JP2010264775A - 車体前部構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車室前部隔壁110から前方へ突き出しかつエンジンルームの左右側部にそれぞれ配置されたメインフレーム130と、車室前部隔壁におけるメインフレームとの接合部よりも上方かつ車幅方向外側の部分から前方へ突き出し、車両前方側の領域において前方側が後方側に対して下がりかつ車幅方向内側となるように傾斜して形成されたアッパフレーム140とを備える車体前部構造を、アッパフレームの前端部における車幅方向内側の側面部をメインフレームの車幅方向外側の側面部に結合した構成とする。
【選択図】図1
Description
メインフレームは、車両の前面衝突時にアコーディオン状に圧壊したり、屈曲変形することによって、エネルギを吸収して車室における加速度ピークを低減するようになっている。
本発明の課題は、メインフレーム前端部の支持剛性を向上した車体前部構造を提供することである。
請求項1の発明は、車室前部隔壁から前方へ突き出しかつエンジンルームの左右側部にそれぞれ配置されたメインフレームと、車室前部隔壁における前記メインフレームとの接合部よりも上方かつ車幅方向外側の部分から前方へ突き出し、車両前方側の領域において前方側が後方側に対して下がりかつ車幅方向内側となるように傾斜して形成されたアッパフレームとを備える車体前部構造であって、前記アッパフレームの前端部における車幅方向内側の側面部を前記メインフレームの車幅方向外側の側面部に結合したことを特徴とする車体前部構造である。
請求項3の発明は、前記アッパフレームの前端部と前記メインフレームとの結合部よりも車両後方側に設けられ、左右の前記メインフレーム間を連結する第1の連結部材と、前記メインフレームにおける前記第1の連結部材との接合箇所近傍と、前記アッパフレームとを連結する第2の連結部材とを備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車体前部構造である。
(1)アッパフレームの前端部における車幅方向内側の側面部をメインフレームの車幅方向外側の側面部に結合したことによって、車両前部においてメインフレームとアッパフレームとがトラス構造に近似した構造を構成することから、メインフレーム先端部の支持剛性を高め、仮に車幅方向や上下方向の荷重が作用した場合であってもメインフレームの倒れを抑制し、車両の衝突時にメインフレームを設計意図に近い状態で変形、破壊させてエネルギ吸収能力を確保し、車両の前面衝突性能を向上できる。
(2)サスペンションアームの車体側取付部の少なくとも一部を、アッパフレームの前端部とメインフレームとの結合部近傍に配置したことによって、サスペンションアームの支持剛性を高め、コーナリング等によって車幅方向の荷重が作用した際のサスペンション取付部の変位を抑制し、サスペンションジオメトリの変化を防止して車両の走行性能を向上できる。
(3)アッパフレームの前端部とメインフレームとの結合部よりも車両後方側に設けられ、左右のメインフレーム間を連結する第1の連結部材と、メインフレームにおける第1の連結部材との接合箇所近傍と、アッパフレームとを連結する第2の連結部材とを備える構成とすることによって、左右のアッパフレーム及びメインフレームを順次結合し、車両前方側から見たときにU字状となる補剛構造体を形成することができる。この補剛構造体でメインフレームの中間部の支持剛性を高めることによって、メインフレームの先端部の変位をより低減し、上述した効果をよりいっそう向上することができる。
車体前部構造は、車体本体100、クレードル200を有し、さらに、エンジンマウント310、排気管320、ステアリングギアボックス330、サスペンションアーム340等が取り付けられている。
図1等に示すように、車体本体100は、トーボード110、フロアパネル120、メインフレーム130、アッパフレーム140、サスペンション支持部150、バンパビーム160、ラジエータアッパサポート170、ラジエータロワサポート180等を備えている。
フロアパネル120は、車室の床面を構成する部分であって、トーボード110の下端部から車両後方側へ伸びている。
フロアパネル120の車幅方向における中央部には、車両前後方向に延びたフロアトンネル121が形成されている。フロアトンネル121は、上方に張り出して形成され、その内部(床下側)には、トランスミッション、プロペラシャフト、排気管の一部等が収容される。
また、メインフレーム130の中間部における車幅方向外側の側面部には、必要に応じて大舵角転舵時における前輪との干渉を防止する逃げ凹部が形成される。
アッパフレーム140の中間部から後端部にかけての領域は、車両の前後方向に略沿って配置されている。この領域は、メインフレーム130に対して上方かつ車幅方向外側に配置されている。
アッパフレーム140の前端部近傍の領域は、前端部が下がりかつ車幅方向内側にオフセットするように、車両前後方向に対して傾斜して配置されている。
また、図1等に示すように、この結合部の直前には、上述した前側ブラケット131が配置されている。
サスペンション支持部150は、メインフレーム130とアッパフレーム140とを連結する本発明にいう第2の連結手段として機能する。
ラジエータアッパサポート170及びラジエータロワサポート180は、図示しないラジエータコア及びエアコンディショナ用のコンデンサコアの上端部及び下端部を支持する部材である。
ラジエータアッパサポート170は、左右のアッパフレーム140の間にわたして設けられている。
ラジエータロワサポート180は、左右のメインフレーム130の前側ブラケット131の下端部間にわたして設けられている。
図4等に示すように、クレードル200は、縦通メンバ210、前側横通メンバ220、後側横通メンバ230、連結部材240、前端部メンバ250、ロワメンバ260(図4には図示しない。図1等参照。)等を備えて構成されている。
ブラケット211は、縦通メンバ210の中間部から上方へ突き出して形成されている。ブラケット211の上端部には、メインフレーム130の後側ブラケット132の下端部が接続される。
前側アーム取付部212及び後側アーム取付部213は、縦通メンバ210の車幅方向外側の側面部に前後方向に離間して設けられている。前側アーム取付部212及び後側アーム取付部213には、サスペンションアーム340の前側ブッシュ341及び後側ブッシュ342がそれぞれ取り付けられる。
図4等に示すように、前側アーム取付部212は縦通メンバ210の中間部(メインフレーム130の前側ブラケット131との接合部近傍)に配置され、後側アーム取付部213は縦通メンバ210の後端部近傍に配置されている。
また、縦通メンバ210の後方の領域は、後端部が他の部分よりも高くなるように立ち上げられている。
なお、このような構成とした結果、アッパフレーム140とメインフレーム130とをサスペンション支持部150により連結し、その下部において後側ブラケット132及びブラケット211によりメインフレーム130とクレードルの縦通メンバ210とを連結し、さらにその近傍で前側横通メンバ220により左右の縦通メンバ210を連結することができ、メインフレーム130の中間部近傍に、車両前方から見たときに略U字状となる連続した強固な補剛構造体が形成される。
これらの前側横通メンバ220及び後側横通メンバ230の横断面形状は、中間部に対して縦通メンバ210との接合部付近が拡大されている。
また、前側横通メンバ220及び後側横通メンバ230は、その中央部における下側に排気管320を通すため、中央部が持ち上がるように湾曲して形成されている。
なお、縦通メンバ210、前側横通メンバ220、後側横通メンバ230、連結部材240、前端部メンバ250は、溶接等によって接合され1部品とされており、ロワメンバ260は、別体に形成され、ボルトナット等によって締結されている。
本実施例では、エンジンは例えば縦置き搭載される下方排気の水平対向エンジンである。
排気管320は、図5等に示すように、フランジ321、第1触媒コンバータ322、第2触媒コンバータ323等を備えて構成されている。また、排気管320は、エンジンから第2触媒コンバータ323まではエンジンの左右バンク毎に左右略対象に一対設けられ、第2触媒コンバータ323の後方側で合流している。
第1触媒コンバータ322及び第2触媒コンバータ323は、それぞれアルミナ系等の担体に、触媒成分として白金、ロジウム、パラジウム等の貴金属を担持させた三元触媒である。上流側に配置された第1触媒コンバータ322は、その上部がクレードル200における左右の連結部材240の間隔の空間部内に収容されている。また、下流側に配置された第2触媒コンバータ323は、フロアパネル120の下方に配置されている。
ステアリングギアボックス330の左右端部には、それぞれタイロッド331が設けられている。
タイロッド331は、ステアリングギアボックス330内の図示しないステアリングラックと、左右前輪の図示しないハウジングに形成されたナックルアームとを連結する伝達軸である。タイロッド331は、ドライバによる操舵操作時にナックルアームを押し引きして前輪を操向するとともに、前輪からのステア反力をドライバ側に伝達する。
サスペンションアーム340は、車体側の端部に、前後方向に離間して配置された前側ブッシュ341及び後側ブッシュ342を備えている。
前側ブッシュ341及び後側ブッシュ342は、クレードル200における縦通メンバ210の前側アーム取付部212及び後側アーム取付部213にそれぞれボルトナット等を用いて取付られる。
(1)アッパフレーム140の前端部における車幅方向内側の側面部をメインフレーム130の車幅方向外側の側面部に結合したことによって、車両前部においてメインフレーム130とアッパフレーム140とがトラス構造に近似した構造を構成することから、メインフレーム130の先端部の支持剛性を高め、仮に車幅方向や上下方向の荷重が作用した場合であってもメインフレーム130の倒れを抑制し、車両の衝突時にメインフレーム130を設計意図に近い状態で変形、破壊させてエネルギ吸収能力を確保し、車両の前面衝突性能を向上できる。
(2)サスペンションアーム340の前側ブッシュ341を、アッパフレーム140の前端部とメインフレーム130との結合部近傍に配置したことによって、サスペンションアーム340の支持剛性を高め、コーナリング等によって車幅方向の荷重が作用した際の前側ブッシュ341の変位を抑制し、サスペンションジオメトリの変化を防止して車両の走行性能を向上できる。
(3)アッパフレーム140の前端部とメインフレーム130との結合部よりも車両後方側に設けられ、左右のメインフレーム間を連結する後側ブラケット132及びクレードル200と、メインフレーム130における後側ブラケット132近傍と、アッパフレーム140とを連結するサスペンション支持部150とを備える構成とすることによって、左右のアッパフレーム140及びメインフレーム130を順次結合し、車両前方側から見たときにU字状となる補剛構造体を形成することができる。この補剛構造体でメインフレーム130の中間部の支持剛性を高めることによって、メインフレーム130の先端部の変位をより低減し、上述した効果をよりいっそう向上することができる。
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
例えば、車体前部構造の詳細な構造は上述した実施例のものに限定されず、適宜変更することができる。例えば、各部材の形状、材質、製法等は適宜変更することができる。
また、サスペンション形式も実施例のようなマクファーソンストラット式に限らず、例えばダブルウィッシュボーン式やマルチリンク式のサスペンションを適用することができる。この場合、アッパフレームとメインフレームとの間のサスペンション支持部はショックアブソーバ(ダンパ)の車体側取付部とすることができる。また、サスペンションアームをこれらの形式のサスペンションにおけるアッパアーム又はロワアームとすることができ、その支点の一部をアッパアームの先端部とメインフレームとの接合部近傍に設ける構成とすることができる。
120 フロアパネル 121 フロアトンネル
130 メインフレーム 131 前側ブラケット
132 後側ブラケット 140 アッパフレーム
150 サスペンション支持部 160 バンパビーム
170 ラジエータアッパサポート 180 ラジエータロワサポート
200 クレードル 210 縦通メンバ
211 ブラケット 212 前側アーム取付部
213 後側アーム取付部 220 前側横通メンバ
230 後側横通メンバ 240 連結部材
250 前端部メンバ 260 ロワメンバ
310 エンジンマウント 320 排気管
321 フランジ 322 第1触媒コンバータ
323 第2触媒コンバータ 330 ステアリングギアボックス
331 タイロッド 340 サスペンションアーム
341 前側ブッシュ 342 後側ブッシュ
Claims (3)
- 車室前部隔壁から前方へ突き出しかつエンジンルームの左右側部にそれぞれ配置されたメインフレームと、
車室前部隔壁における前記メインフレームとの接合部よりも上方かつ車幅方向外側の部分から前方へ突き出し、車両前方側の領域において前方側が後方側に対して下がりかつ車幅方向内側となるように傾斜して形成されたアッパフレームと
を備える車体前部構造であって、
前記アッパフレームの前端部における車幅方向内側の側面部を前記メインフレームの車幅方向外側の側面部に結合したこと
を特徴とする車体前部構造。 - 車体に対して揺動可能に取り付けられたサスペンションアームを備え、
前記サスペンションアームの車体側取付部の少なくとも一部を、前記アッパフレームの前端部と前記メインフレームとの結合部近傍に配置したこと
を特徴とする請求項1に記載の車体前部構造。 - 前記アッパフレームの前端部と前記メインフレームとの結合部よりも車両後方側に設けられ、左右の前記メインフレーム間を連結する第1の連結部材と、
前記メインフレームにおける前記第1の連結部材との接合箇所近傍と、前記アッパフレームとを連結する第2の連結部材とを備えること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車体前部構造。
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