JP2010189738A - 加工性に優れた高強度熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

加工性に優れた高強度熱延鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】30%以上の全伸びElと120%以上の穴拡げ率λとを有し、TSが590〜700MPaの加工性に優れた高強度熱延鋼板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.05〜0.12%、Si:0.3〜1.0%、Mn:0.7〜1.3%、P:0.03%以下、S:0.005%以下、Al:0.005〜0.1%、N:0.01%以下を含有し、かつTi:0.005〜0.1%、Nb:0.005〜0.1%、V:0.005〜0.1%の中から選択された一種または二種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有し、組織全体に占める面積率でフェライト相が90%以上、ベイナイト相が2〜9%であり、かつフェライト相の平均粒径が5μm以下、フェライト相全体に占めるポリゴナルフェライト相の面積率が20%未満であるミクロ組織を有する加工性に優れた高強度熱延鋼板。
【選択図】図1

Description

本発明は、主として自動車用部材、例えば車体のメンバーやフレームなどの構造部材やサスペンションなどの足まわり部材に用いられる高強度熱延鋼板、特に、引張強度TSが590〜700MPa程度の加工性に優れた高強度熱延鋼板およびその製造方法に関する。
近年、自動車車体の軽量化を図るために高強度鋼板の利用が積極的に行われている。なかでも、車体の構造部材やサスペンションなどの足まわり部材のような優れた表面品質が要求されない部材には、経済性に優れた高強度熱延鋼板が多用されつつあり、TSが590〜700MPa程度の高強度鋼板が要求されるようになっている。また、このような高強度鋼板においても、良好な伸び特性、伸びフランジ性が要求される。
従来から、高強度熱延鋼板の高強度化には、a) フェライト相中にマルテンサイト相あるいはベイナイト相などを生成させた変態組織強化法、b) Ti、Nb、Vなどの炭窒化物を形成させた析出強化法、c) a)とb)を併用した強化法が利用されており、要求される特性に応じて種々の高強度熱延鋼板が開発されている。例えば、安価な汎用の鋼板として析出強化された熱延鋼板(HSLA)が、伸び性が要求される鋼板としてフェライト相とマルテンサイト相からなるミクロ組織を有する複合組織鋼板(DP鋼板)が、伸びフランジ性が要求される鋼板としてベイナイト相を活用した鋼板が挙げられる。なかでも、特許文献1には、質量%で、C:0.010〜0.10%、Si:0.50〜1.50%、Mn:0.50〜2.00%、P:0.01〜0.15%、S:0.005%以下、N:0.001〜0.005%を含み、かつTi:0.005 〜0.03%、V:0.005 〜0.03%、Nb:0.01〜0.06%のうちの少なくとも一種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物の成分組成からなり、体積率80〜97%で、かつ平均粒径10μm以下のフェライト相と、残部としてベイナイト相を主体とする低温変態相からなる伸び性、形状凍結性、伸びフランジ性などの加工性に優れるTSが540〜590MPaの高強度熱延鋼板が提案されている。
特開平11-117039号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術はTS:540〜590MPaを目標とする技術であり、前記したようなTS590〜700MPaの高強度化に対応した良好な伸び、伸びフランジ性を確保できる技術が求められていた。
本発明は、伸び性として30%以上の全伸びElと、伸びフランジ性として120%以上の穴拡げ率λとを有し、TSが590〜700MPaの加工性に優れた高強度熱延鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記の目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、以下の知見を得た。
i) 組成の適正化を図り、組織全体に占める面積率でフェライト相を90%以上、ベイナイト相を2〜9%とし、かつフェライト相の平均粒径を5μm以下、フェライト相全体に占めるポリゴナルフェライト相の面積率を20%未満としたミクロ組織にすることにより、30%以上のEl、120%以上のλ、590〜700MPaのTSを達成できる。
ii) こうしたミクロ組織は、熱間圧延後、空冷を挟んで100℃/s以上の平均冷却速度で二段冷却することにより得られる。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、質量%で、C:0.05〜0.12%、Si:0.3〜1.0%、Mn:0.7〜1.3%、P:0.03%以下、S:0.005%以下、Al:0.005〜0.1%、N:0.01%以下を含有し、かつTi:0.005〜0.1%、Nb:0.005〜0.1%、V:0.005〜0.1%の中から選択された一種または二種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有し、組織全体に占める面積率でフェライト相が90%以上、ベイナイト相が2〜9%であり、かつ前記フェライト相の平均粒径が5μm以下、前記フェライト相全体に占めるポリゴナルフェライト相の面積率が20%未満であるミクロ組織を有することを特徴とする加工性に優れた高強度熱延鋼板を提供する。
本発明の高強度熱延鋼板には、さらに、質量%で、Cr:0.005〜0.1%、Mo:0.005〜0.1%、W:0.005〜0.1%の中から選択された一種または二種以上や、Ca:0.0005〜0.01%、REM:0.0005〜0.03%の中から選択された一種または二種を、個別にあるいは同時に含有させることが好ましい。
本発明の高強度熱延鋼板は、上記の組成を有する鋼スラブを、Ar3変態点〜(Ar3変態点+100)℃の仕上温度で熱間圧延後、100℃/s以上の平均冷却速度で550〜620℃の冷却停止温度まで一次冷却し、1.5〜8.0s空冷後、100℃/s以上の平均冷却速度で二次冷却し、450〜550℃の巻取温度で巻取る方法により製造できる。
このとき、二次冷却を核沸騰冷却となる条件で行うことが好ましい。
本発明により、30%以上のElと、120%以上の穴拡げ率λとを有し、TSが590〜700MPaの加工性に優れた高強度熱延鋼板を製造できるようになった。本発明の高強度熱延鋼板は、自動車における車体のメンバーやフレームなどの構造部材やサスペンションなどの足まわり部材の軽量化に好適である。
本発明である高強度熱延鋼板のミクロ組織の一例を示す図である。
以下、本発明を具体的に説明する。なお、組成に関する「%」表示は特に断らない限り「質量%」を意味するものとする。
1) 組成
C:0.05〜0.12%
Cは、ベイナイト相を生成させ、必要な強度を確保するのに効果的な元素である。590MPa以上のTSを得るためには、C量を0.05%以上とする必要がある。一方、C量が0.12%を超えると、Elやλが低下する。したがって、C量は0.05〜0.12%とする。より好ましくは0.05〜0.09%である。
Si:0.3〜1.0%
Siは、固溶強化により強度を上昇させるのに必要な元素である。Si量が0.3%未満では590MPa以上のTSを得るために高価な合金元素の添加量を増やす必要がある。一方、Si量が1.0%を超えると表面性状の著しい低下を招く。したがって、Si量は0.3〜1.0%とする。より好ましくは0.5〜0.9%である。
Mn:0.7〜1.3%
Mnは、固溶強化およびベイナイト相の生成に有効な元素である。590MPa以上のTSを得るためにはMn量を0.7%以上とする必要がある。一方、Mn量が1.3%を超えると溶接性が低下する。したがって、Mn量は0.7〜1.3%とする。より好ましくは0.8〜1.2%である。
P:0.03%以下
P量が0.03%を超えると偏析によるElやλの低下を招く。したがって、Pは0.03%以下とする。
S:0.005%以下
Sは、MnおよびTiと硫化物を形成してElやλを低下させるとともに、高強度化に有効なMnやTi量の低下を招く。したがって、S量は0.005%以下とする。より好ましくは0.003%以下である。
Al:0.005〜0.1%
Alは、鋼の脱酸剤として重要な元素であり、それにはAl量を0.005%以上とする必要がある。一方、Al量が0.1%を超えると鋳造が難しくなったり、鋼中に多量の介在物が残存し材質や表面性状の低下を招く。したがって、Al量は0.005〜0.1%とする。
N:0.01%以下
N量が0.01%を超えると、製造工程で多量の窒化物を生成し熱間延性を劣化させるので有害である。したがって、N量は0.01%以下とする。
Ti:0.005〜0.1%、Nb:0.005〜0.1%、V:0.005〜0.1%の中から選択された一種または二種以上
Ti、Nb、Vは、その一部がCやNと結合し微細な炭化物や窒化物を形成し、高強度化に寄与する元素である。こうした効果を得るにはTi、Nb、Vの中から選択された一種または二種以上を含有させる必要があり、各元素の量は0.005%以上とする必要がある。一方、各元素の量が0.1%を超えるとElやλの低下を招く。したがって、Ti量は0.005〜0.1%、Nb:0.005〜0.1%、V:0.005〜0.1%とする。なお、Ti、Nb、V量は0.06%以下とすることが好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.05%とする。
残部はFeおよび不可避的不純物であるが、以下の理由により、Cr:0.005〜0.1%、Mo:0.005〜0.1%、W:0.005〜0.1%の中から選択された一種または二種以上や、Ca:0.0005〜0.01%、REM:0.0005〜0.03%の中から選択された一種または二種を、個別にあるいは同時に含有させることが好ましい。
Cr:0.005〜0.1%
Crは、Cと結合し微細な炭化物を形成して高強度化に寄与する元素である。Cr量が0.005%未満ではその効果が小さく、0.1%を超えるとElやλの低下を招く。したがって、Cr量は0.005〜0.1%とすることが好ましい。
Mo:0.005〜0.1%
Moは、Crと同様、Cと結合し微細な炭化物を形成して高強度化に寄与する元素である。Mo量が0.005%未満ではその効果が小さく、0.1%を超えるとElやλの低下を招く。したがって、Mo量は0.005〜0.1%とすることが好ましい。
W:0.005〜0.1%
Wは、CrやMo同様、Cと結合し微細な炭化物を形成して高強度化に寄与する元素である。W量が0.005%未満ではその効果が小さく、0.1%を超えるとElやλの低下を招く。したがって、W量は0.005〜0.1%とすることが好ましい。
Ca:0.0005〜0.01%、REM:0.0005〜0.03%
CaやREMは、介在物の形態制御に有効な元素であり、それぞれ単独で、あるいは共存してElやλの向上に寄与する。こうした効果を得るには、CaやREM量を0.0005%以上とすることが好ましい。一方、Ca量が0.01%を超えたり、REM量が0.03%を超えると鋼中介在物が増加し材質が劣化する。したがって、Ca量は0.0005〜0.01%、REM量は0.0005〜0.03%とすることが好ましい。
2) ミクロ組織
図1に示すように、本発明の高強度熱延鋼板のミクロ組織は、アシキュラーフェライト相中に矢印1で示すベイナイト相とあるいはさらに矢印2で示すポリゴナルフェライト相が分散した組織となっている。590〜700MPaのTSと30%以上のElを確保するには、組織全体に占める面積率でフェライト相を90%以上、ベイナイト相を2〜9%とし、かつフェライト相の平均粒径を5μm以下にする必要がある。また、フェライト相全体に占めるポリゴナルフェライト相の面積率を20%未満とする、すなわちアシキュラーフェライト相の面積率を80%超えとすることによりフェライト相とベイナイト相との硬度差が小さくなり、伸びフランジ性の一層の向上を図れ、120%以上のλが得られる。なお、フェライト相とベイナイト相以外にパーライト相や残留オーステナイト相などのその他の相が存在しても、その割合が組織全体に占める面積率で5%以下であれば、本発明の効果を損なうことはない。
ここで、上記のフェライト相、ベイナイト相、あるいはその他の相の面積率は、走査型電子顕微鏡(SEM)用試験片を採取し、圧延方向に平行な板厚断面を研磨後、ナイタール腐食し、板厚中央部を倍率1000倍でSEM写真を10視野で撮影し、フェライト相、ベイナイト相、その他の相を画像処理により抽出し、画像解析処理によりフェライト相、ベイナイト相、その他の相の面積および観察視野の面積を測定して、(各相の面積)/(観察視野の面積)×100(%)より算出した。また、フェライト相全体に占めるポリゴナルフェライト相の面積率は、上記と同様にして、ポリゴナルフェライト相の面積を求め、(ポリゴナルフェライト相の面積)/(観察視野の面積-ベイナイト相の面積-その他の相の面積)×100(%)より算出した。さらに、フェライト相の平均粒径はJISG0552(1998)付属書2に準拠して、切片計測法に従い求めた。
3) 製造条件
本発明の高強度熱延鋼板は、例えば、上記の組成を有する鋼スラブを、Ar3変態点〜(Ar3変態点+100)℃の仕上温度で熱間圧延後、100℃/s以上の平均冷却速度で550〜620℃の冷却停止温度まで一次冷却し、1.5〜8.0s空冷後、100℃/s以上の平均冷却速度で二次冷却し、450〜550℃の巻取温度で巻取る方法により製造できる。
熱間圧延の仕上温度:Ar3変態点〜(Ar3変態点+100)℃
仕上温度がAr3変態点未満ではフェライト相とオーステナイト相の二相域圧延になり、鋼板の表層部に粗大粒や混粒が生じてElやλの低下を招く。一方、仕上温度が(Ar3変態点+100)℃を超えるとオーステナイト相の粒が粗大化するため、熱間圧延後に所望の微細なアシキュラーフェライト組織が得られず、590MPa以上のTSと120%以上のλの両立が困難となる。したがって、仕上温度はAr3変態点〜(Ar3変態点+100)℃とする。
なお、Ar3変態点は、例えば、冷却速度10℃/sの加工フォーマスタ実験で熱膨張曲線を求め、その変化点により求めることができる。
熱間圧延後の一次冷却条件:平均冷却速度100℃/s以上、冷却停止温度550〜620℃
熱間圧延後の一次冷却の平均冷却速度が100℃/s未満では高温域からフェライト変態が開始され、ポリゴナルフェライト相が形成されやすく、すなわちアシキュラーフェライト相の生成が困難となり、590MPa以上のTSが得られない。したがって、一次冷却の平均冷却速度は100℃/s以上とする。一次冷却の平均冷却速度の上限は、次に延べる冷却停止温度の精度が確保されれば特に規定されないが、現状の冷却技術を考慮すると700℃/s以下が好ましい。なお、一次冷却の方法は、特に限定する必要はなく、例えば、公知のラミナー冷却による水冷も利用できる。
平均冷却速度100℃/s以上で行う一次冷却は550〜620℃の冷却停止温度で停止させる必要があるが、これは550℃未満ではTiなどの微細な炭化物の形成が十分でなく、590MPa以上のTSを得るのが困難になり、また、620℃を超えるとアシキュラーフェライト相が生成せず、フェライト相の粗大化やパーライト相の析出が顕著になり、Elやλが低下したり、590MPa以上のTSが得られなくなるためである。
一次冷却後の空冷時間:1.5〜8.0s
一次冷却後の空冷時間は、所望のミクロ組織を達成するために極めて重要である。特に、アシキュラーフェライト相とベイナイト相の適正な造り込みのために、一次冷却を行った後は、冷却を停止して空冷とする。空冷時間が1.5s未満ではベイナイト相の生成量が過剰になってElやλが低下し、8.0sを超えると炭化物が粗大化したりフェライト相がポリゴナル化し、590MPa以上のTSが得られなくなる。したがって、一次冷却後の空冷時間は1.5〜8.0sとする。より好ましくは4〜7sである。
空冷後の二次冷却条件:冷却速度100℃/s以上
空冷後は、空冷中に調整されたフェライト相の生成量が変動しないように、平均冷却速度100℃/s以上で巻取温度まで二次冷却する必要がある。なお、二次冷却の方法も、特に限定する必要はなく、例えば、公知のラミナー冷却による水冷を利用できる。
特性のばらつきを小さくするために、二次冷却を核沸騰冷却となる条件で冷却することが好ましい。特に、500℃以下の温度域で水冷する場合に膜沸騰から核沸騰への遷移沸騰が起こり易いので、この温度域を核沸騰冷却となる条件で冷却することが好ましい。
巻取温度:450〜550℃
二次冷却後まで維持されたオーステナイト相をベイナイト相に変態させるために、450〜550℃の巻取温度で巻取る必要がある。これは、巻取温度が450℃未満ではベイナイト相より硬質なマルテンサイト相が生成し、また、550℃を超えるとパーライト相が生成して、Elやλが低下するためである。
その他の製造条件は通常の条件で行える。例えば、所望の組成を有する鋼は転炉や電気炉などで溶製後、真空脱ガス炉にて二次精錬を行って製造される。その後の鋳造は、生産性や品質上の点から連続鋳造法で行うのが好ましい。鋳造されるスラブは、厚みが200〜300mm程度の通常のスラブであっても、厚み30mm程度の薄スラブであってもよい。薄スラブにすれば粗圧延を省略できる。鋳造後のスラブは、そのまま直送熱間圧延しても、加熱炉で再加熱後熱間圧延してもよい。
表1に示す組成とAr3変態点の鋼スラブNo.A〜Iを、1250℃に加熱し、表2に示す仕上温度で熱間圧延して板厚3mmの熱延鋼板とした後、表2に示すような一次冷却条件、空冷時間、二次冷却条件により冷却し、表2に示す巻取温度でコイル状に巻取った。なお、二次冷却において核沸騰冷却は行わなかった。また、表1のAr3変態点は前記の方法により求めた。
そして、巻取り後の熱延鋼板を酸洗後、コイルの長手方向中央部かつ幅方向中央部から組織観察用試料を採取し、上記の方法で組織全体に占めるフェライト相、ベイナイト相、その他の相の面積率、フェライト相の平均粒径、フェライト相全体に占めるポリゴナルフェライト相の面積率を求めた。また、組織観察用試料の採取位置近辺よりJIS 5号引張試験片(圧延方向に直角方向)および穴広げ試験用試験片(130mm角)を採取し、次のような方法によりTS、Elおよびλを求めた。
TS、El:3本の引張試験片に歪み速度10mm/minで引張試験を行ってTSとElを求め、3本の平均値をTS、Elとした。
λ:試験片中央に10mmφの穴を打ち抜いた後、60°円錐ポンチをバリと反対側から押し上げ、亀裂が板厚を貫通した時点での穴径dmmを測定し、次式より算出し、3個の平均値によりλを評価した。
λ(%)=[(d-10)/10]×100
結果を表3に示す。本発明例では、TSが590〜700MPaであり、かつElが30%以上のEl、λが120%以上で加工性に優れていることがわかる。
さらに、二次冷却を、核沸騰冷却となる条件で行った場合のコイル内の材質変動への効果を検討するため、表1の鋼スラブCを、1250℃に加熱し、表4に示す仕上温度で熱間圧延して板厚3mmの熱延鋼板とした後、表4に示す一次冷却条件、空冷時間、二次冷却条件により冷却し、表4に示す巻取温度でコイル状に巻取った(鋼板No.18)。ここで、二次冷却は核沸騰冷却となる条件で行った。なお、表4には、鋼板No.18と同様にコイル内材質変動を調査した鋼板No.5の条件も合わせて示した。
そして、巻取り後の熱延鋼板を酸洗後、上記と同様にして、組織観察を行い、TS、El、λを求めた。また、上記核沸騰冷却を行った鋼板No.18および比較として核沸騰冷却を行わなかった鋼板No.5について、下記方法にてコイル内の材質変動を調査した。
コイル内の材質変動:コイル先端部から長手方向に100、200、400、600、700m入った各位置で、圧延方向に平行な方向を試験片の長手方向として、鋼板の幅方向に、幅方向の両端25mmの内側から25本の試験片を等間隔に採取し、合計125本のJIS 5号引張試験片(圧延方向に平行な方向が引張方向)を採取し、上記と同様な方法でTSを求め、その標準偏差σを算出した。
結果を表5に示す。本発明例である鋼板No.18および鋼板No.5とも、TSが590〜700MPaであり、かつElが30%以上、λが120%以上で加工性に優れており、さらに、二次冷却を核沸騰冷却となる条件で行った場合(鋼板No.18)のTSの標準偏差σは10MPaと小さく、二次冷却を核沸騰冷却となる条件とはしなかった場合(鋼板No.5)に比べ、コイル内の材質変動が小さいことがわかる。

Claims (5)

  1. 質量%で、C:0.05〜0.12%、Si:0.3〜1.0%、Mn:0.7〜1.3%、P:0.03%以下、S:0.005%以下、Al:0.005〜0.1%、N:0.01%以下を含有し、かつTi:0.005〜0.1%、Nb:0.005〜0.1%、V:0.005〜0.1%の中から選択された一種または二種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有し、組織全体に占める面積率でフェライト相が90%以上、ベイナイト相が2〜9%であり、かつ前記フェライト相の平均粒径が5μm以下、前記フェライト相全体に占めるポリゴナルフェライト相の面積率が20%未満であるミクロ組織を有することを特徴とする加工性に優れた高強度熱延鋼板。
  2. さらに、質量%で、Cr:0.005〜0.1%、Mo:0.005〜0.1%、W:0.005〜0.1%の中から選択された一種または二種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の加工性に優れた高強度熱延鋼板。
  3. さらに、質量%で、Ca:0.0005〜0.01%、REM:0.0005〜0.03%の中から選択された一種または二種を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の加工性に優れた高強度熱延鋼板。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成を有する鋼スラブを、Ar3変態点〜(Ar3変態点+100)℃の仕上温度で熱間圧延後、100℃/s以上の平均冷却速度で550〜620℃の冷却停止温度まで一次冷却し、1.5〜8.0s空冷後、100℃/s以上の平均冷却速度で二次冷却し、450〜550℃の巻取温度で巻取ることを特徴とする加工性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
  5. 二次冷却を、核沸騰冷却となる条件で行うことを特徴とする請求項4に記載の加工性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
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