JP2010239736A - 電力変換装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ダイオード素子からなり交流系統1の電圧を整流して直流母線PNに出力する整流回路2、半導体スイッチング素子からなり直流母線PNの電圧を交流に変換して負荷4に供給するインバータ3、直流母線PN間に接続されたシャントスイッチ6とシャント抵抗7との直列体からなる電圧クランプ回路8、および直流母線PN間の電圧が所定の過電圧に達したときシャントスイッチ6をONするスイッチ制御回路11を備えた。
【選択図】図2
Description
整流回路は、通常、出力の直流電圧をほぼ一定にするように設計されているが、この電圧はいろいろな理由によって変動する。特に、整流回路にスイッチングを行うような能動素子がなく、例えば、ダイオードブリッジだけで構成された整流回路の場合、その出力電圧は入力あるいは負荷の状況によって変動する可能性が高い。この直流電圧が変動すると、負荷の動作に影響することはもちろんであるが、特に重要なのは、この電圧値が急に上昇した場合に、インバータの素子の耐圧を超えてインバータが破壊する危険がある場合である。
このことは整流方式によって力率を向上させている場合には特に重要となる。例えば、特許文献2のように、整流方式を多相整流として力率を向上させている場合、平滑コンデンサの容量が受電力率を決める大きな要因となる。
この発明は、以上のような従来の問題点を解消するためになされたもので、特に、多相整流回路を用いて高い受電力率を可能とすべく、平滑コンデンサの容量をある程度の大きさ以下に小さく設定しても、耐圧以上に直流母線電圧が上昇してインバータを破損する恐れがない電力変換装置を得ることを目的とする。
図1に本発明に係る電力変換装置の基本的な構成を示す。まず、受電は、交流系統1から商用周波数の交流波形電圧を受電する。交流系統1から受電端までには、配線などに起因する浮遊のインダクタンス5が存在する。この交流電圧を整流回路2で概ね直流電圧に変換して直流母線PNに出力し、この直流電圧(直流母線間電圧)をインバータ3によって所望の交流波形電圧に変換し、負荷4を駆動する。このとき、直流母線間に、シャント抵抗7とシャントスイッチ6とからなる電圧クランプ回路8が設けられている。図1では、受電電圧は単相で書かれているが、受電電圧は単相交流の場合も三相交流の場合もある。また、インバータ3の出力、つまり負荷4の駆動電圧も単相であるが、これについても単相の場合もありうるし、三相の場合もありうる。
このとき、インバータ3の手前から、交流系統1に至るまでに存在する浮遊のインダクタンス5には、急停止前の通常動作時に流れていた電流によるエネルギーが蓄積されている。インバータ3が急停止するとこのエネルギーの行き場が無くなり、インバータ3前段の平滑コンデンサ10に流れ込む。
図3は、図2のスイッチ制御回路11の具体例である、この発明の実施の形態2におけるスイッチ制御回路11を示す構成図である。即ち、電圧クランプ回路8は直流母線の電圧をある一定値以下に抑えるためのものであるので、その制御を行うためには、まずは直流母線電圧を検出することが考えられる。図3は、その電圧検出の様子を示したものである。直流母線電圧を検出する電圧検出回路12、およびこの信号を受けて制御を行う駆動回路13から構成される。
なお、図5では、過電圧検出部17は、ツェナーダイオード素子のみの直列体で構成したが、その一部に例えば抵抗素子を含む直列体で構成してもよい。
スイッチ制御回路により電圧クランプ回路8を駆動する方法として更なる別案が考えられる。即ち、電圧クランプ回路8が動作すべきなのは、インバータ3が急に遮断した場合である。このことから、インバータ3の遮断の信号を受けて電圧クランプ回路8を動作させるという方法が考えられる。
図6は、その別案を適用した、この発明の実施の形態3におけるスイッチ制御回路を示す構成図である。
即ち、この実施の形態3では、インバータ3が保護動作で遮断され、直流母線間の電圧が過電圧を超える恐れが想定されるという段階で電圧クランプ回路8が動作するため、インバータ3のより確実な保護が可能になる。
さて、本発明の主目的はインバータ3を保護することにあるが、これは平滑コンデンサ10を低容量化した場合に必要になることが多い。平滑コンデンサ10を低容量化する目的の一つは、既述したように受電の力率を上げるためである。このため、本発明が適用される場合の整流回路2の形態として、安価なトランス9+ダイオードブリッジの整流回路2を用いていること、平滑コンデンサ10を通常よりも小容量化していること、の2つの特徴が考えられる。これらの技術と本発明が組み合わされた場合について、以下、本発明の実施の形態4としてその具体的な構成を説明する。
更に、2次巻線の数を増やして3つにすると、図8に示したような18相整流となる。この場合は2次巻線を、±20゜ずらして出力する。この場合は、整流後の電圧を足し合わせたあとの凹凸の周期が20゜ごとになり、18相整流となって、さらに平滑度が向上し受電の力率が向上する。
そして、2つのインバータ3A、3Bの出力を直列に接続して負荷4に供給している。耐圧の問題でインバータを多数直列にする必要がある場合の構成であるが、このような構成にしても図9に示したような構成と同等の効果が得られる。
同様に、図11では、2つのインバータ3A、3Bそれぞれが別の負荷4A、4Bを駆動しているが、このような場合についても同様である。但し、この場合に2つの負荷4A、4Bへの電流が、平均的に同じ程度である必要がある。
なお、多相整流の場合は、トランスの構造が複雑になったり、整流用のダイオードが多数必要になったりするが、2次巻線は耐圧が低くなりトランスの容量としては大きく変化しない。ダイオードの耐圧も下がるため、コストの増加もそれほど大きくない。
このように、多相整流の技術を用いることでアクティブな素子を用いない安価な構成で受電の力率を向上させることができるが、一般には、その力率は95%程度であって、この方式だけでこれ以上の力率を実現することは難しい。力率をこの値以上に向上させる方法として、平滑コンデンサ10の容量を更に小さくすることが考えられる。
電圧クランプ回路8を備えた本願発明を利用して力率の一層の向上を図る場合を、以下、実施の形態5として説明する。
平滑コンデンサ10の容量を小さくした場合の問題の一つとして、平常時の直流母線電圧の変動が大きくなるという点が挙げられる。多相整流にすることで整流後の電圧の平滑度はかなり向上しているが、十分に電圧を一定に近づけたい場合は、平滑コンデンサ10として一定以上の容量のものがどうしても必要になる。逆に言えば、本発明は、平常時の直流母線電圧の変動がある程度許容できる用途に適用することで有利性を発揮することができる。
4,4A,4B 負荷、5 浮遊インダクタンス、6 シャントスイッチ、
7 シャント抵抗、8 電圧クランプ回路、10 平滑コンデンサ、
11 スイッチ制御回路、12 電圧検出回路、13 駆動回路、14 抵抗分圧器、
15 比較器、16 基準電圧、17 過電圧検出部、18 オン動作部、
20 インバータ制御回路、22 停止信号生成手段。
Claims (8)
- ダイオード素子からなり商用周波数の交流系統の電圧を整流して直流母線に出力する整流回路、半導体スイッチング素子からなり前記直流母線の電圧を交流に変換して負荷に供給するインバータ、前記直流母線間に接続されたスイッチと抵抗器との直列体からなる電圧クランプ回路、および前記直流母線間に所定の過電圧を超える電圧が発生しないよう前記直流母線間の電圧が前記所定の過電圧に達したときまたはその恐れがあるとき平常時開路状態にある前記スイッチを閉路するスイッチ制御回路を備えた電力変換装置。
- 前記スイッチは、制御端子を備えた半導体スイッチング素子であることを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
- 前記スイッチ制御回路は、前記直流母線間の電圧を検出する電圧検出回路、およびこの電圧検出回路の出力が前記所定の過電圧に達したとき前記スイッチを閉路させる駆動回路を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の電力変換装置。
- 前記スイッチ制御回路は、前記インバータがその保護動作で運転動作を停止する停止信号を生成する手段、この停止信号生成手段からの停止信号を入力したとき前記スイッチを閉路させる駆動回路を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の電力変換装置。
- 前記スイッチ制御回路は、前記直流母線間に接続され前記直流母線間の電圧が前記所定の過電圧に達したときアバランシェ降伏動作を呈するツェナーダイオード素子を直列要素に含む過電圧検出部、およびこの過電圧検出部と前記半導体スイッチング素子の制御端子とを接続し前記ツェナーダイオード素子のアバランシェ降伏動作で流れる電流を前記半導体スイッチング素子の制御端子に供給し前記半導体スイッチング素子をターンオンさせるオン動作部を備えたことを特徴とする請求項2記載の電力変換装置。
- 前記交流系統が3相交流系統の場合、前記整流回路は、前記直流母線に18相以上の多相整流を出力する多相整流回路としたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電力変換装置。
- 前記直流母線間に平滑コンデンサを接続する場合、定格時の前記交流系統からの受電力率が98%以上となるよう、前記平滑コンデンサの容量を設定するようにしたことを特徴とする請求項6記載の電力変換装置。
- 前記負荷はオゾン発生装置であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の電力変換装置。
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