JP2010241156A - 電動車両の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】トルク伝達の継続を確保しつつ、摩擦要素の温度上昇を抑制して過熱状態になることを防止できる電動車両の制御装置を提供すること。
【解決手段】駆動モータMGと駆動輪LT、RTとの間のトルク伝達を断接すると共に、駆動モータMGからの出力回転を正方向に伝達するフォワードクラッチFCと、駆動モータMGからの出力回転を逆方向に伝達するリバースブレーキRBとを有する第2クラッチCL2と、第2クラッチCL2を制御してフォワードクラッチFC及びリバースブレーキRBの過熱防止を行う熱保護制御手段とを備え、フォワードクラッチ温度センサ22,リバースブレーキ温度センサ23により検出された温度が所定温度に達すると、フォワードクラッチFCとリバースブレーキRBとを掛け換えると共に、駆動モータMGの出力回転を反転する。
【選択図】図1

Description

本発明は、走行駆動源のモータと駆動輪との間に介装された摩擦要素の熱保護を行う電動車両の制御装置。
従来、走行駆動源であるモータと駆動輪との間に摩擦要素を配置した電動車両の発進制御装置では、車両の発進要求時に、アクセル開度に基づいて上記摩擦要素の締結トルクの目標値を設定し、車両に作用する負荷に基づいて上記摩擦要素のスリップ量を制御している(例えば、特許文献1参照)。つまり、この電動車両の発進制御装置では、車両負荷が大きいと判断した場合では、アクセル開度に応じて摩擦要素の目標締結トルクを増大補正すると共に、車両負荷に応じて摩擦要素のスリップ量を低減させていた。
特開2008-128346号公報
ところで、従来の電動車両の発進制御装置では、車両に作用する負荷に基づいて摩擦要素のスリップ量を制御するが、長時間にわたってスリップ制御が連続的に行われた場合では、摩擦要素の温度が上昇してしまい、許容温度を超えてしまうおそれがあった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、トルク伝達の継続を確保しつつ、摩擦要素の温度上昇を抑制して過熱状態になることを防止できる電動車両の制御装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明では、駆動モータと駆動輪との間のトルク伝達を断接すると共に、駆動モータからの出力回転を正方向に伝達する第1摩擦要素と、駆動モータからの出力回転を逆方向に伝達する第2摩擦要素とを有する前後進切替機構と、前後進切替機構を制御して第1摩擦要素及び第2摩擦要素の過熱防止を行う熱保護制御手段と、を備えた電動車両の制御装置において、第1摩擦要素又は第2摩擦要素の少なくとも一方の温度を検出する摩擦要素温度検出手段を有している。また、熱保護制御手段は、摩擦要素温度検出手段により検出された温度が所定温度に達すると、第1摩擦要素と第2摩擦要素とを掛け換えると共に、駆動モータの出力回転を反転する。
よって、本発明の電動車両の制御装置にあっては、摩擦要素温度検出手段により検出された温度が所定値になったタイミングで、第1摩擦要素と第2摩擦要素とを交互に使用することができる。つまり、締結により発熱した一方の摩擦要素を開放することで冷却すると同時に、解放していて温度上昇していない他方の摩擦要素を締結してトルク伝達を継続することができる。また、第1摩擦要素と第2摩擦要素との掛け換えと共に、駆動モータの出力回転を反転することで、駆動輪の回転方向を一方向に維持することができる。
その結果、トルク伝達の継続を確保しつつ、摩擦要素の温度上昇を抑制して過熱状態になることを防止できる。
実施例1の電動車両の制御装置が適用されたパラレルハイブリッド車両(電動車両の一例)を示す全体システム図である。 実施例1の統合コントローラにて実行される熱保護制御処理の流れにおけるステップS1〜ステップS12を示すフローチャートである。 実施例1の統合コントローラにて実行される熱保護処理の流れにおけるステップ13〜ステップS22を示すフローチャートである。 実施例1の熱保護処理にて使用する発進要求後時間と車速との関係をアクセル開度に応じて示したマップの一例である。 実施例1の熱保護処理にて使用するアクセル開度と第2クラッチ締結トルクとの関係を車両負荷の大きさに応じて示したマップの一例である。 実施例1の電動車両の制御装置における熱保護制御処理を説明するフォワードクラッチ状態・リバースブレーキ状態・フォワードクラッチ温度・リバースブレーキ温度・モータジェネレータトルク・モータジェネレータ回転方向の各特性を示すタイムチャートである。 実施例2の統合コントローラにて実行される熱保護制御処理の流れの要部を示すフローチャートである。 実施例2の電動車両の制御装置における熱保護制御処理を説明するフォワードクラッチ状態・リバースブレーキ状態・フォワードクラッチ温度・リバースブレーキ温度・モータジェネレータトルク・モータジェネレータ回転方向の各特性を示すタイムチャートである。 実施例3の統合コントローラにて実行される熱保護制御処理の流れの要部を示すフローチャートである。 実施例3の電動車両の制御装置における熱保護制御処理を説明するフォワードクラッチ状態・リバースブレーキ状態・フォワードクラッチ温度・リバースブレーキ温度・モータジェネレータトルク・モータジェネレータ回転方向・第1クラッチ状態の各特性を示すタイムチャートである。
以下、本発明の車両の制御装置を実施するための形態を、図面に示す実施例1〜実施例3に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は、実施例1の電動車両の制御装置が適用されたパラレルハイブリッド車両(電動車両の一例)を示す全体システム図である。以下、図1に基づいて、駆動系及び制御系の構成を説明する。
実施例1のパラレルハイブリッド車両の駆動系は、図1に示すように、エンジンEngと、第1クラッチ(摩擦締結要素)CL1と、モータ/ジェネレータ(駆動モータ)MGと、第2クラッチ(前後進切換機構)CL2と、無段変速機CVTと、ファイナルギヤFGと、左駆動輪LTと、右駆動輪RTと、を備えている。
実施例1のハイブリッド駆動系は、電気自動車走行モード(以下、「EVモード」という。)と、ハイブリッド車走行モード(以下、「HEVモード」という。)と、準電気自動車走行モード(以下、「準EVモード」という。)と、駆動トルクコントロール発進モード(以下、「WSCモード」という。)等の走行モードを有する。
前記「EVモード」は、第1クラッチCL1を開放状態とし、モータ/ジェネレータMGの動力のみで走行するモードである。前記「HEVモード」は、第1クラッチCL1を締結状態とし、モータアシスト走行モード・走行発電モード・エンジン走行モードの何れかにより走行するモードである。前記「準EVモード」は、第1クラッチCL1が締結状態であるがエンジンEngをOFFとし、モータ/ジェネレータMGの動力のみで走行するモードである。前記「WSCモード」は、「HEVモード」からのP,N→Dセレクト発進時、または、「EVモード」や「HEVモード」からのDレンジ発進時等において、モータ/ジェネレータMGを回転数制御させることで第2クラッチCL2のスリップ締結状態を維持し、第2クラッチCL2を経過するクラッチ伝達トルクが、車両状態やドライバー操作に応じて決まる要求駆動トルクとなるようにクラッチトルク容量をコントロールしながら発進するモードである。なお、「WSC」とは「Wet Start clutch」の略である。
前記エンジンEngは、希薄燃焼可能であり、スロットルアクチュエータによる吸入空気量とインジェクタによる燃料噴射量と、点火プラグによる点火時期の制御により、エンジントルクが指令値と一致するように制御される。
前記第1クラッチCL1は、エンジンEngとモータ/ジェネレータMGとの間の位置に介装される。この第1クラッチCL1としては、例えば、ダイアフラムスプリングによる付勢力にて常時締結(ノーマルクローズ)の乾式クラッチが用いられ、エンジンEng〜モータ/ジェネレータMG間の締結/半締結/開放を行なう。この第1クラッチCL1が完全締結状態ならモータトルク+エンジントルクが第2クラッチCL2へと伝達され、開放状態ならモータトルクのみが、第2クラッチCL2へと伝達される。なお、半締結/開放の制御は、油圧アクチュエータに対するストローク制御にて行われる。
前記モータ/ジェネレータMGは、交流同期モータ構造であり、発進時や走行時に駆動トルク制御や回転数制御を行うと共に、制動時や減速時に回生ブレーキ制御による車両運動エネルギーのバッテリーBATへの回収を行なうものである。
前記第2クラッチCL2は、無段変速機CVT及びファイナルギヤFGを介し、エンジンEng及びモータ/ジェネレータMG(第1クラッチCL1が締結されている場合)から出力されたトルクを左右駆動輪LT,RTへと伝達するものであり、サンギアSG、複数のピニオンギア(図示せず)、リングギアRG、プラネットキャリアPCを備えたシングルピニオン式の遊星歯車PGと、フォワードクラッチ(第1摩擦要素)FCと、リバースブレーキ(第2摩擦要素)RBとを有している。そして、遊星歯車PGのリングギアRGはモータ/ジェネレータMGのモータ出力軸MGoutに連結され、遊星歯車PGのサンギアSGは無段変速機CVTの変速機入力軸inputに連結されている。さらに、フォワードクラッチFCはモータ出力軸MGoutとサンギアSGとの間に介装され、リバースブレーキRBはプラネットキャリアPCと図示しないクラッチケースとの間に介装されている。
この第2クラッチCL2において、フォワードクラッチFCとリバースブレーキRBとを同時に開放することでトルク伝達が断接(ニュートラル状態)される。
また、フォワードクラッチFCが締結しリバースブレーキRBが開放することで、サンギアSGとモータ出力軸MGoutとが直結する。ここでリングギアRGはモータ出力軸MGoutに連結しているため、サンギアSGとリングギアRGとが同じ回転数で回転し、伝達トルクが発生すると共にモータ/ジェネレータMGの出力回転が正方向に伝達される。すなわち、フォワードクラッチFCは、モータ/ジェネレータMGの出力回転を正方向に伝達させる摩擦要素である。通常、車両発進時では、モータ/ジェネレータMGを正方向に回転させると共に、フォワードクラッチFCを締結しリバースブレーキRBを開放することで、モータ/ジェネレータMGの正方向の出力回転が反転することなく伝達されて前進する。
また、リバースブレーキRBが締結しフォワードクラッチFCが開放することで、プラネットキャリアPCがクラッチケースに対し固定される。すなわちプラネットキャリアPCは公転できない。そのため、モータ出力軸MGoutからリングギアRGに伝達された回転は、自転はするが公転しないプラネットキャリアPCを介してサンギアSGに伝わり、サンギアSGを逆回転させる。これにより、伝達トルクが発生すると共に、モータ/ジェネレータMGの出力回転が逆方向に伝達される。すなわち、リバースブレーキRBは、モータ/ジェネレータMGの出力回転を逆方向に伝達させる摩擦要素である。通常、車両後退時では、モータ/ジェネレータMGを正方向に回転すると共に、リバースブレーキRBを締結しフォワードクラッチFCを開放することで、モータ/ジェネレータMGの正方向の出力回転が反転して伝達されて後進(後退)する。
なお、フォワードクラッチFCはノーマルオープンの湿式多板クラッチであり、リバースブレーキRBはノーマルオープンの湿式多板ブレーキである。それぞれクラッチ押付力(油圧力)に応じて伝達トルク(クラッチトルク容量)が発生する。また、フォワードクラッチFC及びリバースブレーキRBは、それぞれ熱容量が小さく設定されている。
前記無段変速機CVTは、ここでは、一対のプーリ及びこの一対のプーリ間に掛け渡されたプーリベルトを有するベルト式無段変速機である。一対のプーリのそれぞれのプーリ幅を変更し、プーリベルトを挟持する面の径を変更して変速比(プーリ比)を自在に制御する。
さらに、モータ出力軸MGoutには、チェーンCHを介して機械式オイルポンプO/Pの入力ギアが接続されている。この機械式オイルポンプO/Pは、モータ/ジェネレータMGの回転駆動力によって作動するポンプであり、例えばギアポンプやベーンポンプ等が用いられる。ここで、この機械式オイルポンプO/Pは、モータ/ジェネレータMGの回転方向に拘らずオイル吐出が可能となっている。また、オイルポンプとしては、サブモータS/Mの回転駆動力によって作動する電動オイルポンプM/O/Pが設けられている。
そして、この機械式オイルポンプO/Pと電動オイルポンプM/O/Pは、第1,第2クラッチCL1,CL2への制御圧及び無段変速機CVTへの制御圧を作り出す油圧源となっている。この油圧源では、機械式オイルポンプO/Pからの吐出油量が十分であるときはサブモータS/Mを停止して電動オイルポンプM/O/Pを停止させ、機械式オイルポンプO/Pからの吐出油圧が低下すると、サブモータS/Mを駆動して電動オイルポンプM/O/Pのモータを作動させて電動オイルポンプM/O/Pからも作動油吐出するように切り替えられる。
実施例1のパラレルハイブリッド車両の制御系は、図1に示すように、インバータINVと、バッテリーBATと、統合コントローラ10と、変速機コントローラ11と、クラッチコントローラ12と、エンジンコントローラ13と、モータコントローラ14と、バッテリーコントローラ15と、アクセル開度センサ16と、変速機出力回転数センサ17と、モータ出力回転数センサ18と、第2クラッチ出力回転数センサ19と、作動油温センサ20と、エンジン回転数センサ21と、フォワードクラッチ温度センサ22と、リバースブレーキ温度センサ23と、を備えている。
前記インバータINVは、直流/交流の変換を行い、モータ/ジェネレータMGの駆動電流を生成する。また生成する駆動電流の位相を逆転することでモータ/ジェネレータMGの出力回転を反転する。
前記バッテリーBATは、モータ/ジェネレータMGからの回生エネルギーを、インバータINVを介して蓄積する。
前記統合コントローラ10は、バッテリー状態(バッテリーコントローラ15から入力)、アクセル開度(アクセル開度センサ16により検出)、及び車速(変速機出力回転数に同期した値、変速機出力回転数センサ17により検出)から目標駆動トルクを演算する。そして、その結果に基づき各アクチュエータ(モータ/ジェネレータMG、エンジンEng、第1クラッチCL1、第2クラッチCL2、無段変速機CVT)に対する指令値を演算し、各コントローラ11〜15へと送信する。
前記変速機コントローラ11は、統合コントローラ10からの変速指令を達成するように変速制御を行なう。変速制御は、無段変速機CVTに供給される油圧制御をすることで行われる。
前記クラッチコントローラ12は、第2クラッチ入力回転数(モータ出力回転数センサ18により検出)、第2クラッチ出力回転数(第2クラッチ出力回転数センサ19により検出)、クラッチ油温(作動油温センサ20により検出)を入力すると共に、統合コントローラ10からの第1クラッチ油圧指令値と第2クラッチ油圧指令値に対して、クラッチ油圧(電流)指令値を実現するようにソレノイドバルブの電流を制御する。
前記エンジンコントローラ13は、エンジン回転数(エンジン回転数センサ21により検出)を入力すると共に、統合コントローラ10からのエンジントルク指令値を達成するようにエンジントルク制御を行なう。
前記モータコントローラ14は、統合コントローラ10からのモータトルク指令値やモータ回転数指令値を達成するようにモータ/ジェネレータMGの制御を行なう。
前記バッテリーコントローラ15は、バッテリーBATの充電状態(SOC)を管理し、その情報を統合コントローラ10へと送信する。
図2Aは、実施例1の統合コントローラにて実行される熱保護制御処理(熱保護制御手段)の流れにおけるステップS1〜ステップS12を示すフローチャートであり、図2Bは、実施例1の統合コントローラにて実行される熱保護制御処理(熱保護制御手段)の流れにおけるステップS13〜ステップS22を示すフローチャートである。以下、統合コントローラの処理内容を、図2A及び図2Bに示すフローチャートを用いて説明する。
ステップS1では、エンジンEng及びモータ/ジェネレータMGが停止中であって第1クラッチCL1が開放した停車状態において、アクセル踏み込みによる発進動作があったことを判断し、ステップS2へ進む。ここで、発進動作とは、アクセル開度がゼロより大きくなったことを検出したら、発進要求があったとしてモータ/ジェネレータMGを駆動すると共に、第2クラッチCL2においてフォワードクラッチFCをスリップ締結することである。なお、このときモータ/ジェネレータMGの出力回転は正回転である。
ステップS2では、アクセル開度に応じた予想加速Gと実際に車両に作用する加速G(以下、実加速Gという)とを比較し、予想加速Gと実加速Gとが等しいか、又は、予想加速Gと実加速Gとの差ΔGが第1閾値α未満であるか否かを判断し、YES(予想加速G=実加速G又はΔG<第1閾値α)の場合はステップS3へ進み、NO(予想加速G≠実加速G又はΔG≧第1閾値α)の場合はステップS5へ進む。ここで、予想加速Gは、発進要求後の所定時刻におけるアクセル開度に応じた加速Gであり、例えば図3に示す発進要求後時間と車速とアクセル開度との関係を示すマップを予め設定し、このマップから探索により設定してもよい。
ステップS3では、車両負荷が小さい(例えば、平坦路である、又は車両負荷が第1閾値αより低い)と判断し、ステップS4へ進む。
ステップS4では、アクセル開度から判断される運転者の要求する駆動力に応じた加速Gを実現させつつ、スリップ締結しているフォワードクラッチFCを滑らかに締結していき、発進する。具体的には、例えば図4に示すアクセル開度に応じた第2クラッチCL2における締結トルクの大きさを定めたマップを予め作成し、このマップ(図4では実線で示す)とアクセル開度とから探索により目標締結トルクを設定する。これにより、締結ショックのない発進を実現する。
ステップS5では、アクセル開度に応じた予想加速Gと実加速Gとを比較し、予想加速Gよりも実加速Gが大きく、且つ、予想加速Gと実加速Gとの差ΔGが第1閾値αよりも大きいか否かを判断し、YES(予想加速G>実加速G且つΔG>第1閾値α)の場合はステップS6へ進み、NO(予想加速G<実加速G又はΔG≦第1閾値α)の場合はステップS9へ進む。ここで、予想加速Gは、ステップS2同様発進要求後の所定時刻におけるアクセル開度に応じた加速Gであり、図3に示すマップから探索により設定してもよい。
ステップS6では、予想加速Gと実加速Gとの差ΔGが第2閾値βよりも小さいか否かを判断し、YES(ΔG<第2閾値β)の場合はステップS7へ進み、NO(ΔG≧第2閾値β)の場合はステップS11へ進む。
ステップS7では、車両負荷が少し大きい(例えば、緩登坂路である、又は車両負荷が第1閾値αより高く第2閾値βより低い)と判断し、ステップS8へ進む。
ステップS8では、発進トルク(発進に必要な最低限のトルク)を確保できる範囲でモータ/ジェネレータMGの回転数を低下させ、スリップ締結しているフォワードクラッチFCを滑らかに締結していき、発進する。具体的には、ステップS4で使用したマップ(図4で実線で示す)に対して大きな車両負荷に応じて補正されたマップ(図4で破線で示す)を予め作成し、このマップ(図4で破線で示す)とアクセル開度とから探索により目標締結トルクを設定する。これにより、締結ショックのない発進を実現する。
ステップS9では、アクセル開度に応じた予想加速Gよりも実加速Gの方が大きいため、下り勾配路であると判断し、ステップS10へ進む。なお、予想加速Gよりも実加速Gの方が小さい場合であっても、予想加速Gと実加速Gとの差ΔGの大きさが第1閾値αよりも小さければ下り勾配路であると判断し、ステップS10へ進む。
ステップS10では、ステップS4と同様、運転者の要求する駆動力に応じた加速Gを実現させつつ、スリップ締結しているフォワードクラッチFCを滑らかに締結していき、発進する。これにより、締結ショックのない発進を実現する。
ステップS11では、車両負荷が非常に大きい(例えば、急登坂路である、又は車両負荷が第2閾値βより高い)と判断し、ステップS12へ進む。
ステップS12では、第1,第2クラッチCL1,CL2への制御圧及び無段変速機CVTへの制御圧に必要な油圧を確保できる範囲でモータ/ジェネレータMGの回転数を低下させて、発進に必要なトルクを発生させ、ステップS13へ進む。
ここで、図1に示すパラレルハイブリッド車両の駆動系では、モータ/ジェネレータMGのモータ出力軸MGoutにチェーンCHを介して機械式オイルポンプO/Pが連結され、モータ/ジェネレータMGの駆動力によって機械式オイルポンプO/Pが駆動する構成になっている。そのため、必要油圧を確保するために必要な回転数が、モータ/ジェネレータMGの回転数の引き下げ限度となる。
ステップS13では、スリップ締結状態のフォワードクラッチFCの温度と第1許容温度とを比較し、フォワードクラッチ温度よりも第1許容温度が小さいか否かを判断し、YES(フォワードクラッチ温度<第1許容温度)の場合はステップS14へ進み、NO(フォワードクラッチ温度≧第1許容温度)の場合はステップS15へ進む。ここで、フォワードクラッチ温度は、フォワードクラッチ温度センサ(摩擦要素温度検出手段)22により検出され、統合コントローラ10に入力される。また、第1許容温度は、フォワードクラッチFCのクラッチ性能を確保できる限界の温度であり、任意に設定される。
ステップS14では、滑らかにフォワードクラッチFCを締結し、これにより発進トルクが伝達されて発進する。これにより、締結ショックのない発進を実現する。
ステップS15では、フォワードクラッチ温度が第1許容温度以上であるので、第2クラッチCL2においてフォワードクラッチFCからリバースブレーキRBへと掛け換えると同時に、モータ/ジェネレータMGを停止し、ステップS16へ進む。
なお、このステップS15では、モータ/ジェネレータMGを停止することでモータトルクが抜けてしまうため、車両に作用する慣性力によって車両の位置を保持してずり下がりを防止する。つまり、フォワードクラッチFCからリバースブレーキRBへの掛け換え時間が長いとモータ/ジェネレータMGの停止時間が長くなってしまい、車両のずり下がりが懸念される。さらに、モータ出力回転数が低下あるいはゼロになってモータ出力軸MGoutの回転数が落ちるため、機械式オイルポンプO/Pの吐出量が低下して油圧が抜けてしまう。そのため、掛け換え時間は短い方が望ましい。
ステップS16では、リバースブレーキRBがスリップ締結したか否かを判断し、YES(スリップ締結)の場合はステップS17へ進み、NO(未スリップ締結)の場合はステップS15を繰り返す。ここで、リバースブレーキRBがスリップ締結したか否かの判断は、リバースブレーキRBのスリップ量が掛け換え以前のフォワードクラッチFCのスリップ量と等しいか否かに基づいて行う。つまり、掛け換え前におけるフォワードクラッチFCのスリップ量と、リバースブレーキRBのスリップ量とが等しくなれば、リバースブレーキRBがスリップ締結したと判断する。
ステップS17では、モータ/ジェネレータMGの出力回転を反転させて逆回転にし、ステップS18へ進む。
ステップS18では、スリップ締結状態のリバースブレーキRBの温度と第2許容温度とを比較し、リバースブレーキ温度が第2許容温度以上であるか否かを判断し、YES(リバースブレーキ温度≧第2許容温度)の場合はステップS19へ進み、NO(リバースブレーキ温度<第2許容温度)の場合はステップS22へ進む。ここで、リバースブレーキ温度は、リバースブレーキ温度センサ(摩擦要素温度検出手段)23により検出され、統合コントローラ10に入力される。また、第2許容温度は、リバースブレーキRBのブレーキ性能を確保できる限界の温度であり、任意に設定される。
ステップS19では、リバースブレーキ温度が第2許容温度以上であるので、第2クラッチCL2においてリバースブレーキRBからフォワードクラッチFCへと掛け換えると同時に、モータ/ジェネレータMGを停止し、ステップS20へ進む。
なお、このステップS19では、モータ/ジェネレータMGを停止することでモータトルクが抜けてしまうため、車両に作用する慣性力によって車両の位置を保持してずり下がりを防止する。つまり、リバースブレーキRBからフォワードクラッチFCへの掛け換え時間が長いとモータ/ジェネレータMGの停止時間が長くなってしまい、車両のずり下がりが懸念される。さらに、モータ出力回転数が低下あるいはゼロになってモータ出力軸MGoutの回転数が落ちるため、機械式オイルポンプO/Pの吐出量が低下して油圧が抜けてしまう。そのため、掛け換え時間は短い方が望ましい。
ステップS20では、フォワードクラッチFCがスリップ締結したか否かを判断し、YES(スリップ締結)の場合はステップS21へ進み、NO(未スリップ締結)の場合はステップS19を繰り返す。ここで、フォワードクラッチFCがスリップ締結したか否かの判断は、フォワードクラッチFCのスリップ量が再掛け換え以前のリバースブレーキRBのスリップ量と等しいか否かに基づいて行う。つまり、再掛け換え前におけるリバースブレーキRBのスリップ量と、フォワードクラッチFCのスリップ量とが等しくなれば、フォワードクラッチFCがスリップ締結したと判断する。
ステップS21では、モータ/ジェネレータMGの出力回転を反転させて正回転にし、ステップS22へ進む。
ステップS22では、発進トルクが伝達したか否かを判断し、YES(トルク伝達)の場合は発進し、NO(トルク未伝達)の場合はステップS13へ戻る。なお、発進トルクが伝達されて発進した際に、リバースブレーキRBが締結すると共にモータ/ジェネレータMGの出力回転が逆回転している場合には、発進後、リバースブレーキRBからフォワードクラッチFCへと掛け換えると共に、モータ/ジェネレータMGの出力回転を正回転に反転する。
次に、作用を説明する。
実施例1の電動車両の制御装置における熱保護制御作用を説明する。
[熱保護制御作用]
図5は、実施例1の電動車両の制御装置における熱保護制御処理を説明するフォワードクラッチ状態・リバースブレーキ状態・フォワードクラッチ温度・リバースブレーキ温度・モータジェネレータトルク・モータジェネレータ回転方向の各特性を示すタイムチャートである。ここでは、第1クラッチCL1を開放状態とし、モータ/ジェネレータMGの動力のみで走行するEVモード時、車両負荷が非常に大きい状態(急登坂路)において発進要求があった場合について説明する。
時刻t1以前において、車両負荷が非常に大きい状態(急登坂路)で車両停止中にアクセル踏み込みによる発進動作があると、図2Aに示すフローチャートにおいてステップS1→ステップS2→ステップS5→ステップS6→ステップS11→ステップS12へと進み、第1,第2クラッチCL1,CL2への制御圧及び無段変速機CVTへの制御圧に必要な油圧を確保できる範囲でモータ/ジェネレータMGの回転数を低下させると共に、フォワードクラッチFCをスリップ締結してON状態になる。
フォワードクラッチFCではスリップ締結によって摩擦熱が発生し、フォワードクラッチ温度は次第に上昇する。一方、リバースブレーキRBは開放してOFF状態になり、リバースブレーキ温度は一定のまま維持される。また、モータ/ジェネレータMGは正回転し、出力トルクの絶対値は発進に必要な大きさになる。
時刻t1において、フォワードクラッチ温度が第1許容温度に達すると、ステップS13→ステップS15へと進み、第2クラッチCL2においてフォワードクラッチFCからリバースブレーキRBへと掛け換えが実行される。つまり、フォワードクラッチFCの締結圧が次第に減少する一方、リバースブレーキRBの締結圧が次第に増加する。そして、フォワードクラッチ温度は、締結圧の減少に伴って次第に低下し、リバースブレーキ温度は、締結圧の増加に伴って次第に上昇する。また、このときモータ/ジェネレータMGの出力トルクを制限(ゼロにする)するため、モータ/ジェネレータMGは停止する。
時刻t2において、フォワードクラッチFCが開放してOFF状態になると共に、リバースブレーキRBがスリップ締結してON状態になると、ステップS16→ステップS17へと進み、モータ/ジェネレータMGを駆動すると同時に出力回転を反転して逆回転する。このときのモータ/ジェネレータMGの出力トルクの絶対値は発進に必要な大きさになる。そして、フォワードクラッチFCの開放によりフォワードクラッチ温度は一定温度に維持される。また、リバースブレーキRBでは摩擦熱が発生するので、リバースブレーキ温度は時間の経過と共に上昇する。
時刻t3において、リバースブレーキ温度が第2許容温度に達すると、ステップS18→ステップS19へと進み、第2クラッチCL2においてリバースブレーキRBからフォワードクラッチFCへと掛け換えが実行される。つまり、リバースブレーキRBの締結圧が次第に減少する一方、フォワードクラッチFCの締結圧が次第に増加する。そして、リバースブレーキ温度は、締結圧の減少に伴って次第に低下し、フォワードクラッチ温度は、締結圧の増加に伴って次第に上昇する。また、このときモータ/ジェネレータMGの出力トルクを制限(ゼロにする)ため、モータ/ジェネレータMGは停止する。
時刻t4において、フォワードクラッチFCがスリップ締結してON状態になると共に、リバースブレーキRBが開放してOFF状態になっても発進トルクが伝達できていなければ、ステップS20→ステップS21→ステップS13へと進み、モータ/ジェネレータMGを発進に必要な出力トルクを発生しつつ駆動すると同時に出力回転を反転して正回転する。以降、発進トルクを伝達可能になるまで繰り返す。
このように、モータ/ジェネレータMGの回転数を、油圧確保のために必要な回転数にまで引き下げても、第2クラッチCL2においてスリップ締結されたフォワードクラッチFCが第1許容温度に達する場合には、フォワードクラッチFCに換えて開放されていて発熱していないリバースブレーキRBを締結する。これにより、フォワードクラッチFCの熱保護を行うことができる。
また、フォワードクラッチFCは、モータ/ジェネレータMGの出力回転を正方向に伝達させる摩擦要素であり、リバースブレーキRBはモータ/ジェネレータMGの出力回転を逆方向に伝達させる摩擦要素である。そのため、フォワードクラッチFCからリバースブレーキRBに掛け換えたとき、モータ/ジェネレータMGの出力回転方向が一定(正回転)であれば、駆動輪の回転方向(車両の進行方向)が変わってしまう。
そこで、フォワードクラッチFCからリバースブレーキRBへの掛け換えと同時にモータ/ジェネレータMGの出力回転方向を反転させて逆回転にする(ステップS17)することで、駆動輪の回転方向(車両の進行方向)が変わらないようにでき、トルク伝達の継続を行うことができる。
なお、第1クラッチCL1が締結し、モータ/ジェネレータMGの回転がエンジンEngに伝達される状態では、モータ/ジェネレータMGの回転方向の反転によりエンジンEngが逆回転して破損するおそれがある。そこで、モータ/ジェネレータMGの出力回転を逆回転する時には、第1クラッチCL1を開放してエンジンEngとモータ/ジェネレータMG間の動力伝達を断接しておく。これにより、エンジンEngの回転方向とモータ/ジェネレータMGの出力回転方向とを必ず一致させなくてもよい。
そして、フォワードクラッチFCは熱容量が小さいため、開放すれば短時間で低温状態になる。そのため、リバースブレーキRBが第2許容温度に達したときには、このリバースブレーキRBから開放されて低温になったフォワードクラッチFCへ掛け換えることで、リバースブレーキRBの熱保護を行うことができる。また、この掛け換えと同時にモータ/ジェネレータMGの出力回転方向を反転して正回転にすることで、駆動輪の回転方向(車両の進行方向)は変わらず、トルク伝達を継続することができる。
そして、車両が発進するまでフォワードクラッチFCとリバースブレーキRBとの間の掛け換えを繰り返すと同時に、モータ/ジェネレータMGの回転方向制御をすることで、トルク伝達の継続を確保しつつ、摩擦要素であるフォワードクラッチFC及びリバースブレーキRBの温度上昇を抑制して過熱状態になることを防止できる。
なお、車両負荷が小さい(平坦路)場合では、図2Aに示すフローチャートにおいてステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4へと進み、アクセル開度に現れる運転手の要求に基づく車両の加速に応じて第2クラッチCL2のフォワードクラッチFCを徐々に締結して発進する。そして、要求駆動力が高いときには第1クラッチCL1を締結してエンジンEngを始動し、エンジンEngとモータ/ジェネレータMGの双方で駆動力を発生する。
また、車両負荷が少し大きい(緩登坂路)場合では、アクセル操作量(アクセル開度量)によっては、車両が加速せず、第2クラッチCL2においてフォワードクラッチFCのスリップ締結状態が継続することになって発熱の懸念がある。そこで、図2Aに示すフローチャートにおいてステップS1→ステップS2→ステップS5→ステップS6→ステップS7→ステップS8へと進み、発進が可能な範囲、つまり発進に必要なトルクを確保できる範囲でモータ/ジェネレータMGの回転数を低下させ、モータ/ジェネレータMGの回転数を制御した状態で車両の加速に応じて第2クラッチCL2のフォワードクラッチFCを徐々に締結して発進する。そして、要求駆動力が高いときには第1クラッチCL1を締結してエンジンEngを始動し、エンジンEngとモータ/ジェネレータMGの双方で駆動力を発生する。
さらに、下り勾配路の場合では、図2Aに示すフローチャートにおいてステップS1→ステップS2→ステップS5→ステップS9→ステップS10へと進み、アクセル開度に現れる運転手の要求に基づく車両の加速に応じて第2クラッチCL2のフォワードクラッチFCを徐々に締結して発進する。そして、要求駆動力が高いときには第1クラッチCL1を締結してエンジンEngを始動し、エンジンEngとモータ/ジェネレータMGの双方で駆動力を発生する。
さらに、実施例1では、モータ/ジェネレータMGのモータ出力軸MGoutにチェーンCHを介して機械式オイルポンプO/Pが連結され、モータ/ジェネレータMGの駆動力によって機械式オイルポンプO/Pが駆動する構成になっている。そのため、機械式オイルポンプO/Pの必要回転数(必要油圧を確保するために必要な回転数)を維持できる回転数が、モータ/ジェネレータMGの回転数の引き下げ限度となっている。つまり、第2クラッチCL2におけるフォワードクラッチFC及びリバースブレーキRBのスリップ量を制御するために、モータ/ジェネレータMGの回転数を低下させ過ぎると、油圧が維持できなくなる懸念がある。
しかしながら、本願発明では、フォワードクラッチFCとリバースブレーキRBとを交互に使用すると同時に、モータ/ジェネレータMGの回転方向制御を実行することで、油圧を維持すると共に、フォワードクラッチFC及びリバースブレーキRBの熱保護を行うことができる。
また、実施例1では、機械式オイルポンプO/Pからの吐出油圧が低下したときのためにサブモータS/Mによって作動する電動オイルポンプM/O/Pを備えているが、モータ/ジェネレータMGの回転数の引き下げ限界を、必要油圧を確保できる回転数までに制限することで必要油圧は担保される。そのため、電動オイルポンプM/O/Pを搭載しなくとも低コストの機械式オイルポンプO/Pだけで必要油圧を確保できる可能性がある。その結果、コストダウンを図ることができる。
さらに、実施例1の電動車両の制御装置では、フォワードクラッチFCとリバースブレーキRBとの掛け換え時にモータ/ジェネレータMGを停止することで、出力トルクを制限している。これにより、掛け換え時に発生する車両ショック等の違和感を低減することができる。
すなわち、フォワードクラッチFCとリバースブレーキRBとの掛け換え時に、モータ/ジェネレータMGからの出力トルクがあると車両ショックが発生してしまうが、出力トルクを制限することで、掛け換えに伴うショックを低減することができる。
次に、効果を説明する。
実施例1の車両の制御装置にあっては、下記に挙げる効果を得ることができる。
(1) 駆動モータ(モータ/ジェネレータMG)と駆動輪(左右駆動輪LT,RT)との間のトルク伝達を断接すると共に、前記駆動モータMGの出力回転を正方向に伝達させる第1摩擦要素(フォワードクラッチFC)と、前記駆動モータMGの出力回転を逆方向に伝達させる第2摩擦要素(リバースブレーキRB)とを有する前後進切替機構(第2クラッチCL2)と、前記前後進切替機構CL2を制御して前記第1摩擦要素FC及び前記第2摩擦要素RBの過熱防止を行う熱保護制御手段(図2A及び図2B)と、を備えた電動車両の制御装置において、前記第1摩擦要素FC又は前記第2摩擦要素RBの少なくとも一方の温度を検出する摩擦要素温度検出手段(フォワードクラッチ温度センサ22,リバースブレーキ温度センサ23)を有し、前記熱保護制御手段(図2A及び図2B)は、前記摩擦要素温度検出手段22,23により検出された温度が所定温度(第1,第2許容温度)に達すると、前記第1摩擦要素FCと前記第2摩擦要素RBとを掛け換えると共に、前記駆動モータMGの出力回転を反転する構成とした。このため、トルク伝達の継続を確保しつつ、摩擦要素FC,RBの温度上昇を抑制して過熱状態になることを防止できる。
実施例2は、前進用摩擦要素と後進用摩擦要素との掛け換え時の車両位置を保持する方法を実施例1と異ならせた例である。
まず、構成を説明する。ここで、実施例2における駆動系及び制御系については、実施例1と同様であるので説明を省略する。
図6は、実施例2の統合コントローラにて実行される熱保護制御処理の流れの要部を示すフローチャートである。つまり、この図6に示すフローチャートは、図2Aに示すフローチャートに続くものである。以下、実施例2における統合コントローラの処理内容の要部を、図6に示すフローチャートを用いて説明する。
ステップS201では、図2Aに示すフローチャートのステップS12に続き、スリップ締結状態のフォワードクラッチFCの温度と第1切替温度とを比較し、フォワードクラッチ温度よりも第1切替温度が小さいか否かを判断し、YES(フォワードクラッチ温度<第1切替温度)の場合はステップS202へ進み、NO(フォワードクラッチ温度≧第1切替温度)の場合はステップS203へ進む。ここで、フォワードクラッチ温度は、フォワードクラッチ温度センサ(摩擦要素温度検出手段)22により検出され、統合コントローラ10に入力される。また、第1切替温度は、フォワードクラッチFCのクラッチ性能を確保できる限界の温度である第1許容温度よりも低く、フォワードクラッチFCが第1切替温度から第1許容温度に達するまでの時間でリバースブレーキRBが所定の締結状態になることが可能な温度であり、任意に設定される。
ステップS202では、滑らかにフォワードクラッチFCを締結し、これにより発進トルクが伝達されて発進する。これにより、締結ショックのない発進を実現する。
ステップS203では、フォワードクラッチ温度が第1切替温度以上であるので、第2クラッチCL2においてリバースブレーキRBの締結を開始すると同時に、モータ/ジェネレータMGを停止し、ステップS204へ進む。
ステップS204では、リバースブレーキRBがスリップ締結したか否かを判断し、YES(スリップ締結)の場合はステップS205へ進み、NO(未スリップ締結)の場合はステップS203を繰り返す。ここで、リバースブレーキRBがスリップ締結したか否かの判断は、リバースブレーキRBのスリップ量が掛け換え以前のフォワードクラッチFCのスリップ量と等しいか否かに基づいて行う。つまり、掛け換え前におけるフォワードクラッチFCのスリップ量と、リバースブレーキRBのスリップ量とが等しくなれば、リバースブレーキRBがスリップ締結したと判断する。
ステップS205では、リバースブレーキRBがスリップ締結したので、第2クラッチCL2においてフォワードクラッチFCの開放を開始し、ステップS206へ進む。なお、このときモータ/ジェネレータMGは停止しつづけている。
ステップS206では、フォワードクラッチFCが開放したか否かを判断し、YES(開放)の場合はステップS207へ進み、NO(未開放)の場合はステップS205を繰り返す。
ステップS207では、モータ/ジェネレータMGの出力回転を反転させて逆回転にし、ステップS208へ進む。
ステップS208では、スリップ締結状態のリバースブレーキRBの温度と第2切替温度とを比較し、リバースブレーキ温度が第2切替温度以上であるか否かを判断し、YES(リバースブレーキ温度≧第2切替温度)の場合はステップS209へ進み、NO(リバースブレーキ温度<第2切替温度)の場合はステップS214へ進む。ここで、リバースブレーキ温度は、リバースブレーキ温度センサ(摩擦要素温度検出手段)23により検出され、統合コントローラ10に入力される。また、第2切替温度は、リバースブレーキRBのブレーキ性能を確保できる限界の温度である第2許容温度よりも低く、リバースブレーキRBが第2切替温度から第2許容温度に達するまでの時間でフォワードクラッチFCが所定の締結状態になることが可能な温度であり、任意に設定される。
ステップS209では、リバースブレーキ温度が第2切替温度以上であるので、第2クラッチCL2においてフォワードクラッチFCの締結を開始すると同時に、モータ/ジェネレータMGを停止し、ステップS210へ進む。
ステップS210では、フォワードクラッチFCがスリップ締結したか否かを判断し、YES(スリップ締結)の場合はステップS211へ進み、NO(未スリップ締結)の場合はステップS209を繰り返す。ここで、フォワードクラッチFCがスリップ締結したか否かの判断は、フォワードクラッチFCのスリップ量が再掛け換え以前のリバースブレーキRBのスリップ量と等しいか否かに基づいて行う。つまり、再掛け換え前におけるリバースブレーキRBのスリップ量と、フォワードクラッチFCのスリップ量とが等しくなれば、フォワードクラッチFCがスリップ締結したと判断する。
ステップS211では、フォワードクラッチFCがスリップ締結したので、第2クラッチCL2においてリバースブレーキRBの開放を開始し、ステップS212へ進む。なお、このときモータ/ジェネレータMGは停止しつづけている。
ステップS212では、リバースブレーキRBが開放したか否かを判断し、YES(開放)の場合はステップS213へ進み、NO(未開放)の場合はステップS211を繰り返す。
ステップS213では、モータ/ジェネレータMGの出力回転を反転させて正回転にし、ステップS214へ進む。
ステップS214では、発進トルクが伝達したか否かを判断し、YES(トルク伝達)の場合は発進し、NO(トルク未伝達)の場合はステップS201へ戻る。なお、発進トルクが伝達されて発進した際に、リバースブレーキRBが締結すると共にモータ/ジェネレータMGの出力回転が逆回転している場合には、発進後、リバースブレーキRBからフォワードクラッチFCへと掛け換えると共に、モータ/ジェネレータMGの出力回転を正回転に反転する。
次に作用を説明する。
実施例2の電動車両の制御装置における熱保護制御作用を説明する。
[熱保護制御作用]
図7は、実施例2の電動車両の制御装置における熱保護制御処理を説明するフォワードクラッチ状態・リバースブレーキ状態・フォワードクラッチ温度・リバースブレーキ温度・モータ/ジェネレータ出力トルク・モータ/ジェネレータ回転方向の各特性を示すタイムチャートである。ここでは、第1クラッチCL1を開放状態とし、モータ/ジェネレータMGの動力のみで走行するEVモード時、車両負荷が非常に大きい状態(急登坂路)において発進要求があった場合について説明する。
時刻t5以前において、車両負荷が非常に大きい状態(急登坂路)で車両停止中にアクセル踏み込みによる発進動作があると、図2Aに示すフローチャートにおいてステップS1→ステップS2→ステップS5→ステップS6→ステップS11→ステップS12へと進み、第1,第2クラッチCL1,CL2への制御圧及び無段変速機CVTへの制御圧に必要な油圧を確保できる範囲でモータ/ジェネレータMGの回転数を低下させると共に、フォワードクラッチFCをスリップ締結してフォワードクラッチ状態がON状態になる。
フォワードクラッチFCではスリップ締結によって摩擦熱が発生し、フォワードクラッチ温度は次第に上昇する。一方、リバースブレーキRBは開放してOFF状態であるため、リバースブレーキ温度は一定のまま維持される。また、モータ/ジェネレータMGは正回転し、出力トルクの絶対値は発進に必要な大きさになる。
時刻t5において、フォワードクラッチ温度が第1切替温度に達すると、図6に示すフローチャートにおいてステップS201→ステップS203へと進み、第2クラッチCL2においてフォワードクラッチFCはスリップ締結したままでリバースブレーキRBの締結が実行される。つまり、フォワードクラッチFCの締結圧は維持される一方、リバースブレーキRBの締結圧が次第に増加する。そして、フォワードクラッチ温度は、フォワードクラッチFCのスリップ締結状態が維持されるので第1切替温度を超えて上昇を続け、リバースブレーキ温度は、締結圧の増加に伴って次第に上昇する。また、このときモータ/ジェネレータMGの出力トルクを制限(ゼロにする)ため、モータ/ジェネレータMGは停止する。
時刻t6において、リバースブレーキRBがスリップ締結してON状態になると、ステップS204→ステップS205へと進み、第2クラッチCL2においてリバースブレーキRBをスリップ締結したままでフォワードクラッチFCの開放が実行される。なお、この時刻t6時点でフォワードクラッチ温度は第1許容温度に達するが、時刻t6以降フォワードクラッチFCの締結圧の減少に伴って次第に低下する。また、リバースブレーキ温度は、リバースブレーキRBがスリップ締結しているので上昇を続ける。さらに、このときモータ/ジェネレータMGの出力トルクの制限(ゼロにする)を続けるため、モータ/ジェネレータMGは停止し続ける。
時刻t7において、フォワードクラッチFCが開放してOFF状態になると、ステップS206→ステップS207へと進み、モータ/ジェネレータMGを駆動すると同時に出力回転を反転して逆回転する。このときのモータ/ジェネレータMGの出力トルクの絶対値は発進に必要な大きさになる。なお、フォワードクラッチFCの開放によりフォワードクラッチ温度は一定温度に維持される。
時刻t8において、リバースブレーキ温度が第2切替温度に達すると、ステップS208→ステップS209へと進み、第2クラッチCL2においてリバースブレーキRBはスリップ締結したままでフォワードクラッチFCの締結が実行される。つまり、リバースブレーキRBの締結圧は維持される一方、フォワードクラッチFCの締結圧が次第に増加する。そして、フォワードクラッチ温度は、締結圧の増加に伴って次第に上昇し、リバースブレーキ温度はリバースブレーキRBのスリップ締結状態が維持されるので第2切替温度を超えて上昇を続ける。また、このときモータ/ジェネレータMGの出力トルクを制限(ゼロにする)ため、モータ/ジェネレータMGは停止する。
時刻t9において、フォワードクラッチFCがスリップ締結してON状態になると、ステップS210→ステップS211へと進み、第2クラッチCL2においてフォワードクラッチFCをスリップ締結したままでリバースブレーキRBの開放が実行される。なお、この時刻t9時点でリバースブレーキ温度は第2許容温度に達するが、時刻t9以降リバースブレーキRBの締結圧の減少に伴って次第に低下する。また、フォワードクラッチ温度は、フォワードクラッチFCがスリップ締結しているので上昇を続ける。さらに、このときモータ/ジェネレータMGの出力トルクの制限(ゼロにする)を続けるため、モータ/ジェネレータMGは停止し続ける。
時刻t10において、リバースブレーキRBが開放してOFF状態になると、ステップS212→ステップS213へと進み、モータ/ジェネレータMGを駆動すると同時に出力回転を反転して正回転する。このときのモータ/ジェネレータMGの出力トルクの絶対値は発進に必要な大きさになる。なお、リバースブレーキRBの開放によりリバースブレーキ温度は一定温度に維持される。
そして、フォワードクラッチFCがスリップ締結してON状態になると共に、リバースブレーキRBが開放してOFF状態になっても発進トルクが伝達できていなければ、ステップS214→ステップS201へと戻り、以降、発進トルクを伝達可能になるまで繰り返す。
このように、時刻t5〜時刻t7及び時刻t8〜時刻t10において、フォワードクラッチFCとリバースブレーキRBとを掛け換える際に、一方が締結(スリップ締結)してから他方を開放する。つまり、クラッチ掛け換え中、第2クラッチCL2においてフォワードクラッチFCとリバースブレーキRBとが同時締結して左右駆動輪LT,RTがロック状態(いわゆるインターロック状態)になる。これにより、車両の位置を保持して勾配路での車両のずり下がりを防止することができる。
特に、実施例2では、クラッチ掛け換え中の車両ショックを抑制するためにモータ/ジェネレータMGの出力トルクを制限(停止)し、クラッチ掛け換え中にモータトルクが抜けた状態になっているが、左右駆動輪LT,RTをロックすることで掛け換え時間が長くなっても車両のずり下がりを確実に防止することができる。
次に、効果を説明する。
実施例2の車両の制御装置にあっては、実施例1の効果(1)に加え、下記に挙げる効果を得ることができる。
(2) 前記熱保護制御手段(図6)は、前記第1摩擦要素(フォワードクラッチFC)と前記第2摩擦要素(リバースブレーキRB)とを掛け換える際に、一方が締結してから他方を開放する構成とした。このため、摩擦要素の掛け換え中、第1摩擦要素FCと第2摩擦要素RBとが同時締結して駆動輪LT,RTをロック状態にすることで車両の位置を保持し、勾配路での車両のずり下がりを防止することができる。
実施例3は、前進用の第1摩擦要素と後進用の第2摩擦要素との掛け換え時の車両位置を保持する方法を実施例1及び実施例2と異ならせた例である。
まず、構成を説明する。ここで、実施例3における駆動系及び制御系については、実施例1と同様であるので説明を省略する。
図8は、実施例3の統合コントローラにて実行される熱保護制御処理の流れの要部を示すフローチャートである。つまり、この図8に示すフローチャートは、図2Aに示すフローチャートに続くものである。以下、実施例3における統合コントローラの処理内容の要部を、図8に示すフローチャートを用いて説明する。
ステップS301では、図2Aに示すフローチャートのステップS12に続き、スリップ締結状態のフォワードクラッチFCの温度と第1許容温度とを比較し、フォワードクラッチ温度よりも第1許容温度が小さいか否かを判断し、YES(フォワードクラッチ温度<第1許容温度)の場合はステップS302へ進み、NO(フォワードクラッチ温度≧第1許容温度)の場合はステップS303へ進む。ここで、フォワードクラッチ温度は、フォワードクラッチ温度センサ(摩擦要素温度検出手段)22により検出され、統合コントローラ10に入力される。また、第1許容温度は、フォワードクラッチFCのクラッチ性能を確保できる限界の温度であり、任意に設定される。
ステップS302では、滑らかにフォワードクラッチFCを締結し、これにより発進トルクが伝達されて発進する。これにより、締結ショックのない発進を実現する。
ステップS303では、フォワードクラッチ温度が第1許容温度以上であるので、第2クラッチCL2においてフォワードクラッチFCからリバースブレーキRBへと掛け換えると同時に、モータ/ジェネレータMGを停止し、且つ、第1クラッチCL1を締結し、ステップS304へ進む。
ステップS304では、リバースブレーキRBがスリップ締結したか否かを判断し、YES(スリップ締結)の場合はステップS305へ進み、NO(未スリップ締結)の場合はステップS303を繰り返す。ここで、リバースブレーキRBがスリップ締結したか否かの判断は、リバースブレーキRBのスリップ量が掛け換え以前のフォワードクラッチFCのスリップ量と等しいか否かに基づいて行う。つまり、掛け換え前におけるフォワードクラッチFCのスリップ量と、リバースブレーキRBのスリップ量とが等しくなれば、リバースブレーキRBがスリップ締結したと判断する。
ステップS305では、モータ/ジェネレータMGの出力回転を反転させて逆回転にすると同時に、第1クラッチCL1を開放してステップS306へ進む。
ステップS306では、スリップ締結状態のリバースブレーキRBの温度と第2許容温度とを比較し、リバースブレーキ温度が第2許容温度以上であるか否かを判断し、YES(リバースブレーキ温度≧第2許容温度)の場合はステップS307へ進み、NO(リバースブレーキ温度<第2許容温度)の場合はステップS310へ進む。ここで、リバースブレーキ温度は、リバースブレーキ温度センサ(摩擦要素温度検出手段)23により検出され、統合コントローラ10に入力される。また、第2許容温度は、リバースブレーキRBのブレーキ性能を確保できる限界の温度であり、任意に設定される。
ステップS307では、リバースブレーキ温度が第2許容温度以上であるので、第2クラッチCL2においてリバースブレーキRBからフォワードクラッチFCへと掛け換えると同時に、モータ/ジェネレータMGを停止し、且つ、第1クラッチCL1を締結し、ステップS308へ進む。
ステップS308では、フォワードクラッチFCがスリップ締結したか否かを判断し、YES(スリップ締結)の場合はステップS309へ進み、NO(未スリップ締結)の場合はステップS307を繰り返す。ここで、フォワードクラッチFCがスリップ締結したか否かの判断は、フォワードクラッチFCのスリップ量が再掛け換え以前のリバースブレーキRBのスリップ量と等しいか否かに基づいて行う。つまり、再掛け換え前におけるリバースブレーキRBのスリップ量と、フォワードクラッチFCのスリップ量とが等しくなれば、フォワードクラッチFCがスリップ締結したと判断する。
ステップS309では、モータ/ジェネレータMGの出力回転を反転させて正回転にすると同時に、第1クラッチCL1を開放しステップS310へ進む。
ステップS310では、発進トルクが伝達したか否かを判断し、YES(トルク伝達)の場合は発進し、NO(トルク未伝達)の場合はステップS301へ戻る。なお、発進トルクが伝達されて発進した際に、リバースブレーキRBが締結すると共にモータ/ジェネレータMGの出力回転が逆回転している場合には、発進後、リバースブレーキRBからフォワードクラッチFCへと掛け換えると共に、モータ/ジェネレータMGの出力回転を正回転に反転する。
次に作用を説明する。
実施例3の電動車両の制御装置における熱保護制御作用を説明する。
[熱保護制御作用]
図9は、実施例3の電動車両の制御装置における熱保護制御処理を説明するフォワードクラッチ状態・リバースブレーキ状態・フォワードクラッチ温度・リバースブレーキ温度・モータ/ジェネレータ出力トルク・モータ/ジェネレータ回転方向の各特性を示すタイムチャートである。ここでは、第1クラッチCL1を開放状態とし、モータ/ジェネレータMGの動力のみで走行するEVモード時、車両負荷が非常に大きい状態(急登坂路)において発進要求があった場合について説明する。
時刻t11以前において、車両負荷が非常に大きい状態(急登坂路)で車両停止中にアクセル踏み込みによる発進動作があると、図2Aに示すフローチャートにおいてステップS1→ステップS2→ステップS5→ステップS6→ステップS11→ステップS12へと進み、第1,第2クラッチCL1,CL2への制御圧及び無段変速機CVTへの制御圧に必要な油圧を確保できる範囲でモータ/ジェネレータMGの回転数を低下させると共に、フォワードクラッチFCをスリップ締結してフォワードクラッチ状態がON状態になる。
フォワードクラッチFCではスリップ締結によって摩擦熱が発生し、フォワードクラッチ温度は次第に上昇する。一方、リバースブレーキRBは開放してOFF状態であるため、リバースブレーキ温度は一定のまま維持される。また、モータ/ジェネレータMGは正回転し、出力トルクの絶対値は発進に必要な大きさになる。
時刻t11において、フォワードクラッチ温度が第1許容温度に達すると、図8に示すフローチャートにおいてステップS301→ステップS303へと進み、第2クラッチCL2においてフォワードクラッチFCからリバースブレーキRBへと掛け換えが実行される。つまり、フォワードクラッチFCの締結圧が次第に減少する一方、リバースブレーキRBの締結圧が次第に増加する。そして、フォワードクラッチ温度は、締結圧の減少に伴って次第に低下し、リバースブレーキ温度は、締結圧の増加に伴って次第に上昇する。また、このときモータ/ジェネレータMGの出力トルクを制限(ゼロにする)するため、モータ/ジェネレータMGは停止する。さらに、第1クラッチCL1を締結してON状態にし、左右駆動輪LT,RTとエンジンEngとの間の動力伝達を可能にする。
時刻t12において、フォワードクラッチFCが開放してOFF状態になると共に、リバースブレーキRBがスリップ締結してON状態になると、ステップS304→ステップS305へと進み、モータ/ジェネレータMGを駆動すると同時に出力回転を反転して逆回転する。このときのモータ/ジェネレータMGの出力トルクの絶対値は発進に必要な大きさになる。さらに、第1クラッチCL1を開放し、エンジンEngとモータ/ジェネレータMG間の動力伝達を断接する。そして、フォワードクラッチFCの開放によりフォワードクラッチ温度は一定温度に維持される。また、リバースブレーキRBでは摩擦熱が発生するので、リバースブレーキ温度は時間の経過と共に上昇する。
時刻t13において、リバースブレーキ温度が第2許容温度に達すると、ステップS306→ステップS307へと進み、第2クラッチCL2においてリバースブレーキRBからフォワードクラッチFCへと掛け換えが実行される。つまり、リバースブレーキRBの締結圧が次第に減少する一方、フォワードクラッチFCの締結圧が次第に増加する。そして、リバースブレーキ温度は、締結圧の減少に伴って次第に低下し、フォワードクラッチ温度は、締結圧の増加に伴って次第に上昇する。また、このときモータ/ジェネレータMGの出力トルクを制限(ゼロにする)ため、モータ/ジェネレータMGは停止する。さらに、第1クラッチCL1を締結してON状態にし、左右駆動輪LT,RTとエンジンEngとの間の動力伝達を可能にする。
時刻t14において、フォワードクラッチFCがスリップ締結してON状態になると、ステップS308→ステップS309へと進み、モータ/ジェネレータMGを駆動すると同時に出力回転を反転して正回転する。このときのモータ/ジェネレータMGの出力トルクの絶対値は発進に必要な大きさになる。なお、リバースブレーキRBの開放によりリバースブレーキ温度は一定温度に維持される。さらに、第1クラッチCL1を開放し、エンジンEngとモータ/ジェネレータMG間の動力伝達を断接する。
そして、フォワードクラッチFCがスリップ締結してON状態になると共に、リバースブレーキRBが開放してOFF状態になっても発進トルクが伝達できていなければ、ステップS310→ステップS301へと戻り、以降、発進トルクを伝達可能になるまで繰り返す。
このように、時刻t11〜時刻t12及び時刻t13〜時刻t14のように、フォワードクラッチFCとリバースブレーキRBとを掛け換える際に、第1クラッチCL1を締結してエンジンEngと駆動輪LT,RTとの間のトルク伝達を可能にすることで、エンジンEngが有する制動力、いわゆるエンジンブレーキを駆動輪LT,RTに作用させることができる。これにより、車両の位置を保持して勾配路での車両のずり下がりを防止することができる。
特に、実施例3では、クラッチ掛け換え中の車両ショックを抑制するためにモータ/ジェネレータMGの出力トルクを制限(停止)し、クラッチ掛け換え中にモータトルクが抜けた状態になっているが、左右駆動輪LT,RTにエンジンブレーキを作用させることで掛け換え時間が長くなっても車両のずり下がりを確実に防止することができる。
次に、効果を説明する。
実施例3の車両の制御装置にあっては、実施例1の効果(1)に加え、下記に挙げる効果を得ることができる。
(3) 前記駆動モータ(モータ/ジェネレータMG)の上流側にエンジンEngと、該エンジンEngと前記駆動モータMGとの間のトルク伝達を断接する摩擦締結要素(第1クラッチCL1)とを有し、前記熱保護制御手段(図8)は、前記第1摩擦要素(フォワードクラッチFC)と前記第2摩擦要素(リバースブレーキRB)とを掛け換える際に、前記摩擦締結要素CL1を締結する構成とした。このため、摩擦要素FC,RBの掛け換え中、駆動輪(左右駆動輪LT,RT)にエンジンブレーキを作用させることで車両の位置を保持し、勾配路での車両のずり下がりを防止することができる。
以上、本発明の車両の制御装置を実施例1〜実施例3に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1では、パラレルハイブリッド車両用に適用する例を示したが、FRハブリッド車両やFFハイブリッド車両は勿論のこと、駆動源にモータのみ、あるいはモータ/ジェネレータのみを備えた電気自動車に適用することもできる。また、実施例1では、第2クラッチCL2と駆動輪LT,RTとの間に無段変速機CVTを配置したが、手動変速機や有段の自動変速機であってもよい。
さらに、実施例1〜実施例3では、クラッチ掛け換え中の車両ショック抑制のために、モータ/ジェネレータMGを停止して出力トルクをゼロにしているが、必ずしもモータ/ジェネレータMGの出力トルクをゼロにする必要はなく、車両ずり下がりを防止するために、低出力トルクに制御してもよい。
さらに、実施例1〜実施例3では、摩擦要素温度検出手段としてフォワードクラッチ温度センサと、リバースブレーキ温度センサとを設けたが、少なくともどちらか一方設けておいてもよい。
例えば、フォワードクラッチFCの温度を検出するフォワードクラッチ温度センサのみを設けた場合では、フォワードクラッチ温度が第1許容温度に達したらリバースブレーキRBへ掛け換え、その後、開放されているフォワードクラッチFCが冷えたと判断できる所定温度に達したらフォワードクラッチFCへ再び掛け換えるようにする。
これにより、フォワードクラッチFCの熱保護を確実に行うことができる。また、フォワードクラッチFCは熱容量が小さいため短時間で冷却するので、リバースブレーキ温度が第2許容温度に達する前にフォワードクラッチFCが冷えたと判断できる所定温度になると考えられ、リバースブレーキRBの熱保護も担保することができる。
MG モータ/ジェネレータ(駆動モータ)
LT 左駆動輪(駆動輪)
RT 右駆動輪(駆動輪)
CL2 第2クラッチ(前後進切替機構)
FC フォワードクラッチ(第1摩擦要素)
RB リバースブレーキ(第2摩擦要素)
22 フォワードクラッチ温度センサ(摩擦要素温度検出手段)
23 リバースブレーキ温度センサ(摩擦要素温度検出手段)

Claims (3)

  1. 駆動モータと駆動輪との間のトルク伝達を断接すると共に、前記駆動モータの出力回転を正方向に伝達させる第1摩擦要素と、前記駆動モータの出力回転を逆方向に伝達させる第2摩擦要素とを有する前後進切替機構と、前記前後進切替機構を制御して前記第1摩擦要素及び前記第2摩擦要素の過熱防止を行う熱保護制御手段と、を備えた電動車両の制御装置において、
    前記第1摩擦要素又は前記第2摩擦要素の少なくとも一方の温度を検出する摩擦要素温度検出手段を有し、
    前記熱保護制御手段は、前記摩擦要素温度検出手段により検出された温度が所定温度に達すると、前記第1摩擦要素と前記第2摩擦要素とを掛け換えると共に、前記駆動モータの出力回転を反転することを特徴とする電動車両の制御装置。
  2. 請求項1に記載された電動車両の制御装置において、
    前記熱保護制御手段は、前記第1摩擦要素と前記第2摩擦要素とを掛け換える際に、一方が締結してから他方を開放することを特徴とする電動車両の制御装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載された電動車両の制御装置において、
    前記駆動モータの上流側にエンジンと、該エンジンと前記駆動モータとの間のトルク伝達を断接する摩擦締結要素とを有し、
    前記熱保護制御手段は、前記第1摩擦要素と前記第2摩擦要素とを掛け換える際に、前記摩擦締結要素を締結することを特徴とする電動車両の制御装置。
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