JP2010192563A - 有機エレクトロルミネッセンス表示装置、及び、有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】有機EL層を適切にパターニングするためにバンクの表面にプラズマ処理を行う場合であっても、有機EL層が適切にパターニングされた有機EL表示装置を提供する。
【解決手段】基板1上に、第一電極2、導電層4、発光層5及び第二電極6を基板1側からこの順に積層して有し、かつ導電層4及び発光層6の周囲を取り囲むバンク3を有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置であって、X線光電子分光法で測定したときに、上記導電層4の表面のフッ素原子の濃度は、全元素量に対して6原子%以下である有機エレクトロルミネッセンス表示装置である。
【選択図】図1
【解決手段】基板1上に、第一電極2、導電層4、発光層5及び第二電極6を基板1側からこの順に積層して有し、かつ導電層4及び発光層6の周囲を取り囲むバンク3を有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置であって、X線光電子分光法で測定したときに、上記導電層4の表面のフッ素原子の濃度は、全元素量に対して6原子%以下である有機エレクトロルミネッセンス表示装置である。
【選択図】図1
Description
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス(EL:electroluminescence)表示装置、及び、有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法に関する。より詳しくは、インクジェット法等の湿式法により有機EL層が形成された有機EL表示装置及びその製造方法に関するものである。
有機EL表示装置は、コントラスト、視野角等の視認性及び応答性に優れ、低消費電力化、薄型軽量化、及び、ディスプレイ本体のフレキシブル化が可能であることから、次世代のフラットパネルディスプレイ(FPD:Flat Panel Display)として注目を集めている。現在は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)やプラズマディスプレイパネル(PDP:Plasma Display Panel)に比べ、技術の完成度や産業インフラの水準が未だ劣っているため、有機EL表示装置の実用化は、カーオーディオや一部のモバイル情報機器等への搭載に留まっているものの、理論的には最も優れたFPDであることから、今後の市場拡大が期待されている。
有機EL表示装置は、画素毎に自発光型の有機EL素子が配置された有機ELパネルを駆動させることにより画像表示を行う。有機ELパネルは、少なくとも一方が透光性を有する一対の電極と、該一対の電極間に配置された有機材料で構成される有機EL層とを有する。有機EL層としては、電圧が印加されることで光を放出する発光層、発光層の発光効率を上げるために設けられる正孔注入層等が挙げられる。
有機EL層の材料としては、低分子有機EL材料と高分子有機EL材料とが挙げられる。低分子有機EL材料を用いる場合には、真空下で蒸着により成膜する方法が一般的に用いられるが、成膜ムラが生じやすいために、大型化が困難である。一方、高分子有機EL材料を用いる場合には、インクジェット法、ノズルコート法、印刷法等の湿式法が一般的に用いられる。なかでも、近年、インクジェット法により基板上に赤、緑及び青の色層を形成する方法が広く用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1に記載の方法では、高分子有機EL材料を用いて以下のようにして有機EL層を形成している。まず、基板上に画素の仕切り部材として、有機材料からなるバンクを形成する。バンクの形成にはリソグラフィー法、印刷法等が用いられる。続いて、フッ素化合物等を含むガスを用いて、バンクの表面をプラズマ処理する。プラズマ処理を行うことでバンクの表面が撥液化するので、これにより、バンクで仕切られた領域内にインクジェット法等を用いて液体材料を吐出したとしても、液体材料がバンクを乗り越えにくくなり、有機EL層のパターニングの精度が向上する。
しかしながら、プラズマ処理を行ってバンクの表面を撥液化する処理を行う手法を用いた場合、プロセスの条件によっては、バンクの開口部内に形成される有機EL層が適切にパターニングされないことがあった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、有機EL層を適切にパターニングするためにバンクの表面にプラズマ処理を行う場合であっても、有機EL層が適切にパターニングされた有機EL表示装置、及び、適切に有機EL層をパターニングすることが可能な有機EL表示装置の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者は、有機EL層をバンク内にパターニングする際に、適切なパターニングがなされない原因について種々検討したところ、有機EL層の表面組成、及び、有機EL層の製造条件に着目した。本明細書において有機EL層とは、一定電圧の印加により光を放出する発光層、発光層に対してスムーズに正孔(ホール)又は電子を注入するために形成される正孔注入層、電子注入層等のバッファ層(導電層)、発光層に対して余分な電子が注入することを防ぐために形成される中間層等をいう。
そして、例えば、画素内の有機EL層が適切にパターニングされるよう、まず、画素に対応する開口部を有するバンクを設け、続いてパターニングの精度を上げるためにバンクの表面に対しフッ素含有ガスを用いたプラズマ処理を行い、更に、バンクの開口部に有機EL層を塗布した後、乾燥工程等の一定条件の処理を行うと、その条件によっては、バンクの表面のフッ素が有機EL層の表面に移動し、有機EL層の表面が撥液化されてしまうことを見いだした。この場合、上記有機EL層上に更に別の材料からなる有機EL層の塗液を塗布したとしても、当該別の材料からなる有機EL層の塗液がはじかれてしまい、適切にパターニングされにくくなる。
また、本発明者は鋭意検討を行った結果、バンク内に一旦下層となる有機EL層を形成した後、次の有機EL層の形成工程に入る前に、有機EL層の表面に対し一定条件のリンス工程を行うことにより、有機EL層の表面のフッ素の含有量を低減させることができることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明は、基板上に、第一電極、導電層、発光層及び第二電極を基板側からこの順に積層して有し、かつ導電層及び発光層の周囲を取り囲むバンクを有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置であって、上記導電層の表面のフッ素原子の濃度は、X線光電子分光法で測定したときに、全元素量に対して6原子%以下である有機エレクトロルミネッセンス表示装置である。
また、本発明は、基板上に、第一電極、導電層、発光層及び第二電極を基板側からこの順に積層して有し、かつ導電層及び発光層の周囲を取り囲むバンクを有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法であって、上記製造方法は、第一電極の導電層側の表面を親液処理する工程と、フッ素含有ガスを用いたプラズマ処理により、バンクの表面を撥液処理する工程と、第一電極上に導電層を塗布する工程と、導電層の表面とバンクの表面とを、120℃以上の有機溶媒に浸漬処理する工程と、導電層上に発光層を塗布する工程とをこの順に有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法である。
本発明の有機EL表示装置、及び、本発明の有機EL表示装置の製造方法によって作製される有機EL表示装置は、基板上に、第一電極、導電層、発光層及び第二電極を基板側からこの順に積層して有し、かつ導電層及び発光層の周囲を取り囲むバンクを有する。上記第一電極及び上記第二電極は、一方が陽極となり、かつ他方が陰極となる。本発明の有機EL表示装置がボトムエミッション型である場合には、上記基板及び第一電極に透光性の材料が用いられ、トップエミッション型である場合には、上記第二電極に透光性の材料が用いられる。第一電極又は第二電極を通じて導電層、発光層等の各有機EL層に電流が流れることによって、発光層が光を放出し、画像表示が行われる。導電層は、発光層と比較して常温(25℃)での導電率が高いものであれば特に限定されず、一般には、バッファ層、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層等と呼ばれることもある。導電層は、第一電極又は第二電極から受け取った正孔(ホール)又は電子を円滑に発光層に注入する機能や、基板面の凹凸を平坦化する機能を有する。発光層は、陽極から注入されたホールと陰極から注入された電子との再結合により発光を行う。
本発明の有機EL表示装置においては、上記導電層の表面のフッ素原子の濃度は、X線光電子分光法で測定したときに、全元素量に対して6原子%以下である。X線光電子分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)は、Al、Mg等の特性X線をプローブとして試料に照射し、光電効果によって発生する光電子の運動エネルギーを測定することによって、試料表面の元素の定量分析(原子%,atomic%)、及び、その化学的結合状態を分析する方法である。
導電層の表面のフッ素原子の濃度が、XPSで測定したときに全元素量に対して6原子%以下となっている場合には、有機材料である発光層の塗液を導電膜の表面に塗布したときに均一な層が得られやすい。これにより、例えば、発光層に穴ぬけが生じ、発光層上に形成される第二電極と導電層とが直接つながることによって発生するリーク不良の可能性を低減することができる。
本発明の有機EL表示装置の構成としては、このような構成要素を必須として形成されるものである限り、その他の構成要素により特に限定されるものではない。
上記第一電極の表面は、親液処理されており、上記バンクの表面は、フッ素含有ガスを用いたプラズマ処理により、撥液処理されていることが好ましい。導電層の下層に位置する第一電極が親液性を有していることで、導電層の材料となる塗液は第一電極上になじみやすく、均一な層構成が得られることになる。また、バンクの表面が撥液性を有していることで、バンクの表面に導電層の材料となる塗液を残りにくくさせることができる。したがって、これらの処理を行うことで、導電層が適切にパターニングされやすくなる。
本発明の有機EL表示装置の製造方法は、第一電極の表面を親液処理する工程と、フッ素含有ガスを用いたプラズマ処理により、バンクの表面を撥液処理する工程と、第一電極上に導電層を形成する工程と、導電層の表面とバンクの表面とを、120℃以上の有機溶媒に浸漬処理する工程と、導電層上に発光層を形成する工程とをこの順に有する。上述の本発明の好ましい形態で説明したように、第一電極の表面を親液処理し、バンクの表面を撥液処理することで、導電層が適切にパターニングされやすくなる。また、上記撥液処理としてプラズマ処理を用いることで、容易にバンクの表面を撥液処理することができる。
本発明の有機EL表示装置の製造方法においては、導電層を形成する工程と、発光層を形成する工程との間に、導電膜の表面とバンクの表面とに対し、撥液性を低減させる処理がなされる。このとき、120℃以上の有機溶媒を用いることで、撥液性を充分に低減させることができるが、比較的低温(例えば、常温(25℃))の有機溶媒を用いた場合、充分な撥液性が得られない。
本発明の製造方法によれば、導電層の表面の撥液性が低減されるので、有機材料である発光層の塗液を導電膜の表面に塗布したときに均一な層が得られやすい。また、本発明の製造方法によれば、上述の、導電層の表面のフッ素原子の濃度が、XPSで測定したときに全元素量に対して6原子%以下である本発明の有機EL表示装置を容易に作製することができる。
本発明の有機EL表示装置の製造方法の工程としては、このような製造工程を必須として形成されるものである限り、その他の製造工程により特に限定されるものではない。
上記有機溶媒は、芳香族系溶媒であることが好ましい。芳香族系溶媒を浸漬処理の溶媒として用いることで、導電層の材料として好適な、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルフォン酸との混合体(PEDOT/PSS)を用いたときであっても、導電層を溶解させることなく、導電層の表面を撥液化することができる。
上記有機溶媒は、炭化水素系溶媒であることが好ましい。炭化水素系溶媒を浸漬処理の溶媒として用いることで、導電層の材料として好適な、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルフォン酸との混合体(PEDOT/PSS)を用いたときであっても、導電層を溶解させることなく、導電層の表面を撥液化することができる。
本発明によれば、有機EL層を適切にパターニングするためにバンクの表面にプラズマ処理を行う場合であっても、有機EL層が適切にパターニングされた有機EL表示装置を得ることができる。
以下に実施形態を掲げ、本発明について図面を参照して更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態のみに限定されるものではない。
実施形態1
図1は、実施形態1の有機EL表示装置の断面模式図である。実施形態1の有機EL表示装置は、図1に示すように、基板1上に、陽極2、バッファ層4、発光層5及び陰極6を基板1側からこの順に積層して有する。また、基板1及び陽極2上に、バッファ層4及び発光層5の周囲を取り囲むようにしてバンク3が設けられている。バッファ層4は、いわゆる正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層等が該当し、これらは単層構造であっても積層構造であってもよい。
図1は、実施形態1の有機EL表示装置の断面模式図である。実施形態1の有機EL表示装置は、図1に示すように、基板1上に、陽極2、バッファ層4、発光層5及び陰極6を基板1側からこの順に積層して有する。また、基板1及び陽極2上に、バッファ層4及び発光層5の周囲を取り囲むようにしてバンク3が設けられている。バッファ層4は、いわゆる正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層等が該当し、これらは単層構造であっても積層構造であってもよい。
図2は、実施形態1の有機EL表示装置の平面模式図である。図2に示すように、バンク3には円形の開口部が設けられており、開口部内には発光層5が形成されている。また、図2に示すように、開口部は、縦方向及び横方向にそれぞれ行及び列をなして複数設けられている。実施形態1において開口部の形状は円形に限定されず、楕円形、小判形、矩形等であってもよい。開口部の直径は、例えば、100μmとすることができる。
以下に、実施形態1の有機EL表示装置の製造方法について詳述する。
基板1は、例えば、ガラスや石英等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチック、アルミナ等のセラミックスからなる絶縁性の基板を用いることができる。基板1上には、有機EL表示の駆動制御を行うための配線や薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)等のスイッチング素子が形成されていてもよい。
陽極2を、画素ごとに複数形成する。陽極2の材料としては、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)等の透明性を有する金属酸化物を用いることができる。陽極2は、蒸着法、EB(Electron Beam Deposition:電子ビーム蒸着)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy:分子線エピタキシー)法、スパッタ法、スピンコート法、印刷法、インクジェット法等を用いて形成することができる。
バンク3は、バッファ層4及び発光層5を画素ごとに区切る仕切りの役割を果たすものであり、例えば、ポリイミド等の有機材料からなる絶縁性材料を用いることができる。バンク3の形成は、フォトリソグラフィー法、印刷法等によって行うことができる。フォトリソグラフィー法を用いる場合、まず、スピンコート法等によってバンク3の材料を基板1及び陽極2上に塗布し、その上にレジスト層を塗布する。続いて、バンク3の形状に合わせてマスクを作製し、レジストを露光及び現像してバンク3の形状に合わせたレジストを残す。そして最後にエッチングを行い、レジスト下以外のバンク3の材料を除去する。こうして、部分的に開口部を有するバンク3を形成することができる。
バンク3の開口部内にバッファ層4及び発光層5が形成される。バッファ層4及び発光層5を塗布する方法としては、例えば、インクジェット法、スピンコート法、ノズルコート法、スリットコート法、ダイコート法等の湿布法、オフセット印刷、凹版印刷等の印刷法、レーザー転写法等の湿式塗布法が挙げられる。バッファ層4及び発光層5を形成するにあたっては、塗布工程の前にインクジェット法を用いる場合、吐出液が均一に濡れ広がるように、陽極2の表面に親液性を、バンク3の表面には撥液性を付与する。陽極2表面に親液性を付与する親液処理や、バンク3の表面に撥液性を付与する撥液処理は、それぞれの表面に対してプラズマ処理を行うことによって容易に付与され、そうすることで陽極材料及びバンク材料の選択の幅が広がる。
親液処理及び撥液処理の具体的な方法としては、酸素プラズマで処理した後、酸素とCF4混合プラズマで処理することにより、陽極2の表面に対して親液性を、バンク3の表面に対して撥液性をそれぞれ付与する方法が挙げられる。
バッファ層(正孔注入/輸送層)4は、発光層5にホール、電子等のキャリアを注入する機能と、陽極2の表面荒れを吸収する機能とをもつ。バッファ層4の材料としては、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルフォン酸との混合体(PEDOT/PSS)(スタルクヴィテック社製、商品名:Baytron P CH8000)を用いることができ、塗布等の手段により常圧下で製膜することができる。具体的には、以下の材料組成を有する塗液をインクジェット法で塗布したのち、常温で真空乾燥して、膜厚60nmのバッファ層4を形成する。
<バッファ層4材料組成>
Baytron P CH8000 1重量部
水 3重量部
エタノール 4重量部
エチレングリコール 2重量部
Baytron P CH8000 1重量部
水 3重量部
エタノール 4重量部
エチレングリコール 2重量部
続いて、バッファ層4を含む基板全体を120℃以上の有機溶媒に数分間浸漬するリンス工程を行う。ここでは、バッファ層4を溶解しない有機溶媒を使用する必要がある。バッファ層としてPEDOT/PSSを用いる場合、リンス工程に用いる有機溶媒としては、例えば、トルエン、アニソール、キシレン、テトラリン等の芳香族系溶媒、デカリン等の炭化水素系溶媒が挙げられる。
そして、バッファ層4を含む基板全体を有機溶媒から取り出し、風乾させた後、200℃の条件下で10分間の焼成を行う。これらの処理がなされた後のバッファ層4の表面のフッ素原子の濃度は、全元素量に対して6原子%以下となっている。もし上記リンス工程を行わない、又は、120℃未満のテトラリンを用いてリンス工程を行う場合、バッファ層4の表面のフッ素含有量が充分に低減されず、バッファ層4上に更に、他の成分で構成されるバッファ層、発光層5等を形成する場合に、塗液がはじかれてしまい、適切なパターニングを行うことが難しくなる。
発光層5は、高分子の有機EL発光材料で形成されており、キャリアの再結合により発光する。発光層5は、真空下で蒸着で製膜する方法、常圧下で塗布や印刷で製膜する方法等を用いて形成することができる。後者の、常圧下で塗布や印刷で製膜する方法を用いる場合、インクジェットによりパターニングする方法が好適である。発光層5の材料としては、例えば、以下のような化学式(1)で表されるポリフルオレン化合物を用いることができる。
上記式(1)で示す化合物は、アルキル鎖(R、R ’)を有するフルオレン環と、少なくとも1以上のユニット(A、A ’)との共重合化合物である。l、mは1以上の整数であり、nは0又は1以上の整数である。A、A ’のユニットとしては、ジメチルベンゼン、ピリジン、ベンゼン、アントラセン、スピロビフルオレン、カルバゾールユニット、ベンゾアミン、ビピリジン、ベンゾチアジアゾール等を用いることができる。化学式(1)で表されるポリフルオレン化合物の分子量は数十万であることが好ましく、発光する色は、共重合されるユニット、及び、l、m、nの比率によって異なる。
発光層5の材料組成は、以下に示すとおりである。下記の材料組成を有する塗液をインクジェット法で塗布したのち、窒素雰囲気下で200℃で60分焼成して膜厚80nmの発光層を形成する。
<発光層5の材料組成>
緑色発光高分子発光材料(化合物1) 1重量部
キシレン 60重量部
テトラリン 60重量部
緑色発光高分子発光材料(化合物1) 1重量部
キシレン 60重量部
テトラリン 60重量部
陰極6は、発光層5及びバンク3上に形成される電極であり、仕事関数が低い材料により形成された低仕事関数層と、比較的に化学的耐久性の強い金属層との積層(例えば、Ca/Al、Ce/Al、Cs/Al、Ba/Al等)により構成されている。陰極6は、蒸着法、EB法、MBE法、スパッタ法、スピンコート法、印刷法、インクジェット法等を用いて形成することができる。
そして最後に、窒素等の不活性ガス雰囲気下でガラスキャップ等で封止して、有機ELディスプレイが完成する。
実施形態1においては、一対の電極のうち、基板1により近い第一電極として透光性を有する材料が用いられ、基板1からより遠い第二電極として遮光性を有する材料が用いられたボトムエミッション型の有機EL表示装置について説明したが、本発明においては、これらがそれぞれ逆に配置された、すなわち、第一電極として遮光性を有する材料が用いられ、第二電極として透光性を有する材料が用いられたトップエミッション型の有機EL表示装置としてもよい。
評価試験
本発明の有機EL表示装置の製造方法を用いて実際に実施例1〜3、及び、比較例1〜3の有機EL表示装置を作製し、各有機EL表示装置について評価試験を行った。
本発明の有機EL表示装置の製造方法を用いて実際に実施例1〜3、及び、比較例1〜3の有機EL表示装置を作製し、各有機EL表示装置について評価試験を行った。
実施例1では、バッファ層の表面のフッ素含有量を低減するためのリンス工程として、バッファ層を含む基板全体を150℃に加熱したテトラリンに5分間浸漬した。そして、バッファ層の表面のフッ素含有量をXPS(日本電子社製、商品名:JPS9200)で測定したところ、全元素量に対して3原子%であった。また、これらの処理を行った後に、バッファ層上に発光層の塗液をインクジェット法で吐出したところ、バッファ層上に発光層の塗液を画素内で均一に広げることができた。更に、実施例1の有機EL表示装置を用いて実際に点灯試験を行ったところ、画素内が均一に発光した。
実施例2では、バッファ層の表面のフッ素含有量を低減するためのリンス工程として、バッファ層を含む基板全体を120℃に加熱したテトラリンに5分間浸漬した。その結果、バッファ層の表面のフッ素含有量をXPS(日本電子社製、商品名:JPS9200)で測定したところ、全元素量に対して6原子%であった。また、これらの処理を行った後に、バッファ層上に発光層の塗液をインクジェット法で吐出したところ、バッファ層上に発光層の塗液を画素内で均一に広げることができた。更に、実施例2の有機EL表示装置を用いて実際に点灯試験を行ったところ、画素内が均一に発光した。
実施例3では、バッファ層の表面のフッ素含有量を低減するためのリンス工程として、バッファ層を含む基板全体を150℃に加熱したデカリンに5分間浸漬した。その結果、バッファ層の表面のフッ素含有量をXPS(日本電子社製、商品名:JPS9200)で測定したところ、全元素量に対して2原子%であった。また、これらの処理を行った後に、バッファ層上に発光層の塗液をインクジェット法で吐出したところ、バッファ層上に発光層の塗液を画素内で均一に広げることができた。更に、実施例3の有機EL表示装置を用いて実際に点灯試験を行ったところ、画素内が均一に発光した。
比較例1では、バッファ層の表面のフッ素含有量を低減するためのリンス工程として、バッファ層を含む基板全体を100℃に加熱したテトラリンに5分間浸漬した。その結果、バッファ層の表面のフッ素含有量をXPS(日本電子社製、商品名:JPS9200)で測定したところ、全元素量に対して10原子%であった。また、これらの処理を行った後に、バッファ層上に発光層の塗液をインクジェット法で吐出したところ、一部バッファ層の表面が露出した部位が生じた。更に、比較例1の有機EL表示装置を用いて実際に点灯試験を行ったところ、画素内が点灯しなかった。これは、画素内の一部に、比較的抵抗の低いバッファ層と、陰極とが接触する部分が生じ、リーク電流を生じさせてしまったためと考えられる。
比較例2では、バッファ層の表面のフッ素含有量を低減するためのリンス工程として、バッファ層を含む基板全体を25℃に加熱したテトラリンに5分間浸漬した。その結果、バッファ層の表面のフッ素含有量をXPS(日本電子社製、商品名:JPS9200)で測定したところ、全元素量に対して14原子%であった。また、これらの処理を行った後に、バッファ層上に発光層の塗液をインクジェット法で吐出したところ、一部バッファ層の表面が露出した部位が生じた。更に、比較例2の有機EL表示装置を用いて実際に点灯試験を行ったところ、画素内が点灯しなかった。これは、画素内の一部に、比較的抵抗の低いバッファ層と、陰極とが接触する部分が生じ、リーク電流を生じさせてしまったためと考えられる。
比較例3では、バッファ層の表面のフッ素含有量を低減するためのリンス工程を行わなかった。その結果、バッファ層の表面のフッ素含有量をXPS(日本電子社製、商品名:JPS9200)で測定したところ、全元素量に対して15原子%であった。また、これらの処理を行った後に、バッファ層上に発光層の塗液をインクジェット法で吐出したところ、一部バッファ層の表面が露出した部位が生じた。更に、比較例3の有機EL表示装置を用いて実際に点灯試験を行ったところ、画素内が点灯しなかった。これは、画素内の一部に、比較的抵抗の低いバッファ層と、陰極とが接触する部分が生じ、リーク電流を生じさせてしまったためと考えられる。
1:基板
2:陽極(第一電極)
3:バンク
4:バッファ層(導電層)
5:発光層
6:陰極(第二電極)
2:陽極(第一電極)
3:バンク
4:バッファ層(導電層)
5:発光層
6:陰極(第二電極)
Claims (5)
- 基板上に、第一電極、導電層、発光層及び第二電極を基板側からこの順に積層して有し、かつ導電層及び発光層の周囲を取り囲むバンクを有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置であって、
該導電層の表面のフッ素原子の濃度は、X線光電子分光法で測定したときに、全元素量に対して6原子%以下である
ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。 - 前記第一電極の表面は、親液処理されており、
前記バンクの表面は、フッ素含有ガスを用いたプラズマ処理により、撥液処理されている
ことを特徴とする請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。 - 基板上に、第一電極、導電層、発光層及び第二電極を基板側からこの順に積層して有し、かつ導電層及び発光層の周囲を取り囲むバンクを有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法であって、
該製造方法は、第一電極の導電層側の表面を親液処理する工程と、
フッ素含有ガスを用いたプラズマ処理により、バンクの表面を撥液処理する工程と、
第一電極上に導電層を塗布する工程と、
導電層の表面とバンクの表面とを、120℃以上の有機溶媒に浸漬処理する工程と、
導電層上に発光層を塗布する工程とをこの順に有する
ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法。 - 前記有機溶媒は、芳香族系溶媒であることを特徴とする請求項3記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法。
- 前記有機溶媒は、炭化水素系溶媒であることを特徴とする請求項3記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012212828A (ja) * | 2011-03-31 | 2012-11-01 | Japan Aviation Electronics Industry Ltd | 電極酸化防止有機デバイスおよびその製造方法 |
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- 2009-02-17 JP JP2009033630A patent/JP2010192563A/ja active Pending
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