JP2010173511A - 車両用運転支援装置および車両用運転支援方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】障害物検出手段が、自車両の周囲の障害物の位置を検出する。また、存在確率分布推定手段が、検出した位置および障害物検出手段の特性により当該位置に含まれる検出誤差の性質に基づいて、自車両の周囲における障害物の存在確率分布を推定する。そして、回避支援手段が、推定した存在確率分布に基づいて、運転者による障害物回避操作を支援する。そのため、例えば、障害物検出手段の特性により検出結果に含まれる検出誤差、つまり、障害物の位置の検出誤差が大きい場合に、障害物の存在確率を低減することができる。そして、障害物回避操作の支援量を低減できる。その結果、運転者による障害物回避操作に当該回避操作の支援が干渉することを抑制できる。したがって、運転者による障害物回避操作をより適切に支援できるようになる。
【選択図】 図2
Description
この特許文献1に記載の技術では、まず、自車両の運動状態および他車両の運動状態を検出する。次に、それら自車両の運動状態および他車両の運動状態に基づいて、設定時間後における自車両の予測到達位置と他車両の予測到達位置とを算出する。次に、地図上に、自車両の到達予測位置に自車両の車両サイズに応じた四角形を配置する。同様に、他車両の到達予測位置に他車両の車両サイズに応じた四角形を配置する。そして、各四角形が重複する面積の大きさに応じて、運転者に警報等の情報を提供する。
そのため、例えば、他車両の走行状態の検出誤差が大きい場合には、他車両の車両サイズに応じた四角形が大きくなる。それゆえ、各四角形が重複し易くなり、警報の発生タイミングが早くなる。その結果、運転者に違和感を与える可能性があった。
したがって、運転者による障害物回避操作を適切に支援することが困難であった。
本発明は、上記のような点に着目し、運転者による障害物回避操作をより適切に支援可能とすることを課題としている。
したがって、運転者による障害物回避操作をより適切に支援できるようになる。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の車両用運転支援装置を装備した自車両SWの装置構成の概念図である。
(構成)
図1に示すように、自車両SWは、前輪操舵で且つ前輪駆動の車両である。
自車両SWは、次のような種々のセンサ類を装備する。そのセンサ類は、複数台のカメラ1、車速センサ2、および操舵角センサ3である。これらセンサ類は、検出信号を回避支援コントローラ4に出力する。
操舵角センサ3は、運転者による操舵の回転角度を検出する。例えば、ラック&ピニオン方式で構成した前輪操舵機構における、ピニオンに取り付けたロータリエンコーダ等が利用可能である。そして、ピニオンの回転に比例して発生するパルス信号を検出することで、ステアリングホイール6の回転角度を検出する。
回避支援コントローラ4は、マイクロプロセッサからなる。マイクロプロセッサは、A/D変換回避、D/A変換回避、中央演算処理装置およびメモリ等から構成した集積回避を備える。そして、メモリに格納したプログラムに従って、各種センサで検出した信号の処理を行い、その処理結果を、ステアリングアクチュエータ7に出力する。
自車両状態検出手段は、車速センサ2によって構成する。そして、車速センサ2で検出した信号を統合的に処理して自車両SWの運動状態に関する情報を得る機能を実現する。
操作状態検出手段は、操舵角センサ3によって構成する。そして、操舵角センサ3で検出した信号を処理して運転者の操作状態に関する情報を得る機能を実現する。
存在確率分布推定手段は、回避支援コントローラ4によって構成する。そして、障害物検出手段で得た情報を処理して障害物SMの存在確率を推定する機能を実現する。
回避支援手段は、ステアリングアクチュエータ7によって構成する。そして、自車両状態検出手段、操作状態検出手段、および存在確率分布検出手段で得た情報に基づき、運転者による障害物回避操作を支援する機能をステアリングアクチュエータ7で実現する。
図3は、回避支援コントローラ4の処理を示すフローチャートである。
図4は、想定する場面の一例を示す平面図である。
ここでは、具体性を持たせて処理を分かりやすくするために、図4に示す場面を想定して説明する。図4に示す場面では、自車両SWが直線道路上を走行しているときに、自車両SWの前方に静止した障害物SMを検出した場面を想定している。なお、障害物SMの左右のいずれにも自車両SWが通り抜け可能なスペースがあるものとする。
図3に示すように、まず、そのステップS101では、各種センサが検出した信号をメモリ上に読み込む。そして、自車両SWの運動状態、自車両SWの操作状態、障害物SMの位置、および障害物SMとの間の距離を、統一した座標系上の値として算出する。上記座標系は、適当に設定することが可能である。本実施形態では、図4に示すように、自車両SWの車体の前後方向にX軸を、そのX軸と垂直である車幅方向にY軸を設定する。また、本実施形態の説明では、上記座標系は、X座標系の原点をカメラ1の取り付け位置に設定し、且つ、Y座標の原点を道路の中心線付近に設定する。
また、障害物SMの位置と速度とを(XB、YB、VBX、VBY)=(xB、yB、0、0)といった形式で表記することができるようになる。
縦方向速度vVXは、縦方向速度vVXに比べて横方向速度vVYが十分に小さいとみなせれば、非駆動輪の車輪速で近似することができる。従って、縦方向速度vVXは、非駆動輪にとりつけた車速センサ2の検出値から求めることができる。
また、自車両SWの運動状態を表す状態量として、ヨー角θ、操舵角δfが重要な物理量であると考える。これらの自車両SWの運動状態を記述する物理量は、次に説明するようにセンサの検出信号を処理することによって、具体的な値を取得できる。
すなわち、これらの物理量のうち、ヨー角θに関しては、道路が直線であると仮定すれば、道路境界と自車両SWの向いている方向とのなす角を、カメラ1が撮影した自車両SWの前方の道路状況を画像処理によって推定することで求めることができる。
次に、ステップS102では、自車両SWと障害物SMとが干渉する可能性の有無によって処理を分岐する。障害物SMと干渉する可能性の有無を判定する方法としては、例えば、現在から設定時間TCJ後までの間に、自車両SWの走行領域に障害物SMが侵入するか否かによって判定する方法を利用可能である。自車両SWの走行領域とは、現在から設定時間TCJ後までの間に、自車両SWが走行する道路上の領域である。
具体的には、まず、自車両SWの縦方向速度vVXおよび障害物SMの縦方向位置xBに基づき、下記(1)式に従って設定時間TCJを算出する。
TCJ=xB/vVX ………(1)
次に、算出した設定時間TCJに基づいて、当該設定時間TCJ後における障害物SMの横方向位置yB(TCJ)を算出する。
具体的には、カメラ1には、障害物SMが遠いほど、障害物SMの位置座標(xB、yB)の検出誤差が増大する特性がある。それゆえ、本実施形態では、障害物SMの縦方向位置xBを平均値μXに設定し、横方向位置yBを平均値μyに設定し、自車両SWと障害物SMとの間の距離Rs(=(XB 2+YB 2)1/2)に応じて分散値σX 2、σY 2を設定する。
ここで、平均値μX、μyおよび分散値σX 2、σY 2は、(R、θ)座標系を設定することで、自車両SWと障害物SMとの間の距離Rsの関数で表記することができる。それゆえ、障害物SMの存在確率分布f(X,Y,0)は、関数μX(Rs)、μY(Rs)、σY(Rs)2、σX(Rs)2に基づき、下記(2)式のように表記することができる。
f(X,Y,0)=N(μX(Rs),μY(Rs),σx(Rs)2,σY(Rs)2) ………(2)
次に、ステップS104では、障害物SMの存在確率分布f(X,Y,0)と自車両SWの将来の走行経路とに基づいて操舵支援トルクを算出する。そして、操舵支援トルクの付与を指示する信号をステアリングアクチュエータ7に出力する。
図7は、操舵支援トルクを算出する処理を示すフローチャートである。
図7に示すように、まず、そのステップS201では、自車両SWの将来の走行経路を算出する。
具体的には、まず、自車両SWの将来の走行経路を算出するために、自車両SWの運動を記述するモデルを導入する。ここでは、自車両SWの運動を記述するモデルとして、四輪車両の運動を二輪車両の運動で近似する二輪モデルを使用する。
dxV/dt=vcos(β+θ)
dyV/dt=vsin(β+θ) ………(3)
dθ/dt=γ
dβ/dt=-γ+[2Kfαf+2Krαr]/MVV
dγ/dt=[2LfKfαf-2LrKrαr]/I
αf=β+Lfγ/VV-δf/NG
αr=β-Lfγ/VV
ただし、図8に示すように、βはすべり角であり、γはヨーレイトである。また、Mは車両質量であり、Iは車両ヨー慣性モーメントであり、Lfは車両重心から前輪軸までの距離であり、Lrは車両重心から後輪軸までの距離である。さらに、Kfは前輪コーナリングパワー係数であり、Krは後輪コーナリングパワー係数である。また、αfは前輪5FL、5FRのタイヤすべり角であり、αrは後輪5RL、5RRのタイヤすべり角である。さらに、NGは、操舵角δfを前輪5FL、5FRの転舵角に変換する際のギア比である。
dxV/dt=fV(xV、uV) ………(4)
xV=(xV、yV、θ、β、γ)
uV=(δf)
以上のようにして導入した二輪モデルおよび操舵角δfを用い、現在から設定時間TT後までの間の状態ベクトルxV (t)を予測するものとして、t=0、Δt、2Δt、…、TT−Δt、TTまで、上記(4)式に従って状態ベクトルxV (t)を算出する。算出した状態ベクトルxV (t)の時系列は、自車両SWの将来の走行経路を表す。
具体的には、まず、前記ステップS103で設定した障害物SMの存在確率分布を参照し、前記ステップS201で算出した自車両SWの将来の走行経路上の各地点(xV (t)、yV(t))に対して、障害物SMの存在確率を算出する。そして、算出した存在確率のうち、最大のものを最大値Pm(=maxf(xV(t)、yV(t),t))として抽出する。
具体的には、まず、前記ステップS202で設定した障害物SMの存在確率の最大値Pmが、予め設定した複数段階のレベルのいずれに属するかを判別する。
具体的には、まず、前記ステップS203で障害物SMの存在確率の最大値Pmが大きいと判定した場合には、自車両SWが障害物SMの存在確率の高い領域を走行すると判定し、操舵支援トルクの絶対値を比較的大きい値THIGHに設定する。一方、前記ステップS203で障害物SMの存在確率の最大値Pmが小さいと判定した場合には、自車両SWが障害物SMの存在確率の低い領域を走行すると判定し、操舵支援トルクの絶対値を比較的小さい値TLOW(<THIGH)に設定する。
次に、算出した最大値Pm(δf’)が、障害物SMの存在確率の最大値Pm(δf)よりも小さいか否かを判定する。そして、最大値Pm(δf)よりも小さい場合には、操舵支援トルクの方向を切り増し方向に設定する。一方、最大値Pm(δf)以上である場合には、操舵支援トルクの方向を切り戻し方向に設定する。
次に、設定した操舵支援トルクの付与を指示する信号をステアリングアクチュエータ7に出力する。
定期的に、各センサからの信号に基づき、自車両SWの運動状態や障害物情報、道路環境情報を取得し、同一の座標上に展開した情報に変換する。その同一座標に展開した情報によって、自車両SWの周辺における障害物SMの存在確率分布を推定する。
続いて、自車両SWの将来の走行経路を算出する。そして、将来の走行経路のうち、障害物SMの存在確率が最も高くなる位置での当該存在確率の最大値Pmを抽出する。
続いて、抽出した最大値Pmが大きいか小さいかを判定する。最大値Pmが大きいと判定すると、比較的大きい操舵支援トルクTHIGHの付与を指示する信号をステアリングアクチュエータ7に出力する。一方、最大値Pmが小さいと判定すると、比較的小さい操舵支援トルクTLOWの付与を指示する信号をステアリングアクチュエータ7に出力する。
これによって、各時刻における操舵支援トルクを算出・制御することができる。この結果、運転者による障害物回避操作の支援を実現することができる。
この実施形態では、自車両SWから遠方に障害物SMを検出した場合には、カメラ1の検出特性により検出誤差が大きくなる。そのため、障害物SMの存在確率分布を平面状に広げて障害物SMの存在確率が低下する。それゆえ、自車両SWと障害物SMとの干渉に余裕があるシーンでは、運転者の操作を妨げない程度の支援量となる。
ここで、本実施形態では、図2の車速センサ2が自車両状態検出手段を構成する。以下同様に、図2の操舵角センサ3が操作状態検出手段を構成する。また、カメラ1が障害物検出手段を構成する。さらに、図2の回避支援コントローラ4が存在確率分布推定手段を構成する。
(1)本実施形態では、障害物検出手段が、自車両の周囲の障害物の位置を検出する。また、存在確率分布推定手段が、検出した位置および障害物検出手段の特性により当該位置に含まれる検出誤差の性質に基づいて、自車両の周囲における障害物の存在確率分布を推定する。そして、回避支援手段が、推定した存在確率分布に基づいて、運転者による障害物回避操作を支援する。
したがって、運転者による障害物回避操作をより適切に支援できるようになる。
そのため、例えば、障害物検出手段に、障害物が遠いほど検出結果に含まれる検出誤差が増大するという特性がある場合に、自車両と障害物との間の距離が遠いときに、障害物の存在確率を低減できる。それゆえ、障害物が実際と異なる位置に存在すると誤検出し、誤検出した障害物と自車両との干渉の可能性が高いと誤判断することを防止できる。
次に、本発明の第2実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、上記各実施形態と同様な構成などについては同一の符号を使用する。
本実施形態の基本的な車両構成は、図9に示すように上記第1実施形態と同様である。
ただし、ジャイロセンサ9を備えている。ジャイロセンサ9は、自車両SWの重心位置に発生するロールレート、ピッチレイトλおよびヨーレイトγを検出する。例えば、水晶振動子や半導体等を用いて構成したものを利用可能である。そして、検出信号を回避支援コントローラ4に出力する。
本実施形態では、自車両状態検出手段は、車速センサ2およびジャイロセンサ9によって構成する。そして、車速センサ2およびジャイロセンサ9で検出した信号を統合的に処理して、自車両SWの運動状態に関する情報を得る機能を実現する。
回避支援コントローラ4は、回避経路生成手段としての用途を兼ねている。そして、存在確率分布検出手段で得た情報に基づき、回避経路を生成する機能を実現する。
回避支援手段は、操作状態検出手段、および回避経路演算手段で得た情報に基づき、運転者による障害物回避操作を支援する機能をステアリングアクチュエータ7で実現する。
図11は、回避支援コントローラ4の処理を示すフローチャートである。
図12は、想定する場面の一例を示す平面図である。
ここでは、具体性を持たせて処理を分かりやすくするために、図12に示す場面を想定して説明する。図12に示す場面では、自車両SWが直線道路上を走行しているときに、自車両SWの前方に左側から横断する歩行者を検出した場面を想定している。なお、障害物SMの左右のいずれにも自車両SWが通り抜け可能なスペースがあるものとする。
なお、図11の処理は、設定したサンプリング周期で繰り返し実行する。
上記座標系を設定することで、自車両SWの位置と速度とを(XV、YV、VVX、VVY)=(0、0、vVX、0)といった形式で表記することができるようになる。
障害物SMの横方向速度vBYは、カメラ1から得ることができる。
ピッチレイトλおよびヨーレイトγは、ジャイロセンサ9から得ることができる。
次に、ステップS302では、自車両SWと障害物SMとが干渉する可能性の有無によって処理を分岐する。障害物SMと干渉する可能性の有無を判定する方法としては、例えば、現在から設定時間TCJ後までの間に、自車両SWの走行領域に障害物SMが侵入するか否かによって判定する方法を利用可能である。
次に、算出した設定時間TCJに基づいて、当該設定時間TCJ後における障害物SMの横方向位置yB(TCJ)+vBY×TCJを算出する。
次に、算出した横方向位置yB(TCJ)+vBY×TCJの絶対値|yB(TCJ)+vBY×TCJ|が設定値YTH未満であるか否かを判定する。そして、横方向位置の絶対値|yB(TCJ)+vBY×TCJ|が設定値YTH未満であると判定した場合には、自車両SWの走行領域に障害物SMが侵入すると判定し(YES)、ステップS303に移行する。一方、横方向位置の絶対値|yB(TCJ)+vBY×TCJ|が設定値YTH以上であると判定した場合には、自車両SWの走行領域に障害物SMが侵入しない(NO)、つまり、運転者による障害物回避操作を支援する必要がないと判定し、処理を終了する。
具体的には、カメラ1には、自車両SWのピッチ方向への運動が大きいほど、障害物SMの縦方向位置xBの検出誤差が増大する特性がある。それゆえ、本実施形態では、自車両SWがピッチ運動を行っていない場合(λ=0)には、障害物SMの縦方向位置xBを平均値μXに設定する。一方、自車両SWがピッチ運動を行っている場合には(λ≠0)、障害物SMの縦方向位置xBと異なる値を平均値μXに設定し、自車両SWがピッチ運動を行っていない場合に比べ、分散値σX 2を比較的大きな値に設定する。
また、カメラ1には、自車両SWのヨー方向への運動が大きいほど、障害物SMの横方向位置yBの検出誤差が増大する特性がある。それゆえ、本実施形態では、自車両SWがヨー運動を行っていない場合(γ=0)には、障害物SMの横方向位置yBを平均値μYに設定する。一方、自車両SWがヨー運動を行っている場合(γ≠0)には、障害物SMの横方向位置yBと異なる値を平均値μXに設定し、自車両SWがヨー運動を行っていない場合に比べ、分散値σY 2を比較的大きな値に設定する。
なお、本実施形態では、自車両SWのピッチレイトλおよびヨーレイトγに基づいて、障害物SMの存在確率分布を推定する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、自車両SWの加速度を検出する加速度センサを装備し、ピッチレイトλおよびヨーレイトγに代えて自車両SWの縦方向の加速度および横方向への加速度を用いて、障害物SMの存在確率分布を推定することもできる。
次に、ステップS305では、まず、前記ステップS303で推定した障害物SMの在確率分布に基づいて、障害物SMの左方向を通過する回避経路を生成する。
なお、左回避舵角パターンδLiも変数iが大きいほど大きな値となる。
次に、ステップS306では、前記ステップS304で算出した右回避舵角パターンδRiおよび前記ステップS305で算出した左回避舵角パターンδLiに基づいて、操舵支援トルクの特性を設定する。
具体的には、まず、前記ステップS304で算出した右回避舵角パターンδRiに基づいて、第1の支援トルク特性図を設定する。第1の支援トルク特性図とは、操舵角δfと操舵支援トルクとの関係を示す図である。例えば、図14(a)に示すように、操舵角δfに応じて、ステアリングコラム8に付与する操舵支援トルクを表す図を利用できる。第1の操舵支援トルク特性図は、右回避舵角パターンδRiと当該右回避舵角パターンδRiに対応した操舵支援トルクTRiからなる点(δRi、TRi)を2次元平面上にプロットし、プロットした各点(δRi、TRi)の間を直線で結ぶことによって生成する。操舵支援トルクTRiとは、右回避舵角パターンδRiに対応づけて設定した操舵支援トルクである。各操舵支援トルクTRiは、TR1>TR2>…>TRNTH(=0)となるように設定する。
以上のように、ステップS306では、自車両SWが障害物SMの存在確率の低い領域を走行するように、運転者が操舵を行っている場合には、操舵支援トルクを弱くする。これにより、操舵意志のある運転者に対しては、操舵操作を邪魔しない程度の操舵トルクを付与する。そのため、運転者の操作が主体となった支援を行うことができる。
なお、本実施形態では、操舵角δfと操舵支援トルクとの関係に基づいて、操舵支援トルクを算出する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、図15(a)(b)に示すように、操舵角速度dδf/dt(=δvf)と操舵支援トルクとの関係に基づいて、操舵支援トルクを算出することもできる。これにより、操舵角速度dδf/dtから運転者の操舵意思を図って、運転者にトルク支援を行うこともできる。
また、操舵角δfおよび操舵角速度dδf /dtの両方を用いて、運転者の操舵意思を図ることで、より運転者の回避意図を正確に把握することも可能である。
図16は、障害物SMの存在確率分布の算出方法を示すフローチャートである。
本実施形態では、障害物SMの存在確率分布を算出方法として、縦距離、横距離、ピッチレイト、ヨーレイトの4軸でマップ化する方法と、縦距離、横距離、ピッチレイト、ヨーレイトの関数として平均値と分散値とを表現する方法を併せたものを用いる。
図16に示すように、まず、そのステップS401では、制御マップを参照し、障害物SMの位置座標(xB、yB)に対応するインデックスを抽出する。制御マップとは、位置座標(X'B、Y'B)をインデックスとし、自車両SWと位置座標(X'B、Y'B)との間の距離をRsとした場合の分散値σx(Rs)2、σY(Rs)2を表すマップである。例えば、予めメモリに格納したマップデータ等が利用可能である。
具体的には、図17に示すように、制御マップのインデックス(X'B、Y'B)から、障害物SMの位置座標(xB、yB)に最も近いものを抽出する。
次に、ステップS402では、制御マップを参照し、抽出したインデックス(X'B、Y'B)に対応する分散値σX 2、σY 2を取得する。
次に、ステップS403では、ピッチレイトλおよびヨーレイトγに基づき、前記ステップS402で取得した分散値σX 2、σY 2および平均値μX、μYを補正する。
具体的には、ピッチレイトλおよびヨーレイトγに基づき、下記(5)式に従って平均値μX、μYおよび分散値σX 2、σY 2を補正する。
μX→μX+ΔμX(λ)
μY→μY+ΔμY(γ)
σX 2→σX 2+ΔσX 2(λ)
σY 2→σY 2+ΔσY 2(γ) ………(5)
0≦ΔσX 2(λ)、ΔσY 2(γ)≦1
なお、関数ΔμX(λ)、ΔμY(γ)、ΔσX 2(λ)およびΔσY 2(γ)は、車両用運転支援装置の設計段階で見積もった、ピッチ方向およびヨー方向への運動時における障害物SMの存在確率の分布を用いて設定する。
fX(X、0)=N(μX、σx 2)
fY(Y、0)=N(μY、σY 2) ………(6)
ただし、N(μX、σx 2)は、平均値μX、分散値σX 2の1次元の正規分布であり、N(μY、σY 2)は、平均値μY、分散値σY 2の1次元の正規分布である。
ここまでの処理で、静止している障害物SMの検出誤差に基づいた存在確率が求まる。
前記ステップS403で説明した静止している障害物SMに対する存在確率は、確率密度関数として算出したが、これに移動速度の確率分布を併せて数学的な定義に基づいて導出しようとすると、数式表現が複雑になる。そのため、前記ステップS403に関する以下の説明では、数学的に導出した確率密度関数ではなく、実用上の観点で定義したものを、移動している障害物SMに対する存在確率として使用する。
次に、ステップS405では、障害物SMの横方向速度vBYに含まれる検出誤差を考慮して、障害物SMの存在確率分布を修正する。
ここでは、障害物SMが等速移動していると仮定し、現在以前の速度情報も使用して移動速度の最大見積もり分v'BYmaxおよび最小見積もり分v'BYminを算出する。
図18に示すように、障害物SMの移動速度は、検出誤差を含んだ形で所定時間間隔ごとに取得する。そして、現在から設定時間TCJ前までの間における障害物SMの横方向速度vBYのうち、最大値vBYmaxおよび最小値vBYminをメモリ上に記録しておく。そして、記録した最大値vBYmaxおよび最小値vBYminに基づき、下記(7)式に従って移動速度の最大見積もり分v'BYmaxおよび最小見積もり分v'BYminを算出する。
v'BYmax=(vBYmax+vBYmin)/2+κ[vBYmax-(vBYmax+vBYmax)/2]
v'BYmax=(vBYmax+vBYmin)/2-κ[vBYmax-(vBYmax+vBYmax)/2] ………(7)
0≦κ≦1
ただし、κは、設計パラメータである。κが1の場合には、V'BXmax=VBXmax、V'Bymax=vBYmaxとなり、そのままメモリ内の値を使用することになる。
図19(a)に示すように、障害物SMが最大見積もり分v'BYmaxで移動した場合には、現在からt秒後の障害物SMの存在確率分布の平均値μYmaxは、前記ステップS403で補正した平均値μYに基づき、下記(8)式のように表記することができる。
μYmax=μY+t×vBYmax ………(8)
μYmin=μY+t×vBYmin ………(9)
ここで、分散値σx 2、σY 2は、障害物SMが移動しても変動しないものとする。
次に、図19(b)に示すように、設定した両正規分布fmin、fmaxの最大値の間が直線で結ばれるように当該両正規分布の最大値の間を補完する。補完後の障害物SMの存在確率分布fY(Y,t)は、下記(10)式のように表記することができる。
fY(Y,t)=N(μYmin、σY 2)、Y≦μYmin
fY(Y,t)=max[fY(μYmin、TCJ)、fY(μYmax、TCJ)]、μYmin<Y<μYmax
fY(Y,t)=N(μYmax、σY 2)、μYmin≦Y ………(10)
図12に示す場面では、障害物SMはX軸方向には移動していないので、上記(10)式は、下記(11)式のように表記することができる。
fY(X,TCJ)=N(μX、σX 2) ………(11)
f(X,Y,t)=N(μX、μYmin、σX 2、σY 2)/KNow、Y≦μYmin
f(X,Y,t)=max[fYa(μX、μYmin、σX 2、σY 2)、fYa(μX、μYmax、σX 2、σY 2)]/KNow、μYmin<Y<μYmax
f(X,Y,t)=N(μX、μYmax、σX 2、σY 2)/KNow、μYmin≦Y ………(12)
ただし、KNOWは、障害物SMの存在確率分布を正規化するための係数である。
なお、ここでは図12に示す場面に基づいて、障害物SMがY軸方向に移動している場合について説明したが、障害物SMがX軸方向に移動している場合にも、同様の手法で将来における障害物SMの存在確率分布の推定を行うことができる。
図21は、右回避舵角パターンδfを算出する処理を示すフローチャートである。
図21に示すように、まず、そのステップS501では、変数iが設定値NTHであるか否かを判定する。変数iは、後述するステップS502からS505までのフローの実行回数をカウントするための変数であり、この処理の開始時に1に設定する。そして、変数iが設定値NTHであると判定した場合には(YES)処理を終了して復帰する。一方、変数iが設定値NTHではないと判定した場合には(NO)ステップS502に移行する。
具体的には、まず、舵角パターンδf(t)として、小さい正の一定値Δδを設定する。舵角パターンδf(t)の符号は、前輪5FL、5FRを右方向に転舵する操舵角を正値とし、前輪5FL、5FRを左方向に転舵する操舵角を負値とする。
具体的には、まず、舵角パターンδf(t)に基づき、上記(4)式のように定義した二輪モデルに従って、自車両SWの将来の走行経路(xV(t)、yV(t))を算出する。
次に、算出した障害物SMの存在確率の最大値Pmが設定水準THiより小さいか否かを判定する。そして、設定水準THiよりも小さいと判定した場合には、障害物SMの存在確率が設定水準THiよりも低い領域のみを走行することが可能な回避経路を生成したと判定し(YES)、ステップS505に移行する。一方、設定水準THi以上であると判定した場合には、障害物SMの存在確率が設定水準THiよりも高い領域を通過する回避経路であると判定し(NO)、ステップS504に移行する。
δf(t)=δf(t)+Δδ ………(13)
一方、ステップS505では、前記ステップS502で設定した舵角パターンδf(t)を、右回避舵角パターンδRiとしてメモリに格納する。また、変数iに「1」を加算した値を、新しい変数iとする。その後、前記ステップS501に移行する。
なお、ステップS305で行う、上記左回避舵角パターンδLiの算出方法も、上記右回避舵角パターンδRiの算出方法と同様である。
ただし、Δδを負の値に設定する。また、前記ステップS502で設定した舵角パターンδf(t)は、左回避舵角パターンδLiとしてメモリに格納する。
以上の処理を所定の制御周期毎に繰り返すことで、各時刻における操舵支援トルクを算出・制御できる。この結果、運転者による障害物回避操作の支援を実現できる。
この実施形態では、自車両SWがヨー運動またはピッチ運動を行っている場合には、カメラ1の検出特性により検出誤差が大きくなる。そのため、障害物SMの存在確率分布を平面状に広げて障害物SMの存在確率を低減する。それゆえ、自車両SWと障害物SMとの干渉に余裕があるシーンでは、運転者の操作を妨げない程度の支援量となる。
ここで、本実施形態では、図10の車速センサ2が自車両状態検出手段を構成する。以下同様に、図10の操舵角センサ3が操作状態検出手段を構成する。また、カメラ1が障害物検出手段を構成する。さらに、図10の回避支援コントローラ4が存在確率分布推定手段および回避経路生成手段を構成する。また、操舵支援トルクが支援制御量を構成する。
(1)本実施形態では、存在確率分布推定手段が、自車両の横方向への運動およびヨー方向への運動の少なくとも一方の運動に基づき当該運動が大きい場合、当該運動が小さい場合と比較して、自車両の横方向における障害物の存在確率分布の最高値および当該最高値の周辺の存在確率を低減する。
そのため、例えば、障害物検出手段に、自車両の横方向への運動が大きいほど検出結果に含まれる検出誤差が増大するという特性がある場合に、自車両の横方向への運動が大きいときに、障害物の存在確率を低減できる。同様に、自車両のヨー方向への運動が大きいほど検出結果に含まれる検出誤差が増大するという特性がある場合に、自車両のヨー方向への運動が大きいときに、障害物の存在確率を低減できる。それゆえ、障害物が実際と異なる位置に存在すると誤検出し、誤検出した障害物と自車両との干渉の可能性が高いと誤判断することを防止できる。その結果、運転者に違和感を与えることを防止できる。
そのため、例えば、障害物検出手段に、自車両の縦方向への運動が大きいほど検出結果に含まれる検出誤差が増大するという特性がある場合、自車両の縦方向への運動が大きいときに、障害物の存在確率を低減できる。同様に、自車両のピッチ方向への運動が大きいほど検出結果に含まれる検出誤差が増大するという特性がある場合、自車両のピッチ方向への運動が大きいときに、障害物の存在確率を低減できる。それゆえ、障害物が実際よりも近い位置に存在すると誤検出し、誤検出した障害物と自車両との干渉の可能性が高いと誤判断することを防止できる。その結果、運転者に違和感を与えることを防止できる。
そのため、例えば、障害物の存在確率が高い領域に車両が侵入する場合には、回避操作に対する支援量を増大できる。その結果、自車両が障害物と干渉する可能性を低減でき、自車両と障害物との干渉をより適切に回避できる。
そのため、操舵角および操舵速度の少なくともいずれかに基づいて、運転者による障害物回避操作を支援することができる。それゆえ、例えば、操舵角または操舵速度により、運転者の操舵意思を図ることで、障害物回避操作をより適切に支援できるようになる。
そのため、例えば、自車両が回避経路に沿って走行するように支援量を算出することで、自車両が障害物の存在確率が低い領域のみを走行するように、運転者による回避操作を支援することができる。その結果、将来において自車両と障害物とが干渉する可能性を考慮した、より的確な支援を行うことができる。
次に、本発明の第3実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、上記各実施形態と同様な構成などについては同一の符号を使用する。
(構成)
本実施形態の基本的な車両構成は、図9に示すように上記第2実施形態と同様である。
ただし、カメラ1は、自車両SWの前方の道路境界を検出する役割も果たす。道路境界とは、自車両SWが走行している道路または走行車線の両脇を区切る境界線である。
図23に、以上の装置構成を機能別にまとめたブロック図を示す。
回避経路生成手段は、自車両状態検出手段、障害物検出手段、存在確率分布検出手段、および道路境界検出手段で得た情報に基づき、回避経路を生成する機能を実現する。
図24は、回避支援コントローラ4の処理を示すフローチャートである。
図25は、想定する場面の一例を示す平面図である。
ここでは、具体性を持たせて処理を分かりやすくするために、図25に示す場面を想定して説明する。図25に示す場面では、自車両SWが片側1車線の直線道路上を走行しているときに、自車両SWの前方に左側から横断する歩行者を検出した場面を想定している。なお、第1実施形態および第2実施形態では、障害物SMの左右のいずれにも自車両SWが通り抜け可能なスペースがあるものとしたが、図25に示す場面では、道路境界により、自車両SWが通り抜け可能なスペースが限られているものとする。
図24に示すように、まず、そのステップS601では、各種センサが検出した信号をメモリ上に読み込む。そして、自車両SWの運動状態、自車両SWの操作状態、障害物SMの位置、および障害物SMとの間の距離を、統一した座標系上の値として算出する。
上記座標系を設定することで、道路の左端の道路境界の位置をY=YL、道路の右端の道路境界の位置をY=YRといった形式で表記することができる。
次に、ステップS602では、自車両SWと障害物SMとが干渉する可能性の有無によって処理を分岐する。例えば、第1実施形態のステップS102と同様の処理や、第2実施形態のステップS302と同様の処理を利用できる。そして、自車両SWと障害物SMとが干渉する可能性があると判定した場合には(YES)ステップS603に移行する。一方、有無によって処理を分岐する。一方、自車両SWと障害物SMとが干渉する可能性がないと判定した場合には(NO)処理を終了する。
次に、ステップS604では、まず、前記ステップS603で算出した障害物SMの存在確率分布に基づいて、障害物SMの右方向を通過する回避経路を生成する。
回避経路などの具体的な生成方法については後述する。
次に、ステップS605では、まず、前記ステップS603で推定した障害物SMの在確率分布に基づいて、障害物SMの左方向を通過する回避経路を生成する。
次に、生成した回避経路を走行させる左回避舵角パターンδLiを算出する。
次に、ステップS606では、前記ステップS604で算出した右回避舵角パターンδRi、および前記ステップS605で算出した左回避舵角パターンδLiに基づいて、操舵支援トルクの特性を設定する。
具体的には、まず、前記ステップS604で算出した右回避舵角パターンδRiに基づいて第1の支援トルク特性図を設定する。第1の支援トルク特性図は、図26(a)に示すように、例えば、右回避舵角パターンδRiと当該右回避舵角パターンδRiに対応した操舵支援トルクTRiからなる点(δRi、TRi)を2次元平面上にプロットし、プロットした各点(δRi、TRi)の間を直線で結ぶことによって生成する。操舵支援トルクTRiは、TR1>TR2>…>TRNTHとなるように設定する。ここで、k番目の右回避舵角パターンδRkに対応する回避経路は道路境界内に収まるが、k+1番目の右回避舵角パターンδRk+1に対応する回避経路は道路境界内に収まらないとする。その場合、操舵支援トルクTRkを「0」とし、操舵支援トルクTRk+1、…、TRNTHを負の値とする。すなわち、操舵支援トルクTiは、TR1>TR2>…>TRk(=0)>…>TRNTHとなるように設定する。操舵支援トルクTiの符号は、前輪5FL、5FRを右方向に転舵する操舵支援トルクを正値とし、前輪5FL、5FRを左方向に転舵する操舵支援トルクを負値とする。
次に、設定した第1および第2の支援トルク特性図をもとに、操舵角δfに対応する操舵支援トルクを算出する。そして、算出した操舵支援トルクの付与を指示する信号をステアリングアクチュエータ7に出力する。
なお、本実施形態では、操舵角δfに基づいて、操舵支援トルクを算出する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、操舵角δfおよび操舵角速度dδf/dtに基づいて、自車両SWの逸脱可能性をより適切に算出することもできる。
図27は、右回避舵角パターンを算出する処理を示すフローチャートである。
図27に示すように、まず、ステップS701では、変数iが設定値NTHであるか否かを判定する。変数iは、後述するステップS702からS706までのフローの実行回数をカウントするための変数であり、この処理の開始時に1に設定する。そして、変数iが設定値NTHであると判定した場合には(YES)処理を終了して復帰する。一方、変数iが設定値NTHではないと判定した場合には(NO)ステップS702に移行する。
本実施形態では、予め設定した舵角パターンδf(t)に、障害物回避操作の調整を行うためのゲインKδ設定を行うことで、舵角パターンδf '(k)を設定する。
舵角パターンδf(t)としては、操舵の切り返しから切り戻しまでの操作を行うことを踏まえて、図22に示すように、サイン状、三角状、台形状の舵角パターンδf(t)を利用可能である。切り返しを行うタイミングは、TCJを基準とし、ΔTXのパラメータを事前に調整することで設定する。
δf(k)=[δf(0*2×(TCJ+ΔTX)N)、δf(1*2×(TCJ+ΔTX)N)、…、δf((N-1)*2×(TCJ+ΔTX)N)]
また、上記N個の時系列データに基づき、舵角パターンδf '(k)は、下記(14)式のように表記することができる。
δf'(k)=Kδ×δf(k) ………(14)
ただし、ゲインKδは、この処理の開始時に小さい正の値ΔKδに設定する。
次に、算出した回避経路(xV(t)、yV(t))上から、Y成分yV(k)の最小値ymin(=min(yV(k)))を抽出する。なお、逸脱の可能性があるのは道路の右端の道路境界であるので、最小値yminを抽出は、現在から2×(TCJ+ΔTX)後までのY成分yV * (k)を対象として行う。
具体的には、まず、前記ステップS603で設定した障害物SMの存在確率分布を参照し、前記ステップS703で設定した回避経路(xV(t)、yV(t))上の各地点に対して、障害物SMの存在確率を算出する。そして、算出した存在確率のうち、最大のものを最大値Pm(=maxf(xV(t)、yV(t),t))として抽出する。
Kδ=Kδ+ΔKδ ………(15)
一方、ステップS706では、前記ステップS702で設定した舵角パターンδf '(k)を、右回避舵角パターンδRiとしてメモリに格納する。また、変数iに「1」を加算した値を、新しい変数iとする。その後、前記ステップS701に移行する。
ただし、ΔKδを負の値に設定する。また、前記ステップS702で設定した舵角パターンδf '(k)は、左回避舵角パターンδLiとしてメモリに格納する。
ここで、本実施形態では、図23の車速センサ2およびジャイロセンサ9が自車両状態検出手段を構成する。以下同様に、図23の操舵角センサ3が操作状態検出手段を構成する。また、カメラ1が障害物検出手段を構成する。さらに、図23の回避支援コントローラ4が存在確率分布推定手段および回避経路生成手段を構成する。
(1)本実施形態では、回避経路生成手段が、回避経路として、道路境界内に収まっている経路を生成する。
そのため、自車両が道路境界内から逸脱しない回避経路を生成することができる。それゆえ、例えば、生成した回避経路に沿って自車両が走行するように支援量を算出することで、自車両が道路境界内に留るように運転者による回避操作を支援することができる。その結果、運転者が障害物を回避するために必要以上の操舵をした場合にも、自車両が道路境界内から逸脱することを防止することができる。
次に、本発明の第4実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、上記各実施形態と同様な構成などについては同一の符号を使用する。
図28は、第4実施形態の車両用運転支援装置を装備した自車両SWの装置構成の概念図である。
本実施形態の基本的な車両構成は図28に示すように上記第2実施形態と同様である。
ただし、加速度センサ10を備えている。加速度センサ10は、自車両SWに発生する特定の方向の加速度を検出する。例えば、圧電素子等を用いて構成したものを利用可能である。そして、検出信号を回避支援コントローラ4に出力する。
図29に、以上の装置構成を機能別にまとめたブロック図を示す。
本実施形態では、自車両状態検出手段は、車速センサ2、ジャイロセンサ9および加速度センサ10によって構成する。そして、各センサで検出した信号を統合的に処理して、自車両SWの運動状態に関する情報を得る機能を実現する。
図30は、回避支援コントローラ4の処理を示すフローチャートである。
ここでは、具体性を持たせて処理を分かりやすくするために、図25に示す場面を想定して説明する。図25に示す場面では、自車両SWが片側1車線の直線道路上を走行しているときに、自車両SWの前方に左側から横断する歩行者を検出した場面を想定している。なお、第1実施形態および第2実施形態では、障害物SMの左右のいずれにも自車両SWが通り抜け可能なスペースがあるものとしたが、図25に示す場面では、道路境界により、自車両SWが通り抜け可能なスペースが限られているものとする。また、自車両SWの運転者は、障害物SMの存在を認識し、制動操作を行っているものとする。
図30に示すように、まず、そのステップS801では、各種センサが検出した信号をメモリ上に読み込む。そして、自車両SWの運動状態、自車両SWの操作状態、障害物SMの位置、および障害物SMとの間の距離を、統一した座標系上の値として算出する。
自車両SWの減速度aVXは、加速度センサ10から得ることができる。
次に、ステップS803では、カメラ1の検出特性により当該カメラ1の検出結果に含まれる検出誤差の性質に基づいて、自車両SWの周囲における障害物SMの存在確率分布を推定する。例えば、第1実施形態のステップS103と同様の処理や、第2実施形態のステップS303と同様の処理を利用できる。
fc(X,Y,t)=N(μX、μYC、σX 2、σY 2) ………(16)
また、障害物SMが加速移動している場合には、障害物SMの存在確率fa(X、Y、t)は、下記(17)式のように表記できる。
fa(X,Y,t)=N(μX、μYC、σX 2、σY 2)、Y≦μYC
fa(X,Y,t)=max[fYa(μX、μYC、σX 2、σY 2)、fYa(μX、μYA、σX 2、σY 2)]、μYC<Y<μYA
fa(X,Y,t)=N(μX、μYA、σX 2、σY 2)、μYA≦Y ………(17)
fd(X,Y,t)=N(μX、μYD、σX 2、σY 2)、Y≦μYD
fd(X,Y,t)=max[fYa(μX、μYD、σX 2、σY 2)、fYa(μX、μYC、σX 2、σY 2)]、μYD<Y<μYC
fd(X,Y,t)=N(μX、μYD、σX 2、σY 2)、μYC≦Y ………(18)
ここで、上記(18)式は、連続な関数であり、X、Yに関して微分可能である。
また、上記(16)〜(18)式に基づき、障害物SMの移動を考慮した場合の障害物SMの存在確率は、下記(19)式のようにまとめることができる。
f(X,Y,t)=[Kd×fd(X,Y,t)+fc(X,Y,t)+Ka×fa(X,Y,t)]/[KNow(1+Kd+ Ka)] ………(19)
次に、生成した回避経路を走行させる右回避舵角パターンδRiを算出する。
回避経路などの具体的な生成方法については後述する。
次に、ステップS805では、まず、前記ステップS803で推定した障害物SMの在確率分布に基づいて、障害物SMの左方向を通過する回避経路を生成する。
次に、生成した回避経路を走行させる左回避舵角パターンδLiを算出する。
次に、ステップS806では、前記ステップS804で算出した右回避舵角パターンδRiおよび前記ステップS805で設定した左回避舵角パターンδLiに基づいて、操舵支援トルクの特性を設定する。
図32は、操舵支援トルクの特性を示す図である。
図31に示すように、現在時刻t0における右回避舵角パターンδRi(t0)はいずれも同じ値となる。そのため、本実施形態では、現在時刻t0からΔt秒後の右回避舵角パターンδRi(t0+Δt)を利用して、操舵支援トルクの特性を設定する。
この処理をサンプリング周期ごとに逐次行うことで、運転者の不確定性に対して逐次補正をかけることが可能となり、予測のずれに対する信頼性を向上することができる。
図33は、自車両SWと障害物SMとが干渉する可能性の有無を判定する処理を示すフローチャートである。
図33に示すように、まず、そのステップS901では、自車両SWの減速度aVXを維持することで、障害物SMの手前で自車両SWを停止できるか否かを判定する。
具体的には、自車両SWの減速度aVX、自車両SWの縦方向速度vVXおよび障害物SMの縦方向位置xBに基づき、下記(20)式を満たす正の値tを算出する。そして、算出した値tを到達時間TCJ'とする。
0.5×aVX×t2+VVX×t=XB ………(20)
次に、ステップS903では、現在から到達時間TCJ'後までの間に、自車両SWの走行領域に障害物SMが侵入するか否かを判定する。
具体的には、まず、前記ステップS902で算出した到達時間TCJ'に基づいて、当該到達時間TCJ'後における障害物SMの横方向位置yB+vBY×TCJ'を算出する。
図34は、右回避舵角パターンδRiを算出する処理を示すフローチャートである。
図34に示すように、まず、そのステップS1001では、変数iが設定値NTHであるか否かを判定する。変数iは、後述するステップS1002〜S1007のフローの実行回数をカウントするための変数であり、この処理の開始時に1に設定する。そして、変数iが設定値NTHであると判定した場合には(YES)処理を終了して復帰する。一方、変数iが設定値NTHではないと判定した場合には(NO)ステップS1002に移行する。
本実施形態では、車両モデル、評価関数J(u)を使用した最適化計算によって、障害物SMの存在確率が設定水準THiよりも低い領域内を通過する回避経路を生成する。
具体的には、まず、自車両SWの将来の走行経路を算出するために、自車両SWの運動を記述する二輪モデルとして、自車両SWの減速を考慮した二輪モデルを使用する。
dxV/dt=vcos(β+θ)
dyV/dt=vsin(β+θ) ………(21)
dθ/dt=γ
dv/dt=aVX
dβ/dt=-γ+[2Kf(αf、aVX)+2Yr(αr、aVX)]/MVV
dγ/dt=[2LfKf(αf、aVX)-2LrYr(αf、aVX)]/I
dδf/dt=-δf/Ts-δf/Ts
dxV /dt=fV(xV、uV) ………(22)
xV=(xV、yV、θ、v、β、γ、δf)
uV=(δf *)
そして、上記(22)式をもとに、現在時刻t0から推定時刻t0+Tfまでの間に、自車両SWに加えた操作量uに対する車両状態ベクトルxVの予測値に基づき、評価関数J(u)は、下記(23)式のように表記することができる。
次に、ステップS1003では、前記ステップS1002で設定した評価関数J(u)に基づいて、当該評価関数J(u)を最小にする最適化計算を行う。
評価関数J(u)を最小にする操作量を求める問題は、一般に最適制御問題と呼び、その数値解を求めるために様々なアルゴリズムが公知の技術として考えられている。
公知の技術の一例としては、例えば、T.Ohtsuka,"A continuation /GMRES method for fastcomputation of nonlinear receeding horizon control",Automatica, vol,40, 563/574, 2004.が挙げられる。
また、右回避舵角パターンδRiを得るためには、最適化計算の初期解として、前輪5FL、5FRを右方向に転舵する舵角パターンを読み込む必要がある。この初期解は、予め速度および障害物SMとの間の距離Rs等の条件に応じたものをメモリに格納しておく。
なお、実際の計算では、評価区間t0〜t0+Tfを適当なステップ数Nで分割して離散化を行い、各ステップ時点における操作量の値を算出する。これにより、以下に示すような、N個の時系列操作量δf *を得ることができる。
δf *=(δf *(t0)、δf *(t0+Tf/N)、…、δf *(t0+(N-1)×Tf/N))
具体的には、舵角パターンδf *に基づき、上記(21)式および(22)式のように定義した二輪モデルに従って、自車両SWの将来の走行経路(xV *(t)、yV *(t))を算出する。これにより、以下に示すような、N個の時系列データを得ることができる。
xV *=(xV * (t0)、xV * (t0+Tf/N)、…、xV * (t0+Tf))
yV *=(yV * (t0)、yV * (t0+Tf/N)、…、yV * (t0+Tf))
具体的には、まず、前記ステップS1004で算出した自車両SWの将来の走行経路(xV *(t)、yV *(t))上から、Y成分yV * (k)の最小値yminを抽出する。なお、逸脱の可能性があるのは道路の右端の道路境界であるので、最小値yminを抽出は、現在から2×(TCJ+ΔTX)後までのY成分yV * (k)を対象として行う。
具体的には、前記ステップS803で設定した障害物SMの存在確率分布を参照し、前記ステップS1004で算出した回避経路(xV *(t)、yV *(t))上の各地点に対して、障害物SMの存在確率を算出する。そして、算出した存在確率から、最大のものを最大値Pm(=maxf(xV *(t)、yV *(t),t))として抽出する。
一方、ステップS1008では、前記ステップS1003で設定した舵角パターンδf *を、右回避舵角パターンδRiとしてメモリに格納する。また、変数iに「1」を加算した値を、新しい変数iとする。その後、前記ステップS1001に移行する。
なお、ステップS805で行う、上記左回避舵角パターンδLiの算出方法も、上記右回避舵角パターンδRiの算出方法と同様である。
ここで、本実施形態では、図29の車速センサ2、ジャイロセンサ9および加速度センサ10が自車両状態検出手段を構成する。以下同様に、図29の操舵角センサ3が操作状態検出手段を構成する。また、カメラ1が障害物検出手段を構成する。さらに、図29の回避支援コントローラ4が存在確率分布推定手段および回避経路生成手段を構成する。また、操舵支援トルクが支援制御量を構成する。
(1)本実施形態では、回避経路として、回避経路を数値的に評価する評価関数を最大または最小とする経路を生成する。
そのため、評価関数を最大または最小とする回避経路を算出することができる。それゆえ、例えば、評価関数として、関数値が大きくまたは小さくなると、回避時の評価項目の評価が高くなる関数を設定することで、評価項目の評価が高い回避経路、つまり、より適切な経路を算出することができる。その結果、算出した回避経路に沿って自車両が走行するように回避操作を支援することで、より適切な支援を行うことができる。
そのため、最新の自車両の運動状態、自車両の操作状態、および障害物の存在確率分布に応じた支援制御量を算出することができる。それゆえ、例えば、障害物の動きの予測が外れ、自車両の将来の走行経路上における障害物の存在確率分布が変動した場合、新しい自車両の運動状態に応じて支援制御量を算出することで、支援制御量を適宜修正することができる。その結果、より適切な支援を行うことができる。
そのため、例えば、運転者が操舵とともに、制動操作も行っている場合には、制動操作により、自車両が発生する横力が減少することを考慮して回避経路を生成できる。その結果、より適切な回避経路を生成することができる。
Claims (12)
- 自車両の運動状態を検出する自車両状態検出手段と、
前記自車両の操作状態を検出する操作状態検出手段と、
前記自車両の周囲の障害物の位置を検出する障害物検出手段と、
前記障害物検出手段が検出した前記障害物の位置、および前記障害物検出手段の検出特性により当該位置に含まれる検出誤差の性質に基づいて、前記障害物の存在確率分布を推定する存在確率分布推定手段と、
前記自車両状態検出手段が検出した前記自車両の運動状態、前記操作状態検出手段が検出した前記自車両の操作状態、および前記存在確率分布推定手段が推定した前記障害物の存在確率分布に基づいて、運転者による障害物回避操作を支援する回避支援手段と、を備えることを特徴とする車両用運転支援装置。 - 前記存在確率分布推定手段は、前記自車両と前記障害物との間の距離が遠い場合、当該距離が近い場合と比較して、前記障害物の存在確率分布の最高値および当該最高値の周辺の存在確率を低減することを特徴とする請求項1に記載の車両用運転支援装置。
- 前記存在確率分布推定手段は、前記自車両の横方向への運動およびヨー方向への運動の少なくとも一方の運動に基づき当該運動が大きい場合、当該運動が小さい場合と比較して、前記自車両の横方向における前記障害物の存在確率分布の最高値および当該最高値の周辺の存在確率を低減することを特徴とする請求項1または2に記載の車両用運転支援装置。
- 前記存在確率推定手段は、前記自車両の縦方向への運動およびピッチ方向への運動の少なくとも一方の運動に基づき当該運動が大きい場合、当該運動が小さい場合と比較して、前記自車両の縦方向における前記障害物の存在確率分布の最高値および当該最高値の周辺の存在確率を低減することを特徴とすることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用運転支援装置。
- 前記回避支援手段は、前記存在確率分布推定手段が推定した前記障害物の存在確率分布に基づき、前記自車両の将来の走行経路上における前記障害物の存在確率が高い場合、当該存在確率が低い場合と比較して、前記障害物回避操作を支援する支援制御量を増大することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の車両用運転支援装置。
- 前記車両操作検出手段は、前記自車両の操舵角および操舵角速度の少なくともいずれかを検出することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の車両用運転支援装置。
- 前記存在確率分布推定手段が推定した前記障害物の存在確率分布に基づき、前記障害物の存在確率が設定値よりも低い領域内を通過する回避経路を生成する回避経路生成手段を備え、
前記回避支援手段は、前記自車両に前記回避経路を走行させる舵角パターン、および前記自車両の操作状態に基づいて、前記障害物回避操作を支援する支援制御量を設定することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の車両用運転支援装置。 - 前記自車両の周囲の道路境界を検出する道路境界検出手段を備え、
前記回避経路生成手段は、前記回避経路として、前記道路境界内に収まっている経路を生成することを特徴とする請求項7に記載の車両用運転支援装置。 - 前記回避経路生成手段は、前記回避経路として、前記回避経路を数値的に評価する評価関数を最大または最小とする経路を生成することを特徴とする請求項7または8のいずれか1項に記載の車両用運転支援装置。
- 前記回避支援手段は、前記障害物回避操作を支援する支援制御量を逐次演算することを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載の車両用運転支援装置。
- 前記回避経路生成手段は、前記自車両のタイヤの摩擦円を考慮した車両モデルを用いて回避経路を生成することを特徴とする請求項7から10のいずれか1項に記載の車両用運転支援装置。
- 自車両の周囲の障害物の位置を検出し、検出した位置および前記障害物検出手段の特性により当該位置に含まれる検出誤差の性質に基づいて、前記自車両の周囲における前記障害物の存在確率分布を推定し、推定した存在確率分布、前記自車両の運動状態、および前記自車両の操作状態に基づいて、運転者による障害物回避操作を支援することを特徴とする車両用運転支援方法。
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