JP2010223416A5 - - Google Patents

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ホイールローダ
本発明は、エンジンによって駆動される油圧ポンプから吐出された圧油によって走行用油圧モータを駆動することで走行するホイールローダに関する。
一般的に、ホイールローダ等の建設車両では、エンジンによって油圧ポンプを駆動し、油圧ポンプから吐出された圧油によって走行用油圧モータを駆動することにより走行を行う、いわゆるHST(Hydro Static Transmission)を搭載しているものがある。
このようなHST式の建設車両では、エンジン回転数、油圧ポンプの容量、走行用油圧モータの容量を制御することによって、車両の速度および牽引力を制御することができる。
例えば、特許文献1,2には、作業状況等を判別して油圧ポンプの吸収トルクを変化させてやることで、燃費低減を図ることが可能な作業機械(建設車両)等について開示されている。
特許文献1には、HST式のホイールローダに関する技術ではないが、作業状況を判別しながら油圧ポンプの吸収トルクを切り替えて、燃費の向上を図る建設機械(油圧ショベル)について開示されている。一方、特許文献2には、エンジンによって駆動されるHSTポンプから吐出された圧油によってHSTモータを駆動して走行するホイールローダについて開示されている。
しかしながら、上記従来の建設車両では、以下に示すような問題点を有している。
すなわち、上述した特許文献1に開示された作業状況を判別した油圧ポンプの吸収トルク制御を、特許文献2に開示されたHSTを搭載したホイールローダに適用した場合には、油圧ショベルの場合と同様に、作業状況等を判別してHSTポンプの吸収トルクを切り換えて低回転マッチングとすることで、燃費低減を図ることができる。しかし、上記公報には、HSTポンプの吸収トルク曲線のマッチングポイントを低回転側から高回転側へ切り換える際、高回転側から低回転側へ戻す際の最適な条件の組み合わせについての検討はなされていない。このため、上記公報の内容を組み合わせた場合でも、運転者の意図と異なる制御になる、切換え時にショック等が発生する等、運転者に違和感を与えてしまうおそれがある。
本発明の課題は、油圧ポンプの吸収トルク曲線のマッチングポイントを低回転側と高回転側との間で切り換える際の条件を最適化して、低燃費化を図りつつ運転者に違和感を与えてしまうことを回避することが可能なホイールローダを提供することにある。
第1の発明に係るホイールローダは、エンジンと、作業機・ステアリングポンプと、作業機と、走行用油圧ポンプと、走行用油圧モータと、アクセルペダルと、油圧センサと、エンジンコントローラと、制御部と、を備えている。作業機・ステアリングポンプは、エンジンによって駆動される。作業機は、作業機・ステアリングポンプから吐出された圧油によって駆動される。走行用油圧ポンプは、作業機・ステアリングポンプとは別に設けられ、エンジンによって駆動される。走行用油圧モータは、走行用油圧ポンプから吐出された圧油によって駆動される。アクセルペダルは、踏込み量に応じてアクセル開度を調整する。油圧センサは、走行用油圧ポンプから走行用油圧モータに送られる圧油の圧力を検知する。エンジンコントローラは、エンジンからの出力トルクを調整する。制御部は、車速、アクセル開度が所定値以上であって、かつエンジン回転数が所定値以下となることと油圧センサから送られるHST圧力が所定値以上になることとエンジンコントローラの出力トルクが所定値以上となることとの少なくとも1つを満たす第1条件を満たしたときに、エンジンの出力トルク曲線に対する走行用油圧ポンプの吸収トルク曲線のマッチングポイントを低回転側から高回転側へと変更する。また、制御部は、車速、HST圧力およびエンジンコントローラの出力トルクの少なくとも1つが所定値以下となる第2条件を満たしたときに、マッチングポイントを高回転側から低回転側へと変更する。
ここでは、エンジンによって走行用油圧ポンプを駆動し、走行用油圧ポンプから吐出された圧油によって走行用油圧モータを駆動することにより走行する、いわゆるHST(Hydro Static Transmission)を搭載したホイールローダにおいて、ホイールローダの走行・作業状況等に応じて走行用油圧ポンプ(HSTポンプ)の吸収トルクを変化させる際には、以下の第1・第2条件を満たした場合にエンジンの出力トルク曲線に対する走行用油圧ポンプの吸収トルク曲線のマッチングポイントを低回転(低燃費)側と高回転(高馬力)側とで切り換える。
具体的には、低回転側のマッチングポイントから高回転側のマッチングポイントへ移行する際の第1条件では、例えば、車速が10km/h以上、アクセル開度が80%であって、かつ3つ目の条件としてエンジン回転数が1900rpm以下、HST圧力が32MPa以上、エンジンコントローラの出力トルク450N・m以上の少なくとも1つを満たすことを条件としている。一方、高回転側のマッチングポイントから低回転側のマッチングポイントへ移行する際の第2条件では、例えば、車速が9km/h以下、HST圧力が29MPa以下、エンジンコントローラの出力トルクが400N・m以下の少なくとも1つを満たすことを条件としている。
ここで、第1条件において、車速とアクセル開度とを必須条件としたのは、ホイールローダにおける高速走行時に運転者がさらなる加速を要求している状況を想定しているためである。そして、3つ目の条件として、エンジン回転数、HST圧力、エンジンコントローラの出力トルクの少なくとも1つを条件として設定したのは、比較的アクセル開度が高い状況で高速走行時にエンジン回転数が所定値以下に低下した状況、あるいは比較的アクセル開度が高い状況でHST圧力または出力トルクが所定値以上となっているという状況が、走行用油圧ポンプに大きな吸収トルクが必要になる登坂走行時であると想定しているためである。よって、このような第1条件を満たす場合に、走行用油圧ポンプの吸収トルクを上げる方向にマッチングポイントをシフトさせることで、充分な吸収トルクを得た状態で走行することができる。
一方、第2条件として、車速、HST圧力、エンジンコントローラの出力トルクの少なくとも1つが所定値以下となることを必須条件としたのは、車速、HST圧力、エンジンコントローラの出力トルクが所定値以下となった場合には、高速登坂走行から脱した状況を想定できるからである。特に、本発明では、第2条件として、第1条件に含まれるアクセル開度やエンジン回転数を含んでいない。これは、アクセル開度を第2条件の1つとしてしまうと、アクセルペダルの踏込み量を減らしているにも関わらず、車速が上昇する等、運転者の意図とは異なる制御になってしまうおそれがあるためである。また、エンジン回転数を第2条件の1つとしてしまうと、吸収トルク切換え時のショックが頻繁に発生してしまうおそれがあるためである。
これにより、第1条件と比較して第2条件を緩く設定しているため、第1条件を満たす必要な場合にのみ高回転側でマッチングするように、第2条件の中の少なくとも1つを満たすときに低回転側でマッチングするように、それぞれ走行用油圧ポンプの吸収トルクを制御することで、通常は低燃費での作業が可能になるとともに、馬力が必要な場合には高回転側でマッチングさせて走行用油圧ポンプにおいて高い馬力が得られるように制御することができる。
そして、高回転マッチングから低回転マッチングへ戻す第2条件として最適な最低限の条件を設定しているため、運転者の意図と異なる制御や切換え時のショック等をなくして、最適な切換え条件を設定することができる。この結果、運転者に制御切換え時におけるショックや違和感を与えてしまうことを回避して、快適に作業を行うことができる。
第2の発明に係るホイールローダは、第1の発明に係るホイールローダであって、第1条件は、作業機・ステアリングポンプの圧力が所定値以上となる第3条件、あるいは作業機を操作する操作レバーのPPC圧が所定値以上、または操作レバーがEPCレバーであり、EPCレバー入力が所定値以外となる第4条件をさらに含む。第2条件は、作業機・ステアリングポンプの圧力が所定値以下となるか、PPC圧が所定値以下、またはEPCレバー入力が所定値となる第5条件をさらに含む。
ここでは、中高速走行時において、さらに作業機を操作していることを第3または第4条件を満たすか否かによって検知した場合には、走行用油圧ポンプの吸収トルクが大きくなるように、マッチングポイントを低回転側から高回転側へと移行させる。一方、中高速走行時において、作業機の操作状態が完了した場合には、走行用油圧ポンプの吸収トルクを小さくして燃費が向上するように、マッチングポイントを高回転側から低回転側へと移行させる。
これにより、上述した高速走行時における第1・第2条件に加えて、中高速走行時における作業機の使用を検知した場合には、同様にマッチングポイントを切り換えることで、作業状況に応じてより最適な吸収トルクを走行用油圧ポンプにおいて得ることができる。
本発明に係るホイールローダによれば、運転者に制御切換え時におけるショックや違和感を与えてしまうことを回避して、快適に作業を行うことができる。
本発明の一実施形態に係るホイールローダの構成を示す側面図。 図1のホイールローダに搭載された1ポンプ1モータのHSTシステムを示す油圧回路図。 図1のホイールローダに搭載されたエンジンの出力トルク曲線とHSTポンプの吸収トルク曲線とを示す特性線図。 図2の車体コントローラにおける登坂走行時における制御条件を示す制御図。 図2の車体コントローラにおける中高速走行中の作業時における制御条件を示す制御図。 図2の車体コントローラにおける掘削時・かきあげ時における制御条件を示す制御図。 本発明の他の実施形態に係るホイールローダに搭載された油圧回路を示す油圧回路図。
(実施形態1)
本発明の一実施形態に係るホイールローダ50について、図1〜図6を用いて説明すれば以下の通りである。
[ホイールローダ50全体の構成]
本実施形態に係るホイールローダ50は、図1に示すように、車体51と、車体51の前部に装着されたリフトアーム(作業機)52と、このリフトアーム52の先端に取り付けられたバケット(作業機)53と、車体51を支持しながら回転して車体51を走行させる4本のタイヤ54と、車体51の上部に搭載されたキャブ55と、を備えている。
車体51は、エンジン1(図2参照)を収納するエンジンルームと、リフトアーム52およびバケット53を駆動するための制御バルブ18(図2参照)、アクチュエータ(作業機用油圧シリンダ19、走行用油圧モータ10)等を制御する車体コントローラ(制御部)12(図2参照)と、を有している。また、車体51には、図2に示すように、上記エンジン1や車体コントローラ12、エンジンコントローラ12a等が搭載されている。なお、図2に示す制御ブロックの構成については、後段にて詳述する。
リフトアーム52は、先端に取り付けられたバケット53を持ち上げるための部材であって、併設されたリフトシリンダ19(図2参照)によって駆動される。
バケット53は、リフトアーム52の先端に取り付けられており、バケットシリンダによってダンプおよびチルトされる。
[ホイールローダ50の内部構成]
(主な構成)
本実施形態のホイールローダ50では、図2に示すように、エンジン1によって駆動されるHSTポンプ(走行用油圧ポンプ)4から吐出された圧油によって走行用油圧モータ10を駆動することで走行する、いわゆる1ポンプ1モータのHSTシステムが採用されている。
また、ホイールローダ50は、主に、エンジン1と、このエンジン1によって駆動される走行側の機構および作業機側の機構や、これらの機構を制御するためのエンジンコントローラ12aや車体コントローラ12等を含む油圧駆動機構30を、内部に備えている。
(油圧駆動機構30)
油圧駆動機構30は、主として、エンジン1、作業機・ステアリングポンプ2、チャージポンプ3、HSTポンプ4、走行用油圧モータ10、エンジンコントローラ12a、車体コントローラ12、アクセル開度センサ13、前後進切換レバー14、速度レンジ選択スイッチ15、車速センサ16およびHST回路センサ(油圧センサ)17、HST回路20を有している。
エンジン1は、ディーゼル式のエンジンであり、エンジン1で発生した出力トルクが、作業機・ステアリングポンプ2、チャージポンプ3、HSTポンプ4等に伝達される。エンジン1には、エンジン1の出力トルクと回転数とを制御するエンジンコントローラ12aが付設されている。エンジンコントローラ12aは、アクセルペダル13aの操作量(以下、「アクセル開度」と呼ぶ)に応じて燃料の噴射量を調整する。また、エンジン1には、エンジン1の実回転数を検出するエンジン回転数センサ1aが設けられており、エンジン回転数センサ1aからの回転数信号がエンジンコントローラ12aに入力される。さらに、エンジン1には、燃料噴射装置1bが接続されている。エンジンコントローラ12aは、アクセル開度に応じて燃料噴射装置1bを制御してエンジン回転数を調節する。
アクセルペダル13aは、エンジン1の目標回転数を指示する手段であって、アクセル開度センサ13と接続されている。アクセル開度センサ13は、ポテンショメータなどで構成されており、検出したアクセル開度を示す開度信号をエンジンコントローラ12aへと送信する。エンジンコントローラ12aは、開度信号を受信して燃料噴射装置1bに指令信号を出力して燃料噴射量を制御する。よって、オペレータは、アクセルペダル13aの操作量を調整することによってエンジン1の回転数を制御する。
HSTポンプ4は、エンジン1によって駆動される可変容量型の油圧ポンプであって、HSTポンプ4から吐出された圧油は、高圧リリーフ弁7,8および低圧リリーフ弁9を含むHST回路20を通って走行用油圧モータ10へと送られる。なお、この油圧駆動機構30には、HST回路20を通る圧油の圧力(以下、「HST圧力」)を検出するHST回路センサ17が設けられている。なお、HST圧力は、走行用油圧モータ10を駆動する圧油の駆動油圧に相当する。また、HSTポンプ4には、HSTポンプ4の容量を制御するためのポンプ制御弁5とポンプ容量制御シリンダ6とが接続されている。
ポンプ制御弁5は、車体コントローラ12からの制御信号に基づいてポンプ容量制御シリンダ6を制御する電磁制御弁であって、ポンプ容量制御シリンダ6の制御によってHSTポンプ4の容量を任意に変更する。
チャージポンプ3は、エンジン1によって駆動され、HST回路20へと圧油を供給するためのポンプである。また、チャージポンプ3は、HSTポンプ4のパイロット回路に圧油を供給する。
作業機・ステアリングポンプ2は、エンジン1によって駆動される。作業機・ステアリングポンプ2から吐出された圧油は、作業機制御用油圧回路を介してリフトシリンダ19やパワーシリンダ(図示せず)に送られ、作業機を駆動したりタイヤ54の向きを変えたりする。また、作業機制御用油圧回路には、作業機レバー23の操作量に応じて駆動されリフトシリンダ19を制御する制御バルブ18が設けられており、車体コントローラ12からの制御信号に基づいて作業機制御弁が制御されることによりリフトシリンダ19が制御される。なお、バケットシリンダについても、リフトシリンダ19と同様に、制御バルブによって制御されるものであるため、図2においては図示を省略した。
走行用油圧モータ10は、可変容量型の油圧モータであって、HSTポンプ4から吐出された圧油によって駆動され、走行のための駆動力を生じさせる。走行用油圧モータ10には、走行用油圧モータ10の傾転角を制御するモータシリンダ11aと、モータシリンダ11aを制御するモータ制御用電子サーボ弁11bとが設けられている。モータ制御用電子サーボ弁11bは、車体コントローラ12からの制御信号に基づいて制御される電磁制御弁であって、モータシリンダ11aを制御する。これにより、走行用油圧モータ10の容量を任意に変えることができ、また、最大容量や最小容量を任意に設定することができる。
車速センサ16は、タイヤ駆動軸の回転数から車速を検出するセンサであって、車速信号を車体コントローラ12に対して送信する。
車体コントローラ12は、各検出部からの出力信号に基づいて各制御弁を電子制御し、HSTポンプ4の容量、走行用油圧モータ10の容量などを制御する。これにより、本実施形態のホイールローダ50では、牽引力と車速とが無段階に変化して、車速ゼロから最高速度まで変速操作なく自動的に変速することができる。車体コントローラ12による走行用油圧モータ10の制御については、後段にて詳細に説明する。
また、車体コントローラ12は、HST回路センサ17において検出されるHST圧力に基づいて走行用油圧モータ10のモータ容量を制御するとともに、速度レンジに応じてモータ最小容量を制限する。さらに、車体コントローラ12は、車速によってモータ容量を制御するように、オーバーラン防止制御を行うとともに、前後進切換レバー14の操作信号によってHSTポンプ4からの圧油の吐出方向を制御する。そして、車体コントローラ12は、後段にて詳述するが、エンジン回転数に応じて走行用油圧モータ10のモータ最小容量を制御する。
<HSTポンプ4の吸収トルクの切換え制御>
本実施形態のホイールローダ50では、後述する各条件を満たす場合には、車体コントローラ12が、エンジン1の回転数とエンジントルクの大きさとを示すエンジン1の出力トルク曲線に対するHSTポンプ4の吸収トルク曲線のマッチングポイントを切り換える制御を行う(図3参照)。
具体的には、通常の走行状態等のように、比較的、HSTポンプ4にかかる負荷が小さい状態では、図3に示すエンジン1の出力トルク曲線に対して低回転側(低燃費側)でマッチングするようにHSTポンプ4の吸収トルク曲線B1を選択する制御を行い、高速で登坂走行を行う際や中高速走行中に作業を行う際等のようにHSTポンプ4にかかる負荷が大きい状態では、高回転側(高馬力側)でマッチングするようにHSTポンプ4の吸収トルク曲線A1を選択する制御を行う。
なお、図3に示す燃費マップFmに示すように、吸収トルク曲線B1が選択されている際には、エンジン1の出力トルク曲線とHSTポンプ4の吸収トルク曲線とのマッチングポイントがMP1となり、燃料消費率が最も低い領域付近で走行することができる。
以下で、このHSTポンプ4の吸収トルク切換え制御を行うための各条件について詳しく説明する。
(登坂走行時の制御I)
本実施形態のホイールローダ50では、図4の上段に示すように、車速、アクセル開度、エンジン回転数およびHST圧力について、それぞれが以下の条件を満たす場合には、図3に示す吸収トルク曲線を、B1からA1へと切り換えて、マッチングポイントを低回転側のMP1から高回転側のMP2へと移行させる。なお、A1,B1は、それぞれ高馬力側の吸収トルク曲線、低燃費側の吸収トルク曲線を意味している。
具体的には、第1条件として、
a)車速が10km/h以上
b)アクセル開度が80%以上
であって、かつ
c1)エンジン回転数が1900rpm以下
c2)HST圧力が32MPa以上
の少なくともいずれか一方を満たす場合には、HSTポンプ4の吸収トルク曲線を低回転側でマッチングするB1から高回転側でマッチングするA1へと切り換えるように制御を行う。
つまり、第1条件では、上記条件a,b,c2、あるいは上記条件a,b,c1,c2のいずれかのパターンを満たした場合に、上述したHSTポンプ4の吸収トルクの切換え制御を行う。
ここで、第1条件において、車速(条件a)とアクセル開度(条件b)とを必須条件としたのは、ホイールローダ50における高速走行時において運転者がさらなる加速を要求している場合に、通常時よりも大きな馬力がHSTポンプ4に必要になる登坂走行時に相当するものと想定されるためである。そして、3つ目の条件c1,c2として、エンジン回転数、HST圧力の少なくとも1つを条件として設定したのは、比較的アクセル開度が高い状況で高速走行している際にエンジン回転数が所定値以下、あるいはHST圧力が所定値以上となっているという状況が、HSTポンプ4に大きな馬力が必要になる登坂走行時に相当するものと想定されるためである。よって、このような第1条件を満たす場合に、HSTポンプ4の吸収トルクを上げる方向にマッチングポイントをシフトさせることで、高速での登坂走行時等のように必要な場合には、HSTポンプ4が充分な馬力を得た状態で走行することができる。
次に、上述した吸収トルク曲線をB1からA1へ切り換える制御を行った後、再度、A1からB1へ戻す制御を行う際の第2条件について以下で説明する。
具体的には、第2条件として、
d)車速が9km/h以下
e)HST圧力が29MPa以下
のいずれか一方を満たす場合には、HSTポンプ4の吸収トルク曲線を、高回転側でマッチングするA1から低回転側でマッチングするB1へ戻す制御を行う。
ここで、第2条件として、第1条件(a+b+c1又はc2)よりも少ない条件(d又はe)を設定したのは、必要な状況においてのみ高馬力側(高回転マッチング)で走行し、比較的容易に低燃費側(低回転側)での走行に戻すことで、できるだけ低燃費の状態でホイールローダ50を走行させるためである。
また、第2条件として、車速、HST圧力の少なくとも1つが所定値以下となることを必須条件としたのは、車速、HST圧力が所定値以下となった場合には、高速登坂走行から脱した状況と想定されるからである。特に、本実施形態では、第2条件として、第1条件に含まれるアクセル開度やエンジン回転数を含んでいない。これは、アクセル開度を第2条件の1つとしてしまうと、アクセルペダル13aの踏込み量を減らしているにも関わらず、吸収トルク曲線がA1からB1へ切り換えられることでHSTポンプの吸収トルクが上昇し(図3参照)、その結果、車速が上昇する等、運転者の意図とは異なる制御になってしまうおそれがあるためである。また、エンジン回転数を第2条件の1つとしてしまうと、エンジン回転数の変動に応じてHSTポンプ4の吸収トルク切換え時のショックが頻繁に発生してしまうおそれがあるためである。
なお、上記条件dの車速の設定値(9km/h)として、条件aの車速の設定値(10km/h)と差を設けたのは、低回転側と高回転側との間で吸収トルク曲線の切換えが頻繁に行われてしまうことを回避するためである。上記条件eのHST圧力の設定値についても同様である。
これにより、HSTを搭載したホイールローダ50において、所定の第1条件を満たした場合には、HSTポンプ4の吸収トルクが増大するように吸収トルク曲線をB1からA1へと切り換えて、エンジン1の出力トルク曲線とのマッチングポイントを低回転側のMP1から高回転側のMP2へと切り換えることで、必要な馬力での走行が可能になる。
一方、上述した高回転側でマッチングしている状態で、所定の第2条件を満たした場合には、HSTポンプ4の吸収トルクが小さくなるように吸収トルク曲線をA1からB1へと切り換える。これにより、エンジン1の出力トルク曲線とのマッチングポイントが高回転側のMP2から低回転側のMP1へと移行して、通常の低燃費での走行に戻すことができる。
そして、上記第1条件と上記第2条件とでそれぞれについて最適な条件設定を行ったことで、運転者が意図しない方向への制御が行われてしまうことや、運転中に吸収トルク切換え制御によるショックが生じることを回避することができる。
(中高速走行中の作業時の制御I)
本実施形態のホイールローダ50では、上述した登坂走行時の制御に加えて、図5の上段に示すように、車速、アクセル開度、エンジン回転数および作業機・ステアリングポンプ圧について、それぞれが以下の条件を満たす場合には、図3に示す吸収トルク曲線をB1からA1へと切り換えて、マッチングポイントを低回転側のMP1から高回転側のMP2へと移行させる。
具体的には、
a)車速が10km/h以上(クラッチ解放状態)
b)アクセル開度が80%以上
であって、かつ
c1)エンジン回転数が1900rpm以下
g)作業機・ステアリングポンプ圧が9MPa以上(第3条件)
の少なくともいずれか一方を満たす場合には、HSTポンプ4の吸収トルク曲線を、低回転側でマッチングするB1から高回転側でマッチングするA1へと切り換えるように制御を行う。
つまり、本実施形態では、上記条件a,b,g、あるいは上記条件a,b,c1,gのいずれかのパターンを満たした場合に、上述したHSTポンプ4の吸収トルクの切換え制御を行う。
ここで、第3条件として、条件gの作業機ステアリング圧力センサ22において検出される作業機・ステアリングポンプ圧を挙げたのは、10km/h以上での中高速走行時にアクセル開度80%以上となっている状況で、かつ作業機・ステアリングポンプ圧が所定値以上となる場合には、作業機(リフトアーム52、バケット53)が操作状態にあることが想定されるからである。よって、このような第3条件をさらに満たす場合に、HSTポンプ4の吸収トルクを上げる方向にマッチングポイントをシフトさせることで、中高速走行中に作業機を使用する場合等には、HSTポンプ4が充分な馬力を得た状態で走行することができる。
次に、上述した吸収トルク曲線をB1からA1へ切り換える制御を行った後、再度、A1からB1へ戻す制御を行う際の第2条件について以下で説明する。
具体的には、第5条件として、
h)作業機・ステアリングポンプ圧が8MPa以下
という条件を満たす場合には、HSTポンプ4の吸収トルク曲線を、高回転側でマッチングするA1から低回転側でマッチングするB1へ戻す制御を行う。
ここで、第5条件として、条件hを設定したのは、中高速走行時にポンプ圧が所定値以下となった場合には、すでに中高速走行時における作業機の使用状況から脱した状態であることが想定されるからである。
なお、上記条件gの作業機・ステアリングポンプ圧の設定値(9MPa)として、条件hの作業機・ステアリングポンプ圧の設定値(8MPa)と差を設けたのは、低回転側と高回転側との間で吸収トルク曲線の切換えが頻繁に行われてしまうことを回避するためである。
これにより、HSTを搭載したホイールローダ50において、所定の第3条件を満たした場合には、HSTポンプ4の吸収トルクが増大するように吸収トルク曲線をB1からA1へと切り換えて、エンジン1の出力トルク曲線とのマッチングポイントを低回転側のMP1から高回転側のMP2へと切り換えることで、中高速走行時における作業機使用状態であっても必要な馬力での走行が可能になる。
一方、上述した高回転側でマッチングしている状態で、所定の第5条件を満たした場合には、HSTポンプ4の吸収トルクが小さくなるように吸収トルク曲線をA1からB1へと切り換えて、エンジン1の出力トルク曲線とのマッチングポイントを高回転側のMP2から低回転側のMP1へと切り換えることで、通常の低燃費での走行に戻すことができる。
そして、上記第3条件と上記第5条件とでそれぞれについて最適な条件設定を行ったことで、運転者が意図しない方向への制御が行われてしまうことや、運転中に吸収トルク切換え制御によるショックが生じることを回避することができる。
(掘削時・かきあげ時等の制御I)
本実施形態のホイールローダ50では、さらに掘削時やかきあげ時等においても、HSTポンプ4の吸収トルク曲線を切り換えて、低回転側から高回転側でマッチングするように制御する。
すなわち、図6の上段に示すように、前後進切換レバー14、車速センサ、ブーム角度およびブームボトム圧について、それぞれが以下の条件を満たす場合には、図3に示す吸収トルク曲線を、B2からA2へと切り換えて、マッチングポイントを低回転側から高回転側へと移行させる。なお、上記ブーム角度の検出については、例えば、ブームに取り付けられた角度センサやリフトシリンダに取り付けられたストロークセンサ等を用いることができる。また、上記ブームボトム圧の検出については、リフトシリンダのボトム側の圧力を検出するブームボトム圧センサによって検出することができる。
ここで、吸収トルク曲線A2,B2は、上述した吸収トルク曲線A1,B1に対して、走行以外(作業機・ステアリング等)の高負荷がかかった際の合計の吸収トルクを示している。
具体的には、
k)前後進切換レバー14が前進(F)
l)車速センサが進行方向前進向きで1〜5km/h
m)ブームボトム圧が上昇
という条件を満たす場合には、HSTポンプ4の吸収トルク曲線を低回転側でマッチングするB2から高回転側でマッチングするA2へと切り換えるように制御を行う。
つまり、本実施形態では、上記条件k,l,mを満たした場合に、上述したHSTポンプ4の吸収トルクの切換え制御を行う。
ここで、上記切換え条件として、前後進切換レバー14の操作状況と車速センサの検出結果を確認するのは、低速での前進走行中であることを検知するためである。また、ブームボトム圧を確認するのは、作業機に対して高負荷がかかっている状態を検知するためである。なお、作業機に対する高負荷状態を検知する手段としては、ブームボトム圧の検知以外にも、バケット53をチルトした状態でブーム上げ中であることを、作業機の操作レバーの操作状態とブーム角度とを介して検出してもよい。よって、このような条件k,l,mを満たす場合に、HSTポンプ4の吸収トルクを上げる方向にマッチングポイントをシフトさせることで、低速前進走行中における高負荷作業時等であっても、エンジン1の回転数、馬力、作業機の駆動速度の低下、エンストを防止することができる。
次に、上述した吸収トルク曲線をB2からA2へ切り換える制御を行った後、再度、A2からB2へ戻す制御を行う際の第2条件について以下で説明する。
具体的には、
n)前後進切換レバー14がF以外
という条件を満たす場合には、HSTポンプ4の吸収トルク曲線を、高回転側でマッチングするA2から低回転側でマッチングするB2へ戻す制御を行う。
ここで、マッチングポイントを低回転側へ戻す条件として、条件nを設定したのは、前後進切換レバー14がF以外、つまり中立(N)か後進(B)に入っているときには、作業機に高負荷がかかっている状況から脱した状態であることが想定されるからである。
これにより、HSTを搭載したホイールローダ50において、所定の条件k,l,mを満たした場合には、HSTポンプ4の吸収トルクが増大するように吸収トルク曲線をB2からA2へと切り換えて、エンジン1の出力トルク曲線とのマッチングポイントを低回転側から高回転側へと切り換えることで、低速前進走行中に作業機に高負荷がかかった状態であっても、エンジン回転数や馬力、作業機スピードの低下やエンストの発生を回避することができる。
一方、上述した高回転側でマッチングしている状態で、所定の条件nを満たした場合には、HSTポンプ4の吸収トルクが小さくなるように吸収トルク曲線をA2からB2へと切り換えて、エンジン1の出力トルク曲線とのマッチングポイントを高回転側から低回転側へと切り換えることで、通常の低燃費での走行に戻すことができる。
(実施形態2)
本発明の他の実施形態について、説明すれば以下の通りである。
本実施形態では、上述した登坂走行時における制御の他の例として、以下のような制御を行う。
(登坂走行時の制御II)
本実施形態では、登坂走行時の他の制御として、図4の下段に示すように、車速、アクセル開度、エンジン回転数およびエンジンコントローラ12aの出力トルクについて、それぞれが以下の条件を満たす場合には、図3に示す吸収トルク曲線を、吸収トルク曲線をB1からA1へと切り換えて、マッチングポイントを低回転側のMP1から高回転側のMP2へと移行させる。
具体的には、第1条件として、
a)車速が10km/h以上(クラッチ解放状態)
b)アクセル開度が80%以上
であって、かつ
c1)エンジン回転数が1900rpm以下
c3)エンジンコントローラ12aの出力トルクが450N・m以上
の少なくともいずれか一方を満たす場合には、HSTポンプ4の吸収トルク曲線を低回転側でマッチングするB1から高回転側でマッチングするA1へと切り換えるように制御を行う。
つまり、上記条件a,b,c3、あるいは上記条件a,b,c1,c3のいずれかのパターンを満たした場合に、上述したHSTポンプ4の吸収トルクの切換え制御を行う。
ここで、第1条件において、3つ目の条件c1,c3として、エンジン回転数、エンジンコントローラ12aの出力トルクの少なくとも1つを条件として設定したのは、比較的アクセル開度が高い状況で高速走行している際にエンジン回転数が所定値以下、あるいはエンジンコントローラ12aの出力トルクが所定値以上となっているという状況が、HSTポンプ4に大きな吸収トルクが必要になる登坂走行時に相当するものと想定されるためである。よって、このような第1条件を満たす場合に、HSTポンプ4の吸収トルクを上げる方向にマッチングポイントをシフトさせることで、上記登坂走行時の制御Iと同様に、高速での登坂走行時等のように必要な場合には、HSTポンプ4が充分な馬力を得た状態で走行することができる。
次に、上述した吸収トルク曲線をB1からA1へ切り換える制御を行った後、再度、A1からB1へ戻す制御を行う際の第2条件について以下で説明する。
具体的には、第2条件として、
d)車速が9km/h以下
f)エンジンコントローラ12aの出力トルクが400N・m以下
のいずれか一方を満たす場合には、HSTポンプ4の吸収トルク曲線を、高回転側でマッチングするA1から低回転側でマッチングするB1へ戻す制御を行う。
ここで、第2条件として、第1条件(a+b+c1又はc3)よりも少ない条件(d又はf)を設定した理由は、上記登坂走行時の制御Iと同様である。
また、第2条件として、車速、エンジンコントローラ12aの出力トルクの少なくとも1つが所定値以下となることを必須条件としたのは、車速、出力トルクが所定値以下となった場合には、高速登坂走行から脱した状況と想定されるからである。
これにより、HSTを搭載したホイールローダ50において、所定の第1条件を満たした場合には、上記登坂走行時の制御Iと同様に、必要な馬力での走行が可能になる。
一方、上述した高回転側でマッチングしている状態で、所定の第2条件を満たした場合には、上記登坂走行時の制御Iと同様に、通常の低燃費での走行に戻すことができる。
さらに、上記登坂走行時の制御Iと同様に、上記第1条件と上記第2条件とでそれぞれについて最適な条件設定を行ったことで、運転者が意図しない方向への制御が行われてしまうことや、運転中に吸収トルク切換え制御によるショックが生じることを回避することができる。
(実施形態3)
本発明のさらに他の実施形態について、説明すれば以下の通りである。
本実施形態では、上記実施形態1で説明した中高速走行中の作業時における制御Iに代わる他の例として、以下のような制御を行う。
(中高速走行中の作業時の制御II)
本実施形態では、同じく中高速走行中の作業時の他の制御として、図5の下段に示すように、車速、アクセル開度、エンジン回転数および作業機レバー23・ステアリングレバーの使用状態について、それぞれが以下の条件を満たす場合には、図3に示す吸収トルク曲線をB1からA1へと切り換えて、マッチングポイントを低回転側のMP1から高回転側のMP2へと移行させる。
具体的には、第4条件として、
a)車速が10km/h以上(クラッチ解放状態)
b)アクセル開度が80%以上
であって、かつ
c1)エンジン回転数が1900rpm以下
i)作業機レバー23のPPC圧が1MPa以上(またはEPCレバー入力が2.5±0.5V以外)
の少なくともいずれか一方を満たす場合には、HSTポンプ4の吸収トルク曲線を低回転側でマッチングするB1から高回転側でマッチングするA1へと切り換えるように制御を行う。
つまり、ここでは、上記条件a,b,i、あるいは上記条件a,b,c1,iのいずれかのパターンを満たした場合に、上述したHSTポンプ4の吸収トルクの切換え制御を行う。
ここで、第4条件として、条件iを追加したのは、PPC油圧センサ21において検出される作業機レバー23のPPC圧、あるいはEPCレバー入力を確認することで、作業機の使用状況が判別でき、上記条件a,b,i等を満たす場合には、中高速走行時において作業機の使用状態であることが想定されるためである。よって、このような条件を満たす場合に、HSTポンプ4の吸収トルクを上げる方向にマッチングポイントをシフトさせることで、上記中高速走行中の作業時の制御Iと同様に、中高速走行時における作業機の使用状態等のように必要な場合には、HSTポンプ4が充分な吸収トルクを得た状態で走行することができる。なお、上記作業機レバー23のPPC圧とは、PPC油圧センサ21において検出され、パイロット油圧式の作業機レバー23を用いる場合において、作業機レバー23の操作量に応じて、作業機制御用油圧回路内において生じるパイロット圧力を意味している。また、上記EPCレバー入力とは、電気式の作業機レバー23を用いる場合において、作業機レバー23の操作量に応じて出力される電気信号を意味している。
次に、上述した吸収トルク曲線をB1からA1へ切り換える制御を行った後、再度、A1からB1へ戻す制御を行う際の第2条件について以下で説明する。
具体的には、第5条件として、
j)PPC圧が1MPa未満、またはEPCレバー入力が2.5±0.5V
を満たす場合には、HSTポンプ4の吸収トルク曲線を、高回転側でマッチングするA1から低回転側でマッチングするB1へ戻す制御を行う。
ここで、第5条件として、第1条件(a+b+c1又はi)よりも少ない条件(j)を設定した理由は、上記中高速走行中の作業時の制御Iと同様である。
また、第5条件として、PPC圧かEPCレバー入力を切り換え条件としたのは、いずれかを判定材料とすれば作業機が使用状態にあるか否かが容易に判断できるためである。
これにより、HSTを搭載したホイールローダ50において、上述した所定の条件(a,b,c1、あるいはa,b,i、あるいはa,b,c1,i)を満たした場合には、上記中高速走行中の作業時の制御Iと同様に、必要な馬力での走行が可能になる。
一方、上述した高回転側でマッチングしている状態で、上述した所定の条件jを満たさなくなった場合には、上記中高速走行中の作業時の制御Iと同様に、通常の低燃費での走行に戻すことができる。
さらに、上記中高速走行中の作業時の制御Iと同様に、上記第1条件と上記第2条件とでそれぞれについて最適な条件設定を行ったことで、運転者が意図しない方向への制御が行われてしまうことや、運転中に吸収トルク切換え制御によるショックが生じることを回避することができる。
(実施形態4)
本発明のさらに他の実施形態について、説明すれば以下の通りである。
本実施形態では、上記実施形態1で説明した掘削時・かきあげ時等における制御Iに代わる他の例として、以下のような制御を行う。
(掘削時・かきあげ時等の制御II)
本実施形態のホイールローダ50では、同じく低速前進走行中における作業機高負荷状態の他の制御として、図6の下段に示すように、前後進切換レバー14、車速センサ、作業機・ステアリングポンプ圧、アクセル開度、エンジン回転数、HST圧力またはエンジンコントローラ12aの出力トルクについて、それぞれが以下の条件を満たす場合には、図3に示す吸収トルク曲線をB2からA2へと切り換えて、マッチングポイントを低回転側から高回転側へと移行させる。
具体的には、
k)前後進切換レバー14が前進(F)
l)車速センサが進行方向前進向きで1〜5km/h
o)作業機・ステアリングポンプ圧が18MPa以上
p)アクセル開度が80%以上
q)エンジン回転数が1700rpm以下
r)HST圧力が40MPa、またはエンジンコントローラ12aの出力トルクが600N・m以上
という条件を満たす場合には、HSTポンプ4の吸収トルク曲線を低回転側でマッチングするB2から高回転側でマッチングするA2へと切り換えるように制御を行う。
つまり、ここでは、上記条件k,l,o,p,q,rを満たした場合に、上述したHSTポンプ4の吸収トルクの切換え制御を行う。
ここで、上記切換え条件として、条件o,p,q,rを設定したのは、アクセル開度が高いにもかかわらずエンジン回転数が低くなっている状態や、HST圧力またはエンジンコントローラ12aの出力トルクが所定値以上となる状態が、走行負荷や作業機負荷が高い状況と想定されるからである。よって、このような条件を満たす場合に、HSTポンプ4の吸収トルクを上げる方向にマッチングポイントをシフトさせることで、上記掘削時・かきあげ時等の制御Iと同様に、低速前進走行中における高負荷状態等のように必要な場合には、HSTポンプ4が充分な吸収トルクを得られる状態とすることができる。
次に、上述した吸収トルク曲線をB2からA2へ切り換える制御を行った後、再度、A2からB2へ戻す制御を行う際の条件について以下で説明する。
具体的には、
s)前後進切換レバー14がF以外
t)車速が5km/h以上で、エンジン回転数が1900rpm以上
といういずれか一方を満たす場合には、HSTポンプ4の吸収トルク曲線を、高回転側でマッチングするA2から低回転側でマッチングするB2へ戻す制御を行う。
ここで、上記条件として、前後進切換レバー14、または車速+エンジン回転数を切り換え条件としたのは、いずれかを判定材料とすれば低速前進走行中における高負荷状態から脱したことが容易に判断できるためである。
これにより、HSTを搭載したホイールローダ50において、上述した所定の条件(k,l,o,p,q,r)を満たした場合には、上記掘削時・かきあげ時等の制御Iと同様に、エンジン回転数および馬力、作業機スピードを低下させることなく、エンストの発生も防止することができる。
一方、上述した高回転側でマッチングしている状態で、上述した所定の条件sまたはtを満たした場合には、上記掘削時・かきあげ時等の制御Iと同様に、通常の低燃費での走行に戻すことができる。
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記実施形態では、高速での登坂走行時であることを検出する条件として、車速、アクセル開度、エンジン回転数、HST圧力、エンジンコントローラの出力トルクが所定値以上あるいは以下である場合を例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、各条件ごとに設定された閾値(所定値)については、各ホイールローダごとに設定されていてもよいし、各ホイールローダの作業内容や運転者の好みに応じて適宜、設定値の変更が可能となっていてもよい。
なお、中高速走行中の作業時における制御においても、各条件ごとに設定された閾値(所定値)の大小については、適宜設定変更が可能である。
なお、高速登坂走行時の吸収トルクA1(A2)と、中高速作業時のA1(A2)とは必ずしも同じカーブに統一する必要はない。また、図4および図5の制御において、エンジン回転数は必ずしも条件の1つにする必要はない。さらに、エンジンコントローラと車体コントローラとは、必ずしも別々のものである必要はなく、1つのコントローラとしてまとめられていてもよい。
(B)
上記実施形態では、1つの油圧ポンプと走行用油圧モータを含む1ポンプ1モータのHSTシステムを搭載したホイールローダ50を例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、図7に示すように、2つの走行用油圧モータ110a,110b、第1・第2モータ制御弁111a,111b、第1・第2モータシリンダ112a,112b、クラッチ113、クラッチ制御弁114、駆動軸115およびHST回路120を含む、1ポンプ2モータのHSTシステムを搭載したホイールローダに対して、本発明を適用してもよい。
この場合には、例えば、上述した第1条件に含まれる条件aに代えて、高速走行用の走行用油圧モータ110bへ切り換わった状態、すなわちクラッチ113が開放された状態であることを切換え制御の条件としてもよい
本発明のホイールローダは、運転者に制御切換え時におけるショックや違和感を与えてしまうことを回避して、快適に作業を行うことができるという効果を奏することから、建設車両に対して広く適用可能である。
1 エンジン
1a エンジン回転数センサ
1b 燃料噴射装置
2 作業機・ステアリングポンプ
3 チャージポンプ
4 HSTポンプ(走行用油圧ポンプ)
5 ポンプ制御弁
6 ポンプ容量制御シリンダ
7,8 高圧リリーフ弁
9 低圧リリーフ弁
10 走行用油圧モータ
11a モータシリンダ
11b モータ制御用電子サーボ弁
12 車体コントローラ(制御部)
12a エンジンコントローラ
13 アクセル開度センサ
13a アクセルペダル
14 前後進切換レバー
15 速度レンジ選択スイッチ
16 車速センサ
17 HST回路センサ(油圧センサ)
18 制御バルブ
19 リフトシリンダ
20 HST回路
21 PPC油圧センサ
22 作業機ステアリング圧力センサ
23 作業機レバー
30 油圧駆動機構
50 ホイールロー
51 車体
52 リフトアーム(作業機)
53 バケット(作業機)
54 タイヤ
55 キャブ
110a,110b 走行用油圧モータ
111a,111b 第1・第2モータ制御弁
112a,112b 第1・第2モータシリンダ
113 クラッチ
114 クラッチ制御弁
115 駆動軸
120 HST回路
国際公開第2005/098148号公報(2005年10月20日国際公開) 特開2004−144254号公報(平成16年5月20日公開)

Claims (2)

  1. エンジンと、
    前記エンジンによって駆動される作業機・ステアリングポンプと、
    前記作業機・ステアリングポンプから吐出された圧油によって駆動される作業機と、
    前記作業機・ステアリングポンプとは別に設けられ、前記エンジンによって駆動される走行用油圧ポンプと、
    前記走行用油圧ポンプから吐出された圧油によって駆動される走行用油圧モータと、
    踏込み量に応じてアクセル開度を調整するアクセルペダルと、
    前記走行用油圧ポンプから前記走行用油圧モータに送られる前記圧油の圧力を検知する油圧センサと、
    前記エンジンからの出力トルクを調整するエンジンコントローラと、
    車速、前記アクセル開度が所定値以上であって、かつエンジン回転数が所定値以下となることと前記油圧センサから送られるHST圧が所定値以上になることと前記エンジンコントローラの出力トルクが所定値以上となることとの少なくとも1つを満たす第1条件を満たしたときに、前記エンジンの出力トルク曲線に対する前記走行用油圧ポンプの吸収トルク曲線のマッチングポイントを低回転側から高回転側へと変更する一方、前記車速、前記HST圧および前記エンジンコントローラの出力トルクの少なくとも1つが所定値以下となる第2条件を満たしたときに、前記マッチングポイントを高回転側から低回転側へと変更する制御部と、
    を備えている建設車両。
  2. 記第1条件は、前記作業機・ステアリングポンプの圧力が所定値以上となる第3条件、あるいは前記作業機を操作する操作レバーのPPC圧が所定値以上、または前記操作レバーがEPCレバーであり、前記EPCレバー入力が所定値以外となる第4条件をさらに含み、
    前記第2条件は、前記作業機・ステアリングポンプの圧力が所定値以下となるか、前記PPC圧が所定値以下、または前記EPCレバー入力が所定値となる第5条件をさらに含む、
    請求項1に記載のホイールローダ
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