、噴霧器、乾燥粉末吸入器又は計量式吸入器を使用して、吸入又は経鼻エアロゾルにより投与してもよい。このような組成物は、医薬品処方剤の技術分野で周知の技術に従って調製され、また、ベンジルアルコール又は他の好適な保存剤、生体利用率を増強する吸収促進剤、フッ化炭素、及び/又は他の慣用の可溶化剤若しくは懸濁化剤を用い、生理食塩水中の液剤として調製してもよい。
単一剤形を作製すべく担体材料と配合してしてもよい有効成分の量は、処置すべきホスト、及び特定の投与形態によって変動するであろう。しかしながら、何れの特定の患者に対する特別な投与量及び処置投与計画も、用いる特定化合物の活性、年齢、体重、全般的健康状態、性、食事、投与時期、***率、薬物の組み合わせ、並びに治療担当医の判断及び処置される特定の疾患の重症度を含む様々な要因によるものとされることは理解すべきである。有効成分の量はまた、治療剤か予防剤か、またあれば、配合成分が何と共投与されるかによることもある。
医薬組成物は、有効量の化合物(1)を含むことができる。有効量は、処置される患者に対して治療効果をもたらすのに必要な量として定義され、阻害剤の性質、患者の大きさ、処置の目標、処置すべき病状の性質、使用される特異的医薬組成物、及び治療担当医の判断などの様々な要因によるものとされる。参考に、Freireichら、Cancer Chemother.Rep.1966,50,219及びScientific Tables,Geigy Pharmaceuticals,Ardley,N.Y.,1970,537を参照されたい。1日あたり約0.001から約100mg/kg体重の間、好ましくは1日あたり約0.1から約10mg/kg体重の間の有効成分化合物という投与量レベルが有用である。
以下の実施例は、例示のみを目的とし、限定は意図しない。
実施例1:N−[2−アミノ−4−クロロ−6−(3−メチル−4−ニトロ−ベンジルアミノ)−ピリミジン−5−イル]−ホルムアミドの調製
イソプロパノール(1500mL)、N−(2−アミノ−4,6−ジクロロ−ピリミジン−5−イル)−ホルムアミド(100.0g)、及び(3−メチル−4−ニトロフェニル)メタンアミン塩酸塩(263.47g)を、5Lの反応器に入れた。温度を58〜65℃に上げ、激しく撹拌しながら30〜40分かけてトリエチルアミン(341.85mL)を添加した。反応混合物は加熱して3〜4時間還流した。反応マス温度を15〜20℃に下げ、30分間かけて水(2000mL)を添加した。更に1〜2時間、15〜20℃で撹拌を続けた。反応マスを濾過して、イソプロピルアルコール/水混合液(140mL/180mL)、次いで水(215.0mL)、そして冷イソプロピルアルコール(95.0mL)で洗浄した。生成物を40〜45℃で10〜15時間、真空下に乾燥させてN−[2−アミノ−4−クロロ−6−(3−メチル−4−ニトロ−ベンジルアミノ)−ピリミジン−5−イル]−ホルムアミドを150〜155g(92〜95%)得た。
実施例2:7−クロロ−3−(3−メチル−4−ニトロベンジル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−アミンの調製
還流冷却器、温度計、機械式攪拌機、及び窒素導入口を備えた3つ口丸底フラスコに、室温でメタノール(70.0mL)、硫酸(4.51mL、84.6mmol)、及びN−[2−アミノ−4−クロロ−6−(3−メチル−4−ニトロ−ベンジルアミノ)−ピリミジン−5−イル]−ホルムアミド(10.2g、28.8mmol)を加えた。得られた透明溶液を、10分にわたり60℃に加熱し、50〜60℃で20分、減圧蒸留下に20mLの溶媒を集めた。反応物を室温に冷却して水(150mL)を添加し、明黄色スラリーを得た。このスラリーに室温で4時間かけて亜硝酸ナトリウム(40重量%水溶液、4.80mL、36.0mmol)を添加した。得られた濃厚スラリーを、濾過に先駆けた更なる時間熟成させた。水(50mL)、水酸化アンモニウム(0.5N、50mL)、次いで水(50mL)で、湿潤ケーキを洗浄した。粗生成物を一定重量まで真空下に乾燥して、7−クロロ−3−(3−メチル−4−ニトロベンジル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−アミンを9.25g(99.6%)得た。
実施例2A:7−クロロ−3−(3−メチル−4−ニトロベンジル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−アミンの代替的調製
2,5−ジアミノ−4,6−ジクロロピリミジン(DADCP)(19.6g、109mmol、1.00当量)、(3−メチル−4−ニトロフェニル)メタンアミン塩酸塩(19.9g、98.2mmol、0.90当量)、1−ブタノール(300mL)、及びジイソプロピルエチルアミン(DIPEA、43.0mL、260mmol、2.4当量)を750mL反応容器で混合し、120℃に加熱した。この温度で3〜3.5時間経過後、反応混合物を室温に冷却した。追加の(3−メチル−4−ニトロフェニル)メタンアミン塩酸塩(5.50g、0.25当量)を添加した。反応混合物を再度、120℃に更に3〜4時間加熱して、その後再び室温に冷却した。
メタノール(100mL)を18℃で添加し、その後飲用水(30mL)を添加した。濃硫酸(13.0g、132mmol、1.2当量)を5〜10分で添加して、その溶液を20℃に冷却した。30mLの飲用水中のNaNO(8.30g、119mmol、1.1当量)溶液を、温度を20から25℃の間に維持して20〜30分で添加した。添加後、17〜19℃で反応懸濁液を1〜2時間撹拌した。混合物を濾過して、75mLのメタノール、75mLの0.1Nアンモニア溶液、及び75mLの水で洗浄した。80℃で真空乾燥した後、25.7gの7−クロロ−3−(3−メチル−4−ニトロベンジル)−3H−[1,2,3]トリアゾール[4,5−d]ピリミジン−5−アミン(収率73.4%)を得た。
実施例3:7−(フラン−2−イル)−3−(3−メチル−4−ニトロベンジル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−アミンの調製
1Lの反応容器に、7−クロロ−3−(3−メチル−4−ニトロベンジル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−アミン(50.0g、156.4mmol)、及びPd(dppf)Cl(185mg、0.234mmol)を入れた。その後、容器を排気して窒素を4回流し、酸素を除去した。次に、カニューレを介してトリエチルアミン(65.4mL、469mmol)、脱気水(300mL)、及び脱気THF(200mL)を添加した。スラリー状の物質を、次いで68℃に加熱し、この温度に15分間保った。上記のように装備した500mLのショット瓶に、2−フリルボロン酸(21.0g、188mmol)を入れた。瓶に窒素を流し、脱気THF(200mL)を投入した。ボロン酸が全て溶解した後、ポンプを用いてその溶液を1L反応容器に1時間かけて加えた。添加の間、反応温度は68℃に維持した。反応混合物を68℃にて更に3時間(総反応時間は4時間)撹拌させ、次いで反応混合物を25℃に冷却した。最終生成物の、灰白色結晶を濾過により集めた。濾過ケーキはメタノール(400mL、2分割)で洗浄し、着色した不純物を全て除去した。生成物を真空下に乾燥させて、7−(フラン−2−イル)−3−(3−メチル−4−ニトロベンジル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−アミンを45.3g(82%)得た。
実施例4:3−(4−アミノ−3−メチルベンジル)−7−(フラン−2−イル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−アミン(1)の調製
250mLの2つ口丸底フラスコに、窒素雰囲気下、7−(フラン−2−イル)−3−(3−メチル−4−ニトロベンジル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−アミン(3.0g、8.5mmol)、及び5%のPd/C触媒(0.46g、0.073mmol)を入れた。次に、シリンジを介してTHF(72mL)、及びトリエチルアミン(9.0mL、65mmol)を添加し、得られた混合物を撹拌してスラリーを得た。次いでギ酸(2.3mL、46.03mmol)を一挙に加えて、その混合物を70℃の温度に設定した浴で加熱した。5時間に、反応混合物を25℃に冷却した。水(60mL)を添加し、濃塩酸を滴状添加して生成物を溶解させた。溶液をCelite545を通して濾過して触媒を除去し、その濾過ケーキを更なる水(2×5mL)で洗浄した。黄色がかった濾液に、50%の水酸化ナトリウム水溶液を添加して生成物を沈殿させた。濾過による単離に先駆けた更なる時間、混合液を撹拌した。濾過ケーキは、水(10mL)、次いでメタノール(10mL)で洗浄した。生成物を一定重量まで真空下に乾燥して、3−(4−アミノ−3−メチルベンジル)−7−(フラン−2−イル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−アミンを2.79g(92%)得た。
実施例5:(1)の結晶形Aの特徴付け
250mLの丸底フラスコに、室温で化合物(1)(10.0g)、及びDMSO(45mL)を入れることにより、結晶形Aの(1)の試料を調製した。得られたスラリーを75℃に加熱して透明溶液を得た。その溶液にイソプロパノール(90mL)を2時間かけて75℃で添加し、次いで室温に冷却した。混合物を室温で濾過し、DMSO/イソプロパノール混合液(13mL/26mL)、次いでイソプロパノール(40mL)で洗浄した。生成物を真空下に乾燥して(1)の結晶形Aを9.59g(95.9%)得た。試料は、X線粉末回折(XRPD)、示差走査熱量測定(DSC)、及び熱重量分析(TGA)により特徴付けした。
或いは、ガラス内張の1000L反応器に58.3kgの粗湿潤化合物(1)を入れた。反応器を窒素でパージした後、この反応器に289kgのDMSOを入れて、混合物を77〜83℃に加熱した。溶液が得られ、これに210Lの96%エタノールを77〜83℃にて75分で添加することにより、結晶化が始まった。その後、105Lの精製水を77〜83℃にて45分で添加した。水の添加が完了した後、混合物は20〜25℃にて3時間冷却し、この温度で1時間撹拌した。生成物を濾過して、濾過ケーキを各々84Lの96%エタノールで3回洗浄したが、ここで初めの2回の洗浄は撹拌しながら行った。最終的に、生成物の湿潤した純粋な化合物(1)が放出された。
XRPDにつき、ピークの相対強度は、例えば、試料製剤技術、試料取付法、及び用いる特定の機器に応じて変動する可能性がある。機器の格差及び他の要因も、2θの測定値に影響を及ぼす可能性がある。従って、XRPDピーク割当は、2θでプラス/マイナス0.2°変動しうる。
DSCにつき、観察される温度は、温度変化率や、試料製剤技術、及び用いた特定の機器に依存するであろう。よって、DSC温度記録についての報告値は、プラス/マイナス約4℃、変動する可能性がある。
図1Aは、結晶形AのXRPD痕跡を示す。結晶形AのXRPDパターンは、7.20°、8.14°、10.26°、13.00°、14.23°、15.10°、17.75°、18.20°、19.31°、20.41°、22.15°、23.36°、24.19°、25.55°、26.39°、27.26°、及び28.62°の2θでのピークにより特徴付けられる。
図1Bは、結晶形Aに対するDSC温度記録を示す。結晶形Aは、154.5J/gから165.8J/gの間のΔHで、約243℃〜246℃におけるDSC温度記録(すなわち、融点)の最小値を示す。微粒子化前後のDSC分析で、融解熱の有意な差は示されず、微粒子化が結晶の質に悪影響を及ぼさなかったことが確認された。
図1Cは、結晶形Aに対するTGA痕跡を示す。TGAにより、A形は実質的に溶媒を含まず、外界温度から220℃までの重量減少は0.1%重量/重量未満から1.2%重量/重量の間で変動することが明らかになった。微粒子化の前後のTGA分析で、微粒子化前の物質よりも微粒子化された物質は、結合せずに捕捉されない溶媒の含有量が少ないことが示された。
実施例6:(1)の結晶形Bの特徴付け
MeSOH(143mL)、HO(1000mL)、及び化合物(1)を清浄フラスコに入れ、15分間撹拌混合することにより結晶形Bの(1)の試料を調製した。化合物(1)は、このMeSOH溶液に溶解していた。混合物が全て溶解しなかった場合は、30℃に加熱して溶解を完全なものとした。容器にEtOAc(500mL)を入れ、さらに30分間撹拌混合した。EtOAc層を除き、酸性反応混合物を2MのKOH水溶液でpH7に中和した。淡褐色の沈殿が形成された。混合物を濾過し、HO(1000mL)で洗浄して50℃の真空オーブンにて一定重量にまで乾燥し、結晶形Bの化合物(1)を得た。H NMRでメタンスルホン酸カリウムの存在が示されれば、これはHO(20容量)中のスラリーによって除去した。
或いは、100mLの丸底フラスコに、室温で化合物(1)(5.17g)、酢酸(20mL)、及び水(30mL)を入れることにより結晶形Bを調製した。得られたスラリーを室温で6時間撹拌した。混合物を濾過し、0.5N水酸化アンモニウム、次いで水で洗浄した。生成物を真空下で乾燥して(1)の結晶形Bを5.00g(96.7%)得た。
結晶形Bは、XRPD、DSC、及びTGAにより特徴付けした。図2Aは、結晶形BのXRPD痕跡を示す。結晶形BのXRPDパターンは、7.64°、10.70°、12.23°、13.17°、15.24°、16.50°、17.82°、18.50°、19.49°、20.52°、21.46°、22.25°、22.79°、24.25°、26.50°、27.33°、及び28.43°の2θでのピークにより特徴付けられる。図2Bは、結晶形Bに対するDSC温度記録を示す。結晶形Bは、141.1J/gのΔHで、約229℃におけるDSC温度記録(すなわち、融点)の最小値を示す。図2Cは、結晶形Bに対するTGA痕跡を示す。TGAにより、B形は実質的に溶媒を含まず、外界温度から220℃までの重量減少は0.8%重量/重量であることが明らかになった。
実施例7:(1)の結晶形D(THF溶媒和物)の特徴付け
結晶形Dの(1)の試料を、熱THFからの再結晶によって調製した。試料をXRPD及びTGAにより特徴付けした。図3Aは、D形のXRPD痕跡を示し、これは8.49°、9.00°、9.55°、11.85°、14.04°、15.01°、15.78°、17.13°、18.13°、19.21°、19.50°、20.20°、23.14°、24.23°、24.51°、26.46°、及び26.81°の2θでのピークにより特徴付けられる。図3Bは、結晶形Dに対するTGA痕跡を示す。TGAにより、D形は外界温度から65℃までの加熱でその重量の12.5%、すなわち(1)の1モルあたり0.7モルの溶媒が減少していることが示され、D形がTHF半溶媒和物であることと一致していた。
図3Cは、結晶形Dの変動温度XRPD痕跡を示す。痕跡(下部から上部へ)は、外界温度、50℃、65℃、115℃、140℃、170℃で、140℃に冷却後、及び30℃に冷却後に記録した。最終生成物は、結晶形Aであった。
実施例8:(1)の結晶形E(1,4−ジオキサン溶媒和物)の特徴付け
結晶形Eの(1)の試料を、1,4−ジオキサンからの再結晶によって調製した。試料をXRPD、DSC、及びTGAにより特徴付けした。図4Aは、結晶形EのXRPD痕跡を示す。結晶形EのXRPDパターンは、8.49°、8.84°、9.50°、11.60°、13.73°、14.99°、15.56°、16.95°、17.77°、19.03°、19.96°、22.70°、23.83°、24.05°、25.51°、及び26.57°の2θでのピークにより特徴付けられる。図4Bは、結晶形Eに対するDSC温度記録を示す。結晶形EのDSC温度記録は、123℃を上回る脱溶媒和吸熱と、約244℃での最低吸熱(minimum in(すなわち、融点))を示す。脱溶媒和したE形の融点は、脱溶媒和でE形がA形に変換することを示唆している。
図4Cは、結晶形Eに対するTGA痕跡を示す。TGAにより、E形は外界温度から50℃までの加熱でその重量の13%、すなわち(1)の1モルあたり0.6モルの溶媒が減少していることが示され、D形が1,4−ジオキサン半溶媒和物であることと一致していた。
実施例9:(1)の結晶形F(メチルエチルケトン溶媒和物)の特徴付け
結晶形Fの(1)の試料を、メチルエチルケトン(MEK)からの再結晶によって調製した。試料をXRPD及びDSCにより特徴付けした。図5Aは、結晶形FのXRPD痕跡を示す。結晶形FのXRPDパターンは、8.44°、8.78°、9.48°、11.60°、13.66°、14.94°、15.43°、17.00°、17.70°、18.94°、19.76°、20.00°、22.35°、23.83°、25.40°、25.62°、26.26°、及び26.68°の2θでのピークにより特徴付けられる。図5Bは、結晶形Fに対するDSC温度記録を示す。結晶形EのDSC温度記録は、102℃を上回る脱溶媒和吸熱と、約240℃での最低吸熱(すなわち、融点)を示す。脱溶媒和したF形の融点は、脱溶媒和でF形がA形に変換することを示唆している。
実施例10:(1)の結晶形G(ヘキサフルオロイソプロパノール溶媒和物)の特徴付け
結晶形Gの(1)の試料を、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−オールからの再結晶によって調製した。試料をXRPD、DSC、及びTGAにより特徴付けした。図6Aは、結晶形GのXRPD痕跡を示す。結晶形GのXRPDパターンは、4.66°、6.56°、10.06°、10.81°、12.00°、13.31°、14.74°、16.00°、16.51°、17.40°、18.79°、19.56°、20.31°、21.71°、及び22.59°の2θでのピークにより特徴付けられる。図6Bは、結晶形Gに対するDSC温度記録を示す。結晶形GのDSC温度記録は、84℃を上回る脱溶媒和吸熱と、約241℃での最低吸熱(すなわち、融点)を示す。脱溶媒和したG形の融点は、脱溶媒和でG形がA形に変換することを示唆している。
図6Cは、結晶形Gに対するTGA痕跡を示す。TGAにより、G形は外界温度から50℃までの加熱でその重量の40%、すなわち(1)の1モルあたり1.3モルの溶媒が減少していることが示され、G形がヘキサフルオロイソプロパノール溶媒和物であることと一致していた。
図6Dは、結晶形Gの変動温度XRPD痕跡を示す。痕跡(下部から上部へ)は、外界温度、25℃、70℃、100℃、120℃、210℃、220℃、230℃、235℃、及び240℃で記録した。200℃より上で記録された痕跡は、半透明の保護ドームの存在のために更なるシグナルを示したことに注目されたい。最終生成物は、結晶形Bであった。
実施例11:様々な溶媒からの再結晶
24種の溶媒の各々500μLを50mg±5mgのA形に添加して、飽和溶液を作製した。完全な溶解が成し遂げられれば、過剰量の固体が存在するようになるまで追加の材料を添加した。
バイアルに蓋をして、12時間ごとに外界温度と50℃とに変わるサイクルの振盪培養器に入れた。4日間、振盪を続けた。バイアルの検査で、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−オールの大部分が蒸発していたことが示されたので、更に500μLを加えた。更に2日後の検査で、このバイアルにはもはや、溶液のみしか含まれていないことが示されたので、追加の固体(約30mg)を添加した。
各スラリーの試料をガラススライドに移し、何らかの過剰な溶媒の蒸発、又はウィカー(wicker)濾過のどちらかにより部分的に乾燥し、XRPDによって調べた。1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−プロパン−2−オールからの再結晶で結晶形G(前記参照)を得た。これらの条件下に、アセトン、アセトニトリル、THF、DMA、DCM、シクロヘキサン、ヘプタン、n−ブタノール、DMF、1,4−ジオキサン、酢酸エチル、エタノール、酢酸ブチル、酢酸i−プロピル、MEK、メタノール、MIBK、プロパン−1−オール、プロパン−2−オール、t−BME、トルエン、水、又はNMPからの再結晶で結晶形Aを得た。
実施例12:(1)の結晶形H(THF溶媒和物)の特徴付け
結晶形Hの(1)の試料を、THFからの再結晶によって調製した。試料をXRPD及びTGAにより特徴付けした。図7Aは、H形のXRPD痕跡を示し、これは8.40°、8.82°、9.33°、13.67°、14.21°、14.74°、15.43°、16.88°、17.88°、19.06°、19.73°、23.96°、25.36°、25.99°、及び26.45°の2θでのピークにより特徴付けられる。図7Bは、結晶形Hに対するTGA痕跡を示す。TGAにより、H形は外界温度から150℃までの加熱でその重量の38%が減少していることが示され、H形がTHF半溶媒和物であることと一致していた。
実施例13:A形及びB形の相対的安定性
A形及びB形の相対的安定性を、蒸気拡散実験によって判定した。ほぼ等量の前記2種の形を一緒に粉砕して、均質混合物を作製した。混合物をシリコン510−カット陥凹ウェハXRPDホルダ内に充填して、混合物のXRPDを判定した。その後ホルダを、NMP(既知溶媒1)を含む、覆いをしたディッシュに室温で入れた。混合物を、随時再検査してXRPDパターンの何らかの変化を監視した。
図8は、B形の特徴的なピークが経時的に減少し、23日の時点までに完全に消失していることを示す。これは、室温ではA形がより安定な多形であることを示していた。図8の下部から上部への痕跡は、先ず24時間で、そして3日、1週、10日、及び23日に記録し、最上部の痕跡は、A形の参考標準とB形の参考標準である。
実施例14:D形及びH形の相対的安定性
D形及びH形は双方ともTHF溶媒和物であり、類似の化学量を有すると考えられる。これらは非常に類似したXRPDパターンを有する(図3Aを図7Aと比較)が、有意に異なる脱溶媒和温度を有し(図3Bを図7Bと比較)、TGAによって容易に識別された。
D形及びH形の相対的安定性は、蒸気拡散実験により検討した。ほぼ等量の前記2種の形を合わせて、均質混合物を作製した。混合物をシリコンXRPDホルダ内に充填して、混合物のXRPDを判定した。その後ホルダを、THF:NMP(約90:10容量/容量)を含む、覆いをしたディッシュに室温で入れた。混合物を随時再検査して、XRPDパターンの何らかの変化を監視した。
12日にわたり、XRPD痕跡に有意な変化はなかった。XRPDの結果は決定的ではないが、H形がより高い脱溶媒和温度を有していたため、これがTHF溶媒和物の安定形である可能性が高かった。
実施例15:A形の結晶構造
粉末回折データを用いて、(1)のA形の結晶構造を解析した。A形は、非対称性の単位がC1615(Z’=1)であり、空間群はP2/aであって、a=24.7948(6)Å、b=12.0468(2)Å、c=4.9927(1)Å、β=90.959(1)°、V=1491.1Å、T=293Kの単斜晶を生じた。2Å程度の分解能となるように収集した回折データを使用し、プログラムDASHにて実行する大域的最適化法を用いて、この構造を解析した。得られた構造は、回折データと一致しており、試料中のわずかな好ましい配向の存在が検出及び考察された。表1に、A形の原子座標を示す。
Figure 2010515690
図9に、結晶構造に基づくA形の(1)の、3つの図面を示す。上部:全構造、左下部:N1及びN6に関わる水素結合、右下部:N7、N2及びN6に関わる水素結合。
実施例16:B形の結晶構造
粉末回折データを用いて、(1)のB形の結晶構造を解析した。B形は、非対称性の単位がC1615(Z’=1)であり、空間群はP2/cであって、格子定数a=11.6824(6)Å、b=16.4814(2)Å、c=8.0829(1)Å、β=96.9979(1)°、V=1544.7Å、T=293Kの単斜晶を生じた。2Å程度の分解能となるように収集した回折データを使用し、プログラムDASHにて実行する大域的最適化法を用いて、この構造を解析した。得られた構造は、回折データと一致していた。好ましい配向は試料中に検出されなかった。表2に、B形の原子座標を示す。
Figure 2010515690
図10に、結晶構造に基づくB形の(1)の、3つの図面を示す。上部:全構造、左下部:N2及びN6に関わる水素結合、右下部:N7及びN1に関わる水素結合。
図9と10との比較で、環の配向(C6−C7−C8−C9−C10−C11)に関して2つの形で観察される分子配座の相違が明示される。例えば、図9と10におけるメチル炭素C12の位置を比較する。パッキングの点では、1形および2形は共通して、ダイマーモチーフ(すなわち、ピリミジン窒素及び5−アミノ基(N6)に関わる水素結合)、及び平面環構造の対面近接(face−to−face close)パッキングへの性向を有する。しかしながら、同じ図の比較で、これら2つの形の間の分子間水素結合(すなわち、A形でN6−N1’、N7−N6’、N7−N2’;B形でN6−N2’、N7−N1’)の相違も明らかになっている。A形はより高密度であり(V=1491.1Å、2形の場合の1544.7Åとの比較)、2つの形のうちA形がより熱力学的に安定性が高いとの観察と一致していた。
他の実施形態が、以下の特許請求の範囲に含まれる。

Claims (24)

  1. 3−(4−アミノ−3−メチルベンジル)−7−(フラン−2−イル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−アミンの結晶形Bを含む組成物。
  2. 前記組成物が、3−(4−アミノ−3−メチルベンジル)−7−(フラン−2−イル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−アミンの実質的に純粋な結晶形Bである請求項1記載の組成物。
  3. 前記組成物が、X線粉末回折における、7.64°、10.70°、12.23°、21.46°、22.25°、22.79°、24.25°、及び28.43°の2θでのピークにより特徴付けられる請求項2記載の組成物。
  4. 前記組成物が、X線粉末回折における、7.64°、10.70°、12.23°、13.17°、15.24°、16.50°、17.82°、18.50°、19.49°、20.52°、21.46°、22.25°、22.79°、24.25°、26.50°、27.33°、及び28.43°の2θでのピークにより特徴付けられる請求項2記載の組成物。
  5. 製薬上許容される担体を更に含む請求項1記載の組成物。
  6. 3−(4−アミノ−3−メチルベンジル)−7−(フラン−2−イル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−アミンの溶媒和物を含む組成物。
  7. 前記組成物が、3−(4−アミノ−3−メチルベンジル)−7−(フラン−2−イル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−アミンのTHF溶媒和物、メチルエチルケトン溶媒和物、1,4−ジオキサン溶媒和物、又は1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−オール溶媒和物を含む請求項6記載の組成物。
  8. 前記溶媒和物が、実質的に純粋である請求項7記載の組成物。
  9. 前記溶媒和物が、3−(4−アミノ−3−メチルベンジル)−7−(フラン−2−イル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−アミンの結晶形Dである請求項8記載の組成物。
  10. 前記溶媒和物が、3−(4−アミノ−3−メチルベンジル)−7−(フラン−2−イル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−アミンの結晶形Eである請求項8記載の組成物。
  11. 前記溶媒和物が、3−(4−アミノ−3−メチルベンジル)−7−(フラン−2−イル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−アミンの結晶形Fである請求項8記載の組成物。
  12. 前記溶媒和物が、3−(4−アミノ−3−メチルベンジル)−7−(フラン−2−イル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−アミンの結晶形Gである請求項8記載の組成物。
  13. 前記溶媒和物が、3−(4−アミノ−3−メチルベンジル)−7−(フラン−2−イル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−アミンの結晶形Hである請求項8記載の組成物。
  14. 3−(4−アミノ−3−メチルベンジル)−7−(フラン−2−イル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−アミンの結晶形Bを調製する方法であって、3−(4−アミノ−3−メチルベンジル)−7−(フラン−2−イル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−アミン、そのN−保護誘導体、又はそれらの組み合わせを、スルホン酸に接触させる工程を含む方法。
  15. 前記スルホン酸が、メタンスルホン酸である請求項14記載の方法。
  16. スルホン酸への接触が、1M以上の濃度を有するメタンスルホン酸の水溶液に接触させることを含む請求項14記載の方法。
  17. 3−(4−アミノ−3−メチルベンジル)−7−(フラン−2−イル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−アミンのN−保護誘導体が、3−(4−トリフルオロアセタミド−3−メチルベンジル)−7−(フラン−2−イル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−アミンである請求項14記載の方法。
  18. 3−(4−アミノ−3−メチルベンジル)−7−(フラン−2−イル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−アミン、そのN−保護誘導体、又はそれらの組み合わせを、塩基性組成物に接触させる工程を更に含む請求項14記載の方法。
  19. 前記塩基性組成物が、水酸化カリウム水溶液である請求項18記載の方法。
  20. 前記水酸化カリウム水溶液中の水酸化カリウムの濃度が、1Mを上回る請求項19記載の方法。
  21. 3−(4−アミノ−3−メチルベンジル)−7−(フラン−2−イル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−アミンの結晶形Bを調製する方法であって、3−(4−アミノ−3−メチルベンジル)−7−(フラン−2−イル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−アミンをカルボン酸に接触させる工程を含む方法。
  22. 前記カルボン酸が、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、又はそれらの組み合わせである請求項21記載の方法。
  23. 3−(4−アミノ−3−メチルベンジル)−7−(フラン−2−イル)−3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−アミンを塩基性組成物と接触させる工程を更に含む請求項21記載の方法。
  24. 前記塩基性組成物が、水酸化アンモニウム水溶液である請求項23記載の方法。
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