JP2010174197A - 自己熱利用システムを備えた天然ガスの処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 硫黄回収工程の装置サイズを小さくし、硫黄回収率を高くすること、更には全体的な運転コストを抑えることが可能な天然ガスの処理方法を提供する。
【解決手段】 天然ガスに含まれる有機硫黄化合物を硫化水素に変換する変換工程1と、変換工程1で処理された天然ガスに含まれる硫化水素及び炭酸ガスを酸性ガスとして除去する酸性ガス除去工程2と、酸性ガス除去工程2で処理された天然ガスに含まれる水分を吸着して除去する吸着工程3と、酸性ガス除去工程2で除去された酸性ガスから硫黄を回収する硫黄回収工程4とからなる天然ガスの処理方法であって、変換工程1に供給する原料天然ガスを、硫黄回収工程4の関連設備で生じる熱及び変換工程1で処理された天然ガスが有する熱を用いて予熱する。
【選択図】 図1
【解決手段】 天然ガスに含まれる有機硫黄化合物を硫化水素に変換する変換工程1と、変換工程1で処理された天然ガスに含まれる硫化水素及び炭酸ガスを酸性ガスとして除去する酸性ガス除去工程2と、酸性ガス除去工程2で処理された天然ガスに含まれる水分を吸着して除去する吸着工程3と、酸性ガス除去工程2で除去された酸性ガスから硫黄を回収する硫黄回収工程4とからなる天然ガスの処理方法であって、変換工程1に供給する原料天然ガスを、硫黄回収工程4の関連設備で生じる熱及び変換工程1で処理された天然ガスが有する熱を用いて予熱する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、天然ガスの処理に際して自ら発生する熱を用いて原料として供給される天然ガスの予熱を行う自己熱利用システムを備えた天然ガスの処理方法に関する。
油田地帯やガス田地帯から産出される原料天然ガス中には水分や硫黄化合物等の不純物が含まれており、そのまま液化等の処理を行うと腐食や氷結等の問題を生じるおそれがある。そこで、前処理として乾燥や脱硫処理を行ってこれら不純物を除去することが一般的に行われている。例えば天然ガス精製プロセスでは、スラグキャッチャー等の気液分離工程で液状成分を除去し、得られた気体成分側の天然ガスを酸性ガス除去工程に送って二酸化炭素や硫化水素などの酸性ガスを除去し、続いてモレキュラーシーブを用いた吸着工程に送って有機硫黄化合物及び水分を除去している。
酸性ガス除去工程で除去された酸性ガスは硫黄回収工程に送られ、ここでクラウス法を用いて硫黄の回収が行われる。クラウス法は、燃焼炉で硫化水素を部分酸化して亜硫酸ガスを発生させ、この亜硫酸ガスと残りの硫化水素とを触媒存在下で反応させて硫黄を回収するプロセスであり、95〜99%程度の硫黄を回収することができる。
ところで、酸性ガス除去工程では、アルカノールアミン溶液や熱炭酸カリ溶液等の化学吸収液を使用する化学吸収法、物理吸収液を使用する物理吸収法、及びこれらを複合した物理化学吸収法の中からプロセスが選択されることが多いが、物理吸収法や物理化学吸収法では、原料天然ガス中に含まれるBTX(ベンゼン、トルエン、キシレン)等の重質炭化水素も酸性ガスと共に除去されるため、これら重質炭化水素に起因して上記硫黄回収工程の硫黄回収率が低下したり、硫黄の品質が劣化したりすることがあった。これに対して、化学吸収法は上記問題を生じることがない上、システムの最適化が可能で経済性に優れているため、物理吸収法や物理化学吸収法に比べて採用されることが多かった(特許文献1)。
しかしながら、化学吸収法ではメルカプタンやCOS等の極性の低い有機硫黄化合物を効果的に除去することができないので、これら有機硫黄化合物を低いレベルまで除去する必要がある場合は、別途これらを除去する工程を設ける必要があった。例えば、後段の吸着工程において乾燥用モレキュラーシーブに加えて特殊なモレキュラーシーブを充填して、有機硫黄化合物を吸着する方法がとられていた。
モレキュラーシーブは再生ガスを用いて一定の間隔で再生する必要があり、モレキュラーシーブに有機硫黄化合物を吸着させて除去する場合は、再生の際に排出される排ガス中にモレキュラーシーブから脱着した有機硫黄化合物が高濃度に含まれることになる。このため、この排ガスはそのまま燃焼して大気に放出したりプラント内で燃料ガスとして使用したりすることができず、例えば、ジメチルエーテル等を用いた物理吸収法により当該排ガスから有機硫黄化合物を除去することが必要となる。
このようにして除去された有機硫黄化合物は、前述した酸性ガス処理工程で除去された酸性ガスと併せて硫黄回収工程で処理することができるものの、有機硫黄化合物を含む当該排ガスにはモレキュラーシーブの再生ガス中の炭化水素が一部同伴されるため、この同伴する再生ガスを硫黄回収工程の燃焼炉で燃焼するために余分に酸素が必要となり、その結果、硫黄回収工程の装置サイズが大きくなり硫黄回収率も低下する上、運転コストがかさむという問題を生じていた。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、硫黄回収工程の装置サイズを小さくし、硫黄回収率を高くすること、更には全体的な運転コストを抑えることが可能な天然ガスの処理方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明が提供する天然ガスの処理方法は、天然ガスに含まれる有機硫黄化合物を硫化水素に変換する変換工程と、該変換工程で処理された天然ガスに含まれる硫化水素及び炭酸ガスを酸性ガスとして除去する酸性ガス除去工程と、該酸性ガス除去工程で処理された天然ガスに含まれる水分を吸着して除去する吸着工程と、該酸性ガス除去工程で除去された酸性ガスから硫黄を回収する硫黄回収工程とからなり、前記変換工程に供給する原料天然ガスを、前記変換工程で処理した後の天然ガスが有する熱及び前記硫黄回収工程の関連設備で発生する熱を用いて予熱することを特徴としている。
本発明によれば、酸性ガス除去を行う前に天然ガス中に含まれる有機硫黄化合物を硫化水素に変換することにより、モレキュラーシーブ再生の際に排出される排ガスに硫黄化合物が含まれなくなるので、硫黄回収工程の装置サイズを小さくし硫黄回収率を高くすることが可能となる。更に、システム全体の熱を有効に利用するので、運転コストを抑えることができる。
以下、本発明の天然ガスの前処理方法の具体例を、図1を参照しつつ説明する。油田地帯やガス田地帯等の天然ガス田から産出した原料天然ガスは、先ず図示しないスラグキャッチャー等の気液分離工程で水や液状炭化水素(コンデンセート)などの液状成分が取り除かれる。液状成分が取り除かれた天然ガスは、水素や水と共に変換工程1に送られ、ここで、天然ガス中に含まれるメルカプタン、COS等の有機硫黄化合物が硫化水素に変換される。
この変換反応は、所定の温度、圧力条件において、触媒の存在下で行われる。かかる触媒には、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、ボリア、ジルコニア、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、アルミナ−マグネシア、アルミナ−チタニア、シリカ−チタニア、アルミナ−ボリア、アルミナ−ジルコニア等の多孔性無機酸化物担体に、活性金属を担持させたものが使用できる。活性金属の担持割合は、特に限定するものではないが、酸化物換算で3〜30重量%が好ましい。
活性金属は、周期律表の第V族、第VI族及び第VIII族に属する金属から選択することが好ましく、例えば、バナジウム、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケルを挙げることができる。特に、アルミナ担体上にコバルト及びモリブデンを担持させた触媒は、触媒活性や寿命の点で優れているため好ましい。天然ガスと触媒との接触方法は、特に限定するものではないが、例えば、処理すべき天然ガスの性状に応じて、固定床や膨張床、又は反応器内に充填した触媒成形体に天然ガスを流通させてもよい。
変換反応の温度条件としては、150〜400℃が好ましく、200℃〜350℃がより好ましい。通常、原料天然ガスは25℃程度で変換工程1に送られてくるので、上記温度条件まで昇温する必要がある。本発明においては、この昇温に必要な熱に、変換工程1から出る天然ガスが有する熱及び後述する硫黄回収工程の関連設備で生じる熱を用いている。このように、外部からの熱源を利用することなく自己熱を用いて予熱を行うので、運転コストを抑えることができる。
変換工程1から出る天然ガスが有する熱を利用する方法としては、一般的なガスガス熱交換器を用いることができる。例えば、変換工程1から出る天然ガスと変換工程1に供給する原料天然ガスとを第1熱交換器7aに導いて、ここで向流の熱交換を行うことによって、変換工程1から出る高温の天然ガスを後述する酸性ガス除去工程の好適な供給温度である50℃程度まで冷却すると共に、原料天然ガスを昇温させることができる。尚、この第1熱交換器7aと、その後段に設けた冷却水などの冷媒を使用する冷却器とによって変換工程1から出る高温の天然ガスを50℃程度まで冷却しても良い。
第1熱交換器7aで昇温された原料天然ガスは、次に硫黄回収工程の関連設備内に設けた第2熱交換機7bに送られる。ここで、硫黄回収工程の関連設備で生じる高温のガスと熱交換して所望の温度に昇温された後、変換工程1に供給される。この第2熱交換機7bについては、後に硫黄回収工程を説明する際に詳細に説明する。
変換工程1における圧力条件については特に限定はなく、一般的な天然ガスの精製工程で操作されている運転圧力程度で良い。尚、変換工程1で用いる触媒は、使用前に予め公知の方法に従って予備硫化することが好ましい。予備硫化することにより、変換反応の初期段階から安定した触媒活性が得られるからである。
変換反応が水素化の場合、反応に必要な水素は、天然ガス中の硫黄1モルに対して少なくとも1モル以上は添加しないと反応が十分に進行せず、また硫黄1モルに対して5モルより多く注入しても反応の進行にはほとんど寄与しない。一方、変換反応が水との反応である場合、反応に必要な水が少なすぎると十分に硫化水素に変換させることができず、逆に多すぎると水の加熱に多大なエネルギーが必要となるので、天然ガス中の硫黄1モルに対して1〜80モルが好ましく、1〜50がより好ましい。尚、1時間当たり触媒1m3を通過する流量(Nm3)として定義される触媒のガス空間速度(GHSV)は、500〜5000/hrが好ましく、1000〜3000/hrがより好ましい。
変換工程1で処理された天然ガスは、次に酸性ガス除去工程2に送られ、ここで天然ガスに含まれる酸性ガスが化学吸収液を介して除去される。ここで除去される酸性ガスは、天然ガス田から産出した原料天然ガスに元々含まれていた硫化水素及び炭酸ガス、並びに前段の変換工程1でメルカプタン等の有機硫黄化合物から変換された硫化水素である。
図2に、この酸性ガス除去工程2に好適に使用されるプロセスのフロー図を示す。変換工程1で処理された酸性ガスを多く含む天然ガス(以降、サワーガスと称する)は、吸収塔21の塔底部に送られ、吸収塔21内に設けられている棚段等において後述する再生塔で再生された吸収液(以降、リーン溶液と称する)と向流接触しながら塔内を上昇する。その際、サワーガスに含まれる酸性ガスはリーン溶液によって吸収除去される。酸性ガスが除去された天然ガス(以降、スイートガスと称する)は塔頂から排出され、次工程の吸着工程3に送られる。
一方、酸性ガスを吸収した吸収液(以降、リッチ溶液と称する)は、塔底から排出され、フラッシュドラム22に一旦送られる。ここでリッチ溶液に同伴する天然ガスをフラッシュさせて除去した後、リッチ溶液はリーンリッチ熱交換器23に送られる。リーンリッチ熱交換器23において、リッチ溶液はリーン溶液と熱交換して昇温された後、再生塔24の塔頂部に送られる。尚、フラッシュドラム22でフラッシュしたガスは、必要に応じて脱硫処理を行った後、燃料ガスとしてプラント内で使用することができる。
再生塔24の塔頂部に送られたリッチ溶液は、塔底部から上昇するストリッピングスチームと向流接触しながら再生塔24内を下降する。再生塔24の塔内には、棚段等が設けられており、ここでリッチ溶液はストリッピングスチームと効率よく気液接触し、これによりリッチ溶液から酸性ガスが徐々に放散される。
リッチ溶液から放散された酸性ガスは、再生塔24の塔頂部に設けられている凝縮器25にストリッピングスチームと共に送られる。ストリッピングスチームは、凝縮器25によって凝縮されて還流液となり、上記リッチ溶液と合流して再生塔24内を下降する。一方、酸性ガスは凝縮器25によって冷却されるものの、凝縮されることなく気相のまま再生塔24の塔頂から排出され、後述する硫黄回収工程4に送られる。
再生塔24の塔底から抜出されるリーン溶液は、一部がリボイラ26に送られて加熱媒体によって加熱されてストリッピングスチームや高温の化学吸収液となって再生塔24に戻り、残りはリーンリッチ熱交換器23に送られる。リーンリッチ熱交換器23に送られたリーン溶液は、リッチ溶液と熱交換して冷却された後、冷却器27で冷却水等の冷媒によって所定の温度まで冷却され、吸収塔21の塔頂部に供給される。
上記酸性ガス除去工程2で用いる化学吸収液には、化学吸収法で用いられる一般的なアミン水溶液を用いることができる。例えば、ジイソプロパノールアミン(DIPA)、メチルジエタノールアミン(MDEA)、立体障害アミン等の水溶液又はそれらの混合溶液等を使用することができる。アミン水溶液中のアミン濃度は4モル程度を標準とし、天然ガスの処理条件等に応じて適宜調整するのが好ましい。
上記酸性ガス除去工程2で処理されたスイートガスは、次に吸着工程3に送られ、ここでスイートガス中に含まれる水分が除去される。図3に、この吸着工程3に好適に使用されるプロセスのフロー図を示す。酸性ガス除去工程2から送られてきたスイートガスは、並列に設置されている吸着塔31a、bの内のいずれか一方に供給され、塔内に充填されている吸着剤に、好適には0.04〜0.20m/s程度の速度で接触する。これにより、スイートガス内に含まれる水分が吸着剤に吸着される。
この吸着剤には、従来から天然ガスの乾燥用として一般的に使用されているものを使用することができ、例えば活性アルミナからなるUOP社のType3AやType4A等のモレキュラーシーブを用いることができる。また、吸着剤を用いた吸着工程3では、所定の時間おきに吸着を行う吸着塔が切り替わるようにプログラミングされており、これに伴って交互に吸着塔が再生されるようになっている。
この吸着塔の再生に用いる再生ガスは、図3に示すように、乾燥後の精製天然ガスを分岐して用いることができる。この再生ガスをヒーター32で好適には230〜300℃程度の温度まで昇温した後、吸着塔内の吸着剤に導入する。加熱した再生ガスを好適には0.04〜0.20m/s程度の流速で100〜300分程度に亘って吸着剤と接触させることで吸着剤が加熱され、吸着剤に吸着していた水分が脱着して追い出される。こうして吸着剤が再生される。
このように、本発明においては、再生中の吸着塔から排出される排ガスには不純物として水分が含まれるだけであるので、硫黄化合物の吸着を兼ねた従来の吸着工程とは異なり、再生中の吸着塔から排出される排ガスを脱硫する必要がない。従って、簡単な冷却装置(図示せず)で水分を凝縮させて除去するだけで、この排ガスをそのまま燃料ガスとして使用することができる。
更に、後述する硫黄回収工程に、上記排ガスの脱硫のために従来用いられていた物理吸収工程から排出される硫黄化合物が供給されることもないので、硫黄化合物の吸着を兼ねた従来の吸着工程において問題となっていた硫黄回収率の低下や装置の大型化等の問題が解消される。
また、吸着剤は従来から使用されている一般的なもので良いので、硫黄化合物の吸着を兼ねた従来の吸着工程とは異なり、硫黄化合物の吸着のためのType5AやType13X等の特殊な吸着剤を使用する必要がない。尚、上記吸着工程3においては、2塔の吸着塔31a、bを交互に切り替えて運転する例について説明したが、これに限定されるものではなく、3塔以上の塔を用いて運転を切り替えても良い。
上記酸性ガス除去工程2で除去された酸性ガスは、硫黄回収工程4に送られ、ここで硫化水素から硫黄が回収される。硫化水素から硫黄を回収する代表的なプロセスはクラウス法であり、本発明においても好ましく用いることができる。図4に、クラウス法を用いた場合の一般的なプロセスフロー図を示す。酸性ガス除去工程2において除去された酸性ガスは、先ず燃焼反応部41に送られる。ここで硫化水素の一部の燃焼を行うと共に、該燃焼により生じる亜硫酸ガスと残りの硫化水素とを反応させて硫黄を生成する。
通常、この燃焼反応は900〜1300℃で行われるため、反応ガスを廃熱ボイラー41aに送り、硫黄を凝縮して分離すると共に廃熱の回収を行っている。廃熱ボイラー41aによって冷却された反応ガスは、加熱炉等の第1再加熱手段42aによって再加熱した後、触媒反応を行う第1触媒反応部42bに供給する。ここで亜硫酸ガスと硫化水素とを反応させて硫黄を生成させ、得られた反応ガスを第1硫黄凝縮器42cにおいて硫黄の露点以下に冷却して硫黄を分離する。以降同様にして第2再加熱手段43a、第2触媒反応部43b、及び第2硫黄凝縮器43cを繰り返して硫黄の回収を行う。尚、必要に応じて更に第3再加熱手段、第3触媒反応部、及び第3硫黄凝縮器を設けても良い。
クラウス法で硫化水素が除去されたガスはテールガスとして排出されるが、クラウス法による硫黄の回収率は95〜99%程度であり、回収しきれない硫黄分はテールガスに含まれるので、より高い硫黄回収率が必要な場合は、SCOT(Shell Claus Off−gas Treating)プロセスやスーパークラウスプロセスなどに代表されるテールガス処理工程44で処理を行うことが望ましい。
このテールガス処理工程44を出た排ガスは最終的に焼却炉45で焼却された後、煙突46から排出される。本発明においては、この焼却炉45と煙突46の間に第2熱交換器7bが設けられており、焼却炉45の廃熱を有効に回収している。尚、これらテールガス処理工程44から煙突46までを硫黄回収工程4の関連設備と称する。
上記の説明においては、酸性ガス除去工程2で除去された酸性ガスを直接硫黄回収工程4に送って硫黄の回収を行ったが、図5に示すように、酸性ガス除去工程2で除去された酸性ガスを濃縮工程5に送り、ここで硫化水素濃度を濃縮した後に硫黄回収工程4に送っても良い。この濃縮工程5には、硫化水素に対して選択吸収性を有する化学吸収液を用い、酸性ガス除去工程2と同様に当該化学吸収液を吸収塔と再生塔との間で循環させるプロセスを用いることができる。
この場合は、化学吸収液にDIPAやMDEAを使用することが特に好ましい。なぜなら、従来一般的に使用されてきたモノエタノールアミン(MEA)やジエタノールアミン(DEA)に比べて硫化水素に対する選択吸収性が高いからである。また、ここで使用する化学吸収液を酸性ガス除去工程2で使用する化学吸収液と同一のものにすることによって、例えば再生塔を1つにして兼用させることが可能となるのでより好ましい。
このように、濃縮工程5を採用することによって酸性ガスから炭酸ガスが除去され、硫化水素濃度を2〜5倍程度濃縮することができるので、後段の硫黄回収工程4の機器サイズの小型化、及び硫黄回収率の向上を更に促進することができる。
図5に示すプロセスに従って、硫黄化合物を含む天然ガス100,000kgmol/hrを処理したときの物質収支を計算で求めた。この計算に際し、クラウスプロセスから排出されるテールガスは、還元触媒で処理してテールガス中に含まれる硫化水素以外の硫黄化合物を還元した後、濃縮工程5にリサイクルしてアミン吸収液で処理することにした。この計算結果を下記の表1に示す。尚、表に示すストリーム番号(Strm No.)は図5の矢印に付されている番号に対応している。
比較のため、上記実施例と同じガスを、図6のフロー図に示す従来のプロセスで処理したときの物質収支を計算で求めた。尚、再生時に吸着工程から排出される排ガスに含まれる硫黄化合物は、セレクソールプロセスを用いて除去するものとした。この計算結果を下記の表2に示す。表に示すストリーム番号(Strm No.)は図6の矢印に付されている番号に対応している。
これら表1及び表2の結果から、実施例は比較例に比べて酸素消費量が約2/3に減少していることが分る。このように、実施例では比較例に比べて変換反応を行う触媒が必要となるものの、セレクソールプロセスが不用となり、吸着工程に高価な吸着剤を充填する必要がなくなり、更に硫黄回収装置の機器サイズが小さくなるので、2割程度の設備コストの削減が可能であり、極めて高いコスト削減効果が得られることが分った。
次に、上記実施例の物質収支の計算で得られた各ストリームに対して、図1に示す構成に従って熱回収を行った場合の熱収支を計算した。この計算のベースとして、1500MMSCFDの天然ガスを処理するものとし、25℃で送られてきたこの天然ガスを240℃まで予熱して変換工程1に供給することにした。また、変換工程1で処理された天然ガスの温度は240℃とし、これを第1熱交換器7aで60℃まで冷却した後、冷却水を冷媒とする冷却器で50℃まで冷却して酸性ガス除去工程2に供給することにした。更に、第2熱交換器7bにおいて熱回収される高温側のガスには、濃縮工程5のアミン吸収塔から排出されるオフガスを焼却炉で焼却処理した後に排出される540℃の排ガスを利用した。
その結果、焼却炉から排出される540℃の排ガスを第2熱交換器7bで353℃まで熱回収することによって、25℃で送られてきた天然ガスを第1熱交換器7aで212℃まで昇温し、その後第2熱交換器7bで240℃まで昇温することが可能であることが分った。
1 変換工程
2 酸性ガス除去工程
3 吸着工程
4 硫黄回収工程
5 濃縮工程
7a 第1熱交換器
7b 第2熱交換器
2 酸性ガス除去工程
3 吸着工程
4 硫黄回収工程
5 濃縮工程
7a 第1熱交換器
7b 第2熱交換器
Claims (1)
- 天然ガスに含まれる有機硫黄化合物を硫化水素に変換する変換工程と、該変換工程で処理された天然ガスに含まれる硫化水素及び炭酸ガスを酸性ガスとして除去する酸性ガス除去工程と、該酸性ガス除去工程で処理された天然ガスに含まれる水分を吸着して除去する吸着工程と、該酸性ガス除去工程で除去された酸性ガスから硫黄を回収する硫黄回収工程とからなる天然ガスの処理方法であって、前記変換工程に供給する原料天然ガスを、前記硫黄回収工程の関連設備で生じる熱及び前記変換工程で処理された天然ガスが有する熱を用いて予熱することを特徴とする天然ガスの処理方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012166128A (ja) * | 2011-02-10 | 2012-09-06 | Jfe Engineering Corp | 除湿装置 |
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- 2009-01-30 JP JP2009020863A patent/JP2010174197A/ja active Pending
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