JP2010229256A - 医療容器用ポリプロピレン系樹脂組成物および医療用容器 - Google Patents

医療容器用ポリプロピレン系樹脂組成物および医療用容器 Download PDF

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Abstract

【課題】スチレン系熱可塑性エラストマーを用いることなく、透明性および柔軟性を備え、良好な耐落下性、耐低温衝撃性とヒートシール特性を有する医療容器用ポリプロピレン系樹脂組成物および医療用容器を提供する。
【解決手段】プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体成分(A)50〜65wt%、エチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)25〜35wt%、条件(C−i)〜(C−iii)を満たすプロピレン系樹脂成分(C)10〜20wt%からなる医療容器用プロピレン系樹脂組成物およびそれを用いた医療用容器。(C−i)プロピレン−エチレンブロック共重合体であること、(C−ii)分子量分布(Mw/Mn)が9.0〜15.0の範囲にあること、(C−iii)プロピレン系樹脂成分(C)全体のメルトフローレートが2.0〜8.0g/10minの範囲にあること。
【選択図】 なし

Description

本発明は、医療容器用ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれを用いた医療用容器に関する。
輸液等の体内に注入する薬液の容器として、ガラス瓶やプラスチックバッグ等が用いられている。ガラス瓶は、重量が大きく、また輸送時の衝撃や落下等により破損しやすいと言う問題点があった。現在では、医療用容器として、ポリエチレン、ポリプロピレン等の素材を用いたプラスチック容器が用いられるようになった。
医療用プラスチック容器を用いる医療用容器は、Tダイ法やインフレーション法でシート状やチューブ状にされた後、熱融着等によって袋状の容器本体を形成し、開口部より薬液を充填した後、開口部を密封シールし、蒸気滅菌等により滅菌されることによって製造される。
ポリエチレンは、耐熱性に劣り、120℃での水蒸気滅菌が困難であるため、低温で滅菌せざるを得なかった。ポリプロピレンは、120℃での水蒸気滅菌が可能であるという点で他の素材に比べ優れているが、低温での耐衝撃性に劣り、特に、熱融着によって形成されたシール部の剥離が大きな衝撃を受けた際に起こり易いという問題点があった。さらに、従来のバッグ素材は、透明性が低く、視認性が劣るという問題点があった。
医療用容器においては、排液性を向上させるために柔軟性が必要であり、また、内容物を確認するための透明性、使用・輸送時に破壊が生じないための耐落下性や低温での耐衝撃性が必要である。さらに容器用シートを成形する際の成形安定性も必要な事項となる。そして、そのような条件を考慮し、柔軟性、耐衝撃性が高く、透明性に優れるスチレン系熱可塑性エラストマー等を含有するポリプロピレン系樹脂組成物が提案されている。
ポリプロピレン系樹脂組成物を用いた医療用容器として、以下のようなものを本願出願の一方の出願人が提案している。
特許4016049号公報(特許文献1)では、複数の収容室に区画されている医療用複室容器であって、内壁面が結晶性ポリプロピレン系ポリマーとスチレン系熱可塑性エラストマーとの重合体組成物からなるものを提案している。
また、特許3973703号公報(特許文献2)では、アイソタクチックタイプの結晶性ホモポリマーを主成分とする曲げ弾性率が6000〜9000kg/cm2の結晶性ポリプロピレンランダムコポリマー(A)とエチレン−α−オレフィンコポリマー系エラストマーである密度0.879〜0.90g/cm3のエチレン−ブテン−1コポリマー(B)との重合体組成物を内壁面とする医薬液容器を提案している。
また、特許3949739号公報(特許文献3)では、複数の収容室に区画されている医療用複室容器であって、医療用複室容器は、結晶性ポリプロピレン系ポリマー、スチレン系熱可塑性エラストマーおよびエチレンブテン−1−コポリマー系エラストマーとの重合体組成物のシート単独からなるものを提案している。
さらに、特許4119920号公報(特許文献4)では、複数の収容室に区画されている医療用複室容器であって、医療用複室容器は、メタロセン系触媒で製造され、かつ融点が128〜134℃であり、メルトフローレートが2.6〜3.0のポリプロピレンと、エチレン−プロピレンコポリマー、ブロック(ポリスチレン−エチレンブチレンコポリマー−ポリスチレン)コポリマー、ブロック(ポリスチレン−エチレンプロピレンコポリマー−ポリスチレン)コポリマー、ブロック(ポリスチレン−エチレンブチレンコポリマー−ポリエチレン)コポリマーのいずれかの熱可塑性エラストマーとの重合体組成物であり、かつ、前記ポリプロピレンと前記熱可塑性エラストマーとの重量比が、85:15〜65:35である重合体組成物のシート単独からなるものを提案している。
さらに、医療用輸液容器としては、2室に収納された薬液の未混合状態での投与を防止するために、例えば、特開平9−327498号(特許文献5)のように薬剤排出口と薬剤を収納する分室との間を区切る連通阻害用弱シール部を備える複室容器を本願出願の一方の出願人が提案している。
また、本願出願人の他方は、特開2005−248156号公報(特許文献6)のプロピレン系樹脂組成物を提案している。
この樹脂組成物は、プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体成分(A)35〜90wt%、エチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)65〜10wt%を含有する樹脂組成物であり、成分(A)が以下の条件(A−i)〜(A−ii)を満たし、成分(B)が以下の条件(B−i)〜(B−iv)を満たすことを特徴とする、プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体による樹脂組成物である。
(A−i)メタロセン系触媒を用いて、第1工程でプロピレン単独又はエチレン含量7wt%以下のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)を30〜70wt%、第2工程で成分(A1)よりも5〜20wt%多くのエチレンを含有するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を70〜30wt%逐次重合することで得られたプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体であること
(A−ii)固体粘弾性測定(DMA)により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、tanδ曲線が0℃以下に単一のピークを有すること
(B−i)メタロセン系触媒を用いて製造されたエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体であり、エチレン含有量が95〜60wt%でα−オレフィンの含有量が5〜40wt%であること
(B−ii)密度が0.870〜0.915g/cmであること
(B−iii)屈折率が成分(A)の屈折率に対し、±0.007の範囲にあること
(B−iv)メルトフローレート(190℃ 21.18N荷重)が0.1〜100g/10分であること
また、特開2006−307072公報(特許文献7)には、耐ブロッキング性、透明性、柔軟性及び耐衝撃性を向上させた水冷インフレーション成形ポリプロピレン系フィルムが記載されている。このフィルムは、原料として以下の条件(A−i)〜(A−iii)を満たすプロピレン−エチレンブロック共重合体を用い、水冷インフレーション成形により成形されたことを特徴とする。
(A−i)メタロセン系触媒を用いて、第1工程でプロピレン単独又はエチレン含量7wt%以下のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)を30〜95wt%、第2工程で成分(A1)よりも3〜20wt%多くのエチレンを含有するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を70〜5wt%逐次重合することで得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体(A)であること
(A−ii)メルトフローレート(MFR:230℃ 2.16kg)が1〜20g/10分の範囲にあること
(A−iii)固体粘弾性測定(DMA)により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、tanδ曲線が0℃以下に単一のピークを有すること
上記のものでも十分な効果を有するが、スチレン系熱可塑性エラストマーを用いることなく、酸素透過性、透湿度が小さく、かつ、透明性および柔軟性を備え、さらにより良好な強度(耐落下性、耐低温衝撃性)とヒートシール特性を有することが求められている。
特許4016049号公報 特許3973703号公報 特許3949739号公報 特許4119920号公報 特開平9−327498号公報 特開2005−248156号公報 特開2006−307072公報
本発明の発明者らは、特許文献6にも示すように、以前からメタロセン系触媒を用いて多段重合により製造される特定の成分組成を有するプロピレン−エチレンブロック共重合体についての一連の研究開発を行い、柔軟性、透明性、耐熱性のバランスに優れたプロピレン系樹脂組成物を見出してきた。
そして、このプロピレン−エチレンブロック共重合体を主体とし、強度(耐落下性、耐低温衝撃性)およびヒートシール特性について多面的な考察をなし、多角的な実験による試行などを行うことにより、上記した本発明の課題を解決しうる要件を新たに認識することができた。
本発明の目的は、スチレン系熱可塑性エラストマーを用いることなく、酸素透過性、透湿度が小さく、かつ、透明性および柔軟性を備え、さらにより良好な強度(耐落下性、耐低温衝撃性)とヒートシール特性を有する医療容器用ポリプロピレン系樹脂組成物およびそれを用いた医療用容器を提供するものである。
上記目的を達成するものは、以下のものである。
(1) 条件(A−i)〜(A−iii)を満たすプロピレン系樹脂成分(A)50〜65wt%、条件(B−i)〜(B−iii)を満たすエチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)25〜35wt%、条件(C−i)〜(C−iii)を満たすプロピレン系樹脂成分(C)10〜20wt%からなることを特徴とする医療容器用プロピレン系樹脂組成物。
・前記プロピレン系樹脂成分(A)の条件(A−i)〜(A−iii)
(A−i)メタロセン系触媒を用いて、第1工程でDSC測定における融解ピーク温度が125〜135℃、エチレン含量が1.5〜3.0wt%のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)を50〜60wt%、第2工程でエチレン含有量が8〜14wt%のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を50〜40wt%逐次重合することで得られたプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体であること
(A−ii)メルトフローレート(JIS K7210 A法 条件M、230℃ 2.16kg)が4〜10g/10minの範囲にあること
(A−iii)固体粘弾性測定により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、−60〜20℃の範囲において観測されるガラス転移を表す温度−損失正接(tanδ)曲線が0℃以下に単一のピークを示すものであること
・前記エチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)の条件(B−i)〜(B−iii)
(B−i)密度が0.870〜0.890g/cmの範囲にあること
(B−ii)融解ピーク温度が80℃以下であること
(B−iii)メルトフローレート(JIS K7210 A法 条件D、190℃ 2.16kg)が2.0〜5.0g/10minの範囲にあること
・前記プロピレン系樹脂成分(C)の条件(C−i)〜(C−iii)
(C−i)第1工程でメルトフローレート(JIS K7210 A法 条件M、230℃、2.16荷重)が100〜200g/10minの範囲にあるポリプロピレン成分(C1)を65〜75wt%、第2工程でエチレン含量が4〜8wt%、重量平均分子量が80万〜300万のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(C2)を35〜25wt%逐次重合することで得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体であること
(C−ii)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定により求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が9.0〜15.0の範囲にあること
(C−iii)プロピレン系樹脂成分(C)全体のメルトフローレート(JIS K7210 A法 条件M、230℃、2.16荷重)が2.0〜8.0g/10minの範囲にあること。
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
(2) 上記(1)に記載の医療容器用プロピレン系樹脂組成物により形成されたシートをヒートシールして形成した薬剤室を有する容器本体と、前記薬剤室の下端部と連通するように前記容器本体にヒートシールされた排出ポートとを有することを特徴とする医療用容器。
(3) 前記医療用容器は、内部空間が剥離可能な仕切部により第1の薬剤室と第2の薬剤室に区分された容器本体と、前記第1の薬剤室の下端部と連通する排出ポートと、前記第1の薬剤室に収納された第1の薬剤と、前記第2の薬剤室に収納された第2の薬剤とを備える複室容器である上記(2)に記載の医療用容器。
(4) 前記仕切部は、中央弱シール部と、該中央弱シール部の両側に形成された側部シール部とを備えている上記(3)に記載の医療用容器。
(5) 前記中央弱シール部のシール強度は、前記側部シール部のシール強度より低いものとなっている上記(4)に記載の医療用容器。
(6) 前記複室容器は、前記第1の薬剤室と前記排出ポートとの連通を阻害する連通阻害用弱シール部を備えている上記(3)に記載の医療用容器。
(7) 前記連通阻害用弱シール部のシール強度は、前記中央弱シール部のシール強度より高いものとなっている上記(6)に記載の医療用容器。
(8) 前記第1の薬剤室および前記第2の薬剤室のそれぞれに薬剤が収納されており、かつ少なくとも一方の薬剤が、液剤である上記(3)ないし(7)のいずれかに記載の医療用容器。
(9) 前記医療用容器は、前記液剤が収納された薬剤室を押圧することにより、前記仕切部の剥離と同時もしくは続いて前記連通阻害用弱シール部が剥離するものである上記(8)に記載の医療用容器。
(10) 前記仕切部及び前記連通阻害用弱シール部は、ヒートシールにより形成されている上記(6)ないし(9)のいずれかに記載の医療用容器。
本発明の医療容器用ポリプロピレン系樹脂組成物は、メタロセン系触媒を用いた特定のプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体を主材とするとともに、特定のエチレン−α−オレフィン共重合体および上記のプロピレン−エチレンブロック共重合体と異なる第2のプロピレン−エチレンブロック共重合体を含有するものである。
このような三成分系とすることにより、スチレン系熱可塑性エラストマーを用いることなく、酸素透過性、透湿度が小さく、かつ、透明性および柔軟性を備え、さらにより良好な強度(耐落下性、耐低温衝撃性)とヒートシール特性を有するものとなっている。
また、本発明の医療用容器は、上述した医療容器用プロピレン系樹脂組成物により形成されたシートをヒートシールして形成した薬剤室を有する容器本体と、薬剤室の下端部と連通するように容器本体にヒートシールされた排出ポートと、薬剤室に収納された薬剤とを有する。特に、上述した医療容器用プロピレン系樹脂組成物により形成されたシートを用いることにより、排出ポートとのシール部におけるヒートシール性が良好となり、排出ポートシール部の耐落下性および耐衝撃性が高いものとなる。また、容器本体は、上記の医療容器用ポリプロピレン系樹脂組成物により形成されたシートからなるものであるので、酸素透過性、透湿度が小さく、中性、アルカリ及び酸性薬液充填条件下にて、高圧蒸気滅菌しても不溶性微粒子の発生が少なく、かつ、透明性および柔軟性を備え、良好な強度(耐落下性、耐低温衝撃性)を有する。
さらに、医療用容器が、内部空間が剥離可能な仕切用弱シール部により第1の薬剤室と第2の薬剤室に区分された容器本体と、前記第1の薬剤室の下端部と連通する排出ポートと、前記第1の薬剤室に収納された第1の薬剤と、前記第2の薬剤室に収納された第2の薬剤とを備える複室容器であれば、良好なヒートシール特性を有する仕切用弱シール部を有するものとなる。
図1は、本発明の医療用容器の一実施例の正面図である。 図2は、本発明の医療容器用ポリプロピレン系樹脂組成物および比較例の樹脂組成物を用いた実験結果を示すグラフである。
本発明の医療容器用ポリプロピレン系樹脂組成物について実施例を用いて説明する。
本発明の医療容器用ポリプロピレン系樹脂組成物は、条件(A−i)〜(A−iii)を満たすプロピレン系樹脂成分(A)50〜65wt%、条件(B−i)〜(B−iii)を満たすエチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)25〜35wt%、条件(C−i)〜(C−iii)を満たすプロピレン系樹脂成分(C)10〜20wt%からなる樹脂組成物である。
そして、プロピレン系樹脂成分(A)は、プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体であり、以下の条件(A−i)〜(A−iii)を満たすものである。
(A−i)メタロセン系触媒を用いて、第1工程でDSC測定における融解ピーク温度が125〜135℃、エチレン含量が1.5〜3.0wt%のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)を50〜60wt%、第2工程でエチレン含有量が8〜14wt%のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を50〜40wt%逐次重合することで得られたプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体であること
(A−ii)メルトフローレート(MFR:JIS K7210 A法 条件M、230℃ 2.16kg)が4〜10g/10分の範囲にあること
(A−iii)固体粘弾性測定により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、−60〜20℃の範囲において観測されるガラス転移を表す温度−損失正接(tanδ)曲線が0℃以下に単一のピークを示すものであること
プロピレン系樹脂成分(A)について具体的に説明する。
本発明における、医療容器用プロピレン系樹脂組成物の主成分として用いられるプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体であるプロピレン系樹脂成分(A)は、高い透明性、柔軟性、及び、耐衝撃性を備える樹脂である。本発明の医療容器用プロピレン系樹脂組成物は、医療用複室容器用プロピレン系樹脂組成物として特に有効である。
そして、プロピレン系樹脂成分(A)は以下の要件を満たしている。
(1)基本規定
プロピレン系樹脂成分(A)は、メタロセン系触媒を用いて、第1工程でDSC測定における融解ピーク温度Tm(A)が125〜135℃、エチレン含量が1.5〜3.0wt%の範囲にあるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)を50〜60wt%、第2工程でエチレン含量が8〜14wt%のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を50〜40wt%逐次重合することで得られる。
(2)成分(A1)について
(2−1)成分(A1)の融解ピーク温度Tm(A)
第1工程で製造される成分(A1)は、プロピレン系樹脂成分(A)において結晶性を決定する成分であり、成分(A)が耐熱性を発現するためには、成分(A1)の融解ピーク温度Tm(A)が比較的高いことが必要である。しかし一方で、Tm(A)が高すぎると柔軟性が不足し、また、ヒートシール特性を制御するためには、後述するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分である第2のプロピレン系樹脂成分(C)の融解ピーク温度Tm(C)との差が大きいことが必要である。そこで、成分(A1)の融解ピーク温度Tm(A)は、125〜135℃の範囲にあることが必要である。
すなわち、融解ピーク温度Tm(A)が125℃以下の場合には、薬液充填条件下にて、高圧蒸気滅菌した際に、容器に変形が生じたり、融着を起こすといった問題を生じ易いため、Tm(A)は125℃以上であることが必要であり、好ましくは128℃以上である。
一方、Tm(A)が高いと、耐熱性は良くなるが、柔軟性や透明性が阻害され易くなるばかりでなく、成分(C)の融解ピーク温度Tm(C)との差が小さくなることで、ヒートシールカーブが急激に立ち上がってしまい、多段階の安定的な剥離強度制御が困難となってしまうため、Tm(A)は135℃以下であることが必要であり、好ましくは133℃以下である。
(2−2)成分(A1)のエチレン含有量E(A1)
成分(A1)の融解ピーク温度Tm(A)は、エチレン含有量によって制御され、本発明における成分(A1)のエチレン含量E(A1)が1.5〜3.0wt%の範囲である。エチレン含有量が1.5wt%以下の場合には、Tm(A)が高くなりすぎ、また、3.0wt%以上の場合には低くなりすぎる。
(2−3)プロピレン系樹脂成分(A)中に占める成分(A1)の割合W(A1)
プロピレン系樹脂成分(A)中に占める成分(A1)の割合W(A1)は、成分(A)に耐熱性を付与する成分であるが、W(A1)が多過ぎると柔軟性や耐衝撃性を十分に発揮することが出来ず、また、透明性が損なわれる恐れがある。そこで成分(A1)の割合は60wt%以下であることが必要である。
一方、成分(A1)の割合が少なくなり過ぎると、融解ピーク温度Tm(A)が十分であっても耐熱性が低下し、薬液充填条件下にて、高圧蒸気滅菌した際に、容器に変形が生じたり、融着を起こすといった問題を生じ易くなるため、成分(A1)の割合は50wt%以上でなければならない。
(3)成分(A2)について
(3−1)成分(A2)中のエチレン含量E(A2)
第2工程で製造されるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)は、プロピレン系樹脂成分(A)の柔軟性と耐衝撃性及び透明性を向上させるのに必要な成分である。一般に、プロピレン−エチレンランダム共重合体においてエチレン含有量が増加することで結晶性は低下し、柔軟性向上効果は大きくなるため、成分(A2)中のエチレン含有量E(A2)は8wt%以上であることが必要である。E(A2)が8wt%以下の場合には十分な柔軟性を発揮することが出来ず、好ましくは10wt%以上である。
一方、成分(A2)の結晶性を下げるためにエチレン含量を増加させ過ぎると、成分(A1)と成分(A2)の相溶性が低下し、成分(A2)が(A1)と相溶化せずにドメインを形成するようになる。このような相分離構造において、マトリクスとドメインの屈折率が異なると透明性が急激に低下してしまう。そこで本発明に用いられるプロピレン系樹脂成分(A)中のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)のエチレン含有量は14wt%以下であることが必要であり、好ましくは12wt%以下である。
(3−2)プロピレン系樹脂成分(A)中に占める成分(A2)の割合W(A2)
成分(A2)の割合が多過ぎると耐熱性が低下するため、成分(A2)の割合W(A2)は50wt%以下に抑えることが必要である。
一方、成分(A2)の割合が少なくなり過ぎると柔軟性と耐衝撃性の改良効果が得られないため、成分(A2)の割合は40wt%以上であることが必要である。
(4)成分(A1)と(A2)の各成分のエチレン含量E(A1)とE(A2)及び各成分量W(A1)とW(A2)の特定
成分(A1)と(A2)の各エチレン含量及び成分量は、重合時の物質収支(マテリアルバランス)や、公知の各種分析法によって定量される。尚、本発明において用いた測定方法については、実施例においてその詳細を記載する。
(5)プロピレン系樹脂成分(A)のメルトフローレート MFR(A)
プロピレン系樹脂成分(A)のMFRは、4〜10g/10minの範囲を取ることが必要である。
プロピレン系樹脂成分(A)全体のメルトフローレート MFR(A)は、各成分(A1)、(A2)各々のMFR(各々MFR(A1)、MFR(A2)とする)と比率によって決定されるが、本発明においては、全体のMFRが4〜10の範囲にあれば、各々のMFRは本発明の目的を損ねない範囲で任意である。しかし、両者のMFRが大きく異なる場合には外観不良等が生じることがあるため、各成分各々のMFR(A1)、MFR(A2)共に4〜10g/10minの範囲にあることが望ましい。
MFRが低いと、モータ負荷や先端圧力が上昇するばかりでなく、フィルムの表面が荒れることで外観を悪化させるといった問題が生じるため、MFRは4g/10min以上であることが必要であり、好ましくは5g/10min以上である。一方で、MFRが高すぎると、成形が不安定になりやすく、均一なフィルムを得ることが困難となるため、MFRは10g/10min以下であることが必要であり、好ましくは8g/10min以下である。なお、本発明における各樹脂のメルトフローレート(MFR)は、JIS K7210 A法 条件M に従い、試験温度:230℃ 公称加重:2.16kg ダイ形状:直径2.095mm 長さ8.00mmの条件で測定したものである。
(6)固体粘弾性測定によるガラス転移温度の特定
プロピレン系樹脂成分(A)においては、固体粘弾性測定(DMA)により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、−60〜20℃の範囲において観測されるガラス転移を表すtanδ曲線のピークが0℃以下に単一のピークを示すことが必要である。
プロピレン系樹脂成分(A)が相分離構造を取る場合には、成分(A1)に含まれる非晶部のガラス転移温度と成分(A2)に含まれる非晶部のガラス転移温度が各々異なるため、ピークは複数となる。この場合には、透明性が顕著に悪化するという問題が生じる。通常プロピレン−エチレンランダム共重合体におけるガラス転移温度は−60〜20℃の範囲において観測され、相分離構造を取っているかどうかは、本範囲における固体粘弾性測定におけるtanδ曲線において判別可能であり、成形品の透明性を左右する相分離構造の回避は、0℃以下に単一のピークを有することによりもたらされる。固体粘弾性測定(DMA)の具体的な方法については実施例に記載する。
(7)プロピレン系樹脂成分(A)の製造方法
本発明に用いられるプロピレン系樹脂成分(A)の製造方法は、特開2005−248156号公報、特許4156491号公報に記載の方法を用いることが好ましい。
また、メタロセン系触媒としては、特開2005−248156号公報に開示されているものが使用できる。代表的なメタロセン化合物としては、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(アズレニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン1,2−ビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス{1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリドなどが例示できる。なお、メタロセン系触媒は、上記のものに限定されるものではない。
次に、本発明の医療容器用プロピレン系樹脂組成物に含有されるエチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)について説明する。
エチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)は、以下の条件(B−i)〜(B−iii)を具備するものである。
(B−i)密度が0.870〜0.890g/cmの範囲にあること
(B−ii)融解ピーク温度が80℃以下であること
(B−iii)メルトフローレート(JIS K7210 A法 条件D、190℃ 2.16kg)が2.0〜5.0g/10minの範囲にあること
そして、本発明では、このエチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)を含有させることにより、樹脂組成を用いて形成されたシートに良好な耐衝撃性とヒートシール特性を付与している。
成分(B)は組成物の低温における衝撃強度を改良する効果を有する。本発明における医療容器用プロピレン系樹脂組成物は、製品の保管や輸送時に冷蔵されることがあるため、このときに破壊が生じないよう低温での耐衝撃性が必要である。このとき成分(B)の量が少なすぎると、ヒートシール特性が十分でないばかりか、耐衝撃性も不足するという問題が生じる。
また、本発明の医療容器用プロピレン系樹脂組成物を用いた医療用容器は、シートをヒートシールすることにより形成される。ヒートシールは、熱と圧力を加えることで樹脂を融着させ、冷却固化する工程である。このとき、シートの厚みや形状、シール温度、圧力や時間等により剥離強度は変化するが、この剥離強度を制御するためには、ヒートシール温度に対する強度の変化を小さく設定することが重要である。すなわち、実際のヒートシール工程においては、剥離強度は加熱部の温度により制御されるが、実際の温度は誤差や周囲温度等の外乱による振れを持っており、ヒートシール温度に対する強度の変化が急激であると、温度の振れにより剥離強度が大きく変化してしまい、安定した剥離強度を得にくい。第1のヒートシール特性としてまず必要となるのは、手で容器を絞った際に比較的容易に剥離可能な弱シール強度である1〜10N/10mm程度の強度範囲、好ましくは2〜6N/10mm程度の強度範囲で設定強度±1N/10mmで強度管理が可能な弱シール特性を発揮させることであり、ヒートシール温度変動に対しシール強度の影響が少ないことが重要である。
エチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)はプロピレン系樹脂成分(A)や(C)とは相溶性が乏しく相分離構造を取り、融解温度に大きな差を有している。成分(B)はプロピレン系樹脂成分(A)および(C)中にドメインを形成しているものと思われる。このため、ヒートシール温度が、プロピレン系樹脂成分(A)や(C)は融解せず熱融着しないが、成分(B)は融解する温度であれば、組成物全体中で少ない割合の成分(B)が表面に存在している部分のみが融着し、全体が融着するのに比べて低い融着強度を示すために、この量と融解温度を調節することで弱シール特性を制御できると考えられる。
また、エチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)の屈折率が成分(A)と大きく異なる場合には、組成物の透明性が悪化するため、屈折率をあわせることも重要である。これら融解温度や屈折率は密度によって制御可能であり、ヒートシール特性と透明性を両立させるには、密度を特定の範囲にすることが必要となる。
(1) 密度
以上の理由から、本発明に用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)は、密度が0.870〜0.890g/cmの範囲にあることが必要である。
密度が低くなりすぎると、屈折率差が大きくなり透明性が悪化するため、0.870未満の場合には、本発明に必要な透明性を確保することが出来ず、0.870以上であることが必要で、好ましくは0.875以上である。
一方、密度が高くなりすぎると、結晶性が高くなることで柔軟性、耐衝撃性や透明性が悪化し易くなり、また、成分(A)の融解温度と成分(B)の融解温度に差が無くなるとヒートシール特性の制御が困難となるため、0.890以下であることが必要で、好ましくは0.885以下である。
(2)融解温度T(B)
前述したように1〜10N/10mm程度の比較的弱いヒートシール強度領域のシール強度を制御するためには、成分(A)と成分(B)の融解温度を離すことが重要であり、本発明においては成分(B)の融解ピーク温度T(B)は80℃以下であることが必要である。T(B)が80℃以下であれば、1〜10N/10mmの強度領域にてシール強度が±1N/10mmの範囲内に設定可能であり、T(B)が80℃を越える場合には、ヒートシール温度範囲が狭く、安定したヒートシール強度を得ることが出来ない。
(3)メルトフローレート(JIS K7210 A法 条件D、190℃ 2.16kg)
本発明の樹脂組成物は、成形性を確保するために適度な流動性を持っていることが必要であり、成分(B)の粘度が高すぎると流動性が不足し、分散不良が生じたりすることで透明性や耐衝撃性が低下し易くなり、また、ヒートシール特性にばらつきが生じるといった問題を生じ易くなる。そこで本発明におけるエチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)はメルトフローレートが2.0g/10min以上であることが必要であり、好ましくは2.5以上である。一方、メルトフローレートが高すぎると、成形時の安定性が低下し、フィルムの厚みムラが生じたり、耐衝撃性が低下するといった問題を生じ易くなり、また、ヒートシール時に成分(B)は成分(A)に比べより低い温度で融解するため、粘度が低すぎるとヒートシール圧力により表面にブリードしやすく、ヒートシールの制御性が悪化するため、メルトフローレートは5.0g/10min以下であることが必要であり、好ましくは4.5g/10min以下である。
(4)樹脂組成物中の成分(B)の割合
成分(B)が樹脂組成物中に占める割合は、25〜35wt%の範囲であることが必要である。すなわち、成分(B)は成分(A)中にドメインとして存在し、かつ、成分(A)に比べ融解温度が低いため、低い温度域で成分(B)だけが融解することでヒートシール強度が低い領域の制御を行っている。このとき、成分(B)の量が少なすぎると、フィルム表面における成分(B)の存在量が少なくなり、弱シール時の強度が低くなりすぎ十分な制御を行うことが出来ないばかりでなく、耐衝撃性が不足し、製品が輸送時に破袋するといった問題を生じる。一方で、量が多くなりすぎると、成分(B)が表面に多く存在することで、加熱滅菌時に融着が生じてしまう恐れがある。本発明における成分(B)が組成物中に占める割合は、25〜35wt%の範囲にあることが必要で、25wt%未満の場合には、弱シール特性が不十分、かつ、柔軟性、耐衝撃性が不足になり、35wt%以上の場合には耐熱性が不足するため、用いることが出来ない。
(5)エチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)の製造方法
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)は、成分(A)との屈折率差を小さくするためには密度を低くすることが必要であり、さらに、ベタツキやブリードアウトを抑制するためには結晶性及び分子量分布が狭いことが望ましい。そこで、成分(B)の製造には結晶性及び分子量分布の狭くできるメタロセン系触媒を用いることが望ましい。
(5−1)メタロセン系触媒
メタロセン触媒としては、エチレン−α−オレフィン共重合体の重合に用いられる公知の各種触媒を用いることが出来る。具体的には、特開昭58−19309号、特開昭59−95292号、特開昭60−35006号、特開平3−163088号の各公報などに記載されているメタロセン系触媒を例示できる。
(5−2)重合方法
具体的な重合方法としては、これらの触媒の存在下でのスラリー法、気相流動床法や溶液法、あるいは圧力が200kg/cm以上、重合温度が100℃以上での高圧バルク重合法などが挙げられる。好ましい製造法としては高圧バルク重合が挙げられる。エチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)は、メタロセン系ポリエチレンとして市販されているものの中から適宜選択し使用することもできる。市販品としては、デュポンダウ社製アフィニティー(登録商標)及びエンゲージ(登録商標)、日本ポリエチレン社製カーネル(登録商標)、エクソン社製EXACT(登録商標)などが挙げられる。
これらの使用において、本発明の要件である密度と融解ピーク温度、MFRのグレードを選択すればよい。
また、エチレン−α−オレフィン共重合体は、前記条件(B−i)〜(B−iii)を満たす限りエチレンとエチレン以外の一種類のα−オレフィンからなる共重合体であっても、エチレンとエチレン以外の二種類以上のα−オレフィンからなる共重合体であっても良い。
次に、本発明の医療容器用プロピレン系樹脂組成物に含有されるプロピレン−エチレンブロック共重合体であるプロピレン系樹脂成分(C)について説明する。
このプロピレン系樹脂成分(C)は、(C−i)〜(C−iii)の条件を具備する。
(C−i)第1工程でメルトフローレート(JIS K7210 A法 条件M、230℃、2.16荷重)が100〜200g/10minの範囲にあるポリプロピレン成分(C1)を65〜75wt%、第2工程でエチレン含量が4〜8wt%、重量平均分子量が80万〜300万のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(C2)を35〜25wt%逐次重合することで得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体であること
(C−ii)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定により求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が9.0〜15.0の範囲にあること
(C−iii)プロピレン系樹脂成分(C)全体のメルトフローレート(JIS K7210 A法 条件M、230℃、2.16荷重)が2.0〜8.0g/10minの範囲にあること。
そして、本発明では、第2のプロピレン−エチレンブロック共重合体であるプロピレン系樹脂成分(C)を含有させることにより、樹脂組成を用いて形成されたシートに良好なヒートシール特性を付与している。
医療容器用プロピレン系樹脂組成物として、多段階の安定的な剥離強度制御性を有することが望ましい。本発明の樹脂組成物では、上述した成分(B)を含有することにより、1〜10N/10mm程度、好ましくは2〜6N/10mm程度の比較的容易に剥離可能な弱シール強度領域におけるシール温度に対し安定的な弱シール特性を発揮させることを可能としている。しかし、容易に剥離可能であるが1〜10N/10mmの弱シール領域に加えて、第2のヒートシール特性として、より高い2〜25N/10mm程度、好ましくは4〜20N、さらに好ましくは6〜15Nの剥離強度領域にてシール強度を制御することが望ましい。また、安定した剥離強度の製品を得るためには、ヒートシール温度に対するこの領域の強度の変化を出来るだけ小さくすることが必要なのは1〜10N/10mmと同様である。このとき、2〜25N/10mmの強度領域で設定強度±2N/10mmで強度管理するには、プロピレン系樹脂成分自体の改良が必要であり、プロピレン系樹脂成分(C)は、これを制御するための成分である。
すなわち、本発明に主成分として用いられるプロピレン系樹脂成分(A)は、メタロセン系触媒により製造されることで、高い柔軟性と透明性を両立させているが、一方で、結晶性成分の結晶性分布が狭く、特定の温度で一度に融解するため、温度に対するヒートシール強度の立ち上がりが急激である。結晶性分布を広げると結晶性が高い成分ほど高い温度で融解するため、温度に対するヒートシール強度はなだらかになるものの、ヒートシール時の圧力により融解している成分が流動しやすいとその効果は十分でない。このとき、メタロセン系触媒により製造されるプロピレン系樹脂成分(A)は、分子量分布が狭く、高分子量成分を持たないため、ヒートシール時の圧力によって流動しやすく、プロピレン系樹脂成分(C)を含有させることにより、結晶性分布を付与すると同時に、分子量にも分布を持たせることで、高強度側での温度に対するヒートシール強度の変化をなだらかにすることが可能となる。
(1) 基本規定
プロピレン系樹脂成分(C)は、第1工程でメルトフローレート(JIS K7210 A法 条件M、230℃、2.16荷重)が100〜200g/10minの範囲にあるポリプロピレン成分(C1)を65〜75wt%、第2工程でエチレン含量が4〜8wt%、重量平均分子量が80〜300万のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(C2)を35〜25wt%逐次重合することで得られる。
(2) 成分(C1)について
成分(C1)はポリプロピレン成分であり、結晶性が高い成分である。本成分は組成物中で成分(A)よりも融解温度が高く、成分(A)が融解する温度での融着を抑えることで温度に対するヒートシール強度の変化をなだらかにするための成分である。従って、成分(C1)は成分(A)よりも結晶性が高いことが必要であり、プロピレンのみからなるポリプロピレン成分であることが好ましい。
(2−1)成分(C1)のメルトフローレート(JIS K7210 A法 条件M、230℃、2.16荷重)
後述するように、成分(C2)は分子量が高いことが必要であるが、成分(C)全体の分子量が高いと、流動性が悪く、組成物中で十分に分散することが出来ず効果が不十分となるばかりか、流れムラ、ゲルやフィッシュアイと呼ばれる外観不良の原因ともなるため、成分(C1)の流動性を高めることで、成分(C)全体の流動性を確保することが必要である。そこで、成分(C1)のメルトフローレートは少なくとも100g/10minである事が必要であるが、一方で、メルトフローレートが高すぎても流れムラが発生しやすくなったり、耐衝撃性や柔軟性が低下する恐れがあるため、200g/10min未満であることが必要であり、本発明における成分(C1)のメルトフローレートは100〜200g/10minの範囲にあることが必要である。
(3) 成分(C2)について
成分(C2)は成分(A)の結晶成分が融解した際の流動性を下げることで、ヒートシール強度の急激な上昇を抑えるための成分である。流動性を下げることでヒートシール強度の上昇を抑制するには、成分(A)が融解したときに、成分(C2)も融解している必要がある。そこで、成分(C2)は成分(C1)とは異なり、結晶性を低下させることが必要であり、結晶性はエチレン含有量で制御されるためエチレン含有量を4〜8wt%にすることが必要である。
(3−1)重量平均分子量
成分(C2)はヒートシール時に成分(A)が融解し、ヒートシール圧力により流動するのを阻害することで、ヒートシール強度の急激な上昇を抑えることが必要である。このとき、成分(C2)の分子量が低いと、流動を阻害する効果が不足し、ヒートシール特性を十分に改良することが出来ない。そこで、成分(C2)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定(GPC)により求めた重量平均分子量(Mw)が80万以上であることが必要である。また、分子量が高くなりすぎると分散性が悪化するため、300万未満であることが必要である。
(3−2)成分(C)中の成分(C2)の割合W(C2)
成分(C2)は極めて分子量が高いため、成分(C)中に占める割合W(C2)が多くなりすぎると、成分(C)が組成物中で十分に分散することが出来ず、ヒートシール特性の改良が出来ないばかりか、物性の悪化や、外観不良等の問題の原因となるため、35wt%以下であることが必要である。一方、成分(C2)が少なすぎると、十分なヒートシール特性を発揮するために組成物中に多くの成分(C)が必要となることで柔軟性が低下し、また、透明性の低下を招く恐れがあるため、25wt%以上であることが必要である。
(4) 組成物中の成分(C)の割合
成分(C)が組成物中に占める割合は、10〜20wt%の範囲であることが必要である。本発明において成分(C)は高強度側のヒートシール特性を改良するための成分であり、成分(A)に結晶性分布を付与し、結晶の融解挙動を制御するために、高結晶性成分である成分(C1)を、また成分(A)のヒートシール時の圧力による流動を抑制するために高分子量の成分(C2)を含むことで、温度に対するヒートシール強度の急激な上昇を抑制している。成分(C)の量が少なすぎると、高結晶性成分や高分子量成分が不足し、十分なヒートシール特性改良効果を得ることが出来ない。さらに溶融張力不足によるシート成形性の改善効果も発揮できない。一方で、成分(C)の量が多くなりすぎると、柔軟性や透明性等の物性低下が顕著になり、本発明の樹脂組成物に要求される品質を満たすことが出来ない。
本発明における組成物中の成分(C)の割合が10wt%未満の場合には十分なヒートシール特性を付与することが出来ないため、10wt%以上であることが必要であり、好ましくは12wt%以上である。一方、20wt%以上では物性が悪化するため、20wt%未満であることが必要であり、好ましくは18wt%未満である。
(5)成分(C1)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定(GPC)により求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)について
本発明に用いる成分(C)は、分子量の大きく異なる成分(C1)と成分(C2)からなるため、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)において求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が、9.0以上であることが必要である。分子量分布が9.0未満の場合には、ヒートシール特性改良効果が十分でなく、15.0以上の場合には分散性が悪化する。
(6) 成分(C1)のメルトフローレート(JIS K7210 A法 条件M、230℃、2.16荷重)について
本発明において用いる成分(C)は、分子量が高い成分(C2)を含んでいるにもかかわらず、組成物中で十分な分散が必要である。そのためには、成分(C)が適度な流動性を有することが必要であり、流動性の尺度であるメルトフローレートが2.0〜8.0g/10minの範囲にあることが必要である。メルトフローレートが2.0未満の場合には分散が悪化し、流れムラやゲル、フィッシュアイと呼ばれる外観不良を引き起こすばかりか、ヒートシール特性が安定しにくくなり、十分な効果が得ることが出来ない。一方、8.0以上の場合には、耐衝撃性や柔軟性の低下といった物性上の問題を生じたり、ヒートシール特性改良効果が得られにくくなる等の問題が生じる。
(7) 製造方法
成分(C)は、分子量の低い成分(C1)と分子量の極めて高い成分(C2)からなるが、これらの各成分は流動性が極めて異なるため、両者を溶融混練により混ぜることは事実上不可能である。一方、溶媒等に溶かしてブレンドすることはコスト面、環境面から好ましくない。そこで、本発明に用いられる成分(C)は第1工程で成分(C1)を、第2工程で成分(C2)を逐次重合することで、重合分散させたものであることが必要である。
成分(C)を得るための触媒系としては、チタン含有固体触媒成分と有機アルミニウム化合物とを主体とするもの、またはπ電子共役配位子を少なくとも1個有するメタロセン系の遷移金属化合物を用いることができる。ここで、成分(C2)はより高分子量の成分が含まれるほどヒートシール特性の改良効果が大きいため、チタン含有固体触媒成分と有機アルミニウム化合物とを主体とするものより製造されることが好ましい。
チタン含有固体触媒成分は、固体のマグネシウム化合物、四ハロゲン化チタン及び電子供与性化合物を接触させて得られる公知の担持型触媒成分、三塩化チタンを主成分として含む公知の触媒成分から選ばれる。助触媒のアルミニウム化合物は、一般式AlRnX3-n (式中Rは炭素数2から10の炭化水素基を表し、nは3≧n>1.5の数を表す)で表される。チタン含有固体触媒成分が固体のマグネシウム化合物を含有する担体担持型触媒成分である場合はAlR3またはAlR3とAlR2Xの混合物を使用するのが好ましく、一方三塩化チタンあるいは三塩化チタンを主成分として含む触媒成分である場合はAlR2Xを使用するのが好ましい。さらに本発明においては上記触媒および共触媒成分の他に第3成分として公知の電子供与性化合物を使用することができる。成分(C)を得るための重合反応は、たとえばヘキサン、ヘプタンなどの不活性溶媒の存在下でも、不存在下、即ち液体プロピレンの存在下あるいは気相プロピレン中でも行うことができる。反応は1基の重合槽を用いて回分式に行うこともできるし、2基以上の重合槽を直列につないで連続的に行うこともできる。
重合の順位は最初に成分(C1)を重合し次いで成分(C2)を重合する2段階で行なわれ、付加的に重合を行ない3段階、4段階で行ってもよい。
触媒は、第1段階で重合前に添加されるのが一般的である。後段に於いて触媒を補充することを必ずしも排除するものではないが、樹脂のブレンドでは得られない特性を得るためには、触媒は第1段階で添加するのが好ましい。
成分(C1)を得るための工程(1)は、プロピレンを水素の存在下に重合する。水素は工程(1)で得られる重合体のMFRが100〜200の範囲となるように制御される。一般には水素濃度(スラリー重合においては気相部濃度、液体プロピレン中の重合あるいは気相法においてはモノマー中の含有量を指す)が1〜50mol%、好ましくは3〜30mol%添加される。
工程(1)の重合温度は一般に40〜90℃であり、全重合量の65〜75重量%を製造する。
成分(C2)を得るための工程(2)は高分子量成分を得るための重合であり、水素濃度は0.1mol%以下の実質的に無水素状態で重合を進行させる。工程(2)で得られる重合体の重量平均分子量は80万〜300万である。
重合温度は通常40〜90℃、好ましくは50〜80℃であり、共重合コモノマーとしてエチレンを含みコモノマー含量は4〜8重量%の範囲となるようにモノマーの濃度を制御する。
本発明の医療容器用プロピレン系樹脂組成物は、付加的成分(添加剤)を含有してもよい。添加剤としては、酸化防止剤、中和剤などが用いられる。
酸化防止剤は、樹脂組成物の成形加工時の熱安定性や、成形体の熱劣化を抑制するための添加剤であり、内容物に影響が小さいものを用いる必要があり、本発明において最も好適なのは、フェノール系酸化防止剤として、テトラキス[メチレン−3−(3´,5´−ジ−t−ブチル−4´−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、リン系酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトであり、加水分解しやすいものはさけることが好ましい。添加量は、樹脂組成物の安定性を確保するために必要な最低限にとどめ、2000ppm以下に抑えることが好ましい。中和剤としては、ステアリン酸カルシウムを用いることが出来るが、内容物によって高圧蒸気滅菌後にも不溶性微粒子の発生原因になる場合があるので、添加量は200ppm以下であることが望ましい。
次に、本発明の医療用容器について、図面に示す実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の医療用容器の一実施例の正面図である。なお、図中の上側を「上端」、下側を「下端」として説明する。
本発明の医療用容器1は、上述した医療容器用プロピレン系樹脂組成物により形成されたシートをヒートシールして形成した薬剤室を有する容器本体と、薬剤室の下端部と連通するように容器本体にヒートシールされた排出ポートとを有する。また、本発明の医療用容器1は、薬剤室に収納された薬剤を有する薬剤充填済み医療用容器としてもよい。
特に、図示する実施例の医療用容器1は、医療用複室容器となっている。本発明の医療容器用プロピレン系樹脂組成物を用いる医療用容器としては、医療用複室容器とすることが有効であるが、単室の医療用容器であってもよい。
この実施例の医療用容器1は、可撓性材料により作成され、内部空間が剥離可能な仕切部9により第1の薬剤室21と第2の薬剤室22に区分された容器本体(軟質バッグ)2と、第1の薬剤室21の下端部と連通する排出ポート3と、第1の薬剤室21に収納された第1の薬剤と、第2の薬剤室22に収納された第2の薬剤とを備えている。さらに、この実施例の医療用容器1は、第1の薬剤室21と排出ポート3との連通を阻害する剥離可能な連通阻害部10を備えている。
医療用容器1は、図1に示すように、軟質バッグ2と、第1の薬剤と、第2の薬剤と、排出ポート3、混注ポート4とを備えている。
また、本発明の軟質バッグ2は、図1に示すように、第1の薬剤室21と、第2の薬剤室22と、仕切部9と、連通阻害部10と、排出ポート取付部27、混注ポート取付部28,薬剤注入部29を備えている。
軟質バッグ2は、インフレーション成形法により筒状に成形されたものが好ましい。なお、軟質バッグ2は、例えばブロー成形法などの種々の方法により製造されたものであってもよい。また、軟質バッグ2は、筒状体の外周部の全周をシールしたもの、上下端のみをシールしたもの、1枚のシートを2つ折りにして、折り曲げ部(側辺部7または8)以外の3辺をシールしたものなどの袋状物であってもよい。
すなわち、軟質バッグ2の上端部および下端部には、上端側シール部5および下端側シール部6が設けられている。上端側シール部5、下端側シール部6は、幅広強シール部となっている。また、軟質バッグ2の側辺には、強シール部である側辺部7,8が設けられていてもよい。また、軟質バッグ2の下端側シール部6には、図1に示すように、排出ポート3を取り付けるための排出ポート取付部27、第1の薬剤室21内に薬剤を注入するための薬剤注入部29が設けられている。排出ポート取付部27および薬剤注入部29は、下端側シール部6の一部を軟質バッグ2内部と外部とが連通する非シール部である。そして、薬剤注入部29は、薬剤注入後、シール部6aによりシールされている。なお、下端側シール部6には薬剤注入部29が設けられていることが好ましいが側辺部7、8に設けられていてもよく、また、なくてもよい。また、上端側シール部5には、混注ポートを取り付けるための混注ポート取付部28が設けられている。混注ポート取付部28は、上端側シール部5の一部を軟質バッグ内部と外部とが連通する非シール部である。なお、混注ポート取付部28は、必ずしも設けなくてもよい。また、同様の非シール部を第2の薬剤室の薬剤の注入部として同じ位置も設けてもよい。なお、第2の薬剤室の薬剤の注入部は、側辺部7、8に設けてもよい。
図1に示すように、軟質バッグ2は、仕切部9により第1の薬剤室21と第2の薬剤室22に区画されている。そして、この実施例の医療用容器1では、仕切部9は、中央弱シール部9aと、中央弱シール部9aの両側部分もしくは両側に形成された側部シール部9bとにより形成されている。本発明の実施例においては、仕切部9は、図1に示すように、軟質バッグ2の薬剤室の横方向全体を横切るように設けられている。そして、中央弱シール部9aは、軟質バッグ2の側辺部(側辺シール部)7、8からそれぞれ軟質バッグ2の中央に向かって延出した2つの側部シール部9bの間を連続してつなぐように設けられている。中央弱シール部9a及び側部シール部9bは、軟質バッグ2のシート材を帯状に剥離可能に融着することにより形成されている。このような構成により、薬剤室の中央付近には、中央弱シール部9aのみ形成されており、その両側には中央弱シール部9aに重なって側部シール部9bが形成されている。また、この実施例では、側部シール部9bは中央弱シール部9aより幅が広く、かつ、その上縁は、側辺部に向かうに従って、軟質バッグの上端側に向かうように湾曲している。このため、第2の薬剤室22を圧迫したとき、薬剤室22内の薬剤が、中央弱シール部9aに向かうように構成されている。
なお、この実施例の医療用容器1において、側部シール部9bは、中央弱シール部9aより幅が広いものとなっているが、同程度の幅、あるいは狭幅のものとしてもよい。
実施例の仕切部9は、いずれか一方の薬剤室を手指等で強く圧迫したとき(例えば、押圧したときあるいは絞ったとき)に剥離して第1の薬剤室21と第2の薬剤室22とを連通可能なものである。また、中央弱シール部9aは、第2の薬剤室22を圧迫したとき、連通阻害部10より剥離しやすいものである。
また、実施例の側部シール部9bは、中央弱シール部9aおよび連通阻害部10より剥離しにくいものとなっている。
仕切部9(中央弱シール部9a)の剥離強度としては、輸送中に2つ折り梱包形態の軟質バッグ2に対して加えられる圧力では剥離せず、軟質バッグ2を手指などで強く圧迫した(絞った)ときに剥離する程度であることが好ましい。仕切部9は、軟質バッグ2を融着することにより形成されることが好ましい。融着としては、熱融着、高周波融着、超音波融着などであることが好ましい。軟質バッグ2は、このように仕切部9に区分された2つの薬剤室21、22を有しているため、異なる成分の薬剤を無菌的に軟質バッグ2内で混合することができる。また、図1に示す実施例において仕切部9は、軟質バッグ2に対して水平に直線的に設けられているが、これに限定されるものではない。なお、本発明の実施例では、仕切部9は、中央弱シール部9aおよび側部シール部9bにより構成されているが、これに限定されるものではなく、中央弱シール部9aのみにより構成してもよい。また、側部シール部9bは、通常の使用方法では剥離しないことが好ましい。また、側部シール部9bは、軟質バッグ2を熱融着、高周波融着、超音波融着などにより融着することにより形成されることが好ましい。なお、側部シール部9bは、剥離不能な強シール部であってもよい。
具体的には、弱シール部(中央弱シール部)9aのシール強度(初期の剥離強度)は、1〜10N/10mm、特に、2〜6N/10mmであることが好ましい。シール強度がこの範囲内であれば、輸送や保管中等に誤って中央弱シール部が剥離することがなく、また、中央弱シール部を剥離する作業も容易である。側部シール部のシール強度(初期の剥離強度)は、3N/10mm以上、特に、4N/10mm以上であることが好ましい。中央弱シール部と側部シール部とのシール強度差(初期の剥離強度差)としては、側部シール部のシール強度が、中央弱シール部のシール強度(初期の剥離強度)より、3〜30N/10mm、特に、4〜25N/10mm大きいものであることが好ましい。このようにすることにより、いずれかの薬剤室を押圧した際、仕切用弱シール部の全体が一気に剥離することを抑制し、少なくとも中央弱シール部からの剥離を確実なものとできる。また、本発明の医療用容器では、図2に示し後述するように、ヒートシール温度(金型温度)の上昇に対して、シール強度も緩やかに上昇するものとなっており、ヒートシール温度を適宜変化させることにより、ヒートシール部に所望のシール強度を付与することができる。
なお、本発明の実施例では、中央弱シール部9aの両側に側部シール部9bが形成されているが、側部シール部9bが形成されていなくてもよく、易剥離性の中央弱シール部9aのみにより軟質バッグ2が仕切られていてもよい。また、側部シール部9bに該当する部分が強シールであっても良い。なお、側部シール部9bに相当する部分を切り欠いて、軟質バッグ2をひょうたんのような形状としても側部弱シール9bと同様の効果を得ることができる。
側部シール部9bを有する場合の中央弱シール部9aの長さ(側部シール部9bを除く長さ)は、薬剤室の横幅に対して0.2〜0.8であることが好ましい。特に、0.3〜0.7であることが好ましい。具体的には、中央弱シール部9aの長さは、薬剤室の横幅にもよるが横幅190mmの場合70〜110mm、特に80〜100mmであることが好ましい。中央弱シール部9aの幅は、8〜20mm、特に、10〜15mmであることが好ましい。側部シール部9bの幅は、6〜50mm、特に8〜30mmであることが好ましい。
また、仕切部9は、図1に示すように、後述する連通阻害部10の上方、特に、鉛直方向上方となる位置に設けられていることが好ましい。また、側部シール部9bは、図示するように、連通阻害部10の鉛直方向上方となる位置の両側に設けられていることが好ましい。このような位置に仕切部9が設けられていることにより、仕切部9が剥離した際、軟質バッグ2の連通阻害部10が形成されている部分が大きく膨らむため連通阻害部10が剥離しやすくなる。
なお、側部シール部9bは、実質的に剥離することができないシール部となっていてもよい。側部シール部9bに相当する部分を必ずしも剥がれるシールとする必要はなく、当該部分が強シール部となっていてもよい。なお、仕切部9(中央弱シール部9a)は、帯状に形成されていなくてもよい。例えば、仕切部9(中央弱シール部9a)は、V字形状、半円形状、半楕円形状に形成されていてもよい。また、仕切部9(中央弱シール部9a)は、細く作製されていることにより、剥離しやすいものとなっていてもよい。また、この実施例では、排出ポート3および連通阻害用弱シール部10が軟質バッグ2下部の中央付近に設けられているため、それに対応して中央弱シール部9aも軟質バッグ2の中央付近に設けられている。排出ポート3および連通阻害用弱シール部10が軟質バッグ2の側辺側に寄った位置に設けられる場合には、それに対応して、中央弱シール部9aも軟質バッグ2の横方向の中央付近から側辺側に寄った位置に設けることが好ましい。
仕切部9により区分される第1の薬剤室21と第2の薬剤室22との容積比は、1:1〜1:5であることが好ましい。
また、医療用容器1の第1の薬剤室21の容積はできるだけ小さい方がよい。このような構成であれば、第2の薬剤室22を圧迫したとき(例えば、押圧したときあるいは絞ったとき)、ワンアクションで連通阻害用弱シール部10が容易に剥離するものとなる。
そして、医療用容器1は、連通阻害部10を備える。この実施例の医療用容器1では、連通阻害部は、連通阻害用シール部により形成されている。そして、この実施例の医療用容器1では、連通阻害部10は、排出ポート3の上方を取り囲むように形成されている。この連通阻害部10により、第1の薬剤室21から隔離された第3の室23が形成されている。この第3の室23は、空室となっている。しかし、第3の室23には、所定の液体(例えば、注射用水または生理食塩水)が入れられていてもよい。また、第3の室23は、乾燥状態でもよいが、滅菌のための微量の液体が充填されていてもよい。さらに、連通阻害用弱シール部10に若干の水蒸気などの水分が通る通路を形成し、第1の薬剤室21と上記のようなレベルで連通するものであってもよい。連通阻害用弱シール部10は、シート材を熱シール(熱融着、高周波融着、超音波融着)することにより形成することができる。
連通阻害部10は、仕切部9の中央弱シール部9a部分の下側となる位置に形成されていることが好ましい。このような位置に形成されることにより、第1の薬剤室21または第2の薬剤室22を圧迫したとき(例えば押圧したときあるいは絞ったとき)に、上述したように連通阻害部10が剥離しやすくなる。
連通阻害部10は、図1に示す実施例では、脚部が開いた反転したU字(コの字)形状(言い換えれば、短辺が上側となる台形状)に形成されている。また、連通阻害部10は、排出ポート3が頂点となる三角形状、排出ポート3が底辺となる三角形状、四角形状等の多角形状、略半円形状、略半楕円形状であってもよい。なお、連通阻害部10が外周縁に角部を有する場合には、角部にエッジが形成されていないことが好ましい。
連通阻害部10の剥離のための強度は、仕切用弱シール部(中央弱シール部9a)の剥離のための強度より大きいものとなっている。また、連通阻害用弱シール部10は、本発明の実施例においては、側部シール部9bより剥離しやすいものである。
また、医療用容器1は、第1の薬剤室21を圧迫することにより、仕切部9(中央弱シール部9a)の剥離に続いて連通阻害用弱シール部10が剥離するものであってもよい。このようなものであれば、軟質バッグ2の第1の薬剤室21を圧迫し、仕切部9の剥離時の流体の力により、連通阻害用弱シール部10を剥離させることができる。
また、連通阻害用弱シール部10は、連通阻害用弱シール部のシール強度が、仕切部9(中央弱シール部9a)と同等もしくは仕切部9(中央弱シール部9a)のシール強度より若干強くすることにより構成することとができる。連通阻害用弱シール部のシール強度(初期の剥離強度)は、2〜25N/10mm、好ましくは、4〜20N/10mm、特に6〜15N/10mmであることが好ましい。そして、本発明の医療用容器では、図2に示し後述するように、ヒートシール温度(金型温度)の上昇に対して、シール強度も緩やかに上昇するものとなっており、ヒートシール温度を適宜変化させることにより、ヒートシール部に所望のシール強度を付与することができ、連通阻害用弱シール部と仕切部(中央弱シール部)とに微妙なシール強度差を付与することが容易である。
連通阻害用弱シール部のシール強度(初期の剥離強度)は、2N/10mm以上、特に、4N/10mm以上であることが好ましい。中央弱シール部と連通阻害用弱シール部とのシール強度差(初期の剥離強度差)としては、容器や各シール部の形状の影響も考えられるため一概には言えないが、連通阻害用弱シール部のシール強度が、中央弱シール部のシール強度(初期の剥離強度)より、0.1〜10N/10mm、特に、1〜5N/10mm大きいものであることが好ましい。
このようにすることにより、いずれかの薬剤室を圧迫した際、連通阻害用弱シール部が仕切部9より先に剥離することを抑制し、少なくとも中央弱シール部9a部分からの剥離が確実なものとなる。
剥離強度の具体的な測定方法としては、以下のようにして行うことができる。医療用容器を、各測定対象シール部を含む部分を容器の幅方向に10mmの長さに切断して、それぞれの切断片のシール部を引張速度300mm/分で剥離させた際の測定値の平均値である。
また、医療用容器1は、連通阻害用弱シール部10の上端と薬剤排出ポートの上端との間の長さ(最短距離)に対する中央弱シール部9aの横方向の長さの比は、0.2〜3であることが好ましく、更に0.5〜2であることが好ましい。特に、0.7〜1.5であることが好ましい。また、連通阻害用弱シール部10の幅(帯幅)は、2〜20mm、特に、4〜12mmであることが好ましい。
このような軟質バッグ2の形成材料として、上述した医療容器用ポリプロピレン系樹脂組成物が用いられる。また、軟質バッグ2は、上述したような材料よりなる単層構造のもの(単層体)であってもよいし、また、上述した医療容器用ポリプロピレン系樹脂組成物よりなる層と他の材料層とからなる多層物を用いてもよい。なお、多層物により軟質バッグを形成する場合、医療容器用ポリプロピレン系樹脂組成物からなる層が向かい合うように(言い換えれば、内層となるように)用いることが好ましい。
軟質バッグ2を構成するシート材料の厚さは、その層構成や用いる素材の特性(柔軟性、強度、水蒸気透過度、耐熱性など)に応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、通常は、100〜550μm程度であるのが好ましく、200〜400μm程度であるのがより好ましい。また、軟質バッグ2としては、引張弾性率で500MPa以下、好ましくは50〜300MPaの押出フィルムあるいはインフレーション成形したチューブを用いることが好ましい。
軟質バッグ2は、上記樹脂を用いてブロー成形することにより作製したもの、上記樹脂により形成された2枚のシートの周縁部を融着して形成したもの、上記樹脂により形成された1枚のシートを折り返すとともに残りの3辺の開放周縁部を融着して形成したものなどのいずれでもよい。
軟質バッグ2の薬剤室21、22には、薬剤が収納されている。薬剤室21、22には共存することにより沈殿が生じたり、経時的にあるいは一時的な加熱による着色・分解等の配合変化が生じたりすることがある成分を分離して収納するなど、異なった成分のものが収容されていることが好ましい。このような薬剤(輸液剤)としては、例えば、腹膜透析液、経中心静脈輸液剤、経末梢静脈用注射剤、液状栄養剤などのように2つ以上の薬剤を輸液の際に混合する必要のあるものが好ましい。また、輸液剤としては、例えば生理食塩水、電解質溶液、リンゲル液、高カロリー輸液、ブドウ糖液、注射用水、アミノ酸電解質溶液などが挙げられるが、これに限定されるものではない。例えば、薬剤室の一方にブドウ糖電解質液、他方にアミノ酸液を収納し、さらに両室にビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンC、パンテノール、ニコチン酸アミドなどの水溶性ビタミン等を、安定性等を考慮して適宜振り分け収納することができる。
そして、この医療用容器1では、第1の薬剤室21の圧迫による仕切部9および連通阻害用弱シール部10の剥離作業性と第2の薬剤室22の圧迫による仕切部9および連通阻害用弱シール部10の剥離作業性に差違を有している。ここでいう剥離作業性の差違における優劣は、両薬剤室を個別に圧迫した際に、どちらの薬剤室を圧迫した方が容易に仕切部9および連通阻害用弱シール部10を剥離できたかの比較結果である。
本発明の医療用容器1では、第1の薬剤室21、第2の薬剤室22のいずれを圧迫することによっても、仕切部9、連通阻害部10の順にワンアクションで、剥離するものとなっている。しかし、本発明の医療用容器1では、上述したように、第1の薬剤室21の圧迫による仕切部9および連通阻害部10の剥離作業性と第2の薬剤室22の圧迫による仕切部9および連通阻害部10の剥離作業性に差違を有している。これは、薬剤室の変形の容易性、薬剤室の大きさ、薬剤室内に充填される薬剤量などに起因する。そして、作業性の優劣は、第1の薬剤室21、第2の薬剤室22のいずれを圧迫した方が、ワンアクションでの仕切部と連通阻害部の連続剥離性が良好であるかが判断基準となる。
また、軟質バッグ2の上端側シール部5には、ハンガーなどに吊り下げるための孔(吊り下げ部)25が設けられている。
排出ポート3は、図1に示すように、軟質バッグ2の下端側シール部6に形成された排出ポート取付部27に取り付けられている。排出ポート取付部27は、下端側シール部6の中心に設けられている。また、医療用容器1は、薬液を混注するための混注ポート4を備えている。このようにすることにより、医療用容器1に入れられた薬剤以外の成分を使用前に混注することができる。排出ポート3、混注ポート4は、高周波融着、熱融着、超音波融着等により軟質バッグ2に取り付けられている。なお、排出ポート3、混注ポート4としては、公知のものが使用できる。
本発明の具体的な実施例について説明する。
1.プロピレン系樹脂成分(A)(プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体)
(1) 成分(A)の諸物性の測定方法
(1−1)メルトフローレート MFR(A)
JIS K7210 A法 条件M に従い、以下の条件で測定した。
試験温度:230℃
公称加重:2.16kg
ダイ形状:直径2.095mm 長さ8.00mm
(1−2)各成分量W(A1)とW(A2)の特定
(1−2−1)温度昇温溶離分別法(TREF)
プロピレン−エチレンランダム共重合体の結晶性分布を温度昇温溶離分別法(TREF)により評価する手法は、当業者によく知られているものであり、例えば、次の文献などで詳細な測定法が示されている。
G.Glockner,J.Appl.Polym.Sci.:Appl.Po
lym.Symp.;45,1−24(1990)
L.Wild,Adv.Polym.Sci.;98,1−47(1990)
J.B.P.Soares,A.E.Hamielec,Polymer;36,
8,1639−1654(1995)
本発明におけるプロピレン系樹脂成分(A)は、成分(A1)と(A2)各々の結晶性に大きな違いがあり、また、メタロセン系触媒を用いて製造されることで各々の結晶性分布が狭くなっていることから双方の中間的な成分は極めて少なく、双方をTREFにより精度良く分別することが可能である。
本発明においては、具体的には次のように測定を行う。試料を140℃でo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mlBHT入り)に溶解し溶液とする。これを140℃のTREFカラムに導入した後に8℃/分の降温速度で100℃まで冷却し、引き続き4℃/分の降温速度で−15℃まで冷却し、60分間保持する。その後、溶媒である−15℃のo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mlBHT入り)を1ml/分の流速でカラムに流し、TREFカラム中で−15℃のo−ジクロロベンゼンに溶解している成分を10分間溶出させ、次に昇温速度100℃/時間にてカラムを140℃までリニアに昇温し、溶出曲線を得る。
得られた溶出曲線において、成分(A1)と(A2)は結晶性の違いにより各々の温度T(A1)とT(A2)にその溶出ピークを示し、その差は充分大きいため、中間の温度T(A3)(={T(A1)+T(A2)}/2)においてほぼ分離が可能である。
ここで、T(A3)までに溶出する成分の積算量をW(A2)wt%、T(A3)以上で溶出する部分の積算量をW(A1)wt%と定義すると、W(A2)は成分(A2)の量と対応しており、T(A3)以上で溶出する成分の積算量W(A1)は結晶性が比較的高い成分(A1)の量と対応している。
測定に用いた装置、仕様を以下に示す。
(TREF部)
TREFカラム:4.3mmφ × 150mmステンレスカラム
カラム充填材:100μm 表面不活性処理ガラスビーズ
加熱方式:アルミヒートブロック
冷却方式:ペルチェ素子(ペルチェ素子の冷却は水冷)
温度分布:±0.5℃
温調器:(株)チノー デジタルプログラム調節計KP1000(バルブオーブン)
加熱方式:空気浴式オーブン
測定時温度:140℃
温度分布:±1℃
バルブ:6方バルブ 4方バルブ
(試料注入部)
注入方式:ループ注入方式
注入量:ループサイズ 0.1ml
注入口加熱方式:アルミヒートブロック
測定時温度:140℃
(検出部)
検出器:波長固定型赤外検出器 FOXBORO社製 MIRAN 1A
検出波長:3.42μm
高温フローセル:LC−IR用ミクロフローセル 光路長1.5mm 窓形状2φ×4mm長丸 合成サファイア窓板
測定時温度:140℃
(ポンプ部)
送液ポンプ:センシュウ科学社製 SSC−3461ポンプ
〔測定条件〕
溶媒:o−ジクロロベンゼン(0.5mg/mlのBHTを含む)
試料濃度:5mg/ml
試料注入量:0.1ml
溶媒流速:1ml/分
(1−3)各成分中のエチレン含量E(A1)とE(A2)の特定
各成分のエチレン含有量E(A1)とE(A2)は、分取型分別装置を用い昇温カラム分別法により各成分を分離し、NMRにより各成分のエチレン含量を求める。
昇温カラム分別法とは、例えば、Macromolecukes 21 314−319(1988)に開示されたような測定方法をいう。具体的には、本発明において以下の方法を用いた。
(1−3−1)昇温カラム分別
直径50mmで高さ500mmの円筒状カラムにガラスビーズ担体(80〜100メッシュ)を充填し、140℃に保持する。次に、140℃で溶解したサンプルのo−ジクロロベンゼン溶液(10mg/ml)200mlを前記カラムに導入する。その後、該カラムの温度を0℃まで10℃/時間の降温速度で冷却する。0℃で1時間保持後、10℃/時間の昇温速度でカラム温度をT(A3)(TREF測定にて得られる)まで加熱し、1時間保持する。なお、一連の操作を通じてのカラムの温度制御精度は±1℃とする。
次いで、カラム温度をT(A3)に保持したまま、T(A3)のo−ジクロロベンゼンを20ml/分の流速で800ml流すことにより、カラム内に存在するT(A3)で可溶な成分を溶出させ回収する。
次に、10℃/分の昇温速度で当該カラム温度を140℃まで上げ、140℃で1時間静置後、140℃の溶媒のo−ジクロロベンゼンを20ml/分の流速で800ml流すことにより、T(A3)で不溶な成分を溶出させ回収する。
分別によって得られたポリマーを含む溶液は、エバポレーターを用いて20mlまで濃縮された後、5倍量のメタノール中に析出される。析出ポリマーを濾過して回収後、真空乾燥器により一晩乾燥する。
(1−3−2) 13C−NMRによるエチレン含量の測定
上記分別により得られた成分(A1)と(A2)それぞれについてのエチレン含有量は、プロトン完全デカップリング法により以下の条件に従って測定した、13C−NMRスペクトルを解析することにより求める。
機種:日本電子(株)製GSX−400又は同等の装置
(炭素核共鳴周波数100MHz以上)
溶媒:o−ジクロロベンゼン/重ベンゼン=4/1(体積比)
濃度:100mg/ml
温度:130℃
パルス角:90°
パルス間隔:15秒
積算回数:5,000回以上
スペクトルの帰属は、例えばMacromolecules 17 1950 (1984)などを参考に行えばよい。上記条件により測定されたスペクトルの帰属は表1の通りである。表中Sααなどの記号はCarmanら(Macromolecules 10 536 (1977))の表記法に従い、Pはメチル炭素、Sはメチレン炭素、Tはメチン炭素をそれぞれ表す。
Figure 2010229256

以下、「P」を共重合体連鎖中のプロピレン単位、「E」をエチレン単位とすると、連鎖中にはPPP、PPE、EPE、PEP、PEE、及びEEEの6種類のトリアッドが存在し得る。Macromolecules 15 1150 (1982)などに記されているように、これらトリアッドの濃度とスペクトルのピーク強度とは、以下の(1)〜(6)の関係式で結び付けられる。
[PPP]=k×I(Tββ) (1)
[PPE]=k×I(Tβδ) (2)
[EPE]=k×I(Tδδ) (3)
[PEP]=k×I(Sββ) (4)
[PEE]=k×I(Sβδ) (5)
[EEE]=k×{I(Sδδ)/2+I(Sγδ)/4} (6)
ここで[ ]はトリアッドの分率を示し、例えば[PPP]は全トリアッド中のPPPトリアッドの分率である。
したがって、[PPP]+[PPE]+[EPE]+[PEP]+[PEE]+[EEE]=1 (7)
である。また、kは定数であり、Iはスペクトル強度を示し、例えばI(Tββ)はTββに帰属される28.7ppmのピークの強度を意味する。
上記(1)〜(7)の関係式を用いることにより、各トリアッドの分率が求まり、さらに下式によりエチレン含有量が求まる。
エチレン含有量(モル%)=([PEP]+[PEE]+[EEE])×100
なお、本発明のプロピレン−エチレンランダム共重合体には少量のプロピレン異種結合(2,1−結合及び/又は1,3−結合)が含まれ、それにより、表2に示す微小なピークを生じる。
Figure 2010229256
正確なエチレン含有量を求めるにはこれら異種結合に由来するピークも考慮して計算に含める必要があるが、異種結合由来のピークの完全な分離・同定が困難であり、また異種結合量が少量であることから、本発明のエチレン含有量は実質的に異種結合を含まないチーグラー・ナッタ系触媒で製造された共重合体の解析と同じく(1)〜(7)の関係式を用いて求めることとする。
エチレン含有量のモル%から重量%への換算は以下の式を用いて行う。
エチレン含有量(重量%)=(28×X/100)/{28×X/100+42×(1−X/100)}×100 ここでXはモル%表示でのエチレン含有量である。
(1−4)固体粘弾性測定(DMA)
試料は、下記条件により射出成形した厚さ2mmのシートから、10mm幅×18mm長×2mm厚の短冊状に切り出したものを用いた。装置はレオメトリック・サイエンティフィック社製のARESを用いた。周波数は1Hzである。測定温度は−60℃から段階状に昇温し、試料が融解して測定不能になるまで測定を行った。歪みは0.1〜0.5%の範囲で行った。
〔試験片の作成〕
規格番号:JIS−7152(ISO294−1)
成形機:東芝機械製EC−20射出成形機
成形機設定温度:ホッパ下から 80,80,160,200,200,200℃
金型温度:40℃
射出速度:200mm/秒(金型キャビティー内の速度)
保持圧力:20MPa
保圧時間:40秒
金型形状:平板(厚さ2mm 幅40mm 長さ80mm)
(1−5)融解ピーク温度Tm(A)
セイコー社製DSCを用い、試料5.0mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温速度で結晶化させ、さらに10℃/分の昇温速度で融解させたときの融解ピーク温度をTmとした(単位:℃)。
(2)[製造例A−1]
(2−1)予備重合触媒の調製
(2−1−1)珪酸塩の化学処理
10リットルの撹拌翼の付いたガラス製セパラブルフラスコに、蒸留水3.75リットル、続いて濃硫酸(96%)2.5kgをゆっくりと添加した。50℃で、さらにモンモリロナイト(水澤化学社製ベンクレイSL;平均粒径=25μm 粒度分布=10〜60μm)を1kg分散させ、90℃に昇温し、6.5時間その温度を維持した。50℃まで冷却後、このスラリーを減圧濾過し、ケーキを回収した。このケーキに蒸留水を7リットル加え再スラリー化後、濾過した。この洗浄操作を、洗浄液(濾液)のpHが、3.5を越えるまで実施した。回収したケーキを窒素雰囲気下110℃で終夜乾燥した。乾燥後の重量は707gであった。
(2−1−2) 珪酸塩の乾燥
先に化学処理した珪酸塩は、キルン乾燥機により乾燥を実施した。仕様及び乾燥条件は以下の通りである。
回転筒:円筒状 内径50mm 加温帯550mm(電気炉)
かき上げ翼付き回転数:2rpm 傾斜角:20/520
珪酸塩の供給速度:2.5g/分 ガス流速:窒素 96リットル/時間
向流乾燥温度:200℃(粉体温度)
(2−1−3) 触媒の調製
撹拌および温度制御装置を有する内容積16リットルのオートクレーブを窒素で充分置換した。乾燥珪酸塩200gを導入し、混合ヘプタン1160ml、さらにトリエチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.60M)840mlを加え、室温で攪拌した。1時間後、混合ヘプタンにて洗浄し、珪酸塩スラリーを2,000mlに調製した。次に、先に調製した珪酸塩スラリーにトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M/L)9.6mlを添加し、25℃で1時間反応させた。平行して、(r)−ジクロロ[1,1´−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム2,180mg(0.3mM)と混合ヘプタン870mlに、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M)33.1mlを加えて、室温にて1時間反応させた混合物を、珪酸塩スラリーに加え、1時間攪拌後、混合ヘプタンを追加して5,000mlに調製した。
(2−1−4) 予備重合/洗浄
続いて、槽内温度を40℃昇温し、温度が安定したところでプロピレンを100g/時間の速度で供給し、温度を維持した。4時間後プロピレンの供給を停止し、さらに2時間維持した。
予備重合終了後、残モノマーをパージし、撹拌を停止させ約10分間静置後、上澄みを2,400mlデカントした。続いてトリイソブチルアルミニウム(0.71M/L)のヘプタン溶液9.5ml、さらに混合ヘプタンを5,600ml添加し、40℃で30分間撹拌し、10分間静置した後に、上澄みを5,600ml除いた。さらにこの操作を3回繰り返した。最後の上澄み液の成分分析を実施したところ有機アルミニウム成分の濃度は、1.23mMモル/L、Zr濃度は8.6×10−6g/Lであり、仕込み量に対する上澄み液中の存在量は0.016%であった。続いて、トリイソブチルアルミニウム(0.71M/L)のヘプタン溶液を170ml添加した後に、45℃で減圧乾燥を実施した。触媒1g当たりポリプロピレンを2.0g含む予備重合触媒が得られた。
(2−2)プロピレン−エチレンブロック共重合体の製造
上記のようにして準備した予備重合触媒を用いて、以下の手順に従ってプロピレン−エチレンブロック共重合体の製造を行った。
(2−2−1) 第一重合工程
攪拌羽根を有する横型反応器(L/D=6、内容積100リットル)を十分に乾燥し、内部を窒素ガスで十分に置換した。ポリプロピレン粉体床の存在下、回転数30rpmで攪拌しながら、反応器の上流部に上記の方法で調整した予備重合触媒を(予備重合パウダーを除いた固体触媒量として)0.568g/hr、トリイソブチルアルミニウムを15.0mmol/hrで連続的に供給した。反応器の温度を65℃、圧力を2.1MPaGに保ち、且つ反応器内気相部のエチレン/プロピレンモル比が0.07、水素濃度が100ppmになるように、モノマー混合ガスを連続的に反応器内に流通させ、気相重合を行った。反応によって生じた重合体パウダーは、反応器内の粉体床量が一定になるように、反応器下流部より連続的に抜き出した。この時、定常状態になった際の重合体抜き出し量は10.0kg/hrであった。
第一重合工程で得られたプロピレン−エチレンランダム共重合を分析したところ、MFRは6.0g/10分、エチレン含有量は2.2wt%であった。
(2−2−2) 第二重合工程
攪拌羽根を有する横型反応器(L/D=6、内容積100リットル)に、第一工程より抜き出したプロピレン−エチレン共重合体を連続的に供給した。回転数25rpmで攪拌しながら、反応器の温度を70℃、圧力を2.0MPaGに保ち、且つ反応器内気相部のエチレン/プロピレンモル比が0.453、水素濃度が330ppmになるように、モノマー混合ガスを連続的に反応器内に流通させ、気相重合を行った。反応によって生じた重合体パウダーは、反応器内の粉体床量が一定になるように、反応器下流部より連続的に抜き出した。この時、重合体抜き出し量が17.9kg/hrになるように活性抑制剤として酸素を供給し、第二重合工程での重合反応量を制御した。活性は31.4kg/g−触媒であった。
こうして得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体PP(A−1)の各種分析結果を表3に示す。
(3) 製造例A−2〜9
重合条件を表3および表4に示すように変えた以外は製造例A−1と同様の製法で触媒調整及び重合を行った。
反応終了後、得られたポリマーの各種分析を行った。得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体PP(A−2)〜(A−9)の各種分析結果を表3および表4に示す。これらは成分(A)として本発明の要件を全て満たすものである。
Figure 2010229256

Figure 2010229256

(4)製造例A−10〜17
重合条件を表5および表6に示すように変えた以外は製造例A−1と同様の製法で触媒調整及び重合を行った。
反応終了後、得られたポリマーの各種分析を行った。得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体PP(A−10)〜(A−17)の各種分析結果を表5および表6に示す。これらは成分(A)として本発明の要件を満たさないものである。
Figure 2010229256

Figure 2010229256

2.エチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)
(1) 成分(B)の諸物性の測定方法
(1−1)メルトフローレート MFR(B)
JIS K7210 A法 条件D に従い、以下の条件で測定した。
試験温度:190℃
公称加重:2.16kg
ダイ形状:直径2.095mm 長さ8.00mm
(1−2)密度
MFR測定時に得られた押出ストランドを用い、JIS−K7112 D法に準拠して密度勾配管法で行った。
(1−3)融解ピーク温度Tm(B)
セイコー社製DSCを用い、試料5.0mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温速度で結晶化させ、さらに10℃/分の昇温速度で融解させたときの融解ピーク温度をTmとした(単位:℃)。
(2) 成分(B)の製造例
(2−1)製造例B−1
エチレンとヘキセン−1の共重合体を製造した。触媒の調製は、特表平7−508545号公報に記載された方法で実施した。即ち、錯体ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ハフニウムジメチル2.0ミリモルに、トリペンタフルオロフェニルホウ素を上記錯体に対して等倍モル加え、トルエンで10リットルに希釈して触媒溶液を調製した。
内容積1.5リットルの撹拌式オートクレーブ型連続反応器にエチレンと1−ヘキセンとの混合物を1−ヘキセンの組成が73重量%となるように供給し、反応器内の圧力を130MPaに保ち、127℃で反応を行った。1時間あたりのポリマー生産量は約2.5kgであった。
反応終了後、得られたポリマーの各種分析を行った。得られたエチレン・α−オレフィン共重合体PE(B−1)の各種分析結果を表7に示す。
(2−2) 製造例B−2〜6
重合時の1−ヘキセンの組成と重合温度を表7に示すように変えた以外は製造例B−1と同様の製法で触媒調整及び重合を行った。
反応終了後、得られたポリマーの各種分析を行った。得られたエチレン・α−オレフィン共重合体(PE−2〜6)の各種分析結果を表7に示す。
Figure 2010229256

3.プロピレン系樹脂成分(C)プロピレン−エチレンブロック共重合体
(1) 成分(C)の諸物性の測定方法
(1−1)メルトフローレート MFR(C1)、MFR(C)
JIS K7210 A法 条件M に従い、以下の条件で測定した。
試験温度:230℃
公称加重:2.16kg
ダイ形状:直径2.095mm 長さ8.00mm
(1−2)分子量測定
本発明においては、分子量分布(Mw/Mn)、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定したものをいう。
GPC測定における保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。
使用する標準ポリスチレンは何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。 F380,F288,F128,F80,F40,F20,F10,F4,F1,A5000,A2500,A1000
各々が0.5mg/mlとなるようにo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mlのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2ml注入して較正曲線を作成する。
較正曲線は最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。分子量への換算に使用する、粘度式の[η]=K×Mαは以下の数値を用いる。
PS : K=1.38×10−4 α=0.7
PE : K=3.92×10−4 α=0.733
PP : K=1.03×10−4 α=0.78
なお、GPCの測定条件は以下の通りである。
装置:WATERS社製 GPC(ALC/GPC 150C)
検出器:FOXBORO社製 MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
移動相溶媒:o−ジクロロベンゼン
測定温度:140℃
流速:1.0ml/min
注入量:0.2ml
試料の調製 試料はo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mlのBHTを含む)を用いて1mg/mlの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。
(1−3) 各成分量W(C1)とW(C2)の特定
成分(C)は成分(C1)と(C2)からなり、各成分の割合はマテリアルバランスから求めることが出来るが、これらは各々分子量が大きく異なるため、GPC測定により得られた分子量に対する溶出割合のプロットからピーク分離を行うことで各成分の比率を特定することが出来る。
ピーク分離は、市販の計算ソフトを用い、各成分が正規分布を有するとし、2成分でのフィッティングを行い、各成分の割合と重量平均分子量を求めることが出来る。
(1−4) 成分(C2)中のエチレン含有量E(C2)
成分(C)はエチレンを含有しない成分(C1)とエチレンを含有する成分(C2)からなるため、成分(C)中のエチレン含有量と、各成分の比率から成分(C2)中のエチレン含有量を算出することが出来る。
すなわち、E(C2)=E(C)×100/W(C2)
このとき、成分(C)中のエチレン含有量は、上述した13C−NMRにより測定することが出来る。
(2) 成分(C)の製造例
(2−1)製造例C−1
(2−1−1) 固体触媒成分(a)の製造
充分に窒素置換した内容積50リットルの攪拌機付槽に、脱水および脱酸素したn−ヘプタン、20リットルを導入し、次いでMgClを10モル、Ti(O−n−C)4を20モル導入し、95℃で2時間反応させた。反応終了後、40℃に温度を下げ、次いでメチルヒドロポリシロキサン(20センチストークスのもの)を12リットル導入し、3時間反応させた。生成した固体成分をn−ヘプタンで洗浄した。
次いで、前記攪拌機付槽を用いて該槽に、上記と同様に精製したn−ヘプタンを5リットル導入し、上記で合成した固体成分をMg原子換算で3モル導入した。次いでn−ヘプタン2.5リットルにSiCl5モルを混合して30℃、30分間でフラスコへ導入し、70℃で3時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。
次いで前記攪拌機付槽へn−ヘプタン2.5リットル導入し、フタル酸クロライド0.3モルを混合して、70℃、30分間で導入し、90℃で1時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。次いでTiCl2リットルを導入して110℃で3時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄して成分(a)を製造するための固体成分(a1)を得た。この固体成分のチタン含量は2.0重量%であった。
次いで、窒素置換した前記攪拌機付槽にn−ヘプタンを8リットル、上記で合成した固体成分(a1)を400グラム導入し、成分(a2)としてSiCl0.6リットルを導入して90℃で2時間反応させた。反応終了後、さらに成分(a3)として(CH=CH)Si(CH)0.54モル、成分(a4)として(t−C)(CH)Si(OCH)0.27モルおよび成分(a5)としてAl(C)1.5モルを順次導入して30℃で2時間接触させた。接触終了後、n−ヘプタンで充分に洗浄し、塩化マグネシウムを主体とする成分(a)390gを得た。このもののチタン含量は、1.8重量%であった。
(2−1−2) 重合
内容積400リットルの攪拌機付きステンレス鋼製オートクレーブをプロピレンガスで充分に置換し、重合溶媒として脱水及び脱酸素したn−ヘプタン120リットルを入れた。次に温度70℃の条件下、トリエチルアルミニウム30g、水素70リットル、および前記触媒aを10g加えた。オートクレーブを内温75℃に昇温した後、プロピレンを21.0kg/時、水素を79.8L/時の速度で供給し、重合を開始した。150分後プロピレン、水素の導入を停止。圧力は重合開始時0.34kg/cmG、プロピレン供給中に経時的に増加し、供給停止時点で5.4kg/cmGまで上昇した。その後、器内の圧力が3.5kg/cmGまで低下するまで残重合を行った後、未反応ガスを0.3kg/cmGまで放出した。この間、重合温度は75±1℃の範囲に維持した(1段重合)。
次いで、オートクレーブを内温65℃にセットした後、n−ブタノールを16.0cc導入、次いで、プロピレンを9.4kg/時、エチレンを0.6kg/時の速度で供給し、2段重合を開始した。135分後プロピレン、エチレンの導入を停止。圧力は、プロピレン、エチレン供給中に経時的に増加し、供給停止時点で4.1kg/cmGまで上昇した。その後、器内の圧力が1.8kg/cmGまで低下するまで残重合を行った後、器内の未反応ガスを0.3kg/cmGまで放出。この間、重合温度は65±1℃の範囲に維持した(2段重合)。
得られたスラリーは、次の攪拌機付き槽に移送し、ブタノールを5リットル加え、70℃で3時間処理し、更に次の攪拌機付き槽に移送、水酸化ナトリウム100gを溶解した純水100リットルを加え、1時間処理した後、水層を静置後分離、触媒残渣を除去した。スラリーは遠心分離機で処理し、ヘプタンを除去、80℃の乾燥機で3時間処理しヘプタンを完全に除去、56.4kgのプロピレン系重合体(製品)を得た。
反応終了後、得られたポリマーの各種分析を行った。得られたプロピレン系樹脂成分PP(C−1)の各種分析結果を表8に示す。
(2−2)製造例C−2〜10
重合時の条件を表8および表9に示すように変えた以外は製造例C−1と同様の製法で重合を行った。
反応終了後、得られたポリマーの各種分析を行った。得られたプロピレン系樹脂成分PP(C−2)〜(C−10)の各種分析結果を表8および表9に示す。
Figure 2010229256

Figure 2010229256

(実施例1)
1.配合
成分(A)として製造例A−1で得られたPP(A−1)、成分(B)として製造例B−1で得られたPE(B−1)、成分(C)として製造例C−1で得られたPP(C−1)を、各々58、27、15wt%になるように計量し、ヘンシェルミキサーに投入後、この成分(A)と成分(B)と成分(C)の混合物100重量部に対して、下記の酸化防止剤、中和剤を添加し、充分に撹拌混合した。
酸化防止剤:テトラキス[メチレン−3−(3´,5´−ジ−t−ブチル−4´−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製 イルガノックス1010)0.08重量部、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製イルガホス168)0.02重量部、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製イルガノックス1076)0.015重量部
中和剤:ステアリン酸カルシウム(日東化成工業(株)製 Ca−St)0.003重量部
2.造粒
スクリュ口径30mmの池貝製作所製PCM二軸押出機にて、スクリュ回転数200rpm、吐出量10kg/hr、押出機温度190℃で溶融混練し、ストランドダイから押し出された溶融樹脂を冷却水槽で冷却固化させながら引き取り、ストランドカッターを用いてストランドを直径約2mm、長さ約3mmに切断することでプロピレン系樹脂組成物原料ペレットを得た。
3.フィルム物性評価
得られたプロピレン系樹脂組成物原料ペレットの基本物性を評価するために、口径30mm、L/D=32の単軸押出機にて、幅300mm、Lip幅0.5mmのTダイから設定温度200℃にて押出し、ロール温度20℃の冷却ロールとエアナイフにより冷却し、2m/minの速度でキャスト成形し、厚み300μmのフィルムを得た。得られたフィルムを23℃、50%RHの雰囲気下において24時間以上状態調整した。
ついで、フィルム2枚を200×200mmに切り出し、重ね合わせて3方をヒートシールしてから蒸留水を600cc程度充填し、残る1方をヒートシールした。得られたバッグをオートクレーブにて115℃、30min高圧滅菌し、23℃にて24h以上静置した後水を抜き、滅菌後のフィルムを得た。このとき耐熱性が十分かを、フィルムがくっついていないか、変形が見られないか、目視判定した。
得られた滅菌後のフィルムの物性を以下の項目について評価した。評価結果を表10に示す。
(1) 透明性(HAZE)測定
JIS−K7136−2000に準拠しヘイズメータで測定した。得られた値が小さいほど透明性がよい。
(2) 引張弾性率測定
JIS K−7127−1989に準拠し、下記の条件にて、フィルムの流れ方向(MD)についての引張弾性率を測定した。
サンプル長さ:150mm
サンプル幅:15mm
チャック間距離:100mm
クロスヘッド速度:1mm/min
(3) 引裂衝撃強度
得られたフィルムをJIS−K6252−2001記載の切込みなしアングル形試験片の1/2サイズになるよう作成された金型を用いて、裂け方向が流れに直角の方向(TD)になるよう(試験片長手方向がフィルムの流れ方向(MD)打ち抜き、4℃に制御された低温室内にて48時間以上状態調整を行った。状態調整の後、4℃に制御された低温室内に設置した引張衝撃試験機にサンプルを装着し、下記条件で試験を行った。
装置:株式会社安田精機製テンサイル衝撃試験機No.258
ハンマー容量:1.0J
(4)物性評価結果について
物性評価結果において、フィルムの外観が良いこと、高圧滅菌後に変形や顕著な融着が生じていないこと、滅菌後の物性が、透明性の尺度であるHazeが25%以下であること、柔軟性の尺度である引張弾性率200MPa以下であること、耐衝撃性の尺度である引裂衝撃強度が180KJ/m以上であることを条件に、フィルムの物性が、本発明の要求品質を満たすものであるかどうかの判定を行った。品質が満足されるものであったので、後述の方法でシートおよび医療用容器を作製し、ヒートシール特性の評価を実施した。結果を表10に示す。
4.医療用容器の作製
(1) シートの作製
上述のようにして作製したプロピレン系樹脂組成物原料ペレットを単層用または多層用のサーキュラーダイ(インフレーションダイ)に供給し、180〜200℃でチューブ状のシートを押出し、水冷リングで冷却後、厚さ0.3mm、折径190mmシートを17m/分の速度で巻き取ることにより、プロピレン系樹脂組成物製インフレーションシートを作製した。
(2) 医療用容器の作製
上記のシートを300mm長に裁断し、排出ポート装着部、注入ポート装着部および薬剤注入部を除き上端をシート上端から幅 20〜30mmおよび下端をシート下端から幅20〜30mm、金型温度225℃、時間4秒の条件で片面加熱金型を用いてヒートシールして周縁部を有する容器本体を作製した。さらに、容器本体の中央部の幅7mm部分を金型温度120℃、時間3秒の条件で両面加熱金型を用いてヒートシールし、剥離可能な弱シール部を形成した。次いで、幅7mmの連通阻害用弱シール部を金型温度130℃、時間5秒の条件で両面加熱金型を用いてヒートシールし、剥離可能であるが前述の弱シール部よりも剥離しにくいようにした剥離可能な連通阻害用弱シール部を形成した。そして、容器本体の排出ポート装着部および注入ポート装着部のそれぞれに筒状ポート部材を挿入し、両面加熱金型を用いてヒートシールして容器本体に固着した。また、排出ポート装着部に固着したポート部材の開口にゴム製の弾性部材を装着したキャップ部材を超音波融着し、開口を封止した。
そして、弱シール部により区分された一方の薬剤室側に、注入ポート装着部に固着したポート部材の開口より10wt/v%アミノ酸水溶液を350ml充填した後、ポート部材の開口にゴム製の弾性部材を装着したキャップ部材を超音波融着し、開口を封止した。他方の薬剤室側の薬剤注入部より10.7wt/v%ブドウ糖・電解質水溶液を150ml充填した後、薬剤注入部部分を幅10mm、金型温度210℃、時間3秒の条件で片面加熱金型を用いてヒートシールし、図1に示す本発明の薬液入り医療用容器を作製した。
(3) 滅菌
上記のように作製した薬液入り医療用容器を高圧蒸気滅菌機に入れ、窒素雰囲気中で、温度110℃、ゲージ圧1.8Kg/cm2、時間30分の条件において滅菌し、室温まで冷却した。
(4) 医療用容器の評価
(4−1)透明性の評価
滅菌後の薬液入り医療用容器を窒素雰囲気中で48時間放置した後、容器のシートの一部を切り取って、波長450mmにおける水中透過率を島津ダブルビーム型自記分光光度計UV−300にて測定し、透明性の尺度とした。結果を表11に示す。
(4−2)柔軟性の評価
滅菌後の薬液入り医療用容器のシートをダンベル状に裁断し、JISK7113に準じて引張弾性率を測定し、柔軟性の尺度とした。結果を表11に示す。
(4−3)シール強度の測定
滅菌後の薬液入り医療用容器の弱シール部および周縁部を部分的に切り取り、300mm/分の速度で180゜剥離強度を測定した(表11の剥離強度は幅10mmに換算した値である)。
(4−4)ヒートシール特性(HS特性)の評価
ヒートシール特性(HS特性)では、「到達温度」と「温度幅」を算出した。
「到達温度」は、上記(2)の医療用容器を作製する際に、連通阻害用弱シール部のシール時間を5秒とし両面加熱型を用いて、かつ、金型温度を118℃から2℃刻みで上げていき、各サンプルを作製し、作製したサンプルを滅菌した後、10mm幅でオートグラフにて強度測定(180℃剥離)を行うことにより、温度とシール強度の関係のグラフ(データ)を作製し、このグラフ(データ)を用いて算出したものであり、所定強度における到達温度である。
「温度幅」も上記のようにして得たグラフ(温度とシール強度の関係)から、算出した。「温度幅」は、強度の制御能の指標となり、例えば、強度4〜8N/10mmとなるときの温度は、どの程度の幅があるのかを示すものであり、ある程度の幅を持つことが、シール強度制御が容易であることを示す。
(4−5)容器の弱シール部の剥離性(連通性)の評価
滅菌後の薬液入り医療用容器を机の上に寝かせて置き、一方の収容室側を手で押さえる程度で、弱シール部が剥離するか否かを確認した(5回テストした)。結果を表11に示す。
(4−6)重金属および溶出物試験
滅菌後の薬液入り医療用容器より切り取ったシートについて、日本薬局方一般試験法「輸液用プラスチック試験法」に準じ、試験を行った。
(4−7) 評価結果
本発明の重合体組成物より均一性に富む重合体組成物ペレットを調整できた。また、本発明の重合体組成物ペレットを用いたシートの押出し成形は順調で、異物、発泡などは観察されなかった。また、いずれの組成においても重金属および溶出物は日本薬局方に適合することが確認された。
表11にシートの高圧蒸気滅菌後の透明性(水中透過率)、柔軟性(引張弾性率)およびシール強度を示す。本発明における重合体組成物を使用した容器(実施例1)は、透明性と柔軟性に優れていることがわかる。
容器の弱シール部剥離性(連通性)は良好であり、容易に連通させることができた。表11のシール強度もこれを裏付けている。
(実施例2〜9)
成分(A)として製造例A−2〜9で得られたPP(A−1)〜PP(A−9)を用いた以外は実施例1と同様に、配合、造粒、フィルム物性評価を実施した。物性評価結果が満足されるものであったので、実施例1と同様にヒートシール特性の評価を実施した。実施例1〜9について評価結果を表10および表12に示す。なお、フィルム物性における、Haze、引張弾性率、引裂衝撃強度は、滅菌後のものである。
Figure 2010229256

Figure 2010229256

Figure 2010229256

(比較例1〜8)
成分(A)としての要件を満たさない製造例A−10〜17で得られたPP(A−10)〜PP(A−17)を用いて、それ以外は実施例1と同様に、配合、造粒、フィルム物性評価を実施した。評価結果を表13および表14に示す。物性評価結果は満足されるものではなかった。なお、フィルム物性における、Haze、引張弾性率、引裂衝撃強度は、滅菌後のものである。比較例7では、成形時に表面に荒れが生じて外観の悪いフィルムしか得られなかった。比較例8では、成形が不安定で膜厚変動が生じた。
Figure 2010229256

Figure 2010229256

(実施例10〜11)
成分(A)、成分(B)、成分(C)の比率を、表15に示す(成分(B)の量を変化させ、成分(A)と成分(C)の比率は一定)ようにした以外は、実施例1と同様に、配合、造粒、フィルム物性評価を実施した。物性評価結果が満足されるものであったので、実施例1と同様にヒートシール特性の評価を実施した。結果を表15に示す。なお、フィルム物性における、Haze、引張弾性率、引裂衝撃強度は、滅菌後のものである。
(比較例9〜11)
成分(A)、成分(B)、成分(C)の比率を、表15に示す(成分(B)の量を変化させ、成分(A)と成分(C)の比率は一定)ようにした以外は、実施例1と同様に、配合、造粒、フィルム物性評価を実施した。評価結果を表15に示す。物性評価結果は満足されるものではなかった。なお、フィルム物性における、Haze、引張弾性率、引裂衝撃強度は、滅菌後のものである。
Figure 2010229256

Figure 2010229256

(実施例12)
成分(B)として製造例B−2で得られたPE(B−2)を用いた以外は実施例1と同様に、配合、造粒、フィルム物性評価を実施した。物性評価結果が満足されるものであったので、実施例1と同様にヒートシール特性の評価を実施した。結果を表16に示す。なお、フィルム物性における、Haze、引張弾性率、引裂衝撃強度は、滅菌後のものである。
(比較例12〜15)
成分(B)として製造例B−3〜6で得られたPE(B−3)〜(B−6)を用いた以外は実施例1と同様に、配合、造粒、フィルム物性評価を実施した。評価結果を表16に示す。比較例12〜13は物性が満足されるものでなく、比較例14ではフィルムに分散不良によるスジが発生し、外観の良いフィルムを得ることが出来なかった。比較例15は物性評価結果が満足されるものであったので、実施例1と同様にヒートシール特性の評価を実施した。結果を表16に示す。なお、フィルム物性における、Haze、引張弾性率、引裂衝撃強度は、滅菌後のものである。
(実施例13、14)
成分(A)、成分(B)、成分(C)の比率を、表17に示すようにした以外は、実施例1と同様に、配合、造粒、フィルム物性評価を実施した。物性評価結果が満足されるものであったので、実施例1と同様にヒートシール特性の評価を実施した。結果を表17に示す。なお、フィルム物性における、Haze、引張弾性率、引裂衝撃強度は、滅菌後のものである。
Figure 2010229256

(比較例16〜19)
成分(A)、成分(B)、成分(C)の比率を、表18に示すようにした以外は、実施例1と同様に、配合、造粒、フィルム物性評価を実施した。評価結果を表18に示す。また、実施例1と同様にヒートシール特性の評価を実施した。結果を表18に示す。なお、フィルム物性における、Haze、引張弾性率、引裂衝撃強度は、滅菌後のものである。
Figure 2010229256

(実施例15〜17)
成分(C)として製造例C−2〜4で得られたPP(C−2)〜(C−4)を用いた以外は実施例1と同様に、配合、造粒、フィルム物性評価を実施した。物性評価結果が満足されるものであったので、実施例1と同様にヒートシール特性の評価を実施した。結果を表19に示す。なお、フィルム物性における、Haze、引張弾性率、引裂衝撃強度は、滅菌後のものである。
Figure 2010229256

(比較例20〜25)
成分(C)として製造例C−5〜10で得られたPP(C−5)〜(C−10)を用いた以外は実施例1と同様に、配合、造粒、フィルム物性評価を実施した。評価結果を表20に示す。比較例20〜22はフィルムの表面に分散不良によるムラが発生した。比較例23、25は、物性評価結果が満足されるものでなかった。なお、フィルム物性における、Haze、引張弾性率、引裂衝撃強度は、滅菌後のものである。比較例24のみ、実施例1と同様にヒートシール特性の評価を実施した。結果を表20に示す。
Figure 2010229256

(実施例18)
(1) シートの作製
実施例1のプロピレン系樹脂組成物原料ペレットを単層用のサーキュラーダイ(インフレーションダイ)に供給し、180〜200℃でチューブ状のシートを押出し、水冷リングで冷却後、平均厚さ約270μmのプロピレン系樹脂組成物製シートを作製した。
(3) 医療用容器の作製
上記のシートを200mm長に裁断し、排出ポート装着部および薬剤注入部を除き上端および下端を幅10mm、金型温度225℃、時間4秒の条件で周縁部を片面加熱金型を用いてヒートシールして容器本体を作製した。そして、容器本体の排出ポート装着部に樹脂製ポートを挿入し、両面加熱金型を用いてヒートシールして容器本体に固着した。
そして、薬剤注入部より3wt/v%アミノ酸注射液を250ml入れ、薬剤注入部を幅10mm、金型温度225℃、時間4秒の条件で片面加熱金型を用いてヒートシールし、本発明の薬液入り医療用容器を作製した。
(4) 滅菌
上記のように作製した薬液入り医療用容器を高圧蒸気滅菌機に入れ、窒素雰囲気中で、温度110℃、ゲージ圧1.8Kg/cm2、時間30分の条件において高圧蒸気滅菌し、室温まで冷却した。
(実施例19)
シートとして、平均厚さ約285μmのプロピレン系樹脂組成物製シートを作製し、それを用いた以外は、実施例18と同様に行い本発明の薬液入り医療用容器を作製した。また、実施例18と同様に、滅菌した。
(実施例20)
シートとして、平均厚さ約300μmのプロピレン系樹脂組成物製シートを作製し、それを用いた以外は、実施例18と同様に行い本発明の薬液入り医療用容器を作製した。また、実施例18と同様に、滅菌した。
(比較例26)
(1)アイソタクチックタイプポリプロピレンコポリマー(曲げ弾性率8200Kg/cm、ビカット軟化点132℃、MFR2.0)65重量部に、スチレンエチレンブテンスチレンコポリマー(SEBS:ポリスチレン含量15重量%、MFR1.5、エチレンブテンコポリマー中のブテン含有量40重量%)10重量部、エチレンブテン−1−コポリマー系エラストマー[密度0.87g/cm3、ビカット軟化点60℃、ブテン含有量40重量%、MFR(温度230℃、荷重2160g)5.5]25重量部を添加して樹脂材料ペレットを作製した。
(2) シートの作製
上記の原料ペレットを単層用のサーキュラーダイ(インフレーションダイ)に供給し、180〜200℃でチューブ状のシートを押出し、水冷リングで冷却後、平均厚さ約285μmのプロピレン系樹脂組成物製シートを作製した。
(3) 医療用容器の作製
上記のシートを200mm長に裁断し、排出ポート装着部および薬剤注入部を除き上端および下端を幅10mm、金型温度225℃、時間4秒の条件で周縁部を片面加熱金型をヒートシールして容器本体を作製した。そして、容器本体の排出ポート装着部に樹脂製ポートを挿入し、両面加熱金型を用いてヒートシールして容器本体に固着した。
そして、薬剤注入部より3wt/v%アミノ酸注射液を250ml入れ、薬剤注入部を幅10mm、金型温度225℃、時間4秒の条件で片面加熱金型を用いてヒートシールし、薬液入り医療用容器を作製した。
(4) 滅菌
上記のように作製した薬液入り医療用容器を高圧蒸気滅菌機に入れ、窒素雰囲気中で、温度110℃、ゲージ圧1.8Kg/cm2、時間30分の条件において滅菌し、室温まで冷却した。
(実験1)
実施例18ないし20および比較例26の医療用容器について、以下の試験を行った。
1.耐圧試験
実施例18ないし20および比較例26の医療用容器を各50個に対し、内圧0.07MPaにて10分間保持し、漏れの有無を確認したところ、すべての医療用容器において液漏れは確認されなかった。
2.急速投与試験
実施例18ないし20および比較例26の医療用容器各10個(45℃24時間以上保管後)を加圧器に投入し、外圧300mmHgにて10分間保持し、漏れの有無を確認したところ、実施例18ないし20のすべての医療用容器において液漏れは確認されなかったが、比較例26の1つの容器より、液漏れが確認された。
3.落下試験
シート厚の最も薄い実施例18の医療用容器5個とそれよりシート厚が厚い比較例26の医療用容器5個に対して、落下試験を行った。
落下試験は、4℃にて24時間以上保管後、80cm、100cmcmの高さから底面落下を行った。落下回数は最大で10回とした。80cmの落下試験では、10回の落下後、実施例18および比較例26のすべての医療用容器において液漏れは確認されなかった。100cmの落下試験において、実施例18の医療用容器では、8回目に液漏れを発生したものが1つ、10回目に液漏れを発生したものが1つあり、比較例26の医療用容器では、8回目に液漏れを発生したものが1つあった。
(実験2)
実施例1のプロピレン系樹脂組成物原料ペレットを単層用のサーキュラーダイ(インフレーションダイ)に供給し、180〜200℃でチューブ状のシートを押出し、水冷リングで冷却後、平均厚さ約300μmのプロピレン系樹脂組成物製シートを作製した。シートを300mm長に裁断し、幅10mm、シール面圧85N/cm2、時間5秒の条件で、両面金型を用いかつ金型温度を変化させて、ヒートシールを行い、各金型温度におけるシール強度を測定した。その結果を図2に示す。
上述した比較例26において用いた樹脂材料を単層用のサーキュラーダイ(インフレーションダイ)に供給し、180〜200℃でチューブ状のシートを押出し、水冷リングで冷却後、平均厚さ約300μmのプロピレン系樹脂組成物製シートを作製した。シートを300mm長に裁断し、積層した後、幅10mm、シール面圧85N/cm2、時間5秒の条件で、両面金型を用いかつ金型温度を変化させて、ヒートシールを行い、各金型温度におけるシール強度を測定した。その結果を図2に示す。
[実施例と比較例との対照による考察]
以上の各実施例と各比較例とを対照して考察すれば、本発明の構成における各規定を満たす、本発明の新規なプロピレン系樹脂組成物からなる医療用複室容器においては、スチレン系熱可塑性エラストマーを用いなくても柔軟性、透明性、強度(耐落下性、耐低温衝撃性)に優れ、熱シール条件をコントロールすることにより、多段階の安定的な剥離強度制御が可能であることが明白であり、本発明の構成要件の各規定が合理的で有意性を有し、実験データにより確証されていることが理解される。
具体的には、成分(A)の各規定の有意性は、実施例1〜9と比較例1〜8により明らかであり、成分(A)に対する本発明の要件を満たすことで、医療用複室容器に求められる品質がおしなべて優れるのに対し、要件を満たさない比較例1〜8においては、十分に要求品質を満たすことが出来ない。
また、成分(B)の各規定の有意性は、実施例1及び10〜12、比較例9〜15により明らかであり、成分(B)が本発明の成分(B)としての要件を満たし、かつ、比率も本発明の規定の範囲内にあることで、成形性や品質がおしなべて優れるのに対し、要件を満たさない比較例9〜15においては、十分に要求品質を満たすことが出来ない。
さらに、成分(C)の各規定の有意性は、実施例1及び13〜17、比較例16〜25により明らかであり、成分(C)が本発明の成分(C)としての要件を満たし、かつ、比率も本発明の規定の範囲内にあることで、成形性や品質がおしなべて優れるのに対し、要件を満たさない比較例13〜25においては、十分に要求品質を満たすことが出来ない。
以上より、透明性や柔軟性や耐衝撃性などの諸性質がおしなべて優れ、ヒートシール特性の制御が容易であり、医療用複室容器として好適に用いることが出来る本発明のプロピレン系樹脂組成物、各比較例においては、品質が全般的に見劣りがし、本発明のプロピレン系樹脂組成物からなる医療用複室容器の優位性を際立たせている。
1 医療用容器
2 容器本体
3 排出ポート
4 混注ポート
5 上端側シール部
6 下端側シール部
9 仕切部
9a 中央弱シール部
9b 側部シール部
11 連通阻害用弱シール部
21 第1の薬剤室
22 第2の薬剤室

Claims (10)

  1. 条件(A−i)〜(A−iii)を満たすプロピレン系樹脂成分(A)50〜65wt%、条件(B−i)〜(B−iii)を満たすエチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)25〜35wt%、条件(C−i)〜(C−iii)を満たすプロピレン系樹脂成分(C)10〜20wt%からなることを特徴とする医療容器用プロピレン系樹脂組成物。
    ・前記プロピレン系樹脂成分(A)の条件(A−i)〜(A−iii)
    (A−i)メタロセン系触媒を用いて、第1工程でDSC測定における融解ピーク温度が125〜135℃、エチレン含量が1.5〜3.0wt%のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)を50〜60wt%、第2工程でエチレン含有量が8〜14wt%のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を50〜40wt%逐次重合することで得られたプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体であること
    (A−ii)メルトフローレート(JIS K7210 A法 条件M、230℃ 2.16kg)が4〜10g/10minの範囲にあること
    (A−iii)固体粘弾性測定により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、−60〜20℃の範囲において観測されるガラス転移を表す温度−損失正接(tanδ)曲線が0℃以下に単一のピークを示すものであること
    ・前記エチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)の条件(B−i)〜(B−iii)
    (B−i)密度が0.870〜0.890g/cmの範囲にあること
    (B−ii)融解ピーク温度が80℃以下であること
    (B−iii)メルトフローレート(JIS K7210 A法 条件D、190℃ 2.16kg)が2.0〜5.0g/10minの範囲にあること
    ・前記プロピレン系樹脂成分(C)の条件(C−i)〜(C−iii)
    (C−i)第1工程でメルトフローレート(JIS K7210 A法 条件M、230℃、2.16荷重)が100〜200g/10minの範囲にあるポリプロピレン成分(C1)を65〜75wt%、第2工程でエチレン含量が4〜8wt%、重量平均分子量が80万〜300万のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(C2)を35〜25wt%逐次重合することで得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体であること
    (C−ii)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定により求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が9.0〜15.0の範囲にあること
    (C−iii)プロピレン系樹脂成分(C)全体のメルトフローレート(JIS K7210 A法 条件M、230℃、2.16荷重)が2.0〜8.0g/10minの範囲にあること。
  2. 請求項1に記載の医療容器用プロピレン系樹脂組成物により形成されたシートをヒートシールして形成した薬剤室を有する容器本体と、前記薬剤室の下端部と連通するように前記容器本体にヒートシールされた排出ポートとを有することを特徴とする医療用容器。
  3. 前記医療用容器は、内部空間が剥離可能な仕切部により第1の薬剤室と第2の薬剤室に区分された容器本体と、前記第1の薬剤室の下端部と連通する排出ポートと、前記第1の薬剤室に収納された第1の薬剤と、前記第2の薬剤室に収納された第2の薬剤とを備える複室容器である請求項2に記載の医療用容器。
  4. 前記仕切部は、中央弱シール部と、該中央弱シール部の両側に形成された側部シール部とを備えている請求項3に記載の医療用容器。
  5. 前記中央弱シール部のシール強度は、前記側部シール部のシール強度より低いものとなっている請求項4に記載の医療用容器。
  6. 前記複室容器は、前記第1の薬剤室と前記排出ポートとの連通を阻害する連通阻害用弱シール部を備えている請求項3に記載の医療用容器。
  7. 前記連通阻害用弱シール部のシール強度は、前記中央弱シール部のシール強度より高いものとなっている請求項6に記載の医療用容器。
  8. 前記第1の薬剤室および前記第2の薬剤室のそれぞれに薬剤が収納されており、かつ少なくとも一方の薬剤が、液剤である請求項3ないし7のいずれかに記載の医療用容器。
  9. 前記医療用容器は、前記液剤が収納された薬剤室を押圧することにより、前記仕切部の剥離と同時もしくは続いて前記連通阻害用弱シール部が剥離するものである請求項8に記載の医療用容器。
  10. 前記仕切部及び前記連通阻害用弱シール部は、ヒートシールにより形成されている請求項6ないし9のいずれかに記載の医療用容器。
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