JP2010209689A - 蒸発燃料処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】パージ処理に起因する燃費の悪化を抑制する。
【解決手段】蒸発燃料処理装置(811)は、内燃機関(200)の燃料タンク(801)に連通し、蒸発燃料を導入可能なタンクポート(818)と、外界に連通し、大気を導入可能な大気ポート(813)と、内燃機関の吸気系(207)に連通し、吸気系にパージガスを供給可能なパージポート(819)と、各々が蒸発燃料を吸着可能に構成されると共に、タンクポートから大気ポートを経由するガス流路に沿って、少なくとも一部が相互に間隙を隔てて設置される複数の吸着手段(812A、812B及び812C)と、間隙における蒸発燃料の濃度を特定する特定手段(817)とを具備する。
【選択図】図2

Description

本発明は、蒸発燃料を処理するための蒸発燃料処理装置の技術分野に関する。
この種の装置として、ハイブリッド車両において、エンジンの停止期間が所定時間を超えた場合に、エンジンを強制的に始動させるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されたハイブリッド電気自動車の制御装置によれば、エンジンの始動に伴って、燃料供給系で発生した蒸発燃料が吸気通路へパージされることにより、該蒸発燃料がエンジンの燃焼に使用され、エミッションの低減が図られるとされている。
また、ハイブリッド車両において、エンジンを停止することが望ましいとされるアイドリング時に蒸気キャニスタにおいてパージが必要であると判断された場合に、エンジンを動作させるものがある(例えば、特許文献2参照)。この文献においては、例えば前回のパージからの時間が長過ぎる場合にパージが必要であると判断される。
また、エンジンの制御装置において、吸気通路と燃料タンクとを連通するパージ通路にHCセンサを備え、HCセンサにより蒸発燃料の発生量が多いと判断された場合に、アイドル運転時の回転数を通常時よりも高く設定し、蒸発燃料をパージするものがある(例えば、特許文献3参照)。
更には、燃料噴射量に対するパージガス中の蒸発燃料量の割合を示す燃料ベーパ率が予め設定された目標値となるように、パージガス量又は燃料噴射量の少なくとも一方を制御するものも提案されている(例えば、特許文献4参照)。
特開2007−210536号公報 特開2002−221064号公報 特開2002−13446号公報 特開2000−120469号公報
上記特許文献1及び2に記載の装置によれば、エンジンの停止期間、或いは前回のパージ処理からの経過時間に基づいて、パージ処理を実行すべき実行時期が設定される。しかしながら、蒸発燃料は定期的に発生するとは限らないため、この種の停止期間或いは経過時間に基づいて決定された実行時期は、必ずしも最適なものとはならない。従って、蒸発燃料の大気放出を確実に防止する観点から、これらの装置においては最適なタイミングよりも早期にパージが実行される傾向が強くなる。パージが早期に実行されれば、必然的にその実行回数は増加することとなる。一方、パージのための内燃機関の始動は、ドライバが要求する動力性能や走行性能とは無関係であるから、その実行回数が増加すれば、それだけ燃料は無駄に消費されることとなる。即ち、上記の従来の各種装置では、パージの実行時期を的確に設定することが困難であることに起因して、燃費の悪化が回避され難いという技術的問題点がある。
特に、外部電源により充電可能なバッテリを備えるプラグインハイブリッド車両においては、通常のハイブリッド車両と較べてエンジンの始動頻度が減少する傾向にあり、この種の燃費の悪化がより顕著に現れ易い。
本発明は、係る問題点に鑑みてなされたものであり、パージ処理に起因する燃費の悪化を抑制し得る蒸発燃料処理装置を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するため、本発明の蒸発燃料処理装置は、内燃機関の燃料タンクに連通し、蒸発燃料を導入可能なタンクポートと、大気を導入可能な大気ポートと、前記内燃機関の吸気系に連通し、該吸気系にパージガスを供給可能なパージポートと、各々が前記蒸発燃料を吸着可能に構成されると共に、前記タンクポートから前記大気ポートを経由するガス流路に沿って、少なくとも一部が相互に間隙を隔てて設置される複数の吸着手段とを備えてなるキャニスタと、前記間隙における前記蒸発燃料の濃度を特定する特定手段とを具備することを特徴とする。
本発明の蒸発燃料処理装置は、燃料タンク内で発生した蒸発燃料(エバポレーションガスとも称される、以下、適宜「エバポ」と略称する)を一時的にせよ吸着可能な、例えばチャコールキャニスタ等のキャニスタを備える。また、このキャニスタは、少なくともタンクポート、大気ポート及びパージポートを備える。尚、ここで「ポート」とは、対象物、対象装置或いは対象空間に対し直接又は間接的に連通する或いは開口する、例えば管状部材等の物理的なインターフェイスを包括する概念である。
このキャニスタの内部には、主として燃料タンクからタンクポートを経由して流入する蒸発燃料を吸着可能な、例えば活性炭等から成る平板状又はフィルタ状の吸着部材等を好適な一形態として採り得る吸着手段が設置されている。ここで、「吸着可能」とは、少なくとも一時的に対象物(本発明では、蒸発燃料)を捕捉可能であることを包括する概念であって、その物理的、機械的、電気的又は化学的態様は自由であり、従って場合によっては一般的に「吸着」なる言葉から連想される概念を超越していてもよい趣旨である。
この吸着手段は、先のタンクポートから大気ポートを経由するガス流路(尚、「ガス流路」とは、方向概念を有するものではなく、ガスは、タンクポートから大気ポートへも、逆に大気ポートからタンクポートへも進行し得る)に沿って複数配設されているが、パージポートを介したキャニスタ内部と吸気系との連通が遮断された状態においては、より圧力の高いタンクポートから大気ポートへのガスの流れが形成されることになるため、燃料タンクから導かれた蒸発燃料は、経時的に、タンクポート側から順次吸着手段を通過して大気ポートへ向かうこととなる。従って、ガス流路に沿った断面でみれば、蒸発燃料の濃度(以下、適宜「エバポ濃度」と称する)は、総体的にみてタンクポート側から順次低下する。
一方、最も大気に近い側に位置する吸着手段(尚、ガス流路は、必ずしもキャニスタ内部で定義される訳ではないので、大気ポートの外側、即ちキャニスタの外側に吸着手段を備えてもよい)が飽和状態を超えると、当該大気に最も近い吸着手段から、トラップされた蒸発燃料が大気側へ放出され、エミッションが悪化する。このため、通常は、然るべきタイミングで蒸発燃料のパージが実行される。
ここで、係るパージの実行タイミングを決定するにあたって、エバポ濃度と幾らかなり相関を有する、内燃機関の停止期間等を参照した場合には、先に述べたように、エバポ濃度の検出精度が担保され難いことに起因して、パージの実行タイミングが早まる、或いはパージの実行頻度が高くなるといった事態が回避され難いが、さりとて、何らの指針を有しないままに、例えばHC濃度センサ等、エバポ濃度(蒸発燃料とは、結局未燃の燃料であって、燃料の主成分であるHCを含むから、HC濃度とエバポ濃度とは一義に扱ってよい)を直接検出し得る検出手段を単に使用したところで、この種の問題は必ずしも解決されない。
例えば、大気ポートにおける、或いは最も大気に近い吸着手段の出口部分でエバポ濃度を検出した場合、蒸発燃料の放出が検出された時点で、既にエミッションの悪化が進行していることになる。また、大気と連通する部位でエバポ濃度を検出すると、エバポ濃度が安定せず、誤検出が生じる可能性を排除することが難しい。一方で、タンクポートにおけるエバポ濃度を検出しても、キャニスタ内部の複数の吸着手段にどの程度吸着余力が残されているかは全く不明であり、先の停止期間に対する優位性は殆ど存在しない。他方、吸着手段内部のエバポ濃度は、吸着手段内部の吸着されたエバポの分布が均一である保証はないから、実際そのような位置での検出が可能であるか否かを別としても、有益な指標とはなり難い。
それに対し、本発明に係る蒸発燃料処理装置は、複数の吸着手段の一部或いは全てが、ガス流路に沿って相互に間隙を隔てて設置されており、特定手段により、係る間隙におけるエバポ濃度が特定される構成となっている。吸着手段相互間に間隙が形成される場合、この間隙の下流側に位置する吸着手段に吸着されるまでの暫時の期間において、この間隙に蒸発燃料は一時的にせよ、瞬時的にせよ、比較的長い期間であるにせよ滞留し得るため、エバポ濃度の検出が可能となる。従って、本発明によれば、係る間隙のエバポ濃度に基づいて、パージの実行タイミングを、蒸発燃料の大気放出が生じるタイミングよりも前であって、且つそのタイミングに可及的に近いタイミングとして決定することが可能となる。即ち、パージの実行タイミングを最適化することが可能となり、パージを目的とした内燃機関の始動を可及的に抑制し、エミッションの悪化を可及的に抑制することが可能となるのである。
また、このように複数の吸着手段の一部相互間に間隙を形成し、当該間隙のエバポ濃度を検出する構成とした場合、特定手段に係るエバポ濃度の特定精度と、間隙の容積と、間隙の上下流側に位置する吸着手段の吸着能力とを設計上のパラメータとして扱うことが可能となる。
即ち、間隙の容積が相対的に大きい場合、間隙におけるエバポ濃度の変化は緩やかになり易く、それだけ特定手段に要求される特定精度は高くなる。一方、間隙下流の吸着手段における吸着能力(吸着容量とも言い換え得る)が相対的に大きければ、当該吸着手段が飽和状態に到達するまでの時間的余裕は大きくなるから、それだけ特定手段に要求される特定精度は低くなる。逆に、例えば、設置上の制約等により当該間隙を大きく取らざるを得ない場合、間隙下流の吸着手段に係る蒸発燃料の吸着余力或いは特定手段の特定精度により、その影響を補償することが可能となる。或いは、これらの組合せ如何に応じて、当該間隙における、蒸発燃料が大気放出されかねない状況におけるエバポ濃度の挙動は各種態様を採り得るから、特定手段の特定精度或いは特定特性に応じた挙動を示すようにその他のパラメータを決定することにより、例えば、単純にエバポ濃度を基準値と比較するにしても、エバポ濃度の平均値や、エバポ量の積算値を使用するにしても、最終的に、エバポ濃度が大気放出される可能性を高精度に推定することが可能となるのである。無論、このような協調的な補償を行う旨の技術思想は、吸着手段の吸着余力及び特定手段の特定精度に夫々制約が存在する場合にも等しく適用可能である。このような相対関係を利用すれば、本発明に係る蒸発燃料処理装置を車両に搭載するに当たって、車両の仕様、仕向け及び設置上の制約等に応じて、適宜これらのパラメータを協調的に最適化して、車両毎に最適な構成を採ることが比較的容易となり、パージの実行タイミングを的確に設定することに伴うエミッションの悪化抑制に係る実践上の利益を、広くあまねく享受することが可能となる。
補足すると、本発明に係る蒸発燃料処理装置は、吸着手段をガス流路に沿って複数配設する(吸着手段を複数に分割する、或いは複数のキャニスタをガス流路に沿って配設する等も皆等しく本発明の範疇である)ことによって、これらの相互間に、エバポ濃度の検出に最適な空間を創出することが可能である点を新規に見出したものである。従って、エバポ濃度を判断指標としない技術思想は元より、キャニスタの前後でエバポ濃度を検出する、或いは偶発的に生成された、一見しただけでは本発明に係る間隙に類するとみなされ得る空間におけるエバポ濃度を検出する等の技術思想に対して、パージの実行タイミングを最適化し且つ設計上の制約を著しく緩和し得る点において明らかに優越するものである。
尚、本発明の特定手段に係る「特定」とは、検出、推定、同定、算出及び取得等を包括する概念であって、特定手段の実践的態様は、例えばHC濃度センサ等といった検出手段に限定されず、例えばこの種の検出手段から所定の制御バスを介して検出結果に対応する電気信号を取得可能な、例えばECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等であってもよい。
本発明の蒸発燃料処理装置の一の態様では、前記特定手段は、前記ガス流路において最も下流側の前記間隙における前記蒸発燃料の濃度を特定する。
この態様によれば、エバポ濃度がガス流路に沿ってタンクポート側から順次低下する現象を利用することによって、蒸発燃料の大気放出が生じる可能性を、より高精度に推定することが可能となる。従って、蒸発燃料の処理(即ち、パージ)を目的とした内燃機関の始動回数が減ることは言うまでもなく、最大限に燃費の悪化を抑制することが可能となる。
本発明に係る蒸発燃料処理装置の他の態様では、前記複数の吸着手段のうち一は、前記大気ポートの直上流側に設置されており、前記特定手段は、該直上流側に設置された吸着手段の上流側に形成された前記間隙における前記蒸発燃料の濃度を特定する。
この態様によれば、少なくとも大気ポートの直上流に吸着手段が設置されており、その上流側(尚、上流とは、大気側とは異なる側であり、タンクポート側である)に当該間隙が形成される。そのため、特定されるエバポ濃度は、蒸発燃料の大気放出の可能性とより高い相関を有するものとなり、パージの実行タイミングをより最適化することが可能となる。
本発明の蒸発燃料処理装置の他の態様では、前記特定された濃度に基づいて、前記パージポートを経由して前記複数の吸着手段に吸着された蒸発燃料を含む前記パージガスを前記吸気系に供給する旨のパージ処理の実行要否を判別する判別手段と、前記パージ処理が必要である旨が判別された場合に、前記パージ処理が実行されるように前記内燃機関を制御する制御手段とを更に具備する。
この態様によれば、特定手段により特定される蒸発燃料の濃度に基づいて、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る判別手段により、パージ処理の実行要否が判別される。
ここで「パージ処理」とは、蒸発燃料をパージする(吸気系に供給する)ための処理を広く包括する概念であり、好適な一形態として、内燃機関を始動させること等を含む処理を指す。例えば、パージポートと吸気通路との間に介在するパージ通路上にVSV等の圧力駆動型の弁装置が備わる構成においては、内燃機関の始動に伴って吸気通路に形成される負圧によりこのVSVが開弁し、この負圧によって、大気ポートからガス流路及びパージポートを介して大気が導かれる。この際、係る大気がガス流路上の吸着手段に吸着された蒸発燃料と混合され、パージガスとしてパージ通路に導かれ、パージが実行される。
このようなパージ処理の実行要否は、好適な一形態として、特定された蒸発燃料の濃度が所定の濃度閾値以上であるか否かで判別されてもよい。即ち、特定手段により特定されるエバポ濃度は、定性的には、高ければそれだけ蒸発燃料の大気放出の可能性が高い旨に相当するはずであるから、この種の濃度閾値を用いた場合には、比較的簡便に且つ正確に、吸着手段における蒸発燃料の吸着状態を判断することが可能となる。
一方、例えば蒸発燃料の濃度がこのような所定の濃度閾値以上と判別された場合等を好適に含み得る、パージ処理の実行が必要である旨が判別された場合に、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る制御手段により、上記各種態様を採り得るパージ処理が実行される。このため、この態様によれば、一方で蒸発燃料の大気放出を招くことなく、且つ他方で燃費の悪化を招来することなく、極めて的確に蒸発燃料を処理することが可能である。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
本発明の実施形態に係る蒸発燃料処理装置を備えるハイブリッド車両の構成を概念的に表してなる模式的なブロック図である。 図1のハイブリッド車両に備わるエンジン及び燃料供給システムの構成を概念的に表す概略構成図である。 図2の蒸発燃料処理装置におけるエバポ濃度の一推移を模式化してなる図である。 図2の間隙空間の容積、間隙空間下流側の吸着材の活性炭容量及び濃度センサの検出精度各々の相関関係を模式化してなる相関図である。 キャニスタ内における吸着材と濃度センサとの他の位置関係を表してなる模式図である。
<発明の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照して、本発明の一実施形態に係るハイブリッド車両10の構成について説明する。ここに、図1は、ハイブリッド車両10の構成を概念的に表してなる模式的なブロック図である。
図1において、ハイブリッド車両10は、減速機構11及び車輪12、並びにECU100、エンジン200、モータジェネレータMG1(以下、適宜「MG1」と略称する)、モータジェネレータMG2(以下、適宜「MG2」と略称する)、動力分割機構300、PCU400、バッテリ500、充電プラグ600、リレー回路700及び燃料供給システム800を備える。
減速機構11は、エンジン200及びモータジェネレータMG2から出力された動力に応じて回転可能に構成された、デファレンシャルギア(不図示)等を含んでなるギア機構であり、これら動力源の回転速度を所定の減速比に従って減速可能に構成されている。減速機構11の出力軸は、ハイブリッド車両10の車軸(符号省略)に連結されており、これら動力源の動力は、回転速度が減速された状態で当該車軸及び当該車軸に連結された、駆動輪としての車輪12に伝達されるように構成されている。
尚、減速機構11の構成は、エンジン200及びモータジェネレータMG2から供給される動力を、その動力に基づいた軸体の回転速度を減速しつつ車軸に伝達可能である限りにおいて何ら限定されず、単にデファレンシャルギア等を含んでなる構成を有していてもよいし、複数のクラッチ及びブレーキ並びに遊星歯車機構により構成される所謂リダクション機構として複数の変速比を得ることが可能に構成されていてもよい。
ECU100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を備え、ハイブリッド車両10の動作全体を制御することが可能に構成された電子制御ユニットである。ECU100は、ROMに格納された制御プログラムに従って、後述する走行モード切り替え処理を実行することが可能に構成されている。
尚、ECU100は、本発明に係る「特定手段」、「判別手段」及び「制御手段」の夫々一例として機能するように構成された一体の電子制御ユニットであり、これら各手段に係る動作は、全てECU100によって実行されるように構成されている。但し、本発明に係るこれら各手段の物理的、機械的及び電気的な構成はこれに限定されるものではなく、例えばこれら各手段は、複数のECU、各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成されていてもよい。
エンジン200は、ハイブリッド車両10の動力源の一つとして機能するように構成された、本発明に係る「内燃機関」の一例たるガソリンエンジンである。エンジン200の詳細な構成は、後に図2を参照する形で詳述する。
モータジェネレータMG1は、バッテリ500を充電するための或いはモータジェネレータMG2に電力を供給するための発電機として、更にはエンジン200の動力をアシストする電動機として機能するように構成された電動発電機である。
モータジェネレータMG2は、エンジン200と共にハイブリッド車両10の動力源の一つとなる電動機として、或いはバッテリ500を充電するための発電機として機能するように構成されている。
尚、これらモータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2は、例えば同期電動発電機として構成され、外周面に複数個の永久磁石を有するロータと、回転磁界を形成する三相コイルが巻回されたステータとを備える。但し、他の形式のモータジェネレータであっても構わない。
動力分割機構300は、エンジン200の動力をMG1及び車軸へ分配することが可能に構成された遊星歯車機構である。尚、動力分割機構300の構成は公知の各種態様を採り得るため、ここではその詳細な説明を省略するが、簡略的に説明すると、動力分割機構300は、中心部に設けられたサンギアと、サンギアの外周に同心円状に設けられたリングギアと、サンギアとリングギアとの間に配置されてサンギアの外周を自転しつつ公転する複数のピニオンギアと、後述するクランクシャフト205の端部に結合され、各ピニオンギアの回転軸を軸支するプラネタリキャリアとを備える。
このサンギアは、サンギア軸を介してMG1のロータ(符合は省略)に結合され、リングギアは、リングギア軸を介してMG2の不図示のロータに結合されている。リングギア軸は、車軸と連結されており、MG2が発する動力は、リングギア軸を介して車軸へと伝達され、同様に車軸を介して伝達される車輪12からの駆動力は、リングギア軸を介してMG2に入力される。係る構成の下、動力分割機構300により、エンジン200が発する動力は、プラネタリキャリアとピニオンギアとによってサンギア及びリングギアに伝達され、エンジン200の動力が2系統に分割される。この際、サンギアに伝達される動力によって、モータジェネレータMG1が正回転側に駆動されると、モータジェネレータMG1により発電が行われる構成となっている。
PCU400は、バッテリ500から取り出した直流電力を交流電力に変換して、モータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2に供給すると共に、モータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2によって発電された交流電力を直流電力に変換してバッテリ500に供給することが可能に構成された不図示のインバータ等を含み、バッテリ500と各モータジェネレータとの間の電力の入出力を、或いは各モータジェネレータ相互間の電力の入出力(即ち、この場合、バッテリ500を介さずに各モータジェネレータ相互間で電力の授受が行われる)を制御することが可能に構成された電力制御ユニットである。PCU400は、ECU100と電気的に接続されており、ECU100によってその動作が制御される構成となっている。
バッテリ500は、モータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2を駆動するための電力に係る電源として機能することが可能に構成された充電可能な蓄電池である。ここで、バッテリ500は、ハイブリッド車両10の車外に設置される外部電源20により、適宜充電可能に構成されている。即ち、バッテリ500は、各モータジェネレータの発電作用により生じる電力の他に、外部電源20からの電力供給によっても充電される構成となっており、ハイブリッド車両10は、所謂プラグインハイブリッド車両として構成されている。
バッテリ500にはSOCセンサ510が付設されている。SOCセンサ510は、バッテリ500のSOC(State Of Charge:充電状態)を検出可能に構成されたセンサである。SOCセンサ510は、バッテリ500のSOCを、満充電状態を100(%)、完全放電状態を0(%)として規格化されたSOC値(以下、単に「SOC」と略称する)として検出可能に構成されており、SOCセンサ510と電気的に接続されたECU100に対し、検出されたSOCを一定又は不定の周期で送出する構成となっている。
充電プラグ600は、リレー回路700の入力端子と電気的に接続されており、且つ外部電源20との電気的な接続を可能とする金属製のプラグである。尚、外部電源20は、例えば家庭用の100V電源であってもよいし、市街地や郊外の然るべきインフラ施設(例えば、ガソリンスタンドやサービスステーション)等にインフラ設備として設置されるものであってもよく、その物理的、機械的、機構的、電気的又は化学的態様は何ら限定されない趣旨である。
リレー回路700は、充電プラグ600側の入力端子と、バッテリ500側の出力端子との間の電気的な接続状態を二値的に且つ選択的に切り替え可能なスイッチング回路である(図1では接続されていない状態が示されている)。リレー回路700は、ECU100と電気的に接続されており、当該接続状態は、ECU100により制御される構成となっている。尚、入力端子と出力端子とが電気的に接続された状態において、バッテリ500は充電プラグ600と電気的に接続された状態となり、充電プラグ600が外部電源20と接続されている場合には、半ば自動的にバッテリ500への通電がなされ、充電が開始される構成となっており、入力端子と出力端子とが接続されていない状態において、バッテリ500は充電プラグ600から解放され、充電プラグ600が外部電源20と接続されている又はいないに関係なく、バッテリ500への通電が停止される構成となっている。
燃料供給システム800は、エンジン200に対し、燃料たるガソリンを供給可能に構成された装置である。尚、燃料供給システム800については、後に図2を参照する形で詳述する。
ここで、図2を参照し、エンジン200及び燃料供給システム800の詳細な構成について説明する。ここに、図2は、エンジン200及び燃料供給システム800の構成を概念的に表してなる概略構成図である。
図2において、エンジン200は、気筒201内において燃焼室に点火プラグ(符号省略)の一部が露出してなる点火装置202による点火動作を介して混合気を燃焼せしめると共に、係る燃焼による爆発力に応じて生じるピストン203の往復運動を、コネクティングロッド204を介してクランクシャフト205の回転運動に変換可能に構成されている。また、クランクシャフト205の近傍には、クランクシャフト205の回転位置(即ち、クランク角)を検出するクランクポジションセンサ206が設置されている。尚、エンジン200は、紙面と垂直な方向に4本の気筒201が直列に配されてなる直列4気筒エンジンであるが、個々の気筒201の構成は相互に等しいため、図2においては一の気筒201についてのみ説明を行うこととする。
尚、本発明に係る「内燃機関」とは、ガソリンエンジンに限らず、軽油を燃料とするディーゼルエンジン又はアルコールとガソリンとの混合燃料を使用可能なバイフューエルエンジン等の形態を有していてもよい。また、ガソリンエンジンであるにせよ、その気筒配列は、直列型式に限定されない。
エンジン200において、外部から吸入された空気は吸気管207を通過し、吸気ポート210において、インジェクタ212から噴射された燃料と混合されて前述の混合気となる。この際、燃料は、燃料供給システム800により供給される構成となっている。尚、燃料を噴射する噴射手段の形態は、図示するような所謂吸気ポート噴射型インジェクタの構成を採らずともよく、例えば、フィードポンプ或いは他の低圧ポンプにより圧送される燃料の圧力を更に高圧ポンプによって昇圧せしめ、高温高圧の気筒201内部へ燃料を直接噴射することが可能に構成された、所謂直噴インジェクタ等の形態を有していてもよい。
気筒201内部と吸気管207とは、吸気バルブ211の開閉によってその連通状態が制御されている。気筒201内部で燃焼した混合気は排気となり吸気バルブ211の開閉に連動して開閉する排気バルブ213の開弁時に排気ポート214を介して排気管215に導かれる。
一方、吸気管207における、吸気ポート210の上流側には、図示せぬクリーナを経て導かれた吸入空気に係る吸入空気量を調節するスロットルバルブ208が配設されている。このスロットルバルブ208は、ECU100と電気的に接続されたスロットルバルブモータ209によってその駆動状態が制御される構成となっている。尚、スロットルバルブモータ209は、基本的にはドライバの意思を反映したアクセル開度Taに応じたスロットル開度が得られるように、ECU100により駆動制御されるが、その駆動制御に際してドライバの意思が介在する必要は必ずしもなく(無論、ドライバの意思に反することのない範囲である)、言わば自動的にスロットル開度を調整することも可能である。即ち、スロットルバルブ208は、一種の電子制御式スロットルバルブとして構成されている。
排気管215には、三元触媒216が設置されている。三元触媒216は、エンジン200から排出されるCO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、及びNOx(窒素酸化物)を夫々浄化可能に構成された排気浄化装置である。
また、排気管215には、エンジン200の排気空燃比を可能に構成された空燃比センサ217が設置されている。更に、気筒201を収容するシリンダブロックに設置されたウォータジャケットには、エンジン200を冷却するために循環供給される冷却水(LLC)に係る冷却水温を検出するための水温センサ218が配設されている。
一方、図2において、燃料供給システム800は、燃料タンク801を有する。燃料タンク801は、金属材料で形成された貯留装置である。燃料タンク801内部は、燃料FLが貯留される構成となっている。
燃料タンク801内部には、燃料タンク801内部の圧力たるタンク内圧Piを検出可能に構成された圧力センサ802が設置されている。圧力センサ802は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたタンク内圧Piは、ECU100により一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
燃料タンク801内部には、フューエルポンプ803が配設されている。フューエルポンプ803は、燃料タンク801内部の燃料貯留空間から燃料FLを吸い上げることが可能に構成されたポンプ装置であり、吸い上げられた燃料FLは、フューエルポンプ803に接続されたフィードパイプ804を介して、先述したインジェクタ212の燃料噴射弁に圧送供給される構成となっている。
燃料タンク801には、給油管805が接続されており、その内部において燃料タンク801の燃料貯留空間に連通している。給油時には、この給油管805の先端部分に取り付けられたフューエルキャップが取り外され、燃料たるガソリンが給油管805を介して燃料タンク801内部に給油される構成となっている。
燃料タンク801の下部には、燃料FLの温度たる燃料温度Tfを検出可能に構成された温度センサ806が設置されている。温度センサ806は、ECU100と電気的に接続されており、検出された燃料温度Tfは、ECU100により一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
燃料タンク801の上方には、燃料タンク801内部に貯留された燃料FLの液面上部空間とブリーザ配管810とを適宜に連通させることが可能に構成されたベントバルブ809が備わる。
ベントバルブ809は、燃料タンク801の内圧とブリーザ配管810との差圧が所定値に達すると開弁するように構成されたバルブ装置である。ベントバルブ809は、その開弁時において、蒸発燃料(エバポ)を含む空気を、ブリーザ配管810を介して後述するキャニスタ811に供給可能に構成される。
ベントバルブ809は、ROV(Roll Over Valve)807及びCOV(Cut Off Valve)808を介して上記液面上部空間と連通する構成となっている。
ROV807は、給油時の液面上昇により閉弁し、ベントバルブ809と燃料タンク801との連通を遮断するように構成されている。また、ROV807は、車両転倒時等においてもベントバルブ809と燃料タンク801との連通を遮断する構成となっており、ブリーザ配管810を介して燃料FLが外部に漏洩しない構成となっている。
COV808は、ROV807と並列配置されており、ROV807よりも更に液面が上昇した場合にベントバルブ809と燃料タンク801との連通を遮断するように構成されている。COV808は、給油時の液面上昇に際しては、ROV807の閉弁後も開弁状態を維持するが、車両旋回による液面の動揺等により液面がCOV808まで到達するような場合には閉弁し、ベントバルブ809と燃料タンク801との連通を遮断するように構成されており、ベントバルブ809を介して燃料FLが外部に漏洩しない構成となっている。
キャニスタ811は、タンクポート818を介してその内部がブリーザ配管810と連通し、ブリーザ配管810を介して供給されるエバポを吸着可能に構成されてなる、本発明に係る「キャニスタ」の一例である。
キャニスタ811は、パーティション816を備える。パーティション816は、キャニスタ811の内部空間の一部を仕切る隔壁であり、係るパーティション816によって、キャニスタ811の内部空間は、第1の空間(図2においてパーティション816の上側に形成された空間)と第2の空間(図2においてパーティション816の下側に形成された空間)とに区画されている。尚、この第1の空間と第2の空間とは、パーティション816により区画されない一部の空間(図2における右側の空間)において相互に連通する構成となっている。
キャニスタ811において、上記第2の空間を規定する壁体部分には、大気連通管813の一端部が接続されている。大気連通管813は、その内部において、キャニスタ811の内部空間と連通する、本発明に係る「大気ポート」の一例たる管状部材である。尚、大気連通管813の他端部は、ハイブリッド車両10の車外空間に連通している。
キャニスタ811は、その内部空間に、吸着材812A、吸着材812B及び吸着材812Cの三種類の吸着材を収容している。これら吸着材は、夫々がエバポを吸着保持可能な活性炭からなる、本発明に係る「吸着手段」の一例である。尚、本実施形態において、各吸着材に係るエバポの吸着容量は相互に異なっている。
吸着材812Aは、キャニスタ811の内部空間における上記第1の空間に設置された吸着材である。
吸着材812B及び吸着材812Cは、夫々キャニスタ811の内部空間における上記第2の空間に並列して配置された吸着材である。この際、吸着材812Cは、吸着材812Bと較べて上記大気連通管813により近接した位置に設置されている。また、吸着材812Bと吸着材812Cとの間には、一定の幅を有する間隙空間が形成されている。この間隙空間には、この間隙空間におけるエバポ濃度を検出可能な、濃度センサ817の検出端子の一部が露出している。濃度センサ817は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたエバポ濃度は、一定又は不定の周期でECU100により参照される構成となっている。
一方、キャニスタ811において上記第1の空間を規定する壁体部分には、パージポート819の一端部が固定されている。パージポート819は、その内部が第1の空間に連通する管状部材であり、その他端部は、パージ用配管814に接続されている。
パージコントロールバルブ815は、パージ用配管814上に設置された公知の電磁制御弁である。パージコントロールバルブ815の弁体は、図示せぬ電磁アクチュエータにより、パージコントロールバルブ815の上流側と下流側(この場合の上流側及び下流側とは、後述するパージガスの流れ方向を基準とした方向概念であって、上流側とは即ちキャニスタ側であり、下流側とは即ちスロットルバルブ208側を指す)との連通を遮断する遮断位置と、当該上流側と下流側とを連通せしめる連通位置との間で二値的に位置制御がなされる構成となっている。このアクチュエータを駆動する不図示の駆動系は、ECU100と電気的に接続された状態にあり、ECU100による制御に従って駆動される。即ち、パージコントロールバルブ815は、ECU100によりその開閉状態が制御される構成となっている。尚、パージコントロールバルブ815の弁体は、エンジン200の非稼動時には基本的に上記遮断位置に制御される。
ここで、パージコントロールバルブ815の作用について補足すると、エンジン200が稼動状態にある場合、吸気管207には主として吸気行程において負圧が形成される。従って、エンジン200が稼動状態にある場合、パージコントロールバルブ815の弁***置を上記連通位置に制御することによってパージコントロールバルブ815の上流側と下流側とを連通せしめれば、吸気管207と外界とは、キャニスタ811及び大気連通管813を介して連通した状態となり、エンジン負圧により大気連通管813を介して外気が導かれることとなる(図示破線L1参照)。係る外気は、パージ用配管814へ到達する途上において各吸着材に吸着されたエバポと適宜混合される。この外気とエバポとの混合ガスが、先述したパージガスとなる。尚、各吸着材にエバポが吸着されていなければ、パージガスとは即ち外気と同等である。このように、キャニスタ811に吸着されたエバポをエンジン200での燃焼に供する一連の処理を、これ以降適宜「パージ処理」と称することとする。
尚、パージコントロールバルブ815は、吸気管207に形成されるエンジン負圧に応じて半ば自動的にその開閉状態が変化するVSVとして構成されていてもよい。この場合、エンジン200が稼動状態にあれば、エンジン負圧波と同期して絶えずパージコントロールバルブ815が開閉を繰り返すこととなり、パージ量の制御精度は、電磁制御弁等開弁期間を制御し得る性質の弁装置と較べて低下するものの、システム構成を簡素化することが可能となる。
一方、エンジン200の非稼動期間においては、上述したようにパージコントロールバルブ815は閉弁している。従って、係る非稼動期間においてキャニスタ811の内部空間をエバポが流れる方向は、上記パージガスの流れる方向とは逆になる。即ち、図示鎖線L2で表示される如き、タンクポート818から吸着材812A、吸着材812B、吸着材812C及び大気連通管813を順次経由する方向となる(尚、第1の空間から、連通空間を経由して第2の空間及び大気連通管813へ至る、エバポの通路は、本発明に係る「ガス流路」の一例である)。この際、各吸着材の吸着容量に十分な余裕がある場合、キャニスタ811内に導かれたエバポは、各吸着材を通過する過程でいずれかの吸着材によりトラップされ、大気連通管813から排出されるガスは、基本的に濾過後の清浄な空気のみとなる。
<実施形態の動作>
<走行モードの詳細>
ハイブリッド車両10では、動力源の選択態様及び制御態様を規定する走行モードとして、HVモードとEVモードとのうち一方が選択される構成となっている。
HVモードは、ハイブリッド車両10の車速V(km/h)が予め設定された上限車速VL以上となる場合、バッテリ500のSOC(%)が予め設定されたSOC下限値SOCL未満となる場合、及びハイブリッド車両10の出力Phの要求値たる要求出力Pn(kw)がモータジェネレータMG2に対し予め設定されたモータ上限出力値PmLよりも大きい場合について、エンジン200をその燃費率が最小となる動作点で動作させつつ、ハイブリッド車両10の車軸に供給すべき動力に対する実際の動力の過不足分が、モータジェネレータMG2を介した動力の入出力により賄われるようにエンジン200とモータジェネレータMG2とを協調制御するように構築された第1の走行モードである。尚、HVモードにおいて、上記走行条件以外の走行条件については、基本的に(減速時等は除く)モータジェネレータMG2のみを動力源としたEV走行が実行される。
EVモードは、上記HVモードと比較して環境負荷を軽減し得るようにエンジン200の稼動期間が短く抑えられた(即ち、エンジン200の始動頻度が低い)、別言すれば可及的にEV走行を行うように構築された第2の走行モードである。
より具体的に述べると、EVモードにおいて、エンジン200は、バッテリ500のSOCが下限値SOCL未満(SOC<SOCL)となった場合にのみ、その始動が要求される。従って、EVモードにおいて、ハイブリッド車両の車速V及び出力Phの上限値は、モータジェネレータMG2の物理的、機械的又は電気的な動作限界により決定される。
尚、このような点に鑑みれば、第2のモードにおいては、要求車速が高い場合や要求出力が高い場合の少なくとも一部において、ハイブリッド車両10の車速V或いは出力Phが要求値を下回る可能性があるが、HC、CO及びNOxの排出量低減に伴う環境負荷の軽減を目的とする点に鑑みれば、実践上さしたる問題は生じない。また特に、ハイブリッド車両10のように外部電源20からの充電が可能に構成されたプラグインハイブリッド車両においては、モータジェネレータMG1による発電或いは減速時のエネルギ回生等によりバッテリ500の充電を行うよりない他のハイブリッド車両と較べれば、バッテリ500のSOCを比較的自由なタイミングで所望量回復させることが可能であり、車速、要求出力及びSOCの制限が緩和される。従って、ハイブリッド車両10において、EVモードを主たる走行モードとして選択することが比較的容易にして可能となる。
本実施形態において、これら二種類の走行モードのうちいずれを選択すべきかについては、ECU100により実行される走行モード切り替え処理により決定される。但し、ハイブリッド車両10では、係る処理とは別に、ドライバの意思に基づいた所定の操作手段(例えば、シフトレバー、各種ボタンスイッチ或いは操作ダイアル等)の操作によりマニュアル的に走行モードの選択を行うことも可能であり、このような操作がなされた場合には、システム上問題が生じない限りにおいてドライバの意思が優先される。例えば、走行モード切り替え処理においてEVモードの実施要件が満たされたとして、ドライバが上述した車速や要求出力の制限を嫌ってHVモードの実行を所望している場合には、走行モードはHVモードに設定される。
一方、EVモードが選択されている場合、HVモードに対して必然的にエンジン200の始動頻度は低下する。他方、エンジン200が稼動しているか否かにかかわらず、燃料タンク801内部に貯留された燃料FLはその蒸発速度の高低はさておき幾らかなり蒸発し得るから、生じたエバポは、給油時の液面上昇によるタンク内圧の上昇を待たずとも適宜ベントバルブ809を押し開き、キャニスタ811の吸着材812に適宜吸着されることとなる。
ここで、上述したように、エンジン200が稼動状態になければ吸気管207に負圧が生じないから、パージコントロールバルブ815を開閉させたとしてエバポをパージすることができない(実践的には、エンジン200が非稼動である場合、吸気管207へのエバポの漏洩を防ぐため、先述したようにパージコントロールバルブ815は絶えず閉弁状態に制御される)。
このため、余りに長期にわたってエンジン200が非稼動となると、キャニスタ811におけるエバポの吸着量が各吸着材の保持限界を超える(即ち、キャニスタ811が飽和状態を超える)可能性がある。このようにキャニスタ811が飽和状態を越えた場合、或いは近未来的にそのような事態に直面すると予測される場合、大気連通管813を介してエバポが外界に放出することを防止するために、エンジン200を稼動させ先述のパージ処理を実行する必要がある。
ところが、このような理由によるエンジン200の始動は、ハイブリッド車両10の車軸に出力すべき動力の観点から見れば必ずしも必要ではない上、必ずしもエンジン200を効率的な動作点で動作させ得るものとは限らない(即ち、エバポの大気放出を防止するためだけに燃料をエンジン200内で強制的に燃焼させているに過ぎない)から、燃費の観点からは望ましくない。そこで、走行モード切り替え処理においては、これらの問題を好適に解決すべく、濃度センサ817により検出されるエバポ濃度に基づいて走行モードの切り替えがなされる。
より具体的には、ECU100は、濃度センサ817により検出されるエバポ濃度が、予め設定された基準値以上であるか否かを判別し、エバポ濃度が係る基準値以上である場合に、パージ処理の実行が必要である旨の判断の下、走行モードをHVモードに切り替える。尚、係るエバポ濃度と基準値との比較判別処理は、燃料タンク801内において燃料の蒸発が生じる点に鑑み、ハイブリッド車両10がソーク状態にある場合においても一定の周期で実行されている。
尚、HVモードの選択に係るECU100の動作は、EVモードと較べてエンジン200の始動が促される点において、パージ処理を実行する旨の動作と実質的に等しく、本発明に係る「制御手段」の動作の一例である。但し、HVモードにおいて確実にエンジン200が始動する訳ではないから、また、本実施形態によれば、キャニスタ811におけるエバポの吸着の度合いがより高精度に推定できる点に鑑みれば、エバポ濃度が基準値以上である場合に、無条件にエンジン200を始動させ、パージコントロールバルブ815を開いて一連のパージ処理を実行してもよい。
ここで、図3を参照し、キャニスタ811内部におけるエバポ濃度の推移について説明する。ここに図3は、吸着材812B及び812Cを通過する過程におけるエバポ濃度の一推移を例示する模式図である。
図3において、縦軸にはエバポ濃度が示され、横軸には右端部分を基準とするエバポの移動距離が示されている。ここで、この二次元平面上に、吸着材812B及び812Cを、その位置関係を維持した状態で表すと、エバポ濃度は、図示実線で示す如くに変化する。即ち、図3において、エバポの流路上、吸着材812Cよりも上流側に位置する吸着材812Bに流入した段階において、エバポ濃度は最も高く、吸着剤812Bを通過する過程で吸着材812Bによる吸着の作用を受けてエバポ濃度は移動距離に応じて減衰する。その傾向は、吸着材812Cにおいても同様であり、吸着材812Cにおいては、流入時のエバポ濃度が最も高く、エバポの移動距離が増加するのに伴ってエバポ濃度は減衰する。このように、総体的に言えば、エバポ濃度は、大気連通管213に近づくに連れて低下する。
従って、濃度センサ817が設置された、大気連通管813に最も近接した間隙空間におけるエバポ濃度は、キャニスタ811におけるエバポの吸着度合いを極めて正確に表す指標値となり、上述した基準値との比較判別により、パージ処理の実行要否を正確に判別することが可能となるのである。
一方で、濃度センサ817は、図3において吸着材812Bと吸着材812Cとの間に形成された、流路方向の長さP1を有する間隙空間におけるエバポ濃度を検出する構成となっている。図3では、係る間隙空間におけるエバポ濃度が緩やかに上昇する旨が例示されているが、この間隙空間における、エバポ濃度の変化態様は一義的ではなく、この間隙空間の容積と、吸着材(主として吸着材812C)の吸着容量とに応じて適宜変化する。
ここで、図4を参照し、係る間隙空間の容積、吸着材812Cの容量及び濃度センサ817に要求されるエバポ濃度の検出精度の相関関係について説明する。ここに図4は、間隙空間の容積、吸着材812Cの活性炭容量、及びエバポ濃度の検出精度の相関関係を例示した模式的な相関図である。
図4において、縦軸において、図中、右側に空間容積が、左側に吸着材812Cの活性炭容量が、また横軸に、濃度センサ817に要求されるエバポ濃度の検出精度が示されている。
図示するように、吸着材812Cの活性炭容量が大きい場合、吸着材812Cが飽和するまでの時間的余裕が大きくなるため、濃度センサ817に要求されるエバポ濃度の検出精度は比較的低くなる。反対に、吸着材812Cの活性炭容量が小さい場合、吸着材812Cが飽和するまでの時間的余裕が小さくなるため、濃度センサ817に要求されるエバポ濃度の検出精度は比較的高くなる。
一方、間隙空間の容積を見ると、当該容積が小さければ、吸着材812Cが飽和状態を超えた場合に生じる間隙空間のエバポ濃度の変化が大きくなるため、濃度センサ817に要求されるエバポ濃度の検出精度は低くなる。反対に、当該容積が大きい場合、吸着材812Cが飽和状態を超えたとしても、当該空間のエバポ濃度への影響が相対的に低下するため、比較的高精度の濃度センサが必要となる。
他方、濃度センサ817の検出精度が予め決まっていれば、間隙空間の容積及び吸着材812Cの活性炭容量に要求される値は大略決定される。このように、本実施形態において、間隙空間の容積と、吸着材812Cの活性炭容量と、エバポ濃度の検出精度との間には相関があり、各々キャニスタ811を設計するにあたってのパラメータとして利用することができる。即ち、その都度個別具体的に変化し得る各種の物理的制約、コスト上の制約、或いは制御上の制約等に応じて、これらの最適な組合せを実験的に、経験的に、理論的に又はシミュレーション等に基づいて決定することが可能となる。
このように、本実施形態によれば、吸着材812Bと吸着材812Cとの間の間隙空間におけるエバポ濃度を検出することによって、キャニスタ811におけるエバポ濃度の吸着の度合いを正確に推定することが可能となる。このため、パージ処理の実行タイミングを的確に設定することが可能となるのである。尚、当該間隙空間におけるエバポの挙動を予め実験的に、経験的に、理論的に又はシミュレーション等に基づいて把握しておくことにより、エバポ濃度との比較判別に供される基準値を、より的確に設定することが可能となり、実践上有益である。
尚、本実施形態において、パージ処理を目的としたHVモードの継続期間は、キャニスタ811におけるエバポの吸着量を所定値未満に減少させるために要するパージガス量により規定されてもいいし、他の指標値により規定されても構わない。例えば、エンジン200の積算空気量(例えば、エアフローメータの検出値を利用することにより推定可能である)、エンジン200の連続稼動時間若しくは積算稼働時間、ハイブリッド車両10の航続距離、エンジン200の冷却水温が所定値以上となる期間の長さ、又はエンジン200の燃料消費量等に基づいて、エバポが好適に処理されたか否かに係る判別を行うことも可能である。
尚、キャニスタ811における濃度センサ817の設置位置は、必ずしも図2の位置に限定されない。例えば、図5に例示する各種の態様を採ることもできる。ここに、図5は、濃度センサ817の設置位置の各種態様を例示する模式図である。尚、同図において、図2と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図5において、濃度センサ817は、キャニスタ811の内部空間における上記第1の空間と第2の空間との間に介在する連通空間に設置されてもよい(図5(a))。また、第1の空間に設置された吸着材812Aを、吸着材812A1と吸着材812A2とに分割し、その間に間隙空間を形成して濃度センサ817を設置してもよい(図5(b))。
或いは、大気連通管813に更に他の吸着材812Dを設置し、吸着材812Cと吸着材812Dとの間に形成される間隙空間に濃度センサ817を設置してもよい(図5(c))。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う蒸発燃料処理装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明は、キャニスタ等、内燃機関から生成される蒸発燃料を処理する蒸発燃料処理装置に利用可能である。
10…ハイブリッド車両、100…ECU、200…エンジン、800…燃料供給システム、801…燃料タンク、811…キャニスタ、812a、812b、812c…吸着材、813…大気連通管、814…パージ用配管、815…パージコントロールバルブ、816…パーティション、817…HCセンサ、818…タンクポート、819…パージポート。

Claims (4)

  1. 内燃機関の燃料タンクに連通し、蒸発燃料を導入可能なタンクポートと、
    大気を導入可能な大気ポートと、
    前記内燃機関の吸気系に連通し、該吸気系にパージガスを供給可能なパージポートと、
    各々が前記蒸発燃料を吸着可能に構成されると共に、前記タンクポートから前記大気ポートを経由するガス流路に沿って、少なくとも一部が相互に間隙を隔てて設置される複数の吸着手段と
    を備えてなるキャニスタと、
    前記間隙における前記蒸発燃料の濃度を特定する特定手段と
    を具備することを特徴とする蒸発燃料処理装置。
  2. 前記特定手段は、前記ガス流路において最も下流側の前記間隙における前記蒸発燃料の濃度を特定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の蒸発燃料処理装置。
  3. 前記複数の吸着手段のうち一は、前記大気ポートの直上流側に設置されており、
    前記特定手段は、該直上流側に設置された吸着手段の上流側に形成された前記間隙における前記蒸発燃料の濃度を特定する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の蒸発燃料処理装置。
  4. 前記特定された濃度に基づいて、前記パージポートを経由して前記複数の吸着手段に吸着された蒸発燃料を含む前記パージガスを前記吸気系に供給する旨のパージ処理の実行要否を判別する判別手段と、
    前記パージ処理が必要である旨が判別された場合に、前記パージ処理が実行されるように前記内燃機関を制御する制御手段と
    を具備することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の蒸発燃料処理装置。
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