JP2010189234A - 低応力・拡散バリアー膜を備えた熱伝導部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】窒化アルミニウム2基板の両面にシリコン窒化膜を堆積した熱伝導部材1であり、該シリコン窒化膜が、ストイキオメトリック組成に比べてシリコンリッチであり、且つ屈折率が波長I=633nmにおいて2.0を超える事を特徴とする熱伝導部材。
【選択図】図1
Description
すなわち、本発明は、窒化アルミニウム基板の両面にシリコン窒化膜を堆積した熱伝導部材である。
本発明はまた、ドナー基板の表面からイオンを注入してイオン注入層を形成する工程、前記ドナー基板と前記熱伝導部材とを貼り合わせて接合体を得る工程、および、前記イオン注入層の界面を脆化し、前記ドナー基板の一部を前記熱伝導部材に転写し貼り合わせウェーハを得る工程を含む貼り合わせウェーハの製造方法である。
本発明はまた、前記熱伝導部材上に、単結晶シリコン薄膜を備えた貼り合わせウェーハである。
本発明にかかる熱伝導部材1は、AlN基板2の両面に、CVD法等でシリコン窒化膜3(SiN)を形成したものである。シリコン窒化膜3(SiN)を形成したことにより、耐薬品性が向上し、かつ高温プロセス中におけるAlN基板からのアルミやその他の不純物金属の拡散を防止することができる。
シリコン窒化膜3(SiN)としては、ストイキオメトリックなシリコン窒化膜(Si3N4)、該ストイキオメトリック組成に比べてシリコンリッチなシリコン窒化膜(SRN)のいずれも用いることができる。
しかしながら、通常のストイキオメトリックなシリコン窒化膜(Si3N4)は、非常に硬い材質であるので(ヤング率=290GPa−300GPa)、そのままAlN上に堆積し、半導体加工工程で昇温、降温を繰り返すと、熱膨張率の違いからクラック等の欠陥が入るなどの問題が生じる場合がある。そこで、窒化膜3として通常のストイキオメトリックなシリコン窒化膜(Si3N4)よりもシリコン成分が多いシリコンリッチなシリコン窒化膜(SRN: Silicon rich nitride)を用いることにより、ヤング率を下げ(例えば、Sensors and Actuators A, 35(1992), pp.153−159を参照)、基板応力に柔軟なものとし、且つ薬品等に対する耐性も保持することに成功した。
屈折率の測定方法としては、実施例においては光干渉式膜厚測定装置等を用いている。ただし、波長l=633nmHeNeレーザーを用いたエリプソメトリー法やキセノン短アークランプを用いた分光エリプソメトリー法を採用することもできる。
SRNの具体的な組成としては、例えば、N/Si比でSi3N4(屈折率2.0)の場合、1.33であるのに対して、屈折率が2.3のSRNは0.8という報告がある。
もう一方の方法として、PECVD[Plasma Enhanced CVD]法があり、これはウェーハの片面にしか膜が形成されないことから裏表のプロセスを二回繰り返す必要があることと、堆積温度が400℃前後と低いので、焼き締めと呼ばれる1000℃前後の高温処理を行う必要があり、LPCVD法よりも不便ではあるが、実行可能である。
窒化アルミニウム基板の厚さは、用途にもよるが、半導体デバイス素子に用いる場合、通常のシリコンウェハプロセスとの親和性を考慮し、400μm〜800μmであり、口径は、100mm〜200mmのものを採用することができる。
本明細書において、半導体支持部材とは、半導体と化学的に接着しているか、接着していないかを問わず、半導体と接触する部材であれば全て含まれる。半導体支持部材は、半導体の加工工程において、半導体と接触する部材として特に好適に用いることができる。このような半導体支持部材としては、たとえば、静電チャック、プリント配線回路の基板等が挙げられる。
熱伝導部材1は、窒化アルミニウム基板の両面をシリコン窒化膜で被覆して得られたものであるので、シリコン窒化膜が、拡散防止膜、耐薬品侵食膜の働きを担っており、通常のフッ酸水溶液等を用いたエッチング等のウェットプロセス、または、900℃以上の高温アニーリング等のドライプロセスを伴う半導体工程(CMOS工程)に投入可能となる。この熱伝導部材1をハンドル基板とし、後述するドナー基板と貼り合わせることで、高い放熱性を有する貼り合わせウェーハが実現可能となる。
まずドナー基板4として、例えば、シリコンウェーハ5もしくは酸化膜9付きシリコンウェーハ5(以下、区別しない限り単にシリコンウェーハ5と称する)を用意し、片側の面11からイオンを注入してイオン注入層7を形成する。
イオン注入層7は、シリコンウェーハ5中に形成する。この際、ドナー基板4の表面11から所望の深さにイオン注入層7を形成できるような注入エネルギーで、所定の線量の水素イオン(H+)または水素分子イオン(H2 +)を注入する。このときの条件として、例えば注入エネルギーは50〜100keVとできる。
注入イオンとして水素分子イオン(H2 +)を用いる場合、そのドーズ量は5.0×1015atoms/cm2〜5.0×1016atoms/cm2であることが好ましい。5.0×1015atoms/cm2未満であると、界面の脆化が起こらない場合があり、5.0×1016atoms/cm2を超えると、貼り合せ後の熱処理中に気泡となり転写不良となる場合がある。より好ましいドーズ量は、2.5×1016atom/cm2である。
また、ドナー基板4がその周囲にあらかじめ数nm〜500nm程度のシリコン酸化膜9等の絶縁膜を形成したものである場合、それを通して水素イオンまたは水素分子イオンの注入を行えば、注入イオンのチャネリングを抑制する効果が得られる。
プラズマで処理をする場合、真空チャンバ中にRCA洗浄等の洗浄をしたドナー基板4及び/又は熱伝導部材1を載置し、プラズマ用ガスを減圧下で導入した後、100W程度の高周波プラズマに5〜10秒程度さらし、表面をプラズマ処理する。プラズマ用ガスとしては、シリコンウェーハを処理する場合、表面を酸化する場合には酸素ガスのプラズマ、酸化しない場合には水素ガス、アルゴンガス、又はこれらの混合ガスあるいは水素ガスとヘリウムガスの混合ガスを用いることができる。熱伝導部材1を処理する場合はいずれのガスでもよい。
プラズマで処理することにより、ドナー基板4及び/又は熱伝導部材1の貼り合わせ面6の有機物が酸化して除去され、さらに表面のOH基が増加し、活性化する。処理はシリコンウェーハ5のイオン注入した表面11、および、熱伝導部材1の貼り合わせ面の両方について行うのがより好ましいが、いずれか一方だけ行ってもよい。
オゾンで処理をする場合は、大気を導入したチャンバ中にRCA洗浄等の洗浄をしたシリコンウェーハ5及び/又は熱伝導部材1を載置し、窒素ガス、アルゴンガス等のプラズマ用ガスを導入した後、高周波プラズマを発生させ、大気中の酸素をオゾンに変換することで、表面をオゾン処理する。プラズマ処理とオゾン処理とはどちらか一方又は両方行うことができる。
ドナー基板4の表面活性化処理を行う表面は、イオン注入を行った表面11であることが好ましい。
上記RMSは、AFM画像をもとに測定し得られた値である。
熱処理時間としては、温度にもある程度依存するが12時間〜72時間が好ましい。
脆化の工程は、例えば、機械的衝撃を与えて剥離を行う工程を含んでいてもよい。
イオン注入層7の界面近傍に機械的衝撃を与えるためには、例えばガスや液体等の流体のジェットを接合したウェーハの側面から連続的または断続的に吹き付ければよいが、衝撃により機械的剥離が生じる方法であれば特に限定はされない。
転写される薄膜の厚さは、イオン注入の際のエネルギーによって変えることもできるが、通常、100nm〜1000nmとすることができる。
上記剥離工程により、熱伝導部材1上にシリコンウェーハ5の一部(15、17)が形成された貼り合わせウェーハ19が得られる。
両者を300℃から800℃まで昇温、降温(2℃/分)を繰り返すプロセスを10回繰り返し、表面のクラック等を1000倍率の光学顕微鏡下で観察したが、クラック等は観察されなかった。
両者を300℃から1000℃まで昇温、降温(2℃/分)を繰り返すプロセスを10回繰り返し、表面のクラック等を1000倍率の光学顕微鏡下で観察したところ、Si3N4の方は、クラックが観察されたが、SRNの方は観察されなかった。
両者に半導体洗浄で一般的な洗浄法であるRCA洗浄、または、HF洗浄(10%)のいずれかを施したが、いずれも洗浄表面の状態に変化は観察されなかった。一方、シリコン窒化膜が被覆されていないベアのAlNはRCA洗浄、または、HF洗浄のいずれかを施したもの双方を集光灯下で観察したところ、表面粗さの増加に起因する曇りの増加が目視で観察され、加水分解が進行していることがわかった。
また、それとは別に単結晶シリコン基板(口径150mm、信越半導体社製)の表面に酸化膜を100nm成長させた後、水素イオンをドーズ量
8.0×1016atom/cm2で注入してドナー基板を準備した。
熱伝導部材の片方の面を二乗平均粗さ[RMS]が0.25nmになるまで鏡面研磨し、研磨面上に、上記単結晶シリコン基板(ドナー基板)の表面活性化処理した面を貼り合せて接合体を得た。
得られた接合体に、250℃の熱処理を施し、水素イオン注入界面に機械的衝撃を与え、単結晶シリコンの薄膜転写を行った。
得られた貼り合わせウェーハについて、窒素雰囲気下で300℃から800℃まで昇温、降温(2℃/分)を繰り返すプロセスを10回繰り返し、1000倍率の光学顕微鏡下で表面観察したが、クラック等は観察されなかった。
また、それとは別に単結晶シリコン基板(口径150mm)の表面に酸化膜を100nm成長させた後、水素イオンをドーズ量8.0×1016atom/cm2で注入してドナー基板を準備した。
ついで、熱伝導部材の片方の面を二乗平均粗さ[RMS]が0.25nmになるまで鏡面研磨し、研磨面上に、上記単結晶シリコン基板(ドナー基板)の表面活性化処理した面を貼り合せて接合体を得た。
得られた接合体に、250℃の熱処理を施し、水素イオン注入界面に機械的衝撃を与え、単結晶シリコンの薄膜転写を行った。
得られた貼り合わせウェーハについて、窒素雰囲気下で300℃から1000℃まで昇温、降温(2℃/分)を繰り返すプロセスを10回繰り返し、表面のクラック等を1000倍率の光学顕微鏡下で観察したところ、Si3N4を堆積した基板は周縁部に微小なクラック(2〜10μm程度)が観察されたが、SRNを堆積した基板ではクラック等は観察されなかった。
また、それとは別に単結晶シリコン基板(口径150mm、信越半導体社製)の表面に酸化膜を100nm成長させた後、水素イオンをドーズ量
8.0×1016atom/cm2で注入してドナー基板を準備した。
ついで、熱伝導部材の片方の面を二乗平均粗さ[RMS]が0.25nmになるまで鏡面研磨し、研磨面上に、上記単結晶シリコン基板(ドナー基板)の表面活性化処理した面を貼り合せて接合体を得た。
得られた接合体に、250℃の熱処理を施し、水素イオン注入界面に機械的衝撃を与え、単結晶シリコンの薄膜転写を行った。
得られた貼り合わせウェーハについて、窒素雰囲気下で950℃、1時間の高温アニールを行い、その表面をHF溶液に接触させ、そのHF溶液を誘導結合プラズマ質量分析計[ICP−MS]で質量分析したところ、熱伝導部材のSiN膜表面におけるAlの濃度は、ストイキオメトリックなシリコン窒化膜、SRNともに5×1010atoms/cm2以下であり、AlN内部のAlは殆ど拡散していないことが判明した。
2 窒化アルミニウム
3 窒化珪素
4 ドナー基板
5 シリコン基板
6 貼り合わせ面
7 イオン注入層
9 シリコン酸化膜
11 イオン注入した表面
13 接合体
15、17 ドナー基板の一部
19 貼り合わせウェーハ
Claims (10)
- 窒化アルミニウム基板の両面にシリコン窒化膜を備えた熱伝導部材。
- 前記シリコン窒化膜が、ストイキオメトリック組成に比べてシリコンリッチであり、且つ屈折率が波長l=633nmにおいて2.0を超えることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導部材。
- 前記シリコン窒化膜が、ストイキオメトリック(Si3N4)であることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導部材。
- 半導体支持部材である請求項1ないし3のいずれかに記載の熱伝導部材。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載の熱伝導部材上に、単結晶シリコン薄膜を備えた貼り合わせウェーハ。
- ドナー基板の表面からイオンを注入してイオン注入層を形成する工程、
前記ドナー基板と請求項1ないし4のいずれかに記載の熱伝導部材とを貼り合わせて接合体を得る工程、および、
前記イオン注入層の界面を脆化し、前記ドナー基板の一部を前記熱伝導部材に転写し貼り合わせウェーハを得る工程を含む貼り合わせウェーハの製造方法。 - 前記接合体を得る工程に先立ち、前記ドナー基板の貼り合わせ面となる、前記熱伝導部材のシリコン窒化膜表面を研磨し、平滑度を二乗平均粗さ(RMS)で0.5nm以下とする工程を含むことを特徴とする請求項6に記載の貼り合わせウェーハの製造方法。
- 前記接合体を得る工程に先立ち、前記熱伝導部材の表面、または、前記イオンを注入したドナー基板の前記表面の少なくとも一方の面に表面活性化処理を施す工程を含むことを特徴とする請求項6に記載の貼り合わせウェーハの製造方法。
- 前記接合体に400℃以下の熱処理を加え、結合強度を高めることを特徴とする請求項6ないし8に記載の貼り合わせウェーハの製造方法。
- 前記ドナー基板が、シリコンウェーハ、もしくは、熱酸化膜を成長させた酸化膜付きシリコンウェーハであることを特徴とする請求項6ないし9に記載の貼り合わせウェーハの製造方法。
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