JP2010235417A - 多孔体、金属−セラミックス複合材料、及びそれらの製造方法 - Google Patents

多孔体、金属−セラミックス複合材料、及びそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】加圧浸透法により金属−セラミックス複合材料を得るための高強度の多孔体を提供し、クラックやメタルリッチ層、浸透不良が生じず、低コストで剛性の高い金属−セラミックス複合材料の作製を可能とする。
【解決手段】加圧浸透法によりアルミニウムまたはアルミニウム合金を浸透させて金属−セラミックス複合材料を得るためのSiCを主成分とする多孔体であって、Siとカーボンが反応してなる反応焼結SiCを1〜10質量%含み、SiCの充填率が50体積%以上であり、カーボン含有率が0.1質量%未満、Si含有率が0.5質量%未満であることを特徴とする多孔体。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属−セラミックス複合材料の製造方法に関し、特に加圧浸透法による金属−セラミックス複合材料の製造方法に関するものである。
セラミックス粉末またはセラミックス繊維と金属との複合材料の製造方法には、鋳造法、加圧鋳造法、加圧浸透法、非加圧浸透法、粉末冶金法等の方法がある。そのうち加圧浸透法は、セラミックス粉末またはセラミックス繊維の多孔体を形成して、その多孔体に溶融したアルミニウムを浸透させる方法である。加圧浸透法によれば、圧力を高めることにより、アルミニウムを強制的に浸透させることができ、比較的緻密な複合材料が得られる。また、予め多孔体を所定形状に形成してアルミニウムを浸透させれば、ニアネットで複合材料が得られ余分な加工を減らすことができる。
この製造方法では、多孔体にアルミニウムを細部まで浸透させるために高圧力をかける必要がある。したがって、多孔体の強度が弱かったり、クラックがあったりすると浸透時の圧力に耐え切れず、多孔体に割れが生じ、そこにアルミニウムが浸透されて、ライン状のメタルリッチ層が発生してしまう。このメタルリッチ層は他のセラミックスが高充填されている箇所と比較すると強度に劣る可能性があるため、特性に影響がでると考えられる。そこで、多孔体の強度を高める方法が種々検討されている。
例えば、特許文献1には、気孔径が5〜70μmの多孔質セラミックス焼結体の気孔内に、マトリックス金属の溶湯を加圧浸透して金属−セラミックス複合材料を得る方法が開示されている。この多孔質セラミックス焼結体は、放電プラズマ焼結法、雰囲気焼結法、再結晶法、反応焼結法等の各種焼結法により作製されている。
また、特許文献2には、金属等を含侵するマトリックス材として好適に用いられるSiC多孔体の例として、気孔径が5〜60μmの範囲に分布し、30〜50%の気孔率を有する多孔体が開示されている。この多孔体は、Ar雰囲気中、2200〜2500℃の温度範囲で得られるもので、高い強度を有している。
特開2000−336438号公報 特開2001−151579号公報
しかしながら、これらの文献に開示された方法では、高い強度のSiC多孔体は得られるものの、2000℃を超えるような高い温度での焼結が必要であり、多孔体の製造コストが高くなってしまう。また、特許文献1には、比較的低温で焼結する方法として、反応焼結法が挙げられているが、具体的な構成や、方法は記載されておらず、どのような条件によれば金属−セラミックス複合材料としたときに十分な品質のものが得られるのか不明であった。
また、その他の多孔体の強度を高める方法としてバインダーの添加量を増やす方法が挙げられる。バインダーの種類としては、カーボンを主成分とする有機バインダーと酸化物などを主成分とする無機バインダーを用いることができる。しかし、有機バインダーを多量に用いた場合、主成分であるカーボンが残炭となり、浸透させたアルミニウムと反応して炭化アルミニウム(Al)が発生する。このAlは水分と反応して水酸化アルミニウムへと変化しやすい。その変化が金属−セラミックス複合材料内部で発生すると複合材料自体の強度が大幅に低下することがある。また、無機バインダーを多量に用いるとセラミックス粒子間をバインダーが埋めてしまうため、浸透不良が発生したり、それを防止するために浸透圧力を高くしなければならないので不都合が生じたりする。さらに無機バインダーはシリカなどの非晶質のものが多く、それが金属−セラミックス複合材料内に多量に存在すると強度の低下、剛性の低下、熱伝導率の低下など特性に大きな影響を及ぼすという問題点があった。
本発明は、これらの問題に鑑みてなされたものであり、加圧浸透法により金属−セラミックス複合材料を得るための高強度の多孔体を提供し、クラックやメタルリッチ層、浸透不良が生じず、低コストで剛性の高い金属−セラミックス複合材料を作製可能とするものである。
本発明は、以下の(1)〜(7)を提供する。
(1)加圧浸透法によりアルミニウムまたはアルミニウム合金を浸透させて金属−セラミックス複合材料を得るためのSiCを主成分とする多孔体であって、Siとカーボンが反応してなる反応焼結SiCを1〜10質量%含み、SiCの充填率が50体積%以上であり、カーボン含有率が0.1質量%未満、Si含有率が0.5質量%未満であることを特徴とする多孔体。
(2)カーボン及びSiを含まないこと特徴とする(1)の多孔体。
(3)上記(1)または(2)の多孔体に加圧浸透法によりアルミニウムまたはアルミニウム合金が浸透された金属−セラミックス複合材料であって、気孔率が0.1%以下である金属−セラミックス複合材料。
(4)ヤング率が200GPa以上である(3)の金属−セラミックス複合材料。
(5)SiC粉末に有機バインダーとSi粉末を所定量添加して混合粉末を得る工程と、
前記混合粉末を成形して成形体を得る工程と、前記成形体を大気中で加熱して残留カーボンを生成する工程と、非酸化雰囲気で前記残留カーボンとSiを反応させて反応焼結SiCを生成する工程と、前記反応焼結SiCを生成する工程において残留したSiを除去する工程とを含む多孔体の製造方法。
(6)有機バインダーの添加は、残留カーボンがSiC粉末100質量部に対して2〜10質量部となる添加量とし、Si粉末の添加は、残留カーボンとの質量比(Si粉末質量部/残留カーボン質量部)がの2.5以上となる添加量とする(5)の多孔体の製造方法。
(7)上記(5)または(6)に記載の製造方法により得られた多孔体にアルミニウムまたはアルミニウム合金を加圧浸透させる金属−セラミックス複合材料の製造方法。
加圧浸透法により金属−セラミックス複合材料を得るための高強度の多孔体を提供し、クラックやメタルリッチ層、浸透不良が生じず、低コストで剛性の高い金属-セラミックス複合材料が作製可能となる。
以下、本発明の多孔体および金属−セラミックス複合材料について、より詳細に説明する。
本発明の多孔体は、SiCを主成分とし、Siとカーボンが反応して得られた反応焼結SiCを1〜10質量%含む。これは、反応焼結SiCの量をこのような範囲に調整することで、多孔体の強度を高めると同時に、その後のアルミニウムまたはアルミニウム合金の浸透を円滑に進行させるためである。反応焼結SiCの量が1質量%より少ないとSiC同士のネッキングによる接着箇所が少なくなり、多孔体の強度が低下するため好ましくない。また、10質量%より多いとSiとカーボンが反応しSiCが形成される際の体積変化により多孔体にクラックが発生する原因となるため好ましくない。
また、反応焼結SiCは、成形体に含まれる有機バインダーを炭化して得られる残留カーボンがSiと反応して生成したものであることが好ましい。その他のカーボン源としては、カーボン繊維が考えられるが、この場合は、繊維の特殊形状に起因してSiとカーボンの反応による反応熱や体積変化の影響を大きく受け、多孔体にクラックが発生しやすいため好ましくない。
SiCの充填率は、50体積%以上が好ましい。ここで、SiCの充填率とは、SiC粉末由来のSiCと反応焼結SiCとを合わせたものの充填率である。これよりも充填率が小さくなると、多孔体の形状を保持する強度を発現することが困難であり、更に加圧浸透のときにクラックが生じ、そこにメタルリッチ層が発生し易くなる。また、50体積%以上であれば、得られる多孔体及び金属−セラミックス複合材料の剛性も高まるため好ましい。例えば、多孔体の曲げ強度を10MPa以上とすることができる。
また、多孔体に含まれるカーボン含有率は、0.1質量%未満とすることが好ましい。多孔体にカーボンが含まれると、カーボンとアルミニウムが反応し、Alを生成するため望ましくない。したがって、多孔体にはカーボンが含まれないことが望ましい。ここでいうカーボンとは残留カーボンに起因する炭素を意味し、SiCを構成する炭素は含まない。
また、多孔体に含まれるSi含有率は、0.5質量%未満とすることが好ましい。Siが多く含まれると、アルミニウムまたはアルミニウム合金の浸透不良が発生するためである。この理由は、溶融したアルミニウムまたはアルミニウム合金と多孔体に含まれるSiが接触すると潜熱により温度が低下して、溶融したアルミニウム等が固化するためである。これまで、反応焼結SiCを含む多孔体にアルミニウム等を浸透させる場合には、反応焼結SiCの生成により微細な気孔が多く形成されるため、高い圧力が必要と考えられてきた。低い圧力では、アルミニウム等が微細な気孔に浸透しないと考えられたためである。しかしながら、本発明のように、反応焼結に消費されなかった未反応のSiを除去してSi含有率を0.5未満とすることにより、過剰な圧力を加えなくとも浸透不良を発生させることなく浸透できることが分かった。したがって、多孔体にはSiが含まれないことが望ましい。なお、ここでいうSiとは金属Siを意味し、SiCを構成する珪素は含まない。
さらに、上記多孔体に加圧浸透法によりアルミニウムまたはアルミニウム合金を浸透して得られる金属−セラミックス複合材料の気孔率は、0.1%以下とすることができる。上記のように、多孔体に含まれるSiを上記範囲とすることにより、アルミニウムまたはアルミニウム合金の浸透不良を抑え、緻密な金属−セラミックス複合材料を得ることができる。
また、本発明の金属−セラミックス複合材料は、上述のように多孔体自体の曲げ強度が高いことに加え、アルミニウム等の浸透不良が抑えられ、緻密であることから、200GPa以上のヤング率を有する。
次に多孔体の製造方法について詳細に説明する。
多孔体の製造方法は、SiC粉末に有機バインダーとSi粉末を所定量添加して混合粉末を得る工程と、前記混合粉末を成形して成形体を得る工程と、前記成形体を大気中で加熱して残留カーボンを生成する工程と、非酸化雰囲気で前記残留カーボンとSiを反応させて反応焼結SiCを生成する工程と、前記反応焼結SiCを生成する工程において残留したSiを除去する工程とが含まれる。また、SiC粉末にSi粉末を添加せずに、残留カーボンとSiを反応させて反応焼結SiCを生成する工程において、外部からSiを供給することもできる。
SiC粉末としては、例えば、純度が99%以上で#180〜#800の工業用の研磨材として用いられているものを適用することができる。粒度の配合については#180と#700を混合するなど粗粒と細粒を組み合わせてSiCの充填率を向上させることができる。なお、細粒は平均粒径が5μm以上のものを用いることが好ましい。平均粒径5μm未満の微粉を使用するとSiとカーボンの反応による反応熱や体積変化の影響を大きく受け、多孔体にクラックが発生しやすいため好ましくない。
有機バインダーの添加量は、成形体を加熱して残留カーボンを生成したときの残留カーボン量が、成形体に含まれるSiC粉末100質量部に対して2〜10質量部となるように調整することが好ましい。このような範囲であれば、十分な成形体強度を得ることができる。また、過剰な残留カーボンをSiと反応させるためにSiをも過剰に添加すると反応焼結SiCが多量に発生し、体積変化により多孔体にクラックが発生してしまう。
有機バインダーとしては、フェノール樹脂のように残炭が50%程度のものが好ましい。形状は粉末でも液体でも構わない。フェノール樹脂は熱を加えることにより低温で硬化するため、多孔体を加工することも可能である。その他適用可能な有機バインダーとしては、アクリル、エポキシ等が挙げられる。また、上述のようにその他のカーボン源としては、カーボン繊維が考えられるが、この場合は、繊維特有の形状に起因してSiとカーボンの反応による反応熱や体積変化の影響を大きく受け、多孔体にクラックが発生しやすいため好ましくない。なお、カーボンブラック等のカーボン粉末を有機バインダーと併せて添加しても良い。
添加するSi粉末としては、平均粒径が100μm以下の粉末が好ましく、50μm以下の粉末がより好ましく、1〜50μm以下がさらに好ましい。微細なSi粉末ではSi表面に存在するSiO成分により、十分なSiを供給することができなかったり、過剰に添加するとSiCの充填率を向上させることができなかったりといった問題が生じる場合があり好ましくない。また、平均粒径が大きい場合、Siを除去する工程を経た後も上記のSiO成分が残留し、アルミニウムの浸透を阻害し、組織不良を発生する可能性がある。また純度は99%以上が好ましい。純度が低いとSiとカーボンの反応に影響が出る可能性がある。なお、本明細書において平均粒径とは、レーザー回折式粒度分布測定によるメディアン径D50を意味する。
Si粉末の添加は、上記残留カーボン量との質量比(Si粉末質量部/残留カーボン質量部)が2.5以上となるような添加量が好ましい。残留カーボン量とSi粉末の添加量とを上記所定の関係にすることにより、SiCの充填率や、多孔体へのアルミニウム等の浸透の制御が容易になる。また、Si粉末を添加して混合粉末としたものを成形体とすることにより、外部からSiを供給するよりも残留カーボンと漏れなく反応させることが容易になる。なお、Si粉末の添加は、上記質量比で2.5〜10が好ましく、2.5〜5がより好ましい。Si粉末が多すぎるとSiC充填率が低下するので好ましくない。
混合粉末の成形方法は、乾式プレス成形や湿式成形等の公知の方法を用いることができる。なかでも乾式プレス成形が望ましい。これはプレスした際に熱を加えることにより、添加したフェノール樹脂が硬化し、成形体の取り扱いが容易になるからである。
成形体中に残留カーボンを生成する工程、すなわち脱脂工程は、400〜1000℃の大気中で行うことが好ましい。これにより成形体の残留カーボンを所定量に調整することができる。これより低温では樹脂が十分に炭化しないおそれがある。またこれよりも高温では残炭が微量となり、反応焼結SiCを生成するためのカーボンが不足するおそれがある。
残留カーボンとSiを反応させる工程は、非酸化雰囲気下、1500〜1700℃とすることが好ましい。これより低温ではSiと残留カーボンの反応が十分行われず、多孔体における反応焼結SiC量の含有率も低下し、Siおよびカーボンが残ってしまう。これより高温で行うとSiの蒸発が顕著に発生し、Si不足により多孔体における反応焼結SiC量が少なくなり、カーボンが残ってしまう。非酸化雰囲気は、真空中、または窒素、アルゴンの不活性ガス雰囲気とすることができる。なかでも真空中またはAr中が好ましい。雰囲気圧力は、0.01〜1.0MPaとすることができる。このような条件で残留カーボンとSiを反応させることにより、カーボン含有率が0.1質量%未満、より好ましくは0.01質量%未満、さらに好ましくは、カーボンを含まない多孔体を得ることができる。
次に前記反応焼結SiCを生成する工程において残留したSiを除去する。Siを除去する工程は、熱処理する場合には、5×10−1Pa以下の真空中、1450〜1700℃の熱処理温度とすることが好ましい。また、多孔体を溶融水酸化ナトリウム、塩酸、硫酸、硝酸、フッ化水素酸等に浸漬処理することによっても、Siを除去することができる。このような条件で処理することにより、Siが除去され、Si含有率が0.5質量%未満、より好ましくは0.01質量%未満、さらに好ましくはSiを含まない多孔体を得ることができる。これにより多孔体にアルミニウム等を浸透して得られる金属−セラミックス複合材料の浸透不良の問題を解消することが出来る。その結果、金属−セラミックス複合材料は、きわめて緻密化し200GPa以上のヤング率を示す。なお、熱処理によりSiを除去する場合に上記熱処理温度範囲よりも高温では、反応焼結SiCの粒成長により脆化する可能性があるため好ましくない。
次に、上記のようにして得られた多孔体を用いて金属−セラミックス複合材料を製造する方法を説明する。
多孔体に浸透させる金属は、アルミニウムまたはアルミニウム合金を用いることが好ましい。具体的には、例えば純度99.0%以上の純アルミニウムやAC8Aなどの一般的に用いられている合金を用いることができる。
浸透時の圧力は、5〜80MPaが好ましく、10〜80MPaがより好ましい。これより低い圧力では多孔体の細孔に十分にアルミニウムまたはアルミニウム合金が浸透せず、ヤング率などの特性において十分なものが得られないおそれがある。これより高いと圧力が高すぎて、多孔体にクラックが生じるおそれがある。例えば、反応焼結SiCを含む多孔体を得る前の成形体にアルミニウム等を浸透させるとクラックやメタルリッチ層が生じる。また、多孔体にSiを0.5質量%以上含む場合には、上記圧力よりも高い圧力を加えても潜熱に起因して浸透不良が生じ易い。本発明によれば、比較的低い圧力、例えば5〜20MPa、さらには5〜15MPaで浸透させることができる。特に大型の複合材料を製造する場合には、広い面積を加圧するための加圧装置に要するコストが莫大になるため、低い圧力で浸透できることはコスト面において有利である。
またアルミニウムまたはアルミニウム合金の溶融温度は、融点以上であって、十分に浸透が進行する温度であれば良い。具体的には、650〜800℃の溶融温度を採用することができる。浸透の際に周囲の治具に熱を奪われるなどして浸透が十分に行われないような場合には、周囲の治具にヒーターを内蔵したり、外部から加熱したりしながら浸透させても良い。800℃より高温ではアルミニウムの酸化が著しく、作業工程上問題が生じる。
以下、本発明の実施例を比較例とともに具体的に挙げ、本発明をより詳細に説明する。
[SiC多孔体及び金属−セラミックス複合材料の作製]
市販のSiC粉末(#800(JISR6001規定の粒度))、Si粉末(平均粒径20μm)、フェノール樹脂粉末(残留炭素分:58%)を乾式で混合し、150℃の熱プレスで成形を行、直径300mm×厚さ20mmの成形体を作製した。その後、得られた成形体を600℃、大気中で脱脂し残留カーボンを生成した。次に1600℃、Ar雰囲気で5時間熱処理を行い、Siと残留カーボンとを反応させた。次に1450〜1500℃の真空中で残留Siを除去する熱処理を行った。その後、10MPaの圧力でアルミニウム合金(AC3A:JIS規格)を加圧浸透し、金属−セラミックス複合材料を作製した。
[評価]
残留カーボン量はフェノール樹脂粉末の残留炭素分から算出した。多孔体に含まれるカーボン含有率は熱重量分析により、Si含有率は30%塩酸に浸漬した前後での重量変化により測定し求めた。また、多孔体に含まれる反応焼結SiCの含有率は、残留カーボン量と多孔体に含まれるカーボン量の差から算出した。
多孔体のSiC充填率、及び複合材料の気孔率は、アルキメデス法により測定した。多孔体の曲げ強度は、JISR1601に準拠して3点曲げにより求めた。金属−セラミックス複合材料のヤング率はJISR1602に準拠し共振法により求めた。
各実施例、比較例の詳細な条件と結果を以下に説明する。
[実施例1]
Si粉末の添加量をSiCに対して11質量部、フェノールの添加量を6質量部(残留カーボン量3.5質量部)とし、Siを除去するための熱処理条件を1450℃、2時間保持、5×10−1PaとしてSiC多孔体を作製した。この多孔体のSiCの充填率および曲げ強度を測定したところ、61体積%、13.3MPaであった。この多孔体にアルミニウム合金を浸透してヤング率を測定したところ、231GPaであった。また密度は2.7g/cmであった。なお、作製した複合材料の断面をXRDで測定したところ、Alのピークは確認されなかった。
[実施例2]
Si粉末の添加量をSiCに対して8質量部、フェノールの添加量を4質量部(残留カーボン量2.3質量部)とし、Siを除去するための熱処理条件を1450℃、2時間保持、5×10−1PaとしてSiC多孔体を作製した。この多孔体のSiCの充填率および曲げ強度を測定したところ、55体積%、10.2MPaであった。この多孔体にアルミニウム合金を浸透してヤング率を測定したところ、203GPaであった。
[実施例3]
Si粉末の添加量をSiCに対して19質量部、フェノールの添加量を11質量部(残留カーボン量6.4質量部)とし、Siを除去するための熱処理条件を1500℃、2時間保持、5×10−1PaとしてSiC多孔体を作製した。この多孔体のSiCの充填率および曲げ強度を測定したところ、63体積%、15.2MPaであった。この多孔体にアルミニウム合金を浸透してヤング率を測定したところ、243GPaであった
[実施例4]
Si粉末の添加量をSiCに対して23質量部、フェノールの添加量を15質量部(残留カーボン量8.7質量部)とし、Siを除去するための熱処理条件を1500℃、2時間保持、5×10−1PaとしてSiC多孔体を作製した。この多孔体のSiCの充填率および曲げ強度を測定したところ、72体積%、16.1MPaであった。この多孔体にアルミニウム合金を浸透してヤング率を測定したところ、267GPaであった。
[比較例1]
多孔体を作製する工程のうち、Siを除去する工程を除いた以外は実施例1と同様の方法で複合材料を作製した。多孔体のSi含有率は、5.3質量%であった。得られた複合材料の気孔率は9.8%(密度2.1g/cm)であり、研磨後の複合材料の表面にはアルミニウム合金が浸透していない箇所が多数見られた。
[比較例2]
Si粉末の添加量をSiCに対して14質量部、フェノールの添加量を13質量部(残留カーボン量7.5質量部)とした以外は実施例1と同様の方法で複合材料を作製した。多孔体のカーボン含有率は、2.8質量%であった。得られた複合材料の断面をXRDで測定したところ、実施例1では見られなかったAlのピークが見られ、Alが発生していることが確認された。
[比較例3]
添加するSiおよびフェノールの添加量をSiCに対してそれぞれ28質量部、20質量部(残留カーボン量11.6質量部)とした以外は実施例1と同様の方法で複合材料を作製したところ、浸透後の複合材料の表面には多数のクラックが発生していた。
以上の結果を表1にまとめる。表1において、成形体の残留カーボン量及びSi粉末量の質量部は、SiC粉末100質量部に対するものである。また、多孔体のカーボン、Si及び反応焼結SiCの欄には、多孔体中のそれぞれの含有率を示した。また、カーボン含有率が0.01質量%未満、Si含有率が0.01質量%未満のものについては、それぞれ0と記載した。
Figure 2010235417
以上のように、本発明によれば、加圧浸透法により金属−セラミックス複合材料を得るための曲げ強度が10MPa以上の多孔体が得られた。多孔体のカーボン含有率が0.1質量%未満であるのでアルミニウム等を浸透させたときにAlの生成を抑えることができ、さらにSi含有率を0.5質量%未満とすることで、クラックやメタルリッチ層、浸透不良が生じず、低コストで剛性の高い金属−セラミックス複合材料の作製を可能となった。

Claims (7)

  1. 加圧浸透法によりアルミニウムまたはアルミニウム合金を浸透させて金属−セラミックス複合材料を得るためのSiCを主成分とする多孔体であって、
    Siとカーボンが反応してなる反応焼結SiCを1〜10質量%含み、
    SiCの充填率が50体積%以上であり、
    カーボン含有率が0.1質量%未満、Si含有率が0.5質量%未満であることを特徴とする多孔体。
  2. カーボン及びSiを含まないこと特徴とする請求項1記載の多孔体。
  3. 請求項1または2記載の多孔体に加圧浸透法によりアルミニウムまたはアルミニウム合金が浸透された金属−セラミックス複合材料であって、気孔率が0.1%以下である金属−セラミックス複合材料。
  4. ヤング率が200GPa以上である請求項3記載の金属−セラミックス複合材料。
  5. SiC粉末に有機バインダーとSi粉末を所定量添加して混合粉末を得る工程と、
    前記混合粉末を成形して成形体を得る工程と、
    前記成形体を大気中で加熱して残留カーボンを生成する工程と、
    非酸化雰囲気で前記残留カーボンとSiを反応させて反応焼結SiCを生成する工程と、
    前記反応焼結SiCを生成する工程において残留したSiを除去する工程とを含む多孔体の製造方法。
  6. 有機バインダーの添加は、残留カーボンがSiC粉末100質量部に対して2〜10質量部となる添加量とし、
    Si粉末の添加は、残留カーボンとの質量比(Si粉末質量部/残留カーボン質量部)がの2.5以上となる添加量とする請求項5記載の多孔体の製造方法。
  7. 請求項5または6に記載の製造方法により得られた多孔体にアルミニウムまたはアルミニウム合金を加圧浸透させる金属−セラミックス複合材料の製造方法。
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