JP2010189752A - 磁気特性が極めて優れた方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】良好な磁束密度が得られる製造条件領域の範囲を広げて、コイル部位での磁性・グラス被膜の変動を減じた完全固溶窒化型の製造方法を提供する。
【解決手段】C:0.025〜0.09%、Si:2.5〜4.0%、酸可溶性Al:0.022〜0.033%、N:0.003〜0.006%、SとSeをS当量=S+0.405Seとして0.010〜0.020%、Mn:0.03〜0.09%、Ti≦0.005%を含有するスラブを、1280℃を超えるインヒビター物質の固溶温度以上で再加熱し、熱間圧延鋼帯に含有されるNのうちAlNとしての析出率を20%以下とし、脱炭焼鈍後の一次再結晶粒の円相当の平均粒径を7μm以上〜18μm未満、窒化処理で全窒素含有量を0.011〜0.023%とする方向性電磁鋼板の製造において、一次再結晶焼鈍後の板厚中心層の析出物の円相当平均直径を50nm以上200nm以下とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、主にトランス等の鉄芯として使用される方向性電磁鋼板を製造する方法に関するものであり、特に、AlNを二次再結晶の主なインヒビターとする高温スラブ加熱を用いた方向性電磁鋼板の製造方法において、従来、磁気特性が劣化するため不可であった窒化を有効に活用し、極めて磁気特性が優れた方向性電磁鋼板を得る製造方法に関する。
方向性電磁鋼板おいて主要な磁気特性は、鉄損、磁束密度及び磁歪である。鉄損は磁束密度が高い(Goss方位集積度が先鋭だ)と磁区制御技術(特許文献1、特許文献2、特許文献3等)により改善される。磁歪もまた、磁束密度が高いと小さく(良好に)なる。更に、磁束密度が高いと変圧器の励磁電流を小さくできるのでサイズが小さく出来る。
すなわち、方向性電磁鋼板を製造する上で最も基本な注目すべき磁気特性は磁束密度であり、磁束密度が従来より高位である方向性電磁鋼板を安定的に製造する方法の開発が求められている。
ところで、方向性電磁鋼板分野ではインヒビターは粒成長抑制剤と言われ、粒界移動を抑制する機能があり、方向性電磁鋼板の製造においては特定方位粒を選択成長せしめるためにインヒビターの存在は不可欠である。現行の工業生産では、AlNを主なインヒビターとする製造方法がGoss方位集積度を最も高いくできることは論を待たない。
AlNを二次再結晶の主なインヒビターとする方向性電磁鋼板の製造方法は、冶金学的には熱間圧延でのスラブ加熱の考え方とインヒビターの補強のための後工程窒化の有無により、表1に示されるように分類される。
即ち、(a)完全固溶非窒化型、(b)充分析出窒化型、(c)完全固溶窒化型、(d)不完全固溶窒化型である。
これらの方法のうち、(a)及び(b)は既に工業生産されているが、(c)は本発明が対象とする方法で試験中であり、(d)はスラブ又は熱間圧延鋼帯でのインヒビター形態の均一性を確保するのが非常に困難で工業生産化できていない。
発明者らはインヒビターには二種類あると考える。先天的インヒビターと後天的インヒビターである。
先天的インヒビターは溶製段階で含有せしめられたインヒビター元素で構成され、熱間圧延、その後の熱処理でその機能が形成され、板厚方向・幅方向で均一に分布している。機能としては、一次再結晶(脱炭焼鈍)組織および二次再結晶に寄与する。
一方、後天的インヒビターは、後工程で導入されるインヒビターで、窒化による場合はAlNである。これは、一次再結晶後に導入されるので二次再結晶のみに寄与する。ストリップ走行状態での窒化の場合は表面から窒化されるので、板厚表面に濃化しており、導入直後では板厚方向に均一ではない。これを、二次再結晶焼鈍時に拡散せしめて均一にする。
また、機能で分類すると、一次再結晶に寄与するインヒビターを一次インヒビターといい、二次再結晶に寄与するインヒビターを二次インヒビターという。
先天的インヒビターは一次・二次インヒビターの役割を有し、後天的インヒビターは二次インヒビターの役割を有する。なお、熱間圧延後一次再結晶焼鈍前に後天的インヒビターを導入することがもし可能ならば、後天的インヒビターが一次インヒビターの役割を持つことも原理的にはありうる。
Al含有方向性電磁鋼板におけるインヒビターは、上記分類に従うと次のように考えられる。
(a)完全固溶非窒化型では、先天的インヒビターが、一次・二次インヒビターの機能を有する。(b)充分析出窒化型では、先天的インヒビターにおける二次インヒビター効果は少なく、後天的インヒビターである窒化窒素により形成されるAlNが二次インヒビター効果を大きく有する。本願発明が対象とする(c)完全固溶窒化型では、後天的インヒビターである窒化窒素により形成されるAlNが二次インヒビターとして大きく寄与する。しかも、先天的インヒビターである一次インヒビターが、二次インヒビターとしても大きく寄与する。
表1の(a)完全固溶非窒化型では、溶製時の含有窒素が0.008%程度の場合は、脱炭焼鈍から二次再結晶開始までに窒化するとGoss集積度(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3)が低下することは広く知られている。また、溶製時窒素が少ないと二次再結晶不良が生じることもよく知られている。
これに対し、(c)完全固溶窒化型は、中程度温度のスラブ加熱でインヒビター物質を完全固溶させる場合について、溶製時のインヒビター元素の含有量を限定し,先天的インヒビターの二次インヒビターとして不足する分を窒化で補償させるものである。
即ち、溶製時の窒素が少ない場合は、後工程で窒化することでインヒビターが脱炭焼鈍前の熱処理で微細に析出した先天的インヒビターと窒化により形成された後天的インヒビターとからなり、インヒビターの種類も考慮すると多段インヒビター状態となり、二次再結晶焼鈍(仕上げ焼鈍)時に板厚方向の表層で先鋭なGoss核が発生し、これが極めて優先的に二次再結晶する。
言い換えると、インヒビターとしては、AlN以外のインヒビターMnS、MnSe、Cu−S、Cu−Se等については、従来の方法(完全固溶非窒化型)より少なめに含有せしめ、後工程窒化の(b)充分析出窒化型より少量窒化し、インヒビター機能を多段とすることである。
しかし、この場合、先鋭なるGoss方位二次再結晶粒({110}<001>)を得る為には、非常に狭い窒化窒素範囲が要求される。即ち、窒化後窒素が0.0150%以下であると二次再結晶は良好であるもののGoss方位からのズレが著しく大きい。また、その値が、0.022%を超えると、またGoss方位からずれる。
(c)完全固溶窒化型の場合、このように、窒化窒素に対して磁気特性が良好な範囲が狭い。これは、実生産においてハンディキャツプになり、更に、このため、温度、雰囲気がコイル位置で不均一である二次再結晶焼鈍(箱型焼鈍)での変動をまともに受けるので、長手・幅方向での磁性とフォルステライトを主成分とするグラス皮膜形成が安定しない。
即ち、磁気特性は良好であるものの、非常に狭い範囲に各工程の条件(例えば、温度、時間、窒化窒素範囲等)を制御することが求められるので実生産では品質が安定しない。このため、生産性を上げるために二次再結晶焼鈍時のコイル単重を上げる大単重化に困難がある。
(c)完全固溶窒化型の場合、狭い範囲の工程条件を解決し、二次再結晶を高位安定的に生じせしめるためには、先天的インヒビターが、二次インヒビターとしての適切な機能を発揮させるための条件を見出すことが必要と考えられる。
従来、電磁鋼板の析出物については、以下に示すように色々と報告されている。
無方向性電磁鋼板の分野では析出物のサイズを規定した発明がある。例えば、特許文献11ある。この場合は二次再結晶のインヒビターとして機能するものではなく、粒界の移動を容易くさせるためのものであり、方向性電磁鋼板のインヒビターの機能とは逆方向である。
方向性電磁鋼板におけるインヒビターの微細析出の必要性については、従来から指摘されているが、その定量的な検討は十分とはいえないものである。
例えば、特許文献12では、{110}面強度と析出物状態を示すパラメータで規定しているが、窒化工程は付与されておらず、本発明が対象とする製造方法とは異なる。
特許文献13では、硫化銅粒子についてその平均直径を100nm未満、望ましくは50nmと規定しているが、本発明が対象とするAlNを含む方向性電磁鋼板ではなく、また、窒化工程も付与されていない。
特許文献14では、フォルステライトを主体とする下地被膜を有しない曲げ加工性が優れた方向性電磁鋼板について、最終製品に残存する窒化析出物の95%以上が直径1μm以下と規定しているが、本発明が対象とするフォルステライト被膜を有する方向性電磁鋼板に関するものではなく、かつ、二次再結晶直前の製造途中段階での析出物の状態については規定していない。
特許文献15では、析出物サイズの提示はあるものの、微細化が望ましいと書かれておるだけで具的な望ましいサイズは規定されておらず、また窒化工程も付与されていない。
その他、方向性電磁鋼板の析出物の微細化についての発明は、例えば、特許文献16、特許文献17等に示されるように、多々出願されているものの、具体的なサイズが規定されたものはない。
特開昭55−018566号公報 特開昭59−197520号公報 特開昭61−117218号公報 特公昭40−015644号公報 特開昭58−023414号公報 米国2599340 米国5244511 特開平05−112817号公報 特開2001−152250号公報 特開2000−199015号公報 特開2002−256752号公報 特開平05−171370号公報 特開平06−322443号公報 特開2003−049250号公報 特開平11−133714号公報 特願昭38−018337号公報 特開平09−227941号公報 特開平07−252532号公報 特開平07−005976号公報 特公平06−051887号公報
ISIJ,Vol.43 (2003),No.3,pp.400-409 Acta Metall.,42(1994),2593 川崎製鉄技法Vol.29(1997)3,129-135) Materials Science Forum Vol.204-206,Part2:pp:631 Y.Inokuchi and F. Saito:Jpn.Inst.Met.,55(1991), No.11,1167
表1の(c)の方法では、極めて磁気特性が優れた方向性電磁鋼板の製造が可能になったものの、窒化範囲が狭く、工業生産では製造工程条件の極めて狭い範囲が要求されていた。また、二次再結晶後のコイル全長での磁性・グラス被膜形成の変動が大きいことも問題であった。
図1は、後工程の窒化による窒化後窒素と磁気特性(磁束密度:B8(T))の関係を示すものであり、窒化後窒素の量によって領域I、II、IIIに別けられる。
この領域I、II、IIIの範囲全てで、二次再結晶は良好であり、各領域での二次再結晶集合組織は、領域Iでは、{110}<4 4 11>、領域IIでは、良好なGoss方位({110}<001>)、領域IIIでは、{110}<229>である。
しかし、良好な磁束密度が得られる領域は領域IIであり、前述のようにその範囲が狭いことが問題である。本発明の課題は、この領域IIの範囲を広げて、コイル部位での磁性・グラス被膜の変動を減じることである。
発明者らは、検討を重ねた結果、インヒビターの様相について以下の推論を得た。
(c)完全固溶窒化型の製造方法では、多段ニ次インヒビターモードを実現するために、窒化が必須である。また、完全固溶型なので一次再結晶粒径は、充分析出窒化型より小さいために、粒界移動の駆動力は大きくなり、二次再結晶開始温度は低くなる。
このように弱い粒成長抑制の結果、窒化窒素が板厚全体に拡散してしまうまでに二次再結晶が板厚中心層付近で開始する。
一般にGoss方位の優れた方向性電磁鋼板が得られるときは、二次再結晶発生位置は板厚の1/5位置での核発生が必要と言われている(例えば、非特許文献5参照)。ところが、板厚中心層は、Goss方位から大きく外れた{110}<4 4 11>方位が二次再結晶し易い集合組織環境にある。
このように板厚中心層から核発生するのは、板厚中心層のインヒビターの耐熱性が弱いためと推定される。即ち、二次再結晶焼鈍の昇温時においてインヒビター(粒成長抑制剤である析出物)の耐熱性が小さく、窒化窒素が拡散するまでに消滅してその効果が無くなり、粒界移動を抑制できないためと考えられる。
このため、窒化窒素が板厚中心層に拡散するまでに二次再結晶が開始しないようにする必要がある。
すなわち、インヒビターは大きく別けて、先天的インヒビターである(1)のMnS,Cu−S、MnSe系微細析出物及び(2)のAlN系微細析出物と、後天的インヒビターである(3)の後工程窒化による粗大なAlN、の3種類からなる。
これらの耐熱性が異なるので、二次再結晶焼鈍中でインヒビターとして機能する時期が夫々異なり、選択成長が逐次生じると考えられる。
本発明者らは検討の結果、主に(2)のAlN系微細析出の形態を制御すると耐熱性が向上し、インヒビター効果が安定するので、(1)と(2)のインヒビターのバランスが良くなり製造条件が広範囲であっても最終製品の特性が安定することを見出した。
図2にその概念図を示す。上記(1)〜(3)のインヒビターは、その熱力学的性質およびサイズにより熱的安定性は(1)→(3)の順に小さくなる。このため、従来は(2)が(2)‘に位置していた。これが、AlNの適切な形態制御により本来の(2)の位置となり温度に対してほぼフラットの状態になると推定される。
本発明は、AlNを二次再結晶の主なインヒビターとする完全固溶窒化型(c)で、特に高くないスラブ加熱温度を適用する方向性電磁鋼板の製造方法において、一次再結晶焼鈍後板厚中心層の先天的インヒビター形態を規定して、耐熱性を向上させることにより磁気特性の安定化を目指すものである。
そのような本発明は、以下の事項からなるものである。
(1)質量%で、C:0.025〜0.09%、Si:2.5〜4.0%、酸可溶性Al:0.022〜0.033%、N:0.003〜0.006%、SとSeをS当量Seq=S+0.405Seとして0.010〜0.020%、Mn:0.03〜0.09%、Ti≦0.005%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなるスラブを、1280℃を超えるインヒビター物質の固溶温度以上で再加熱し、熱間圧延を施して熱間圧延鋼帯とし、この熱間圧延鋼帯に含有されるNのうちAlNとしての析出率を20%以下とし、この熱間圧延鋼帯を焼鈍しもしくは焼鈍せず、引き続き1回もしくは中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を行って最終板厚の冷間圧延鋼帯とする際、最終冷間圧延前に1回以上の熱処理を施し、最終冷間圧延の圧延率を83%〜92%とし、脱炭焼鈍後の一次再結晶粒の円相当の平均粒径(直径)を7μm以上〜18μm未満とし、ストリップ走行状態下で水素、窒素及びアンモニアの混合ガス中の窒化処理で全窒素含有量を0.011〜0.023%として、その後MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布して最終仕上げ焼鈍を施す方向性電磁鋼板の製造において、脱炭焼鈍後の板厚中心層の析出物の円相当平均直径を50nm以上200nm以下とする磁束密度が極めて優れた方向性電磁鋼板の製造方法。
(2)前記スラブが、更に、質量%で、Cuを0.05〜0.30%含む(1)に記載の磁束密度が極めて優れた方向性電磁鋼板の製造方法。
(3)前記スラブが、更に、質量%で、Sn、Sb、Pの少なくとも1種を0.02〜0.30%含有することを特徴とする(1)または(2)に記載の磁束密度が極めて優れた方向性電磁鋼板およびその製造方法。
(4)前記スラブが、更に、質量%で、Crを0.02〜0.30%含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかの項に記載の磁束密度が極めて優れた方向性電磁鋼板の製造方法。
(5)最終冷間圧延の少なくとも1パスにおいて、鋼帯を100〜300℃の温度範囲に1分以上保つことを特徴とする(1)〜(4)のいずれかの項に記載の磁気特性が極めて優れた方向性電磁鋼板の製造方法。
(6)脱炭焼鈍における昇温開始から650℃までの加熱速度を100℃/秒以上とすることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかの項に記載の磁気特性が極めて優れた方向性電磁鋼板の製造方法。
(7)(1)〜(6)のいずれかの項に記載の製造方法で得られ、圧延方向の磁束密度B8(800A/mでの磁束密度)が1.92T以上であることを特徴とする方向性電磁鋼板。
本発明においては、従来の方向性電磁鋼板製造の課題である、(a)完全固溶非窒化型の方向性電磁鋼板の熱間圧延時の超高温スラブ加熱を脱却し、(b)充分析出窒化型での一次再結晶焼鈍温度を変更することなく、広範囲の窒化窒素範囲で磁気特性をグラス皮膜の極めて優れた方向性電磁鋼板が製造可能になる。
従来の窒化後窒素量と磁束密度の関係の一例を示す図である。 インヒビター(1)〜(3)による多段二次インヒビターモードを説明するための概念図である。 熱延板焼鈍条件に対する窒化後窒素量と磁束密度の関係を示す図である。 SEMによる析出物の形態の観察例を示す図である。
まず、本発明におけるスラブの成分範囲の限定理由について述べる。
Cは、0.025%より少ないと一次再結晶集合組織が適切でなくなり、0.09%を超えると脱炭が困難になり工業生産に適していない。
Siは、2.5%より少ないと良好な鉄損が得られず、4.0%を超えると冷延が極めて困難となり工業生産に適していない。
Mnは、0.03%より少ない熱延鋼帯では割れが発生しやすく、歩留まりが低下し二次再結晶が安定しない。一方、0.09%を超えるとMnS、MnSeが多くなり、固溶の程度が場所により不均一となり実工業生産では安定生産に問題が生じる。
SおよびSeは、Mn、Cuと結合して微細に析出し先天的インヒビターを形成し、AlNの析出核としても有用である。S当量(Seq=S+0.405Se)は0.010%以上0.020%以下である。S当量が0.010%より少ないと、先天的インヒビターの絶対量が不足して二次再結晶が不安定なる。また0.020%を超えると多段的二次インヒビターのバランスが崩れ先鋭なGoss方位二次再結晶集合組織は得られない。
酸可溶性AlはNと結合してAlNを形成し、主に一次・二次インヒビターとして機能する。このAlNは、窒化前に形成されるものと窒化後高温焼鈍時に形成されるものがあり、この両方のAlNの量確保のために0.022〜0.033%必要である。この上限を外れると二次再結晶不良が生じる。また、下限を外れるとGoss方位集積度が著しく劣化する。
上述の如く本発明では微細に析出した硫化物、セレン化物とAlNが一次・二次インヒビターの役割を果たしているので、スラブに含まれるAlNも一次再結晶粒を制御するために非常に重要なものであり、Nが0.003%未満では多段インヒビターの(2)段階の絶対量が不足し二次再結晶不良が生じる。0.006%を超えた場合は、多段二次インヒビターモードが形成されず前述の様にGoss方位集積度は低下する。
Tiについて、0.005%を超えて含有すると、NはTiNとなって実質低N含有鋼となり、インヒビター強度が確保されず二次再結晶不良が生じる。
Cuは、スラブを1280℃以上で加熱し急速に熱間圧延を完了してもその冷却中に早期にSやSeとともに微細な析出物を形成し、一次・二次インヒビター効果を発揮する。また、この析出物はAlNの分散をより均一にする析出核ともなり二次インヒビターの役割も演じ、この効果が二次再結晶を良好ならしめる。0.05%より少ないと上記効果が減じ工業生産の安定性が劣ることがあり、0.30%を超えると上記効果が飽和するとともに、熱延時に「カッパーヘゲ」なる表面疵の原因になる。
また、Sn、Sb、Pは一次再結晶集合組織の改善に有効である。これらの元素の含有量が0.02%より少ないと改善効果が少なく、また、前記範囲を超えると安定したフォルステライト皮膜(一次皮膜、グラス皮膜)形成が困難となる。さらに、Sn,Sb、Pは粒界偏析元素であり二次再結晶を安定化ならしめる効果があることは周知である。
Crはフォルステライト皮膜(一次皮膜、グラス皮膜)形成に有効であるので0.02〜0.30%含むことが望まれる。0.03%未満では酸素が確保されにくく、0.30%を超えると皮膜が形成されない。
その他、Ni、Mo,Cdについては、添加することを妨げない。また電気炉溶製の場合は必然的に混入するものでもある。Niは一次、二次インヒビターとしての析出物の均一分散に著しい効果があるので、Niを添加すると磁気特性は更に良好且つ安定する。0.02%より少ないと効果が無く、0.3%を超えると、脱炭焼鈍後の酸素の富化し難くくになりフォルステライト皮膜形成が困難になる。Mo、Cdは硫化物もしくはセレン化物を形成しインヒビターの強化に資する。0.008%未満では効果が無く、0.3%を超えると析出物が粗大化してインヒビターの機能を得られず、磁気特性が安定しない。
次に、本発明におけるその他条件の限定理由について述べる。
脱炭焼鈍完了後の一次再結晶粒の平均粒径は、例えば、特許文献18では、一次再結晶粒の平均粒径を18〜35μmとしているが、本発明では、一次再結晶粒の平均粒径を7μm以上18μm未満とする必要がある。このことは磁気特性(特に鉄損)を良好ならしめる本発明の非常に重要な点である。
即ち、一次再結晶粒径が小さいと、粒成長の観点からも、一次再結晶の段階で二次再結晶の核となるGoss方位粒の体積分率が多くなる(非特許文献4)。また、更に粒径が小さいため、Goss核の数も相対的に多くなる。結果としてGoss核の絶対数は、一次再結晶粒の平均半径が18〜35μmの場合より本発明の場合の方が約5倍程度多くなるので、二次再結晶粒径もまた相対的に小さくなり、この結果著しい鉄損の向上となる。
また、(b)充分析出窒化型と比べて一次再結晶粒の平均粒径が小さく窒化量が少なくないことは、二次再結晶の駆動力が大きくなり、二次再結晶が低温度で開始するので、最終仕上げ燒鈍の昇温段階の早い時期に(より低温で)二次再結晶が開始する。これに、多段ニ次インヒビターモードの形成とマッチングさせる。このことは、最終仕上げ燒鈍がコイル状で行われている現状では最高温度までのコイル各点での温度履歴がより均一となるので(コイル各点での昇温速度が一定になる)、コイル部位の不均一性が著しく減少して磁気特性が極めて安定する。
既述であるが本発明は、(c)完全固溶窒化型であり、脱炭焼鈍後二次再結晶開始前に鋼板に窒化処理を施すことは本発明では必須である。その方法は、高温焼鈍時の焼鈍分離剤に窒化物(CrN,MnN等)を混合させる方法と、一次再結晶・脱炭焼鈍後にストリップを走行させた状態下でアンモニアを含んだ雰囲気で窒化させる方法がある。どちらの方法を採用しても良いが、後者の方が工業生産で現実的であり本発明では後者に限定する。
窒化量は酸可溶性Alと結合するNを確保することであり、少ないと二次再結晶が不安定となり、多いと地鉄が露出した一次皮膜(グラス皮膜)欠陥が多発し、Goss方位集積度が極めて劣化する。本発明により、高磁束密度を得るためには、窒化後の総窒素含有量は0.011%〜0.023%に広がった。また、二次再結晶開始温度が低いため、等量両面窒化が望まれる。
一次再結晶焼鈍後板厚中心層の析出物の円相当平均直径を50nm以上200nm以下とする。下限値未満は従来の場合であり、窒化工程での窒化窒素量範囲を狭くする必要があり、上限を超えると二次インヒビターの耐熱性が大きくなりすぎGoss方位集積度が低下する。小さい矩形の析出物はAlNを主成分としており、大きいのは、丸形で非AlNのMn系である。この範囲のある程度大きな析出物を得るためには、最終冷間圧延前の焼鈍において、比較的高い温度で長い時間保持することが必要である。例えば、1130℃以上で120秒以上の焼鈍が必要である。その後、500℃まで20℃/秒以上の冷速で冷却することが望ましい。この様に高く長い焼鈍で矩形のAlN系析出物は大きく成長する。
スラブを得るための鋳造は、従来の連続鋳造でよい。さらにスラブ加熱をたやすくするために分塊法を適用することは構わない。この場合、炭素含有量を減じることができることは周知である。具体的には、公知の連続鋳造法により初期の厚みが150mmから300mmの範囲、好ましくは200mmから250mmの範囲のスラブを製造する。
この代わりに、近年、通常の連続熱間圧延を補完するものとして、厚み30mm〜100mmの薄スラブ鋳造、直接鋼帯を得る鋼帯鋳造(ストリップキャスター)が実用化されているが、本発明に関して、適用は妨げない。しかし、実際問題として、これらでは凝固時に所謂“中心偏析”が見られ完全な均一固溶状態を得ることは極めて困難である。完全な均一固溶状態を得るためには熱延鋼帯を得る前に一度固溶化熱処理が強く望まれる。
熱延に先立つスラブ加熱温度の条件は本発明の重要な点である。スラブ加熱温度は1280℃以上でインヒビター物質を固溶させることが必須である。1280℃未満では、スラブ(又は熱延鋼帯)でのインヒビター物質の析出状態が不均一となり最終製品で所謂スキッドマークが発生する。上限は、特に限定されないが実際的には1420℃程度である。この完全固溶処理は、温度を1420℃と言う超高温まで上げずに行うことが近年の誘導加熱等設備技術の発達で可能になった(特許文献19)。もちろん、工業生産上で熱延の加熱方法には通常のガス加熱方法に加え、誘導加熱、直接通電加熱を用いてもよいし、これらの特別な加熱方法のための形状を確保するために、ブレイクダウンを鋳込みスラブに施しても何ら問題ない。また、加熱温度が高い1300℃以上になる場合は、このブレイクダウンにより集合組織の改善を施しC量を減じてもよい。これらは従来の公知技術の範囲である。
熱延鋼帯でのAlNの析出率が20%を超えると、鋼帯内の二次再結晶性が変動し、工業生産に適しない。即ち、先天的インヒビターの固溶状態が不均一となり、スキッドマークが発生する。20%を超える場合は、スラブ加熱を含んで熱間圧延が適切に行われなかったことを意味する。
最終冷間圧延前の焼鈍は、主に熱延時に生じた鋼帯内の組織の均一化及びインヒビターの微細分散析出のために行われる。熱延鋼帯での焼鈍でも良いし、最終冷間圧延前の焼鈍でも良い。すなわち、最終冷間圧延前に熱延での履歴の均一化を行うために1回以上の連続焼鈍を行うことが必須である。この場合の最高温度は、インヒビターに大きな影響を与え、この効果は重要である。比較的に低い場合は、前記析出物の平均直径が50nm以下となる。また高すぎると200nmを超える。焼鈍後の冷却は、微細なインヒビターを確保し焼き入れハード相(主にベーナイト相)を確保するために15℃/秒以上であることが望ましい。
冷間圧延における最終冷延率は83%未満であると{110}<001>集合組織がブロードになり高磁束密度が得られず、92%を超えると{110}<001>集合組織が極端に少なくなり二次再結晶が不安定になる。
最終冷間圧延は常温で実施してもよいが、少なくとも1パスを100〜300℃の温度範囲に1分以上保つと一次再結晶集合組織が改善され磁気特性が極めて良好になる。これは、公知である。保定時間は1分以上であれば良いのだが、実際の冷間圧延は、リバースミルで行われるので、ある温度の保定時間は、一般的には10分以上となる。長くなることは本発明では妨げないし、むしろ良好な磁気特性を得る方策でもある。
脱炭燒鈍における室温から650〜850℃までの加熱速度を100℃/sec以上とすると、一次再結晶集合組織が改善され磁気特性が良好になるので適用を妨げない。加熱速度を確保するためには種々な方法が考えられる。即ち、抵抗加熱、誘導加熱、直接エネルギー付与加熱等がある。加熱速度を早くすると一次再結晶集合組織においてGoss方位が多くなり二次再結晶粒径が小さくなることは特許文献20で公知である。特許文献20では、加熱速度を140℃/sec以上としているが、本発明では、前記加熱速度が100℃/secでも効果があり、望ましくは150℃/sec以上である。
<実施例1>
C=0.068%、Si=3.35%、酸可溶性Al=0.0260%、N=0.0046%、Mn=0.045%、S=0.014%、Sn=0.08%,Cu=0.09%、Ti=0.0020であり、残部がFeと不可避的不純物である溶鋼を通常の方法で鋳込み、スラブ加熱温度1310℃で完全にインヒビター物質を固溶させ、熱間圧延後急冷して2.3mm厚の熱間圧延鋼帯を得た。AlNの析出割合は10%以下であった。その後、この熱間圧延鋼帯を
(1)1080℃で180秒間焼鈍後100℃熱湯に冷却した。
(2)1140℃で180秒間焼鈍後100℃熱湯に冷却した。
(3)1120℃で10秒間焼鈍後900℃に120秒間保定して100℃熱湯に冷却した。
酸洗後、250℃の5回の時効処理を含むリバース冷間圧延機で0.285mmに圧延して冷間圧延鋼帯を得た。その後、脱脂して850℃で150秒間の一次再結晶・脱炭焼鈍をN2=25%、H2=75%、Dp=72℃で、の湿雰囲気で施し、引き続いて、一次再結晶・脱炭焼鈍の後半焼鈍を温度875℃で15秒の間、N2=25%、H2=75%、Dp=30℃の雰囲気で施した。その後、窒化後窒素が大凡0.0100〜0.0260%となるようにストリップ走行中でアンモニア雰囲気中で窒化し、鋼板表面にMgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布した。
引き続いて、二次再結晶焼鈍において、800℃まで15℃/時間でする昇温を、(4)H2%=75%,N2%=25%,Dp=10℃と、(5)H2%=50%,N2%=50%,Dp=40℃の各条件(BAF条件)で行い、その後、1200℃までH2%=75%,N2%=25%,Dryで15℃/時間で昇温し、最後に1200℃で20時間のH2=100%で純化処理を行い冷却した。その後、通常用いられる絶縁張力コーティング塗布と平坦化処理を行った。
上記(4)、(5)の二次再結晶焼鈍条件(BAF条件)ごとに、上記(1)から(3)の熱延鋼帯焼鈍条件を用いた鋼板から得られた窒化後窒素と磁束密度(B8)の関係を、図3a及びbに示す。
(2)が、本発明例であり広範囲の窒化後窒素に対して良好なB8(T)が得られている。また、二次再結晶焼鈍条件(BAF条件)が異なっても磁気特性に大きな差異は無くまた被膜形成も良好であった。
更に、図4に、一次再結晶焼鈍後の板厚中心層の析出物のSEMによる析出物の形態の観察例を示すが、上記(1)から(3)の熱延鋼帯焼鈍条件を用いた鋼板から観察された析出物の円相当平均直径は、それぞれ(1)29.7nm、(2)62.8nm、(3)32.8nmであった。
<実施例2>
通常の方法で溶製した、表2に示す溶鋼成分からなるスラブを、1230〜1350℃の範囲で再加熱した後、特にAlNの析出を極力抑えるため、出来るだけ高温度で熱延を完了させ、急速に冷却せしめた。こうして厚み2.3mmの熱延鋼帯を得た。続いて熱延鋼帯の連続焼鈍を表2に示す条件で行い、20℃/秒で冷却した。その後、3回の200℃〜250℃の温間で圧延し、厚みを0.285mmとした。
その後、850℃で150秒間、H2とN2の混合雰囲気で、露点70℃で脱炭と一次再結晶を兼ねる焼鈍を施し、引き続き、鋼帯を走行せしめながら0.010〜0.025%になるように含アンモニア雰囲気内で窒化させた。その後、MgOを主成分とする焼鈍分離剤の塗布後、二次再結晶焼鈍を施した。その二次再結晶焼鈍は、N2 =25%、H2 =75%、Dp=10℃の雰囲気で10〜20℃/時間で1200℃まで昇温することにより行った。その後、1200℃の温度で20時間以上、H2 =100%で純化処理を行った。その後、通常用いられる絶縁張力コーティングの塗布と平坦化処理を行った。磁気特性は、窒化後窒素量範囲の広くなることにより評価するために0.0135〜0.0150%での磁気特性で評価した。結果を表2に示すが、本発明例では、B8≧1.92Tの良好な結果が得られた。
<実施例3>
通常の方法で溶製した、表3に示す溶鋼成分からなるスラブを、1230〜1350℃の範囲で再加熱した後、特にAlNの析出を極力抑えるため、出来るだけ高温度で熱延を完了させ、急速に冷却せしめた。こうして厚み2.2mmの熱延鋼帯を得た。続いて熱延鋼帯の連続焼鈍を表2に示す条件で行い、20℃/秒で冷却した。その後、3回の200℃〜250℃の温間で圧延し、厚みを0.220mmとした。
その後、850℃で110秒間、H2とN2の混合雰囲気で、露点68℃で脱炭と一次再結晶を兼ねる焼鈍を施し、引き続き、鋼帯を走行せしめながら0.010〜0.025%になるように含アンモニア雰囲気内で窒化させた。その後、MgOを主成分とする焼鈍分離剤の塗布後、二次再結晶焼鈍を施した。その二次再結晶焼鈍は、N2 =25%、H2 =75%、Dp=10℃の雰囲気で10〜20℃/時間で1200℃まで昇温することにより行った。その後、1200℃の温度で20時間以上、H2 =100%で純化処理を行った。その後、通常用いられる絶縁張力コーティングの塗布と平坦化処理を行った。磁気特性は、窒化後窒素の広くなることにより評価するために0.0135〜0.0150質量%での磁気特性で評価した。結果を表3に示すが、本発明例では、B8≧1.92Tの良好な結果が得られた。
<実施例4>
表4に示した成分の溶鋼通常の連続鋳造で250mmのスラブを製造し、1300℃〜1350℃の温度でスラブ再加熱した。そして通常の連続熱間圧延機で高温度で熱間圧延して仕上げ熱間圧延後急冷し、2.3mmの熱間圧延鋼帯を得た。その後、最終冷間圧延前の熱処理おいて温度を1130℃〜1150℃とし、時間を120秒〜135秒焼鈍し、その後900℃〜550℃間の平均冷却速度を25℃〜40℃で冷却した。
その後、3回の200℃〜250℃の温間で圧延し、厚みを9mil(0.220mm)、12mil(0.285mm)、14mil(0.335mm)の3種類の鋼板とした。
その後、9mil材は、850℃×110秒、12mil、14mil材は850℃×150秒の、H2とN2の混合雰囲気で、露点68℃で脱炭と一次再結晶を兼ねる焼鈍を施し、引き続き、鋼帯を走行せしめながら0.014〜0.019%になるように含アンモニア雰囲気内で窒化させた。その後、MgOを主成分とする焼鈍分離剤の塗布後、二次再結晶焼鈍を施した。その二次再結晶焼鈍は、N2 =25%、H2 =75%、Dp=10℃の雰囲気で10〜20℃/時間で1200℃まで昇温した。その後、1200℃の温度で20時間以上、H2 =100%で純化処理を行い、その処理後、通常用いられる絶縁張力コーティングの塗布と平坦化処理を行った。
この結果を表4の右欄に記す。
<実施例5>
表4の鋼No.26と27の成分を有する通常の方法で製造されたスラブを用い、熱間圧延でのスラブ再加熱温度、熱延鋼帯厚み、最終冷間圧延率、並びに窒化量を変化させて工程処理した。熱間圧延鋼帯の厚みは1.8mm、2.3mm,2.5mmとした。
このとき最終冷間圧延前の焼鈍は、1060℃〜1150℃で110秒〜150秒間行い、その後900℃〜550℃間の平均冷却速度を25℃〜40℃で冷却した。ところで、また、例B10、B11は、2.3mmの熱間圧延鋼帯を酸洗後、予備圧延して1.55mm、1.45mmとして最終冷間圧延前焼鈍を行った。
その後、3回の200℃〜250℃の温間で圧延し、厚みを7mil(0.175mm)、8mil(0.195mm)、9mil(0.220mm)、12mil(0.285mm)、14mil(0.335mm)の5種類とした。
その後、7,8、9mil材は、850℃×110秒、12mil、14mil材は850℃×150秒の、H2とN2の混合雰囲気で、露点68℃で脱炭と一次再結晶を兼ねる焼鈍を施し、引き続き、鋼帯を走行せしめながら0.0115〜0.0245%になるように含アンモニア雰囲気内で窒化させた。その後、MgOを主成分とする焼鈍分離剤の塗布後、二次再結晶焼鈍を施した。その二次再結晶焼鈍は、N2 =25%、H2 =75%、Dp=10℃の雰囲気で10〜20℃/時間で1200℃まで昇温することにより行った。その後、1200℃の温度で20時間以上、H2 =100%で純化処理を行った。その後、通常用いられる絶縁張力コーティングの塗布と平坦化処理を行った。
この結果を表5の右欄に記す。
<実施例6>
表4の鋼No.26と27の成分を有する通常の方法で製造されたスラブを用い、熱間圧延でのスラブ再加熱温度1335℃、熱延鋼帯厚み2.3mmを1140℃で120秒間焼鈍し、その後900℃〜550℃間の平均冷却速度を35℃とした後、最終冷間圧延率90.4%、87.6%で150℃から280℃で8分以上圧延中に保定し、1回のパスで9mil,12milに冷間圧延した。
その後、9mil材は、850℃×110秒、12milは850℃×150秒の、H2とN2の混合雰囲気で、露点68℃で脱炭と一次再結晶を兼ねる焼鈍を施し、引き続き、鋼帯を走行せしめながら0.0150〜0.0205%になるように含アンモニア雰囲気内で窒化させた。この脱炭焼鈍時には、650℃までの加熱速度を通常の速度、誘導加熱による110℃/秒、230℃/秒、240℃/秒とした。
その後、MgOを主成分とする焼鈍分離剤の塗布後、二次再結晶焼鈍を施した。その二次再結晶焼鈍は、N2 =25%、H2 =75%、Dp=10℃の雰囲気で10〜20℃/時間で1200℃まで昇温することにより行った。その後、1200℃の温度で20時間以上、H2 =100%で純化処理を行い、その処理後、通常用いられる絶縁張力コーティングの塗布と平坦化処理を行った。
この結果を表6の右欄に記す。

Claims (7)

  1. 質量%で、C:0.025〜0.09%、Si:2.5〜4.0%、酸可溶性Al:0.022〜0.033%、N:0.003〜0.006%、SとSeを、S当量Seq=S+0.405Seとして0.010〜0.020%、Mn:0.03〜0.09%、Ti≦0.005%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなるスラブを、1280℃を超えるインヒビター物質の固溶温度以上で再加熱し、熱間圧延を施して熱間圧延鋼帯とし、この熱間圧延鋼帯に含有されるNのうちAlNとしての析出率を20%以下とし、この熱間圧延鋼帯を焼鈍しもしくは焼鈍せず、引き続き1回もしくは中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を行って最終板厚の冷間圧延鋼帯とする際、最終冷間圧延前に1回以上の熱処理を施し、最終冷間圧延の圧延率を83%〜92%とし、この冷間圧延鋼帯の脱炭焼鈍後の一次再結晶粒の円相当の平均粒径(直径)を7μm以上〜18μm未満とし、ストリップ走行状態下で水素、窒素及びアンモニアの混合ガス中の窒化処理で全窒素含有量を0.011〜0.023%として、その後MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布して最終仕上げ焼鈍を施す方向性電磁鋼板の製造において、脱炭焼鈍後の板厚中心層の析出物の円相当平均直径を50nm以上200nm以下とすることを特徴とする磁束密度が極めて優れた方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 前記スラブが、更に、質量%で、Cuを0.05〜0.30%含有することを特徴とする請求項1に記載の磁束密度が極めて優れた方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 前記スラブが、更に、質量%で、Sn、Sb、Pの少なくとも1種を0.02〜0.30%含有することを特徴とする請求項1または2に記載の磁束密度が極めて優れた方向性電磁鋼板およびその製造方法。
  4. 前記スラブが、更に、質量%で、Crを0.02〜0.30%含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の磁束密度が極めて優れた方向性電磁鋼板の製造方法。
  5. 最終冷間圧延の少なくとも1パスにおいて、鋼帯を100〜300℃の温度範囲に1分以上保つことを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の磁気特性が極めて優れた方向性電磁鋼板の製造方法。
  6. 脱炭焼鈍における昇温開始から650℃までの加熱速度を100℃/秒以上とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載の磁気特性が極めて優れた方向性電磁鋼板の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかの項に記載の製造方法で得られ、圧延方向の磁束密度B8(800A/mでの磁束密度)が1.92T以上であることを特徴とする方向性電磁鋼板。
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