JP2010254817A - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリ塩化ビニルと同等の柔軟性を備え、難燃性、耐油性および機械的特性にも優れ、かつ、ノンハロゲン・ノンアンチモンである難燃性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)エチレン共重合体、(B)ポリエチレン、および(C)リン酸またはポリリン酸とトリアジン環含有アミン化合物またはアンモニアとを反応させて得られる有機リン酸塩化合物を含み、前記成分(A)80〜95質量%と成分(B)5〜20質量%との合計100質量部に対し、前記成分(C)が30〜60質量部含まれることを特徴とする難燃性樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、難燃性樹脂組成物およびそれを用いて得られる電線保護チューブに関する。
自動車用等のワイヤーハーネスに用いられる電線保護チューブは、被覆電線を束ねて所望の長さおよび形状とするために用いられるものであり、その原材料となる樹脂組成物には、被覆電線のチューブへの組込作業やハーネスの引き回しのための高度な柔軟性と伸びが求められる。
従来は、そのベース樹脂として軟質ポリ塩化ビニルが汎用されていたが、ハロゲンフリー材料への要請が高まり、ポリプロピレン等のオレフィン系エラストマーなどへの代替が提案されている(特許文献1)。特許文献1には、ポリプロピレン樹脂とプロピレン−エチレンブロック共重合体とを含む樹脂成分に、臭素系難燃剤と難燃助剤を配合した樹脂組成物が開示されている。エチレン−酢酸ビニル共重合体またはエチレン−エチルアクリレート共重合体と低密度直鎖状ポリエチレンとを含む樹脂成分に、臭素系または塩素系難燃剤およびアンチモン系難燃剤を配合した樹脂組成物も知られている(特許文献2)。
一方、こうした樹脂材料に配合される難燃剤にも、ノンハロゲン・ノンアンチモン化が求められており、金属水酸化物、有機リン系化合物などの利用が検討されている(特許文献3、特許文献4)。特許文献3には、ポリエチレン系ベース樹脂100質量部に対し、難燃剤として水和金属酸化物粉末が80〜250質量部、有機リン酸塩化合物が1〜30質量部それぞれ添加された、無機物高充填系難燃性樹脂組成物が開示されている。特許文献4には、プロピレン系重合体からなるベース樹脂100質量部に対し1〜150質量部の金属水和物および/またはポリリン酸アンモニウム等が配合された非架橋型難燃性樹脂組成物が開示されている。
さらに、ポリプロピレン等の合成樹脂に対し、(ポリ)リン酸メラミン等の(ポリ)リン酸塩化合物と、(ポリ)リン酸ピペラジン等の(ポリ)リン酸塩化合物と、ケイ素含有化合物と、環状有機リン酸エステル金属塩化合物とを配合した難燃性樹脂組成物も知られている(特許文献5)。
特開2002−356591号公報 特開平6−200091号公報 特開昭61−44095号公報 特開2008−189701号公報 特開2008−208269号公報
電線保護チューブ等に用いられる樹脂組成物には、柔軟性や引張伸び、および難燃性に加え、耐油性、引張強度、軽量性といった様々な特性が求められるため、こうした要求特性をバランスよく充たすことのできるノンハロゲン・ノンアンチモン系樹脂組成物の開発が望まれるが、従来技術においては様々な問題点が残されている。
具体的には、上記特許文献3および特許文献4に開示の技術では、ベース樹脂に対し多量の難燃剤が添加されるため、樹脂組成物の伸びと柔軟性の低下が回避できず、さらに比重が重くなって軽量性が損なわれるという問題があった。特許文献5に開示の技術では、柔軟性と耐油性を両立できないという問題があった。また、特許文献2に記載の樹脂組成物は、ハロゲン系およびアンチモン系難燃剤を使用するものであって、それらの難燃剤により樹脂を架橋することで耐油性、耐加熱変形性、難燃性を向上させることができるが、柔軟性については改善が求められる。
そこで本発明は、ワイヤーハーネス用の電線保護チューブとしても好適に使用可能な、ポリ塩化ビニルと同等の柔軟性を備え、難燃性、耐油性および機械的特性にも優れ、かつ、ノンハロゲン・ノンアンチモンである難燃性樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明の一側面によれば、(A)エチレン共重合体、(B)ポリエチレン、および(C)リン酸またはポリリン酸とトリアジン環含有アミン化合物またはアンモニアとを反応させて得られる有機リン酸塩化合物を含み、
前記成分(A)80〜95質量%と成分(B)5〜20質量%との合計100質量部に対し、前記成分(C)が30〜60質量部含まれることを特徴とする難燃性樹脂組成物が提供される。
本発明の別の一側面によれば、上記本発明に係る難燃性樹脂組成物を用いて形成された電線保護チューブが提供される。
本発明に係る難燃性樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」と記す場合もある。)は、ベース樹脂として特定の2種類のポリオレフィン樹脂を特定の配合比で使用し、かつ、難燃剤として特定の有機リン酸塩化合物を、ベース樹脂に対し特定の配合比で配合するようにしている。その結果、本発明によれば、難燃性、耐油性および機械的特性に優れ、かつ電線保護チューブとして使用可能な柔軟性と伸び特性を備えたノンハロゲン・ノンアンチモンの難燃性樹脂組成物を提供することができる。
本発明に係る難燃性樹脂組成物は、ベース樹脂として、(A)エチレン共重合体と(B)ポリエチレンとを使用する。
(A)エチレン共重合体は、コモノマーとしてエチレンを含む共重合体である。エチレン以外のコモノマーの種類や数について、特に限定はされないが、共重合組成中のエチレンの質量比は、耐油性を確保する観点から、80%以上であることが好ましく、充分な耐油性と柔軟性を確保する観点から95%以下であることが好ましい。共重合形式は、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合のいずれでもよいが、ランダム共重合体であることが好ましい。エチレン共重合体の分子量(質量平均分子量;GPC法により測定、標準ポリスチレン換算)については、チューブ成形性の観点から、2万〜30万程度であることが好ましい。
エチレンと共重合されるコモノマーとしては、特に限定されないが、炭素数3〜8のオレフィン、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸低級(炭素数1〜6)アルキルエステル、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられ、これらを単独で、または複数種を組み合わせて使用できる。ここで、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸とメタクリル酸の双方を意味しており、それらの誘導体の表示についても同様である。
特に、成分(C)の有機リン酸塩化合物との組み合わせの観点から、成分(A)としては(A1)酢酸ビニル含量が5〜20質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体、(A2)エチル(メタ)アクリレート含量が5〜20質量%のエチレン−エチル(メタ)アクリレート共重合体、および(A3)メチル(メタ)アクリレート含量が5〜20質量%のエチレン−メチル(メタ)アクリレート共重合体から選ばれる1種以上の共重合体を使用することが好ましい。成分(C)の難燃剤を配合するベース樹脂としてこれらの共重合体を選択することにより、様々な特性をより一層バランスよく実現できるとともに、より高度な柔軟性を備えた樹脂組成物を得ることができる。
(B)ポリエチレンは、エチレンのホモポリマーである。その分子量(質量平均分子量;GPC法により測定、標準ポリスチレン換算)は、特に限定はされないが、チューブ成形性の観点から、2万〜30万程度であることが好ましい。
ポリエチレンは、柔軟性、および耐油性の観点から低密度ポリエチレンであることが好ましい。ここで、低密度ポリエチレンとは、密度が0.93g/cm以下のものを意味する。密度の下限値については、特に限定はされないが、0.89g/cm以上であることが好ましく、0.90g/cm以上であることがより好ましく、0.91〜0.93g/cmのものが一層好ましい。
ポリエチレンは枝分れのない直鎖状のポリマーであってもよいし、枝分れのあるポリマーであってもよい。
本発明に係る樹脂組成物は、柔軟性、および耐油性の観点から、成分(A)と(B)を、(A)を80〜95質量%、成分(B)を5〜20質量%の割合で使用する。成分(A)の割合が多すぎると耐油性が低下し、電線を充分に保護できない恐れがあり、成分(B)の割合が多すぎると柔軟性が低下し、ワイヤーハーネス組みあげ時に配策しづらくなる恐れがあるため好ましくない。
本発明に係る樹脂組成物は、この成分(A)と(B)を必須のベース樹脂とするが、本発明の効果を阻害しない範囲内で、これら以外の樹脂を含んでいてもよい。その他の樹脂としてはたとえば、エチレン共重合体およびポリエチレン以外のポリオレフィン樹脂(ポリプロピレン、プロピレン・ブテン−1共重合体、ポリ1−ブテン、ポリ1−ペンテン、ポリ4−メチルペンテン−1、ポリブタジエン、ポリイソプレン等)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブタジエンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、石油樹脂系炭化水素(石油樹脂、水添石油樹脂、テルペン樹脂、水添テルペン樹脂等)、芳香族系ビニル系ゴム(スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−プロピレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、水添スチレン−ブタジエンゴム等)が挙げられ、これらの複数種を併用してもよい。
これら他の樹脂を添加する場合は、成分(A)と(B)の合計100質量部に対して、100質量部以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは40重量部以下の範囲で配合することができる。
難燃剤としては、(C)リン酸またはポリリン酸とトリアジン環含有化合物またはアンモニアとを反応させて得られる有機リン酸塩化合物を配合する。
ポリリン酸は、直鎖状の縮合リン酸であり、その繰り返し数nは特に限定はされないが、2〜100程度であることが好ましい。
トリアジン環含有アミン化合物は、トリアジン環に1以上のアミノ基が置換したトリアジン誘導体であれば限定されないが、置換アミノ基は第1級アミン(HN−)であることが好ましい。
より具体的には、有機リン酸塩化合物として、下記一般式(1)で示される化合物を用いることが好ましい。
Figure 2010254817
上記一般式(1)において、nは1〜100の数(異なる縮合数のポリリン酸を含む場合の平均値)であり、pは0<p≦n+2を満たす数であり、Xはアンモニアまたは下記一般式(2)で表されるトリアジン誘導体である。
Figure 2010254817
一般式(2)中、ZおよびZはそれぞれ独立に、−NR基(RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシメチル(メチロール)基、または炭素原子数1〜6のアルキル基である。)、水酸基、メルカプト基、フェニル基、ビニル基、炭素原子数1〜10のアルキル基、および炭素原子数1〜10のアルコキシ基からなる群より選ばれる基である。ここで、アルキル基およびアルコキシ基は、それぞれ、直鎖型、分岐型のいずれでもよい。
一般式(2)で示される化合物としては、たとえば、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、アクリルグアナミン、2,4−ジアミノ−6−ノニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ハイドロキシ−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4,6−ジハイドロキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−エトキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−プロポキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−イソプロポキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メルカプト−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4,6−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
有機リン酸塩化合物の反応方法と条件については、特に限定はされず、たとえば、リン酸またはポリリン酸とトリアジン環含有化合物またはアンモニアとを塩酸等の酸を加えて酸性下で反応させ、アルカリにより中和させることで容易に得ることができる。
好ましい有機リン酸塩化合物として、より具体的には、オルトリン酸(n=1)メラミン塩、ピロリン酸(n=2)メラミン塩、三リン酸(n=3)メラミン塩、nが4以上のポリリン酸メラミン塩、オルトリン酸アンモニウム塩、ピロリン酸アンモニウム塩、三リン酸アンモニウム塩、nが4以上のポリリン酸アンモニウム塩等を例示することができる。これらの有機リン酸塩化合物は、複数種を組み合わせて使用してもよい。
ベース樹脂成分(A)と(B)の合計100質量部に対し、難燃剤(C)は、充分な難燃性能を確保する観点から30質量部以上含まれ、引張強度およびチューブ成形性を確保する観点から60質量部以下含まれることが好ましく、35〜45質量部であることがより好ましい。
本発明に係る樹脂組成物は、上記成分(A)、(B)、(C)に加え、その他の成分を任意に含むことができる。
好ましい実施態様において、さらに(D)シリコーンポリマー、および(E)脂肪族カルボン酸またはその金属塩のうちの少なくとも一方を含むことができる。これらの成分(D)および/または(E)を含むことにより、樹脂組成物の成形性を良好にすることができる。より詳細には、押出成形時の樹脂付着物(メヤニ)の発生とメルトフラクチャーによる外観不良を抑制することができる。こうした外観不良抑制効果をより高めるために、この成分(D)と(E)は併用されることが好ましい。
(D)シリコーンポリマーは、主鎖の繰り返し構造が(SiO)nでありケイ素の置換基として有機基を有する重合体である。その重合度、側基の種類、橋かけの程度などは特に限定されず、シリコーンオイル、シリコーンゴム、または固体状のシリコーン樹脂(ケイ素樹脂)などを含む概念であるが、ブリードアウトの抑制および樹脂組成物の成形性確保の観点からシリコーン樹脂を使用することが好ましい。シリコーン樹脂は、シラノール基、エポキシ基、アミノ基、カルボキシ基等により変性された変性シリコーン樹脂であってもよい。
成分(D)の配合量は、成分(A)と(B)の合計100質量部に対し、0.3〜4質量部であることが好ましい。この範囲を超えて成分(D)が多量に配合されると、それが表面にブリードアウトして外観不良を引き起こす恐れがある。
(E)脂肪族カルボン酸またはその金属塩としては、炭素数2〜25の脂肪族カルボン酸またはそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等が好ましい。具体的には、ラウリル酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘニン酸、リノール酸等の高級脂肪族カルボン酸のマグネシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等が挙げられる。これらは複数種を組み合わせて使用してもよい。
成分(E)の配合量は、成分(A)と(B)の合計100質量部に対し、0.1〜10質量部であることが好ましい。この範囲を超えて成分(E)が多量に配合されると、それが表面にブリードアウトして外観不良を引き起こす恐れがある。
本発明に係る樹脂組成物は、上記成分以外に、本発明の効果を阻害しない範囲内で、通常使用される各種の添加剤、たとえば着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、帯電防止剤、抗菌剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、分散剤、滑剤、増粘剤、発泡剤、有機・無機充填材等の1種以上を必要に応じて含むことができる。さらに、上記成分(C)以外の公知のノンハロゲン・ノンアンチモン系難燃剤および/または難燃助剤を併用してもよい。
樹脂組成物の製造方法は、特に限定されず、通常の方法で各成分を混合して製造することができる。たとえば、パウダー状またはペレット状のベース樹脂成分(A)および(B)に、成分(C)の難燃剤と必要に応じてその他の任意成分(成分(D)、成分(E)、その他の樹脂、添加剤等)を添加し、タンブラーやヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、リボンフィーダー、スーパーミキサー等を用いて混合した後、単軸または多軸の押出機(好ましくは脱気ができる溶融混練装置)、ロール等により、混練温度150℃〜200℃、好ましくは150℃〜170℃で溶融混練し、ペレット等にする方法が好適である。各配合成分の添加順序は任意であり、上記例示の方法とは異なる順序で各成分を混合してもよい。さらに、他の添加剤等を高濃度に濃縮配合したマスターバッチを作成し、混合使用することもできる。
このようにして得られた難燃性樹脂組成物は、難燃性、耐油性、伸び等の機械的特性、および柔軟性に優れているため、電気・電子部品、機械部品、車両用部品、建材などの様々な用途に使用することができる。なかでも、この樹脂組成物はポリ塩化ビニルと同等の柔軟性を有するため、電線保護チューブとして好適に使用できる。
本発明に係る電線保護チューブは、上記本発明に係る樹脂組成物を用いて形成される。この電線保護チューブを自動車ワイヤーハーネス用に使用すると、被覆電線のチューブ内への組み込み作業を円滑に行なうことができ、引き回し性にも優れ、配線の容易なワイヤーハーネスを得ることができる。
電線保護チューブの製造方法、その内径や肉厚などは、特に限定されることはない。成形後の架橋方法についても、特に限定はされず、たとえば放射線照射架橋、有機過酸化物架橋、あるいはシラン架橋のいずれの方法でもよい。
放射線照射架橋の場合は、たとえば、γ線または電子線を放射線源として使用し、これらを樹脂に照射することにより分子中にラジカルが発生し、これらラジカル同士がカップリングすることにより分子間の架橋結合が形成される。有機過酸化物架橋では、樹脂組成物にベース樹脂の可塑化温度で分解しない有機過酸化物を配合しておき、成形加工と同時または成形後に高温高圧下に晒すことにより有機過酸化物が分解しラジカルが発生し、このラジカルにより分子間の架橋反応が進む。シラン架橋(水架橋)では、たとえば、ビニルシラン化合物をベース樹脂にグラフト付加反応させた後、このグラフトマーにシラノール縮合触媒を添加し成形加工し、水分雰囲気下に晒すことにより、グラフト末端のアルコキシシラン同士が加水分解し脱アルコールして、分子間の架橋結合が形成される。
以下に、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例および比較例>
表に示す配合比で、ベース樹脂(エチレン共重合体およびポリエチレン)に対し、難燃剤(ポリリン酸メラミン)、酸化防止剤、シリコーンポリマー、およびステアリン酸マグネシウムを配合し、ヘンシェルミキサーで予備混合した。
得られた混合物を、ベント付37mmψ押出機で溶融混練し、ストランドカットによってペレット化した。さらに、このペレットを用いて、37mmψ押出機によりダイス温度170℃、線速35m/分で押出成形して、肉厚0.5mm、内径10mmのチューブを得た。架橋は、電子線照射架橋法により、印加電圧750kV、160kGyの条件で行なった。
使用した成分は次のとおりである。
エチレン共重合体EVA:三井デュポンポリケミカル(株)製「エバフレックスEV460」(エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル含有量19%)
エチレン共重合体EMA:三井デュポンポリケミカル(株)製「エルバロイ1218AC」(エチレン−メチルアクリレート共重合体、メチルアクリレート含有量18%)
低密度ポリエチレン:(株)プライムポリマー製「ミラソン3530」(密度0.924g/cm
直鎖状低密度ポリエチレン:(株)プライムポリマー製「エボリューSP2030」(密度0.922g/cm
ポリリン酸メラミン:(株)ADEKA製「アデカスタブFP−2200」
ヒンダードフェノール系酸化防止剤:(株)ADEKA製「アデカスタブAO−60」
イオウ系酸化防止剤:(株)ADEKA製「アデカスタブAO−412S」
シリコーンポリマー:東レ・ダウコーニング(株)製「シリコーンコンセントレートBY27−002」
ステアリン酸マグネシウム:栄伸化成(株)製「EMS−6P」
Figure 2010254817
Figure 2010254817
得られたチューブを試験片として次の試験を行なった。評価結果を併せて表に示す。
<引張強度>
JIS K 7161に準拠し、試験片としては1mm厚プレスシートを、ダンベルで3号型に打抜いたものを使用した。引っ張り速度は50mm/分とした。引張強度15MPa以上を○、10MPa以上15MPa未満を△、10MPa未満を×として評価した。
<引張伸び>
JIS K 7161に準拠し、試験片としては1mm厚プレスシートを、ダンベルで3号型に打抜いたものを使用した。引っ張り速度は50mm/分とした。伸び率200%以上を○、150%以上200%未満を△、150%未満を×として評価した。
<耐油性>
試験片(試験片は1mm厚プレスシートを、ダンベルで3号型に打抜いて使用)を50℃に加熱された試験油(エンジンオイル:灯油=1:1の混合油)に20時間浸漬した。浸漬後の試験片をJIS K 7161に準拠し、引張強度を測定した。引っ張り速度は50mm/分とした。引張強度残率を測定し、70%以上を○、60%以上70%未満を△、60%未満を×として評価した。
<難燃性>
FMVSS No.302の水平燃焼速度試験を行なった。これは、試験片(350×100×0.5mm)を水平に保持し、38mm炎を15秒間接炎し、A標線からB標線間254mmに対する燃焼速度により判定を行う試験である。標線前に自己消化したものを○、燃焼したものを×として評価した。
<柔軟性>
JIS K 7215に準拠した。試験片は、6.3mm厚にプレスしたシートを用いた。してショアD硬度を測定した。硬度40未満を○、40以上45未満を△、45以上を×として評価した。ポリ塩化ビニルと同等の柔軟性とは、ショアD硬度が40未満であることを意味する。
<外観およびブリード>
チューブを肉眼で観察し、外観が良好なものを○、不良なものを×として評価した。また、60℃でのブリード試験(成形シートを60℃、65%RHの条件で1週間放置し、樹脂添加剤の成形シート表面への移行を観察)を行なった結果、ブリードの発生が見られないものを○、若干のブリードの発生が認められるものを△、著しくのブリードの発生が認められるものを×として評価した。
実施例のチューブはいずれも、評価したすべての特性に優れていることが確認された。
これに対し、成分(A)と成分(B)の配合バランスまたは成分(C)の配合量が適切ではない比較例のチューブは、いずれかの特性が不良となることが判明した。

Claims (4)

  1. (A)エチレン共重合体、(B)ポリエチレン、および(C)リン酸またはポリリン酸とトリアジン環含有アミン化合物またはアンモニアとを反応させて得られる有機リン酸塩化合物を含み、
    前記成分(A)80〜95質量%と成分(B)5〜20質量%との合計100質量部に対し、前記成分(C)が30〜60質量部含まれることを特徴とする難燃性樹脂組成物。
  2. 前記成分(A)が、(A1)酢酸ビニル含量が5〜20質量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体、(A2)エチル(メタ)アクリレート含量が5〜20質量%のエチレン−エチル(メタ)アクリレート共重合体、および(A3)メチル(メタ)アクリレート含量が5〜20質量%のエチレン−メチル(メタ)アクリレート共重合体からなる群から選ばれる1種以上の共重合体であり、
    前記成分(B)が、密度0.93g/cm以下の低密度ポリエチレンであり、かつ、
    前記成分(C)が、下記一般式(1)で表される有機リン酸塩化合物である、請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
    Figure 2010254817
    (一般式(1)中、nは1〜100の数、pは0<p≦n+2を満たす数、Xはアンモニアまたは下記一般式(2)で表されるトリアジン誘導体である。
    Figure 2010254817
    一般式(2)中、ZおよびZはそれぞれ独立に、−NR基(RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、メチロール基、または炭素原子数1〜6のアルキル基である。)、水酸基、メルカプト基、フェニル基、ビニル基、炭素原子数1〜10のアルキル基、および炭素原子数1〜10のアルコキシ基からなる群より選ばれる基である。)
  3. さらに、(D)シリコーンポリマー、および(E)脂肪族カルボン酸またはその金属塩のうちの少なくとも一方を含む、請求項1または2記載の難燃性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載の難燃性樹脂組成物を用いて形成された電線保護チューブ。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014520902A (ja) * 2011-06-30 2014-08-25 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 接着剤組成物、接着テープ、及び接着構造
JP2016027159A (ja) * 2015-08-26 2016-02-18 三菱化学株式会社 難燃性ポリオレフィン樹脂組成物
JP2016224011A (ja) * 2015-06-04 2016-12-28 日本ゼオン株式会社 浸漬試験方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014520902A (ja) * 2011-06-30 2014-08-25 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 接着剤組成物、接着テープ、及び接着構造
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