JP2010207820A - スラブの連続鋳造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 種々の鋳造幅の鋳片を軽圧下しつつ連続鋳造するに際し、複雑な二次冷却機構を有することなく、凝固末端付近における鋳片幅方向端部付近の鋳片温度を適切に維持し、鋳造した鋳片の中心偏析を低減することのできるスラブの連続鋳造方法を提供する。
【解決手段】 モールド直下からスラブの中心部固相率fsが0.7となる範囲までの二次冷却について、二次冷却水の衝突範囲をスラブ長辺面の全幅とし、かつ、鋳片の中心部固相率fsが少なくとも0.1以上0.7以下の範囲で、スラブ短辺面からの放射冷却を抑制するための保温機構を設け、鋳片の中心部固相率fsが少なくとも0.3以上0.7以下の範囲で軽圧下を行い、鋳片の中心部固相率fsが0.7であって鋳片の幅方向の端部から鋳片厚みの1/2分の距離における鋳片の厚み方向断面平均温度が800℃以上になるように制御することを特徴とするスラブの連続鋳造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、鋼スラブをはじめとするスラブの連続鋳造方法に関するものである。
鋼をはじめとする金属を連続鋳造するに際し、溶鋼中に含有する不純物が鋳片の中心部に偏析する中心偏析が発生する。こうした不純物の中心偏析は最終製品の均質性を著しく損ない、製品品質を低下させる原因となるので、中心偏析を低減することのできる連続鋳造方法が考案されている。
鋳片の中心偏析は、凝固末期に鋳片の凝固シェルが凝固収縮し、これに伴って凝固末期の残溶湯が流動して固液界面近傍の濃化溶鋼を洗い出し、残溶湯が累進的に濃化していくことによって生じる。従って、鋳片の中心偏析を防止するためには、残溶湯の流動原因を取り除くことが肝要であり、そのためにはロール間の鋳片バルジングを極力小さくするとともに、凝固シェルの凝固収縮量に相当する量だけ鋳片を圧下することが有効であることが知られている。例えば、特許文献1、2に、スラブ連続鋳造における鋳片の軽圧下方法が開示されている。
スラブの連続鋳造において、スラブの上下の長辺と左右の短辺から凝固が進行しており、凝固末期においては図2(e)に示すように長辺と短辺で形成される四周に凝固シェル10が形成され、厚み中心部付近に未凝固部9が残される。幅方向両端の短辺付近には厚み方向全厚にわたって凝固シェルが形成されているので、凝固末期において凝固収縮量に見合った量だけ鋳片を軽圧下して鋳片厚を薄くするためには、幅方向両端の短辺付近に形成された凝固シェルを圧下することが必要である。
連続鋳造中における鋳片の軽圧下は、短辺付近に形成された凝固シェルを圧下する際の圧下反力に打ち勝つ圧下力を付与することによって行われる。鋳片からの圧下反力は、圧下する鋳片部位における鋳片温度の影響を受ける。図9に示すように、鋳片温度が低くなるほど圧下反力が大きくなるので、鋳片温度が下がりすぎると鋳片の軽圧下が困難になる。
連続鋳造の鋳型直下から凝固が完了するまでの二次冷却帯において、スプレーノズルを用いて鋳片の長辺面に冷却水を噴射することにより、鋳片の冷却を行っている。鋳片の長短辺コーナー部は最も冷えやすいため、コーナー部を除く長辺面に比較すると温度が低下しやすい。そのため、連続鋳造中に鋳片を軽圧下するに際し、短辺付近に形成された凝固シェルの温度が低くなりすぎ、軽圧下が困難となることがあった。
スラブ連続鋳造においては、様々の幅を有する鋳片を鋳造する。二次冷却については、図2(c)に示すように、最も広い幅の鋳片についてその長辺全体に冷却水を行き渡らせるように二次冷却スプレーノズルを配置すると、狭い幅の鋳片を鋳造する際、図2(d)に示すように、長辺からはみ出た部分に配置されたスプレーノズルからの冷却水が鋳片の短辺を冷却することになるので、広幅の鋳片に比較するとより一層短辺付近の鋳片温度が低下することとなり、軽圧下がより困難となっていた。
二次冷却帯における二次冷却水量については、鋳造中の鋳片凝固シェルのバルジング量を所定範囲内に抑えるため、必要冷却水量が定まる。従って、鋳造中における凝固完了部付近での鋳片コーナー部の温度を上昇させようと意図して長辺面の二次冷却水量を低減したのでは、鋳造中のバルジング量が許容範囲を超え、内部割れ等の品質不良の原因となるので採用することができない。
鋳片の幅方向で、二次冷却水が散布される範囲を狭め、鋳片のコーナー付近には二次冷却水が当たらないようにすることが考えられる。幅方向の二次冷却水散布範囲を、最も広い幅の鋳片鋳造時に最適化するように定めることとすると、狭幅鋳片鋳造時には結局鋳片コーナー部が過冷却されることとなる。一方、狭幅鋳片鋳造時にもコーナー過冷却が起きないように二次冷却水衝突範囲を狭めることとすると、広幅鋳造時には長辺の端部を含め広い範囲に二次冷却水が衝突しないこととなり、幅端部付近の凝固が幅中央部に比較して遅れることとなる。その結果、凝固末端の位置が鋳片幅方向で不均一となり、凝固末端(クレーターエンド)を結んだ線の形状がW型を呈することとなる。これでは、たとえ軽圧下を行ったとしても最適な中心偏析低減を行うことができず、中心偏析が十分に改善されないこととなる。
種々の鋳片幅を鋳造する際にも鋳片のコーナー部過冷却を防止しつつ冷却する目的で、スプレーノズルを移動させて鋳片幅方向の冷却を連続的、無段階に調整する方法が開示されている。特許文献3に記載の方法は、スプレーノズルの位置を鋳片の幅に応じて上下方向に移動させるとともに、狭幅の鋳造では幅外側のスプレーノズルからの水噴射を中止し、各スプレーノズルの流量を調整する方法である。
また特許文献4に記載の方法は、冷却すべき鋳片の幅に応じて作動するスプレーノズルを選択し、かつ鋳片の幅方向内側でかつ同幅方向最も外側のスプレーノズルのうち少なくとも一方からは、気体を鋳片に吹き付ける連続鋳造の二次冷却方法が記載されている。鋳片の幅を外れるスプレーノズルからは冷却水噴射を行わないとともに、幅端部に近いスプレーノズルからは気体のみを吹き付けることにより、水が鋳片の端部や端面に流れ込むことがなく、流れ水の抜熱による鋳片端部の過冷却をおさえることができるとしている。
特許文献5には、連続鋳造機のシミュレーション装置として、ロールRi,Ri+1によって連続的に案内されて冷却水等を吹き付けられる鋳片の有限要素モデルMjから雰囲気への熱伝達率hwが、前回演算された有限要素モデルMj-1からの熱伝達率hwより求められた鋳片の表面温度と、上記冷却水等の吹き付け量に関する操業上の実測データである吹付量分布とに基づいて演算されることにより、鋳造中の鋳片の熱的挙動を精度良くシミュレーションすることができる方法が提供されている。
特開昭62−33048号公報 特開昭62−275556号公報 特開平7−195164号公報 特開平7−9100号公報 特開平4−231158号公報
従来の連続鋳造装置において、鋳造長さ方向一定範囲の二次冷却については単一の流量制御を行っており、鋳造幅方向の中央と端部付近で別々の流量制御を行うことはなされていない。また、ロールとロールの間に設置されるスプレーノズルは、スプレーノズルへの冷却水配管によって固定され、幅方向にスプレーノズルを移動する制御は行っていない。これに対し、鋳造幅の変更に伴い、スプレーノズルの位置を幅方向に移動し、あるいは特許文献3に記載のようにスプレーノズルを上下方向に移動し、さらには特許文献3、4に記載のように鋳造幅に応じて幅端部のスプレーノズルからの注水のみを停止する制御を行おうとすると、冷却水流量制御の系統数を増大する必要があり、またスプレーノズルを幅方向あるいは上下方向に移動する移動制御機構を新設する必要が生ずる。
しかしこのような複雑な機構の場合、設備改造費用が高額となり、またメンテナンスが大変であり、さらにメンテナンスを十分に実施しないと制御性能を維持できないが、実際の操業では十分なメンテナンスを行っていると稼働率が低下するため、十分なメンテナンスを必要とする設備を用いることは事実上困難である。従って、上記のような複雑な機構では、実質的に安定した制御が不可能となるという問題がある。
本発明では、種々の鋳造幅の鋳片を軽圧下しつつ連続鋳造するに際し、複雑な二次冷却機構を有することなく、凝固末端付近における鋳片幅方向端部付近の鋳片温度を適切に維持し、鋳造した鋳片の中心偏析を低減することのできるスラブの連続鋳造方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明の要旨とするところは以下のとおりである。
(1)モールド直下からスラブの中心部固相率fsが0.7となる範囲までの二次冷却について、その比水量を0.5〜2.0リットル/kgとするとともに、二次冷却水の衝突範囲をスラブ長辺面の全幅とし、かつ、鋳片の中心部固相率fsが少なくとも0.1以上0.7以下の範囲で、スラブ短辺面からの放射冷却を抑制するための保温機構を設け、鋳片の中心部固相率fsが少なくとも0.3以上0.7以下の範囲でロールによってスラブ長辺面を圧下する軽圧下を行い、鋳片の中心部固相率fsが0.7であって鋳片の幅方向の端部から鋳片厚みの1/2分の距離における鋳片の厚み方向断面平均温度が所定温度以上になるように制御することを特徴とするスラブの連続鋳造方法。
(2)前記所定温度が800℃であることを特徴とする上記(1)に記載のスラブの連続鋳造方法。
(3)保温機構はスラブ短辺面に対向し、スラブ短辺面に近接して配置する断熱板を有していることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のスラブの連続鋳造方法。
(4)保温機構は、スラブの幅に応じて前記断熱板の位置を変更するための断熱板位置変更装置を有していることを特徴とする上記(3)に記載のスラブの連続鋳造方法。
本発明は、モールド直下からスラブの中心部固相率fsが0.7となる範囲までの二次冷却について、二次冷却水の衝突範囲をスラブ長辺面の全幅としているので、スラブ幅の如何によらず、凝固末端を結んだ線がW型を呈することがない。かつ、鋳片の中心部固相率fsが少なくとも0.1以上0.7以下の範囲で、スラブ短辺面からの放射冷却を抑制するための保温機構を設けているので、凝固末端付近においてスラブのコーナーが過冷却することがない。その結果、鋳片の中心部固相率fsが0.7であって鋳片の幅方向の端部から鋳片厚みの1/2分の距離における鋳片の厚み方向断面平均温度が所定温度以上になるように制御することができるので、鋳片の中心部固相率fsが少なくとも0.3以上0.7以下の範囲でロールによってスラブ長辺面を圧下する軽圧下を行うに際し、軽圧下反力を低減して良好な軽圧下鋳造を行うことが可能となる。
本発明の保温機構を有するロールセグメントを示す図であり、(a)は側面図、(b)はA−A矢視断面図、(c)はB−B矢視断面図である。 二次冷却される鋳片の断面を示す概念図であり、(a)(b)は本発明の保温機構を有し、(c)(d)は保温機構を有しない場合であり、(e)は凝固末端付近の鋳片の断面を示す図である。 鋳片の保温機構を示す概念図であり、(a)は本発明、(b)(c)は比較例を示す。 二次冷却パターンを示す図である。 広幅材の鋳造中の鋳片の凝固末端部を示す図である。 広幅材の鋳片幅方向の中心偏析成績を示す図である。 狭幅材の鋳造中の鋳片の凝固末端部を示す図である。 狭幅材の鋳片幅方向の中心偏析成績を示す図である。 鋳片温度と圧下抵抗との関係を示す図である。
本発明において、二次冷却制御の制御範囲の決定、及びスラブ短辺面を冷却抑制するための保温機構の設置位置については、鋳片の中心部固相率fsを指標として行う。そこでまず、鋳片の中心部固相率fsの算出について説明する。ちなみに、軽圧下範囲を示す中心部固相率fsとは、鋳片幅中央かつ鋳片厚み中心位置の固相率を意味している。
鋳片の全幅をWとし、その鋳片の幅方向の任意の位置をyとし、鋳片の鋳造方向の任意の位置をxとし、鋳片の任意の点(x,y)における鋳片厚み方向の中心の固相率を中心固相率fs(x,y)と定義する。鋳片の任意の点(x,y)における鋳片厚み方向の中心固相率fs(x,y)を計算によって求める場合の求め方の例について説明する。
鋳片の鋳造方向に垂直な断面(横断面)(以下C断面と称す場合がある)において伝熱凝固計算を行う場合、計算の境界条件として、鋳型内は以下の公知の(1)式(例えば、特開2000−119726号公報に記載)により鋳型への抜熱量qを求めることができる。以下の(1)式において、xはメニスカスからの鋳造方向距離、Vcは鋳造速度、α、βは定数を示す。
q=α×(x/Vc)β (1)
次に、鋳型以降の伝熱凝固計算については、スプレーノズルから鋳片に吹き付ける冷却水による抜熱と、連続鋳造用ロールによる抜熱と、未冷却部の輻射による抜熱を熱伝達係数として与えることができる。ここで連続鋳造用ロールとは、鋳型以降に配設されているロールを意味している。
この係数の計算は、一例として特許文献5に開示されている技術を適用することができる。例えば、ロールRi,Ri+1により案内されて冷却水が吹き付けられる鋳片の有限要素モデルMjから雰囲気への熱伝達率hwが、先に演算された有限要素モデルMj-1からの熱伝達率hwより求められた鋳片の表面温度と、冷却水の吹き付け量に関する操業上の実測データである吹付量分布に基づいて演算することができる。鋳片は楕円形状の吹き付け領域に吹き付けられる実測データとしての冷却水と空気により冷却され、吹き付け領域における吹き付け量分布も実測データが用いられる。
ここで鋳片からロールRi、Ri+1へ、または鋳片の空冷部から雰囲気へ逃げる熱の熱伝達率hr、haは、冷却水の影響を受けず、雰囲気の温度に依存する。また、未凝固部の溶鋼または鋳片から鋳型への熱伝達率hmは鋳片の表面温度に依存せずほぼ一定である。一方、冷却水が吹き付けられる鋳片の水冷部から雰囲気へ逃げる熱の熱伝達率hwは水冷部に吹き付けられる冷却水及び空気の吹き付け量と水冷部の表面温度に依存する。
更に、水冷部の位置に相当する有限要素Eに係る熱伝達率hwは、以下の式により定義され、有限要素E毎の鋳片の表面温度T、スプレーノズルの吹き付け領域及び吹き付け量分布に含まれる有限要素E毎に求められた冷却水量W及び空気量Aを適用する。
hw=hw(T,W,A)=α×Tf×Wg×An (2)
ただし、前記の式において、α、f、g、nは各ノズルについて予め実験等により得られた係数であって、前記ノズル毎の吹き付け領域及び吹き付け量とともに、それぞれデータベース等に記録しておき、それを基に計算すればよい。
以上の計算により、任意の鋳造方向位置x、幅方向位置yにおける鋳片表面の境界条件を求めることができる。
次に、上記境界条件を用い、伝熱計算により任意の鋳造方向位置x、幅方向位置yにおける温度から「伝熱凝固計算」を行うことができ、C断面内の任意の位置の温度および鋳片の厚み中心の中心固相率fs(x,y)を求めることができる。
ここで中心固相率fs(x,y)とは厚み中心位置での固相率のことであり、当該溶鋼の液相線温度をTLL、固相線温度をTSLとした場合に、厚み中心の任意の位置(x,y)における温度Tm(x,y)での中心固相率fs(x,y)は、fs(x,y)=(TLL−Tm(x,y))/(TLL−TSL)で定義される。TLL、TSLの温度は平居の式を用いて求めることができる。また、予め所望の溶鋼成分に対応して実験的に求めることもできる。平居の式を用いたTLL、TSLの算出については、例えば、液相線温度TLL:鐵と鋼、日本鐡鋼協會々誌、Vol.55,No.3(19690227)S85、社団法人日本鉄鋼協会を参照して、固相線温度TSL:平居、金丸、森;学振19委,第5回凝固現象協議会資料,凝固46(1968年12月)を参照して、それぞれ算出することができる。
なお、伝熱凝固計算として特許文献5に開示されている技術の他に、「コンピュータ伝熱、凝固解析入門、大中著、丸善株式会社刊」に記載されているエンタルピー法、等価比熱法を適用しても行っても良い。
図1〜4に基づいて本発明の説明を行う。
本発明のスラブの連続鋳造方法を適用する連続鋳造装置において、図1に示すように、ロールセグメント1には鋳片5を挟むように上下のロール2が配置され、スプレーノズル3によって鋳片5の二次冷却を実施する。本発明の保温機構11において、鋳片5の短辺面7に対向するように断熱板12が配置される。断熱板12は、断熱板位置変更装置13に接続され、鋳造する鋳片の幅が変化しても、常に断熱板12が鋳片5の短辺面7に近接するように配置することができる。
本発明で採用する二次冷却については、スプレーノズルから水のみを噴射する水冷却としても良いが、好ましくは、スプレーノズルから水とともに空気を噴霧する気水噴霧冷却とすると好ましい。
本発明においてはまず、モールド直下22からスラブの中心部固相率fsが0.7となる範囲までの二次冷却について、図2(a)に示すように、二次冷却水4の衝突範囲をスラブ長辺面6の全幅とする。従来行われていたように、鋳片長辺面の幅端部付近に二次冷却水を衝突させないような冷却を採用せず、鋳片の長辺面6の全幅について二次冷却水4が衝突するようにスプレーノズル3を配置し、冷却水4を噴射する。これにより、スラブ幅の如何によらず、凝固末端を結んだ線がW型を呈することがなく、幅方向で均一な位置で凝固を完了させることができる。
本発明が対象とする連続鋳造機の最大鋳造幅が例えば2200mmの場合、二次冷却領域においてスプレーノズルから噴射する二次冷却水の噴射領域は当該2200mmの幅方向全範囲をカバーしている。そして、鋳造する鋳片が狭幅の例えば1400mmである場合においても、二次冷却水の噴射領域は最大鋳造幅の鋳造時と変わらず、2200mmの噴射領域を維持することとなる。
上記のように、二次冷却水の衝突範囲をスラブ長辺面の全幅とする範囲は、少なくともモールド直下22からスラブの中心部固相率fsが0.7となる範囲までとする。鋳造中に鋳片の軽圧下を行うに際し、中心部固相率fsが0.7を超える領域まで軽圧下を行おうとしても、鋳片が固くなりすぎ、軽圧下の効果が反映されない。そのため、軽圧下は中心部固相率fsが0.7以下の領域で行われる。従って、二次冷却水の衝突範囲をスラブ長辺面の全幅とする範囲を少なくとも中心部固相率fsが0.7となる範囲までとすることにより、軽圧下を行う際における鋳片幅方向の凝固均一性を十分に確保することができる。
本発明においてはさらに、モールド直下からスラブの中心部固相率fsが0.7となる範囲までの二次冷却について、その比水量を0.5〜2.0リットル/kgとする。通常のスラブ連続鋳造設備で鋳造する鋳造条件である鋳造速度0.3〜2.0m/min程度の速度範囲での比水量をカバーする範囲である。比水量が少なすぎると鋳片を安定して冷却する能力が不足して安定した鋳造ができなくなる恐れがあるが、比水量が0.5リットル/kg以上であれば冷却能力が足りる。一方、比水量が2.0リットル/kgを超える大流量としても、鋳片の冷却能力が向上する効果が飽和するので、上限を2.0リットル/kgとした。
本発明においてはさらに、鋳片の中心部固相率fsが少なくとも0.1以上0.7以下の範囲で、スラブ短辺面7からの放射冷却を抑制するための保温機構11を設ける。
本発明では前述のとおり、モールド直下からスラブの中心部固相率fsが0.7となる範囲までの二次冷却について、二次冷却水の衝突範囲をスラブ長辺面の全幅としている。従来の鋳造方法であれば、たとえ最大幅の鋳片を鋳造する際(図2(c))であっても、スラブ長辺面の全幅に二次冷却水を注水することにより、鋳片コーナー部8が過冷却となることを防止し得なかった。本発明においては、図2(a)に示すように、スラブ短辺面7からの放射冷却を抑制するための保温機構11を設けることにより、鋳片コーナー部8における過冷却を防止することができる。その結果、まずは最大幅の鋳片を鋳造する場合において、スラブ長辺面の全幅に二次冷却水を注水したとしても、鋳片コーナー部の鋳片温度を高温に保持することが可能となる。
従来、鋳造する鋳片幅が狭幅である場合には、図2(d)に示すように、長辺面6に冷却水を注水するためのスプレーノズル3のうち、鋳片の幅よりも外側に位置するスプレーノズルからの噴出水が鋳片の短辺面7に衝突し、鋳片のコーナー部8をさらに冷却する影響を及ぼしていた。本発明においては、鋳片の中心部固相率fsが少なくとも0.1以上0.7以下の範囲で、スラブ短辺面からの放射冷却を抑制するための保温機構を設けているので、図2(b)に示すように、保温機構11が鋳片5の幅外側に位置するスプレーノズルから短辺面7への注水を遮蔽する作用をする。そのため、本発明の二次冷却水については最広幅鋳片でスラブ長辺面の全幅に二次冷却水を衝突させる機能を有しつつ、何ら幅外側のスプレーノズルからの注水を停止することなく、狭幅鋳片の鋳造においても鋳片コーナー部8の過冷却を防止し、鋳片コーナー部8の鋳片温度を高温に保持することが可能となる。
上記本発明の保温機構11は、鋳片の中心部固相率fsが少なくとも0.1以上0.7以下の範囲に配置する。中心部固相率fsが0.1未満の範囲に保温機構11を設置してもかまわないが、この範囲は鋳片の温度が高いため、鋳片の幅方向の中央部と端部で大きな温度差が生じていないので、必ずしも保温は必要ない。即ち、中心部固相率fsが0.1以上の範囲に保温機構11を設置しさえすれば良い。ただし、鋳片の幅方向端部近傍の温度制御を容易にするために、軽圧下を開始する鋳造範囲より上流側に位置する少なくとも一台以上上流側のロールセグメントより鋳片の幅方向の端部近傍に放射冷却を抑制するための保温機構を付与することが好ましい。一方前述のとおり、軽圧下は中心部固相率fsが0.7以下の領域で行われる。従って、保温機構を設ける範囲を少なくとも中心部固相率fsが0.7となる範囲までとすることにより、軽圧下を行う際における鋳片コーナー部の温度を十分に確保することができる。なお、ロールセグメントのサイズ等の要因により、中心部固相率fsが0.7超となる範囲まで拡げても良い。
また本発明において、鋳片の中心部固相率fsが0.7であって鋳片の幅方向の端部から鋳片厚みの1/2分の距離における鋳片の厚み方向断面24の平均温度Tsが所定温度以上になるように制御することが必要である。鋳片の幅方向の端部から鋳片厚みの1/2分の距離における鋳片の厚み方向断面24の位置は図2(e)に示すとおりである。前述のとおり、軽圧下は中心部固相率fsが0.7以下の領域で行われる。従って、軽圧下が行われる最も下流側である中心部固相率fsが0.7の鋳片部位において、軽圧下に要する圧下力を十分に低減しておくことが必要であり、そのためには、当該部位において、鋳片の幅方向の端部から鋳片厚みの1/2分の距離における鋳片の厚み方向断面24の平均温度Tsが所定温度以上であることが必要である。鋳片の幅方向の端部から鋳片厚みの1/2分の距離における鋳片の厚み方向断面24の平均温度Tsが、軽圧下反力に最も影響を及ぼす鋳片温度だからである。
ここで、所定温度とは、連続鋳造設備に応じて設定されている軽圧下時の最大圧下力以下の圧下反力となる鋳片温度を意味している。この所定温度は、予め、鋳片の幅方向の端部から鋳片厚みの1/2分の距離における鋳片の厚み方向断面平均温度を、種々の温度になるように二次冷却条件を変更する鋳造試験を実施し、その際の鋳片の圧下反力を測定することで、決定可能である。
通常に用いられている連続鋳造の軽圧下装置を用いる場合、上記所定温度を800℃とし、断面平均温度Tsとして800℃以上とすることが好ましい。断面平均温度Tsが800℃以上であれば、例えば、鋳片厚み300mmの鋳片鋳造中にロール径330mmのロールを用いてロール当たり鋳片圧下しろ0.8mmの軽圧下を行うに際し、圧下力をロール当たり100トン以下に抑えることができ、通常用いられる軽圧下設備によって軽圧下が可能となる。なお、参考として、均一温度を有する鋳片をロール径330mmのロールを用いて0.5mm圧下する場合の鋳片温度と圧下抵抗の関係を図9に示す。
鋳片の幅方向の端部から鋳片厚みの1/2分の距離における鋳片の厚み方向断面24の平均温度Tsは、計算によって求めることができる。前記任意の鋳造方向位置x、幅方向位置yにおける鋳片の厚み中心の中心固相率fs(x,y)を求める伝熱計算において、任意のx、y位置において鋳片厚み方向の断面温度分布が算出されているので、この断面温度分布計算結果を用いて、鋳片の幅方向の端部から鋳片厚みの1/2分の距離における鋳片の厚み方向断面24の平均温度Tsを求めることができる。本発明の保温機構11を設けることによる鋳片抜熱への影響については、所望の鋳造位置の所望の鋳片断面の断面平均温度の温度上昇量は予め保温機構11を設置した場合としない場合とで鋳造試験を実施し、鋳片の表面温度を測定した結果と計算結果とを比較することで、熱伝達係数として事前に評価しておき、計算に反映させることで鋳片保温した所望の断面位置の断面温度の算出が可能となる。この温度情報に基づいて鋳片保温した際の中心部固相率fs、所定の領域の断面平均温度Tsを算出することが可能となる。
従って、鋳片の中心部固相率fsが0.7であって鋳片の幅方向の端部から鋳片厚みの1/2分の距離における鋳片の厚み方向断面24の平均温度Tsが所定温度以上になるように制御するに際しては、連続鋳造中において必要なタイミングで上記の鋳片伝熱計算を行い、その計算結果に基づいて上記温度Tsを算出し、当該Tsが所定温度以上となるように、制御を行えばよい。例えば、所定温度が800℃であり、本発明方法により鋳造する条件下で保温機構設置により変化する熱伝達係数の変化を加味して算出した断面平均温度Tsが好ましい温度範囲である800℃よりも低くなる場合には、比水量を0.5〜2.0リットル/kgの範囲内で各冷却ゾーン単位で減少させ、断面平均温度Tsが800℃以上となるように制御すればよい。
逆に断面平均温度Tsが所定温度(例えば800℃)以上となる場合には、図9に示すように、圧下抵抗がより小さくなることから、何ら支障なく、軽圧下設備における軽圧下を行うことができるため、断面平均温度の上限値は特に規定するものではない。但し、連続鋳造設備によっては断面平均温度が1200℃を超えると、短辺のバルジングが増大する場合もあるので、そのような場合は1200℃以下とすることが好ましい。また、より安定した圧下を行いつつ、バルジングをより防止できるためには、断面平均温度を900〜1100℃の範囲とすると、より好ましい。
例えば、断面平均温度が好ましい上限温度である1200℃を超えた場合、1200℃以下に低下させるには、本発明の保温機構11を制御することで対応でき、例えば断熱板12と鋳片短辺面7との間の距離を大きくし、短辺面保温の効果を小さくすることで制御することが可能となる。また、断熱板12と短辺面7との間の距離を変化させず、比水量を0.5〜2.0リットル/kgの範囲内で各冷却ゾーン単位で増加させ、冷却を強化しても良い。
本発明においては、鋳片の中心部固相率fsが少なくとも0.3以上0.7以下の範囲でロールによってスラブ長辺面を圧下する軽圧下を行う。軽圧下開始位置を中心部固相率fsが少なくとも0.3以上とすることにより、軽圧下効果を十分に発揮して鋳片の中心偏析を低減することが可能となる。一方、中心部固相率fsが0.7を超えた領域では鋳片が固くなりすぎ、軽圧下の効果が反映されないので、軽圧下は中心部固相率fsが0.7以下の領域で行う。
次に、図1〜3に基づいて本発明の連続鋳造方法で用いる保温機構11について詳細に説明する。
保温機構11は、スラブ短辺面7に対向し、スラブ短辺面7に近接して配置する断熱板12を有する。断熱板12はスラブ短辺面7から離間し、かつスラブ短辺面7と対向する。スラブ短辺面7と断熱板12との間の距離が短いほど断熱効果を向上することができる。両者間の距離を70mm以下、好ましくは50mm以下とすることにより、良好な断熱効果を発揮することができる。断熱板12を構成する断熱材として、放射伝熱を防止するためのものなので鋼板でも良いが、SiO2,Al23、MgO等の耐火物を主成分とする断熱材から選択される材料を用いると好ましい。
図3(b)に示すように、断熱板の形状をコの字型として、鋳片幅端部付近の長辺面の一部を断熱板で覆うようにする形態も考えられるが、本発明においては、断熱板の形状をコの字型としない方が好ましい。即ち、図3(a)に示すように、鋳片短辺面7に面する断熱板12の形状を平坦とする方が好ましい。断熱板の形状をコの字型として長辺面の一部を覆うようにすると、保温能力は上がるものの、図3(c)に示すように、鋳片下面と断熱板との間にスケール堆積14が発生する弊害が生まれる。スケールが堆積すると、特に短辺側の鋳片下面にスケール押し込みが発生し、スケールの押し込み疵となり、製品欠陥の原因となるからである。
本発明の保温機構11は、スラブの幅に応じて断熱板12の位置を変更するための断熱板位置変更装置13を有していると好ましい。鋳造する鋳片5の幅が変化するに応じて、断熱板位置変更装置13によって断熱板12の位置を変更し、断熱板12と鋳片短辺面7との間の距離を常に好適な範囲内におさめることができる。
ちなみに、鋳片の中心偏析品質については、鋳片試料を採取し、鋳造方向に垂直なC断面の全幅のエッチプリント(例えば、「鐵と鋼:日本鐵鋼協會々誌Vol.68,No4(19820305)S217」を参照)を採取し、厚み中心位置上下所定の範囲の偏析粒径を観察することで評価できる。また、鋼中の偏析成分の溶鋼の成分値を基準にして、EPMA(Electron Probe Micro-analyzer)等の測定装置を用いて、この値の1.3倍以上の高濃度部分をマッピングしてその厚みを評価しても良い。
モールド直下22から機端23までの機長が32mの垂直曲げ型スラブ連続鋳造装置を用い、本発明を適用した。鋳造する最大幅鋳片の幅は2200mmであり、二次冷却帯の冷却は気水噴霧冷却を採用している。
鋳造する品種は厚板用中炭材であり、鋳造する鋳片幅として、最大幅2200mm及び狭幅1800mmを用い、鋳造厚は300mm、鋳造速度は0.90m/minとした。鋳片の中心部固相率fsが0.1となるのはモールド直下から約23mの位置であり、fsが0.7となるのはモールド直下から約31mの位置である。
本発明の保温機構11として、図1、図2(a)(b)に示す構造を用いた。鋳片の中心部固相率fsが0.1以上0.7以下の範囲において、断熱板12によって鋳片短辺面7を保温している。断熱板12の材質はSiO2−Al23系耐火物であり、断熱板12と鋳片短辺面7の間の距離が50mmとなるように、断熱板位置変更装置13によって断熱板12の位置を調整した。
二次冷却領域パターンとして、図4(a)〜(c)に示す3パターンを用いた。図4(a)は、機長全体にわたって最大鋳造幅2200mmの全幅について二次冷却水を噴射するパターンであり、「全幅」と称する。図4(b)、図4(c)はそれぞれ「幅切り1」「幅切り2」と称する。
鋳片の中心部固相率fsが0.3以上0.7以下の範囲でロールによってスラブ長辺面を圧下する軽圧下を行った。軽圧下パターンは 鋳造中に未凝固鋳片を連続的に圧下し、その単位時間当たりの圧下量を鋳片の中心部固相率fsが0.3に相当する温度となる時点から中心部固相率fsが0.7に相当する温度になる時点までの領域では0.5mm/分ないし2mm/分とし、それ以降鋳片中心部が固相線温度となるまでの領域では圧下しないパターンとした。
鋳片の中心部固相率fsが0.7であって鋳片の幅方向の端部から鋳片厚みの1/2分の距離における鋳片の厚み方向断面24の平均温度Tsを、fs=0.7での鋳造位置の鋳片の幅方向の端部から鋳片厚みの1/2分の任意位置の温度を伝熱凝固計算により算出しその平均値として求めた。
鋳造した鋳片の中心偏析品質について、軽圧下が安定した定常部位の全幅の鋳片で10cm長さの鋳片試料を採取し、鋳造方向に垂直なC断面の全幅のエッチプリントを採取し、厚み中心位置上下20mmの範囲の偏析粒径を評価した。偏析粒径はエッチプリントで評価した偏析の厚みを評価し、最大偏析粒径(mm)、最大偏析粒の標準偏差(mm)を求めた。
鋳造パターン及び鋳造結果を表1に示す。
Figure 2010207820
No.1〜4は鋳造幅2200mm、No.5〜8は鋳造幅1800mmである。本発明の保温機構11を設けているのは本発明例No.4、8のみであり、それ以外の水準については保温機構を設けていない。二次冷却パターンとして、比較例No.1、5、本発明例4、8については「全幅」を採用し、比較例2、6は「幅切り1」、比較例3、7は「幅切り2」を採用した。
今回、用いた軽圧下設備の圧下能力から、鋳片のTsについての所定温度(軽圧下を可能にする下限温度)は800℃であった。
二次冷却パターンとして全幅を採用した比較例No.1、5について検討する。比較例No.1については、温度Tsが770℃と低く、適正な圧下量となるよう設定した所定のロール間隔に達することが出来ない状態であった。最大幅であっても、その全幅に二次冷却水を噴射しているため、鋳片コーナー部の温度低下を来している。比較例No.5は狭幅鋳片であり、温度Tsが760℃とさらに低く、比較例1と同様に適正な圧下量となるよう設定した所定のロール間隔に達することが出来ない状態であり、かつロール間隔の変動が大きな状態であった。二次冷却水が鋳片短辺面にも衝突するため、コーナー部の冷却がより一層過冷却となったためである。そのため、比較例No.1、5の鋳造結果は所定の軽圧下量に達することが出来なかったため良好な中心偏析状況は得られず、最大偏析粒径の標準偏差が大きく中心偏析のばらつきが更に増大した状態であった。
鋳造幅2200mmでの鋳造結果について、比較例No.2、3と本発明例No.4の対比を行う。
凝固終了部(クレーターエンド)の鋳造長さを鋳造条件に基いた凝固伝熱計算により中心部固相率fsを算出し、fs=0.7の位置をクレーターエンドとして定義して求め、鋳片幅方向の位置との関係を図5に示した。これから明らかなように、比較例No.2、3についてはW型の形状となっているのに対し、本発明例No.4は凝固終了長さが幅方向に均一に保たれていた。
表1に示すように、比較例No.2、3、本発明例No.4のいずれも、温度Tsは800℃以上であって軽圧下を行うことについて支障はなかった。一方、中心偏析成績については、本発明例No.4のみが良好な結果を得ることができた。鋳片の幅方向における中心偏析成績の分布状況を観察し、図6に示した。図6において、横軸の短辺からの距離指数は、左端の0がワークサイド側短辺位置、右端の1がドライブサイド側の短辺位置を示し、中央の0.5が幅中央を示す。縦軸の「度数」は、所定鋳造位置よりおよそ1m長さの鋳片試料を採取し、10cmピッチで全幅のC断面のエッチプリットを10枚採取し調査した際、鋳片全幅のエッチプリントの厚み中心位置上下20mmの範囲にて最大偏析粒径が存在する位置をプロットしたものである。図6に示すように、比較例No.2、3については幅方向短辺面に近い端部付近において「度数」が高くなっていた。本発明例No.4については、図5に示すようにクレーターエンド形状が幅方向に均一であり、これがため、図6に示すように良好な中心偏析成績を得ることができたものと推定される。
狭幅の鋳造幅1800mmでの鋳造結果について、比較例No.6、7と本発明例No.8の対比を行う。
狭幅の鋳造幅1800mmについても、上記鋳造幅2200mmの場合と同様にクレーターエンド位置を求め、鋳片幅方向の位置との関係を図7に示した。これから明らかなように、比較例No.6、7についてはW型の形状となっているのに対し、本発明例No.8は凝固終了長さが幅方向に均一に保たれていた。
表1に示すように、比較例No.6、7、本発明例No.8のいずれも、温度Tsは800℃以上であって軽圧下を行うことについて支障はなかった。一方、中心偏析成績については、本発明例No.8のみが良好な結果を得ることができた。上記図6と同じように、鋳片の幅方向における中心偏析成績の分布状況を観察し、図8に示した。比較例No.6、7については幅方向短辺面に近い端部付近において「度数」が高くなっていた。本発明例No.8については、良好な中心偏析成績を得ることができた。図7に示すように、二次冷却領域パターンとして「幅切り1」「幅切り2」を選択した比較例No.6、7についてはクレーターエンド形状がW形になっており、これに対して本発明例No.8についてはクレーターエンド形状が幅方向に均一であり、その結果、良好な中心偏析成績を得ることができたものと推定される。
1 ロールセグメント
2 ロール
3 スプレーノズル
4 冷却水
5 鋳片(スラブ)
6 長辺面
7 短辺面
8 コーナー
9 未凝固部
10 凝固完了部
11 保温機構
12 断熱板
13 断熱板位置変更装置
14 スケール堆積
21 二次冷却領域
22 モールド直下
23 機端
24 鋳片の幅方向の端部から鋳片厚みの1/2分の距離における鋳片の厚み方向断面

Claims (4)

  1. モールド直下からスラブの中心部固相率fsが0.7となる範囲までの二次冷却について、その比水量を0.5〜2.0リットル/kgとするとともに、二次冷却水の衝突範囲をスラブ長辺面の全幅とし、かつ、鋳片の中心部固相率fsが少なくとも0.1以上0.7以下の範囲で、スラブ短辺面からの放射冷却を抑制するための保温機構を設け、鋳片の中心部固相率fsが少なくとも0.3以上0.7以下の範囲でロールによってスラブ長辺面を圧下する軽圧下を行い、鋳片の中心部固相率fsが0.7であって鋳片の幅方向の端部から鋳片厚みの1/2分の距離における鋳片の厚み方向断面平均温度が所定温度以上になるように制御することを特徴とするスラブの連続鋳造方法。
  2. 前記所定温度が800℃であることを特徴とする請求項1に記載のスラブの連続鋳造方法。
  3. 前記保温機構はスラブ短辺面に対向し、スラブ短辺面に近接して配置する断熱板を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のスラブの連続鋳造方法。
  4. 前記保温機構は、スラブの幅に応じて前記断熱板の位置を変更するための断熱板位置変更装置を有していることを特徴とする請求項3に記載のスラブの連続鋳造方法。
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