JP2010234601A - 接合構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は車両内装用にも使用することができる、更には高い性能が求められる自動車内装用にも使用することができる、有機繊維からなり軽量かつ剛性を有する接合構造体の提供を目的とするものである。
【解決手段】 本発明の接合構造体は、有機繊維からなる補強部材と有機繊維集合体とが、交互に配列し一体化している接合構造体であり、該補強部材の複数面の内で最も高い弾性勾配値を有する面が、該接合構造体の厚さ方向と垂直な状態で一体化されてなることを特徴とすることにより、課題を解決する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、軽量にも関わらず剛性が優れる接合構造体、ならびに、例えば天井材、リアパッケージトレイ材、ドアトリム材、フロアインシュレータ材、トランクトリム材、ダッシュインシュレータ材などの車両内装用の基材として使用することのできる、接合構造体に関する。
従前から、車両内装を構成する素材としてプラスチック板、プラスチックフォーム、熱可塑性樹脂からなるレジンフェルト、段ボール、あるいは熱硬化性樹脂に木粉や紙を添加したハードボードやペーパーボードなどが、装着される箇所の形状に適合するよう加熱成形等を施して、使用されている。
近年、軽量にも関わらず剛性が優れる内装用基材が、特に車両内装用に求められている。車両が重くなることは燃費を悪くする原因の一つであり、そのため車両内装用に用いられる内装用基材も軽量であることが望ましい。しかしながら、軽量化を目的として厚さや目付を減らした内装用基材を、広い面積を有する車両内装用に用いた場合、剛性不足により内装用基材が破損するおそれが生じる。つまり、剛性を減らすことなしに車両内装用基材を軽量のものとするのには限界が存在する。
軽量かつ剛性に優れる内装用基材を得るため、補強部材を部分的に積層した積層基材が発明されている。例えば以下に示すような積層技術が知られている。
特開2001-341146号公報(以下、特許文献1)では、加熱成形することにより単位あたりの剛性が増す、ポリプロピレンを含浸させたガラス繊維束を成形材料として用いている。予めシート状に成形されたガラス繊維を含む集合体の補強必要部位に、成形材料を最低限度蒔き、熱圧着でガラス繊維を含む集合体と一体化することで、剛性を確保したまま全体の目付量の上昇を防止している。
特開平11-310089号公報(以下、特許文献2)では、有機繊維からなる第1繊維集合体層に、低融点のバインダ繊維を含有する、有機繊維からなる補強部材を部分的に積層している。特に、補強部材が第1繊維集合体層の有する面へ成す投影面積が、第1繊維集合体層の1/2〜1/5の面積となるよう調整し、かつ車体の重心を通り車体横方向に延在する横断線全体にわたって、補強部材を中心軸から対称的に配置することで、剛性を得た自動車用の積層構造体としている。これにより、車体に取り付ける際必要となるハンドリング性能を向上させている。また、第1繊維集合体層ならびに補強部材ともポリエステル繊維のみから構成することが可能であり、そのためリサイクル性を有している。
特開2000-318541号公報(以下、特許文献3)では、従来補強層として使用されてきた鉄板をPET樹脂からなる不織布補強層に置き換え、ニードルパンチにて基材層に補強層を埋没し一体化させている。補強層の目付が基材層よりも大きいほど、強い補強効果が示されること、ならびに補強層を基材層に部分的に一体化することで、従来品よりも軽量かつ剛性を得ている。また補強層と基材層を同一の材質から構成することで、リサイクルを可能としている。
特許文献1に記載されている発明の場合、剛性が優れる積層基材を提供することが可能であるが、その構成中にガラス繊維を含有していることから、ポリプロピレンとガラス繊維とを分別しなければリサイクル(再資源化)することができないという問題がある。
特許文献2に記載されている発明の場合、補強部材を構成する有機繊維の繊維径、ウェブの厚さや目付、見かけ密度などを適宜調整し、確かに積層基材を車体にハンドリングする際に必要となる、全体が弛むことがない程の剛性を積層基材の全体に与えることができる。しかし、その剛性は補強部材の有機繊維集合体における占有面積と、その配置を適切に規定する手段に依存することで得られるものであることから、積層基材に更なる剛性を与えるためには、有機繊維集合体へ部分的に一体化している補強部材の面積量を増やさなければならず、重量が増してしまう。
特許文献3に記載されている発明の場合、特許文献2の発明と同様に、有機繊維集合体に部分的に一体化している補強部材を増やさなければならず、同じく積層基材に更なる剛性を与えようとすると補強部材の埋没量を増加する必要性があり、そのため重量が増すとともに嵩の高い積層基材となる。
このように、有機繊維を用いて積層基材を製造するという手段がとられているが、有機繊維から構成される補強部材を部分的に有機繊維集合体に積層する、という従来の技術や手法を用いた場合、剛性に優れる積層基材を得るためには補強部材の量を増やすしか手段がない。つまり従来技術を用いる限りでは、より軽量でより剛性に優れる積層基材を提供するのには限界があり、困難であることが判明した。
また、壁紙や板材などの内装材(壁、天井、床)用、パーテーション壁面や椅子の布張り部などインテリア用、ベッドマットやクッションカバーや座布団など寝装具用などとしても、車両用内装材と同様に、有機繊維から構成される軽量かつ剛性に優れた構造体が求められている。従来技術を用いる限りでは、同様に、上述のような製品をより軽量でより剛性に優れるものとすることには限界があり、困難であった。
特開2001-341146号公報(特許請求の範囲、0031) 特開平11-310089号公報(特許請求の範囲、0014〜0017、0019、0022、0026〜0034、0038、0058〜0103) 特開2000-318541号公報(特許請求の範囲、0018〜0020)
本発明は、上述した従来技術が有する限界を超えるべくなされたもので、車両内装用にも使用することができる、更には高い性能が求められる自動車内装用にも使用することができる、有機繊維からなり軽量かつ剛性を有する接合構造体の提供を目的とするものである。
請求項1の接合構造体は「有機繊維からなる補強部材と有機繊維集合体とが、交互に配列し一体化している接合構造体であり、該補強部材の複数面の内で最も高い弾性勾配値を有する面が、該接合構造体の厚さ方向と垂直な状態で一体化されてなることを特徴とする、接合構造体。」である。
請求項2の接合構造体は「車両内装用として使用される、請求項1に記載の接合構造体」である。
本発明の請求項1によれば、補強部材の「最も高い弾性勾配値を有する面」が接合構造体の厚さ方向と垂直な状態で、有機繊維からなる補強部材と有機繊維集合体とが、交互に配列し一体化していることから、接合構造体の厚さ方向へかかる力に対し、優れた剛性を示す接合構造体である。本構成を有することにより接合構造体は、軽量かつ高い剛性を発揮する。また、本構成を有する接合構造体は有機繊維から構成されていることから、リサイクル(再資源化)性に優れた接合構造体である。
本発明の請求項2によれば、本構成を有する接合構造体は、軽量かつ剛性を発揮するものであることから、車両内装用に使用することのできる接合構造体である。
本発明の実施形態に係る接合構造体における、厚さ方向における断面図である。 本発明の実施形態に係る接合構造体を含む内装材の態様を示す、接合構造体の厚さ方向における断面図である。
本発明における有機繊維集合体とは、有機繊維同士が「一体化」し集合したものを指す。「一体化」しているとは、繊維同士がニードルパンチや流体絡合といった絡合手段により、絡み合っている状態を指すとともに、熱融着樹脂やバインダーなどにより、繊維同士が融着あるいは接着している状態をも指す。
有機繊維集合体が平板状の形態であれば、目付に偏りが少なく、剛性に優れた接合構造体とすることができ、また、後述する補強部材を接合一体化して接合構造体を製造する際の加工ならびに取り扱いが容易であることから好ましい。しかし接合構造体が、軽量かつ剛性に優れたものとなるのであれば、有機繊維集合体は平板状以外の形態を有していても構わない。
有機繊維集合体を構成する有機繊維の樹脂は、有機繊維集合体を構成するのに実施上、不利益を生じることがなければ特別限定するものではないが、リサイクル(再資源化)が容易となることから、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエステル系樹脂1種類以上から構成されているのが好ましい。実質的に炭素原子及び水素原子から構成されている、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリスチレンなどの一般的なポリオレフィン系樹脂よりなる有機繊維ならびに、実質的に炭素原子、水素原子及び酸素原子から構成されている一般的なポリビニルアルコール系樹脂や、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、芳香族ポリエーテルケトンなどの一般的なポリエーテル系樹脂や、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレートなどの一般的なポリエステル系樹脂よりなる有機繊維からは、有害ガスを発生しない固形燃料を製造することができる。
これらの樹脂は、直鎖状ポリマーまたは分岐状ポリマーのいずれからなるものでも構わず、またポリマーがブロック共重合体やランダム共重合体、多成分のポリマーが混和した樹脂でも構わず、またポリマーの立体構造や結晶性の有無がいかなるものでも構わない。
また有機繊維の形成時又は有機繊維集合体の形成時に、安定剤、核剤、着色料、油剤、界面活性剤、増粘剤などの一般的な添加剤を、必要に応じて添加することもできる。その添加量は適宜調整することができる。
本発明において有機繊維集合体を構成する有機繊維は、非熱融着繊維と、多種類の樹脂成分から構成される熱融着繊維とに大別される。また、それら繊維横断面の形状は、真円状、楕円状、中空状、米型状、またそれ以外の形状いかなるものでも構わない。
有機繊維集合体が、2種類以上の樹脂から構成されていることによって熱融着作用を示す熱融着繊維と、その熱融着繊維が熱融着作用を示す温度において、熱融着作用を示さない樹脂成分からなる非熱融着繊維とから構成されているのが好ましい。有機繊維集合体を構成する繊維の一部が非熱融着繊維であると、高温下においても保形性に優れる有機繊維集合体となるためである。また、熱融着繊維による熱融着作用によって、繊維同士が融着し、一体化することで剛性に優れるものとなる。更には、有機繊維集合体が熱融着繊維を含んでいると、熱融着作用により繊維同士を一体化でき、これにより接合構造体の製造過程を簡便なものとすることができる。
熱融着繊維を構成する、熱融着作用を示す熱融着樹脂と熱融着作用を示さない非熱融着樹脂の融点の差が、10℃以上離れているのが好ましく20℃以上離れているのがより好ましい。この融点差が大きいほど、熱加工時に熱融着樹脂のみが融着作用を示すことができるからである。熱融着繊維がポリエステル系樹脂のみから構成されている場合、融点の最も低い樹脂として融点が110℃〜200℃の変質ポリエステルからなると、低い加熱温度において熱融着作用を示す熱融着繊維であるため好ましい。
有機繊維集合体を構成する熱融着繊維の繊維横断面における樹脂配置が、芯鞘状、偏芯状、海島状、貼り合わせ状、オレンジ状、多重バイメタル状であると、熱融着繊維の熱融着作用を効率良く発揮できるため好ましい。
有機繊維集合体を構成する、熱融着繊維および/または非熱融着繊維として、繊維横断面の形状が円状、楕円状、長円状、多角形状のいずれかである中空度が5%〜50%の中空繊維を含んでいると、接合構造体の更なる軽量化が可能となり、それにより保形性ならびに剛性が向上し好ましい。ここでいう中空度とは、繊維横断面積における樹脂の不存在領域の横断面積割合を指す。
非熱融着繊維を構成する樹脂のうちで最も低い融点を有する樹脂と、上述した熱融着樹脂の融点は10℃以上離れているのが好ましく20℃以上離れているのがより好ましい。この融点差が大きいほど、加熱時に熱融着樹脂のみが融着作用を発揮することができるからである。
有機繊維集合体を構成する有機繊維の長さは、10mm〜200mmの範囲のものが好ましい。有機繊維の長さが10mmより短いと繊維集合体の剛性が低下し、200mmより長いと、地合が悪化する傾向がある。繊維長は20mm〜80mmの範囲がより好ましい。しかし、繊維の長さは有機繊維集合体を構成するのに、実施上、不利益を生じることがなければ特別限定するものではない。
有機繊維集合体を構成する有機繊維の繊度は1dtex〜100dtexの範囲のものが好ましい。有機繊維の繊度は有機繊維構成材料の密度によっても変化するが、総じて、繊度が1dtex未満の場合は十分な剛性が得にくくなり、100dtexを超える場合は、有機繊維集合体の均一性低下や密度低下による剛性不足が生じやすいためである。有機繊維の繊度は3dtex〜40dtexの範囲のものがより好ましい。
有機繊維集合体は、以上に挙げた有機繊維の中から選択される一種類のみ、もしくは多種類の有機繊維種を組み合わせて構成されていても構わない。また、有機繊維集合体における各有機繊維種の混合比は、実施上で不利益を生じることがないよう、適宜調節することが可能である。例えば、有機繊維集合体が熱融着繊維と非熱融着繊維とから構成される場合、(熱融着繊維質量:非熱融着繊維質量)=(5質量%:95質量%)〜(90質量%:10質量%)であることが好ましい。熱融着繊維の比率が5質量%よりも少なくなると、剛性や保形性が低下しやすい。また、熱融着繊維の比率が90質量%よりも多くなると、常温から高温環境への温度変化に対して、剛性や形状維持特性が低下しやすい。この混合比率は(熱融着繊維質量:非熱融着繊維質量)=(20質量%:80質量%)〜(80質量%:20質量%)であるのがより好ましい。
有機繊維集合体はリサイクル(再資源化)が可能であること、しかも高温時においても優れた剛性を有することが求められることから、融点が高い(260℃〜265℃)ポリエステル繊維と、ポリエステルを芯成分とし、融点が低い(160℃〜170℃)改質ポリエステルを鞘成分とした熱融着繊維とから構成されているのが好ましい。
有機繊維集合体は、100g/m2〜900g/m2の範囲の目付であるのが好ましい。100g/m2より下であると、最終的に製造される接合構造体は剛性に優れず、900g/m2より上であると接合構造体は軽量化されない傾向があるためである。有機繊維集合体の厚さは、非荷重下で、厚さ5mm〜100mmの範囲であるのが好ましい。同質量の有機繊維集合体同士で比較した場合、有機繊維集合体の厚さが薄いと曲げ抵抗が下がり、厚いと接合構造体の密度が低下することになり、どちらも剛性が低下しやすいためである。10〜40mmの範囲であるのがより好ましい。
補強部材は前述の有機繊維集合体と接合一体化していることによって、接合構造体の剛性を高める作用を有する。補強部材も有機繊維集合体と同様に、有機繊維同士が一体化し集合したものであると、有機繊維集合体と補強部材との接合一体化が容易であり、また接合一体化した接合構造体を分別することなく、リサイクル(再資源化)することができ好ましい。補強部材の形態が平板状であれば、有機繊維集合体に剛性を均等に付与する状態で接合することができ、剛性に優れた接合構造体とすることができるため好ましい。しかしながら、接合構造体が、軽量かつ剛性に優れたものとなるのであれば、補強部材が平板状でなく、半球体状、立方体状といった平板状以外の形態を有していても構わない。
補強部材を構成する有機繊維は特に限定するものではないが、有機繊維集合体と同様の有機繊維であることができる。補強部材の剛性が高ければ高いほど、接合構造体の剛性を高めることができるため、補強部材における熱融着繊維量を有機繊維集合体における熱融着繊維量よりも多くするのが好ましい。なお、補強部材は一般的に有機繊維が集合した不織布状態にあるが、織物状態、編物状態、ネット状態にあっても良いし、これら異なる状態のものが複合した状態にあっても良い。
補強部材が平板状の場合、補強部材は接合構造体の剛性を最適とするため、また軽量化のため、100g/m2〜1000g/m2の範囲の目付であるのが好ましい。なお、補強部材の目付は最も高い弾性勾配値を有する面を重力方向に配置した状態で得られる質量をもとに算出される1mあたりの質量をいう。
本発明の接合構造体は、上述の補強部材と有機繊維集合体とが交互に配列し接合一体化したものであり、補強部材の複数面のうちで「最も高い弾性勾配値を有する面」が、接合構造体の厚さ方向と垂直な状態で接合一体化されてなることで剛性を有するものである。そのため、本発明の接合構造体が従来の積層構造体と同じ剛性を示す場合、本発明の接合構造体の目付は従来の積層構造体よりも軽量である。また、本発明の接合構造体が従来の積層構造体と同目付を有する場合、本発明の接合構造体の方が、剛性が高いものである。
ここでいう「最も高い弾性勾配値を有する面」とは、以下の測定方法から導き出される弾性勾配値より決定する。
補強部材が平板状である場合、最も長い辺の長さが100mm以上あるように補強部材を採取して試験片とし、100mmの間隔を有する支持台間を跨ぐように載置する。そして、この試験片の中央部に対して、支持台間の垂直方向から重力方向へ50mm/minの速度で加圧し、引張試験機(テンシロンUCT-500)により弾性勾配を測定し、0度回転時の弾性勾配値とする。次に試験片に対して、支持台間方向に平行をなす軸を中心軸として、右回転もしくは左回転のいずれか決めた方向に試験片を90度回転させ、先ほど測定した面に対して垂直方向の面の弾性勾配を測定し、90度回転時の弾性勾配値とする。以降、更に90度、180度回転させて同様に弾性勾配を測定し、それぞれ180度回転時の弾性勾配値、270度回転時の弾性勾配値とする。4点の弾性勾配値の中で、最も高い弾性勾配値を示した面を「最も高い弾性勾配値を有する面」とする。
また補強部材が立方体状、異形状を有する場合、支持台間を跨ぐように設置可能な補強部材を採取して試験片とし、100mmの間隔を有する支持台間を跨ぐように載置する。そして、この試験片の中央部に対して、支持台間の垂直方向から重力方向へ50mm/minの速度で加圧し、引張試験機(テンシロンUCT-500)により弾性勾配値を測定する。次に、試験片の別の面の弾性勾配値を測定できるように試験片を再配置し、同様に弾性勾配値を測定する。このように試験片の測定可能な面の弾性勾配値を測定し、測定した弾性勾配値の中で、最も高い弾性勾配値を示した面を「最も高い弾性勾配値を有する面」とする。
本発明では、このような補強部材の有する「最も高い弾性勾配値を有する面」が、接合構造体の厚さ方向と垂直な状態で、有機繊維集合体と補強部材とが接合一体化されている。
接合構造体の厚さ方向における断面図である図1を用いて、ここでいう「厚さ方向と垂直な状態」の意味を説明する。「垂直な状態」とは、接合構造体における厚さを表わす直線又はその延長線(a)と、接合一体化された補強部材の複数面の内で「最も高い弾性勾配値を有する面」を表わす直線又はその延長線(b)とのなす鋭角(c)が、75度〜90度であることを意味する。また、上述される角度の範囲を超える状態で有機繊維集合体と接合一体化されている補強部材があるとしても、接合構造体の体積に占める前述の補強部材の体積が、20%以下ならば、優れた剛性を発揮するため、本発明に含まれる。なお、接合構造体の厚さ方向は、接合構造体を構成する、接していない面同士の距離の中で、最も距離の短い面同士を結ぶ最短の直線方向を意味する。
本発明においては、有機繊維集合体と補強部材とを交互に配列して一体化していることにより、軽量かつ剛性に優れる接合構造体を実現している。このように交互に配列しているため接合構造体の厚さ方向と直角方向における面において、有機繊維集合体と補強部材の両方が露出している。この有機繊維集合体と補強部材の両方が露出している面における、補強部材の露出面積は、有機繊維集合体と補強部材の両方が露出している面の面積の10〜90%であるのが好ましい。10%より下では補強部材による補強作用が弱くなるため接合構造体の剛性が劣り、90%より上では補強部材による補強作用は強くなるものの、接合構造体の目付が増し、軽量性に乏しくなる傾向があるためである。補強部材の露出面積比率は10%〜90%の間がより好ましく、30%〜60%の間が更に好ましい。
補強部材の接合構造体における配置については、接合構造体の形状が平板状である場合、接合構造体において補強部材同士が等ピッチで接合一体化している、あるいは補強部材に囲まれ形成される形状が三角形や蜂の巣形など、同一の形状を繰り返すように、補強部材を有機繊維集合体と接合一体化するのが好ましい。このように接合一体化していると、接合構造体の一部分に力が集中してかかることを防止でき、接合構造体の剛性が優れたものとなるためである。このように、本発明における「交互」の概念は、接合構造体の厚さ方向の断面において、有機繊維集合体と補強部材とが互い違いに観察される状態を意味する。また、接合構造体の形状が部分的または全体的に湾曲している場合、補強部材どうしは上述の状態で有機繊維集合体と接合一体化されていなくとも構わない。つまり、湾曲した形状を有する接合構造体においては、部位ごとでかかる重力などの力に差異が存在するため、力が強くかかる部位では補強部材間の距離を狭くし、力が弱くかかる部位では距離を長くする方が、補強部材同士を等ピッチで接合一体化するよりも、軽量かつ剛性に優れた接合構造体となり好ましい。
本発明の接合構造体においては、有機繊維集合体と補強部材とが接合一体化しているが、この「接合一体化している」状態とは、絡合手段であるニードルパンチや流体絡合といった手段により、有機繊維同士が絡み合い一体化している状態のみを指すのではなく、バインダー、熱融着樹脂又はホットメルトシートなどにより、有機繊維集合体と補強部材とが一体化している状態をも指す。
本発明の接合構造体は剛性を最適とするため、また軽量化のため、100g/m2〜1000g/m2の範囲の目付を有しているのが好ましい。また接合構造体の厚さは、剛性を最適とするため見かけ厚み5mm〜100mmの範囲であるのが好ましい。
以上のように、本発明の接合構造体は有機繊維から構成され、補強部材の「最も高い弾性勾配値を有する面」が、接合構造体の厚さ方向と垂直な状態で一体化されてなるように接合一体化しているため、補強部材の他の面が厚さ方向と垂直な状態で一体化されてなるように接合一体化した場合よりも、軽量かつ剛性の強いものである。また、本発明の接合構造体が従来の積層構造体と同じ剛性を示す時、本発明の接合構造体の目付はそれよりも軽いものとなる。そのため、本発明の接合構造体が従来の積層構造体と同じ目付の場合、本発明の接合構造体の方が、剛性が高い。
本発明の接合構造体は基本的に有機繊維集合体と補強部材とからなるが、各種用途に適合するように、接合構造体の少なくとも一面に不織布、織物、及び/又はフィルムを積層することもできる。このように不織布や織物を積層することで接合構造体に吸音効果を付加することができ、フィルムを積層することで遮音作用を付加することができる。また、表皮材を積層することで意匠性を高めることができる。
例えば、本発明の接合構造体に、通気止めを目的としてフィルムを、また通気を抑える目的として不織布や織物などを接合構造体に積層すると、車両内装用の内装用基材として好適に使用することができる。また、表皮材を積層し意匠性を持たせると、更に好適に車両内装用の内装用基材として使用できる。これらのフィルム、不織布、織物、表皮材などは、一般的に使用されているものが使用できるが、リサイクル(再資源化)性能を持たせるため、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエステル系樹脂のいずれか、又はこれらの組み合わせからなるものが好ましい。また、車両用内装材構成材の全てがポリエステル系樹脂からなると、再生が容易な内装材となることからより好ましい。しかし、実施上の問題が無ければ、いかなる素材から構成されていても良い。
本発明の接合構造体を車両内装用として用いる際、90℃〜100℃に達する高温下においても使用することを想定している点が問題となる。高温下におかれた車両中の温度よりも、低い温度に融点を有する樹脂より接合構造体が構成されていると、車両内装用としての剛性ならびに保形性が不十分となる。そのため、接合構造体を車両内装用として用いる場合には、接合構造体を構成する繊維は、融点が90℃以上のポリマーからなる樹脂で構成されているのが良い。これに適した樹脂として、特に融点の高いポリエステル系樹脂が挙げられる。接合構造体が融点の高いポリエステル系樹脂から構成されていると、高温下においても剛性ならびに保形性に優れている。
本発明の接合構造体は軽量かつ剛性を有するものであり、しかも不織布、織物、フィルム等を積層することによって、吸音性、遮音性、意匠性等を付加することができるため、上述のような車両内装用以外にも、壁紙や板材などの内装材(壁、天井、床)用、パーテーション壁面や椅子の布張り部などインテリア用、ベッドマットやクッションカバーや座布団など寝装具用などの用途に活用できる。以上に記した用途例は一端に過ぎず、本発明の接合構造体は、広範囲に活用することのできる素材として有用なものである。
本発明の接合構造体は、例えば、有機繊維集合体及び補強部材をそれぞれ製造した後に、有機繊維集合体に補強部材を接合一体化することによって製造することができる。より具体的には、有機繊維集合体を製造するには、まず、1種類以上の有機繊維群を混綿し開繊して繊維ウエブを形成する。この際、1種類以上の熱融着繊維を用いると、後述する熱加工を行うことができ好ましい。なお、開繊は一般的に使用されているカード機を用いて開繊を行うと、均等かつ望む目付の繊維ウエブを形成することができ好ましい。しかしながら、適切に開繊が行えるのであれば、使用する装置や手段を特別限定するものではない。
次いで、繊維ウエブ構成繊維同士を一体化する。ニードルパンチ機や流体絡合機などの一般的に絡合に使用されている装置を用いて有機繊維同士を絡ませあって有機繊維集合体とすることができる。この過程ではニードルパンチ処理を多段階にて行っても良く、またニードルパンチ処理後に流体絡合処理を行うなど、多種多段階の処理構成を取っても良い。この過程は適切に有機繊維同士の一体化が行えるのであれば、使用する装置や手段を特別限定するものではない。
繊維ウエブ構成繊維として熱融着繊維が含まれている場合には、例えば、加熱装置を用いて熱加工を行うこともできる。ここでいう熱加工とは、熱融着繊維を加熱し、少なくとも融着樹脂を塑性変形させることで、繊維同士を融着し、一体化させるための変形過程ならびに、変形した形状を維持させるための加工過程を指す。この時の加熱温度は、熱融着繊維の内で最も低い融点を有する熱融着樹脂の融点と、最も高い融点を有する樹脂の融点との間の温度であるのが好ましい。また、繊維ウエブの目付や厚さと加熱温度を鑑み、加熱時間は適宜調節する。熱加工を行う装置は、上述のような適切な加熱が行えるものであれば、特別限定するものではない。
繊維ウエブに対して物理的な力を作用させ有機繊維同士を絡ませ合い一体化させる絡合手段や、熱を作用させた熱融着繊維により繊維を一体化させる熱加工の他に、有機繊維同士を一体化させる手段としてバインダーを用いてもよい。その方法として、泡立含浸や液体含浸やスプレーなどが選択できる。また、これらの手段を多種多段階で行ってもよい。
一方、補強部材は前述の有機繊維集合体を所望の大きさとして補強部材としても良いが、補強部材が平板状であり、また、絡合処理、熱加工、含浸処理などを行うことで、補強部材を製造する際に有機繊維同士が密に一体化している面が生じるようにするのが好ましい。「有機繊維同士が密に一体化している面」が生じることで、その面に対して直角な面が「最も高い弾性勾配値を有する面」となるためである。有機繊維同士が密に一体化している面が生じるようにする方法として、ニードルパンチを行うのであれば処理時間や処理を行うニードル数を増やす、熱加工時の加熱温度や時間を長くする、バインダの添加量や処理するバインダの種類や含浸回数を増やす、などの加工方法が例示できる。
また、補強部材は有機繊維集合体と同様にして繊維ウエブを形成し、この繊維ウエブに絡合処理、熱加工、含浸処理などの処理を、多種多段階に組み合わせて行い、剛性を高めても良い。なお、ニードルにより絡合する場合には、有機繊維同士がより一体化し剛性が増すように、繊維ウエブの単位面積あたりに処理するニードル数を増加させて、補強部材を製造するのが好ましい。
なお、補強部材の剛性を更に高めるために、補強部材の少なくとも一面に、不織布、織物等を一体化することもできる。この一体化は絡合処理、熱加工、含浸処理、などの処理を、多種多段階に組み合わせて行うことができる。
次いで、有機繊維集合体と補強部材とを、交互に配列する。配列方法は特別限定するものではないが、接合構造体となった際に、補強部材が等ピッチかつ有機繊維集合体と補強部材とが交互となるように配列すると、補強部材による接合構造体への補強が効率よく行われるため好ましい。補強部材が等ピッチで配列することができるよう、補強部材ならびに有機繊維集合体の大きさや数は、適宜、調整することができる。
本発明の接合構造体の有機繊維集合体と補強部材における接合する面同士が、厚さ方向において、有機繊維集合体と補強部材の長さが一致し、厚さ方向と直交する方向においても、有機繊維集合体と補強部材の長さが一致しているのが好ましい。このように一致していることによって、有機繊維集合体には補強されない領域が存在しないため、補強部材によって十分に補強された状態にある。
次いで、有機繊維集合体に、補強部材の「最も高い弾性勾配値を有する面」が、接合構造体の厚さ方向と垂直な状態で一体化されてなるように接合一体化することによって、接合構造体を製造することができる。接合一体化手段として、有機繊維集合体を製造する場合と同様の絡合処理、熱加工、含浸処理を用いることができる。また接合一体化の手段は、多種多段階に組み合わせて行っても良い。
なお、接合構造体に更にフィルム、不織布及び/又は織物などを積層する場合も、絡合処理、熱加工、含浸処理により、積層一体化することができ、場合によっては多種多段階に組み合わせて行う。熱加工による熱融着の作用によって積層一体化すると、バインダーを使用することなく積層一体化を行うことが可能となる。これにより積層工程が簡便なものとなることから、熱加工による積層一体化が好ましい。この好適である熱加工の温度は、融着させたい樹脂が融着し、融着作用を示す温度であるのが好ましい。
以下、本発明に係る実施例につき、実施例に係る構造を、図2を用いて説明すると共に、その評価結果を説明する。なお、本実施例において、特定の寸法、形状、配置関係、数値的条件など、本発明の理解を容易とする程度に特定条件を例示して説明するが、本発明はこれら例示形態にのみ限定されるものではなく、この発明の目的の範囲内で任意好適な変形又は変更を行うことができる。
(実施例1)
(1)有機繊維の選択
有機繊維集合体ならびに補強部材を構成する有機繊維として、以下の単成分ポリエステル繊維ならびに、熱融着作用を示す芯鞘型ポリエステル繊維を選択した。
[単成分ポリエステル繊維]
材料:ポリエチレンテレフタレート
融点:240℃
繊度:20dtex、繊維長:38mm
[芯鞘型ポリエステル繊維]
芯成分の材料:ポリエチレンテレフタレート
芯成分の融点:240℃
鞘成分の材料:改質ポリエステル
鞘成分の融点:160℃〜170℃
繊度:4.4dtex、繊維長:38mm
(2)有機繊維集合体の製造方法
上述した単成分ポリエステル繊維を30質量%と、芯鞘型ポリエステル繊維を70質量%とを混綿した後、エアレイカード機を用いて繊維ウエブを形成した。次いで、この繊維ウエブの両面にニードルパンチ加工(針密度:50本/cm2)を施して、有機繊維同士を絡め合わせた。その後これを、熱風の温度を175℃に設定した熱風循環炉へと供給し熱加工を行い、芯鞘型ポリエステル繊維の熱融着作用を発現させ、鞘成分が溶融することで有機繊維同士を融着一体化させた。これにより、実施例1に係る平板状の有機繊維集合体(11)(目付:500g/m2、厚さ:20mm)を得た。この平板状の有機繊維集合体を裁断し、短冊状の有機繊維集合体(11)(目付:500g/m2、厚さ:20mm、幅:40mm)を得た。
(3)補強部材の製造方法
ニードルパンチ加工の針密度を100本/cm2としたことを除いて、有機繊維集合体と同様にして平板状(目付:500g/m2、厚さ:10mm)とした後、裁断し、短冊状の補強部材(12)(目付:500g/m2、厚さ:10mm、幅:10mm)を得た。
(4)補強部材の弾性勾配値の測定方法
得られた短冊状の補強部材を、100mmの間隔を有する支持台間を跨ぐように載置した。引張試験機(テンシロンUCT-500)を使用し、短冊状の補強部材の中央部に対して、支持台間の垂直方向から重力方向へ50mm/minの速度で加圧し、0度回転時の弾性勾配値を測定した結果、3.2N/cmであった。
次に短冊状の補強部材に対して、支持台間方向に平行をなす軸を中心軸として、右方向に短冊状の補強部材を90度回転させ、90度回転時の弾性勾配値を測定した結果、4.8N/cmであった。同様に測定を行った結果、180度回転時の弾性勾配値は3.2N/cm、270度回転時の弾性勾配値は4.8N/cmであった。この結果から、90度ならびに270度回転時に測定された面が、短冊状の補強部材が有する複数面のうちで「最も高い弾性勾配値を有する面」であることが判明した。また本補強部材は有機繊維集合体の製造過程よりも、ニードルパンチ加工の針密度が高い製造過程を経て熱加工されることで、有機繊維同士が密に一体化している面(13)が、0度ならびに180度回転時に測定された面であった。
(5)内装材の製造方法
有機繊維集合体および補強部材以外に、以下の積層物を積層一体化して内装材を製造した。
[表皮材]
材料:ポリエステル
形状:不織布
目付:180g/m2
[接着用ホットメルト]
材料:改質ポリエステル
形状:くもの巣状ウェッブ
目付:17g/m2
[通気止め3層フィルム]
材料:変性オレフィン/ナイロン/変性オレフィンの3層
目付:50g/m2、厚さ:45μm
[水流絡合不織布]
材料:ポリエステル繊維
目付:30g/m2
「最も高い弾性勾配値を有する面」が接合構造体の厚さ方向と垂直な状態で一体化されてなるように、短冊状の補強部材と短冊状有機繊維集合体を交互に並べた。この際、補強部材の目付は、有機繊維集合体の目付の25質量%(接合構造体の総目付における20質量%)となるよう、配置した。有機繊維集合体ならびに補強部材からなる、熱融着作用による接合一体化前の接合構造体の目付は500g/m2となった。
予め表皮材(22)と接着用ホットメルト(21)とがラミネートされた積層物を用意した。有機繊維集合体と補強部材とが交互に並んだ、熱融着作用による接合一体化前の接合構造体の上に、接着用ホットメルト面が接するよう表皮材と接着用ホットメルトからなる積層物を積層した。この積層したものを、熱風の温度を230℃に設定した熱風循環炉へと供給し、芯鞘型ポリエステル繊維の鞘成分を溶融させ、有機繊維集合体と補強部材とを融着一体化させ接合構造体(30)とし、それとともに、接合構造体(30)と表皮材とを融着一体化させた。更に、熱風循環炉による熱加工後、接合構造体の表皮材を積層している側と反対側に、通気止め3層フィルムおよび水流絡合不織布からなる積層物(23)を積層し、余熱によって積層一体化を行った。積層一体化後、プレス後の厚さが10mmとなるように平板プレスを施して、接合構造体の片面に表皮材を有するとともに他面に水流絡合不織布を有する、目付777g/m2、厚さ10mmの内装材を得た。
(実施例2)
目付を700g/m2としたこと以外は実施例1と同様にして、平板状の補強部材を得た。これを裁断し、短冊状の補強部材(目付:700g/m2、厚さ:10mm、幅:7.1mm)を得た。
この短冊状の補強部材の弾性勾配値を測定した結果、ニードルパンチ加工面における弾性勾配値よりも、ニードルパンチ加工面に対して直角面における弾性勾配値の方が高い値を示した。このことから、ニードルパンチ加工面に対して直角面が「最も高い弾性勾配値を有する面」であることが判明した。
この短冊状の補強部材を用いた以外は、実施例1と同様にして、目付777g/m2、厚さ10mmの内装材を製造した。
(比較例1)
補強部材を用いず、有機繊維集合体のみを用いた以外は、実施例1と同様にして、目付777g/m2、厚さ10mmの内装材を製造した。
(比較例2)
短冊状の補強部材の「最も高い弾性勾配値を有する面」が、接合構造体の厚さ方向と平行な状態で一体化されてなるよう、有機繊維集合体に接合した以外は、実施例1と同様にして、目付777g/m2、厚さ10mmの内装材を製造した。
(比較例3)
短冊状の補強部材の「最も高い弾性勾配値を有する面」が、接合構造体の厚さ方向と平行な状態で一体化されてなるよう、有機繊維集合体に接合した以外は、実施例2と同様にして、目付777g/m2、厚さ10mmの内装材を製造した。
<剛性の評価方法>
剛性の評価として、製造した内装材の弾性勾配値を測定した。まず、各内装材を長さ方向150mm、横方向50mmの寸法で採取し、短冊状試験片を得た。この際、短冊状の補強部材の長さ方向が各短冊状試験片の長さ方向に平行で、短冊状試験片の中心を通るように、短冊状の補強部材が一本のみ接合一体化されている状態で短冊状試験片を採取した。この短冊状試験片の表皮材が上となる向きとして、100mmの間隔をおいて配置した支持台上に、またがるように載置した。
次いで、試験片の表皮材面の中央部を加圧速度50mm/minで、支持台間の垂直方向から重力方向へ加圧した。この加圧時の弾性勾配値を、弾性勾配測定機(装置名:引張試験機、テンシロンUCT-500)、により経時的に計測し、弾性勾配値が最大となる点を記録した。
実施例および比較例にて製造した内装材各々の、目付、接合状態、補強内容、弾性勾配値の測定結果を表1に示す。
Figure 2010234601
この表1から理解できるように、実施例1および実施例2は、補強部材を有していない比較例1と比べ、いずれも弾性勾配値に優れた内装材であった。この比較から、補強部材を有機繊維集合体と接合一体化することにより、内装材の剛性が優れるという結果がもたらされた。
また、補強部材の「最も高い弾性勾配値を有する面」を、接合構造体の厚さ方向と垂直に接合一体化した実施例1および実施例2の内装材は、補強部材の「最も高い弾性勾配値を有する面」を、接合構造体の厚さ方向と平行に接合一体化した比較例2および比較例3の内装材と比べ、いずれも弾性勾配値に優れた内装材であった。この比較から、補強部材の「最も高い弾性勾配値を有する面」を、接合構造体の厚さ方向と垂直に接合一体化した内装材は、平行な状態で接合一体化した内装材よりも、剛性が優れる内装材であるという結果がもたらされた。
これらの結果から本発明において、補強部材が剛性の向上に直接関わる因子であること、接合構造体が同目付であろうとも、「最も高い弾性勾配値を有する面」を、接合構造体の厚さ方向と垂直に接合一体化することで剛性の更なる向上が可能であること、が判明した。
以上から、本発明の構成を有する接合構造体は、有機繊維から構成されている従来品よりも、軽量かつ剛性に優れる接合構造体である。
本発明の接合構造体は、補強部材の複数面の内で「最も高い弾性勾配値を有する面」が、接合構造体の厚さ方向と垂直に接合一体化されている。補強部材の接合する方向を検討することによって、従来技術からなる補強部材を用いて有機繊維集合体を補強する場合と異なり、補強部材の量を増やすことなく、更なる剛性が付与された接合構造体となる。そのため本発明の接合構造体は剛性の低い有機繊維のみから構成されているにも関わらず、優れた剛性を有する軽量なものである。更に、実施例のように、有機繊維がポリエステル樹脂から構成されている場合、接合構造体を再資源化することが容易である。
本発明に係る接合構造体を備えた内装材は、軽量かつ剛性が優れることから、例えば天井材、リアパッケージトレイ材、ドアトリム材、フロアインシュレータ材、トランクトリム材、ダッシュインシュレータ材などの車両用内装材、ならびに車両用内装材と同様の機能を有することが求められている、壁紙や板材などの内装材(壁、天井、床)用、パーテーション壁面や椅子の布張り部などインテリア用、ベッドマットやクッションカバーや座布団など寝装具用、などとして使用することができる。
11・・・有機繊維集合体
12・・・補強部材
13・・・補強部材における有機繊維同士が密に一体化している面
21・・・接着用ホットメルト
22・・・表皮材
23・・・3層としたフィルムと流体絡合不織布の積層一体化物
30・・・接合構造体
a・・・接合構造体における厚さを表わす直線又はその延長線
b・・・接合一体化された補強部材の複数面の内で「最も高い弾性勾配値を有する面」を表わす直線又はその延長線
c・・・直線aと直線bとのなす鋭角

Claims (2)

  1. 有機繊維からなる補強部材と有機繊維集合体とが、交互に配列し一体化している接合構造体であり、該補強部材の複数面の内で最も高い弾性勾配値を有する面が、該接合構造体の厚さ方向と垂直な状態で一体化されてなることを特徴とする、接合構造体。
  2. 車両内装用として使用される、請求項1に記載の接合構造体。
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