以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
(実施の形態1)
<半導体装置の構造について>
本発明の一実施の形態の半導体装置を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施の形態である半導体装置1の断面図(全体断面図、側面断面図)、図2は、半導体装置1の上面図(平面図)、図3は、半導体装置1の下面図(裏面図)である。図4は、ヒートスプレッダ7および接着材層15a,15bを透視したときの半導体装置1の上面図(平面透視図)、図5は、図4において、更にスティフナリング6および接着材層14を透視したときの半導体装置1の上面図(平面透視図)である。図2〜図5のA1−A1線における半導体装置1の断面が、図1にほぼ対応する。図6は、半導体装置1の要部断面図であり、図1において、点線で囲まれた領域RE1の部分拡大図に対応する。なお、図4は、平面図であるが、図面を見やすくするために、半導体チップ3およびスティフナリング6にハッチングを付している。
図1〜図6に示される本実施の形態の半導体装置1は、半導体パッケージ形態の半導体装置である。
図1〜図6に示されるように、本実施の形態の半導体装置1は、配線基板2と、配線基板2の上面2a上に搭載された半導体チップ3と、半導体チップ3と配線基板2との間を満たす樹脂部4と、配線基板2の下面2bに設けられた複数の半田ボール5と、配線基板2の上面2aの外周に搭載されたスティフナリング6と、半導体チップ3の裏面3bおよびスティフナリング6の上面6a上に搭載されたヒートスプレッダ7とを有している。
半導体チップ3は、その厚さと交差する平面形状が矩形(四角形)であり、例えば、単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)の主面に種々の半導体素子または半導体集積回路を形成した後、ダイシングなどにより半導体基板を各半導体チップに分離して製造したものである。
半導体チップ3は、半導体素子形成側の主面である表面(第2主面)3aと、表面3aとは反対側の主面である裏面(第2裏面)3bとを有しており、半導体チップ3の表面3aには、複数のバンプ電極(突起電極、突起状電極)8が形成されている。従って、半導体チップ3において、バンプ電極8が形成された側の主面が半導体チップ3の表面3aとなる。半導体チップ3の各バンプ電極8は、半導体チップ3の内部または表層部分に形成された半導体素子または半導体集積回路に、半導体チップ3の内部配線層などを介して電気的に接続されている。バンプ電極8は、突起状電極であり、半導体チップ3を配線基板2上にフリップチップ接続するための実装用電極として機能し、例えば半田バンプまたは金バンプからなる。
複数のバンプ電極8は、半導体チップ3の表面3a全体にエリアアレイ状に配置されており、それによって、高機能化による半導体チップの端子数の増加と、半導体チップの小型化(小面積化)に対応することができるが、他の形態として、複数のバンプ電極8を半導体チップ3の表面3aの周辺部(周縁部)のみに設けることもできる。
半導体チップ3は、配線基板2の上面2aにフリップチップ実装されている。すなわち、半導体チップ3は、半導体チップ3の裏面3b側が上方を向き、半導体チップ3の表面3aが配線基板2の上面2aに対向する向きで、複数のバンプ電極8を介して、配線基板2の上面2a上に搭載(実装)されている。従って、半導体チップ3は配線基板2の上面2aにフェイスダウンボンディングされている。
半導体チップ3の表面の複数のバンプ電極8は、配線基板2の上面2aの複数のランド(端子、基板側端子、電極、導電性ランド部)9に、それぞれ接合されている。すなわち、半導体チップ3の表面の複数のバンプ電極8は、配線基板2の上面2aの複数のランド9に、それぞれ電気的かつ機械的に接続されている。従って、半導体チップ3に形成された半導体集積回路は、バンプ電極8を介して配線基板2の上面2aのランド9に電気的に接続されている。
半導体チップ3と配線基板2の上面2aとの間に、アンダーフィル樹脂としての樹脂部4が充填されている。樹脂部4により、半導体チップ3と配線基板2との熱膨張率の差によるバンプ電極8への負担を緩衝することができる。樹脂部4は、例えばエポキシ樹脂などの樹脂材料(例えば熱硬化性樹脂材料)からなり、フィラーを含有することもできる。樹脂部4のフィラーとしては、シリカなどを用いることができる。
配線基板(パッケージ基板)2は、その厚さと交差する平面形状が矩形(四角形)であり、一方の主面である上面(表面、第1主面)2aと、上面2aとは反対側の主面である下面(裏面、第1裏面)2bとを有している。配線基板2の上面2aのうち、チップ搭載領域(半導体チップ3を搭載する領域)には、半導体チップ3の表面3aにおけるバンプ電極8の配列に対応した配列で、複数のランド9(またはランド9上の突起電極)が配列(配置)している。これにより、半導体チップ3を配線基板2の上面2aにフリップチップ実装して、半導体チップ3の表面3aの複数のバンプ電極8と、配線基板2の上面2aの複数のランド9(またはランド9上の突起電極)とをそれぞれ接合することができる。なお、3aは、配線基板2の上面2aのチップ搭載領域とは、配線基板2の上面2aのうち半導体チップ3を搭載した領域、すなわち、配線基板2の上面2aのうち半導体チップ3と平面的に重なる領域に対応する。
配線基板2は、複数の絶縁体層(誘電体層)と、複数の導体層(配線層、導体パターン層)とを積層して一体化した多層配線基板(多層基板)であり、好ましくはビルドアップ法で作製することができる。配線基板2の上面2aのランド9は、配線基板2の配線(後述する引き出し用配線WR1,WR2など)やビア(後述するビアV1,V2,V3など)を介して、配線基板2の下面2bの端子10に電気的に接続されている。
図6では、4つの導体層(配線層、導体パターン層)M1,M2,M3,M4と3つの絶縁体層(ここでは絶縁層11、コア層12および絶縁層13)とが交互に積層されて配線基板2が形成されているが、積層される絶縁体層および導体層の数はこれに限定されるものではなく、必要に応じて種々変更可能である。
例えば、図6に示されるように、ガラスエポキシ系樹脂などからなる絶縁性のコア層(基材層、絶縁層)12の上面上に、コア層12に近い側から順に、導体層(配線層)M2と、ビルドアップ層である絶縁層11と、導体層(配線層)M1とが、形成(積層)されている。また、コア層12の下面上に、コア層12に近い側から順に、導体層(配線層)M3と、ビルドアップ層である絶縁層13と、導体層(配線層)M4とが、形成(積層)されている。従って、配線基板2において導体層M1〜M4は、上面2a側から下面2b側に向かって導体層M1、導体層M2、導体層M3および導体層M4の順に配置されている。導体層M1,M2,M3,M4は、例えば銅(Cu)などの金属層により形成されており、それぞれ必要に応じたパターンにパターン化されている。また、絶縁層(ビルドアップ層)11,13は、例えば樹脂材料などにより形成されている。
導体層(第1配線層)M1と導体層(第2配線層)M2とは、必要に応じて、導体層M1,M2間の絶縁層11に形成されたビアV1を介して電気的に接続されている。また、導体層(第2配線層)M2と導体層(第3配線層)M3とは、必要に応じて、導体層M2,M3間のコア層12に形成されたビアV2を介して電気的に接続されている。また、導体層(第3配線層)M3と導体層(第4配線層)M4とは、必要に応じて、導体層M3,M4間の絶縁層13に形成されたビアV3を介して電気的に接続されている。
ここでビア(ビアV1,V2,V3)とは、配線基板を構成する絶縁層に形成された孔(貫通孔)であるが、孔の側壁上に導体膜(導体層、配線、ビア配線)が形成されているか、あるいは孔内が導体膜(導体層、配線、ビア配線)で埋められており、本願においては、孔に、この導体膜を含めたものをビア(またはビアホール)と呼ぶものとする。従って、配線基板を構成する絶縁層に形成されたビアは、その絶縁層の上下両面の導体層の間を、ビアを構成する孔の側壁上または孔内の導体膜を介して電気的に接続するように機能することができる。
なお、図6において、ビアV1,V2,V3は、ビアV1,V2,V3を構成する各孔内が導体膜で埋められた場合が示されているが、他の形態として、例えば、コア層12に形成されたビアV2は、ビアV2を構成する孔を導体膜で完全に埋めた状態にせずとも、ビアV2を構成する孔の側壁上に導体膜が形成された状態とすることもできる。
配線基板2が有する複数の導体層M1〜M4のうちの最上層の導体層M1により、複数のランド9と複数の引き出し用配線(配線)WR1とが配線基板2の上面2aに形成されている。従って、ランド9と引き出し用配線WR1とは、導体層M1を構成する同じ導電体材料で同層に形成されている。ランド9は、半導体チップ3のバンプ電極8が接続するための端子(基板側端子、電極)、すなわちフリップチップ接続用の端子として機能する。各引き出し用配線WR1は、その一端が各ランド9に一体的に接続されており、配線基板2の上面2aにおいて、ランド9が密集して配列した領域の外部にランド9を引き出す(引き回す)ための配線として機能することができる。配線層M1の引き出し用配線WR1と配線層M2の後述の引き出し用配線WR2は、配線基板2の上面2aのランド9と配線基板2の下面2bの端子10(およびその上に形成された半田ボール5)との間を電気的に接続するための配線であり、信号の入力または出力を担う信号配線でもある。
配線基板2の最上層(上面2a側の最上層、最表面層)には、絶縁層からなるソルダレジスト層(半田レジスト層、絶縁層、絶縁膜)SR1が形成されており、ランド9は、ソルダレジスト層SR1の開口部から露出されている。一方、引き出し用配線WR1は、ソルダレジスト層SR1で覆われている。すなわち、配線基板2の上面2aにおいて、絶縁層11上に、ランド9以外の導体層M1を覆うように、ソルダレジスト層SR1が形成されているが、ランド9はソルダレジスト層SR1の開口部から露出されている。このため、導体層M1に設けられた後述の引き出し用配線WR1、ランド16および導体パターンCP1は、ソルダレジスト層SR1で覆われている。ソルダレジスト層SR1を設けることで、ランド9以外の導体層M1が露出して短絡するのを防止することができる。ソルダレジスト層SR1は、ランド9以外の導体層M1(引き出し用配線WR1を含む)の保護膜として機能することもできる。また、ランド9のソルダレジスト層SR1の開口部から露出される部分上にめっき膜やバンプ電極(例えば半田バンプ)を形成することもでき、これにより、ランド9(またはランド9上のバンプ電極)とバンプ電極8との接合をより的確に行えるようになる。
また、配線基板2が有する複数の導体層M1〜M4のうちの最下層の導体層M4により、複数の端子(外部接続用端子、電極、ランド、導電性ランド部)10が配線基板2の下面2bに形成されている。従って、端子10は、導体層M4を構成する導電体からなる。端子10は、半導体装置1の外部端子(外部接続用端子)としての半田ボール5を接続(配置)するための端子として機能する。配線基板2の最下層(下面2b側の最上層)には、絶縁層からなるソルダレジスト層(半田レジスト層、絶縁層、絶縁膜)SR2が形成されており、端子10は、ソルダレジスト層SR2の開口部から露出されている。また、端子10のソルダレジスト層SR2の開口部から露出される部分上にめっき膜または半田コートを形成することもでき、これにより、端子10と半田ボール5との接合をより的確に行えるようになる。
配線基板2の下面2bにおいて、複数の端子10は例えばアレイ状に配置されており、各端子10には、外部電極として半田ボール(ボール電極、突起電極、突起状電極)5が接続(形成)されている。このため、図3に示されるように、配線基板2の下面2bに複数の半田ボール5が、例えばアレイ状に配置されている。半田ボール5は、半導体装置1の外部端子(外部接続用端子)として機能することができる。配線基板2の上面2aの複数のランド9と配線基板2の下面2bの複数の端子10とは、配線基板2の導体層M1〜M4およびビアV1〜V3を介して電気的に接続されているので、配線基板2の上面2aの複数のランド9と配線基板2の下面2bの複数の半田ボール5とは、導体層M1〜M4およびビアV1〜V3を介して電気的に接続されている。従って、半導体チップ3の各バンプ電極8は、配線基板2の上面2aの各ランド9に接合され、更に、配線基板2の導体層M1〜M4およびビアV1〜V3を介して、配線基板2の下面2bの各半田ボール5に電気的に接続されている。また、図3では、配線基板2の下面2b全体に複数の半田ボール5がアレイ状に配置された場合が示されているが、他の形態(変形例)として、図7に示されるように、配線基板2の下面2bの中央部には半田ボール5を配置せずに、配線基板2の下面2bの外周に沿って、単数または複数列で半田ボール5を配置することもできる。
スティフナリング(補強部材、リング部材、枠体、補強枠、補強用リング)6は、配線基板2の上面2aの外周に、半導体チップ3を囲むように、接着材層(接着材)14を介して搭載(配置、接着、固定)されている。図4にも示されるように、スティフナリング6は、リング状または枠状の部材であり、半導体チップ3から所定の距離離れて半導体チップ3を平面的に囲むように(すなわち配線基板2の上面2aに平行な平面で見たときに半導体チップ3を囲むように)、配線基板2の上面2aの外周(周縁部)に沿って配置されている。スティフナリング6は、ヒートスプレッダ7を固定するための補強用のリング部材である。
スティフナリング6は、配線基板2の上面2aの外周(周縁部)に沿って配置されているため、スティフナリング6の平面形状の外形は、配線基板2の平面形状の外形に対応している。このため、配線基板2の平面形状が矩形である場合には、スティフナリング6の平面形状は、外形および内形が矩形のリング状(枠状)である。
スティフナリング6は、その下面6bが、配線基板2の上面2aに接着材層14を介して接着されて固定され、また、その上面6aが、ヒートスプレッダ7の下面7bに接着材層15aを介して接着されている。スティフナリング6は、補強用のリング部材(補強用リング)であり、配線基板2の反り防止や、ヒートスプレッダ7の保持のために設けられている。例えば銅(Cu)または銅(Cu)合金などの金属材料により、スティフナリング6を形成することができる。スティフナリング6として樹脂材料(例えばガラスエポキシ樹脂など)を用いることもできる。スティフナリング6による配線基板2の反り防止機能の観点から、スティフナリング6は、応力に対して変形しがたい性質を有することが好ましく、また、配線基板2に比べて応力に対して変形しがたい性質を有していれば、より好ましい。
接着材14は、テープ(フィルム)型の接着材または塗布型の接着材が硬化したものであり、例えば熱硬化性樹脂などからなる。
ヒートスプレッダ(放熱用部材、放熱板)7は、スティフナリング6の上面6aに上記接着材層(接着材)15aを介して接着されるとともに、半導体チップ3の裏面3bに接着材層(接着材)15bを介して接着されている。すなわち、ヒートスプレッダ7の下面7bの中央領域が半導体チップ3の裏面3bに接着材層15bを介して接着され、ヒートスプレッダ7の下面7bの外周領域がスティフナリング6の上面6aに接着材層15aを介して接着され、それによって、ヒートスプレッダ7は半導体チップ3およびスティフナリング6の両者に固定されて保持された状態となっている。ヒートスプレッダ7は、半導体チップ3で生じた熱をヒートスプレッダ7に伝導(放熱)させることで、半導体チップ3の温度上昇を抑制したり、更には、このヒートスプレッダ7から半導体装置1の外部に放熱するように機能する。従って、ヒートスプレッダ7は、放熱用部材(放熱板)であり、例えば板状の放熱板である。
ヒートスプレッダ7は、熱伝導性が高い金属で形成されることが好ましく、例えば銅(Cu)または銅(Cu)合金により形成することができる。また、スティフナリング6とヒートスプレッダ7とを同じ材料(例えば銅など)により形成しておけば、スティフナリング6とヒートスプレッダ7との熱膨張率が同じになるため、より好ましく、これにより、ヒートスプレッダ7の反りなどを抑制または防止することができる。
本実施の形態とは異なり、半導体装置1にスティフナリング6を設けなかった場合には、半導体装置1が反る傾向があり、実装基板への実装時に実装不良を起こすことがある。特に、半導体チップ3を配線基板2にフリップチップ実装した場合には、配線基板2全体をモールド樹脂で覆う構成ではないため、配線基板2が反りやすい。また、多端子化に伴い、配線基板2の外形寸法が大きくなると、配線基板2が反りやすくなる。配線基板2が反ると、半導体装置1の実装基板への半田ボール5を介した実装状態に悪影響を与える可能性がある。また、半導体装置1にスティフナリング6を設けなかった場合には、ヒートスプレッダ7は半導体チップ3のみに接着して保持されることになるため、半導体チップ3にかかる負荷が大きくなり、半導体チップ3の配線基板2上への実装状態に影響を与える可能性がある。
それに対して、本実施形態のように、配線基板2の上面2aにスティフナリング6を配置することで、このスティフナリング6により配線基板2が反るのを抑制または防止することができ、半田ボール5のコプラナリティーが向上し、実装基板への半導体装置1の実装性および実装信頼性を向上させることができる。また、ヒートスプレッダ7は、半導体チップ3の裏面3bとスティフナリング6の上面6aとの両方に接着されて固定されることで、半導体チップ3の裏面3bのみに接着される場合に比べて、外部からの機械的または熱的なストレスによる半導体チップ3にかかる負荷を小さくできることがあるため、半導体チップ3の配線基板2上への実装信頼性を向上させることができる。
<課題について>
しかしながら、本発明者が上記スティフナリング6のようなスティフナリングを配線基板の上面上に接着材で接着した構成を有する半導体装置について検討したところ、次のような課題が生じることが分かった。
すなわち、半導体チップを搭載した配線基板の上面外周に半導体チップを囲むようにスティフナリングを接着材で接着した半導体装置において、厳しい条件の高温高湿バイアス試験を行った。スティフナリングの直下の領域において、配線基板の配線を構成するCuのマイグレーションが生じやすいことが、本発明者の検討により分かった。これは、厳しい条件の高温高湿バイアス試験中に、スティフナリングと配線基板とを接着している接着材に含まれていた不純物イオン(例えば負イオンであるCl−,Br−,F−,SO4 2−等)が、配線基板の最上層のソルダレジスト層中に拡散することに起因している。接着材からの不純物イオンが拡散した部分のソルダレジスト層は、他の領域のソルダレジスト層に比べて、ソルダレジスト層に接する配線からソルダレジスト層へ、金属が溶出しやすい状態となる。このため、接着材からの不純物イオンが拡散した部分のソルダレジスト層の下に位置してこのソルダレジスト層に接している配線から、配線を構成する金属(ここではCu)がソルダレジスト層側へ溶出しやすくなり、Cuマイグレーションの発生が促進されてしまう。Cuマイグレーションの発生が促進されるのは、スティフナリングを接着する接着材からの不純物イオンが拡散したソルダレジスト層に接している配線である。配線基板において、配線を構成するCuのマイグレーションが促進されると、配線間のショート(短絡)不良またはオープン(断線)不良を招く可能性があるため、半導体装置の信頼性を低下させてしまう。この現象は、85℃/85%RHの高温高湿バイアス試験では見られなかったが、110℃/85%RHや130℃/85%RHのような厳しい条件下で行う高温高湿バイアス試験で顕在化する。近年、車載用途の半導体装置を始め、半導体装置の更なる高信頼性化への要求が高く、上述のような厳しい条件下で行う高温高湿バイアス試験にも耐え得る高信頼性の半導体装置が求められている。
そこで、スティフナリングを配線基板に接着する接着材を改良することで、接着材からソルダレジスト層への不純物イオンの拡散を防止し、それによって、Cuのマイグレーションが促進される上記現象を防止することも考えられるが、接着材は、その扱いやすさや、接着力、硬化の仕方などの観点から、様々な添加剤が加えられており、接着材の改良のみでCuのマイグレーションが促進される上記現象を防止することは、容易ではない。そこで、本実施の形態では、配線基板2の構造を次のように工夫することで上記現象に対策している。
<配線基板の特徴について>
図8は、本実施の形態の半導体装置1に用いられている配線基板2の要部平面図であり、上記図4および図5において点線で囲まれた領域RE2にほぼ相当する領域の配線基板2の平面図が示されている。なお、図8では、上記ソルダレジストSR1を透視し、絶縁層11上に形成されている導体層M1のレイアウトが示されている。実際には、図8に示される領域の導体層M1は、ソルダレジストSR1で覆われている。なお、図8は、平面図であるが、図面を見やすくするために、導体層M1にハッチングを付してある。従って、図8において、ハッチングを付されている領域が、導体層M1がある領域、ハッチングが付されていない領域が、導体層M1が無い領域に対応する。但し、図8では、図面を見やすくするために、引き出し用配線WR1およびランド16と、導体パターンCP1とで、ハッチングを変えてあり、これは他の平面図においても同様である。また、図9は、図8と同じ平面領域の配線基板2の要部平面図であるが、上記ソルダレジストSR1だけでなく、更に導体層M1および絶縁層11を透視し、コア層12上に形成されている導体層M2のレイアウトが示されている。なお、図9は、平面図であるが、図面を見やすくするために、導体層M2にハッチングを付している。従って、図8には、導体層M1のパターンが示され、図9には、導体層M2のパターンが示されているが、理解を簡単にするために、図8では、導体層M1よりも下層の導体層M2に設けられた引き出し用配線WR2の平面位置を点線で示し、図9では、導体層M2よりも上層の導体層M1に設けられた引き出し用配線WR1の平面位置を点線で示してある。図10は、図8と同じ平面領域の配線基板2の要部平面図であるが、図8において、接着材層14が配置される平面領域を、太線のハッチングを付して示したものに対応する。また、図8と同様に、図10においても、導体層M2に設けられた引き出し用配線WR2の平面位置を点線で示してある。また、本実施の形態では、スティフナリング6の下面6b全体が接着材層14を介して配線基板2の上面2aに接着されているため、図10において、接着材層14が配置される平面領域とスティフナリング6が配置される平面領域とは、ほぼ同じである。
図1、図6および図8に示されるように、配線基板2を構成する複数の導体層M1〜M4のうちの最上層の導体層M1は、複数のランド9、複数の引き出し用配線WR1、複数のランド16および導体パターンCP1を有している。
配線基板2の上面2aにおいて、チップ搭載領域(搭載された半導体チップ3の直下の領域)には、半導体チップ3の複数のバンプ電極8を接続するための複数のランド9が配置されているが、これら複数のランド9は、配線基板2の下面2bの複数の端子10(および複数の端子10上にそれぞれ形成される複数の半田ボール5)に電気的に接続させる必要がある。
配線基板2の上面2aでは、フリップチップ接続用の端子であるランド9は、チップ搭載領域に密集して配列しているのに対して、配線基板2の下面2bでは、上面2aにおいてランド9が配列する面積よりも広い面積(すなわち配線基板2の下面2b全体)に渡って、端子10(および端子10上に形成された半田ボール5)が配列している。このため、配線基板2の上面2aのランド9と下面2bの端子10とは平面的に重なる位置には配置されていないため、配線基板2に設けられたビア(ここではビアV1〜V3)のみで配線基板2の上面2aのランド9と下面2bの端子10とを電気的に接続することはできない。従って、配線基板2の上面2aのランド9を下面2bの端子10(半田ボール5)に電気的に接続するには、配線層M1〜M4のうちの少なくとも1層以上に設けた引き出し用配線(配線パターン)で、ランド9を配線基板2の上面2aおよび下面2bに平行な方向に引き回す(引き出す)必要がある。
このため、配線基板2の上面2aにおいて、ランド9をランド9と同層の引き出し用配線WR1で、半導体チップ3の直下でランド9が密集して配列した領域(ランド配列領域)から離れた位置に引き出してから、ランド配列領域から離れた位置で、ビアV1を介して導体層M1よりも下層の導体層M2に電気的に接続し、更にビアV2,V3および導体層M3,M4を介して、導体層M4からなる端子10に電気的に接続する必要がある。なお、引き出し用配線WR1およびランド9は、導体層M1に設けられており、ランド9とそれに接続された引き出し用配線WR1とは一体的に形成されている。
図8に示される領域の範囲外であるため、図8には示されていないが、図6の断面図からも分かるように、引き出し用配線WR1の各々は、チップ搭載領域(搭載された半導体チップ3の直下の領域)において、一端がランド9に一体的に接続されている。引き出し用配線WR1の各々の他端は、図8に示されるように、配線基板2の上面2aのうちのチップ搭載領域(半導体チップ3の直下の領域)よりも外周側(外側)の領域に配置されたランド16に一体的に接続されている。すなわち、配線基板2の上面2aにおいて、チップ搭載領域に配置されたランド9と、チップ搭載領域よりも外周側の領域に配置されたランド16との間を、引き出し用配線WR1で繋いで電気的に接続しているのである。
ランド9および引き出し用配線WR1と同様に、ランド16も導体層M1に設けられているが、ランド16はフリップチップ接続用の端子ではなく、ランド16は上記ソルダレジスト層SR1で覆われている。ランド16の平面形状は、例えば円形状であり、その直径は、引き出し用配線WR1の幅よりも大きい。ランド16を引き出し用配線WR1の一部とみなすこともできる。ランド16は、そのランド16の下(直下)に配置されたビアV1を介して、導体層M2に電気的に接続され、更に、ビアV2,V3および導体層M3,M4を介して配線基板2の下面2bの端子10およびその上に接続された半田ボール5に電気的に接続されている。
配線基板2の上面2aにおいて、引き出し用配線WR1(ランド16も含む)の周囲に、固定電位が供給される導体パターン(導体プレーン)CP1が設けられている。ランド9,16および引き出し用配線WR1と同様に、導体パターンCP1も導体層M1に設けられている。導体パターンCP1に供給される固定電位は、好ましくは、電源電位またはグランド電位である。この導体パターンCP1は、配線基板2の下面2bに配置された複数の半田ボール5のうちの、電源電位またはグランド電位用の半田ボール5に、ビアV1,V2,V3および導体層M2,M3,M4(端子10)を介して電気的に接続されている。半導体装置1を実装基板(図示せず)に実装した際には、実装基板の電源電位またはグランド電位用の端子に、この電源電位またはグランド電位用の半田ボール5を接続する。これにより、電源電位またはグランド電位用の半田ボール5から、導体パターンCP1に、電源電位またはグランド電位を供給することができる。
導体パターンCP1は、配線基板2の上面2a全体に形成されており、配線基板2の上面2aの過半を占めているが、ランド9,16および引き出し用配線WR1には接触しないように、ランド9,16および引き出し用配線WR1から所定の距離だけ離間して形成されている。導体層M1において、固定電位が供給される導体パターンCP1を引き出し用配線WR1の周囲に、引き出し用配線WR1を囲むように設けたことで、引き出し用配線WR1を通る信号の安定性を高めることができる。なお、引き出し用配線WR1およびランド16と同様に、導体パターンCP1もソルダレジスト層SR1で覆われている。また、配線基板2の上面2aにおけるチップ搭載領域(半導体チップ3の直下の領域)には、ランド9が密集しているため、導体パターンCP1を形成しなくともよい。
また、導体パターンCP1は、ランド9,16および引き出し用配線WR1に比べて大面積のパターンであり、配線基板2の上面2a全体(チップ搭載領域を除く)に渡って形成されている。このため、配線基板2作製時に、導体層M1を通して、絶縁層11,13やコア層12から発生したガスが抜けやすいように、導体パターンCP1には、多数(複数)のデガスホール(ガス抜き用の孔)DHが形成されている。デガスホールDHは、導体パターンCP1の平面内において、導体パターンCP1(導体層M1)が無い部分であり、その平面形状は、例えば円形状である。導体パターンCP1には、デガスホールDHは設けた方がより好ましいが、ガス抜きに問題なければ、デガスホールDHの形成を省略することもできる。
スティフナリング6を配線基板2の上面2a上に接着材層14を介して接着した場合には、接着材層14は配線基板2の最上層であるソルダレジスト層SR1上に配置されるが、上述したように、厳しい条件の高温高湿バイアス試験において、この接着材層14中に含まれる不純物イオンが、接着材層14に接している領域のソルダレジスト層SR1中に拡散する。接着材層14から不純物イオンが拡散した領域のソルダレジスト層SR1に導体層M1が接していると、この導体層M1からソルダレジスト層SR1に導体層M1を構成する金属(ここではCu)が溶出しやすい。そこで、本実施の形態では、図8と図10を比較すると分かるように、接着材層14の下に位置して接着材層14から不純物イオンが拡散し得る領域のソルダレジスト層SR1の下には、引き出し用配線WR1およびランド16を配置しないようにしている。
すなわち、本実施の形態では、配線基板2の上面2aにおいて、引き出し用配線WR1およびランド16がスティフナリング6の直下の領域には存在しないようにしており、それによって、配線基板2の上面2aにおいて、引き出し用配線WR1およびランド16が接着材層14の直下の領域には存在しないようにすることができる。換言すれば、配線基板2の上面2aに設けられた複数の引き出し用配線WR1は、スティフナリング6(接着材層14)の直下の領域よりも内周側の領域に延在しており(形成されており)、スティフナリング6(接着材層14)の直下の領域には延在していない(形成されていない)。また、ランド16は、スティフナリング6(接着材層14)の直下の領域よりも内周側の領域に配置されており、スティフナリング6(接着材層14)の直下の領域には配置されていない。
なお、スティフナリング6の直下の領域とは、配線基板2の上面2aに平行な平面で見て、スティフナリング6と平面的に重なる領域に対応する。また、接着材層14の直下の領域とは、配線基板2の上面2aに平行な平面で見て、接着材層14と平面的に重なる領域に対応する。また、スティフナリング6の直下の領域よりも内周側の領域とは、配線基板2の上面2aに平行な平面で見て、スティフナリング6と平面的に重なる領域よりも内側(半導体チップ3の中心に近い側)の領域に対応する。また、接着材層14の直下の領域よりも内周側の領域とは、配線基板2の上面2aに平行な平面で見て、接着材層14と平面的に重なる領域よりも内側(半導体チップ3の中心に近い側)の領域に対応する。また、スティフナリング6の直下以外の領域とは、配線基板2の上面2aに平行な平面で見て、スティフナリング6と平面的に重ならない領域に対応する。また、接着材層14の直下以外の領域とは、配線基板2の上面2aに平行な平面で見て、接着材層14と平面的に重ならない領域に対応する。
本実施の形態とは異なり、配線基板2の下面2bにおいて、スティフナリング6の直下の領域に端子10(半田ボール5)が形成されない場合には、ランド9を引き出し用配線でスティフナリング6の直下の領域まで引き回さなくとも、ランド9と端子10(半田ボール5)とを電気的に接続することが可能である。
しかしながら、本実施の形態では、図1、図3、図4および図6からも分かるように、配線基板2の下面2bにおいて、スティフナリング6の直下の領域に、複数の端子10およびそれらの上に形成された複数の半田ボール5が配置されている。すなわち、配線基板2の上面2aおよび下面2bに平行な平面で見て、スティフナリング6に平面的に重なる位置にも、端子10および半田ボール5が配置されている。このように、スティフナリング6に平面的に重なる位置にも、端子10および半田ボール5が配置されている方が、半導体装置1の多端子化や小型化(小面積化)には有利である。しかしながら、この場合、ランド9を、スティフナリング6の直下の領域に位置する半田ボール5接続用の端子10に電気的に接続するためには、フリップチップ接続用のランド9を、引き出し用配線でスティフナリング6の直下の領域まで引き回す必要がある。
そこで、本実施の形態では、ランド9を、スティフナリング6の直下の領域に位置する半田ボール5接続用の端子10に電気的に接続するために、ランド9を、引き出し用配線WR1のみでスティフナリング6の直下の領域まで引き回すのではなく、引き出し用配線WR1および引き出し用配線WR2を使って、ランド9を、スティフナリング6の直下の領域まで引き回している。すなわち、配線基板2を構成する複数の導体層M1〜M4のうちの最上層の導体層M1からなる引き出し用配線(配線)WR1は、スティフナリング6(接着材層14)の直下の領域までは延在させずに、スティフナリング6(接着材層14)の直下の領域よりも手前(ランド9側)にランド16を配置し、その代わりに、導体層M2に設けられかつビアV1を介してランド16に電気的に接続された引き出し用配線(配線)WR2を、スティフナリング6(接着材層14)の直下の領域まで延在させている。
具体的には、図6、図8〜図10からも分かるように、スティフナリング6(接着材層14)の直下の領域よりも内周側の領域に配置されたランド16の直下に、導体層M2に設けられたランド17を配置して、ランド16とランド17とをビアV1で電気的に接続し、このランド17に一端が一体的に接続された引き出し用配線WR2をスティフナリング6(接着材層14)の直下の領域まで延在させている。そして、この引き出し用配線WR2の他端を、導体層M2に設けられかつスティフナリング6(接着材層14)の直下の領域に配置されたランド18に一体的に接続している。つまり、配線基板2の導体層M2において、スティフナリング6(接着材層14)の直下の領域よりも内周側の領域に配置されたランド17と、スティフナリング6(接着材層14)の直下の領域に配置されたランド18との間を、引き出し用配線WR2で繋いで電気的に接続しているのである。
引き出し用配線WR1と引き出し用配線WR2とを電気的に接続するビアV1、すなわちランド16とランド17の間のビアV1は、ランド16の直下でランド17上に配置されているため、ランド16,17と同様、スティフナリング6(接着材層14)の直下の領域よりも内周側の領域に配置されている。ランド17およびランド18の平面形状は、例えば円形状であり、その直径は、引き出し用配線WR2の幅よりも大きい。スティフナリング6(接着材層14)の直下の領域に配置されたランド18は、そのランド18の直下に配置されたビアV2を介して導体層M3に電気的に接続され、更に、ビアV3および導体層M4を介して、スティフナリング6の直下に配置された配線基板2の下面2bの端子10およびその上に接続された半田ボール5に電気的に接続されている。ランド17,18を引き出し用配線WR2の一部とみなすこともできる。
このように、本実施の形態では、スティフナリング6の直下の領域に配置された半田ボール5を、導体層M2に設けられかつスティフナリング6の直下の領域からスティフナリング6の直下の領域よりも内周側の領域まで延在する引き出し用配線WR2と、スティフナリング6の直下の領域よりも内周側の領域に延在する引き出し用配線WR1とを経由して、ランド9に電気的に接続しているのである。
図11および図12は、本実施の形態の検討の前提となった配線基板102の要部平面図であり、それぞれ上記図8および図10に対応するものである。但し、上記図10において点線で示していたのは引き出し用配線WR2の平面位置であったが、図12において点線で示してあるのは、接着材層14の下に位置する引き出し用配線WR1の平面位置である。
図11および図12に示される本発明者が検討した配線基板102では、ランド9を、スティフナリング6の直下の領域に位置する半田ボール5接続用の端子10に電気的に接続するために、ランド9を、引き出し用配線WR1のみでスティフナリング6の直下の領域まで引き回している。すなわち、配線基板102では、最上層の導体層M1からなる引き出し用配線WR1を接着材層14の直下の領域まで延在させている。
このため、本実施の形態の配線基板2の代わりに図11および図12に示される配線基板102を使用した場合には、上述したように厳しい条件の高温高湿バイアス試験において、接着材層14中に含まれる不純物イオンが上記ソルダレジスト層SR1中に拡散すると、図12において点線で示される部分(接着材層14の直下の領域に位置する部分)の引き出し用配線WR1は、Cuのマイグレーションが発生しやすくなってしまう。このため、配線基板102を用いると、上述したように厳しい条件の高温高湿バイアス試験において、図12において点線で示される部分(接着材層14の直下の領域に位置する部分)の引き出し用配線WR1が断線したり、あるいは図12において点線で示される部分(接着材層14の直下の領域に位置する部分)の引き出し用配線WR1が、導体パターンCP1と短絡してしまう可能性がある。
それに対して、本実施の形態では、図8および図10からも分かるように、配線基板2の上面2aにおいて、接着材層14の直下の領域には、引き出し用配線WR1およびランド16は配置されていない。すなわち、配線基板2の上面2aにおいて、スティフナリング6の直下の領域には、引き出し用配線WR1およびランド16は配置されていない。このため、上述したように厳しい条件の高温高湿バイアス試験において、接着材層14中に含まれる不純物イオンが上記ソルダレジスト層SR1中に拡散したとしても、不純物イオンが拡散した部分(接着材層14の直下に位置する部分)のソルダレジスト層SR1の直下には、引き出し用配線WR1およびランド16は配置されていない。従って、引き出し用配線WR1およびランド16から上記ソルダレジスト層SR1への金属(ここではCu)の溶出を抑制または防止することができ、Cuのマイグレーションを抑制または防止することができる。このため、引き出し用配線WR1の断線や、引き出し用配線WR1と導体パターンCP1との間の短絡などを防止することができ、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
また、導体層M1よりも下層の導体層M2に設けられた引き出し用配線WR2は、スティフナリング6の直下の領域にも延在しているため、接着材層14の直下にも配置されることになるが、この引き出し用配線WR2は、ソルダレジスト層SR1には接触しておらず、ソルダレジスト層SR1と引き出し用配線WR2との間には、絶縁層11が介在している。上述したように厳しい条件の高温高湿バイアス試験を行うと、接着材層14中に含まれる不純物イオンは、ソルダレジスト層SR1中には拡散し得るが、更にソルダレジスト層SR1を通過して絶縁層11中までも拡散するのは少なく、絶縁層11において、引き出し用配線WR2に接する部分では、接着材層14中に含まれる不純物イオンの到達は少ない。このため、接着材層14の直下に導体層M2の引き出し用配線WR2が配置されていたとしても、引き出し用配線WR2を構成する金属(ここではCu)は、絶縁層11やソルダレジスト層SR1へ溶出しないため、引き出し用配線WR2の断線や、引き出し用配線WR2と後述の導体パターンCP2との間の短絡などは生じない。
また、本実施の形態では、配線基板2を構成する複数の導体層M1〜M4のうち、最上層の導体層M1でない導体層M2に設けられた引き出し用配線WR2を、接着材層14(すなわちスティフナリング6)の直下の領域から、接着材層14(すなわちスティフナリング6)の直下の領域よりも内周側の領域まで延在させている。そして、この引き出し用配線WR2と、接着材層14(すなわちスティフナリング)の直下の領域よりも内周側の領域に延在する引き出し用配線WR1とを経由して、配線基板2の下面2bの端子10(およびそれに接続された半田ボール5)を、配線基板2の上面2aのランド9に電気的に接続することができる。このため、配線基板2の上面2aのランド9に引き出し用配線WR1,WR2を経由して電気的に接続された端子10(およびその上に形成された半田ボール5)を、配線基板2の下面2bにおいて、スティフナリング6の直下の領域に配置することができる。これにより、半導体装置1の多端子化や小型化(小面積化)を図ることができる。
また、引き出し用配線WR1およびランド16は、接着材層14の直下の領域から、配線基板2の上面2aに平行な方向に100μm以上離すことが好ましい。すなわち、接着材層14の直下の領域だけでなく、接着材層14の直下の領域から配線基板2の上面2aに平行な方向に100μm以内にある領域には、引き出し用配線WR1およびランド16が配置されていないことが好ましい。換言すれば、引き出し用配線WR1およびランド16と接着材層14との間の平面距離(配線基板2の上面2aに平行な平面で見たときの距離)を、100μm以上離すことが好ましい。図10に示される間隔L1を、100μm以上(L1≧100μm)とすることが好ましいのである。
上述したように厳しい条件の高温高湿バイアス試験において、接着材層14中に含まれる不純物イオンは、ソルダレジスト層SR1中を横方向にも拡散する可能性があるが、拡散距離は数十μm以下程度と推定される。このため、引き出し用配線WR1およびランド16を、接着材層14の直下の領域から、配線基板2の上面2aに平行な方向に100μm以上離せば、引き出し用配線WR1およびランド16の直上に位置する部分のソルダレジスト層SR1には、接着材層14からの不純物は拡散できない。このため、引き出し用配線WR1およびランド16からソルダレジスト層SR1への金属(ここではCu)の溶出を更に的確に防止することができ、引き出し用配線WR1の断線や、引き出し用配線WR1と導体パターンCP1との間の短絡などを更に的確に防止することができる。従って、半導体装置の信頼性を、より向上させることができる。
図13は、配線基板2の変形例を示す要部平面図であり、上記図9に対応するものである。図9と同様、図13には、コア層12上に形成されている導体層M2のレイアウトが示されており、図13は、平面図であるが、図面を見やすくするために、導体層M2にハッチングを付し、また、導体層M2よりも上層の導体層M1に設けられた引き出し用配線WR1の平面位置を点線で示してある。
図13に示されるように、配線基板2の導体層M2においても、引き出し用配線WR2(ランド17,18を含む)の周囲に、引き出し用配線WR2(ランド17,18を含む)を囲むように、固定電位が供給される導体パターン(導体プレーン)CP2を設けることもできる。例として、この導体パターンCP2は、ビアV1を介して導体層M1の上記導体パターンCP1に電気的に接続されており、固定電位として、好ましくは電源電位またはグランド電位が供給される。導体パターンCP2は、コア層12の上面全体に形成されており、コア層12の上面の過半を占めているが、ランド17,18および引き出し用配線WR2には接触しないように、ランド17,18および引き出し用配線WR2から所定の距離だけ離間して形成されている。導体層M2において、固定電位が供給される導体パターンCP2を引き出し用配線WR2の周囲に設けたことで、引き出し用配線WR2を通る信号の安定性を高めることができる。また、導体層M1の導体パターンCP1に多数(複数)のデガスホールDHを設けたのと同様に、導体層M2の導体パターンCP2にも多数(複数)のデガスホールDH(図13では図示せず)を設けることもできる。
図14は、引き出し用配線WR2の容量結合を模式的に示す説明図である。
本実施の形態の半導体装置1においては、上記図6および図8にも示されるように、配線基板2において、固定電位が供給される上記導体パターンCP1をスティフナリング6の直下の領域にも形成している。このため、図14に示されるように、導体層M2の引き出し用配線WR2は、同層の導体パターンCP2や、下層の導体層M3の導体パターンと容量結合されるだけでなく、上層の導体層M1の導体パターンCP1とも容量結合される。このため、たとえスティフナリング6が金属材料で形成されていたとしても、スティフナリング6と引き出し用配線WR2との間には、導体パターンCP1が介在するため、導体パターンCP1が介在しない場合に比べて、スティフナリング6と引き出し用配線WR2との間の容量結合の影響を抑制することができる。
このため、配線基板2において、上記導体パターンCP1は、スティフナリング6の直下の領域にも形成することがより好ましく、これにより、配線基板2の内層配線(引き出し用配線WR2を含む)でインピーダンスを整合するように設計できるようになる。
また、導体パターンCP1は、固定電位(好ましくは電源電位またはグランド電位)が供給される導体パターンであり、スティフナリング6の直下の領域全体に形成されている。このため、たとえ、上述したように厳しい条件の高温高湿バイアス試験において、接着材層14中に含まれる不純物イオンがソルダレジスト層SR1中に拡散することで、導体パターンCP1を構成する金属(ここではCu)がソルダレジスト層SR1側に溶出したとしても、導体パターンCP1については断線や短絡などの不具合は生じないため、信頼性は低下しない。
図15は、本実施の形態の半導体装置1の変形例の要部断面図であり、上記実施の形態1の上記図6に対応するものである。図16は、図15の変形例の半導体装置1に用いられている配線基板2の要部平面図であり、上記図8に対応するものである。上記図8と同様、図16には、絶縁層11上に形成されている導体層M1のレイアウトが示されており、図16は、平面図であるが、図面を見やすくするために、導体層M1にハッチングを付し、また、導体層M1よりも下層の導体層M2に設けられた引き出し用配線WR2の平面位置を点線で示してある。
図15の変形例の半導体装置1では、図15および図16にも示されるように、配線基板2において、固定電位が供給される上記導体パターンCP1を、スティフナリング6の直下の領域よりも内周側の領域には形成するが、スティフナリング6の直下の領域には形成していない。図15の変形例の半導体装置1であっても、引き出し用配線WR1およびランド16から上記ソルダレジスト層SR1への金属(ここではCu)の溶出を抑制または防止できる効果は同様であり、引き出し用配線WR1の断線や、引き出し用配線WR1と導体パターンCP1との間の短絡などを防止することができ、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
また、本実施の形態では、ヒートスプレッダ7を用いた半導体装置1について説明したが、他の形態として、ヒートスプレッダ7を省略することもできる(この場合、接着材層15a,15bも省略される)。ヒートスプレッダ7を用いた場合には、スティフナリング6は、配線基板2の反り防止とヒートスプレッダ7の保持の機能を有しており、スティフナリング6の必要性および有用性は非常に大きいが、ヒートスプレッダ7を省略した場合であっても、スティフナリング6は、配線基板2の反り防止の機能を有するため、有用である。そして、ヒートスプレッダ7を省略した場合であっても、スティフナリング6を接着材で配線基板に接着した場合には、上述した厳しい条件の高温高湿バイアス試験においてCuのマイグレーションが促進される上記課題が生じ得るので、本実施の形態を適用することで、上記課題を解決し、半導体装置の信頼性を向上させることができる。すなわち、スティフナリング6を接着材で配線基板に接着する場合には、本実施の形態は有効である。このことは、以下の実施の形態2〜4についても同様である。
また、本実施の形態では、スティフナリング6の直下の領域からスティフナリング6の直下の領域よりも内周側の領域まで延在する引き出し用配線WR2を、導体層M2に設ける場合について説明したが、他の形態として、スティフナリング6の直下の領域からスティフナリング6の直下の領域よりも内周側の領域まで延在する引き出し用配線WR2を、導体層M3または導体層M4に設けることもできる。すなわち、導体層M1以外のいずれかの導体層M2,M3,M4に、スティフナリング6の直下の領域からスティフナリング6の直下の領域よりも内周側の領域まで延在する引き出し用配線WR2を設けることができる。このため、スティフナリング6の直下の領域に配置された半田ボール5(端子10)を、導体層M1以外の導体層M2,M3,M4のうちの1層または複数層でスティフナリング6の直下の領域からスティフナリング6の直下の領域よりも内周側の領域まで引き回し(引き出し)、これをスティフナリング6の直下の領域よりも内周側の領域に延在する引き出し用配線WR1を経由してランド9に電気的に接続することができる。
また、本実施の形態において、半導体チップ3を配線基板2の上面2aにフリップチップ実装して、半導体チップ3の表面3aの複数のバンプ電極8と配線基板2の上面2aの複数のランド9とをそれぞれ電気的に接続している。これには、半導体チップ3の各バンプ電極8を配線基板2の各ランド9に直接接続した場合だけではなく、半導体チップ3の搭載前に配線基板2の各ランド9上に突起電極(例えば半田突起電極)を設けておき、このランド9上の突起電極に半導体チップ3の各バンプ電極8を接続した場合も含むものとする。このことは、以下の実施の形態2〜4についても同様である。
(実施の形態2)
図17は、本実施の形態の半導体装置1aの断面図(全体断面図、側面断面図)、図18は、半導体装置1aの要部断面図であり、それぞれ上記実施の形態1の図1および図6に対応するものである。図19は、本実施の形態の半導体装置1aに用いられている配線基板2の要部平面図であり、上記図8に対応するものである。上記図8と同様、図19には、ソルダレジスト層SR1を透視し、絶縁層11上に形成されている導体層M1のレイアウトが示されており、図19は、平面図であるが、図面を見やすくするために、導体層M1にハッチングを付してある。実際には、図19に示される領域の導体層M1は、ソルダレジストSR1で覆われている。図20は、図19と同じ平面領域の配線基板2の要部平面図であるが、図19において、接着材層14が配置される平面領域を、太線のハッチングを付して示したものに対応しており、上記実施の形態1の上記図10に相当するものである。また、図21は、図18および図19と同じ平面領域の配線基板2の要部平面図であるが、図19において、スティフナリング6が配置される平面領域を、細線のハッチングを付して示したものに対応している。なお、図21においては、スティフナリング6の下に位置する引き出し用配線WR1の平面位置を点線で示し、スティフナリング6の下に位置する接着材層14の平面位置を破線で示しである。従って、図19〜図21は、いずれもソルダレジスト層SR1を透視しているが、図21からスティフナリング6を取り除いたものが、図20に対応し、図20から更に接着材層14を取り除いたものが、図19に対応することになる。
上記実施の形態1の半導体装置1では、スティフナリング6の直下の領域に引き出し用配線WR1が配置されないようにしていた。それに対して、本実施の形態の半導体装置1aにおいては、上記実施の形態1とは異なり、配線基板2の上面2aに設けられた複数の引き出し用配線WR1の少なくとも一部が、スティフナリング6の直下の領域に延在している(形成または配置されている)。すなわち、図19と上記図11とを比べると分かるように、本実施の形態の半導体装置1aで用いられている配線基板2は、導体層M1のレイアウトが、上記図11の配線基板102における導体層M1のレイアウトと同様である。上記実施の形態1で説明した課題を解決するために、上記実施の形態1では引き出し用配線WR1,WR2を工夫していたが、本実施の形態では、接着材層14の平面レイアウトを工夫している。
すなわち、上記実施の形態1の半導体装置1においては、スティフナリング6の下面6b全体が接着材層14を介して配線基板2の上面2aに接着されているため、上記図10において、接着材層14が配置される平面領域とスティフナリング6が配置される平面領域とは、ほぼ同じであった。しかしながら、本実施の形態の半導体装置1aにおいては、スティフナリング6の直下の領域にも引き出し用配線WR1が配置されているため、本実施の形態とは異なり、もしもスティフナリング6の下面6b全体を接着材層14を介して配線基板2の上面2aに接着した場合には、接着材層14の直下の領域にも引き出し用配線WR1が配置されてしまうことになる。そこで、本実施の形態の半導体装置1aにおいては、スティフナリング6の下面6b全体を接着材層14を介して配線基板2の上面2aに接着しているのではなく、スティフナリング6の直下の領域でかつ引き出し用配線WR1の直上には、接着材層14を配置しないようにしている。
具体的には、図17および図18に示されるように、スティフナリング6の下面6bと配線基板2の上面2aとの間は、接着材層14が介在する部分と接着材層14が介在しない部分とがあり、図20からも分かるように、配線基板2の上面2aにおいて、接着材層14は引き出し用配線WR1の直上の領域を避けるように配置され、引き出し用配線WR1の直上は、接着材層14が介在しない部分となっている。
換言すれば、図20と図21とを比較すると分かるように、スティフナリング6の直下の領域には、接着材層14が配置されている領域と接着材層14が配置されていない領域とがある。そして、引き出し用配線WR1は、スティフナリング6の直下の領域でかつ接着材層14が配置されていない領域の直下には延在しているが、スティフナリング6の直下の領域でかつ接着材層14が配置されている領域の直下には形成されていないのである。
本実施の形態の半導体装置1aの他の構成は、上記実施の形態1の半導体装置1とほぼ同様であるので、ここではその説明は省略する。
本実施の形態では、スティフナリング6直下の領域にも引き出し用配線WR1およびランド16が存在しているが、接着材層14の直下の領域には引き出し用配線WR1およびランド16が存在しないようにしている。すなわち、配線基板2の上面2aに平行な平面で見て、引き出し用配線WR1と接着材層14とは、平面的に重ならない。このため、上述したように、厳しい条件の高温高湿バイアス試験において、接着材層14中に含まれる不純物イオンがソルダレジスト層SR1中に拡散したとしても、不純物イオンが拡散した部分(接着材層14の直下に位置する部分)のソルダレジスト層SR1の直下には、引き出し用配線WR1およびランド16は配置されていない。従って、引き出し用配線WR1およびランド16から上記ソルダレジスト層SR1への金属(ここではCu)の溶出を抑制または防止することができ、Cuのマイグレーションを抑制または防止することができる。このため、引き出し用配線WR1の断線や、引き出し用配線WR1と導体パターンCP1との間の短絡などを防止することができ、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
また、本実施の形態では、配線基板2を構成する複数の導体層M1〜M4のうち、最上層の導体層M1に設けられた引き出し用配線WR1を、ランド9から、スティフナリング6の直下の領域(但し接着材層14の直下の領域ではない)まで延在させることができる。このため、スティフナリング6の直下の領域に半田ボール5を配置することができる。すなわち、ランド9からスティフナリング6の直下の領域(但し接着材層14の直下の領域ではない)まで延在させた引き出し用配線WR1(およびそれに接続されたランド16)と、ビアV1,V2,V3および導体層M2,M3,M4とを経由して、ランド9を、スティフナリング6の直下に位置する半田ボール5に電気的に接続することができる。このため、配線基板2の下面2bに配置された複数の半田ボール5が、スティフナリング6の直下に位置する半田ボール5を含む場合に、本実施の形態を適用すれば、効果は大きい。本実施の形態では、配線基板2の上面2aのランド9に電気的に接続された端子10およびその上に形成された半田ボール5を、配線基板2の下面2bにおいて、スティフナリング6の直下の領域に配置することで、半導体装置1aの多端子化や小型化(小面積化)を図ることができる。
また、引き出し用配線WR1およびランド16は、接着材層14の直下の領域から、配線基板2の上面2aに平行な方向に100μm以上離すことが好ましく、その理由は上記実施の形態1と同様である。
(実施の形態3)
図22は、本実施の形態の半導体装置1bの断面図(全体断面図、側面断面図)、図23は、半導体装置1bの要部断面図であり、それぞれ上記実施の形態1の図1および図6に対応するものである。図24は、本実施の形態の半導体装置1bに用いられている配線基板2の要部平面図であり、上記図8や図19に対応するものである。上記図8や図19と同様、図24には、ソルダレジスト層SR1を透視し、絶縁層11上に形成されている導体層M1のレイアウトが示されており、図24は、平面図であるが、図面を見やすくするために、導体層M1にハッチングを付してある。実際には、図24に示される領域の導体層M1は、ソルダレジストSR1で覆われている。図25は、図24と同じ平面領域の配線基板2の要部平面図であるが、図25において、接着材層14が配置される平面領域を、太線のハッチングを付して示したものに対応しており、上記実施の形態1の上記図10や上記実施の形態2の上記図20に相当するものである。但し、図25において点線で示してあるのは、上記図12と同様、接着材層14の下に位置する引き出し用配線WR1の平面位置である。また、図26は、図24の部分拡大平面図であり、図26も、図24と同様、ソルダレジスト層SR1を透視し、絶縁層11上に形成されている導体層M1のレイアウトが示され、平面図であるが、図面を見やすくするために、導体層M1(ここでは引き出し用配線WR1、ランド16および導体パターンCP1)にハッチングを付してある。なお、図24および図26において、符号RE3で示される範囲の領域は、接着材層14の直下の領域であり、符号RE4で示される範囲の領域は、接着材層14の直下ではない領域である。
上記実施の形態1の半導体装置1では、スティフナリング6の直下の領域に引き出し用配線WR1が配置されないようにしていた。それに対して、本実施の形態の半導体装置1bにおいては、上記実施の形態1とは異なり、配線基板2の上面2aに設けられた複数の引き出し用配線WR1の少なくとも一部が、スティフナリング6の直下の領域に延在している(形成または配置されている)。また、上記実施の形態2の半導体装置1aでは、引き出し用配線WR1の直上には、接着材層14は配置されていなかった。それに対して、本実施の形態の半導体装置1bでは、配線基板2の上面2aに設けられた複数の引き出し用配線WR1の少なくとも一部が、スティフナリング6の直下の領域でかつ接着材層14の直下の領域にも配置されている。上記実施の形態1で説明した課題を解決するために、上記実施の形態1では引き出し用配線WR1,WR2を工夫し、上記実施の形態2では接着材層14のレイアウトを工夫していたが、本実施の形態では、導体層M1に設けられた引き出し用配線WR1と導体パターンCP1との間の間隔を工夫している。
すなわち、本実施の形態では、スティフナリング6の下面6b全体が接着材層14を介して配線基板2の上面2aに接着されており、スティフナリング6の直下の領域は、接着材層14の直下の領域に対応している。そして、図24と図25を比べると分かるように、導体層M1に設けられた引き出し用配線WR1は、スティフナリング6の直下の領域、すなわち接着材層14の直下の領域にも延在している。
しかしながら、本実施の形態の半導体装置1bにおいては、導体層M1に設けられた引き出し用配線WR1と導体パターンCP1との間の間隔は、配線基板2の上面2aの全領域で同じにするのではなく、接着材層14の直下の領域(図24および図26の領域RE3に対応)と接着材層14の直下以外の領域(図24および図26の領域RE4に対応)とで、引き出し用配線WR1と導体パターンCP1との間の間隔を変えている。すなわち、図24および図26に示されるように、接着材層14の直下の領域(図24および図26の領域RE3に対応)における引き出し用配線WR1と導体パターンCP1との間の間隔W1は、接着材層14の直下以外の領域(図24および図26の領域RE4に対応)における引き出し用配線WR1と導体パターンCP1との間の間隔W2よりも広くなっている(すなわちW1>W2)。
本実施の形態の半導体装置1bの他の構成は、上記実施の形態1の半導体装置1とほぼ同様であるので、ここではその説明は省略する。
図27は、本実施の形態とは異なり、導体層M1に設けられた引き出し用配線WR1と導体パターンCP1との間の間隔W3を、配線基板2の上面2aの全領域で同じにした場合の配線基板の要部平面図であり、本実施の形態の図26に相当するものである。図27の場合は、接着材層14の直下の領域(図27の領域RE3に対応)における引き出し用配線WR1と導体パターンCP1との間の間隔W3と、接着材層14の直下以外の領域(図27の領域RE4に対応)における引き出し用配線WR1と導体パターンCP1との間の間隔W3とが、同じになっている。
上述したように、厳しい条件の高温高湿バイアス試験において、接着材層14中に含まれる不純物イオンがソルダレジスト層SR1中に拡散すると、このソルダレジスト層SR1に接する引き出し用配線WR1および導体パターンCP1から金属(ここではCu)がソルダレジスト層SR1側に溶出し、この溶出した金属(Cu)を介して、引き出し用配線WR1と導体パターンCP1とが繋がり、短絡してしまう可能性がある。これを防止するためには、引き出し用配線WR1と導体パターンCP1との間の間隔を広くすることが有効である。引き出し用配線WR1と導体パターンCP1との間の間隔が広いと、たとえ引き出し用配線WR1および導体パターンCP1から金属(ここではCu)がソルダレジスト層SR1側に溶出したとしても、引き出し用配線WR1と導体パターンCP1とは溶出した金属でつながりにくくなるため、引き出し用配線WR1と導体パターンCP1との間の短絡を抑制または防止することができる。
一方、引き出し用配線WR1と導体パターンCP1との間の間隔を大きくすると、固定電位が供給される導体パターンCP1を引き出し用配線WR1の周囲にせっかく設けた効果が小さくなってしまう。すなわち、引き出し用配線WR1を通る信号のノイズに対する安定性を高めるためには、引き出し用配線WR1と導体パターンCP1との間の間隔は小さいことが望ましい。
しかしながら、図27のように引き出し用配線WR1と導体パターンCP1との間の間隔W3を配線基板2の上面2aの全領域で同じにした場合には、引き出し用配線WR1と導体パターンCP1との間の短絡を防止するために上記間隔W3を大きくすると、導体パターンCP1を設けたことによって得られる効果が低下してしまい、また、インピーダンスも変化する。
それに対して、本実施の形態では、図24および図26に示されるように、接着材層14の直下の領域における引き出し用配線WR1と導体パターンCP1との間の間隔W1を、接着材層14の直下以外の領域における引き出し用配線WR1と導体パターンCP1との間の間隔W2よりも広くしている(W1>W2)。より好ましくは、接着材層14の直下の領域における引き出し用配線WR1と導体パターンCP1との間の間隔W1を、接着材層14の直下以外の領域における引き出し用配線WR1と導体パターンCP1との間の間隔W2の1.5倍以上としている(すなわちW1>W2×1.5)。例えば、接着材層14の直下以外の領域における間隔W2を50μm程度とし、接着材層14の直下の領域における間隔W1を80μm程度以上とすることができる。
また、ランド16は、引き出し用配線WR1の一部とみなすこともでき、接着材層14の直下の領域におけるランド16と導体パターンCP1との間の間隔は、上記間隔W1とほぼ同程度とすることができる。このため、本実施の形態においては、接着材層14の直下の領域におけるランド16と導体パターンCP1との間の間隔は、接着材層14の直下以外の領域における引き出し用配線WR1と導体パターンCP1との間の間隔W2よりも広く、より好ましくは、この間隔W2の1.5倍以上である。
厳しい条件の高温高湿バイアス試験で接着材層14中に含まれる不純物イオンがソルダレジスト層SR1中に拡散することに起因して、引き出し用配線WR1と導体パターンCP1とが短絡し得るのは、接着材層14の直下の領域であり、接着材層14の直下以外の領域では、ソルダレジスト層SR1への接着材層14の不純物拡散は少ないので、Cuのマイグレーションは生じず、短絡はほとんど発生しない。
このため、本実施の形態のように、引き出し用配線WR1と導体パターンCP1との間の短絡が発生し得る接着材層14の直下の領域では、引き出し用配線WR1と導体パターンCP1との間の間隔W1を広くすることで、たとえ引き出し用配線WR1および導体パターンCP1から金属がソルダレジスト層SR1側に溶出したとしても、引き出し用配線WR1と導体パターンCP1との間の短絡を抑制または防止することができる。一方、短絡がほとんど発生しない接着材層14の直下以外の領域では、引き出し用配線WR1と導体パターンCP1との間の間隔W2を狭く(間隔W1よりも狭く、より好ましくは間隔W1の2/3以下に)することで、引き出し用配線WR1を通る信号の安定性を高めることができる。
このように、本実施の形態では、引き出し用配線WR1と導体パターンCP1との間の短絡を防止することができ、半導体装置の信頼性を向上させることができる。また、導体パターンCP1により、引き出し用配線WR1を通る信号の安定性を高めることができ、半導体装置の性能を高めることができる。
また、本実施の形態においては、接着材層14の直下以外の領域よりも接着材層14の直下の領域で、引き出し用配線WR1と導体パターンCP1との間の間隔を広くしているが、更に、引き出し用配線WR1の幅を、接着材層14の直下以外の領域よりも接着材層14の直下の領域で広くすることもでき、この場合を図28に示してある。図28は、上記図26に対応する。
本実施の形態においては、図28に示されるように、接着材層14の直下の領域(図27の領域RE3に対応)における引き出し用配線WR1の幅W4を、接着材層14の直下以外の領域(図27の領域RE4に対応)における引き出し用配線WR1の幅W5よりも広くすれば、より好ましい(すなわちW4>W5)。接着材層14の直下の領域における引き出し用配線WR1の幅W4を、接着材層14の直下以外の領域における引き出し用配線WR1の幅W5の1.5倍以上とすれば、更に好ましい(すなわちW4>W5×1.5)。例えば、接着材層14の直下以外の領域における幅W5を20μm程度とし、接着材層14の直下の領域における幅W4を50μm程度とすることができる。
引き出し用配線WR1の幅を、接着材層14の直下以外の領域よりも接着材層14の直下の領域で広くする理由は、次の通りである。
上述したように、厳しい条件の高温高湿バイアス試験において、接着材層14中に含まれる不純物イオンがソルダレジスト層SR1中に拡散すると、このソルダレジスト層SR1に接する引き出し用配線WR1から金属(ここではCu)がソルダレジスト層SR1側に溶出しバイアスで拡散するが、溶出量が多いと、引き出し用配線WR1が断線してしまう可能性がある。これを防止するためには、引き出し用配線WR1の幅を広くすることが有効である。引き出し用配線WR1の幅が広いと、たとえ引き出し用配線WR1から金属(ここではCu)がソルダレジスト層SR1側に溶出したとしても、引き出し用配線WR1の金属量は多いため、引き出し用配線WR1の断線を抑制または防止することができる。
一方、引き出し用配線WR1の幅を広くしすぎると、配線基板2の上面2aにおいて、引き出し用配線WR1を引き回しにくくなり、配線基板2の面積縮小が困難となるため、半導体装置の小型化(小面積化)の面で不利となる。
厳しい条件の高温高湿バイアス試験で接着材層14中に含まれる不純物イオンがソルダレジスト層SR1中に拡散することに起因して、引き出し用配線WR1の断線が生じ得るのは、接着材層14の直下の領域であり、接着材層14の直下以外の領域では、ソルダレジスト層SR1に接着材層14の不純物は拡散していないので、Cuのマイグレーションは生じず、断線はほとんど発生しない。
このため、本実施の形態のように、引き出し用配線WR1の断線が発生し得る接着材層14の直下の領域では、引き出し用配線WR1の幅W4を広くすることで、たとえ引き出し用配線WR1から金属がソルダレジスト層SR1側に溶出したとしても、引き出し用配線WR1の断線を抑制または防止することができる。一方、断線がほとんど発生しない接着材層14の直下以外の領域では、引き出し用配線WR1の幅W5を狭く(幅W4よりも狭く、より好ましくは幅W4の2/3以下に)することで、配線基板2の上面2aにおいて引き出し用配線WR1を引き回ししやすくし、配線基板2の面積縮小(半導体装置の小面積化)を図ることができる。
このように、本実施の形態では、引き出し用配線WR1の断線を防止することができ、半導体装置の信頼性を向上させることができる。また、半導体装置の小型化(小面積化)を図ることができる。
また、本実施の形態では、配線基板2を構成する複数の導体層M1〜M4のうち、最上層の導体層M1に設けられた引き出し用配線WR1を、ランド9から、スティフナリング6の直下の領域(接着材層14の直下の領域)まで延在させることができる。このため、スティフナリング6の直下の領域に半田ボール5を配置することができる。すなわち、ランド9からスティフナリング6の直下の領域(接着材層14の直下の領域)まで延在させた引き出し用配線WR1(およびそれに接続されたランド16)と、ビアV1,V2,V3および導体層M2,M3,M4とを経由して、ランド9を、スティフナリング6の直下に位置する半田ボール5に電気的に接続することができる。このため、配線基板2の下面2bに配置された複数の半田ボール5が、スティフナリング6の直下に位置する半田ボール5を含む場合に、本実施の形態を適用すれば、効果は大きい。本実施の形態では、配線基板2の上面2aのランド9に電気的に接続された端子10およびその上に形成された半田ボール5を、配線基板2の下面2bにおいて、スティフナリング6の直下の領域に配置することで、半導体装置1bの多端子化や小型化(小面積化)を図ることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記実施の形態1〜3の半導体装置1,1a,1bの製造工程の一例について説明する。上記実施の形態1〜3の半導体装置1,1a,1bは、ほぼ同様の工程で製造することができるので、ここでは代表して上記実施の形態1の半導体装置1の製造工程の一例について説明する。
図29〜図35は、上記本実施の形態1の半導体装置1の製造工程中の断面図であり、上記図1に対応する断面が示されている。
なお、本実施の形態では、例として、複数の配線基板2(半導体装置領域22)がアレイ状に繋がって形成された多数個取りの配線基板(配線基板母体)21を用いて個々の半導体装置1を製造する場合について説明する。この配線基板21は、上記配線基板2の母体であり、配線基板21を後述する切断工程で切断し、各半導体装置領域(基板領域、単位基板領域、デバイス領域)22に分離したものが半導体装置1の配線基板2に対応する。配線基板21は、そこから1つの半導体装置1が形成される領域である半導体装置領域22がマトリクス(行列)状に複数配列した構成を有しているが、図29〜図35には、そのうちの一つの半導体装置領域22にほぼ相当する領域の断面が示されている。
まず、配線基板21と半導体チップ3を準備する。ここで、図29に示されるように、そこからそれぞれ半導体装置1が製造される単位基板領域である半導体装置領域(単位基板領域)22を複数有する配線基板21であって、上面21aと、上面21aの反対側の下面21bとを有し、各半導体装置領域22の上面21aに複数のランド9を、各半導体装置領域22の下面21bに複数の端子10を有する配線基板21が準備される。各半導体装置領域22における配線基板21の具体的な構成は、上記配線基板2と同じであるため、ここではその説明は省略する。配線基板21は、微細ピッチ配線に適合するようにビルドアップ法で製造することが好ましいが、それ以外にも、サブトラクティブ法、印刷法、シート積層法、セミアディティブ法、またはアディティブ法などを用いて製造することができる。また、上述のように、半導体チップ3は、複数のバンプ電極8が半導体チップ3の表面3aに配置されたものである。先に配線基板21を準備してから半導体チップ3を準備しても、先に半導体チップ3を準備してから配線基板21を準備しても、あるいは配線基板21と半導体チップ3を同時に準備してもよい。
このように、各半導体装置領域22毎にランド9が配置された上面21aを有する配線基板21と、複数のバンプ電極8が配置された表面を有する半導体チップ3とが準備される。
配線基板21と半導体チップ3を準備した後、フリップチップ接続工程を行って、図30に示されるように、配線基板21の上面21aの各半導体装置領域22上に、半導体チップ3を搭載する。
半導体チップ3のフリップチップ接続工程では、半導体チップ3は、半導体チップ3の裏面3b側が上方を向き、半導体チップ3の表面3a側が下方(配線基板21の上面21a側)を向くように、フェイスダウンで配線基板21の上面21a上に配置され、半導体チップ3の複数のバンプ電極8が配線基板21の上面21aの複数のランド9にそれぞれ対向するように位置合わせされる。そして、バンプ電極8が金バンプである場合には、半導体チップ3を配線基板21側に加圧して、バンプ電極8を構成する金バンプを配線基板21のランド9に押圧して(押し付けて)圧着する。この際、加熱しながら加圧することで、バンプ電極8をランド9に熱圧着することもできる。また、バンプ電極8が半田バンプである場合には、半田リフロー処理(熱処理)によりバンプ電極8を構成する半田バンプを溶融・再固化することで、バンプ電極8をランド9に接続(半田接続)する。このように、半導体チップ3を配線基板21の上面21a上に複数のバンプ電極8を介して搭載し、半導体チップ3の複数のバンプ電極8を配線基板21の複数のランド9にそれぞれ電気的に接続する。
また、半導体チップ3搭載前の段階で、配線基板21の上面21aの各ランド9上に突起電極を設けておき、半導体チップ3のフリップチップ接続工程で、このランド9上の突起電極に半導体チップ3の各バンプ電極8を接続(接合)することもできる。
例えば、半導体チップ3に半田(半田バンプ)からなるバンプ電極8を形成しておき、配線基板21の各ランド9上に半田突起電極(半田からなる突起状電極、半田バンプ)を形成しておき、フリップチップ接続工程において、半導体チップ3の各バンプ電極8と配線基板21の各ランド9上の半田突起電極とが対向するように半導体チップ3を搭載する。そして、半田リフロー処理を行うことで、半導体チップ3側のバンプ電極8を配線基板21側の半田突起電極に接続(半田接続)することができる。この場合、半田リフロー処理によって半導体チップ3のバンプ電極8とランド9上の半田突起電極とが一体化して、半導体チップ3実装後のバンプ電極8となり、各バンプ電極8が各ランド9に電気的に接続された状態となる。
次に、図31に示されるように、半導体チップ3と配線基板21との間を満たすアンダーフィル樹脂としての樹脂部4を形成する。例えば、半導体チップ3と配線基板21の上面21aとの間に樹脂材料(フィラーを含有することもできる)を充填(注入)し、加熱などによりこの樹脂材料を硬化することで、硬化した樹脂材料からなる樹脂部4を形成することができる。他の形態として、フリップチップ接続を行う前に配線基板21の上面21aの各半導体装置領域22のチップ搭載予定領域(後で半導体チップ3を搭載する領域)に予め樹脂材料(フィラーを含有することもできる)を塗布しておき、その後、フリップチップ接続で半導体チップ3のバンプ電極8を配線基板21の上面21aのランド9に接続してから、この樹脂材料を硬化して樹脂部4を形成することもできる。
次に、図32に示されるように、配線基板21の上面21aの各半導体装置領域22上に、接着材層14を介してスティフナリング6を搭載する。接着材層14としては、テープ型の接着材または塗布型の接着材などを用いることができる。スティフナリング6の搭載後、接着材層14の硬化処理(例えば加熱処理)を行うことで、スティフナリング6は、配線基板21の上面21aに接着材層14を介して接合されて固定される。テープ型接着材を用いた場合は、スティフナリング6搭載時には、テープ型接着材はある程度の硬さを有しているが、加熱によって一旦軟らかくなって密着性が高まってから硬化する。これにより、スティフナリング6が配線基板21の上面21aにテープ型接着材(接着材層14)を介して接着される。
スティフナリングを配線基板に接着する接着材層として、テープ型接着材と塗布型接着材のいずれを用いた場合にも、上述したように厳しい条件の高温高湿バイアス試験にて接着材中の不純物イオンが、配線基板のソルダレジスト層中に拡散してCuマイグレーションの発生が促進されるという上記課題は、発生し得る。このため、上記実施の形態1〜3は、接着材層14として、テープ型接着材と塗布型接着材のいずれを用いた場合に適用しても、有効である。但し、接着材層14として、テープ型接着材を用いれば、接着材層14の厚みの均一性を高めることができ、また密着力も強く、スティフナリング6の平坦性も高めることができるので、より好ましい。また、上記実施の形態2では、接着材層14のレイアウトを工夫しているが、接着材層14としてテープ型接着材を用いれば、所望の平面形状で接着材層14を配置しやすいため、特に上記実施の形態2では、テープ型接着材を接着材層14として用いることが好ましい。
次に、図33に示されるように、スティフナリング6の上面6aおよび半導体チップ3の裏面3b上に、共通のヒートスプレッダ7を、接着材層15a,15bを介して搭載する。この際、ヒートスプレッダ7の下面7bとスティフナリング6の上面6aとの間に接着材層15aが介在し、ヒートスプレッダ7の下面7bと半導体チップ3の裏面3bとの間に接着材層15bが介在する。接着材層15aおよび接着材層15bとしては、テープ型接着材と塗布型接着材のいずれを用いることもできる。接着材層15aと接着材層15bとは、同じ接着材を用いても、異なる接着材を用いてもよいが、同じ接着材を用いれば、半導体装置の製造工程を簡略化することができる。ヒートスプレッダ7の搭載後、接着材層15a,15bの硬化処理を行うことで、ヒートスプレッダ7は、スティフナリング6の上面6aおよび半導体チップ3の裏面3bに、接着材層15a,15bを介して接合されて固定される。
次に、図34に示されるように、配線基板21の下面21bの端子10に半田ボール5を接続(接合、形成)する。この半田ボール5接続工程では、例えば、配線基板21の下面21bを上方に向け、配線基板21の下面21bの各半導体装置領域22の複数の端子10上にそれぞれ半田ボール5を配置(搭載)してフラックスなどで仮固定し、リフロー処理(半田リフロー処理、熱処理)を行って半田を溶融し、半田ボール5と配線基板21の下面21bの端子10とを接合することができる。その後、必要に応じて洗浄工程を行い、半田ボール5の表面に付着したフラックスなどを取り除くこともできる。このようにして、半導体装置1の外部端子(外部接続用端子)としての半田ボール5が接合(形成)される。
なお、本実施の形態では、半導体装置1の外部端子として半田ボール5を接合する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば半田ボール5の代わりに印刷法などにより端子10上に半田を供給して半導体装置1の半田からなる外部端子(バンプ電極、半田バンプ)を形成することもできる。この場合、配線基板21の下面21bの各半導体装置領域22の複数の端子10上にそれぞれ半田を供給してから、半田リフロー処理を行って、複数の端子10上にそれぞれ半田からなる外部端子(バンプ電極、半田バンプ)を形成することができる。また、メッキ処理を施すなどして、各端子10上に外部端子(バンプ電極)を形成することもできる。
このように、配線基板21の下面21bの各半導体装置領域22の複数の端子10に、それぞれ外部接続用端子(ここでは半田ボール5)を形成する。
次に、配線基板21の切断を行う。これにより、図35に示されるように、配線基板21が各半導体装置領域22間の切断領域に沿って切断されて、それぞれの半導体装置領域22が個々の(個片化された)半導体装置1に切断分離(個片化)される。すなわち、配線基板21が各半導体装置領域22に切断されて分割され、各半導体装置領域22から半導体装置1が形成される。この切断工程によって各半導体装置領域22に切断され分離(分割)された配線基板21が上記配線基板2に対応する。また、配線基板21の上記上面21aが配線基板2の上面2aに対応し、配線基板21の上記下面21bが配線基板2の下面2bに対応する。
このようにして、半導体装置1が製造される。
また、他の形態として、多数個取りの配線基板(配線基板母体)21を個々に分割して先に配線基板2とした後で、この配線基板2上に上述のように半導体チップ3をフリップチップ接続する工程を行うこともできる。その後、上述の樹脂部4形成工程、上述のスティフナリング6搭載工程、上述のヒートスプレッダ7搭載工程、上述の半田ボール5接続工程を行って、半導体装置1が製造される。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。