JP2010514696A - 心血管症状の低減 - Google Patents

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    • A61P9/06Antiarrhythmics

Abstract

本出願は、1つまたはそれ以上の心血管疾患に罹患した、心臓のイオンチャネルの機能不全を有する患者を処置して、IKrを低減または阻害する薬剤および/または状態の不整脈誘発作用を低減する方法を開示する。一つの局面において、本発明は、治療有効量のラノラジンの投与を含む、心臓のイオンチャネルの機能不全を有する患者を処置する方法に関連し、ここでIKrを低減または阻害する状態は、不整脈、心室性再分極の異常および心室性収縮の弛緩の障害を含む。

Description

(関連出願への相互参照)
本願は、2006年12月21日に出願された米国仮特許出願第60/876,331号、および2007年1月29日に出願された米国仮特許出願第60/898,019号の優先権を主張し、この双方の米国仮特許出願の全体は、本明細書中に参考として援用される。
(技術分野)
本発明は、1つまたはそれ以上の心血管疾患に罹患した、心臓のイオンチャネルの機能不全を有する患者にラノラジンを投与することを含む、これらの患者を処置して、IKrを低減または阻害する薬剤および/または状態の不整脈誘発作用を低減する方法に関連する。1つの実施態様において、提示する患者は、E−4031、クロフィリウム、ドフェチリド、およびシサプリドを含むがこれに限らない薬剤によって引き起こされる、IKrのダウンレギュレーションまたは阻害を示す。さらなる実施態様において、提示する患者は、LQTSのような、心臓のイオンチャネルの機能不全によって引き起こされる、IKrのダウンレギュレーションまたは阻害を示す。
技術の説明
その明細書が本明細書中でその全体として参考文献に組み込まれる、特許文献1は、ラノラジン、(±)−N−(2,6−ジメチルフェニル)−4−[2−ヒドロキシ−3−(2−メトキシフェノキシ)−プロピル]−1−ピペラジンアセトアミド、およびその薬剤学的に許容可能な塩、および不整脈、異型狭心症および労作性狭心症、および心筋梗塞を含む心血管疾患の処置におけるその使用を開示する。その二塩酸塩の形態において、ラノラジンは式:
Figure 2010514696
によって示される。この特許はまた、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール400、Tween80および0.9%の生理食塩水をさらに含む、ラノラジン二塩酸塩の静脈内(IV)処方も開示する。
本明細書中でその全体として参考文献に組み込まれる、特許文献2は、心臓麻痺、低酸素、または心筋または骨格筋または脳組織に対する再灌流障害を含む、物理的または化学的傷害を経験した組織の処置のための、および移植における使用のための、ラノラジンおよびその薬剤学的に許容可能な塩およびエステルの使用を開示する。徐放性処方を含む、経口および非経口処方が開示される。特に、特許文献2の実施例7Dは、放出制御ポリマーで覆われた、ラノラジンおよび微晶性セルロースのマイクロスフィアを含むカプセル形状の徐放性処方を記載する。この特許はまた、IVラノラジン処方を開示し、それは低い方でデキストロースを重量で約5%含むIV溶液1mlあたり5mgのラノラジンを含む。および高い方では、デキストロースを重量で約4%含むIV溶液1mlあたり200mgのラノラジンを含むIV溶液が開示される。
ラノラジンおよびその薬剤学的に許容可能な塩およびエステルの、現在好ましい投与経路は、経口である。典型的な経口投薬形状は、圧縮錠剤、粉末混合物または顆粒を満たしたハードゼラチンカプセル、または溶液または懸濁液を満たしたソフトゼラチンカプセル(ソフトゲル)である。その明細書が本明細書中でその全体として参考文献に組み込まれる、特許文献3は、ハードゼラチンカプセルまたはソフトゲルの充填溶液として、過冷却液体ラノラジンを採用する、高用量経口処方を開示する。
その明細書が本明細書中でその全体として参考文献に組み込まれる、特許文献4は、処方が胃内の酸性環境および腸管のより塩基性の環境の両方を通りながら、ラノラジンの満足な血漿レベルを与える問題を克服する、徐放性処方を開示し、そして狭心症および他の心血管疾患の処置に必要な血漿レベルを与えるのに非常に有効であることを証明した。
その明細書が本明細書中でその全体として参考文献に組み込まれる、特許文献5は、不整脈、異型および労作性狭心症および心筋梗塞を含む心血管疾患を処置する方法を開示する。
その明細書が本明細書中でその全体として参考文献に組み込まれる、特許文献6は、経口徐放性投薬形状を開示し、ここでラノラジンは35−50%、好ましくは40−45%のラノラジンで存在する。1つの実施態様において、本発明のラノラジン徐放性処方は、pH依存性結合剤、pH非依存性結合剤、および1つまたはそれ以上の薬剤学的に許容可能な賦形剤を含む。適当なpH依存性結合剤は、メタクリル酸コポリマーを約1−20%、例えば約3−6%の程度まで中和化するのに十分な量の強塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、または水酸化アンモニウムで部分的に中和化された、メタクリル酸コポリマー、例えばEudragit(登録商標)(Eudragit(登録商標)L100−55、Eudragit(登録商標)L100−55のシュードラテックス等)を含むがこれに限らない。適当なpH非依存性結合剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、例えばMethocel(登録商標) E10M Premium CRグレードHPMCまたはMethocel(登録商標) E4M Premium HPMCを含むがこれに限らない。適当な薬剤学的に許容可能な賦形剤は、ステアリン酸マグネシウムおよび微晶性セルロース(Avicel(登録商標)pH101)を含む。
(背景)
ラノラジンは、後期Na電流(後期INa)の阻害および細胞ナトリウム、ナトリウム−カルシウム交換、および細胞内カルシウム負荷の増加の随伴する続発症の阻害によって、心虚血を低減する作用メカニズムが提示された、認可された抗虚血薬剤である。ラノラジンは、イヌおよびモルモット心室筋細胞においてIKrを阻害することが報告され、一方遅延整流性K電流(IKr)のslow componentの阻害は最小であった(30μMで〜17%)、または内向き整流性K電流(IKI)および一過性外向きK電流(Ito)に影響はなかった。ウサギおよびモルモットの単離された心臓およびイヌ心室筋細胞を用いた研究の結果は、ラノラジンは、単相性APD(MAPD)またはQT間隔の濃度依存的な増加を引き起こすことを示し、それは治療濃度では短く(〜2−6msec)、そして不整脈誘発性の活性とは関連しない。
心室再分極の異常な延長、またはQT延長症候群(LQTS)として知られる状態が存在し、それはEKGで測定した、Q波およびT波間の平均間隔より長い間隔によって反映される。QT間隔の延長は、患者が、トルサード・ド・ポアント(TdP)として知られる、非常に速い、異常な心臓リズム(「不整脈」)にかかりやすくする。この種の不整脈が起こった場合、血液が心臓から送り出されず、そして脳はすぐに酸素が欠乏し、突然の意識喪失(失神)を引き起こし、そして突然死を引き起こす可能性がある。
LQTSは、遺伝性または後天性の心臓のイオンチャネルの機能不全によって引き起こされる。これらのチャネルは、カリウムイオン、ナトリウムイオン、およびカルシウムイオンの流れをコントロールし、その細胞への流入および流出は、心臓の電気的活動を産生する。LQTSを有する患者は通常、同定できる基礎となる構造的心臓疾患は有さない。LQTSは、ある環境下で、例えば運動、ある薬理学的薬剤の投与、または睡眠中でさえ、特定の種類の心室性頻脈を発症する性質と共に遺伝し得る。あるいは、例えばある処方投薬への曝露によって、患者はLQTSを獲得し得る。LQTSの1つの形態は、LQT2である。
後期ナトリウム電流(INa)の振幅は、LQT3症候群を有する患者において見出される、心臓ナトリウムチャネルの変異によって増加する。通常小さいが、INaは、不全な心臓由来の、低酸素に曝露または虚血性心筋において見出される代謝物に曝露した心臓由来の、およびLQT3症候群を有する患者において見出される、変異ナトリウムチャネルを発現する動物の心臓由来の心室筋細胞において増加する。LQT3およびINaが存在する心室心筋を有する患者は、再分極電流IKrを低減する薬剤および状態の不整脈誘発作用に特に感受性である。しかし、QT間隔の期間の増加およびIKr遮断薬の存在下の不整脈誘発に対するINaの寄与は、明らかでなかった。
最近、[非特許文献1]において、異なる薬理学的活性を有するが、IKrを阻害する効果を共有する一連の薬剤(シサプリド、キニジン、ジプラシドン(zipasidone)、モキシフロキサシン、ペントバルビタール、およびラノラジン)が記載された。シサプリド(胃食道逆流症を有する患者を処置するために使用し得る運動性増強剤)、およびキニジン(クラスI抗不整脈薬)は、QT間隔を延長させ、そしてTdPを引き起こすことが示された。モキシフロキサシンは、QT延長を引き起こすことが報告されたが、ヒトにおいてTdPと関連しての使用は非常にまれであった。ジプラシドン(ziprasidone)は、QT間隔を延長させ、そして不整脈を引き起こすことが報告された抗精神病薬であるが、その使用と関連した不整脈活性のリスクは、おそらく非常に低い。ペントバルビタール、バルビツレート(barbitureate)、およびラノラジン(抗狭心症薬)は、実験動物由来の心臓標本または臨床的使用において、TdPを引き起こすことなくQT間隔を延長させることが示された。
薬剤誘発QT延長は、遅延整流性カリウム電流(IKr)のrapid componentを阻害する薬剤と最もよく関連する。QT間隔を延長させる薬剤の使用は、ヒトにおいてTdPのリスクを増加させると考えられる。しかし、QT間隔を延長させる薬剤によって引き起こされたTdPの発生は、同じ薬剤によるQT延長の程度とは関連しない。
ラノラジンは、TdPを引き起こすことなくQT間隔を延長させ、MAPDを延長させ、そしてIKrおよびINaLの両方を阻害する。IKrおよびINaLの低減は、活動電位持続時間に対して反対の作用を有する。ATX−IIの非存在下では、ラノラジンによるINaLの阻害が優勢であり、そしてラノラジンはMAPD90を増加させる;2nMのATX−IIの存在下では、ラノラジンによるINaLの阻害は、そのIKrを阻害する作用に対して優勢であり、そしてラノラジンはMAPDを短縮する[非特許文献1]。
米国特許第4,567,264号明細書 米国特許第5,506,229号明細書 米国特許第5,472,707号明細書 米国特許第6,503,911号明細書 米国特許第6,852,724号明細書 米国特許出願公開第2006/0177502号明細書
Wuら、J.Pharmacol.& Exper.Thera.316(2)、718−726(2006)
従って、心血管疾患に罹患した、心臓のイオンチャネルの機能不全を有する患者を処置して、IKrを低減または阻害する薬剤および/または状態の不整脈誘発作用を低減する方法に対する必要性が存在する。
(発明の要旨)
治療有効量のラノラジンの投与を含む、1つまたはそれ以上の心血管疾患に罹患した、心臓のイオンチャネルの機能不全を有する患者を処置して、IKrを低減または阻害する薬剤および/または状態の不整脈誘発作用を低減する方法を提供することが、本発明の目的である。
最初の局面において、本発明は、治療有効量のラノラジンの投与を含む、心臓のイオンチャネルの機能不全を有する患者を処置する方法に関連し、ここでIKrを低減または阻害する状態は、不整脈、心室性再分極の異常および心室性収縮の弛緩の障害を含む。
2番目の局面において、本発明は、治療有効量のラノラジンの投与を含む、IKrを低減または阻害する薬剤または複数の薬剤の存在によって引き起こされた、心臓のイオンチャネルの機能不全を有する患者を処置する方法に関連する。
3番目の局面において、本発明は、心臓のイオンチャネルの機能不全を有する患者を処置する方法に関連し、ここでIKrを低減または阻害する薬剤は、E−4031、クロフィリウム、ドフェチリド、およびシサプリドを含むがこれに限らない。
4番目の局面において、本発明は、治療有効量のラノラジンの投与を含む、患者の体において起こる物理的過程よって引き起こされた、心臓のイオンチャネルの機能不全を有する患者を処置する方法に関連する。
5番目の局面において、本発明は、心臓のイオンチャネルの機能不全を有する患者を処置する方法に関連し、ここでその機能不全はQT延長症候群(LQTS)である。
6番目の局面において、本発明は、治療有効量のラノラジンの投与を含む、純粋なIKr遮断薬によって引き起こされる、APDおよび催不整脈(arrhymogenesis)を逆転させる方法に関連する。
(発明の詳細な説明)
本発明は、心血管疾患に罹患した、心臓のイオンチャネルの機能不全を有する冠血管の患者を処置して、IKrを低減または阻害する薬剤および/または状態の不整脈誘発作用を低減する方法に関するもので、本方法は、ラノラジンをこれらの患者に投与する工程を含む。1つの実施態様において、提示する患者は、E−4031、クロフィリウム、ドフェチリド、およびシサプリドを含むがこれに限らない薬剤によって引き起こされた、IKrのダウンレギュレーションまたは阻害を示す。さらなる実施態様において、提示する患者は、LQTSのような、心臓のイオンチャネルの機能不全によって引き起こされたIKrのダウンレギュレーションまたは阻害を示す。
定義
本明細書および続く本特許請求の範囲において、多くの用語に言及し、それらは以下の意味を有するよう定義される。
「ラノラジン」は、化合物(±)−N−(2,6−ジメチルフェニル)−4−[2−ヒドロキシ−3−(2−メトキシフェノキシ)プロピル]−1−ピペラジン−アセトアミド、またはその鏡像異性体(R)−(+)−N−(2,6−ジメチルフェニル)−4−[2−ヒドロキシ−3−(2−メトキシフェノキシ)−プロピル]−1−ピペラジンアセトアミドおよび(S)−(−)−N−(2,6−ジメチルフェニル)−4−[2−ヒドロキシ−3−(2−メトキシフェノキシ)−プロピル]−1−ピペラジンアセトアミド、およびその薬剤学的に許容可能な塩、およびその混合物である。他に述べなければ、本明細書および実施例において使用されるラノラジン血漿濃度は、ラノラジン遊離塩基を指す。pH〜4において、塩化水素によって滴定した水性溶液中で、ラノラジンは、大部分その二塩酸塩として存在する。
「徐脈または徐脈型不整脈低減有効量」は、徐脈または徐脈型不整脈を処置するラノラジンの量である。
「生理学的に許容可能なpH」は、ヒト患者に送達するために適した、静脈内溶液のpHを指す。好ましくは、生理学的に許容可能なpHは、約4から約8.5、そして好ましくは約4から7の範囲である。いかなる理論にも制限されず、体内の大量の血液が、約4から6のpHを有する静脈内溶液を効率的に緩衝化するので、これらの静脈内溶液の使用は、生理学的に許容可能であると見なされる。
「心血管疾患」は、例えばうっ血性心不全、急性心不全、虚血、反復性の虚血、心筋梗塞、NSTEMI等を含む心不全、不整脈、労作性狭心症、異型狭心症、安定狭心症、不安定狭心症、急性冠状動脈症候群、NSTEACS等を含む狭心症、糖尿病、および間欠性跛行を指す。そのような疾患状態の処置は、米国特許第6,503,911号および同6,528,511号、米国特許出願第2003/0220344号および同2004/0063717号を含む、様々な米国特許および特許出願おいて開示され、その完全な開示は、これによって参考文献に組み込まれる。
「局所投与」は、創傷の表面および隣接する上皮に対する治療薬の送達として定義される。
「非経口投与」は、患者への注射による、治療薬の全身性送達である。
「任意の」および「任意で」は、続いて記載されたイベントまたは環境が起こり得るまたは起こり得ないこと、およびその記載が、そのイベントまたは環境が起こる例、およびそれが起こらない例を含むことを意味する。例えば、「任意の医薬品賦形剤」は、そのように記載された処方が、特異的に存在すると述べられたものの他に、医薬品賦形剤を含み得るまたは含み得ないこと、およびそのように記載された処方が、任意の賦形剤が存在する例およびそれらが存在しない例を含むことを示す。
「処置すること」および「処置」は、患者における疾患のあらゆる処置を指し、そしてその疾患に対する素因を持ち得るがまだそれを有すると診断されていない被検体において、その疾患の発症を予防すること;その疾患を阻害すること、すなわちそのさらなる進展を止めること;その疾患の症状を阻害すること;その疾患を緩和すること、すなわちその疾患の後退を引き起こすこと、またはその疾患の症状を緩和することを含む。「患者」は、哺乳類、好ましくはヒトである。
「治療有効量」という用語は、そのような処置を必要とする哺乳類に投与した場合、下記に規定するような、処置をなしとげるために十分な、式Iの化合物の量を指す。治療有効量は、使用する治療薬の特異的な活性、および患者の年齢、身体的条件、他の疾患状態の存在、および栄養状態に依存して変動する。さらに、患者が受け得る他の薬物療法が、投与するための治療薬の治療有効量の決定に影響を与える。
本明細書中で使用される場合、「薬剤学的に許容可能な担体」は、いかなるおよび全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌および抗真菌薬剤、等張および吸収遅延薬剤等を含む。薬剤学的に活性な物質のためのそのような媒体および薬剤の使用は当該分野で周知である。従来の媒体または薬剤において活性成分と不適合である範囲のものを除いて、治療的組成物におけるその使用が企図される。補充の活性成分も、その組成物に含まれ得る。
「ダウンレギュレートされた」または「阻害された」は、チャネルタンパク質の発現の低減、またはIKr電流のような電流の阻害を指す。そのようなダウンレギュレーションまたは阻害は、薬剤(IKr遮断薬のような)の存在によって、または体内で起こる物理的過程(LQTSのような)によって引き起こされ得る。
E−4031(IKr遮断薬)は、IKrの阻害に関してソタロールより高い効力および選択性を有する、ベンゼンスルホンアミドd−ソタロールのアナログである[Tomotoら、Cardiovasc.Drugs Ther.1991(Suppl.3):394;およびLynchら、J.Cardiovasc.Pharmacol.15:764−775、1990]。E−4031は、心室性活動電位の期間を延長させるその作用に基づいて、クラスIII抗不整脈薬であるようデザインされた。しかし、E−4031は不整脈誘発性であり、そして現在使用のための心臓の適応症は有さない。
E−4031を下記に示す。
Figure 2010514696
1−[2−(6−メチル−2−ピリジル)エチル]−4−(4−メチルスルホニルアミノベンゾイル)ピペリジン
{N−(4−[(1−[2−(6−メチル−2−ピリジル)エチル]−4−ピペリジルカルボニル]フェニル)メタンスルホンアミド二塩酸塩無水物}としても知られるE−4031を、米国特許第4,876,262号において記載されたように調製し得、その明細書は本明細書中で参考文献に組み込まれる。
N−(2,6−ジメチルフェニル)−4−[2−ヒドロキシ−3−(2−メトキシフェノキシ)プロピル]−1−ピペラジンアセトアミドと命名された{1−[3−(2−メトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル]−4−[(2,6−ジメチルフェニル)−アミノカルボニルメチル]−ピペラジンとしても知られる}ラノラジンは、ラセミ混合物、またはその鏡像異性体、またはその鏡像異性体の混合物、またはその薬剤学的に許容可能な塩として存在し得る。ラノラジンを、米国特許第4,567,264号において記載されたように調製し得、その明細書は本明細書中で参考文献に組み込まれる。
テトロドトキシン(TTX、CAS番号[4368−28−9])は、それが最もよく関連する魚類の目である、Tetraodontiformes(tetra−4およびodontos−歯)、またはテトラオドン属フグにちなんで命名された、強力な海洋神経毒である。フグ属(F.flavidus、F.poecilonotus、およびF.niphobles)、Arothron(A.nigropunctatus)、Chelonodon(Chelonodon spp.)およびTakifugu(Takifugu rubripes)由来のフグも、TTXおよび関連する類似物をその組織に貯蔵する。
TTXは、神経膜の表面上の電位開口型ナトリウムチャネル(voltage−gated sodium channel)を特異的に遮断する、特に強力な神経毒である。その分子は、陽性に荷電したグアニジウム基(この陽イオン性基は、共鳴安定化し、そしてこのクラスの神経毒に名前を提供する、グアニジン毒素参照)、およびさらに融合した環システムを有するピリミジン環(これらのさらなる環システムは、全部で5つ存在するが、水性界面においてTTX−ナトリウムチャネル結合複合体の安定化を確実に助けるに違いない水酸基を含む)から成る。
TTXの構造は、米国および2つの日本のグループによって1964年に同時に明らかにされた(Woodward,R.B.、Pure Appl.Chem.1964、9、49−74;Goto T.、Kishi Yら、Tetrahedron 1965、21、2059−2088;Tsuda,K.、Ikuma,S.ら、Chem.Pharm.Bull、1964、12、1357−1374)。TTXのラセミ合成が、Kishi(現在ハーバード)および彼の共同研究者らによって、1972年に達成された(Kishi,Y.ら、J.Am.Chem.Soc.1972、94)。
クロフィリウムは、カリウムチャネル遮断薬または阻害剤の例である。4−クロロ−N,N−ジエチル−N−ヘプチルベンゼンブタンアミニウム臭化物として知られるこの化合物を、米国特許第4,289,787号において記載されたように調製し得、その明細書は本明細書中で参考文献に組み込まれる。クロフィリウムの構造は以下の通りである。
Figure 2010514696
「速放性」(「IR」)は、インビトロで迅速に溶解する処方または投薬単位を指し、そして胃または上部胃腸管で完全に溶解および吸収されることを意図する。従来、そのような処方は、少なくとも90%の活性成分を、投与の30分以内に放出する。
「徐放性」(「SR」)は、ゆっくりとおよび持続的に溶解し、そして約6時間またはそれ以上の期間をかけて胃および胃腸管で吸収される、本明細書中で使用される処方または投薬単位を指す。好ましい徐放性処方は、下記で記載されるように、投与あたり2つまたはそれより少ない錠剤による、1日2回より多くない投与のために適当なラノラジンの血漿濃度を示すものである。
本発明の方法
1つの局面において、本発明は、1つまたはそれ以上の心血管疾患に罹患した、心臓のイオンチャネルの機能不全を有する患者を処置して、IKrを低減または阻害する薬剤および/または状態の不整脈誘発作用を低減する方法を提供する。
1つまたはそれ以上の心血管疾患事象を有する患者は、1つまたはそれ以上の次の疾患:安定狭心症、不安定狭心症(UA)、労作性狭心症、異型狭心症を含む狭心症、不整脈、間欠性跛行、非STE心筋梗塞(NSTEMI)を含む心筋梗塞、うっ血性(または慢性)心不全、急性心不全を含む心不全、または反復性虚血、に関して処置されている人々を含むがこれに限らない。
本発明の組成物
静脈内処方
1つの局面において、本発明は、選択された濃度のラノラジンを含む静脈内(IV)溶液を提供する。具体的には、そのIV溶液は、薬剤学的に許容可能な水性溶液1ミリリットルあたり、好ましくは約1.5から約3.0mg、より好ましくは約1.8から約2.2mg、およびさらにより好ましくは約2mgのラノラジンを含む。
経口処方
1つの実施態様において、ラノラジンの処方は経口処方である。1つの実施態様において、ラノラジンの経口処方は錠剤である。1つの実施態様において、ラノラジンの錠剤は500mgまでである。好ましい実施態様において、ラノラジンの錠剤は375mg、および/または500mgである。
ラノラジンの経口処方は、米国特許第6,303,607号および米国公開第2003/0220344号において広範囲に議論され、それらはどちらも本明細書中でその全体として参考文献に組み込まれる。
血漿ラノラジンレベルを、閾値治療レベルより上、および最大許容レベルより下に維持するために、本発明の経口徐放性ラノラジン投与処方を、24時間の間に1、2、または3回投与し、それは好ましくは患者において約550から7500ng塩基/mLの血漿レベルである。好ましい実施態様において、ラノラジンの血漿レベルは、約1500−3500ng塩基/mLの範囲である。
好ましい血漿ラノラジンレベルを達成するために、本明細書中で記載された経口ラノラジン投薬形状を、1日1回または2回投与することが好ましい。もしその投薬形状を1日2回投与するなら、経口ラノラジン投薬形状を約12時間間隔で投与することが好ましい。
本発明の経口徐放性投薬形状を、血漿ラノラジンレベルをコントロールする方式で処方および投与することに加えて、血漿ラノラジンレベルのピークと谷の間の差を最小限にすることも重要である。ピークの血漿ラノラジンレベルは、典型的には最初にその投薬形状を摂取してから約30分から8時間またはそれ以上の後に達し、一方、谷の血漿ラノラジンレベルは、およそ次に予定される投薬形状の摂取時間において達する。本発明の徐放性投薬形状において、ピークのラノラジンレベルが谷のラノラジンレベルの8倍以下、好ましくは谷のラノラジンレベルの4倍以下、好ましくは谷のラノラジンレベルの3倍以下、そして最も好ましくは谷のラノラジンレベルの2倍以下になることを可能にする方式で投与することが好ましい。
本発明の徐放性ラノラジン処方は、多くても1日2回投与を可能にしながら、ラノラジン血漿濃度の変動を最小限にする処置的利点を提供する。またはラノラジンの治療的に有効な血漿濃度の迅速な達成が望ましい場合、その処方を、単独で、(少なくとも最初は)速放性処方と組み合わせて、または可溶性IV処方および経口投薬形状によって投与し得る。
有用性試験および投与
一般的な有用性
本発明の化合物は、例えばうっ血性心不全、急性心不全、虚血、反復性虚血、心筋梗塞、NSTEMI等を含む心不全、不整脈、労作性狭心症、異型狭心症、安定狭心症、不安定狭心症、急性冠状動脈症候群、NSTEACS等を含む狭心症、糖尿病、および間欠性跛行のような、様々な疾患状態に関して哺乳類を処置するために有効なラノラジンである。
医薬組成物
ラノラジンを、通常医薬組成物の形状で投与する。従って本発明は、活性成分としてラノラジン、またはその薬剤学的に許容可能な塩またはエステル、および1つまたはそれ以上の薬剤学的に許容可能な賦形剤、不活性な固体希釈剤および充填剤を含む担体、滅菌水性溶液および様々な有機溶媒を含む希釈剤、可溶化剤および補助剤を含む医薬組成物を提供する。ラノラジンを、単独で、または他の治療薬剤と組み合わせて投与し得る。そのような組成物を、薬学分野で周知の方式で調製する(例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences、Mace Publishing Co.、Philadelphia、PA 第17版(1985)および「Modern Pharmaceutics」、Marcel Dekker,Inc.第3版(G.S.BankerおよびC.T.Rhodes編)を参照のこと)。
投与
ラノラジンを、頬側、鼻腔内、動脈内注射、静脈内、腹腔内、非経口、筋肉内、皮下、経口、または吸入薬として含む、例えば参考文献に組み込まれる特許および特許出願において記載されたように、同様の有用性を有する、薬剤の投与の許容された方法のいずれかによって、単回または複数回投与のいずれかで投与し得る。
経口投与が、ラノラジンの好ましい投与経路である。投与は、カプセルまたは腸溶錠等により得る。ラノラジンを含む医薬組成物の製造において、活性成分を通常賦形剤で希釈し、そして/またはカプセル、小袋、紙または他の容器の形状であり得るそのような担体内に封入する。賦形剤が希釈剤として働く場合、それは固体、半固体、または液体物質(上記のような)であり得、それは活性成分のための媒質(vehicle)、担体、または媒体(medium)として作用する。従って、その組成物は、錠剤、丸剤、粉末、ロゼンジ、サシェ、カシェ剤、エリキシル、懸濁液、エマルション、溶液、シロップ、エアロゾル(固体としてまたは液体媒体中)、例えば重量で50%までの活性化合物を含む軟膏、ソフトまたはハードゼラチンカプセル、滅菌の注射可能な溶液、および滅菌包装粉末の形状であり得る。
適当な賦形剤のいくつかの例は、ラクトース、デキストロース、ショ糖、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、滅菌水、シロップ、およびメチルセルロースを含む。その処方はさらに、タルク、ステアリン酸マグネシウム、および鉱油のような潤滑剤;湿潤剤;乳化剤および懸濁剤;メチルおよびプロピルヒドロキシ安息香酸のような保存剤;甘味料;および香料を含み得る。
本発明の組成物を、当該分野で公知の手順を採用することによって、患者への投与後の活性成分の速い、持続した、または遅延した放出を提供するように処方し得る。経口投与のための徐放性薬剤送達システムは、浸透圧ポンプシステムおよびポリマーでコーティングされたリザーバーまたは薬剤−ポリマーマトリックス処方を含む溶解(dissolutional)システムを含む。徐放性システムの例は、米国特許第3,845,770号;同4,326,525号;同4,902,514号;および同5,616,345号において提供される。本発明の方法で使用するための他の処方は、経皮送達装置(「パッチ」)を採用する。そのような経皮パッチを使用して、コントロールされた量における本発明の化合物の連続的または非連続的な注入を提供し得る。医薬品の送達のための経皮パッチの構築および使用は、当該分野で周知である。例えば、米国特許第5,023,252号、同4,992,445号および同5,001,139号を参照のこと。そのようなパッチを、医薬品の持続的な、拍動性のある、またはオンデマンド送達のために構築し得る。
ラノラジンは、広い投与量範囲で有効であり、そして一般的に薬剤学的に有効な量で投与される。典型的には、経口投与のために、各投薬単位は1mgから2gのラノラジン、より通常には1から700mgを含み、そして非経口投与のためには、1から700mgのラノラジン、より通常には約2から200mgを含む。しかし、実際に投与されるラノラジンの量は、処置する状態、選択した投与経路、投与される実際の化合物、およびその相対的な活性、個々の患者の年齢、体重、および反応、患者の症状の重症度等を含む、関連する環境を考慮して、医師によって決定されるということが理解される。
錠剤のような固体組成物を調製するために、主な活性成分を薬剤学的賦形剤と混合して、本発明の化合物の均一な混合物を含む固体予備処方(preformulation)組成物を形成する。これらの予備処方組成物が均一であるという場合、それは活性成分が組成物中に均一に分散しており、その組成物を、錠剤、丸剤、およびカプセルのような、同等に有効な単位投薬形状に容易に細分し得ることを意味する。
本発明の錠剤または丸剤を、コーティングまたは他の方法で調合して、作用が延長するという利点を与える投薬形状を提供し得る、または胃の酸性条件から保護し得る。例えば、錠剤または丸剤は、内側投薬構成成分および外側投薬構成成分を含み得、後者は前者を覆う包みの形状である。2つの構成成分は、胃における崩壊に抵抗し、そして内側の構成成分がそのまま十二指腸に通過することを可能にする、または放出を遅らせるために作用する腸溶層で隔て得る。そのような腸溶層またはコーティングのために、様々な物質を使用し得、そのような物質は多くの高分子酸および高分子酸とセラック、セチルアルコール、および酢酸セルロースのような物質との混合物を含む。
吸入またはガス注入のための組成物は、薬剤学的に許容可能な、水性または有機溶媒、またはその混合物中の溶液および懸濁液、および粉末を含む。液体または固体組成物は、上記で記載したような適当な薬剤学的に許容可能な賦形剤を含み得る。好ましくは、その組成物を、局所または全身性効果のために、経口または鼻腔内呼吸器経路によって投与する。好ましくは薬剤学的に許容可能な溶媒中の組成物を、不活性ガスの使用によって噴霧し得る。噴霧溶液を、噴霧装置から直接吸入し得る、または噴霧装置をフェイスマスクテント、または間欠性陽圧呼吸装置に付け得る。溶液、懸濁液、または粉末組成物を、処方物を適当な方式で送達する装置から、好ましくは経口または鼻腔内に投与し得る。
以下の実施例は、本発明の好ましい実施態様を示すために含まれる。続く実施例で開示される技術は、本発明者によって本発明の実施においてよく機能することが発見された技術を示し、そして従ってその実施のために好ましい方法を構成すると考えられ得ることが、当業者によって認識される。しかし、当業者は、本開示を考慮して、本発明の意図および範囲から離れることなく、開示される特定の実施態様において多くの変化を起こし得、そして依然として同様のまたは類似の結果を得ることができることを認識すべきである。
実施例1
本実施例において、雌性ウサギの心臓を単離し、そして1Hzでペーシングし、そしてTTX(0.1−3μM)およびラノラジン(5−30μM)の非存在下および存在下でE−4031(1−60nM)に曝露させた。心外膜および心内膜の両方由来の単相性活動電位(MAP)および12−誘導心電図シグナルを持続的に記録した。
E−4031(1−60nM)は、濃度依存的な方式で、心外膜MAP持続時間(MAPD90)を、180±3から254±6msまで75±5ms延長させ(n=21、p<0.001)、そして経壁MAPDの分散を18±4から90±10msまで74±7ms増加させる(n=21、p<0.001)ことが見出された。自発的または3秒停止誘発多型性心室性頻拍(TdP)が、研究した21個の心臓のうち19個(90%)で起こった。
ラノラジン(5−30μM)は、MAPD90の経壁分散を増加させずに、心外膜MAPD90を32±4%(n=7、p<0.01)濃度依存的に延長させることが見出された。TTX(0.1−3μM)は、MAPD90またはMAPD90の経壁分散に影響を与えなかった(n=5、p>0.05)。
60nMのE−4031の存在下で、ラノラジン(10μM)は、それぞれ19±5および40±9ms、MAPD90を短縮し、そして経壁分散を減少させた(n=9、p<0.01)。TTX(1μM)は、それぞれ33±8および47±11ms、MAPDを短縮し、そして経壁分散を減少させた(n=10、p<0.05)。ラノラジン(10μM)およびTTX(1μM)は、60nMのE−4031によって誘発されるTdPの自発的および停止誘発のエピソードをなくした。ラノラジンおよびTTXは、QRS間隔に変化を引き起こさなかった、または最小限の変化しか引き起こさなかったので、その効果はピークINaの阻害によるものではなさそうである。
後期INaの阻害は、純粋なIKr遮断薬によって引き起こされる、APDの延長および不整脈誘発を逆転し得ることが見出された。後期INaの役割は、IKrが阻害された場合に心臓で重要であり得る。この発見は、ナトリウムチャネル遮断薬が、IKrがダウンレギュレートまたは阻害された場合に、不整脈活性を低減するのに有効であるという観察を説明し得る。
実施例2
この研究を、インビボにおけるクロフィリウム誘発トルサード・ド・ポアント(TdP)に対するラノラジン(RAN)の効果を調査するために試みた。
Carlssonら(J.Cardiovas.Pharmacol 1990;16:276−285)によって以前に記載されたように、麻酔ウサギにおいて、自発性TdPが、メトキサミン(α−アドレナリン作動性受容体アゴニスト)に続くクロフィリウム(Ikr遮断薬)によって誘発された。クロフィリウムの10分前に、静脈内(iv)注入によってRANを投与した。動脈圧(BP)、誘導IIECGおよび心内膜単相性活動電位(MAP)を記録した。ウサギに関して開発した式:QTc=QT−0.175(RR−300)を用いることによって、QT間隔を心拍数に関して補正した。
クロフィリウムはQTc(130±4から200±18ms、n=6、p<0.05)、MAPD90(123±6から201±21ms、n=6、p<0.05)を延長し、そして6/6のウサギにおいてTdPを引き起こし、それはRAN(n=6)によって、それぞれ10、15および10μMのED50値で、用量依存的な方式で抑制された。RANは25μMで、心拍数、PR、QRSおよびQTc間隔に有意な影響を与えずに(それぞれ186±9から204±10bpm、79±2から77±1ms、32±1から33±1ms、および148±5から165±7ms、n=5、p>0.05)、TdPの発生を完全に予防した(0/6、媒質コントロールに対してp<0.005)。RANは弱いα−拮抗作用を有することが報告されたので、本発明者らはRANのBPに対する昇圧作用を、プラゾシン(prazosin)のものと比較した。αアドレナリン作動性受容体アンタゴニストのプラゾシン(prasozin)は、5μg/kg/min(n=5)で、フェニレフリンの用量反応性曲線を右に6倍、著明にシフトさせるが、プラゾシン(prasozin)(2.5−10μg/kg/min、n=4−6)は、クロフィリウム誘発性のQTcおよびMAPD90の延長およびTdPの発生に影響を与えなかった。他方、RANは、TdPを完全に抑制したが、試験した最も高い用量で、フェニレフリンの用量反応性にシフトを引き起こさなかった。
そのデータは、RANが、クロフィリウムによって引き起こされる心室性再分極の変化に拮抗し、そしてTdPの抑制に有効であることを示す。
実施例3
ヒト遅延整流性カリウムイオンチャネル遺伝子(Human−ether−a−go−go related gene)(HERG)は、心臓の急速活性化遅延整流性K電流(IKr)をコードする。HERG K電流(IHERG)の阻害は、薬剤誘発QT延長症候群のメカニズムである。HEK293細胞に発現したHERGチャネルの電位固定分析を用いて、23℃におけるIHERGのラノラジン遮断の動態を研究するために、この研究を試みた。ラノラジンによるIHERGの遮断は、可逆的および電位依存性であるが、頻度非依存性であった。チャネルの活性化後迅速に遮断が生じ、状態依存性を示唆するものであった。0mVにおいて、遮断の発生の時定数は、10、30、および100μMのラノラジン(n=4)においてそれぞれ76.6±1.6、35.8±2.4、および19.4±1.7msecであった。ラノラジン誘発IHERG減衰の時間経過を使用して、見かけの解離定数を見積もった(14.2μM)。再分極後、IHERGのラノラジン誘発遮断は迅速に逆転した。−80および−100mVにおいて、遮断からの回復が単相性時間経過に続き、τ値はそれぞれ204.3±51.5および155.0±31.9msec(n=5)であった。膜不透過性(永続的に荷電した)ラノラジンアナログの、細胞外でなく細胞内適用は、IHERGの迅速な遮断を引き起こした。ラノラジンは、IHERGのE−4031遮断に拮抗し、両方の化合物が共通の結合部位に対して競合することを示唆した。合わせると、ラノラジンによるIHERGの遮断(陽電位において)および非遮断(過分極時)の、独特の超急速動態は、(1)ラノラジンは、逆使用依存性を有さないで最小限のQT間隔延長を引き起こす、および(2)心筋細胞または心臓全体のラノラジンへの曝露の間、前不整脈事象(proarrhythmic event)が観察されなかった、という観察を説明し得る。
実施例4
以下の成分を含むハードゼラチンカプセルを調製する:
Figure 2010514696
上記の成分を混合し、そしてハードゼラチンカプセルに充填する。
実施例5
下記の成分を使用して、錠剤処方を調製する:
Figure 2010514696
その構成成分を混和し、そして圧縮して錠剤を形成する。
実施例6
以下の成分を含むハードゼラチンカプセルを調製する:
Figure 2010514696
上記の成分を混合し、そしてハードゼラチンカプセルに充填する。
実施例7
下記の成分を使用して、錠剤処方を調製する:
Figure 2010514696
その構成成分を混和し、そして圧縮して錠剤を形成する。
実施例8
以下の構成成分を含む乾燥粉末吸入処方を調製する:
Figure 2010514696
活性成分をラクトースと混合し、そしてその混合物を乾燥粉末吸入装置に加える。
実施例9
それぞれ30mgの活性成分を含む錠剤を、以下のように調製する:
Figure 2010514696
活性成分、デンプンおよびセルロースを、No.20メッシュU.S.ふるいに通し、そして完全に混合する。ポリビニルピロリドンの溶液を、生じた粉末と混合し、それを次いで16メッシュU.S.ふるいに通す。そのように製した顆粒を、50℃から60℃で乾燥し、そして16メッシュU.S.ふるいに通す。前もってNo.30メッシュU.S.ふるいに通したカルボキシメチルスターチナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、およびタルクを次いでその顆粒に加え、それを混合後、打錠機で圧縮して、それぞれ120mgの重さの錠剤を製する。
実施例10
それぞれ25mgの活性成分を含む坐剤を、以下のように作製する:
Figure 2010514696
活性成分を、No.60メッシュU.S.ふるいに通し、そして必要な最低限の熱を用いて前もって融解した飽和脂肪酸グリセリドに懸濁する。次いでその混合物を、わずか2.0gの容量の坐剤型に注ぎ、そして冷却する。
実施例11
5.0mL投与量あたりそれぞれ50mgの活性成分を含む懸濁液を、以下のように作製する:
Figure 2010514696
活性成分、ショ糖およびキサンタンガムを混和し、No.10メッシュU.S.ふるいに通し、そして次いで前もって作製した微晶性セルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムの水溶液と混合する。安息香酸ナトリウム、香料および着色料を、いくらかの水で希釈し、そして攪拌しながら加える。次いで十分な水を加えて必要な容量を製する。
実施例12
皮下処方を、以下のように調製し得る:
Figure 2010514696
実施例13
以下の組成を有する注射可能な調製物を調製する:
Figure 2010514696
実施例14
以下の組成を有する局所調製物を調製する:
Figure 2010514696
水以外の上記の成分の全てをあわせ、そして攪拌しながら60℃まで加熱する。次いで60℃の十分な量の水を、激しく攪拌しながら加えて成分を乳化し、そして次いで水を十分量100g加える。
実施例15
徐放性組成物
Figure 2010514696
本発明の徐放性処方を以下のように調製する:化合物およびpH依存性結合剤およびあらゆる任意の賦形剤を完全に混合する(ドライブレンド)。次いでドライブレンドした混合物を、そのブレンドした粉末に噴霧される強塩基の水性溶液の存在下で顆粒化する。その顆粒を乾燥し、選別し、任意の潤滑剤(タルクまたはステアリン酸マグネシウムなど)と混合し、そして錠剤に圧縮する。好ましい強塩基の水性溶液は、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムのような、アルカリ金属水酸化物の溶液、例えば水中の水酸化ナトリウム(任意で25%までの低級アルコールのような水混和性溶媒を含む)である。
製された錠剤を、確認のため、味のマスキング目的のため、および飲み込み易さを改善するために、任意の被膜形成薬剤でコーティングし得る。被膜形成薬剤は、典型的には錠剤重量の2%および4%の間の範囲の量で存在する。適当な被膜形成薬剤は、当該分野で周知であり、そしてヒドロキシプロピルメチルセルロース、陽イオン性メタクリル酸コポリマー(ジメチルアミノエチルメタクリル酸/メチル−ブチルメタクリル酸コポリマー−Eudragit(登録商標)E−Rohm.Pharma)等を含む。これらの被膜形成薬剤は、任意で着色剤、可塑剤、および他の補充成分を含み得る。
圧縮された錠剤は、例えば8Kpの圧縮に耐えるのに十分な硬さを有する。その錠剤のサイズは、主に錠剤中の化合物の量に依存する。その錠剤は、300から1100mgの化合物遊離塩基を含む。例えば、その錠剤は、400−600mg、650−850mg、および900−1100mgの範囲の化合物遊離塩基の量を含む。
溶解速度に影響を与えるために、粉末を含む化合物が湿式混合される時間を調節する。例えば、全粉末混合時間、すなわち粉末を水酸化ナトリウム溶液に曝露させる時間は、1から10分、および例えば2から5分の範囲である。顆粒化の後、その粒子を造粒機から取り出し、そして乾燥のために約60℃の流動層乾燥機に置く。

Claims (6)

  1. Krが低下または阻害される患者において、心血管疾患の症状を低減する方法であって、治療有効量のラノラジンを投与することを含む、方法。
  2. 前記心血管症症状が、不整脈、心室性再分極の異常および心室性収縮の弛緩の障害から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記IKrの阻害が、IKrを阻害する薬剤の存在により引き起こされる、請求項1に記載の方法。
  4. 前記IKrの阻害が、前記患者の身体において起こる物理的過程によって引き起こされる、請求項1に記載の方法。
  5. 前記物理的過程が、先天性LQTSである、請求項4に記載の方法。
  6. 純粋なIKr遮断薬によって引き起こされる、APDおよび催不整脈を逆転させるための方法であって、治療有効量のラノラジンを投与することを含む、方法。
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