JP2010269390A - 脆性材料加工用水溶性油剤、スラリー及び加工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】脆性材料加工用水溶性油剤であって、油剤と遊離砥粒を混合し調製したスラリーの経時的なハードケーキ化を防止ないし低減できる油剤及びこれを含むスラリーを提供する。
【解決手段】(A)メルカプトベンゾチアゾール類及びベンゾトリアゾール類からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、および(B)アルコール類を含有する脆性材料加工用水溶性油剤、これを含むスラリーおよびこのスラリーを使用した切断加工方法。
【選択図】なし
【解決手段】(A)メルカプトベンゾチアゾール類及びベンゾトリアゾール類からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、および(B)アルコール類を含有する脆性材料加工用水溶性油剤、これを含むスラリーおよびこのスラリーを使用した切断加工方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、脆性材料加工用水溶性油剤、スラリー及び加工方法に関し、さらに詳細には、脆性材料の切断等の加工に際し使用するスラリーの調製に使用する油剤、すなわち、遊離砥粒を分散してスラリーを調製するのに使用する油剤、これを使用して調製したスラリー、これを使用した脆性材料の加工方法に関する。
硬度の高い脆性材料の加工、特に切断加工には、遊離砥粒を用いてのワイヤソー、ブレードソー(バンドソー)が、加工能率、加工精度の観点から近年広く使用されている。その際、砥粒と油剤を混合して調製した液(スラリー)が一般的に使用されている(例えば、特許文献1〜6)。
脆性材料の切断加工に際し、油剤と遊離砥粒を混合し調製した液(スラリー)は、時間経過とともに硬化・固化してハードケーキ化して使用が困難になってくる。従って、上記スラリーのハードケーキ化を防止することが要望されている。
本発明の目的は、脆性材料加工用水溶性油剤を提供することである。
本発明の他の目的は、上記油剤を使用したスラリーを提供することである。
本発明の他の目的は、上記スラリーを使用した脆性材料の加工方法を提供することである。
本発明の目的は、脆性材料加工用水溶性油剤を提供することである。
本発明の他の目的は、上記油剤を使用したスラリーを提供することである。
本発明の他の目的は、上記スラリーを使用した脆性材料の加工方法を提供することである。
本発明者は、油剤に特定の添加剤、すなわち、メルカプトベンゾチアゾール類、ベンゾトリアゾール類を添加する事により、スラリーのハードケーキ化の問題が解決される事を見出し、本発明を完成するに至った。本発明は以下に示す、脆性材料加工用水溶性油剤、この油剤を使用したスラリー、このスラリーを使用した脆性材料の加工方法を提供するものである。
1.(A)メルカプトベンゾチアゾール類及びベンゾトリアゾール類からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、および(B)アルコール類を含有することを特徴とする脆性材料加工用水溶性油剤。
2.(B)アルコール類が多価アルコールであることを特徴とする上記1記載の脆性材料加工用水溶性油剤。
3.さらに水を含有することを特徴とする上記1又は2記載の脆性材料加工用水溶性油剤。
4.上記1〜3のいずれか1項記載の油剤および砥粒を含む脆性材料加工用スラリー。
5.上記4記載のスラリーを用いて脆性材料を切断することを特徴とする脆性材料の加工方法。
6.脆性材料がシリコン系脆性材料である上記5記載の加工方法。
7.上記5または6記載の脆性材料の加工方法により加工された脆性材料。
1.(A)メルカプトベンゾチアゾール類及びベンゾトリアゾール類からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、および(B)アルコール類を含有することを特徴とする脆性材料加工用水溶性油剤。
2.(B)アルコール類が多価アルコールであることを特徴とする上記1記載の脆性材料加工用水溶性油剤。
3.さらに水を含有することを特徴とする上記1又は2記載の脆性材料加工用水溶性油剤。
4.上記1〜3のいずれか1項記載の油剤および砥粒を含む脆性材料加工用スラリー。
5.上記4記載のスラリーを用いて脆性材料を切断することを特徴とする脆性材料の加工方法。
6.脆性材料がシリコン系脆性材料である上記5記載の加工方法。
7.上記5または6記載の脆性材料の加工方法により加工された脆性材料。
本発明の油剤と遊離砥粒を混合し調製した液(スラリー)は、長時間経過しても、硬化・固化することがない。
本発明の油剤に使用する成分(A)のメルカプトベンゾチアゾール類の具体例としては、一般式(1)で表されるメルカプトベンゾチアゾール系誘導体が挙げられる。
(式中、R1は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基であり、mは1〜4の整数を示す。)
好ましい具体例としては、メルカプトベンゾチアゾール、メチルメルカプトベンゾチアゾールが挙げられる。
成分(A)のベンゾトリアゾール類の具体例としては、一般式(2)で表されるベンゾトリアゾール系誘導体が挙げられる。
(式中、R2は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基であり、nは1〜4の整数を示す。)
好ましい具体例としては、ベンゾトリアゾール、メチルベンゾトリアゾールが挙げられる。
(式中、R1は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基であり、mは1〜4の整数を示す。)
好ましい具体例としては、メルカプトベンゾチアゾール、メチルメルカプトベンゾチアゾールが挙げられる。
成分(A)のベンゾトリアゾール類の具体例としては、一般式(2)で表されるベンゾトリアゾール系誘導体が挙げられる。
(式中、R2は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基であり、nは1〜4の整数を示す。)
好ましい具体例としては、ベンゾトリアゾール、メチルベンゾトリアゾールが挙げられる。
本発明の油剤中、成分(A)の含有量は、好ましくは、0.03〜10質量%、さらに好ましくは0.05〜10質量%である。成分(A)の量が上記範囲内にあると本発明の目的が効果的に達成される。
本発明の油剤に使用する成分(B)のアルコール類としては、多価アルコール、糖、糖アルコール、脂肪族アルコール等が挙げられる。これらのうち特に多価アルコールが好ましい。多価アルコールの具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、デカンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、デカントリオール、ペンタエリスリトール等が挙げられる。特に、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等が好ましい。
本発明の油剤中、成分(B)の含有量は、好ましくは5〜99.97質量%、さらに好ましくは10〜99.95質量%、さらに好ましくは20〜99.95質量%である。成分(B)の量が上記範囲内にあると本発明の目的が効果的に達成される。
本発明の油剤中、成分(B)の含有量は、好ましくは5〜99.97質量%、さらに好ましくは10〜99.95質量%、さらに好ましくは20〜99.95質量%である。成分(B)の量が上記範囲内にあると本発明の目的が効果的に達成される。
本発明の油剤は水を含んでもよい。水の含有量は、油剤全量に対して、0〜95質量%、好ましくは0〜50質量%、さらに好ましくは5〜15質量%である。
本発明の油剤に使用する水としては、超純水、蒸留水、イオン交換水、水道水、市水、工業用水等のいずれを用いても良い。
本発明の油剤に使用する水としては、超純水、蒸留水、イオン交換水、水道水、市水、工業用水等のいずれを用いても良い。
本発明の油剤を使用して切断加工するのに適した被加工材料の例としては、電子産業分野で広く使用されている脆性材料が挙げられ、具体例としては、シリコン(単結晶、多結晶)、ガリウム砒素等の半導体、アルミナ、酸化ジルコニウム等のセラミックス、石英ガラス、ケイ酸ガラス等のガラスが挙げられる。脆性材料が、シリコン系である場合は、油剤のpHは5〜9とすることが望ましい。
本発明の油剤は、成分(A)〜(B)及び必要により成分(C)を、適当な温度条件下、例えば、40〜70℃程度で混合溶解させることにより容易に製造できる。その際、必要に応じて、界面活性剤(アニオン系、ノニオン系)、水溶性増粘剤、防腐剤、防カビ剤、非鉄金属防食剤、pH緩衝剤等を適宜添加含有させても良い。
本発明の油剤は、通常は油剤と遊離砥粒(例えばGC 緑色炭化珪素砥粒)を質量比で油剤:砥粒=1.0:0.8〜1.0:1.5(例えば、1.0:0.9)で混合して脆性材料の切断加工用スラリーとして使用される。
本発明の油剤は、通常は油剤と遊離砥粒(例えばGC 緑色炭化珪素砥粒)を質量比で油剤:砥粒=1.0:0.8〜1.0:1.5(例えば、1.0:0.9)で混合して脆性材料の切断加工用スラリーとして使用される。
以下、実施例および比較例により、本発明の水溶性油剤を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1−16及び比較例1−9
表1〜表3に示す成分を500mlガラス製ビーカーに入れ、25℃で30分間攪拌して油剤を調製した。この油剤200gと砥粒(GC#1500)180gを質量比1.0:0.9で充分混合し、スラリー380gを作製した。このスラリーのハードケーキ化試験を以下のように行い、そのスラリーのハードケーキ化を評価した。比較例9は市販の水溶性切断加工用油剤である。
実施例1−16及び比較例1−9
表1〜表3に示す成分を500mlガラス製ビーカーに入れ、25℃で30分間攪拌して油剤を調製した。この油剤200gと砥粒(GC#1500)180gを質量比1.0:0.9で充分混合し、スラリー380gを作製した。このスラリーのハードケーキ化試験を以下のように行い、そのスラリーのハードケーキ化を評価した。比較例9は市販の水溶性切断加工用油剤である。
評価方法
(a)スラリーのハードケーキ化試験
各油剤試料と砥粒(GC#1500を質量比1.0:0.9で充分混合し、スラリーを作成し、内径30mm、容量250mlの円筒状ポリ(ポリエチレン製)容器に350g入れ、蓋をする。次いでこのスラリーを50℃の恒温槽に24時間、25℃の部屋に24時間放置する。次いでステンレス製の金尺(長さ175mm、幅15mm、厚み0.5mm、質量10.0g)を、スラリーを入れた容器に垂直に静かに置き、2分後に容器の底と沈んだ金尺先端の距離を測定する。スラリーがケーキ化すると金尺の沈む程度が小さくなり容器底と金尺先端の距離が大きくなる。評価は以下の基準に従った。
・合格 ○:容器底と金尺先端の距離 6mm未満
・不合格 △:容器底と金尺先端の距離 6mm以上9mm未満
×:容器底と金尺先端の距離 9mm以上
油剤の成分、量(単位質量%)及びハードケーキ化試験の結果を表1〜表3に示す。
(a)スラリーのハードケーキ化試験
各油剤試料と砥粒(GC#1500を質量比1.0:0.9で充分混合し、スラリーを作成し、内径30mm、容量250mlの円筒状ポリ(ポリエチレン製)容器に350g入れ、蓋をする。次いでこのスラリーを50℃の恒温槽に24時間、25℃の部屋に24時間放置する。次いでステンレス製の金尺(長さ175mm、幅15mm、厚み0.5mm、質量10.0g)を、スラリーを入れた容器に垂直に静かに置き、2分後に容器の底と沈んだ金尺先端の距離を測定する。スラリーがケーキ化すると金尺の沈む程度が小さくなり容器底と金尺先端の距離が大きくなる。評価は以下の基準に従った。
・合格 ○:容器底と金尺先端の距離 6mm未満
・不合格 △:容器底と金尺先端の距離 6mm以上9mm未満
×:容器底と金尺先端の距離 9mm以上
油剤の成分、量(単位質量%)及びハードケーキ化試験の結果を表1〜表3に示す。
成分(A)及び成分(B)を含む実施例1−16のスラリーは長期間経過後もハードケーキ化(固化・硬化)が進行しないことがわかる。
これに対して成分(A)及び成分(B)の一方を含まない比較例1−8のスラリーは長期間経過後ハードケーキ化(固化・硬化)してしまうことがわかる。
これに対して成分(A)及び成分(B)の一方を含まない比較例1−8のスラリーは長期間経過後ハードケーキ化(固化・硬化)してしまうことがわかる。
Claims (7)
- (A)メルカプトベンゾチアゾール類及びベンゾトリアゾール類からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物、および(B)アルコール類を含有することを特徴とする脆性材料加工用水溶性油剤。
- (B)アルコール類が多価アルコールであることを特徴とする請求項1記載の脆性材料加工用水溶性油剤。
- さらに水を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の脆性材料加工用水溶性油剤。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載の油剤および砥粒を含む脆性材料加工用スラリー。
- 請求項4記載のスラリーを用いて脆性材料を切断することを特徴とする脆性材料の加工方法。
- 脆性材料がシリコン系脆性材料である請求項5記載の加工方法。
- 請求項5または6記載の脆性材料の加工方法により加工された脆性材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009122123A JP2010269390A (ja) | 2009-05-20 | 2009-05-20 | 脆性材料加工用水溶性油剤、スラリー及び加工方法 |
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Cited By (1)
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---|---|---|---|---|
JP2021031630A (ja) * | 2019-08-28 | 2021-03-01 | パレス化学株式会社 | 水溶性切削加工液 |
-
2009
- 2009-05-20 JP JP2009122123A patent/JP2010269390A/ja active Pending
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