JP2010264574A - 切削工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐摩耗性と耐欠損性に優れた切削工具を提供する。
【解決手段】 窒化珪素を主体として、RE元素化合物(ただし、REは希土類元素の少なくとも一種の元素)を含む窒化珪素質焼結体から構成され、すくい面2と逃げ面3との交差稜線部を切刃4とし、隣接する2つの前記逃げ面間に位置する切刃4にノーズ5を形成し、すくい面2のノーズ5にて2D法で残留応力を測定した際、すくい面2に平行でかつすくい面2の中心から測定点に最も近いノーズ5に向かう方向についての残留応力σ11が圧縮応力で10〜30MPa(σ11=−10〜−30MPa)であり、すくい面2に平行でかつσ11方向と垂直な方向についての残留応力σ22が圧縮応力で10MPa以下(σ22=−10〜0MPa)の切削工具1である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、窒化珪素質焼結体からなる切削工具に関する。
窒化珪素質焼結体は、高硬度でかつ高温で安定であることから耐摩耗性および耐酸化性に優れており、切削工具として用いられている。
かかる窒化珪素質焼結体からなる切削工具において、例えば、特許文献1には、残留応力の絶対値が42〜55MPaの窒化珪素質焼結体が開示され、残留応力の絶対値を45MPa以下とすることによって、室温および高温での高強度化を達成できることが記載されている。
また、特許文献2では、焼結体の表面を#140番のダイヤモンド砥石を用いて平面研削した後、砥粒径45μmのダイヤモンドディスクを用いて研磨し、さらに、Fe粉末を用いてメカノケミカル研磨を施した窒化珪素質焼結体が開示され、処理方法の違いによって、加工前に100MPaあった焼結体の残留応力を10〜40MPaに低減できたことが開示されている。
さらに、特許文献3では、窒化珪素質焼結体の表面を研削加工した後、大気中で加熱処理によって焼結体の表面に圧縮残留応力を大きくして、研削加工により低下した強度の回復を図ることができることが開示されている。
特開平8−319166号公報 特開平7−069736号公報 特開平7−299708号公報
しかしながら、上記特許文献1〜3に記載の窒化珪素質焼結体のように、焼結体の全体の残留応力を制御する方法では、切削工具として用いた際の工具性能が最適化されているとはいえなかった。
そこで、本発明の目的は、切削工具として最適な残留応力を考慮して耐欠損性が高い窒化珪素質焼結体からなる切削工具を提供することである。
本発明の切削工具は、窒化珪素を主体として、RE元素化合物(ただし、REは希土類元素の少なくとも一種の元素)を含む窒化珪素質焼結体から構成され、すくい面と逃げ面との交差稜線部を切刃とし、隣接する2つの前記逃げ面間に位置する前記切刃にノーズを形成した切削工具において、前記すくい面のノーズにて2D法(2次元X線回折:フルデバイリングフィッティング法)で残留応力を測定した際、前記すくい面に平行でかつ該すくい面の中心から測定点に最も近いノーズに向かう方向についての残留応力σ11が圧縮応力で10〜30MPa(σ11=−10〜−30MPa)であり、前記すくい面に平行でかつ前記σ11方向と垂直な方向についての残留応力σ22が圧縮応力で10MPa以下(σ22=−10〜0MPa)であることを特徴とする。
ここで、前記窒化珪素質焼結体のすくい面における算術平均粗さ(Ra)が0.2〜0.6μmであることが望ましい。
また、前記窒化珪素質焼結体がMgを含有するとともに、すくい面の表面におけるMg濃度が焼結体全体のMg濃度に対して60〜90質量%の比率で存在することが望ましい。
本発明の切削工具によれば、すくい面に平行でかつ該すくい面の中心から測定点に最も近いノーズに向かう方向についての残留応力σ11が圧縮応力で10〜30MPa(σ11=−10〜−30MPa)であり、前記すくい面に平行でかつ前記σ11方向と垂直な方向についての残留応力σ22が圧縮応力で10MPa以下(σ22=−10〜0MPa)であることによって、切削加工時の耐チッピング性が向上する。
ここで、前記窒化珪素質焼結体のすくい面における算術平均粗さ(Ra)が0.2〜0.6μmであることが、耐チッピング性の点で望ましい。
また、前記窒化珪素質焼結体がMgを含有するとともに、すくい面の表面におけるMg濃度が焼結体全体のMg濃度に対して60〜90質量%の比率で存在することが、焼結体強度、耐摩耗性、耐チッピング性の点で望ましい。
本発明の切削工具の一例について、概略斜視図である。
本発明の切削工具1は、窒化珪素を主体として、RE元素化合物(ただし、REは希土類元素(イットリウムおよびランタノイド元素)の少なくとも一種の元素)を含む窒化珪素質焼結体(以下、単に焼結体と略す。)からなる。
そして、本発明によれば、すくい面2に平行で、かつすくい面2の中心から測定点に最も近いノーズに向かう方向についての残留応力σ11が圧縮応力で10〜30MPa(σ11=−10〜−30MPa)であり、すくい面2に平行でかつ前記σ11方向と垂直な方向についての残留応力σ22が圧縮応力で10MPa以下(σ22=−10〜0MPa)である。これによって、切削工具1の耐チッピング性が向上する。
なお、本発明における残留応力の測定について、測定位置は、図1の斜視図に示すように、焼結体の内部における残留応力を測定するために、切刃4のうちのノーズ5より1mm以上内部の位置Pで測定する。本発明における残留応力の測定法は2D法(多軸応力測定法/フルデバイリングフィッティング法)を用いて測定する。また、残留応力の測定に用いるX線回折ピークは、2θの値が141.7°の間に現れる(323)面のピークを用いる。なお、残留応力の算出に際しては、窒化珪素のポアソン比=0.27、ヤング率=306000MPaを用いて算出する。また、X線回折測定の条件としては、鏡面加工したすくい面に、X線の線源としてCuKα線を用い、出力=45kV、110mAの条件で照射して残留応力の測定を行う。
ここで、切削工具1のすくい面2における算術平均粗さ(Ra)が0.2〜0.6μmであることが、焼結体強度、耐磨耗性、耐チッピング性の点で望ましい。
また、切削工具1をなす焼結体がMgを含有するとともに、すくい面2の表面におけるMg濃度が焼結体全体のMg濃度に対して60〜90質量%の比率で存在することが、焼結体強度、耐磨耗性、耐チッピング性の点で望ましい。
ここで、本発明においては、焼結体の表面に、RE元素の含有比率は焼結体の内部における含有比率に対して5%の範囲内で一定であり、かつマグネシウム元素の含有比率は焼結体の内部の含有比率に対して5%よりも少ない表面領域が存在することが望ましい。これによって、理由は不明であるが、焼結体表面における耐摩耗性が高くかつ焼結体表面における耐欠損性が高いものとなる。なお、本発明における焼結体の内部における含有比率とは、焼結体の中央部付近の深さ50μm×幅50μmの領域について電子線マイクロアナライザ(EPMA)を用いて面分析により各元素の含有比率を測定し、この面分析を任意3ヶ所について行って平均値を取った値のことであり、焼結体の全体組成とほとんど同じ組成となる。
また、焼結体にはアルミニウム化合物と酸素とをさらに含むとともに、前記表面領域におけるアルミニウム元素の含有比率は焼結体の内部における含有比率に対して10%の範囲内であり、かつ前記表面領域における酸素の含有比率は焼結体の内部における含有比率に対して15%の範囲内であることが望ましい。
ここで、焼結体の望ましい全体組成は、窒化珪素を94.5〜99.5質量%、RE元素酸化物をRE換算で0.1〜4.5質量%、酸化マグネシウムをMgO換算で0.3〜2.5質量%、酸化アルミニウムをAl換算で0〜0.6質量%、残余の酸素をシリカ(SiO)換算で0.1〜4.5質量%、周期表第6族元素珪化物を0〜2質量%からなることが、焼結体の硬度および高温強度を高めて、焼結体の耐摩耗性を高めることができる点で望ましい。なお、RE元素化合物、マグネシウム化合物およびアルミニウム化合物は、いずれも酸化物として存在することが少量で窒化珪素同士を強固に結合できて窒化珪素の含有比率を高めることができる点で望ましい。
さらに、RE元素酸化物の含有量は、焼結体の緻密化のために、RE換算で0.5〜4.5質量%であること、さらに1〜2.5質量%であることが望ましい。酸化マグネシウムの含有量は、焼結助剤の液相生成温度の低温化によって焼結体をより低温で緻密化させるために、MgO換算で0.35〜2.0質量%であること、さらに0.4〜1.0質量%であることが望ましい。酸化アルミニウムの含有量は、焼結助剤の液相生成温度の低温化、焼結体の緻密化および耐酸化性の低下による耐摩耗性の低下を抑制するために、Al換算で0.2〜0.55質量%であること、さらに0.3〜0.5質量%であることが望ましい。残余の酸素は窒化珪素の不純物として存在しシリカ(SiO)として存在しているものと考えられるが、その含有量は、焼結助剤の液相生成温度の低温化、焼結体の緻密化を保つとともに、耐酸化性および耐摩耗性を改善した焼結体を実現するためにSiO換算で0.1〜4.5質量%であることが望ましく、特に1.0〜2.5質量%、さらには1.5〜2質量%とすることが望ましい。
また、RE元素としてはランタン(La)を必須として含有すると、ランタン(La)を含まない場合に比べて焼結体を低温で緻密化できるので、焼結体中の結晶が異常粒成長することなく結晶が微粒化できる。例えば、1730〜1780℃の常圧焼成で焼結体の相対密度が99%以上で、かつ視野0.015mmで長径が大きい方から6個の窒化珪素の平均長径を10μm以下に抑制することが可能となる。その結果、焼結体の硬度と強度を向上させることができる。
ここで、RE化合物と、マグネシウム化合物と、アルミニウム化合物と、シリカ(SiO)は粒界相を形成する。粒界相はその一部が結晶として析出した構成であっても良いが、粒界相自体の存在割合を4質量%以下と少なくすることによって焼結体の硬度および高温強度が高まることから、粒界相の絶対量を減らしつつ窒化珪素結晶の結合性を高めるために、粒界相は非晶質で存在することが望ましい。
なお、窒化珪素は主結晶として存在するが、窒化珪素結晶としては、主にβ−窒化珪素結晶からなり、所望によりその一部がわずかにアルミニウムを含んでβ−サイアロンを形成したものであることが望ましい。また、β−窒化珪素結晶の一部がα−窒化珪素結晶であってもよいが、硬度および強度を高めるためにはα−窒化珪素結晶を含まないことが望ましい。
また、周期表第6族元素珪化物は高温強度の低下を抑制することができるとともに、焼結体の色を黒色化することができる。周期表第6族元素珪化物として、珪化クロム、珪化モリブデン、珪化タングステンを例示できるが、微細な酸化物原料を用いて焼成体中に微細な粒子として存在させることができるという理由から珪化タングステンを用いることが望ましい。なお、この周期表第6族元素珪化物粒子は、窒化珪素質焼結体の粒界相に分散して存在する。
さらに、前記表面領域は表面から100〜500μmの深さにわたって存在することが、焼結体の表面における耐摩耗性を維持しつつ耐欠損性を高める点で望ましい。
次に、上述した焼結体の製造方法について説明する。
まず、出発原料として、例えば、窒化珪素(Si)粉末と、RE元素の水酸化物(RE(OH))または酸化物(RE)、酸化アルミニウム(Al)、水酸化マグネシウム(Mg(OH))を準備する。また、必要に応じて、二酸化珪素(SiO)、周期表第6族元素珪化物の粉末を用意する。
窒化珪素原料は、α−窒化珪素粉末、β−窒化珪素粉末、又はこれらの混合物のいずれも用いることができる。これらの粒径は、1μm以下、特に0.5μm以下であることが好ましい。窒化珪素原料中には不可避の酸素が珪素の酸化物として存在する。そこで、窒化珪素原料中に存在する酸化物がシリカ(SiO)として存在していると考えて、組成を調整する。酸素分が不足する場合にはシリカ(SiO)粉末を添加する。
RE元素の原料としては酸化物粉末を用いても良いが、例えばランタン(La)の場合には酸化ランタン(La)の吸湿性が高いため、水酸化ランタン(La(OH))のように吸水性が低く、焼成過程で酸化ランタン(La)に変化する化合物を用いることが好ましい。マグネシウム(Mg)原料としては、酸化マグネシウム(MgO)や炭酸マグネシウム(MgCO)を用いても良いが、酸化マグネシウム(MgO)は吸水性が高く、炭酸マグネシウム(MgCO)は炭酸ガスを発生してしまうので、水酸化マグネシウム(Mg(OH))のように、吸水性が低く、炭酸ガスの発生も無く、焼成過程で酸化マグネシウム(MgO)に変化する化合物を用いることが好ましい。
周期表第6族元素珪化物を形成するための原料は、周期表第6族元素の酸化物、炭化物、珪化物、窒化物等いずれでも良いが、安価で微粉末が得られやすいことから酸化物を用いることが望ましい。
次に、これらの原料を秤量した混合粉末に適宜バインダや溶剤を添加して混合、粉砕し、スプレードライ法等により乾燥、造粒する。そして、この造粒粉末を公知の成形手段により任意の形状に成形した後、例えば窒素雰囲気中で、常圧焼成法、ガス圧力焼成法、ホットプレス法等により1650〜1800℃の温度で焼成する。
この焼成の具体的な条件は、上記成形体を窒化珪素質焼結体製の焼成鉢に入れるとともに、この焼成鉢の中にSiおよびMg成分を入れて焼成鉢の蓋を密封状態がさほど高くない状態で閉めて焼成炉内にセットする。そして、焼成炉内を1気圧の窒素で置換した後、5〜15℃/分で昇温を開始し、1400〜1500℃の温度範囲における昇温速度を1〜5℃/分に変更した後、1500℃から焼成温度の1650〜1800℃までの昇温速度は再度5〜15℃/分に変更する。そして、焼成温度の1650〜1800℃で5〜10時間保持して、1100℃までの降温速度を10〜50℃/分で冷却した後、室温まで冷却する条件とする。また、焼成中はガス抜きしたり窒素ガスを追加で導入したりして炉内の雰囲気が窒素1気圧に保たれるように調整する。これによって、マグネシウムは表面において適度に揮発するとともにRE元素は揮発しない状態となり、焼結体を緻密化させるとともに表面においてマグネシウムの濃度が低くかつRE元素の濃度は内部と変わらない焼結体が得られる。
なお、焼成鉢中に成形体とともに入れるSiおよびMg成分は、Si粉末、SiO粉末、Si粉末、MgCO粉末、Mg(OH)粉末の状態で入れる方法が挙げられ、これらの粉末を成形体の周囲に置いたり、成形体の下面に敷き詰めたり、成形体自体を上記粉末中に埋めた状態で焼成することにより、焼成雰囲気中にSiOガスとMgOガスが生成して焼結を促進する方法が挙げられる。
さらに、前述のように焼結体表面における各元素の濃度分布を得るためには、元素の拡散が始まる温度域で焼成物の内部まで充分に温度を上げておく必要があり、1400〜1500℃間の昇温速度を1〜5℃/分とすること、および焼成温度から1100℃までの降温速度を10〜50℃/分とすることによって可能となる。また、一旦、窒素雰囲気中で1650℃〜1850℃で焼成した後、9.8MPa〜294MPa、1500〜1700℃で熱間静水圧焼成を施すことが、緻密で、窒化珪素結晶粒子の異常粒成長が抑制された耐チッピング性を改善した窒化珪素質焼結体が得られる点で望ましい。
そして、上述した焼結体には研削加工が施される。研磨加工においては、荒い砥石で切削工具1の形状に沿ったある方向(切刃稜線に並行な方向)に第1の研磨をした後、細かい砥石で切刃稜線に垂直な方向に第2の研磨をする。具体的な条件の一例は、第1の研磨に際して、弾性砥石を用いた研磨、ブラシ研磨、のいずれかにより、砥石のグレードを#100〜#300として、すくい面2の算術平均粗さ(Ra)が3μm以下となるまで研磨する。その後、弾性砥石を用いた研磨、ブラシ研磨、により、砥石のグレードを#400〜#1000として、すくい面2の算術平均粗さ(Ra)が0.1〜1μmとなるまで研磨する。これよって、切削において耐欠損性の高い切削工具1となる残留応力を方向に応じて最適とすることができる結果、工具寿命を延ばすことができる。なお、第1の研磨において発生しやすいマイクロクラック等のダメージをなくすために、第2の研磨においては、30μm以上、より好ましくは50μm以上の厚みを研磨するのが良い。
なお、上記焼結体の表面にTiNやAl、TiAlN等の硬質被覆層を施してもよい。
出発原料として、平均粒径0.3μmの窒化珪素(Si)粉末と、平均粒径1.2μmのRE元素化合物(水酸化ランタン(La(OH))、酸化イットリウム(Y)、酸化イッテリビウム(Yb)、酸化エルビウム(Er)のいずれか)粉末と、平均粒径0.7μmの酸化アルミニウム(Al)粉末と、平均粒径2.5μmの水酸化マグネシウム(Mg(OH))粉末とを表1の割合で調合し、バインダと溶剤とを添加した後、アトライタミルにて72時間、粉砕、混合した。なお、表1にて、水酸化ランタン(La(OH))粉末および水酸化マグネシウム(Mg(OH))粉末については、焼結体中で存在する酸化物((LaおよびMgO)の換算量で表記した。
その後、乾燥して溶剤を除去して造粒粉末を作製し、この造粒粉末を98MPaの圧力でSNGN120412の切削工具形状にプレス成形した。
この成形体を焼成鉢内にセットする際、Si粉末、Si粉末、SiO粉末の少なくとも1種とMg(OH)粉末との混合粉末を用いて表1に示す状態でセットして蓋をし、これをカーボン製の円筒内に置いた状態で焼成炉内に載置した。そして、焼成炉内を窒素1気圧に置換して、脱脂後、1400℃まで昇温速度10℃/分で昇温し、その後を表1の条件で昇温、焼成、降温した。なお、焼成中の雰囲気は窒素1気圧に制御した。その後、1600℃、2時間、196MPaの条件で熱間静水圧焼成(HIP)し、さらにこの焼結体の表面を表2の条件で研削加工して切削工具を得た。
得られた窒化珪素質焼結体について、すくい面を0.5mm厚み研削加工して鏡面状態とした後、2D法(装置:X線回折 BrukerAXS社製 D8 DISCOVER with GADDS Super Speed、線源:CuKα、コリメータ径:0.8mmφ、測定回折線:141.7°(Si3N4(323)面))を用いて窒化珪素の残留応力を測定した。
また、焼結体の表面において電子線マイクロアナライザ(EPMA)測定を行い、表面領域における各成分の含有比率を測定した。また、焼結体の中央部付近の50μm深さ×50μm幅の領域の任意3ヶ所にてEPMAの面分析を行って、その含有比率の平均値を焼結体の内部における含有比率として、焼結体表面における含有比率と比較した。さらに、表面を含む焼結体の断面において組織観察を行うとともにEPMAにて各成分の含有比率の分布状態を確認し、表面領域の厚みを算出した。また、酸素量の測定については、EPMAで確認された表面領域の深さを焼結体の表面から研磨しこの領域を粉状として採取して表面領域の試料とし、また、焼結体の中央部の3mmの厚み部分を研磨によって粉状として採取して内部領域の試料とし、赤外吸収法酸素分析によってこれらの試料の酸素量を測定し、その比を算出した。結果は表2に示した。
Figure 2010264574
Figure 2010264574
さらに、得られた窒化珪素質焼結体からなる切削工具を用いて、下記条件により切削性能を評価した。
被削材:FCD−450 ブロック材
切削速度:500m/分
送り量:0.2mm/rev
切り込み量:2.0mm
切削条件:乾式切削
評価項目:10パス加工後、切刃のフランク摩耗量とチッピング状態を顕微鏡観察により確認した。
結果は表3に示した。
Figure 2010264574
表1〜3に示した結果によれば、本発明の範囲内の試料No.1〜5はいずれも摩耗量が小さく刃先のチッピングの少ない切削性能を示した。これに対して、本発明の範囲外の試料である試料No.6〜8は耐チッピング性が悪いものであった。
1 工具(スローアウェイチップ)
2 すくい面
3 逃げ面
4 切刃
5 ノーズ
σ11方向
すくい面に平行でかつ、すくい面の中心から測定点に最も近いノーズに向かう方向
σ22方向
すくい面に平行でかつσ11方向に垂直な方向

Claims (3)

  1. 窒化珪素を主体として、RE元素化合物(ただし、REは希土類元素の少なくとも一種の元素)を含む窒化珪素質焼結体から構成され、すくい面と逃げ面との交差稜線部を切刃とし、隣接する2つの前記逃げ面間に位置する前記切刃にノーズを形成した切削工具において、
    前記すくい面のノーズにて2D法で残留応力を測定した際、前記すくい面に平行でかつ該すくい面の中心から測定点に最も近いノーズに向かう方向についての残留応力σ11が圧縮応力で10〜30MPa(σ11=−10〜−30MPa)であり、前記すくい面に平行でかつ前記σ11方向と垂直な方向についての残留応力σ22が圧縮応力で10MPa以下(σ22=−10〜0MPa)である切削工具。
  2. 前記窒化珪素質焼結体のすくい面における算術平均粗さ(Ra)が0.2〜0.6μmである請求項1記載の切削工具。
  3. 前記窒化珪素質焼結体がMgを含有するとともに、すくい面の表面におけるMg濃度が焼結体全体のMg濃度に対して60〜90質量%の比率で存在する請求項1または2記載の切削工具。
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